説明

側溝の共同溝化工法

【課題】 施工後における排水路に対するメンテナンス作業を煩雑化させることなく、排水用として使用されている既設の側溝を共同溝化できるようにする。
【解決手段】 本発明は、排水用として使用されている既設の側溝1に対する共同溝化工法であって、次の工程(a1)〜(c1)を含む。
(a1) 側溝1内の左右両側面の上下方向中途部に支持部材21を取り付ける工程
(b1) 側溝1内の底部にケーブル類5を収納する工程
(c1) 側溝1内に収まる底板部材12を支持部材21に載せることにより、当該側溝1内の上部に新たな排水路17を形成する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水用として使用されている既設の複数の側溝に対して、ケーブル類を纏めて収納可能な電線共同溝としての機能を付加するための、側溝の共同溝化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線、電話線及び光ファイバー等の各種のケーブル類を地中に埋設すれば、災害時の緊急輸送道路の確保、円滑な消防活動、台風・地震等の災害時に強い街づくり、高度情報化に向けての電力の安定した供給、及び、通信の信頼性の向上等を図ることができる。
そこで、特に都市部においては、機能的な道路空間を形成しかつ美しい街並みを実現するため、歩道に埋設した電線共同溝(C・C・BOX)にケーブル類を纏めて収納することにより、道路を無電柱化することが進められている。
【0003】
かかる電線共同溝は、家屋へのケーブル類の引き込み距離を出来るだけ短くするため、歩道の官民境界部に沿って設置されることが好ましい。
しかし、歩道の官民境界部には、道路や家屋からの雨水を下水に流す側溝ブロックが設置されている場合が多いため、電線共同溝を設置したい位置が既に側溝ブロックが設置されている位置と重複することがある。
【0004】
そこで、ケーブル類を纏めて収納可能な電線共同溝としての機能と、排水用の側溝としての機能を併有する側溝ブロック(以下、「ハイブリッド型の側溝ブロック」ということがある。)が提案されている。
このハイブリッド型の側溝ブロックとしては、従来2つのタイプがある。このうち、第1のタイプは、上方が開放された断面ほぼU字型のブロック本体と、その上方開放部を閉塞する蓋部材とを備えており、ブロック本体の側壁部を長手方向に貫通する貫通孔にケーブル類を収納するようにしたものである(特許文献1及び2参照)。
【0005】
また、第2のタイプは、上方が開放された断面ほぼU字型のブロック本体と、その上方開放部を閉塞する蓋部材とを備えており、ブロック本体の側壁部の内面にケーブル類の保持部材を突設するとともに、ブロック本体の底部に下水の排水路を形成したものである(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−147846号公報
【特許文献2】特開2008−215053号公報
【特許文献3】特許第2523083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のハイブリッド型の側溝ブロックのうち、上記第1のタイプでは、ブロック本体の側壁部を長手方向に貫通する貫通孔にケーブル類を収納して地中化するものであるから、かかる貫通孔が形成された特別な側溝ブロックを使用しないと、ケーブル類を地中化することができない。
【0008】
これに対して、第2のタイプでは、ブロック本体の側壁部の内面に突設した保持部材にケーブル類を保持させる構造であるから、かかる保持部材を既設のブロック本体の側壁面に打設すれば、排水用として既に使用されている側溝ブロックを用いて、ケーブル類を地中化できる可能性がある。
しかし、第2のタイプでは、上記保持部材が側壁部の内面に突設され、下水の排水路がブロック本体の底部に形成されることになるので、ケーブル類の保持部材が邪魔になってブロック本体の底部に清掃具が入り難く、汚泥除去のための清掃等のメンテナンスが行い難いという欠点がある。
【0009】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、施工後における排水路に対するメンテナンス作業を煩雑化させることなく、排水用として使用されている既設の側溝を共同溝化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 第1の本発明は、排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a1)〜(c1)を含むことを特徴とする。
(a1) 前記側溝内の左右両側面の上下方向中途部に支持部材を取り付ける工程
(b1) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(c1) 前記側溝内に収まる底板部材を前記支持部材に載せることにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【0011】
第1の本発明によれば、既設の側溝内の底部にケーブル類を収納し、その側溝内の左右両側面の上下方向中途部に取り付けられた支持部材に底板部材を載せることにより、側溝内の上部に新たな排水路を形成するので、既設の側溝を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝内の内空断面が、上側が排水路でかつ下側がケーブル類の収納空間となるので、排水路を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0012】
(2) 第2の本発明は、排水用として使用されている既設の複数の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a2)〜(c2)を含むことを特徴とする。
(a2) 前記側溝内の左右両側面の上下方向中途部に支持部材を取り付ける工程
(b2) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(c2) 上方開口状の水路部材を前記支持部材に載せることにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【0013】
第2の本発明によれば、既設の側溝内の底部にケーブル類を収納し、その側溝内の左右両側面の上下方向中途部に取り付けられた支持部材に上方開口状の水路部材を載せることにより、側溝内の上部に新たな排水路を形成するので、既設の側溝を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝内の内空断面が、上側が排水路でかつ下側がケーブル類の収納空間となるので、排水路を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0014】
(3) 第3の本発明は、排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a3)〜(b3)を含むことを特徴とする。
(a3) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(b3) 上方開口部に掛止部を有する水路部材の前記掛止部を前記側溝の上端部に掛止することにより、前記側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【0015】
第3の本発明によれば、既設の側溝内の底部にケーブル類を収納し、その側溝の上端部に水路部材の掛止部を掛止することにより、側溝内の上部に新たな排水路を形成するので、既設の側溝を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝内の内空断面が、上側が排水路でかつ下側がケーブル類の収納空間となるので、排水路を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0016】
(4) 第4の本発明は、排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a4)〜(b4)を含むことを特徴とする。
(a4) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(b4) 下方開口状のカバー部材を前記側溝内に収納して前記ケーブル類をカバーすることにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【0017】
第4の本発明によれば、既設の側溝内の底部にケーブル類を収納し、その側溝の内部に下方開口状のカバー部材を収納することにより、側溝内の上部に新たな排水路を形成するので、既設の側溝を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝内の内空断面が、上側が排水路でかつ下側がケーブル類の収納空間となるので、排水路を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0018】
(5) 第5の本発明は、排水用として使用されている既設の複数の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a5)を含むことを特徴とする。
(a5) 前記側溝内の底部に、断面内部にケーブル類を収納可能なケーブルボックスを設置することにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【0019】
第5の本発明によれば、既設の側溝内の底部に、断面内部にケーブル類を収納可能なケーブルボックスを設置することにより、側溝内の上部に新たな排水路を形成するので、既設の側溝を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝内の内空断面が、上側が排水路でかつ下側がケーブルボックスとなるので、排水路を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0020】
(6) 第6の本発明は、排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a6)を含むことを特徴とする。
(a6) 前記側溝の上方開口部を、断面内部にケーブルを収納可能な収納空間を有する蓋部材で塞ぐ工程
【0021】
第6の本発明によれば、既設の側溝の上方開口部を、断面内部にケーブル類を収納可能な収納空間を有する蓋部材で塞ぐようにしたので、排水用として既設の側溝を共同溝化することができる。
また、ケーブル類の収納空間が蓋部材に設けられているので、蓋部材を取り外して側溝内の排水路を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0022】
(7) ところで、上記第1〜第5の本発明の共同溝化工法の施工後においては、側溝の内空断面の断面上部に排水路が形成され、かつ、断面下部に収納空間が形成されることになる。
かかる上下2段構造の断面が続く側溝区間に集水桝やケーブル桝を繋げる場合のレイアウトとして、例えば集水桝を側溝区間の延長上に配置し、ケーブル桝を側溝区間の道路中央側にオフセットさせて配置することが考えられる。
【0023】
しかし、上記のレイアウトでは、集水桝やケーブル桝を設置する区間において、ケーブル類を側溝の外部に迂回させて敷設する必要がある。この場合、側溝を穿孔せねばならない点で、ケーブル類の敷設作業が煩雑になる。
そこで、本発明の共同溝化工法において、側溝の排水を集水する集水桝の施工を含める場合には、次の工程(x)〜(y)を更に含むことが好ましい。
【0024】
(x) 前記排水路の排水方向を道路中央側に変更する上部空間と、前記側溝に収納された前記ケーブル類を屈曲させずに通過させることができる下部空間とを有する変更ブロックを、側溝区間の延長上に設置する工程
(y) 前記上部空間からの排水を集水する集水桝を、前記側溝空間の道路中央側にオフセットした位置に設置する工程
【0025】
上記共同溝化工法によれば、変更ブロックの上部空間からの排水を集水する集水桝を、撤去された箇所における側溝区間の道路中央側にオフセットした位置に設置するので、側溝の収納空間が集水桝によって分断されなくなる。
このため、集水桝の設置区間において、ケーブル類を側溝の外部に迂回させる必要がなく、ケーブル類の敷設作業が容易になる。
【0026】
また、本発明の共同溝化工法において、側溝からのケーブル類を受け入れるケーブル桝の施工を含める場合には、前記工程(y)の代わりに或いは当該工程(y)に加えて、次の工程(z)を更に含むことが好ましい。
(z) 既設の前記側溝を撤去して空いた区間に、前記下部空間に連通するケーブル桝を前記側溝区間の延長上に位置するように設置する工程
【0027】
上記共同溝化工法によれば、変更ブロックの下部空間に連通するケーブル桝を、撤去された箇所における側溝区間の延長上に設置するので、側溝内のケーブル類を、変更ブロックの下部空間を通して屈曲させずにケーブル桝まで延ばすことができる。
このため、ケーブル桝の設置区間においてケーブル類を側溝の外部に迂回させる必要がなく、ケーブル類の敷設作業が容易になる。
【発明の効果】
【0028】
以上の通り、本発明の共同溝化工法によれば、施工後における排水路に対するメンテナンス作業を煩雑化させることなく、排水用として使用されている既設の側溝を共同溝化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る共同溝化工法(第1工法)の施工手順を示す説明図である。
【図2】第1工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【図3】第2実施形態に係る共同溝化工法(第2工法)の施工手順を示す説明図である。
【図4】第2工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【図5】第3実施形態に係る共同溝化工法(第3工法)の施工手順を示す説明図である。
【図6】第3工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【図7】第4実施形態に係る共同溝化工法(第4工法)の施工手順を示す説明図である。
【図8】第4工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【図9】第5実施形態に係る共同溝化工法(第5工法)の施工手順を示す説明図である。
【図10】第5工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【図11】第5実施形態の変形例に係る共同溝化工法(第5工法の変形例)の施工手順を示す説明図である。
【図12】第5工法の変形例が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【図13】第6実施形態に係る共同溝化工法(第6工法)の施工手順を示す説明図である。
【図14】第6工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【図15】集水桝を設置する場合の施工手順を示す説明図である。
【図16】図15のA−A線断面図である。
【図17】ケーブル桝と集水桝を設置する場合の施工手順を示す説明図である。
【図18】ケーブル桝と集水桝のレイアウト例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
なお、以下の各実施形態において、既設の側溝1の内部に収納されるケーブル類5には、家屋の住民のライフラインとなる各種のケーブル(例えば、低圧又は高圧の各電力線や、電話線又は光ファイバーなどの通信線)5Aが含まれる。
【0031】
側溝1内に確保する収納空間18のサイズに余裕がある場合には、このケーブル類5として、上下水道配管やガス配管を含めることもでき、さらにはそれらを単独で収納することにしてもよい。
また、本明細書にいう「ケーブル類」は、上記の各ケーブル5Aそのものだけでなく、ケーブル5Aを保護管5Bに挿通して敷設する場合には、その保護管5Bをも含む意味で使用している。
【0032】
本発明の各実施形態において、ケーブル類5を収納する既設の側溝1は、道路の幅方向端部(例えば、官民境界線に一致又は近接する位置)に縦断方向に連続して設置されている場合を想定している。
その理由は、道路の幅方向中央部には既に管路(例えば合流式下水管など)が埋設されていることが多いが、側溝1にケーブル類5を収納すればそのような既設の管路と干渉する可能性がなく、しかも、側溝1が官民境界線に近接しておれば、収納空間18に収納されるケーブル5Aの民地側への引き込み距離をできるだけ短くできるからである。
【0033】
本発明の各実施形態において、既設の側溝1には、施工当時にケーブル類5の収納を想定していなかったものだけでなく、施工当時からケーブル類5の収納を行うことも可能であったが、取り敢えず排水用途のみで使用されている場合も含まれる。
このように、ケーブル類5の収納が可能な側溝1を敢えて排水用途のみで使用することがある理由は、電線共同溝工事の場合は、地元住民との意見調整に非常に時間がかかるケースが多いので、先に側溝整備を整えてからケーブル類5の地中化を検討乃至決定する場合があるからである。
【0034】
なお、本発明の各実施形態において、既設の側溝1は、工場生産によるプレキャストコンクリート製の側溝ブロックを排水方向に沿って連続的に接続して施工したものだけでなく、施工現場に構築した型枠に未硬化のコンクリートを打設して構築された現場打ちの場合も含まれる。
【0035】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る共同溝化工法の施工手順を示す説明図である。
図1の共同溝化工法(以下、「第1工法」という。)では、既設の側溝1の蓋部材を除く本体部分(以下、「側溝本体」という。)11に対して、底板部材12を用いて内空断面の上部に新たな排水空間(排水路)17を構成するものである。以下、図1を参照しつつ、第1工法の内容を説明する。
【0036】
図1(a)は、既設の側溝1の横断面図である。この側溝1は、開水路断面であるコンクリート製の側溝本体11と、その上方開口部を閉塞する蓋部材13とを有する。
側溝本体11は、プレキャストコンクリート製或いは現場打ちコンクリートよりなり、左右の両側壁部14,14と、その下端部同士を繋ぐ底壁部15とを一体に有する、上方が開放された断面ほぼU字状の構造体よりなる。
【0037】
上記側溝本体11に対して、まずその上端開口部から蓋部材13を取り外して、側溝本体11の底部の清掃を行った後、図1(b)に示すように、両側壁部14,14の内面の上下方向中途にアンカー部材等を用いてブラケット21を取り付ける。
このブラケット21は、側溝本体11の長手方向(図1の紙面貫通方向)に延びる断面L型の鋼材よりなり、そのフランジ部が断面内側に突出するように側壁部14の内面に取り付けられる。
【0038】
本実施形態では、上記ブラケット21として断面L型の長尺のアングル材を用いているが、このブラケット21は、側溝本体11の長手方向に所定間隔おきに側壁部14から突出するように取り付けられた、アーム状、棒状或いはその他の形状の部材でもよい。
すなわち、本明細書において、「ブラケット」とは、片持ち状の支持部材の総称のことを意味しており、側壁部14の内面から片持ち状に突設可能な部材であれば、その構造及び形状は特に限定されない。
【0039】
次に、図1(c)に示すように、ケーブル5Aの保護管5Bを側溝本体11の底部に重ねて収納する。この保護管5Bの収納作業が完了すると、図1(d)に示すように、複数の底板部材12を両ブラケット21,21間に架け渡すようにして、側溝本体11の長手方向(排水方向)に渡って並設する。
この底板部材12の装着により、側溝本体11の内部空間が、底板部材12の上方の排水空間(排水路)17とその下方の収納空間18との上下2段構造に区画される。
【0040】
なお、底板部材12は、例えばコンクリート製、鋼製或いは合成樹脂製のほぼ平板状の板材よりなり、側溝本体11の上端開口幅よりは小さく、かつ、左右のブラケット21,21間の間隔よりは大きい幅寸法を有する。
また、図示していないが、底板部材12の幅方向縁部とブラケット21の間と、排水方向で互いに隣接する底板部材12同士の接続端は、例えばブチルゴム等よりなるシールテープによって止水処理が施される。
【0041】
そして、側溝本体11の上方開放部を蓋部材13で閉塞することより、図1(e)に示すように側溝1に対する断面閉塞が完了する。なお、その後は、例えばケーブル桝34(図17参照)から保護管5Bにケーブル5Aを挿通して、ケーブル5Aを側溝1の排水方向に沿って敷設すればよい。
もっとも、このケーブル5Aの敷設作業は、底板部材12を装着する前(図1(c)の状態)に、保護管5Bとともに或いは保護管5Bなしで、ケーブル5Aを収納空間18に収納することで行うようにしてもよい。
【0042】
一方、上記のようにして側溝1の施工が完了してから例えば数年後に、特定区間の側溝1に対して、ケーブル5Aを追加的に敷設する必要が生じたり、或いは、故障したケーブル5Aを交換する必要が生じたりする場合がある。
この場合には、まず、側溝本体11から蓋部材13を取り外して、特定区間の排水路17に対して汚泥の除去等の必要な清掃を行ってから、底板部材12の縁部に引っ掛け具(図示せず)を引っ掛けて底板部材12を側溝本体11の内部から取り出す。
【0043】
すると、図1(d)に示すように、側溝本体11の内部のケーブル類5の収納空間18が開放されるので、この開放された特定区間の側溝本体11に対して必要なケーブル5Aやその保護管5Bの追加や交換を行えばよい。
【0044】
このように、第1工法によれば、既設の側溝本体11の底部にケーブル類5を収納し、その側溝本体11の左右両側面の上下方向中途部に取り付けられた左右のブラケット21,21に底板部材12を架け渡して、側溝本体11内の上部に新たな排水路17を形成するので、既設の側溝1を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝本体11内の内空断面が、上側が排水路17でかつ下側がケーブル類の収納空間18となるので、排水路17を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路17に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0045】
上記第1実施形態では、底板部材12を側溝本体11内の上下方向中途部に装着するための「支持部材」としてブラケット21を採用しているが、支持部材はブラケット21に限定されるものではない。例えば、当該支持部材としては、側壁部14,14間に架設された梁構造の部材や、側溝本体11内に収納された門型フレーム構造の部材などを採用することもできる。
なお、ブラケット21以外の支持部材を採用し得る点は、後述の第2実施形態の場合も同様である。
【0046】
図2は、第1工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
上述の通り、第1工法では、既存の側溝1に対して、ブラケット21と底板部材12による改変を加えるものであり、側溝本体11を取り換える必要がない。
従って、図2(a)〜図2(k)に示すような、現在市販されている或いは既設の種々の断面の側溝に第1工法を適用することができる。
【0047】
なお、図2(f)の側溝では蓋部材に縁石部が一体に形成されており、図2(h)及び(j)は底壁部分に現場打ちインバートを構築するタイプである。
また、図2(k)に示すように、蓋部材のない側溝でも、第1工法を適用することができる。
【0048】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態に係る共同溝化工法の施工手順を示す説明図である。
図3の共同溝化工法(以下、「第2工法」という。)では、既設の側溝1の側溝本体11に対して、水路部材22を用いて内空断面の上部に新たな排水空間(排水路)17を構成するものである。以下、図3を参照しつつ、第2工法の内容を説明する。
【0049】
第2工法においても、図3(a)の既設の側溝本体11に対して、まずその上端開口部から蓋部材13を取り外して、側溝本体11の底部の清掃を行った後、図3(b)に示すように、両側壁部14,14の内面の上下方向中途にアンカー部材等を用いてブラケット21を取り付ける。
【0050】
次に、図3(c)に示すように、ケーブル5Aの保護管5Bを側溝本体11の底部に重ねて収納する。この保護管5Bの収納作業が完了すると、図3(d)に示すように、複数の水路部材22を両ブラケット21,21間に架け渡すようにして、側溝本体11の長手方向(排水方向)に渡って並設する。
この水路部材22の装着により、側溝本体11の内部空間が、水路部材22の底板の上方の排水空間(排水路)17とその下方の収納空間18との上下2段構造に区画される。
【0051】
なお、水路部材22は、例えばコンクリート製、鋼製或いは合成樹脂製の断面ほぼコの字状の樋部材よりなり、側溝本体11の上端開口幅よりは小さく、かつ、左右のブラケット21,21間の間隔よりは大きい幅寸法を有する。
また、図示していないが、水路部材22の幅方向縁部とブラケット21の間と、排水方向で互いに隣接する水路部材22同士の接続端は、例えばブチルゴム等よりなるシールテープによって止水処理が施される。
【0052】
そして、側溝本体11の上方開放部を蓋部材13で閉塞することより、図3(e)に示すように側溝1に対する断面閉塞が完了する。なお、その後は、例えばケーブル桝34(図17参照)から保護管5Bにケーブル5Aを挿通して、ケーブル5Aを側溝1の排水方向に沿って敷設すればよい。
もっとも、このケーブル5Aの敷設作業は、水路部材22を装着する前(図3(c)の状態)に、保護管5Bとともに或いは保護管5Bなしで、ケーブル5Aを収納空間18に収納することで行うようにしてもよい。
【0053】
図3と図1を対比すれば明らかな通り、第2工法は、第1工法における底板部材12の代わりに水路部材22を使用したものであり、施工手順自体は第1工法の場合と同様である。従って、第2工法は第1工法と同様の作用効果を奏する。
【0054】
図4は、第2工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
上述の通り、第2工法では、既存の側溝1に対してブラケット21と水路部材22による改変を加えるものであり、側溝本体11を取り換える必要がない。
従って、図4(a)〜図4(k)に示すような、現在市販されている或いは既設の種々の断面の側溝に第2工法を適用することができる。
【0055】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係る共同溝化工法の施工手順を示す説明図である。
図5の共同溝化工法(以下、「第3工法」という。)では、既設の側溝1の側溝本体11に対して、掛止部23を有する水路部材24を用いて内空断面の上部に新たな排水空間(排水路)17を構成するものである。以下、図5を参照しつつ、第3工法の内容を説明する。
【0056】
第3工法においては、図5(a)の既設の側溝本体11に対して、まずその上端開口部から蓋部材13を取り外して、側溝本体11の底部の清掃を行った後、前記ブラケット21を取り付けることなく、図5(b)に示すように、ケーブル5Aの保護管5Bを側溝本体11の底部に重ねて収納する。
【0057】
第3工法に使用する水路部材24は、例えばコンクリート製、鋼製或いは合成樹脂製の断面ほぼコの字状の樋部材よりなるが、側板部の上端縁に幅方向外側に突出するフランジよりなる掛止部23を有する点で、前記水路部材22と相違する。
従って、第3工法の水路部材24は、上記掛止部23を側溝本体11の上端の蓋掛け部に引っ掛けることにより、底が浮いた状態で側溝本体11の内部に収納することができる。
【0058】
そこで、第3工法では、図5(c)に示すように、保護管5Bの収納作業が完了した側溝本体11の上方開口部に上記水路部材24を嵌め込み、図5(d)に示すように、水路部材24の掛止部23を側溝本体11の上端部に掛止させて水路部材24を装着する。
この水路部材24の装着により、側溝本体11の内部空間が、水路部材24の底板の上方の排水空間(排水路)17とその下方の収納空間18との上下2段構造に区画される。
【0059】
なお、図示していないが、水路部材24の幅方向縁部と側溝本体11の上端部の間と、排水方向で互いに隣接する水路部材24同士の接続端は、例えばブチルゴム等よりなるシールテープによって止水処理が施される。
【0060】
そして、側溝本体11の上方開放部を蓋部材13で閉塞することより、図5(e)に示すように側溝1に対する断面閉塞が完了する。なお、その後は、例えばケーブル桝34(図17参照)から保護管5Bにケーブル5Aを挿通して、ケーブル5Aを側溝1の排水方向に沿って敷設すればよい。
もっとも、このケーブル5Aの敷設作業は、水路部材24を装着する前(図5(b)の状態)に、保護管5Bとともに或いは保護管5Bなしで、ケーブル5Aを収納空間18に収納することで行うようにしてもよい。
【0061】
第3工法によれば、既設の側溝本体11の底部にケーブル類5を収納し、その側溝本体11の上端部に水路部材24の掛止部23を掛止することにより、側溝本体11内の上部に新たな排水路17を形成するので、既設の側溝1を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝本体11内の内空断面が、上側が排水路17でかつ下側がケーブル類5の収納空間18となるので、排水路17を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路17に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0062】
図6は、第3工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
上述の通り、第3工法では、既存の側溝1に対して水路部材24を取り付けて改変を加えるものであり、側溝本体11を取り換える必要がない。
従って、図6(a)〜図6(k)に示すような、現在市販されている或いは既設の種々の断面の側溝に第3工法を適用することができる。
【0063】
〔第4実施形態〕
図7は、本発明の第4実施形態に係る共同溝化工法の施工手順を示す説明図である。
図7の共同溝化工法(以下、「第4工法」という。)では、既設の側溝1の側溝本体11に対して、下方開口状のカバー部材25を用いて内空断面の上部に新たな排水空間(排水路)17を構成するものである。以下、図7を参照しつつ、第4工法の内容を説明する。
【0064】
第4工法においては、図7(a)の既設の側溝本体11に対して、まずその上端開口部から蓋部材13を取り外して、側溝本体11の底部の清掃を行った後、前記ブラケット21を取り付けることなく、図7(b)に示すように、ケーブル5Aの保護管5Bを側溝本体11の底部に重ねて収納する。
【0065】
第4工法に使用するカバー部材25は、例えばコンクリート製、鋼製或いは合成樹脂製の下方開口状の部材よりなり、天板部26と、その左右両端からそれぞれ下方に延設された左右一対の側板部27,27とを備える。天板部26の幅寸法は、側溝本体11の内空幅とほぼ等しい。
【0066】
そこで、第4工法では、図7(c)に示すように、保護管5Bの収納作業が完了した側溝本体11に対して、側板部27,27の下端を下に向けてその可端が側溝本体11の底面に到達するまで落とし込み、図7(d)に示すように、保護管5Bをカバー部材25で覆うようにして側溝本体11の底部に装着する。
このカバー部材25の装着により、側溝本体11の内部空間が、カバー部材25の天板部26の上方の排水空間(排水路)17とその下方の収納空間18との上下2段構造に区画される。
【0067】
なお、図示していないが、天板部26の幅方向縁部と側溝本体11の内面の間と、排水方向で互いに隣接する天板部26同士の接続端は、例えばブチルゴム等よりなるシールテープによって止水処理が施される。
【0068】
そして、側溝本体11の上方開放部を蓋部材13で閉塞することより、図7(e)に示すように側溝1に対する断面閉塞が完了する。なお、その後は、例えばケーブル桝34(図17参照)から保護管5Bにケーブル5Aを挿通して、ケーブル5Aを側溝1の排水方向に沿って敷設すればよい。
もっとも、このケーブル5Aの敷設作業は、カバー部材25を装着する前(図7(b)の状態)に、保護管5Bとともに或いは保護管5Bなしで、ケーブル5Aを収納空間18に収納することで行うようにしてもよい。
【0069】
第4工法によれば、既設の側溝本体11の底部にケーブル類5を収納し、その側溝本体11の内部に下方開口状のカバー部材25を収納することにより、側溝本体11内の上部に新たな排水路17を形成するので、既設の側溝1を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝本体11内の内空断面が、上側が排水路17でかつ下側がケーブル類5の収納空間となるので、排水路17を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路17に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0070】
図8は、第4工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
上述の通り、第4工法では、既存の側溝1に対して、ケーブル類5を収納してからカバー部材25を施工するものであり、側溝本体11を取り換える必要がない。
従って、図8(a)〜図8(k)に示すような、現在市販されている或いは既設の種々の断面の側溝に第4工法を適用することができる。
【0071】
〔第5実施形態〕
図9は、本発明の第5実施形態に係る共同溝化工法の施工手順を示す説明図である。
図9の共同溝化工法(以下、「第5工法」という。)では、既設の側溝1の側溝本体11に対して、断面内部にケーブル類5を収納可能なケーブルボックス28を用いて内空断面の上部に新たな排水空間(排水路)17を構成するものである。以下、図9を参照しつつ、第5工法の内容を説明する。
【0072】
第5工法においては、図9(a)の既設の側溝本体11に対して、まずその上端開口部から蓋部材13を取り外して、側溝本体11の底部の清掃を行った後、図9(b)に示すように、ケーブル5Aを断面内部に挿通可能な上記ケーブルボックス28を、側溝本体11の上方開口部から落とし込む。
【0073】
第5工法に使用するケーブルボックス28は、長手方向に貫通する収納孔部29を複数備えたコンクリート製のブロック体よりなり、側溝本体11の内空幅よりやや小さい幅寸法の断面幅を有し、かつ、同側溝本体11の内空高さのほぼ半分程度の断面高さを有している。
【0074】
従って、図9(c)に示すように、ケーブルボックス28が側溝本体11の底部に収納されると、側溝本体11の内部空間が、ケーブルボックス28の上方の排水空間(排水路)17とそのボックス28内の収納空間である収納孔部29との上下2段構造に区画される。
なお、図示していないが、ケーブルボックス28の上面側の接続端は、例えばブチルゴム等よりなるシールテープによって止水処理が施される。
【0075】
そして、側溝本体11の上方開放部を蓋部材13で閉塞することより、図7(d)に示すように側溝1に対する断面閉塞が完了する。なお、その後は、例えばケーブル桝34(図17参照)からケーブルボックス28の収納孔部29にケーブル5Aを挿通して、ケーブル5Aを側溝1の排水方向に沿って敷設すればよい。
【0076】
第5工法によれば、既設の側溝本体11の底部に、断面内部にケーブル類5を収納可能なケーブルボックス28を設置することにより、側溝本体11内の上部に新たな排水路17を形成するので、既設の側溝1を共同溝化することができる。
また、施工後の側溝本体11内の内空断面が、上側が排水路17でかつ下側がケーブルボックス28となるので、排水路17を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路17に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0077】
図10は、第5工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
上述の通り、第5工法では、既存の側溝1に対して、ケーブルボックス28を施工するものであり、側溝本体11を取り換える必要がない。
従って、図10(a)〜図10(k)に示すような、現在市販されている或いは既設の種々の断面の側溝に第5工法を適用することができる。
【0078】
〔第5実施形態の変形例〕
図11は、第5実施形態の変形例に係る共同溝化工法の施工手順を示す説明図である。
上記第5実施形態では、断面ほぼ円形の複数の収納孔部29を有するケーブルボックス28を採用しているが、それに代えて、図11に示すような、断面内部のほぼ全部が中空の角筒体よりなるケーブルボックス28を使用してもよい。
なお、その他の構造は第5実施形態の場合と同様である。また、図12は、第5工法の変形例が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
【0079】
〔第6実施形態〕
図13は、第6実施形態に係る共同溝化工法の施工手順を示す説明図である。
図13の共同溝化工法(以下、「第6工法」という。)では、既設の側溝1の側溝本体11に対して、ケーブル類5を収納可能な特殊な蓋部材30を代わりに用いることにより、内空断面の上部にケーブル類5の収納空間18を構成するものである。以下、図13を参照しつつ、第6工法の内容を説明する。
【0080】
第6工法においては、図13(a)の既設の側溝本体11に対して、まずその上端開口部から蓋部材13を取り外し(図13(b)の状態)、この通常の蓋部材13の代わりに、下面側にケーブル類5の収納空間18を有する蓋部材30で、側溝本体11の上端開口部を閉塞する。その閉塞後の状態が、図13(d)である。
従って、図13(d)に示すように、上記蓋部材30で側溝本体11を閉鎖すると、その内部空間の上部に収納空間18が配置されることになる。
【0081】
第6工法によれば、既設の側溝本体11の上方開口部を、断面内部にケーブル類5を収納可能な収納空間18を有する蓋部材30で塞ぐようにしたので、排水用として既設の側溝1を共同溝化することができる。
また、ケーブル類5の収納空間18が蓋部材30に設けられているので、蓋部材30を取り外せば、側溝本体11内の排水路17を清掃する場合に邪魔になるものがなく、排水路17に対する清掃等のメンテナンス作業が容易になる。
【0082】
図14は、第6工法が可能な側溝断面のバリエーションを示す断面図である。
上述の通り、第6工法では、既存の側溝1の蓋部材13を、収納空間18を有する特殊な蓋部材30に交換するものであり、側溝本体11を取り換える必要がない。
従って、図14(a)〜図14(k)に示すような、現在市販されている或いは既設の種々の断面の側溝に第6工法を適用することができる。
【0083】
〔桝部区間を施工する場合の問題点〕
ところで、上記第1〜第5実施形態の共同溝化工法では、その施工後においては、側溝1を構成する側溝本体11の内空断面の断面上部に排水路17が形成され、かつ、断面下部に収納空間18が形成される。
かかる上下2段構造の側溝1で構成される側溝区間3に集水桝32やケーブル桝34を繋げる場合のレイアウトとして、例えば図18に示すように、集水桝32を側溝区間3の延長上に配置し、ケーブル桝34を側溝区間3の道路中央側にオフセットさせて配置することが考えられる。
【0084】
しかし、図18のレイアウトでは、集水桝32やケーブル桝34を設置する桝部区間4において、ケーブル類5を側溝1の外部に迂回させて敷設する必要がある。この場合、側溝1を穿孔せねばならない点で、ケーブル類の敷設作業が煩雑になる。
そこで、断面上部が排水路17でかつ断面下部がケーブル類5の収納空間18となる側溝1で構成する側溝区間3に集水桝32を繋げる場合には、例えば図15に示す施工手順で行うことが望まれる。
【0085】
〔集水桝の設置方法〕
図15は、上記集水桝32を設置する場合の施工手順を示す説明図である。
図15(a)は、既設の側溝1が連続する側溝区間3と、その途中に設けられた既設の集水桝50の平面図であり、側溝1と集水桝50は、その道路幅方向の外側縁が官民境界線Bと一致するように、道路の縦断方向に連続して配置されている。
この場合、まず、図15(b)に示すように、既設の集水桝50の周囲の道路を開削して、その集水桝50を道路から撤去する。
【0086】
次に、図15(c)に示すように、上記集水桝50を撤去した箇所に、変更ブロック31と新たな集水桝32を設置する。
図16は、新設される変更ブロック31と集水桝32の横断面図(図15のA−A線断面図)である。なお、ここでは、側溝区間3を構成する各側溝1は、底板部材12を用いた前記第1工法で共同溝化されるものとする。
【0087】
図16に示すように、変更ブロック31は、側溝1の側溝本体11と同じ横断面形状のブロック本体35と、底板部材12と同じ断面形状の底板部材36とを備えている。
このため、ブロック本体35内に底板部材36を装着すると、内部が上部空間37と下部空間38の上下2段に区画され、上部空間37は側溝1の排水路17と同じ断面形状となり、下部空間38は側溝1の収納空間18と同じ断面形状となる。
【0088】
従って、図15(c)に示すように、変更ブロック31を側溝1の端部に同心状に接続すると、変更ブロック31の上部空間37は側溝1の排水路17に連通し、下部空間38は側溝1の収納空間18に連通する。
変更ブロック31のブロック本体35には、その道路中央側の側壁部に排水口39が形成されており、上部空間37に流入した排水はこの排水口39から外部に排出され、その道路中央側に位置する集水桝32の集水口41に取り込まれる。
【0089】
また、変更ブロック31の下部空間38は、縦断方向に真っ直ぐに連通しており、側溝1の収納空間18の内部のケーブル類5を屈曲させずにそのまま通過させることができる。集水桝32はボックス本体40を備える。ボックス本体40の形状及び寸法は任意に設計可能であるが、本実施形態では、変更ブロック31のブロック本体35とほぼ同じ断面形状で、かつ、そのブロック本体35よりも長手方向寸法が大きくなっている。
このボックス本体40の側壁部には集水口41が形成されており、この集水口41と排水口39とが合致するように、ボックス本体40とブロック本体35の側壁部同士が互いに重合状に接続されている。
【0090】
このため、上部空間37において道路中央側に方向変換して流出した排水は、集水口41を通って集水桝32内の集水空間にいったん貯留されることになる。
なお、図15及び図16において、符号42は集水桝32に接続された横断排水管であり、この排水管42は道路中央部に埋設された合流式下水管(図示せず)に接続されている。
【0091】
図15に示す集水桝32の施工方法によれば、変更ブロック31の上部空間37からの排水を集水する集水桝32を、側溝区間3の道路中央側にオフセットした位置に設置しているので、側溝1の収納空間18が集水桝32によって分断されなくなる。
このため、集水桝32の設置区間において、ケーブル類5を側溝1の外部に迂回させる必要がなく、ケーブル類5の敷設作業が容易になる。
【0092】
〔ケーブル桝の設置方法〕
図17は、ケーブル桝34を設置する場合の施工手順を示す説明図である。図17(a)は、既設の側溝1が連続する側溝区間3の平面図である。
この場合、まず、図17(b)に示すように、既設の側溝区間3を構成する所定数の側溝1の周囲を開削して、その側溝1を道路から撤去する。
【0093】
そして、上記撤去によって空いた区間に、変更ブロック31の下部空間38に連通するケーブル桝34を、撤去された前記箇所における側溝区間3の延長上に設置する。
上記共同溝化工法によれば、変更ブロック31の下部空間38に連通するケーブル桝34を、撤去された箇所における側溝区間3の延長上に設置するので、側溝1内のケーブル類5を、変更ブロック31の下部空間38を通して屈曲させずにケーブル桝34まで延ばすことができる。
【0094】
このため、ケーブル桝34の設置区間においてケーブル類5を側溝1の外部に迂回させる必要がなく、ケーブル類5の敷設作業が容易になる。
また、上記のようにケーブル桝34を側溝区間3の延長上に配置すれば、ケーブル桝34を官民境界線に近接して配置することができる。
このため、ケーブル桝34を道路中央側にオフセットして配置する場合(図18の場合)に比べて、ケーブル桝34から民地側へのケーブル敷設距離を短くできるとともに、ケーブル桝34の道路中央側への張り出しが少ないので、道路2の有効な舗装幅員をできるだけ大きく確保できるという利点もある。
【0095】
なお、図17の施工例では、図17(c)に示すように、ケーブル桝34の縦断方向両端部に集水桝32が設けられているが(図17(c)参照)、当該集水桝32の施工方法は図15の場合と同様である。
また、図17(c)に示す符号33は、側溝区間3の排水路17を流下する排水を集水桝32に向けて流れ易くするために、変更ブロック31の上部空間37に収納された方向変更部材である。
【0096】
なお、今回開示した実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 側溝
3 側溝区間
4 桝部区間
5 ケーブル類
11 側溝本体
12 底板部材
13 蓋部材
14 側壁部
15 底壁部
21 ブラケット(支持部材)
22 水路部材
23 掛止部
24 水路部材
25 カバー部材
28 ケーブルボックス
30 蓋部材
17 排水空間(排水路)
18 収納空間
31 変更ブロック
32 集水桝
34 ケーブル桝
37 上部空間
38 下部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a1)〜(c1)を含むことを特徴とする共同溝化工法。
(a1) 前記側溝内の左右両側面の上下方向中途部に支持部材を取り付ける工程
(b1) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(c1) 前記側溝内に収まる底板部材を前記支持部材に載せることにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【請求項2】
排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a2)〜(c2)を含むことを特徴とする共同溝化工法。
(a2) 前記側溝内の左右両側面の上下方向中途部に支持部材を取り付ける工程
(b2) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(c2) 上方開口状の水路部材を前記支持部材に載せることにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【請求項3】
排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a3)〜(b3)を含むことを特徴とする共同溝化工法。
(a3) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(b3) 上方開口部に掛止部を有する水路部材の前記掛止部を前記側溝の上端部に掛止することにより、前記側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【請求項4】
排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a4)〜(b4)を含むことを特徴とする共同溝化工法。
(a4) 前記側溝内の底部にケーブル類を収納する工程
(b4) 下方開口状のカバー部材を前記側溝内に収納して前記ケーブル類をカバーすることにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【請求項5】
排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a5)を含むことを特徴とする共同溝化工法。
(a5) 前記側溝内の底部に、断面内部にケーブル類を収納可能なケーブルボックスを設置することにより、当該側溝内の上部に新たな排水路を形成する工程
【請求項6】
排水用として使用されている既設の側溝に対する共同溝化工法であって、次の工程(a6)を含むことを特徴とする共同溝化工法。
(a6) 前記側溝の上方開口部を、断面内部にケーブルを収納可能な収納空間を有する蓋部材で塞ぐ工程
【請求項7】
次の工程(x)〜(y)を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の共同溝化工法。
(x) 前記排水路の排水方向を道路中央側に変更する上部空間と、前記側溝に収納された前記ケーブル類を屈曲させずに通過させることができる下部空間とを有する変更ブロックを、側溝区間の延長上に設置する工程
(y) 前記上部空間からの排水を集水する集水桝を、前記側溝区間の道路中央側にオフセットした位置に設置する工程
【請求項8】
前記工程(y)の代わりに或いは当該工程(y)に加えて、次の工程(z)を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の共同溝化工法。
(z) 既設の前記側溝を撤去して空いた区間に、前記下部空間に連通するケーブル桝を前記側溝区間の延長上に位置するように設置する工程

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−136893(P2012−136893A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290948(P2010−290948)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(392027900)株式会社イトーヨーギョー (43)
【Fターム(参考)】