説明

側溝本体形成用型枠装置及び調整目盛り付き側溝

【目的】本発明は、敷設場所によって必要とされる、インバートコンクリート打設作業においてどの程度の厚みに敷設するのか、側溝の長手方向においてどの方向へどの程度の傾斜をもたせて打設しなければならないか、あるいは幅方向において左右どちらに厚く打設するかなどの微妙なインバートコンクリート打設作業の熟練技術を必要としない側溝を製造する型枠装置及び該型枠装置で形成された側溝を提供することを目的とするものである。
【構成】本発明は、断面略門型状をなす側溝本体を形成する型枠装置であり、側溝本体の両側壁内側面に対向する型枠面には、側溝本体の両側壁内側面下端部から上方に向かいインバートコンクリート打設調整用の目盛り用の目印が形成されてなる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路の脇などに敷設される側溝を形成する型枠装置及びその型枠装置により形成した側溝に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特開平10−140641号公報に記載されているように、例えば可変側溝などについて多くの特許出願がなされ、多くの特許も取得されている。
【0003】
そして、その可変側溝の多くは特にインバートコンクリートに関して施工現場で施工して作製するタイプのものである。
【0004】
このようにインバートコンクリートを現場施工する際には、基礎コンクリートの上に可変側溝を載置し、その後可変側溝の上壁に設けられた作業用の穴部からインバート用のコンクリートを打設し、該インバートコンクリートを形成した後、前記の穴部に雨水収納用のグレーチング蓋あるいはコンクリート蓋を取り付けるものとしていた。
しかして従来、インバートコンクリート現場施工にあっては、側溝の内側において水糸などを張り、該水糸をインバートコンクリート打設深さの目印にしていた。
【0005】
ところで、側溝の敷設する場所によってインバートコンクリートをどの程度の厚みに敷設するのか、側溝の長手方向においてどの方向へどの程度の傾斜をもたせて打設しなければならないか、あるいは幅方向において左右どちらに厚く打設するかなど微妙なインバートコンクリート打設作業が必要な場合があり、現場でのインバートコンクリート打設作業については前記水糸を予め張らなければならないとの作業手間と共に、熟練した技術を必要とするなどの課題があった。
【特許文献1】特開平10−140641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かくして本発明はかかる前記従来の課題に対処すべく創案されたものであり、
敷設場所によって必要とされる、インバートコンクリート打設作業においてどの程度の厚みに敷設するのか、側溝の長手方向においてどの方向へどの程度の傾斜をもたせて打設しなければならないか、あるいは幅方向において左右どちらに厚く打設するかなどの微妙なインバートコンクリート打設作業の熟練技術を必要としない側溝を製造する型枠装置及び該型枠装置で形成された側溝を提供することを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
断面略門型状をなす側溝本体を形成する型枠装置であり、
前記側溝本体の両側壁内側面に対向する型枠面には、前記側溝本体の両側壁内側面下端部から上方に向かいインバートコンクリート打設調整用の目盛り用の目印が形成されてなる、
ことを特徴とし、
または、
前記の型枠装置により形成され、
両側壁と両側壁上端に架設される上壁とで断面略門型状をなす側溝本体と、該側溝本体の下部に敷設される現場打設型インバートコンクリートとを備え、
前記上壁には上下方向に貫通する方形状の作業用孔が予め穿設されてなると共に、側壁の内側面下端部から上方に向かいインバートコンクリート打設調整用の目盛りが設けられてなり、
外部からは前記作業用孔を介して前記目盛りが可視可能とされて、該目盛りによりインバートコンクリート打設調整が行える、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による型枠装置及び側溝であれば、敷設場所によって必要とされる、インバートコンクリート打設作業においてどの程度の厚みに打設するのか、側溝の長手方向においてどの方向へどの程度の傾斜をもたせて打設しなければならないか、あるいは幅方向において左右どちらに厚く打設するかなどの微妙なインバートコンクリート打設作業の熟練技術を必要としないインバートコンクリート打設調整目盛り付き側溝が安価にかつ容易に提供できるとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1に本発明にかかる断面略門型状をなす側溝本体4を形成する型枠装置1を示す。該型枠装置1は図1から理解されるように、底型枠2上に略断面山状をなす内型枠3が載置され、かつ該内型枠3の両側には間隔をあけて側型枠10、10が拡開可能にされて立設されている。
【0010】
図1のように型枠装置1を組んだ後、コンクリートを上方の開口部から充填し、一定期間養生させて固化させ、側溝本体4を形成するのである。
【0011】
すなわち、コンクリート充填、一定期間養生、固化及び型枠装置1の脱型など所定の工程を経た後、固化した側溝本体4を取り出す。
【0012】
ここで形成される側溝本体4は両側壁5、5と、該両側壁5、5間に架設される上壁9とにより断面略逆凹状をなして形成される。
【0013】
尚、図示するように、当該型枠装置1で形成される側溝本体4はその上壁6に上下方向に向かって貫通する方形状の作業用孔8が設けられているタイプに限られる。
【0014】
なぜなら、所定の敷設箇所に形成したコンクリート基礎11上に前記側溝用本体4を敷設し、その後、前記の作業用孔8から側溝本体4の内部に向かってコンクリートを打設し、インバートコンクリートを形成しなければならないからである。
【0015】
しかして、本発明では前記形成される側溝本体4の両側壁5、5下端部内側面にインバートコンクリート打設調整用の目盛り6が設けられることが特徴とされる。
【0016】
特にインバートコンクリートの打設深さの決定については不明瞭であり、どの程度の深さまでインバートコンクリートを打設するかは作業者のこれまでの勘にゆだねられていた部分が大きい。
【0017】
よって、本発明ではそのような勘に頼るインバートコンクリート打設作業を大幅に改善し、迅速、かつ確実にインバートコンクリート打設作業が行えるものとした。
【0018】
ここで、このインバートコンクリート打設調整用の目盛り6を形成する目盛り用目印7は、前記型枠装置1において前記側溝本体4の両側壁内側面に対向する内型枠3に設けられる。
【0019】
すなわち、図1、図2から理解されるように、内型枠3の両側面下端部に、前記内型枠3の長手方向に向かって、例えば幅1センチメートルのテープを貼り付け、該テープの厚み分で形成される段差部をインバートコンクリート打設調整用の目盛り用目印7とするのである。
【0020】
しかして、本発明ではこのような目印7を設けた型枠装置1を使用するものであり、該型枠装置1を組んだ後、コンクリートを上方の開口部から充填し、一定期間養生させて固化させ、その後、脱型など所定の工程を経た後、側溝本体4を取り出すと、その側溝本体4の両側壁5、5下端部内側面にインバートコンクリート打設調整用の目盛り6として前記テープの厚み分の段差部が形成され、該段差部が打設目盛り6となるのである。
【0021】
ここで、内型枠3の両側面下端部に貼着するテープの幅は1センチメートルのものに限定されるものではなく、5ミリメートル幅のものを用い、側面下端部から前記5ミリメートルのテープを2枚重ねして貼り付け、さらにその上方に5ミリ幅のテープを貼り付けて2段階の段差部にし、該段差部を目盛り用目印7としても構わない。
【0022】
さらに、1センチメートル幅のテープを貼り、その上に5ミリメートルのテープを2枚重ねで貼り付けて2段階の段差部を形成するものでも構わないものである。
【0023】
次に、図4、図5に本発明の他の実施例を示す。
【0024】
当該実施例では型枠装置1の内型枠3における両側面下端部から上側に向かって1センチメートルの箇所に前記内型枠3の長手方向へ向かって延びる刻設した直線が設けられ、該直線が目盛り用目印7とされる。
【0025】
該直線の形成は、単に内型枠3に直線状の切れ込みをナイフなどを使用して刻設すればよい。
【0026】
さらに、本実施例では内型枠3における両側面下端部から上側に向かって2センチ及び3センチメートルの箇所にも直線を刻設すればより目印7が詳細となる。
【0027】
また、少なくとも内型枠3の長手方向中間位置、あるいは両端位置に1ミリメートル間隔での短い直線状刻印を設けておくことが好ましい。
【0028】
このような詳細な目印7を設けておけば、側溝本体4の内部に打設されるインバートコンクリートの打設深さが側溝本体4の幅方向左右端で異なったり、あるいは側溝本体4の長手方向両端で異なったりした場合にもスムーズに対応できることにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による側溝形成用型枠装置の構成を説明する構成説明図(その1)である。
【0030】
【図2】本発明による側溝形成用型枠装置の構成を説明する構成説明図(その2)である。
【0031】
【図3】インバートコンクリート打設用目盛り用の目印の構成を説明する説明図(その1)である。
【0032】
【図4】本発明による側溝形成用型枠装置の構成を説明する構成説明図(その3)である。
【0033】
【図5】インバートコンクリート打設用目盛り用の目印の構成を説明する説明図(その2)である。
【0034】
【図6】インバートコンクリート打設用目盛り用の目印の構成を説明する説明図(その3)である。
【0035】
【図7】インバートコンクリート打設用目盛り用の目印を用いてインバートコンクリートを打設した状態の説明図(その1)である。
【0036】
【図8】インバートコンクリート打設用目盛り用の目印を用いてインバートコンクリートを打設した状態の説明図(その2)である。
【符号の説明】
【0037】
1 型枠装置
2 底型枠
3 内型枠
4 側溝本体
5 側壁
6 目盛り
7 目印
8 作業用孔
9 上壁
10 側型枠
11 基礎コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略門型状をなす側溝本体を形成する型枠装置であり、
前記側溝本体の両側壁内側面に対向する型枠面には、前記側溝本体の両側壁内側面下端部から上方に向かいインバートコンクリート打設調整用の目盛り用の目印が形成されてなる、
ことを特徴とする側溝本体形成用型枠装置。
【請求項2】
請求項1記載の型枠装置により形成され、
両側壁と両側壁上端に架設される上壁とで断面略門型状をなす側溝本体と、該側溝本体の下部に敷設される現場打設型インバートコンクリートとを備え、
前記上壁には上下方向に貫通する方形状の作業用孔が予め穿設されてなると共に、側壁の内側面下端部から上方に向かいインバートコンクリート打設調整用の目盛りが設けられてなり、
外部からは前記作業用孔を介して前記目盛りが可視可能とされて、該目盛りによりインバートコンクリート打設調整が行える、
ことを特徴とする調整目盛り付き側溝。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−194024(P2006−194024A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8568(P2005−8568)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(391013416)ゴトウコンクリート株式会社 (11)
【Fターム(参考)】