説明

偽造安全性を向上させたラベル

【課題】 改善された偽装安全性の上述の要求に適合し、特に、偽装に対して特にレーザーで書き込むことのできるシートの安全性を向上させ、貼り付けたラベル自体が切り取り道具を用いても破壊することなく剥離することができずそして特に、偽装を後から確認できず又は検出できないように再び貼り付けることができず、そして特に高いコントラスト、高い解像能力、高い温度安定性及び簡単な使用可能性を有するラベルの提供。
【解決手段】 少なくとも1つの支持層よりなり、該支持層の下側に接着層が存在している、偽造安全性を向上させたラベルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー書き込みのための支持層、好ましくは塗料層、特に好ましくは熱可塑性塗料の層、該支持体層の下側に接着層を持つ、偽造安全性を向上させたラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、機械、電気及び電子部品の識別のために工業用のラベルが、例えば型識別プレート、方法制御用制御ラベル、保証バッジ及び検査プレートとしての利用がますます増加している。
【0003】
これらの用途には多かれ少なかれ相当な程度の偽造安全性が要求される。この偽造安全性は第一に取り付け期間及びマーキングすべき部品の全利用期間に亙って重要である。取り外しまで又は取り扱い期間の間は壊れることなく又は視認できるが、変更できるべきでない。
【0004】
ラベルの偽造安全性を更に向上させるためには、該ラベル自体が特別なデザインによって安全性に寄与させる必要がある。
【0005】
特別に細心の注意をはらうべき利用分野では、ラベルの製造にも機密段階がなければならない。この様なラベルの獲得及びマーキング並びにコピーの製造が容易すぎる場合には第三者が製品の無許可での流通を可能としてしまう。
【0006】
しかしながらこれらの追加的な偽造防衛手段は速やかで、明白で、簡単でそして非破壊的方法によってオリジナリティーのために貼り付けたラベルの後での識別の邪魔になってはならない。
【0007】
レーザーラベルによる識別は自動車工業、特に高価なマーキングのためにますます重要になっている。このようにデータ及び注意情報、例えばタイヤ圧又は燃料の種類を自動車の種々の構造部材に後からの利用者のために取り付けるために使用される。上流の製造段階でも重要な製造データがレーザーラベルによって伝達され得る。
【0008】
これらの用途のためにラベルはバーコードで記入されていてもよい。組み立てチームは、適する読み取り装置によって型、色、及び特別な装備についての情報をバーコードによって読み取ることが可能である。
【0009】
しかしながらこれらの標準的な情報の他にセンシティブ安全データ、例えばシャーシー番号及び車両識別番号等が窃盗及び事故の場合にラベルによって自動車に記される。これらの情報は車両の再追跡にとって及び製造段階にとって重要である。
【0010】
ラベルの慣用の印刷システムに比較してレーザーでの書き込み装置を製造する費用が高いので、多くの犯罪組織にとってプレートセットの直接的な複写は不可能である。慣用の印刷法によって製造される偽造は容易に視認される。この理由のために、プレートセットを自動車から剥離しそして他の自動車に貼り付けることがしばしば行われる。
【0011】
剥離すればラベルは盗難車に異な認証(新しい車体番号)を与えるために容易に使用できる。結果として自動車の追跡が実質的に不可能となる。
【0012】
それ故に使用されるラベル材料は、偽装を妨害するために、できるだけ偽造防止性を有していなければならない。できる限り、貼り付けた基体から非破壊的に剥離できてはならない。
【0013】
特に、剥離されたラベルは、この偽装が視認できずに、再び他の基体に貼り付けることが可能であってはならない。
【0014】
追加的な安全性は非常に壊れ易い材料と材料の高い接着力との組合せによって達成される。基体への材料の接着力は重要な役割を果たす。これは剥離によって偽装の試みに対抗するのに決定的に重要である。
【0015】
標準的な材料の他に、他の安全性特性、例えばエンボス加工、ホログラム又は永久的な紫外線印刷(フットプリント)によって材料を印刷することを不可能とする変質ラベルもある。
【0016】
文章、コ−ド等のようなマーキングを燃焼けるための制御可能な高性能レーザーが普及している。書き込むべき材料に対しては中でも以下の要求がある:
− 速やかに書き込むことができるべきである。
− 高度な空間的分解能が達成されるべきである。
− 使用することが極めて簡単であるべきである。
− 分解生成物が腐食するべきでない。
【0017】
更に特別な場合には追加的な特性が要求される:
− レーザー照射で製造されるしるしは、不利な条件の下でもかなり離れた場所から間違いなく読み取ることができる程にコントラストがあるべきである。
− 耐熱性があるべきである。例えば200℃以上まで。
− 気候、水及び溶剤に対して良好な耐久性が望まれている。
【0018】
これのために使用される公知の材料、例えば印刷された紙、アルマイト加工アルミニウム、塗装した薄板又はPVC−フィルムはこれらの要求の全てに合格してはいない。
【0019】
ドイツ実用新案登録出願第8,130,961号明細書は、薄い層と厚い自己支持性の不透明な顔料塗被層よりなる多層ラベルを開示している。両方の層は電子線硬化した溶剤不含の塗被された塗料よりなり、層厚は互いに相違している。ラベルへの書き込みは、上側の薄い塗被層をレーザーによって燃焼尽くし、その結果下側の厚い塗被層が視認できるようにして行う。その際に下側の層は第一の層に対してコントラストのある色彩を有している。
【0020】
この書き込みはグラビア印刷の種類であり、これにて染料及びインクを用いる慣用の印刷の場合のような偽装性が排除される。このラベルは使用される原料及び製造法の結果として、破壊することなく基体から除くことが実質的に不可能である程に脆弱に作製される。
【0021】
この種類のレーザーラベルは特にプレートセットを製造するための合理的で可逆的な書き込みに使用される。これらのプレートセットは、例えば自動車においてラベルの貼り付けを必要とする部品(車体番号、タイヤ圧に関するプレート、荷重重量、エンジンの重要データ及び付属機器等)に必要とされるあらゆるラベルを包含する。
【0022】
偽装安全性に関する限りでは、ドイツ実用新案登録出願第8,130,961号明細書から公知でありそして例えばtesa社からtesa 6930 (R)として入手し得るレーザーフィルムがその非常に脆弱な構造の製品であるために、いかなる偽装の試みも失敗させる。
【0023】
レーザーで書き込まれたラベルは非常に多大な費用を掛けそして特定の前提条件のもとでしか破壊することなしにそれの接合基体から剥がすことができない。
【0024】
この努力は、前記のラベルが一流の試験装置での現存するあらゆる剥離試験、例えばドイツ国自動車運輸局の“Prufung von Fabrikschildern aus Platten, Blechen und Folien sowie deren Befestigung durch Kleben(飾り版、金属製シート、及びフィルムで作製されたプレート板の試験及びそれの接合による固定)”及びアンダーライターラボラトリーインク(Underwriters Laboratories Inc.)の“Marking und Labeling System Materials MH 18055(マーキング及びラベリングシステム材料MH18055)”に容易に合格することである。
【0025】
偽装に必要な費用に関して常に考えなければならないこの保証された偽装安全性は、オリジナリティーの証明に関する高まる要求に立ち向かわなければならない。これは貼り付けられるレーザーラベルによって、記された構成要素がオリジナルのものであることを立証するべきであることを意味している。冒頭に記載した通り、レーザーシートもレーザー書き込み装置も市場で自由に入手し得るので、大規模な組織化された犯罪組織の可能性もある。前述のハードウエアー及び自由に入手し得るレーザーシートを使用すれば、盗難車は、実際の元のラベルと違えることが困難でないか不可能でない場合には、新しいラベルを取り付けることができる。
【0026】
ヨーロッパ特許出願公開第0,645,747A号明細書には、レーザー書き込み可能な多層のラベル材料が記載されており、それは第一の層、該第一の層から光学的に異なる第二の層で構成されており、第一の層はレーザー照射によって除去でき、所望の文章又は印刷像を第二の層の表面に見えるようにしている。更に、これら層の間には支持体層を形成する透明な合成樹脂フィルムが配置されている。
【0027】
ドイツ特許出願公開第4,421,865A1号明細書は、レーザー照射の下で色が変化する添加物を含有する合成樹脂よりなる支持体層よりなる単一層レーザーラベルを開示している。この支持体層は片面を、場合によっては離型紙又は離型フィルムで覆われている粘着剤で被覆されている。
【0028】
ドイツ特許出願公開第19,909,723A1号明細書では、識別媒体が含まれている支持体層を持つ安全シートが開示されている。無接触書き込み法によって識別媒体の拡散性を意図的に選択しそして局所的に変更することができる。こうして書き込まれた安全シートは加工中の製品に貼り付ける場合には、この識別媒体は基体表面に拡散しそしてそこで検出可能な反応をひき起こす。この場合、この拡散或いは反応は基体表面の、拡散性が解き放されるか或いは妨害されない領域でのみ行われる。従ってこの安全シートは明瞭な書き込み及び加工中製品の識別を可能とする。
【0029】
この安全シートは無接触法によって書き込まれる。従って汚れ難く、迅速で柔軟に変更可能な書き込みが工場環境においても達成することができる。安全シートの書き込み(及び識別媒体の拡散性の変化)は特に電磁照射で行うことができる。安全シートへの書き込みにとって特に有利なのはレーザーを用いることである。レーザーによって温度と光を感じて書き込むことができる(この場合“光”という言葉は電磁スペクトルのレーザーで得られる全領域を包含している)。レーザーは、パターンの任意な選択でコントラストの強い書き込みを行うことを可能とし、書き込まれたパターンに速やかに変更することが可能でありそして工場環境において使用するときの方法信頼性をもたらすという追加的な長所を有している。
【0030】
前述の全てのラベルの場合には、対象物に貼り付けた後に高いレベルの偽造安全性を提供する。すなわち、該ラベルが技術的に確実なレーザーでのみ書き込むことができ、それ故に高価でそしてそれ故にどこでも入手できるものでないレーザーで書き込まれ、その結果前記ラベルはコピーや又は変更するために必要な装置が少なくとも問題の製品よりも一般に多大な費用(少なくとも過去においては)が掛かる。更に、しばしば材料の大きい脆性が偽造及び剥離を試みる際にラベルの破壊をもたらす。
【0031】
技術の進歩に連れてこの種のレーザーは既にますます有利になっており、その結果、特に比較的に大きな製品、例えば機関室並びにその他の場所に識別マークの目的でこのようなラベルが取付られる自動車の場合に、このようなレーザーを必要とするケースが増えている。
【0032】
この状況において、無許可のコピーの作製はレーザーラベルのストックを容易にかつ自由に利用できる程に供給することによって及びレーザー書き込み装置が現在普及して存在することによってますます容易になっている。
【0033】
更に、平らで鋭い刃を用いて、基体からラベルを完全に分離することが可能である。特に、ポリエチレン又はポリプロピレンの様な合成樹脂基体では、接着剤と基体との間の接合が弱い。
【0034】
金属又は塗装された基体への接着力は高いにもかかわらず、そこでは特別な道具を使用することによってラベルの一部を壊すことなく剥離することも可能である。特別なブレード付きの道具はラベルの真下を浅い角度でブレードを走行させることができる。注意深い剪断運動によって辺縁部を持ち上げることができ、それによっていわゆる指で持ち上げる場所が生じる。この様にして、剥離をより容易にする剥離出発点が作製される。
【0035】
更に続いている要求は偽造の防止及びコピーの流布の防止の他に、自動車において特に使用されるラベルは、特定の顧客のために個別化すること及び専らそのような顧客のために提供することである。
【0036】
この個別化は2つの重要な基準を満足しなければならない。すなわち、
− ラベルは容易にかつ速やかに識別できるべきであること及び
− ラベルは後でコピーできてはならない。
【0037】
これらの両方の基準によって、自動車メーカーの場合に構造部材をオリジナルとして明確にしそして識別マークとすることができることを保証できる。
【0038】
ラベルの支持体材料を個別化する第一の解決法はドイツ特許出願公開第19,904,823A1号明細書に開示されている。該明細書では、最初に一枚の支持体シートをエンボス加工道具によってエンボス加工し、そのエンボス加工道具がホログラフィー構造を有しているシートの製造方法を開示している。次いでシートをエンボス加工した支持体シート上で製造して、少なくとも1つのホログラムをシートの上に再現する。
【0039】
ドイツ特許出願公開第19,746,998A1号明細書には、片面に粘着剤が塗布されている少なくとも1つの合成樹脂製層を持つレーザーラベルが公知である。この場合には合成樹脂中に可逆的に磁気的又は電気的に特徴付けるのに適する添加物又は可逆的に光学的に特徴付けるのに適する添加物が混入されており、その際にこの添加物は電子線、x線によって、特に可視光線によって、中でも赤外線又は紫外線によって認識できる、特に視認されるようにされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本発明の課題は、改善された偽装安全性の上述の要求に適合し、特に、偽装に対して特にレーザーで書き込むことのできるシートの安全性を向上させ、貼り付けたラベル自体が切り取り道具を用いても破壊することなく剥離することができずそして特に、偽装を後から確認できず又は検出できないように再び貼り付けることができず、そして特に高いコントラスト、高い解像能力、高い温度安定性及び簡単な使用可能性を有するラベルの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0041】
この課題は、請求項1に記載のラベルによって解決される。従属形式の請求項の対象は本発明の特に有利な実施態様並びにその用途に関する
従って本発明は、少なくとも1つの支持層よりなり、該支持層の下側に接着層が存在している、偽造安全性を向上させたラベルに関する。該接着層の露出側に複数の個別内包物が存在し、それらが少なくとも1つの可逆的に検出可能な添加物を含有している。
【0042】
本発明の特に有利な第一の実施態様においては、接着層の個別内包物中に可逆的に検出可能な添加物が磁気及び/又は電気的な検出及び/又は光学的な検出に適する添加物であり、その際に該添加物が電子線、x−線、特に視認可能な光によって、中でも赤外線又は紫外線によって検出できる。
【0043】
個別内包物は好ましくは接着層の露出側に適用され、特に押し込まれているか又は被覆されている。
【0044】
内包物は好ましくは一般的なパターンで適用される。異なる大きさ又は種類の線、フィールド、像、ロゴ、文章等を転写することが可能である。
【0045】
別の有利な態様は、内包物がラベルストック材料に、該材料からラベルに打ち込まれるように配置されており、個々の打ち込まれたラベルにおいてその縁部領域に打ち込まれた内包物が存在し、内包物は外から視認できるか又は接近し易い状態にある。
【0046】
特に規則的な線及び線状のパターンはラベルの縁部に“発光点”の特徴的なパターンを生じさせそして更に材料費及び投資額の意味で経済的である。ラベルの打ち抜き又はレーザーでのカット及び接着基体への塗布の後に、適切な探知装置を選択すれば、色彩及び形状の意味で特徴のあるパターンはラベルの縁部の所で認識することができる。
【0047】
基体にラベルを貼り付けるのと一緒に接着剤中に個別の内包物を、該内包物の上側にあるラベルの層を変形されそしてラベルの上部支持体層の表面に触覚的に認識できそし視認できる痕跡を生じさせるように押し込む。
【0048】
個別の内包物は実質的にポリマーマトリックス、好ましくは塗料、特に好ましくはカチオン性紫外線塗料で形成されている。
【0049】
特に有利な一つの実施態様においてはカチオン硬化性紫外線塗料はSICPA社、AarbergのSICPA 360076が適している。
【0050】
更に印刷用塗料としてはカチオン性のSICPA 36-2 シリーズ又は脂環式エポキシ樹脂をベースとするUV−フレキソ印刷塗料が適している。後者は塗料の処方中に30重量%より多くを占めている。
【0051】
内包物の高さは1〜20μm、特に好ましくは0.5〜20μmである。有利には内包物は接着剤で線を引いたその線の上に又は接着剤層の上に直接的に印刷されている。
【0052】
内包物中の添加物としては無色の粒子が適する。その際に細かい着色顔料又は0.1〜5mmの大きさの視認可能な粒子が適する。昼光蛍光性染料を使用する場合には、“指紋”の助けなしに認識できる。それ故に可視光線の領域で吸収せずそしてそれ故に通常の状態では視認できない着色顔料又は粒子を使用するのが特に有利である。ラベルに適当な波長のランプで光を当てたときに初めて着色顔料が励起しそして発光する。
【0053】
更に、紫外線照射によって専ら励起されそしてスペクトルの可視光線領域で発光する長い殘光(燐光を発する)顔料又は蛍光を発する顔料(概略としては例えばUllmann’s Enzyklopadie der technischen Chemie, 第4版、1979, Verlag Chemie参照)を使用することも可能である。しかしながら赤外線活性発光顔料も知られている。紫外線蛍光発光を示す系の例にはキサンテン、クマリン、ナフタリンイミド等があり、その一部は“有機発光物質”又は“蛍光増白剤”という概念で文献に掲載されている。数パーセントの該当する発光物質の添加で十分であり、明度及び安定性に関しては固体ポリマーマトリックス中に結合させるのが特に有利である。例えばRadiant Color N.V.社、オランダの RADGLO(R)顔料又はRiedel-de-Haen社のLumilux (R) CD顔料を含む処方を使用することができる。無機系発光物質も適している。長い殘光の物質としては特に黄色の領域の光を放出するものとしては金属硫化物又は金属酸化物が大抵は適する活性剤と結合して有利であることが実証されている。これらは、例えば登録商標Lumilux (R) Nとして 又は安定性、光度及び殘光期間に関して改善されたNemoto社、日本の登録商標 LumiNova (R) の発光性顔料として入手できる。
【0054】
赤外線照射によって励起された着色顔料又は紫外線で活性化された系の他に原則として電子線照射、X線照射等によって励起される発光性物質も適している。
【0055】
これらの例示した染料/顔料は有利な塗料層の処方においてポリマーマトリックスとして0.1〜50重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは7重量%までの量で混入される。
【0056】
着色顔料の選択の際には、それらがラベルの製造工程にとって十分に安定していること及び製造条件(場合によっては熱乾燥、電子線硬化又は紫外線硬化)のもとで不可逆的に変化しないように注意する必要がある。ラベルの長期間使用するためには、一般に過敏であるこれらの発光性物質が内包物のポリマーマトリックス中に埋め込まれそして保護されることが有利である。
【0057】
別の一つの有利な実施態様においては、磁気的に又は電気的に検知できる物質並びに熱的に変化したときに不可逆的に変色するサーモクロミック顔料を利用する。
【0058】
本発明の有利な一つの実施態様においてはラベルは
a)合成樹脂よりなる支持体層を有し、
b)レーザー照射のもとで顕著な色変化を示す添加物を含有しておりそして
c)片面に接着剤が塗布されており、
d)場合によっては離型紙又は離型フィルムで覆われている。
【0059】
支持体層は好ましくは10〜200μm、特に60〜100μmの厚さを有している。
【0060】
適する支持体層は合成樹脂、例えばポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカルボナート及びポリオレフィン;及び放射線硬化性の系、例えば不飽和ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート;及びウレタンアクリレート、例えば紫外線印刷インクに使用されるもの、特にドイツ実用新案登録第8,130,816号明細書に従うベースポリマーよりなるもの、すなわち脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーよりなる。
【0061】
適する添加物には特に着色顔料及び金属塩、なかでも二酸化銅リン酸塩又はイリオジン(Iriodin)、真珠光沢顔料、例えばMerck社から市販されるものがある。これらの添加物はベースポリマー(例えばドイツ実用新案登録第8,130,816号明細書に記載されるもの)に、特に数プロミルの範囲内の大きさで、支持体層の総重量を基準として最高10重量%まで、特に0.1〜10重量%、なかでも0.5〜5重量%の量で混入する。公知の方法、例えば押出成形、注型成形、被覆等で平らな物質を場合によっては後から放射線化学的な架橋を伴って製造した後に、このようなフィルムに接着層を塗布する。
【0062】
標準的レーザー、特に1.06μmの波長の幅広の固体状態Nd−YAG−レーザーを利用するときに、材料表面のレーザーが当たった場所に、顕著な色の変化が生じそして鮮明なコントラストの文章及び識別記号がもたらされる。
支持体層は別の有利な一つの実施態様においては、塗料、好ましくは硬化した塗料、特に好ましくは放射線硬化した塗料、なかでも電子線硬化したポリウレタンアクリレート塗料よりなる。別の一つの実施態様においては支持体層はポリブチレンテレフタレートよりなる。
【0063】
更に、塗料層の上側、要するに接着層が塗布されている側と反対側には、外の特に自己支持性の厚い顔料含有塗料層、好ましくは溶剤不含のその層が塗布され、後で特に電子線硬化されているのが有利である。
【0064】
硬化した、要するに架橋した塗料で形成された上側塗料層は1〜20μm、特に好ましくは5〜15μmの厚さを有し、塗料層は好ましくは20〜500μm、特に30〜100μmの厚さを有している。
【0065】
原則として四種類の塗料が、安定性が十分である限り使用できる。例えば酸硬化性アルキッドメラミン樹脂、付加架橋性ポリウレタン、ラジカル硬化性スチレン塗料等がある。しかしながら放射線硬化性塗料は、溶剤を長時間蒸発させることなく又は熱を影響を受けることなく非常に速やかに硬化するので、特に有利である。このような塗料は例えばA. Vrancken によって報告されている(Farbe und Lack 83,3 (1977) 171)。
【0066】
両方の塗料層は特に有利な実施態様においては互いに最大のカラーコントラスト比を有している。
【0067】
これは、本発明のラベルが、レーザー照射によって容易に燃焼消去できる不透明な上側層とこの第一の層に対して特にカラーコントラストのある下側層とで構成されているからである。その際に下側層はレーザー照射によって容易に燃焼消去されないように作製する。
【0068】
別の有利な一つの実施態様においては、塗料層も第二の塗料層も、完成ラベルが両方の塗料層の間にインク層があるように、蛍光又は燐光のある添加物を含有するインクで印刷されている
二層及び多層ラベルの場合には、適当な添加物が文章にとって重要な塗料層中に適当な添加物を混入することができる。従って、外側の塗料層自体、例えば高光沢性の種類の識別プレートのためのそれは変化しないままであり、レーザーでエングラビングしたときに初めて塗料層が記入場所の所で部分的に暴露される。その下側にある例えば白色の塗料層において着色顔料、着色粒子、着色繊維等がエングラビング場所で視認できるようになる。
【0069】
添加物としては既に前述した添加物も適している。
【0070】
例示したこれらの染料及び着色顔料は、個々の塗料層の処方において0.1〜50重量%、好ましくは1〜25重量%、特に好ましくは7重量%までの量で混入される。
【0071】
所望のラベルの形状パンチング/レーザーカッテングしそして文章、バーコード、ロゴ等をレーザービームによって最終的な書き込み、その後で、ラベルはそれの最終状態で存在する。塗料層中に例えば長い殘光の顔料を組み入れたときにラベルは発光顔料を適当に励起させた後に、レーザー書き込み領域及び縁部での特徴的な殘光を有する。これは、オリジナルラベルとして容易にかつ速やかに識別することを可能とする。特別な光源及び場合によっては妨害周辺光に対する目の保護手段は別として他に費用の掛かる装置が必要なく、検査の後にラベルは元のままである。
【0072】
上記の塗料層においても、磁気的に又は電気的に検出される物質が混入することも可能であり、温度が変化したときに不可逆的に色が変化するサーモクロミック顔料も混入可能である。
【0073】
更に追加的に隠された保全策として、支持体層中に層に伝導性をもたらす物質を添加するのも有利である。搬送可能であり、容易に使用できそして価格的に有利に購入できる適する測定装置及び適当な電極によって、貼り付けられたラベルの所で塗料層の電導性を直接的に測定することができる。電極は支持体層の異なる2つの点A及びBに取り付けそして電圧をかける。A及びBの間にコヒーレント電導率が存在する場合には、使用される添加物の種類及び量次第で特徴的な値を有し得る電流が測定できる。ラベルを金属に直接的に用いる場合ですら、塗料層は電気的に絶縁性の接着層によって導電性金属から分離されているので、測定間違いの危険はない。
【0074】
後でのごまかしによる偽装は、特に、導電性の測定をラベルの縁部から縁部にではなく、レーザー処理によって露出したあらゆる所望の点の間でも行うことができる事実によって排除される。
【0075】
導電性がここで検出できるので、完全な支持体層は論理的に三次元導電性でなければならない。このようなレーザー書き込み可能なラベルは、特に有利な塗料層の処方に電導性物質を添加することによって製造される。すなわち、これは従来の顔料に加えて又は塗料ペーストの良好な加工性を得るために存在する顔料に少なくとも一部代えて行ってもよい。導電性添加物としては原則として導電性の金属、有機物質、ポリマー及び無機物質が適しており、金属を用いるのが特に有利である。特に白色又は明るい塗料層のためには、導電性添加物の固有色を選択することが考慮される。導電性のカーボンブラックも同様に適しているが、黒色或いは暗織の塗料層にしか適さない。
【0076】
良好な導電性を保証するためには、添加物の最小の限界濃度にするべきである。そうすれば、互いに接触させるために十分な粒子を塗料層中に存在させられる。この限界濃度より不足する場合には、ベース層の三次元組織中にAからBへの電導路がもはや保証されない。それ故に金属粒子を使用するのが有利である。その際に高い長さ/断面積−比を有する繊維が特に有利である。何故ならばこの場合には球状の粒子の場合よりも僅かな濃度で三次元電導性を保証することができるからである。更に該繊維を含む塗料層の色変化が僅かしか生じない。金属としてはコストと性能とのバランスから銅、鉄、アルミニウム及びスチール並びにそれらの合金を使用するのが有利であるが、高価な高性能金属、例えば銀、金も適している。繊維の寸法は0.1〜50mmの長さ及び1〜100μmの断面を有している。特に約1:100〜1:1000の断面/長さ−比のもとで、2〜20μmの直径を持つ金属繊維を使用するのが有利である。このような繊維は公知の処方中に0.5〜25重量%、好ましくは2〜10重量%均一に混入しそしてドイツ実用新案登録出願第8,130,816号明細書に従って塗布しそして硬化させる。
【0077】
接着剤の塗布及び離型紙での被覆後に、ラベルにレーザー照射によって書き込むことができる。上側塗料層の除去によってレーザー書き込みの領域に塗料層の書き込み跡が暴露される。その書き込み跡の2つの異なる場所A及びBの所に適当に電極を接触させて電圧を印加したときに、塗料層を特徴付けそしてなかでも導電性添加物の量及び種類によって決まる導電性が測定される。従って規定された処方によって特別なラベルのストック材料を製造することが可能である。
【0078】
更に有利には、少なくとも1つの塗料層を持つラベルの一つの実施態様は、印刷された又はエンボス加工された支持体シートの上に塗料層を好ましくは溶剤不含状態で塗布しそして次に硬化させることによって得ることである。支持体シートの印刷又はエンボス加工によって本発明のラベルの第一の塗料層の可視表面に凹みの痕跡が生じる。
【0079】
支持体シートの印刷は特にフレキソ印刷法に従って行い、次いでこの紫外線フレキソ印刷法は形状の形成に関して非常に高い自由度を有しておりそして特に紙からフィルムにまで亙るウエブ材料については特に非常に安い価格で良好な印刷品質を提供することができる。この技術の場合には、線、フィールド、イメージ、ロゴ、文章等を印刷版から印刷用基体に色々なサイズ及び種類で転写することができる。
【0080】
レーザーラベルに後から視認でき触覚的に認識できる痕跡を生じさせるためには、印刷は0.1μm〜15μmの高さを有するべきである。好ましくは1〜5μmの高さを選択するのが有利である。更に印刷の美学及びキャラクターは印刷点の流れによって変化し得る。
【0081】
本発明を実現するために、高圧法としても知られる他の慣用の印刷法を使用することもできる。これには活版印刷及びスクリーン印刷がある。
【0082】
第一の塗料層中に印刷された支持体シートの跡が0.1〜15μm、好ましくは1〜5μmの深さで存在する場合が特に有利である。
【0083】
支持体シートのエンボス加工は例えば(例えばGerhardt社から入手できる)エンボス加工ダイスを用いて色々な厚さ及び/又は深さで実施することができる。エンボス加工深さはセットされたエンボス加工圧に左右され、エンボス加工圧はエンボス加工法で使用される磁性円柱に作用しそしてバッキングシリンダーの性質に影響を及ぼす。(例えばtesaprint a 又はポリエステルフィルムを有する)バッキングシリンダーは強いエンボス加工をもたらす。
【0084】
更に使用されるエンボス加工ツールはホログラフィー構造を有していてもよく、その結果該構造は塗料層の上に再現されそして少なくとも一つのホログラムをもたらす。
【0085】
それ故にエンボス加工すべき材料に面するエンボス加工ツールの側は、回折格子或いはホログラフィー像を含む構造をもたらす。
【0086】
塗料層中にホログラム自身が生じるので、妨害となる多層構造は存在せず、そしてこの方法で製作される回折格子は塗料層自身と同じ耐久性及びレーザー加工性を有している。
【0087】
有利な一つの実施態様においては、支持体フィルムは永久的にエンボス加工されている熱硬化性又は熱可塑性物質よりなり、しかも特に好ましくはポリエステル又はポリアミドよりなる。
【0088】
別の一つの有利な実施態様においては、支持体層中には識別媒体が含まれている。
【0089】
レーザーによってこの識別媒体の拡散性が意図的に選択されそして局所的に変えることができる。このように書き込まれた支持体シートが加工中の製品に貼り付けられた場合には、識別媒体が基体表面の方へ拡散し、そこにおいて検知可能な反応を実現する。この場合、この拡散或いは反応は基体表面の内包物中でのみ行われ、そこにおいて書き込み操作によって拡散能力が起動し或いは妨げられない。従って支持体層は明瞭な書き込み及び材料の識別を可能とする。
【0090】
識別媒体としては、基体の上で後で反応を始める物質を選択する。この目的のためには識別媒体は基体の材料特性に適合していなければならない。例えば識別媒体は基体に適合する染料を含有していてもよく、該顔料は基体表面に局所的に拡散しそしてこれを着色する。場合によっては識別媒体が基体表面と化学反応に会う物質を含有していてもよい。この場合、基体表面が局所的に除去され又は局所的に膨張し、シートの除去後に基体の書き込みが光学的に又は触ることで確認することができる反応が特に興味深い。金属性基体のマーキングのために特に、エッチング性物質を含有する識別媒体が特に推奨される。
【0091】
対窃盗防止のレベルを増すために、下にある基体に影響が裸眼では認識できない識別媒体を選択することを提案することができる。これは、紫外線領域又は赤外線領域でのみ基体が吸収及び反射する性質に影響を及ぼすが、視認領域では影響を及ぼさない識別媒体で達成できる。
【0092】
この基体はマーキングの視認可能な痕跡を有していない。この場合に関係する領域には依然として、知らされた警備要員によって例えば紫外線又は赤外線視認装置によって後から確認できるマーキングを有している。特に識別媒体は、後から確認可能な、例えば紫外線蛍光発光が試験光の特定の波長においてのみ行われるように選択することができる。
【0093】
支持体層を特に自動車工業において工業的に使用するためには。シートは温度及び光の影響に対して高い堅牢性を有していなければならない。この要求は、安全シートが支持体層の未書き込み状態において識別媒体の拡散を防止する物理的なバリヤーを有している場合に最も満足され得る。
【0094】
書き込み工程の間にこのバリヤーは局所的に崩壊され又は弱体化され、結果としてこうして弱体化した領域において識別媒体の選択的な拡散が生じ得る。書き込み部で高い温度安定性或いは光安定性を達成するためには、バリヤーの他に必要な温度或いは光強度は、使用状態のもとで、極端な周囲条件のもとでもマークすべき対象物を支配するそれよりも実質的に高くなければならない。
【0095】
無接触での書き込みによって排除できる識別媒体の拡散防止は有利には支持体層中への識別媒体のマイクロカプセル化によって実現し得る。この識別媒体は、その壁がワックス及び/又は脂肪よりなりそして例えば熱による局所的影響によってシートの該当領域で崩壊することができ、その結果そこに含まれている識別媒体が漏れ出しそして基体と接触した際に基体中に拡散するか或いは基体と反応し得る。
【0096】
バリヤーが、支持体層と接着剤層との間に平らに配置されているバリヤー層によって形成されそして未書き込み状態では該層が支持体層からの識別媒体の拡散を防止する場合に、書き込みで特に高い温度安定性が達成される。支持体層への書き込みによってバリヤー層は局所的に崩壊され、その結果識別媒体がその崩壊場所で局所的に支持体層から漏れ出しそして接着層中に拡散侵入し得る。書き込みの際に視認されないままのバリヤー層の領域は識別媒体の拡散を効果的に防止しそしてそれ故に未書き込み領域での反応を防止する。
【0097】
一方においては支持体層は、識別媒体が埋め込まれているマトリックスであってもよい。支持体層の物質自体が識別媒体であってもよく、その場合には支持体層は識別媒体よりなる。
【0098】
ラベルの支持体層は有利には無接触書き込み法によって書き込まれる。例えば工場環境においても汚れに鈍感で、速やかで、柔軟に変化し得る書き込みを達成することもできる。支持体層の書き込みは特に電磁線によって行うことができる。
【0099】
支持体へ書き込むために特に有利なのは、レーザーを用い、それによって温度或いは光感書き込みを行うことができる(この場合、“光”という言葉は電磁スペクトルのレーザーで得られる全領域を包含している)。レーザーは、パターンの任意な選択でコントラストの強い書き込みを行うことを可能とし、書き込まれたパターンに速やかに変更することが可能でありそして工場環境において使用するときの方法信頼性をもたらすという追加的な長所を有している。
【0100】
接着剤層は粘着剤及び/又はホットメルト接着剤及び熱によって活性化できる反応性接着剤で構成されている。
【0101】
ラベルの一つの実施態様においては、接着層中に粘着剤及び/又はホットメルト接着剤が熱によって活性化し得る反応性接着剤と混合されていてもよい。
【0102】
更に、接着層中には粘着剤及び/又はホットメルト接着剤及び熱で活性化できる反応性接着剤がストライプ状で交互に配置されているのが有利である。
【0103】
接着剤の交互配置の他に他のあらゆる任意の部分的な形状配置及び形が可能であり、特に接着剤のドット状、交互に間隔をおいて配置されていてもよい。
【0104】
この場合、配置の選択はそれぞれのラベルの使用目的及び使用場所に依存している。
【0105】
熱によって活性化できる反応性接着剤は有利には以下のものが包含される:
i) 30〜90重量%、特に50重量%の割合の熱可塑性ポリマー。
・ 10〜70重量%、特に50重量%の割合の1種類以上の粘着性樹脂。この場合には該樹脂は硬化剤、場合によっては促進剤及び/又はフェノール樹脂が適する。
・ 場合によては銀色化されたガラス球。
・ 場合によっては金属化された粒子。
・ 場合によっては反応温度で溶融しない黒色又は変形可能なスペーサー粒子。
【0106】
特に有利な熱可塑性ポリウレタン(TPU)はポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールと有機ジイソシアネート、例えばジフェニルメタンジイソシアネートよりなる反応生成物として知られている。このものは主として直線状の巨大分子で構成されている。かゝる生成物は大抵は可塑性顆粒の状態で市販されており、例えば分に下げることがでBayer AG 社の商品名“Desmocoll”がある。
【0107】
TPUと選択された相容性樹脂との組合せによって軟化温度は十きる。これと平行して接着性の向上も生じる。適する樹脂としては例えば特定のコロホニウム樹脂、炭化水素樹脂及びクマロン樹脂が実証されている。
【0108】
場合によっては軟化温度をTPUと、選択されたビスフェノールA及び/又はFをベースとするエポキシ樹脂、及び潜在的硬化剤との組合せによって達成することができる。
【0109】
(エポキシド又はフェノル樹脂縮合反応をベースとする)化学的架橋反応によって、反応性接着剤と接着すべき表面との間の強い強度が達成される。
【0110】
反応性樹脂/樹脂系の添加は上記ポリマーの軟化温度をも低下させる。これはそれの加工温度及び加工速度を有利にも低下させる。反応性接着剤は室温でも又は僅かに高い温度でも粘着性の生成物である。この生成物を加熱した場合には短時間で粘度を低下させ、それによって生成物は粗い表面をも濡らすことができる。
【0111】
反応性接着剤の組成は原料の種類及び割合を変更することによって広い範囲で変更させることができる。同様に他の生成物の性質、例えば色、熱又は電気低伝導性は着色物質、鉱物系或いは有機系充填剤、例えば二酸化珪素、及び/又は炭素粉末或いは金属粉末の意図的な添加によって達成できる。
【0112】
反応性接着剤及び/又は粘着剤或いはホットメルト接着剤中に場合によって含まれる球状物及び/又は弱い伝導性粒子もz−方向での伝導を可能とし、x−y−平面でも可能である。
【0113】
粘着剤及び/又はホットメルト接着剤としては例えばドイツ特許第1,569,898C号明細書に開示されているような粘着剤が適する。従って、該ドイツ特許明細書に記載されている全ての内容は本発明の一部である。
【0114】
例えば25〜35g/m2 の量でアクリレート接着剤を適用する。
【0115】
本発明に従う接着層によってラベルに悪影響をもたらさない。物理的及び化学的耐久性が変化しない。
【0116】
用途の観点からこのラベルはレーザーでの書き込み、情報の読み取り性に関して損害を被らない。
【0117】
支持体層と接着層との間に柔軟性の無い支持体層がある場合には、50℃までの温度で固体でありそして更に高い温度では軟化するか又は溶融する不可逆的に柔軟な補償層が存在していて、発生する応力を相殺するのが有利である。
【0118】
有利にはこの補償層は熱可塑性合成樹脂、例えばポリ酢酸ビニル又はポリアミドよりなる。
【0119】
更に、線状の又は熱的に不安定に架橋したポリマー分子よりなるあらゆる合成樹脂、例えばポリオレフィン、ビニルポリマー、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート又はポリウレタン及びイオノマーが適する。
【0120】
その他に補償層のための熱可塑性樹脂としては、顕著なエントロピー弾性を持つ熱可塑的に加工できる合成樹脂、いわゆる熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0121】
補償層の性質は可塑剤、充填剤、安定剤及び他の添加物の添加によって並びに繊維補強剤によって広範囲で変更することができる。
【0122】
補償層は溶液から被覆するか又はフィルムとして支持体層と接着層との間に挟み込むことができる。
【0123】
補償層は好ましくは0.2〜20μmの層厚を有している。別の特に有利な一つの実施態様においては、面積重量は0.5〜5g/m2 である。
【0124】
補償層は、該層が特定の温度範囲から軟化するか或いは溶融することによって特に高温でラベル中に発生する応力を相殺することができる。この可塑化挙動のために補償層内部の応力は消失する。従ってラベルは高温でも柔軟性がある。
【0125】
ラベルあるいは基体をその後に再び冷やしたときに、補償層は固体状態に戻り、その結果ラベルの接着強度は少しも悪影響を受けない。
【0126】
溶融及び続いての補償層の固体化は殆ど任意に何度も繰り返すことができる。
【0127】
本発明の別の長所は、補償層の性質によって例えば溶融工程が開始する温度によって使用性を規定することができることにある。
【0128】
本発明のラベルは、当業者に予期できなかった以下の沢山の長所を有している:
− ラベルが適用後に速やかに識別できる。すなわち、光学的に視認できそして触れて認識できる。
− 識別は補助手段がなくとも可能であり、すなわち紫外線ランプ、赤外線ランプ等なしに信頼性をもってチャックできる。
− 識別は明瞭であるので、間違う危険が少ない。
− ラベルは基体から実質的に剥がすことができない。
− ラベルは再び貼り付けることができない。貼り付けると後で検出できる。
【0129】
(発光性)顔料を適当に励起させた後に、特徴的な殘光がラベルの縁物質領域で生じ、これがオリジナルのラベルとして容易にかつ迅速に識別することを可能としている。
【0130】
2回目の貼り付け、要するに偽装の後に、添加物を含有する内包物の変化のために他の像がもたらされ、その結果偽装がただちに確認できる。
【0131】
特別な光源及び場合によっては妨害周辺光に対する目の保護手段は別として他に費用の掛かる装置が必要ない。
【0132】
更に多くの場合、ラベルの表面に、個別の内包物の触覚的に認識できる痕跡を生じ、その結果ラベルの第二の安全性の特徴が発揮される。個別の内包物は、大部分が基体の上に存在する接着剤中に残るように一般に切断されている。
【0133】
後記の図面によって本発明の特に有利な実施態様を更に詳細に説明するが、これら実施例の選択によって本発明は不必要に限定されない。
図1は一つの支持体層の下側面に、複数の個別の内包物が押し込まれている接着層が存在する2つの支持体層を持つラベルを図示している。
図2はラベルが一つの基体に貼り付けられておりそして表面に内包物の痕跡を持つ図1のラベルを図示している。
図3はラベルが鋭いナイフによって基体から剥離されている、図1のラベルを図示している。
図4はラベルが鋭いナイフによって基体から剥離されておりそして同時に内包物が影響されている図1のラベルを図示している。
【0134】
図1においては、本発明のラベルの構造を示している。
【0135】
ラベル中には第二の塗料層(10)が厚い塗料層(20)の上にそして塗料層(20)が接着層(40)の層の上に存在している。
【0136】
接着層(40)の上には複数の個別の内包物(30)が押し込まれており、該内包物はポリマー、特に塗料よりなり、その内には検出可能な添加物が存在している。
【0137】
ラベルを印刷するときには、ラベルの縁部領域で突き抜けた内包物(30)が存在しており、該内包物は外から視認できるか又は接近し得る。
【0138】
第2図は、ラベルが基体(50)の上に貼り付けられている点だけが図1と相違している。個別の内包物(30)は、内包物(30)の上に存在するラベルの層を変形させており、その結果ラベルの上部支持体層の表面に触覚的に認識できそして視認できる痕跡(11)が生じている。
【0139】
図3は図1に従うラベルを示しているが、ラベルが鋭いナイフで基板から切断分離されている。この場合、ナイフは接着層(40)を切断しそして同時に内包物(30)を同様に分離しており、その結果ラベル中の内包物(30)の一部はラベルの中に残る接着剤(40a)中に存在しており(30a)、他方、別の部分(30b)は接着剤(40b)の他の部分(40b)と一緒に基体の上に存在している。
【0140】
内包物(30a)中の添加物の検出は、ラベルが再度、他の基体の上に貼り付けられたときに、添加物の量が著しく減少しそして特にラベル中に初めから存在する量とはもはや一致することがない。それ故に個別の内包物(30)の形状は“擦りつけ”によって変形する。これは、第三者がラベルを偽造する痕跡でもある。
【0141】
結論:
当業者ならば、このことから、図3に従ってラベルを偽造すること、換言すればラベルを剥離しそして再び貼り付けることを推定できる。
【0142】
最終的には、ラベル表面のバラバラの内包物(30)の感触的に認識できる痕跡(11)が現れる。
【0143】
図4では、内包物(30)のポリマーマトリックスが、内包物(30)が分離された時に該内包物がナイフによって発生する剪断応力によって可塑的に変形することを図示している。
【0144】
内包物(30)が、殆ど各内包物(30a)の殆ど全容積が残るように切断分離したとしても、ラベルを、このことを後で検出できることなしに、新たに貼り付けることは不可能である。内包物(30a)は前述の応力のために、検出器によって検出できる添加物の像が図1に従うラベルによって提供される像ともはや一致しない程に変形している。
【0145】
以下の実施例において特に有利なラベルを、ラベル表面に別の安全ファクターをもたらすエンボス加工した印刷された支持体シートを用いて製造する。
【実施例1】
【0146】
印刷すべき支持体シート、この場合には厚50μmのポリエステルフィルムにSMB社のUV−フレキソ印刷装置で印刷し、後からG&W社のランプによって紫外線硬化させた。印刷時の高さは1〜5μmであった。
【0147】
使用する塗料はSICPA社、Aarbergの青色に染まったカチオン硬化性の紫外線塗料SICPA 360076であった。5重量%の円柱状撥水剤の混入によって印刷インキを最適に加工した。
【0148】
2つのポリウレタンアクリレート層(レーザー層)を、ウエット塗装した。すなわち、上側の官能層(黒色)及び下側の接触層(白色)の黒色層を予め硬化させることなくその上に塗布した(硬化後の長所は中間での接着である)。黒色層は印刷された支持体に直接的に塗布しそして白色層は次に黒色層の上に塗布した。
【0149】
この場合、黒色層の塗布は(5〜15μmの比較的薄く、かつ、比較的に正確にするために)マルチロール型アプリケータによって行いそして白色層はドクターブレードによって塗布した(100〜160μm)。塗料は脂肪族ポリウレタンアクリレートをベースとする溶剤不含の“100%”の系であった。反応希釈剤及びコポリマーによって性質(粘度)を調製した。硬化は80kGy及び240keVで電子線照射硬化によって行った。
【0150】
接着剤(ドイツ特許出願公開第1,569,898A1号明細書に従う粘着剤)をドクターブレードで塗布し(35g/m)そしてその後に熱で架橋させた。この塗布は離型フィルム(ライナー)の上で実施した。最後に初めてレーザーストック材料を接着剤と積層した。
【0151】
印刷された支持体フィルムを除き、上側の塗料層中には形状的に深く凹んだ痕跡がある。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】は一つの支持体層の下側面に、複数の個別の内包物が押し込まれている接着層が存在する2つの支持体層を持つラベルを図示している。
【図2】はラベルが一つの基体に貼り付けられておりそして表面に内包物の痕跡を持つ図1のラベルを図示している。
【図3】はラベルが鋭いナイフによって基体から剥離されている、図1のラベルを図示している。
【図4】はラベルが鋭いナイフによって基体から剥離されておりそして同時に内包物が影響されている図1のラベルを図示している。
【符号の説明】
【0153】
10・・・第二の塗料層
11・・・痕跡
20・・・塗料層
30・・・内包物
40・・・接着層
50・・・基体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの支持層よりなり、該支持層の下側に接着層が存在する、偽造安全性を向上させたラベルにおいて、接着層の露出側に複数の個別内包物が存在し、それらが少なくとも1つの可逆的に検出可能な添加物を含有しており、その際に好ましくはラベルを基体に貼り付けて個別内包物を接着剤中に押しつ込み、内包物上に位置するラベルの層が変形されて、ラベルの上部支持層の表面に、触覚的に認識できそし視認できる痕跡を生じさせることを特徴とする、上記ラベル。
【請求項2】
支持体層が塗料、特に硬化された塗料、好ましくは放射線硬化性塗料、中でも電子線硬化されたポリウレタンアクリレート塗料よりなる、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
塗料層の上に後で硬化される第二の塗料層が適用されている請求項1又は2に記載のラベル。
【請求項4】
塗料層が20〜500μm、特に30〜100μmの厚さを有し及び/又は第二の塗料層が1〜20μm,特に5〜15μmの厚さを有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のラベル。
【請求項5】
両方の塗料層が互いに反対の最大のコントラスト比を有する、請求項3又は4に記載のラベル。
【請求項6】
接着層の個別の内包物中の可逆的に検出可能な添加物が磁気及び/又は電気的な検出及び/又は光学的な検出に適する添加物であり、その際に該添加物が電子線、x−線、特に視認可能な光によって、中でも赤外線又は紫外線によって検出でき、特に視認可能にされる、請求項1〜5のいずれか一つに記載のラベル。
【請求項7】
接着層の露出側に個別の内包物を適用し、特に押し当てるか又は塗布する、請求項1〜6のいずれか一つに記載のラベル。
【請求項8】
個別の内包物が実質的に塗料、特にカチオン性UV−塗料で形成されている、請求項1〜7のいずれか一つに記載のラベル。
【請求項9】
支持体層と接着層との間に柔軟な補償層が存在している、請求項1〜8のいずれか一つに記載のラベル。
【請求項10】
自動車製造においての、請求項1〜8のいずれか一つに記載のラベルの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−520222(P2009−520222A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546346(P2008−546346)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069273
【国際公開番号】WO2007/071546
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(507249591)テーザ・アクチエンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】