偽造防止媒体および偽造防止ステッカー
【課題】見る角度を変化させることにより反射色が変化して観察されるようにしたカラーシフトを呈する媒体であって、特に目視による真偽判定を容易とし、かつ偽造、改ざん、変造等を困難にした偽造防止媒体および偽造防止ステッカーを提供するものである。
【解決手段】基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられている。
【解決手段】基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、見る角度を変化させることにより反射色が変化して観察されるようにしたカラーシフトを呈する媒体であって、特に目視による真偽判定を容易とし、かつ偽造、改ざん、変造等を困難にした偽造防止媒体および偽造防止ステッカーに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、偽造を防止する手段としては、物品そのものを真似することが困難なものとするか、或いは真似することが困難なものを本物であることの証明として物品に取りつけることにより、本物と偽物を区別できるようにする、等々の手段がある。後者の代表的なものとしては、光の回折と干渉を利用し、見る角度に応じて固有のカラーシフト（反射光の色変化）を生じ、観察する位置の違いにより見える色が異なるようにした媒体があげられる。このような媒体は、そのカラーシフトの状態、或いはその有無を検証することにより、真正物であるか否かを容易に判定することができる。
【０００３】
見る角度の違いによりカラーシフト（反射光の色変化）を呈するものとして、例えば、特許文献１には、視角に依存してカラーシフトを呈する光学的可変性顔料とその偽造防止印刷物が記載され、特許文献２には、高虹彩色効果を有するパール顔料が記載されている。さらに、特許文献３には、薄膜層を複数積層してなり、視角に依存してカラーシフトを呈する多層薄膜層上にエンボスを施して得られる偽造防止媒体が記載されている。
【０００４】
これらのカラーシフトを呈する媒体は、その視角の違いによる色相の変化が偽造物に対する真偽の判定を可能とし、また、カラーコピー機等により不正な複写を行おうとした場合、複写物では複写元の光学特性までもは再現することが不可能であるため、複写を利用した偽造や変造を困難なものとする。
【０００５】
上述したようなカラーシフトを呈する媒体の使用形態の一つとして、カラーシフトを呈するようにしたステッカーの例がある。例えば、単に他の物品に貼着できるようにしたステッカーや、さらなるセキュリティー性の付加を考慮し、貼着したものを剥離しようとすると脆弱な部分が破壊して再生が困難な状態になってしまうようにした脆性タイプのステッカーである。特に脆性タイプのステッカーでは、カラーシフトの有無や色変化の度合いを検証することにより真偽の判定が行われるのみならず、貼り付けた後に剥離しようとすると一部もしくは全体が破壊されるので、そのもの自体の偽造だけでなく、貼り付けた物品に改竄など加えられたことを一目で判別できるようになる。
【特許文献１】特表２００２−５２３６０６号公報
【特許文献２】特開平１０−２７９８２８号公報
【特許文献３】特開平１１−２２４０５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、これらの光干渉を利用した媒体においては、少しでも色変化が起これば本物であると見てしまいがちで、真偽の判定がし難いという問題点がある。また、これらの光干渉を利用した媒体は、その表面のエンボス部分から型を起こしてエンボス版を得、それを使用して偽造物が不正に作成されてしまうという問題点も抱えている。
【０００７】
本発明は以上のような問題点に着目してなされたもので、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層をエンボス部上に設けてなる構成であるので、エンボス部が最表面に位置していないため、表面部分の形状を型取りしてエンボス部の凹
凸形状を反映させたエンボス版が作成できず、延いては偽造品の作成もできないようにした偽造防止媒体および偽造防止ステッカーの提供を目的とする。
【０００８】
さらに、本発明の偽造防止媒体および偽造防止ステッカーは、上述したように、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層をエンボス部上に設けてなる構成であるので、エンボス部のエンボスパターンや配置状態を種々設定することによりカラーシフトや明るさが複雑に入れ替わるようになり、カラーシフトのバリエーションが一段と複雑化し、これらを利用した真偽の判定をより確実なものとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
以上の課題を解決すべくなされ、請求項１に記載の発明は、基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体である。
【００１０】
また、請求項２に記載の発明は、基材の一方の面の少なくとも一部に光吸収層が設けられていて、さらにこの光吸収層上の少なくとも一部にはエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、またそのエンボス部の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体である。
【００１１】
さらにまた、請求項３に記載の発明は、請求項１または２に記載の偽造防止媒体において、前記光干渉顔料は、表面が金属酸化物が被覆されてなるものであることを特徴とする。
【００１２】
さらにまた、請求項４に記載の発明は、請求項１乃至３のいずれかに記載の偽造防止媒体において、前記エンボスパターンは、その断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、そのそれぞれの歯に相当する部分の断面形状は直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなるものであることを特徴とする。
【００１３】
さらにまた、請求項５に記載の発明は、請求項１乃至４のいずれかに記載の偽造防止媒体において、前記エンボス部以外にエンボスパターンを賦型していない非エンボス部が設けられており、両者は異なる色相または明度に設定されていることを特徴とする。
【００１４】
さらにまた、請求項６に記載の発明は、請求項１乃至５のいずれかに記載の偽造防止媒体において、前記エンボス部が複数設けられていて、各エンボス部の光の反射方向が互いに異なるようになっていることを特徴とする。
【００１５】
さらにまた、請求項７に記載の発明は、請求項１乃至６のいずれかに記載の偽造防止媒体の基材の他方の面に、粘着層が設けられていることを特徴とする偽造防止ステッカーである。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は以上のような構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【００１７】
すなわち、基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることにより、エンボス部に基づく凹凸形状が表面に現れなくなるため、表面部分の形状を型取りしてエンボス版を作成しようとしても、そのエンボス版にはエンボス部のエンボスパターンが反映されないため、不正な複製を防
ぐことができる。
【００１８】
さらに、エンボス部の上にカラーシフト効果層が設けられた構成であるため、複数のエンボス部の光反射の方向を違えることにより、カラーシフトにおける色相や明度の変化を複雑に入れ替えできるようになるため、カラーシフトのバリエーションを増やし、複雑化することができるようになる。従って、本発明の偽造防止媒体および偽造防止ステッカーを使用した真偽の判定がより確実に行われるようになり、偽造、改ざんの予防やその他の不正の予防、不正使用等を有効に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【００２０】
図１は、本発明の偽造防止媒体の一実施例の平面状態を示す説明図であり、図２は図１に示す偽造防止媒体のＸ―Ｘ線による断面部分の概略の構成を示す説明である。図３は、本発明の偽造防止ステッカーの一実施例に係る平面状態を示す説明図であり、（ａ）と（ｂ）は目視角度を変化させて観察されるそれぞれの状態を示す説明図であり、図４は図３に示す偽造防止ステッカーのＹ―Ｙ線による断面部分の概略の構成を示す説明図である。
【００２１】
以下に本発明の偽造防止媒体１と偽造防止ステッカー４の構成や各構成部分の構成材料や形成方法について具体的に説明する。
【００２２】
図２に示すごとく、本発明の偽造防止媒体１は、基材２１の一方の面の一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部２４と所定の光を吸収する光吸収層２２が設けられており、そのエンボス部２４が設けられている光吸収層２２の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料２３を含むカラーシフト効果層２７が設けられている。また、図４に示す如く、本発明の偽造防止ステッカー４は、基材４１の一方の面の一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部４４とエンボス部４５と、所定の光を吸収する光吸収層４２が設けられており、そのエンボス部４４とエンボス部４５が設けられている
光吸収層４２の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料４３を含むカラーシフト効果層４７が設けられている。２６、４６はエンボスパターンが賦型されていない非エンボス部、また４８は基材４１の他方の面に設けられている粘着層をそれぞれ示している。
【００２３】
基材２１、基材４１としては、例えば、アート紙、コート紙、上質紙等の洋紙や、コートボール、コートマニラ等の板紙、或いは特殊証券用紙等が用いられる。また、白色ＰＥＴシートや白色塩ビシート等の樹脂製シートも用いられる。基材２１、基材４１としては上記したものに特に限定されるものではなく、例えば透明ＰＥＴシートや透明塩ビシート等の透明樹脂製シートであってもよい。
【００２４】
光吸収層２２、４２はその上に設けられているカラーシフト効果層２７、４７を透過してきた光を効率よく吸収し、カラーシフト効果層２７、４７におけるカラーシフトの効果がより強調されるように設けるための層であって、基材２１、４１にこのような効果が期待されるような場合、あるいはカラーシフト効果層２７、４７のみで所期のカラーシフト効果が得られるような場合には設けなくてもよい。このカラーシフト効果層２７、４７は、一般的には、濃色のインキ、例えば黒色インキを用い、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法やバーコート法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法等により形成すればよい。
【００２５】
一方、光吸収層２２上のエンボス部２４や、光吸収層４２上のエンボス部４４、エンボス部４５は、後述するカラーシフト効果層２２、４２の部分で見られるカラーシフトが観
察する角度を違えることで複雑に変化するように設けられている部分であり、種々のエンボスパターンが賦型されている部分である。
【００２６】
エンボスパターンとしては、例えば、その断面形状が鋸歯状或いは山脈状をなし、その中の各歯或いは各山の部分が略規則的に配列された形状のものであり、各歯や各山の傾斜する側面の部分での光反射方向が規制されるようになっているものである。より具体的には、その断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、そのそれぞれの歯に相当する部分の断面形状は直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなるものが好ましいエンボスパターンの例として挙げることができる。
【００２７】
このようなエンボス部２４は、基材の２１上や光吸収層２６の上に設け、さらにカラーシフト効果層２７の下側に位置させることによって、また、エンボス部４４とエンボス部４５はカラーシフト効果層４５の下側に位置させることによって、カラーシフト効果層２７、４７中の光干渉顔料２３、４３を、図面にも示すように、エンボス部２４のエンボス形状に沿って、或いはエンボス部４４とエンボス部４５のエンボス形状に沿って配列させることができるようになる。すなわち、各カラーシフト効果層２７、或いはカラーシフト効果層４７におけるカラーシフトが下に位置するエンボス部のエンボスパターンの形状に従って制御されるようになる。
【００２８】
エンボス部２４、エンボス部４４、エンボス部４５の各エンボスパターンを構成する各歯や山に相当する小突起の大きさは、小突起の断面形状が図面に示すように三角形である場合は、その一辺の長さが１ｍｍ前後のものであれば、エンボスパターンの賦型性の点からも好ましいといえる。しかし、もっと粗いエンボスパターンであってもよい。要するに、小突起の傾斜する斜面の部分に沿って光干渉顔料がカラーシフト効果を奏する状態で並ぶのに必要な有効面積が確保されるようになっていればよい。さらに、各小突起の傾斜する斜面の基材面に対する角度や、異なる他のエンボス部の各小突起の傾斜する斜面とのなす角度は、ほぼ４５°異なっていると色相の入れ替わりが観察され易くなるので好ましい。このような角度は、光干渉顔料の種類や形状等により決められるものであり、必ずしも４５°に設定しなくてもよい。
【００２９】
角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層２７、４７は、具体的には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含有するインキの薄膜で構成され、前述したように、目視角度を変化させることによりその部分においてカラーシフトを呈する部分である。
【００３０】
光干渉顔料としては、天然雲母やパール顔料等の光干渉顔料や、天然雲母やパール顔料等の表面を酸化チタンや酸化鉄等の金属酸化物で被覆してなるもので、平均の厚みが０．１〜５μｍ程度で、平均粒子径が２〜３００μｍ程度のものを具体例として挙げることができる。前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色等に係る種々のカラーシフトを呈するようになる。ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折法平均粒子径であり、体積基準のメジアン径が累積分布の５０％に相当する粒子径である。
【００３１】
このような光干渉顔料をインキメジウム中に混練させて角度依存のカラーシフトを呈する印刷インキを調肉し、スクリーン印刷法等の公知の印刷法にてエンボス部上に、或いはエンボス部と非エンボス部上に印刷してカラーシフト効果層を形成することができる。特に、使用されるインキとしては、インキメジウムと比較して比重の大きい光干渉顔料が混練されたものが好ましく、このようなインキにてカラーシフト効果層を形成すると、インキ薄膜が形成された後にインキがセットする前に光干渉顔料が薄膜の下側に沈み込み、光干渉顔料２３や光干渉顔料４３がエンボス部のエンボスパターンに沿って並ぶことになり
、光干渉顔料２３や光干渉顔料４３の配列角度をエンボスの表面形状に基づいて制御することができるようになる。
【００３２】
一方、図３に示す偽造防止ステッカーの粘着層２８は、一般的なステッカーの粘着層と同等のものであり、接する基材４１を変質させたり、侵したりするものでなければ、一般的な接着材料で形成することができる。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニルの共重合体、ポリエステル系、ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系の粘着剤を単独、もしくは、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加したもので形成する。この粘着層２８の形成には、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法や塗布方法等を用いることができる。
【００３３】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例１】
【００３４】
アートコートタック紙の粘着層が形成されていない面に、以下の光吸収性インキを使用してスクリーン印刷にて光吸収層を形成した。次に、図２のエンボス部２４に示すような、断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、それぞれの歯に相当する部分の断面形状が直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなる形状のエンボスパターンを有するエンボス版を用いて、前記工程で形成された光吸収層上の一部にエンボスパターンを賦型し、エンボス部を形成した。そして最後に、下記組成の光干渉顔料を含むインキを用い、スクリーン印刷により光吸収層上のエンボス部と非エンボス部を覆うようにカラーシフト効果層を設け、実施例１に係る本発明の偽造防止ステッカーを得た。
【００３５】
［光吸収性インキ］
ＳＳ ＮＳＡ ９１１墨 （東洋インキ製造社製）
［光干渉顔料を含むインキの組成］
Ｃｏｌｏｒｓｔｒｅａｍ Ｔ１０−０１（メルク社製） １５部
ＳＳ ＮＳＡ メジウム （東洋インキ製造社製） ８５部。
【００３６】
得られた偽造防止ステッカーを物品に貼付して、正面から観察すると、下にエンボスパターンが形成されている部分（エンボス部）に対応するカラーシフト効果層の部分は緑色に見え、下にエンボスパターンが形成されていない部分（非エンボス部）に対応するカラーシフト効果層の部分は赤紫色に見えると共に、それぞれの部分の色相が目視角度を変えることによって変化し、真正品かどうかの判別が容易にできることが確認された。
【実施例２】
【００３７】
エンボス版として、図４のエンボス部４４とエンボス部４５に示すような、断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、それぞれの歯に相当する部分の断面形状が直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなる形状のエンボスパターンを２つの部分（Ａ部とＢ部）を有するエンボス版を用いて光吸収層の一部にそれぞれのエンボス部を形成した以外は実施例１と同様にして、実施例２に係る本発明の偽造防止ステッカーを得た。
【００３８】
このようにしてえられた偽造防止ステッカーを物品に貼付して、正面から観察すると、Ａ部は赤紫色に、Ｂ部は緑色に見えた。次に、目視角度を変えて観察すると、Ａ部とＢ部の色相が共に変化し、Ａ部は緑色に、Ｂ部は赤紫色に見えた。これにより、この偽造防止
ステッカーによれば、２箇所の部分の色相がある目視角度でそれぞれ異なって観察されると共に、目視角度を変えて観察すると今度は違う色相に見えるようになり、真正品かどうかの判別が容易でより確実にできることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明の偽造防止媒体の一実施例の平面状態を示す説明図である。
【図２】図１の偽造防止媒体のＸ−Ｘ線による断面部分における概略の構成を示す説明図である。
【図３】本発明の偽造防止ステッカーの一実施例の平面状態を示す説明図であり、図３の（ａ）と（ｂ）は目視角度を変化したときの状態を表す平面図である。
【図４】図３の偽造防止ステッカーのＹ−Ｙ線による断面部分における概略の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【００４０】
１・・偽造防止媒体
４・・偽造防止ステッカー
２１、４１・・基材
２２、４２・・光吸収層
２３、４３・・光干渉顔料
２４、４４、４５・・エンボス部
２６、４６・・非エンボス部
２７、４７・・カラーシフト効果層
２８・・粘着層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、見る角度を変化させることにより反射色が変化して観察されるようにしたカラーシフトを呈する媒体であって、特に目視による真偽判定を容易とし、かつ偽造、改ざん、変造等を困難にした偽造防止媒体および偽造防止ステッカーに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、偽造を防止する手段としては、物品そのものを真似することが困難なものとするか、或いは真似することが困難なものを本物であることの証明として物品に取りつけることにより、本物と偽物を区別できるようにする、等々の手段がある。後者の代表的なものとしては、光の回折と干渉を利用し、見る角度に応じて固有のカラーシフト（反射光の色変化）を生じ、観察する位置の違いにより見える色が異なるようにした媒体があげられる。このような媒体は、そのカラーシフトの状態、或いはその有無を検証することにより、真正物であるか否かを容易に判定することができる。
【０００３】
見る角度の違いによりカラーシフト（反射光の色変化）を呈するものとして、例えば、特許文献１には、視角に依存してカラーシフトを呈する光学的可変性顔料とその偽造防止印刷物が記載され、特許文献２には、高虹彩色効果を有するパール顔料が記載されている。さらに、特許文献３には、薄膜層を複数積層してなり、視角に依存してカラーシフトを呈する多層薄膜層上にエンボスを施して得られる偽造防止媒体が記載されている。
【０００４】
これらのカラーシフトを呈する媒体は、その視角の違いによる色相の変化が偽造物に対する真偽の判定を可能とし、また、カラーコピー機等により不正な複写を行おうとした場合、複写物では複写元の光学特性までもは再現することが不可能であるため、複写を利用した偽造や変造を困難なものとする。
【０００５】
上述したようなカラーシフトを呈する媒体の使用形態の一つとして、カラーシフトを呈するようにしたステッカーの例がある。例えば、単に他の物品に貼着できるようにしたステッカーや、さらなるセキュリティー性の付加を考慮し、貼着したものを剥離しようとすると脆弱な部分が破壊して再生が困難な状態になってしまうようにした脆性タイプのステッカーである。特に脆性タイプのステッカーでは、カラーシフトの有無や色変化の度合いを検証することにより真偽の判定が行われるのみならず、貼り付けた後に剥離しようとすると一部もしくは全体が破壊されるので、そのもの自体の偽造だけでなく、貼り付けた物品に改竄など加えられたことを一目で判別できるようになる。
【特許文献１】特表２００２−５２３６０６号公報
【特許文献２】特開平１０−２７９８２８号公報
【特許文献３】特開平１１−２２４０５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、これらの光干渉を利用した媒体においては、少しでも色変化が起これば本物であると見てしまいがちで、真偽の判定がし難いという問題点がある。また、これらの光干渉を利用した媒体は、その表面のエンボス部分から型を起こしてエンボス版を得、それを使用して偽造物が不正に作成されてしまうという問題点も抱えている。
【０００７】
本発明は以上のような問題点に着目してなされたもので、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層をエンボス部上に設けてなる構成であるので、エンボス部が最表面に位置していないため、表面部分の形状を型取りしてエンボス部の凹
凸形状を反映させたエンボス版が作成できず、延いては偽造品の作成もできないようにした偽造防止媒体および偽造防止ステッカーの提供を目的とする。
【０００８】
さらに、本発明の偽造防止媒体および偽造防止ステッカーは、上述したように、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層をエンボス部上に設けてなる構成であるので、エンボス部のエンボスパターンや配置状態を種々設定することによりカラーシフトや明るさが複雑に入れ替わるようになり、カラーシフトのバリエーションが一段と複雑化し、これらを利用した真偽の判定をより確実なものとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
以上の課題を解決すべくなされ、請求項１に記載の発明は、基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体である。
【００１０】
また、請求項２に記載の発明は、基材の一方の面の少なくとも一部に光吸収層が設けられていて、さらにこの光吸収層上の少なくとも一部にはエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、またそのエンボス部の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体である。
【００１１】
さらにまた、請求項３に記載の発明は、請求項１または２に記載の偽造防止媒体において、前記光干渉顔料は、表面が金属酸化物が被覆されてなるものであることを特徴とする。
【００１２】
さらにまた、請求項４に記載の発明は、請求項１乃至３のいずれかに記載の偽造防止媒体において、前記エンボスパターンは、その断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、そのそれぞれの歯に相当する部分の断面形状は直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなるものであることを特徴とする。
【００１３】
さらにまた、請求項５に記載の発明は、請求項１乃至４のいずれかに記載の偽造防止媒体において、前記エンボス部以外にエンボスパターンを賦型していない非エンボス部が設けられており、両者は異なる色相または明度に設定されていることを特徴とする。
【００１４】
さらにまた、請求項６に記載の発明は、請求項１乃至５のいずれかに記載の偽造防止媒体において、前記エンボス部が複数設けられていて、各エンボス部の光の反射方向が互いに異なるようになっていることを特徴とする。
【００１５】
さらにまた、請求項７に記載の発明は、請求項１乃至６のいずれかに記載の偽造防止媒体の基材の他方の面に、粘着層が設けられていることを特徴とする偽造防止ステッカーである。
【発明の効果】
【００１６】
本発明は以上のような構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【００１７】
すなわち、基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることにより、エンボス部に基づく凹凸形状が表面に現れなくなるため、表面部分の形状を型取りしてエンボス版を作成しようとしても、そのエンボス版にはエンボス部のエンボスパターンが反映されないため、不正な複製を防
ぐことができる。
【００１８】
さらに、エンボス部の上にカラーシフト効果層が設けられた構成であるため、複数のエンボス部の光反射の方向を違えることにより、カラーシフトにおける色相や明度の変化を複雑に入れ替えできるようになるため、カラーシフトのバリエーションを増やし、複雑化することができるようになる。従って、本発明の偽造防止媒体および偽造防止ステッカーを使用した真偽の判定がより確実に行われるようになり、偽造、改ざんの予防やその他の不正の予防、不正使用等を有効に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【００２０】
図１は、本発明の偽造防止媒体の一実施例の平面状態を示す説明図であり、図２は図１に示す偽造防止媒体のＸ―Ｘ線による断面部分の概略の構成を示す説明である。図３は、本発明の偽造防止ステッカーの一実施例に係る平面状態を示す説明図であり、（ａ）と（ｂ）は目視角度を変化させて観察されるそれぞれの状態を示す説明図であり、図４は図３に示す偽造防止ステッカーのＹ―Ｙ線による断面部分の概略の構成を示す説明図である。
【００２１】
以下に本発明の偽造防止媒体１と偽造防止ステッカー４の構成や各構成部分の構成材料や形成方法について具体的に説明する。
【００２２】
図２に示すごとく、本発明の偽造防止媒体１は、基材２１の一方の面の一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部２４と所定の光を吸収する光吸収層２２が設けられており、そのエンボス部２４が設けられている光吸収層２２の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料２３を含むカラーシフト効果層２７が設けられている。また、図４に示す如く、本発明の偽造防止ステッカー４は、基材４１の一方の面の一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部４４とエンボス部４５と、所定の光を吸収する光吸収層４２が設けられており、そのエンボス部４４とエンボス部４５が設けられている
光吸収層４２の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料４３を含むカラーシフト効果層４７が設けられている。２６、４６はエンボスパターンが賦型されていない非エンボス部、また４８は基材４１の他方の面に設けられている粘着層をそれぞれ示している。
【００２３】
基材２１、基材４１としては、例えば、アート紙、コート紙、上質紙等の洋紙や、コートボール、コートマニラ等の板紙、或いは特殊証券用紙等が用いられる。また、白色ＰＥＴシートや白色塩ビシート等の樹脂製シートも用いられる。基材２１、基材４１としては上記したものに特に限定されるものではなく、例えば透明ＰＥＴシートや透明塩ビシート等の透明樹脂製シートであってもよい。
【００２４】
光吸収層２２、４２はその上に設けられているカラーシフト効果層２７、４７を透過してきた光を効率よく吸収し、カラーシフト効果層２７、４７におけるカラーシフトの効果がより強調されるように設けるための層であって、基材２１、４１にこのような効果が期待されるような場合、あるいはカラーシフト効果層２７、４７のみで所期のカラーシフト効果が得られるような場合には設けなくてもよい。このカラーシフト効果層２７、４７は、一般的には、濃色のインキ、例えば黒色インキを用い、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法やバーコート法、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法等により形成すればよい。
【００２５】
一方、光吸収層２２上のエンボス部２４や、光吸収層４２上のエンボス部４４、エンボス部４５は、後述するカラーシフト効果層２２、４２の部分で見られるカラーシフトが観
察する角度を違えることで複雑に変化するように設けられている部分であり、種々のエンボスパターンが賦型されている部分である。
【００２６】
エンボスパターンとしては、例えば、その断面形状が鋸歯状或いは山脈状をなし、その中の各歯或いは各山の部分が略規則的に配列された形状のものであり、各歯や各山の傾斜する側面の部分での光反射方向が規制されるようになっているものである。より具体的には、その断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、そのそれぞれの歯に相当する部分の断面形状は直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなるものが好ましいエンボスパターンの例として挙げることができる。
【００２７】
このようなエンボス部２４は、基材の２１上や光吸収層２６の上に設け、さらにカラーシフト効果層２７の下側に位置させることによって、また、エンボス部４４とエンボス部４５はカラーシフト効果層４５の下側に位置させることによって、カラーシフト効果層２７、４７中の光干渉顔料２３、４３を、図面にも示すように、エンボス部２４のエンボス形状に沿って、或いはエンボス部４４とエンボス部４５のエンボス形状に沿って配列させることができるようになる。すなわち、各カラーシフト効果層２７、或いはカラーシフト効果層４７におけるカラーシフトが下に位置するエンボス部のエンボスパターンの形状に従って制御されるようになる。
【００２８】
エンボス部２４、エンボス部４４、エンボス部４５の各エンボスパターンを構成する各歯や山に相当する小突起の大きさは、小突起の断面形状が図面に示すように三角形である場合は、その一辺の長さが１ｍｍ前後のものであれば、エンボスパターンの賦型性の点からも好ましいといえる。しかし、もっと粗いエンボスパターンであってもよい。要するに、小突起の傾斜する斜面の部分に沿って光干渉顔料がカラーシフト効果を奏する状態で並ぶのに必要な有効面積が確保されるようになっていればよい。さらに、各小突起の傾斜する斜面の基材面に対する角度や、異なる他のエンボス部の各小突起の傾斜する斜面とのなす角度は、ほぼ４５°異なっていると色相の入れ替わりが観察され易くなるので好ましい。このような角度は、光干渉顔料の種類や形状等により決められるものであり、必ずしも４５°に設定しなくてもよい。
【００２９】
角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層２７、４７は、具体的には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含有するインキの薄膜で構成され、前述したように、目視角度を変化させることによりその部分においてカラーシフトを呈する部分である。
【００３０】
光干渉顔料としては、天然雲母やパール顔料等の光干渉顔料や、天然雲母やパール顔料等の表面を酸化チタンや酸化鉄等の金属酸化物で被覆してなるもので、平均の厚みが０．１〜５μｍ程度で、平均粒子径が２〜３００μｍ程度のものを具体例として挙げることができる。前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色等に係る種々のカラーシフトを呈するようになる。ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折法平均粒子径であり、体積基準のメジアン径が累積分布の５０％に相当する粒子径である。
【００３１】
このような光干渉顔料をインキメジウム中に混練させて角度依存のカラーシフトを呈する印刷インキを調肉し、スクリーン印刷法等の公知の印刷法にてエンボス部上に、或いはエンボス部と非エンボス部上に印刷してカラーシフト効果層を形成することができる。特に、使用されるインキとしては、インキメジウムと比較して比重の大きい光干渉顔料が混練されたものが好ましく、このようなインキにてカラーシフト効果層を形成すると、インキ薄膜が形成された後にインキがセットする前に光干渉顔料が薄膜の下側に沈み込み、光干渉顔料２３や光干渉顔料４３がエンボス部のエンボスパターンに沿って並ぶことになり
、光干渉顔料２３や光干渉顔料４３の配列角度をエンボスの表面形状に基づいて制御することができるようになる。
【００３２】
一方、図３に示す偽造防止ステッカーの粘着層２８は、一般的なステッカーの粘着層と同等のものであり、接する基材４１を変質させたり、侵したりするものでなければ、一般的な接着材料で形成することができる。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニルの共重合体、ポリエステル系、ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、ポリイソブチル系の粘着剤を単独、もしくは、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、ビニルモノマー等の凝集成分、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、アクリルニトリル等に代表される改質成分や重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加したもので形成する。この粘着層２８の形成には、公知のグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法や塗布方法等を用いることができる。
【００３３】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例１】
【００３４】
アートコートタック紙の粘着層が形成されていない面に、以下の光吸収性インキを使用してスクリーン印刷にて光吸収層を形成した。次に、図２のエンボス部２４に示すような、断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、それぞれの歯に相当する部分の断面形状が直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなる形状のエンボスパターンを有するエンボス版を用いて、前記工程で形成された光吸収層上の一部にエンボスパターンを賦型し、エンボス部を形成した。そして最後に、下記組成の光干渉顔料を含むインキを用い、スクリーン印刷により光吸収層上のエンボス部と非エンボス部を覆うようにカラーシフト効果層を設け、実施例１に係る本発明の偽造防止ステッカーを得た。
【００３５】
［光吸収性インキ］
ＳＳ ＮＳＡ ９１１墨 （東洋インキ製造社製）
［光干渉顔料を含むインキの組成］
Ｃｏｌｏｒｓｔｒｅａｍ Ｔ１０−０１（メルク社製） １５部
ＳＳ ＮＳＡ メジウム （東洋インキ製造社製） ８５部。
【００３６】
得られた偽造防止ステッカーを物品に貼付して、正面から観察すると、下にエンボスパターンが形成されている部分（エンボス部）に対応するカラーシフト効果層の部分は緑色に見え、下にエンボスパターンが形成されていない部分（非エンボス部）に対応するカラーシフト効果層の部分は赤紫色に見えると共に、それぞれの部分の色相が目視角度を変えることによって変化し、真正品かどうかの判別が容易にできることが確認された。
【実施例２】
【００３７】
エンボス版として、図４のエンボス部４４とエンボス部４５に示すような、断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、それぞれの歯に相当する部分の断面形状が直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなる形状のエンボスパターンを２つの部分（Ａ部とＢ部）を有するエンボス版を用いて光吸収層の一部にそれぞれのエンボス部を形成した以外は実施例１と同様にして、実施例２に係る本発明の偽造防止ステッカーを得た。
【００３８】
このようにしてえられた偽造防止ステッカーを物品に貼付して、正面から観察すると、Ａ部は赤紫色に、Ｂ部は緑色に見えた。次に、目視角度を変えて観察すると、Ａ部とＢ部の色相が共に変化し、Ａ部は緑色に、Ｂ部は赤紫色に見えた。これにより、この偽造防止
ステッカーによれば、２箇所の部分の色相がある目視角度でそれぞれ異なって観察されると共に、目視角度を変えて観察すると今度は違う色相に見えるようになり、真正品かどうかの判別が容易でより確実にできることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【００３９】
【図１】本発明の偽造防止媒体の一実施例の平面状態を示す説明図である。
【図２】図１の偽造防止媒体のＸ−Ｘ線による断面部分における概略の構成を示す説明図である。
【図３】本発明の偽造防止ステッカーの一実施例の平面状態を示す説明図であり、図３の（ａ）と（ｂ）は目視角度を変化したときの状態を表す平面図である。
【図４】図３の偽造防止ステッカーのＹ−Ｙ線による断面部分における概略の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【００４０】
１・・偽造防止媒体
４・・偽造防止ステッカー
２１、４１・・基材
２２、４２・・光吸収層
２３、４３・・光干渉顔料
２４、４４、４５・・エンボス部
２６、４６・・非エンボス部
２７、４７・・カラーシフト効果層
２８・・粘着層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項２】
基材の一方の面の少なくとも一部に光吸収層が設けられていて、さらにこの光吸収層上の少なくとも一部にはエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、またそのエンボス部の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項３】
前記光干渉顔料は、その表面が金属酸化物で被覆されてなるものであることを特徴とする請求項１または２に記載の偽造防止媒体。
【請求項４】
前記エンボスパターンは、その断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、そのそれぞれの歯に相当する部分の断面形状は直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなるものであることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の偽造防止媒体。
【請求項５】
前記エンボス部以外にエンボスパターンを賦型していない非エンボス部が設けられており、両者は異なる色相または明度に設定されていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の偽造防止媒体。
【請求項６】
前記エンボス部が複数設けられていて、各エンボス部の光の反射方向が互いに異なるようになっていることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載の偽造防止媒体。
【請求項７】
請求項１乃至６のいずれかに記載の偽造防止媒体の基材の他方の面に、粘着層が設けられていることを特徴とする偽造防止ステッカー。
【請求項１】
基材の一方の面の少なくとも一部にエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、そのエンボス部上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項２】
基材の一方の面の少なくとも一部に光吸収層が設けられていて、さらにこの光吸収層上の少なくとも一部にはエンボスパターンが賦型されてなるエンボス部が設けられており、またそのエンボス部の上には、角度依存のカラーシフトを呈する光干渉顔料を含むカラーシフト効果層が設けられていることを特徴とする偽造防止媒体。
【請求項３】
前記光干渉顔料は、その表面が金属酸化物で被覆されてなるものであることを特徴とする請求項１または２に記載の偽造防止媒体。
【請求項４】
前記エンボスパターンは、その断面形状が鋸歯状をなしており、且つ、そのそれぞれの歯に相当する部分の断面形状は直角三角形であって、しかもその直角でない隅角部が先端部に位置するように連続して配置されてなるものであることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の偽造防止媒体。
【請求項５】
前記エンボス部以外にエンボスパターンを賦型していない非エンボス部が設けられており、両者は異なる色相または明度に設定されていることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の偽造防止媒体。
【請求項６】
前記エンボス部が複数設けられていて、各エンボス部の光の反射方向が互いに異なるようになっていることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記載の偽造防止媒体。
【請求項７】
請求項１乃至６のいずれかに記載の偽造防止媒体の基材の他方の面に、粘着層が設けられていることを特徴とする偽造防止ステッカー。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００８−８０６０９（Ｐ２００８−８０６０９Ａ）
【公開日】平成２０年４月１０日（２００８．４．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２６２３３６（Ｐ２００６−２６２３３６）
【出願日】平成１８年９月２７日（２００６．９．２７）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年４月１０日（２００８．４．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月２７日（２００６．９．２７）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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