説明

偽造防止用シート

【課題】
偽造防止が施された偽造防止用シートに関し、可視光線下および近紫外線下において真偽を判断することができる、二重の偽造防止策が施された偽造防止シートを提供することを課題とする。
【解決手段】
蛍光増白剤を含有する白色基材2を用いて、前記白色基材2の表面に、蛍光インキによってベタ印刷されたベタ印刷領域4と、前記蛍光インキまたは非蛍光インキによって網点印刷された網点印刷領域6と、印刷がなされない非印刷領域8と、に区分され、前記ベタ印刷領域4は、可視光線下では蛍光インキ色に発光し、300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では発光せず、前記非印刷領域8は、可視光線下では白色であり、前記300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では青色に発光するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止が施された偽造防止用シートに関し、特に入場券、乗車券、食券、金券などのチケット類に用いられる偽造防止用シートであって、カラー複写機やプリンタなどを用いて偽造することを防止するとともに、容易に偽造であることを見分けることができる偽造防止用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テーマパークやスキー場などの入場チケットは、チケット用シートにキャラクタやロゴやマークなどのデザインが印刷され、これらのデザインや印刷色を定期的に変更することによって、不正入場の防止を図っていた。
【0003】
さらに、カラー複写機やプリンタなどで偽造防止するために、チケット用シートにカラー複写機の解像能力を超える微細文字を印刷しておきこの微細文字をチェックして判定したり、またカラー複写機で解像できる大きさの網点と解像できない大きさの網点とを組み合わせたコピー牽制パターンを印刷しておき、コピーすると警告文字などの牽制パターンが現れる方法などが用いられている。しかし、カラー複写機の解像度の向上や色補正機能の付与など性能の向上が著しくなっていることから、より一層の偽造防止策が強く望まれてきている。
【0004】
そこで、カラー複写機を用いた複写の有無を即座に識別して、カラー複写による偽造を防止する印刷物として、基材上に、カラー複写機により複写した際に同一色相となる互いに色相の異なった複数のインキ部を隣接して設けた印刷物がある。このような印刷物では、初期状態では、見た目で互いに異なった色相によるコントラストを確認できるが、カラー複写機を用いた複写後では、両者が同色化することにより、全くコントラストを確認できなくなり、複写物であることがわかるというものである。
【0005】
しかしながら、上述したのチケット用シートにカラー複写機の解像能力を超える微細文字を印刷しておきこの微細文字をチェックして判定したり、またカラー複写機で解像できる大きさの網点と解像できない大きさの網点とを組み合わせたコピー牽制パターンを印刷しておき、コピーすると警告文字などの牽制パターンが現れる方法では、微細な文字や網点を印刷できる印刷機を用いなければならず、コストが高くなるという問題があった。
【0006】
また、上記の基材上に、カラー複写機により複写した際に同一色相となる互いに色相の異なった複数のインキ部を隣接して設けた印刷物では、必ず色相の異なった複数のインキ部を隣接して設けなければならないという問題があった。
【0007】
なお、上記のカラー複写機を用いた複写の有無を即座に識別して、カラー複写による偽造を防止する印刷物として、基材上に、カラー複写機により複写した際に同一色相となる互いに色相の異なった複数のインキ部を隣接して設けた印刷物として以下の公報がある。
【0008】
【特許文献1】特公平7−89284号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような諸問題に鑑みなされたもので、偽造防止が施された偽造防止用シートに関し、一般的な印刷機を用いて低コストに生産することができる偽造防止シートを提供することを課題とする。また、互いに色相の異なった複数のインキ部を隣接して設けなければならないなどというデザイン制限のない偽造防止シートを提供することを課題とする。さらに、可視光線下および近紫外線下において真偽を判断することができる、二重の偽造防止策が施された偽造防止シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、白色基材の表面に、所定の文字や図形や模様などを現すよう少なくとも蛍光インキによって印刷された偽造防止用シートであって、前記白色基材は、蛍光増白剤を含有し、前記白色基材の表面は、前記蛍光インキによってベタ印刷されたベタ印刷領域と、前記蛍光インキまたは非蛍光インキによって網点印刷された網点印刷領域と、印刷がなされない非印刷領域と、に区分され、前記ベタ印刷領域は、可視光線下では蛍光インキ色に発光し、300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では発光せず、前記非印刷領域は、可視光線下では白色であり、前記300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では青色に発光することを特徴とする偽造防止用シートに関する。
【0011】
請求項2記載の発明の要旨は、前記ベタ印刷領域および前記網点印刷領域の印刷色は、青色以外の色であることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用シートに関する。
【0012】
請求項3記載の発明の要旨は、少なくとも前記非印刷領域に、黒色のインクリボンによって所定の情報が印字されたリボン印字部を備えた、入場券、乗車券、食券、金券などのチケット類に用いられることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用シートに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、白色基材の表面に、所定の文字や図形や模様などを現すよう少なくとも蛍光インキによって印刷された偽造防止用シートであって、前記白色基材は、蛍光増白剤を含有し、前記白色基材の表面は、前記蛍光インキによってベタ印刷されたベタ印刷領域と、前記蛍光インキまたは非蛍光インキによって網点印刷された網点印刷領域と、印刷がなされない非印刷領域と、に区分され、前記ベタ印刷領域は、可視光線下では蛍光インキ色に発光し、300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では発光せず、前記非印刷領域は、可視光線下では白色であり、前記300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では青色に発光するようにしたので、一般的な印刷機を用いて低コストに生産することができる偽造防止シートを提供することができる。また、互いに色相の異なった複数のインキ部を隣接して設けなければならないなどというデザイン制限のない偽造防止シートを提供することができる。さらに、可視光線下および近紫外線下において真偽を判断することができる、二重の偽造防止策が施された偽造防止シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートについて、図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートを説明する平面図であり、図2は、図1に示すA−A線概略断面図であり、図3は、本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートが可視光線下にあることを示す概略断面図であり、図4は、本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートが近紫外線下にあることを示す概略断面図である。
【0015】
図1に示す本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シート1は、白色基材2の表面に、所定の文字や図形や模様などを現すよう少なくとも蛍光インキによって印刷されたものであり、たとえば、蛍光インキによって白色基材2の両端部から内側に向けて帯状にベタ印刷されたベタ印刷領域4と、このベタ印刷領域4の内側にabcというロゴタイプが連続して白抜き状態に網点印刷された網点印刷領域6と、このabcというロゴタイプが連続して白抜き状態に印刷がなされない非印刷領域8と、の三つに区分される。
【0016】
前記白色基材2は、天然パルプを主体とした紙基材であり、たとえば、上質紙、微塗工紙、コート紙 、キャストコート紙などが用いられ、その表面は印刷用インキを受理する印刷適正や印字用インクリボンを受理する印字適正を備えている。また、白色基材2は、その白色度を向上させるために、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の白色顔料が含有されている。さらに、白色基材2は、基材が持つ黄色味や退色(黄ばみ)を消して視感的に白く見せるために、蛍光増白剤(蛍光染料)が含有されている。
【0017】
前記蛍光増白剤は、上記のとおり紙基材の地色である黄色味や紙基材が時間経過によって退色(黄ばみ)するのを消して視感的な白さを上げるために有効な方法であり、光のなかの紫外線エネルギー(波長300nm〜400nm)を吸収し、励起して420nm〜435nmの青紫色の光エネルギーを放射し、視感的に白く発光する染料である。つまり、光の三原色である赤、緑、青の3色が全てあわさると視覚的に白く見えるのに対し、前記天然パルプを主体とした紙基材は、太陽光の中の青色を吸収してしまうために少し黄ばんで見えるため、青味を加えて視覚的に白く見せるものである。こうした蛍光増白剤としては、たとえば、ジアミノスチルベンジル誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体など公知の蛍光増白剤を用いることができる。
【0018】
図2は、図1に示すA−A線概略断面図であり、偽造防止用シート1の一方の面は、白色基材2の表面両端部から内側に向けて帯状にベタ印刷されたベタ印刷領域4と、このベタ印刷領域4の内側にabcというロゴタイプが連続して白抜き状態に網点印刷された網点印刷領域6と、このabcというロゴタイプが連続して白抜き状態に印刷がなされない非印刷領域8と、の三つに区分される。前記ベタ印刷とは隙間なくインク層が形成されていることであり、前記網点印刷とは画像の濃淡を面積の大小または多少に変換した微小点のインク層が形成されていることである。
【0019】
こうした偽造防止用シート1を構成する白色基材2の厚さは、その用途に応じた厚さのものを適宜選択することができるが、入場券、乗車券、食券、金券などのチケット類に用いられる場合は、100μmから300μmの厚さの白色基材2が好ましく用いられる。厚さが100μm未満では、一方面の印刷が他方面の印刷に影響をおよぼすことがあること、強度的に弱くなることがあり、厚さが300μmを超えると基材の腰が強くチケット類としては扱いづらくなるためである。また、白色基材2上における、ベタ印刷領域4および網点印刷領域6の厚さは、その印刷方式によって異なり、スクリーン印刷では100μm程度、凹版印刷では数十μm程度、オフセット印刷では1μm程度、小ロット印刷に対応でき印刷コストも比較的安価な凸版印刷では数μm程度である。
【0020】
図3は、本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートが可視光線下にあることを示す概略断面図であり、たとえば、蛍光オレンジインキ1色のみを用いてベタ印刷および網点印刷された場合について説明すると、可視光線10の下では、偽造防止シート1のベタ印刷領域4は蛍光オレンジ色に発光する。こうした蛍光インキによってベタ印刷された蛍光色は、カラー複写機を用いて複写しても蛍光インキの特徴である発光が得られず、蛍光オレンジ色は単なるオレンジ色にしか見えず、複写したことが一目で判断できるものである。
【0021】
これは、カラー複写機のスキャナーでは蛍光発光の成分を捕らえることができず、近似的ににしか再現できないためである。このように再現することが困難な色としては、同系色の一般インキと比較して蛍光発色することで反射率が高くなり鮮明となる色があげられ、オレンジ、イエロー、ライトグリーンなどの蛍光インキは複写しても、その鮮明さだけでなく異なる色相に変化してしまうため、これらの色の蛍光インキを用いてベタ印刷領域4を形成することが好ましい。
【0022】
また、偽造防止シート1の網点印刷領域6は、所定面積あたりの網点の密度に比例してベタ印刷色に準じた濃度と発光が得られる。上記の例では、所定面積あたりの網点の密度が高い場合にはベタ印刷色とほとんど変わらない蛍光オレンジ色に発光するものの、逆に所定面積あたりの網点の密度が低い場合、たとえば、所定面積あたり20%程度の網点ではベタ印刷色と比べて濃度も低く薄いオレンジ色にしか見えず、発光も得られない。つまり、蛍光インキを用いても所定面積あたりの網点の密度が低い場合には淡色かつ発光のない印刷となるものである。
【0023】
こうした偽造防止シート1は、所定の情報が印刷または印字されるものであり、特に入場券、乗車券、食券、金券などのチケット類ではプリンタや発券機にて一枚ごとに可変情報が印字される。そのため、偽造防止シート1の可変情報が印字される部分は、印字部分が明確となるよう淡色に見えるよう印刷されることが多い。上記のように、所定面積あたり20%程度の網点ではベタ印刷色と比べて濃度も低く薄いオレンジ色にしか見えず、発光も得られないので、ごく薄いオレンジ色部分と、一般的な黒色印字と、が明確となり印字内容を見誤ることがない。
【0024】
また、前記可変情報の印字にインクリボンを用いる場合には、印刷されたインキ層の表面と、印字したインクリボンと、の密着適正が悪い場合がある。つまり、ベタ印刷領域4上にインクリボンを転写しても剥がれてしまうことがある。そのため、こうしたベタ印刷領域4は、偽造防止シート1の端部など前記可変情報を印字しない領域に設けることが好ましい。
【0025】
また、網点印刷領域6上にインクリボンを転写した場合、仮に網点上へのインクリボンの密着適正が悪くても、網点が印刷されない部分である白色基材2部分へはインクリボンが密着する。つまり、印刷部分へインクリボンで印字する場合は、淡色のインキを用いてベタ印刷上へ印字するより、濃色のインキを用いて所定面積あたりの網点の密度を下げて淡色に見える網点印刷上へ印字する方が、確実に情報を印字することができるものである。
【0026】
このように1色だけの蛍光インキを用いて、ベタ印刷領域4と、所定面積あたりの密度が低い網点印刷領域6と、を形成することで、元となる蛍光インキ色に発光する領域と、元となる蛍光インキ色をごく薄くした色で発光しない領域と、の2つの色の領域を得ることができる。
【0027】
以上のとおり、1色だけの蛍光インキを用いて、ベタ印刷領域4と、所定面積あたりの密度が低い網点印刷領域6と、を形成した例について説明したが、本実施の形態は、白色基材2の表面に蛍光インキによって印刷されたベタ印刷領域4と、比較的淡色となる網点印刷された網点印刷領域6と、が形成されていれば良く、この網点印刷領域6は非蛍光インキである一般インキでも良いものである。また、ベタ印刷領域4および網点印刷領域6のいずれも1色のみに限らず任意の色相および色数にすることができる。
【0028】
また、上記のとおり網点印刷領域6は、比較的淡色となる網点印刷が施されていれば良く、複写すると警告文字などの牽制パターンが現れる方法のように微細な文字や網点を印刷する必要が無いので、オフセット印刷や凸版印刷など印刷コストの安い印刷方法で印刷することができる。
【0029】
図4は、本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートが近紫外線下にあることを示す概略断面図であり、ブラックライト12は、300nmから450nmの波長で発光し近紫外線14を放射している。偽造防止シート1の印刷がなされない非印刷領域8は、白色基材2の表面が表出しているものであり、可視光線下では白色に見えるものの、前記ブラックライト12が放射する300nmから450nmの波長の近紫外線14の下では、青色に発光するものである。
【0030】
なお、紫外線とは波長が短くエネルギーの高い光であり、UV−A(320nmから380nm)、UV−B(280nmから320nm)、UV−C(200nmから280nm)、の3つに分けられ、波長が短いほど生体に対する有害性が増大するが、前記ブラックライト12が発する300nm以上の波長の光であれば生体への悪影響はほとんど無い。
【0031】
先述したとおり、白色基材2は、基材が持つ黄色味や退色(黄ばみ)を消して視感的に白く見せるために、蛍光増白剤(蛍光染料)が含有されている。したがって、可視光線10下においては青みが加わって白く見えるものである。一方、蛍光増白剤は、光のなかの紫外線エネルギー(波長300nm〜400nm)を吸収し、励起して420nm〜435nmの青紫色の光エネルギーを放射するので、ブラックライト12が放射する300nmから450nmの波長の近紫外線14の下では、青色(青紫色)に発光するものである。つまり、偽造防止シート1の非印刷領域8は、可視光線10下においてはabcというロゴタイプが連続して白く見えるのに対し、近紫外線14下においてはabcというロゴタイプが連続して青く(青紫色)に発光して見えるものである。
【0032】
このように近紫外線14下において、非印刷領域8が青くに発光することは、白色基材2が蛍光増白剤を含有しているからであり、蛍光増白剤を含まない白色基材では非印刷領域が青く発光することは無い。よって、仮に蛍光インキを用いて複製を印刷しても、蛍光増白剤を含有した白色基材2でない場合には、近紫外線14下において非印刷領域8が青色に発光せず、複製を印刷したことが一目で判断できるものである。
【0033】
このように偽造防止シート1の非印刷領域8は、近紫外線14下においては青く(青紫色)に発光するものであるから、この非印刷領域8の周辺部が青色に印刷されていると、非印刷領域8が青く発光していることがわかりにくくなる。そのため、前記ベタ印刷領域8および前記網点印刷領域6の印刷色は、青色以外の色であることが好ましい。
【0034】
以上のように、白色基材2の表面に、所定の文字や図形や模様などを現すよう少なくとも蛍光インキによって印刷された偽造防止用シート1であって、前記白色基材2は、蛍光増白剤を含有し、前記白色基材2の表面は、蛍光インキによってベタ印刷されたベタ印刷領域4と、前記蛍光インキまたは非蛍光インキによって網点印刷された網点印刷領域6と、印刷がなされない非印刷領域8と、に区分され、前記ベタ印刷領域4は、可視光線10下では蛍光インキ色に発光し、300nmから450nmの波長で発光するブラックライト12の近紫外線14下では発光せず、前記非印刷領域8は、可視光線10下では白色であり、前記300nmから450nmの波長で発光するブラックライト12の近紫外線14下では青色に発光するようにしたので、一般的な印刷機を用いて低コストに生産することができる偽造防止シート1を提供することができる。また、互いに色相の異なった複数のインキ部を隣接して設けなければならないなどというデザイン制限のない偽造防止シート1を提供することができる。さらに、可視光線10下および近紫外線14下において真偽を判断することができる、二重の偽造防止策が施された偽造防止シート1を提供することができる。
【0035】
次に、本発明にかかる第2実施の形態の偽造防止用シートについて説明する。図5は、本発明にかかる第2の実施の形態の偽造防止用シートを説明する平面図であり、図6は、本発明にかかる第2の実施の形態の偽造防止用シートが近紫外線下にあることを示す平面図である。
【0036】
本発明にかかる第2の実施の形態の偽造防止シートは、先述した第1の実施の形態の偽造防止シートの少なくとも前記非印刷領域に、黒色のインクリボンによって所定の情報が印字されたリボン印字部を備えた、入場券、乗車券、食券、金券などのチケット類に用いられるものである。
【0037】
図5は、偽造防止シート20をチケット類に用いた一例としてスキー場の入場チケットを示している。チケット18は、白色基材2の表面に、たとえば、蛍光インキによって白色基材2の両端部から内側に向けて帯状にベタ印刷されたベタ印刷領域4と、このベタ印刷領域4の内側にxyzというロゴタイプが連続して白抜き状態に網点印刷された網点印刷領域6と、このxyzというロゴタイプが連続して白抜き状態に印刷がなされない領域およびプリンタなどによって可変情報が印字される印字領域である矩形の印刷がなされない非印刷領域8と、の三つに区分される。この矩形の印刷がなされない非印刷領域8内には、たとえば、入場期間を示す1日券という文字と、入場日を示す1月1日という文字と、が印字されている。
【0038】
この第2の実施の形態の偽造防止シート20も、可視光線の下では、偽造防止シート20のベタ印刷領域4は蛍光インキ色に発光する。こうした蛍光インキによってベタ印刷された蛍光色は、カラー複写機を用いて複写しても蛍光インキの特徴である発光が得られないことから、複写したことが一目で判断できるものである。
【0039】
図6は、上記チケット18として用いられた偽造防止シート20が近紫外線下にあることを示している。チケット18のxyzというロゴタイプが連続して白抜き状態に印刷がなされない領域およびプリンタなどによって可変情報が印字される印字領域である矩形の印刷がなされない非印刷領域8(図中の白色部分)は、可視光線下においては白く見えるのに対し、近紫外線下においては青くに発光して見えるものである。一方、図5に示したベタ印刷領域4、網点印刷領域6、リボン印字部16は、近紫外線下においても青く発光することは無い。したがって、近紫外線下におけるチケット18は、たとえば、施設名などを示すxyzという文字が連続して青く発光するとともに、入場期間を示す1日券という文字と、入場日を示す1月1日という文字と、が黒く見え、その周辺部は青く発光し浮き出して見えるものである。
【0040】
このようにリボン印字部16の色を黒色にすることによって、近紫外線下においても印字部16の情報を明確に読み取ることができる。また、第2実施の形態の偽造防止用シートと同様に、蛍光インキを用いて複製を印刷しても、蛍光増白剤を含有した白色基材2を用いない限り、近紫外線14下において非印刷領域8が青色に発光せず複製を印刷したことが一目で判断できるものである。
【0041】
なお、本発明が上記実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は適宜変更可能である。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートを説明する平面図である。
【図2】図1に示すA−A線概略断面図である。
【図3】本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートが可視光線下にあることを示す概略断面図である。
【図4】本発明にかかる第1の実施の形態の偽造防止用シートが近紫外線下にあることを示す概略断面図である。
【図5】本発明にかかる第2の実施の形態の偽造防止用シートを説明する平面図である。
【図6】本発明にかかる第2の実施の形態の偽造防止用シートが近紫外線下にあることを示す平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1、20 偽造防止シート
2 白色基材
4 ベタ印刷領域
6 網点印刷領域
8 非印刷領域
10 可視光線
12 ブラックライト
14 近紫外線
16 リボン印字部
18 チケット











【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色基材の表面に、所定の文字や図形や模様などを現すよう少なくとも蛍光インキによって印刷された偽造防止用シートであって、
前記白色基材は、蛍光増白剤を含有し、
前記白色基材の表面は、前記蛍光インキによってベタ印刷されたベタ印刷領域と、前記蛍光インキまたは非蛍光インキによって網点印刷された網点印刷領域と、印刷がなされない非印刷領域と、に区分され、
前記ベタ印刷領域は、可視光線下では蛍光インキ色に発光し、300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では発光せず、
前記非印刷領域は、可視光線下では白色であり、前記300nmから450nmの波長で発光するブラックライトの近紫外線下では青色に発光することを特徴とする偽造防止用シート。
【請求項2】
前記ベタ印刷領域および前記網点印刷領域の印刷色は、青色以外の色であることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用シート。
【請求項3】
少なくとも前記非印刷領域に、黒色のインクリボンによって所定の情報が印字されたリボン印字部を備えた、入場券、乗車券、食券、金券などのチケット類に用いられることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用シート。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−196484(P2007−196484A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16600(P2006−16600)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】