偽造防止用紙及び偽造防止印刷物
【目的】 複写機によるコピーを行っても原稿とは全く異なった色調の複写物しか得られない偽造防止用紙及び偽造防止印刷物を得る。
【構成】 基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成し偽造防止用紙を得る。真珠顔料としては虹彩色を発する真珠顔料を使用することが好ましい。またこの用紙を使用して印刷を施し、偽造防止印刷物を得る。
【効果】 カラー複写機で複写しても被覆層の真珠光沢は複写されないので複写物か否かの判定が容易にできる。
【構成】 基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成し偽造防止用紙を得る。真珠顔料としては虹彩色を発する真珠顔料を使用することが好ましい。またこの用紙を使用して印刷を施し、偽造防止印刷物を得る。
【効果】 カラー複写機で複写しても被覆層の真珠光沢は複写されないので複写物か否かの判定が容易にできる。
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、偽造防止用紙及び偽造防止印刷物に関する。より詳しくは、複写機によるコピーを行っても原稿（本物）とは全く異なった色調の複写物しか得られない偽造防止用紙及び偽造防止印刷物に関する。
【０００２】
【従来の技術】最近の複写機の精度向上は著しく、特に電子写真方式のカラー複写機の普及は各種の有価証券類等の偽造を容易にしている。これを防止するため種々の偽造防止手段が考えられているが、その一つに、現在の複写機では光輝性を有するもの、例えば金属色を再現することが出来ないことを利用したものがある。
【０００３】例えば実開昭５８−１６８７５４号に提案されているように、基紙上面に、金属色調顕著なアルミ箔などの光輝版を設け、且つ該光輝版表面に文字図柄を施してなる複写機によるコピー不能用紙の提案がある。これをコピーすると、用紙面に施された文字図柄は複写機の光線照射があると箔表面が黒ずんでコピーされるので読みとり不可能となる。この用紙は複写そのものが不可能（複写物の読みとりが出来ない）という長所はあるが、光輝版の用紙に占める面積が大きいために金属色が強調されすぎて違和感があることが欠点である。また用紙の製造工程が複雑となり、必然的にコスト高になること等の別の問題点もある。
【０００４】カラー複写機を意識した偽造防止手段としての他の方法は、特殊なインクを使用して印刷を施し、原稿とは全く異なった色彩に複写されることを利用した印刷物があり、紙幣等に応用されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技術とは全く異なった偽造防止用紙及び偽造防止印刷物を提供することを課題とする。具体的にはカラー複写機を使用して複写を試みても、基紙に形成された部分的な被覆層の色相を再現できない偽造防止用紙及び偽造防止印刷物を得ることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成したことを特徴とする偽造防止用紙である。また本発明は、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層と所定事項を印刷した印刷層を形成したことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【０００７】本発明に使用する真珠顔料は、天然パールエッセンスや、雲母粉末、酸化チタン被覆雲母粉末、塩基性炭酸塩、魚鱗箔等公知の真珠顔料がいずれも使用できる。これらの製法等は特公昭３５−５３６７号、特公昭３９−２８８８５号、特公昭４８−２３１７９号、特公昭４７−２９５６９号、特公昭５３−４７３７５号、特公昭５６−３９６６９号、特公昭５８−７６７４号、特公平１−２２８７３号、特公平４−４８８１２号、特開昭５８−１７４４４９号、特開昭５８−１８０５６１号、特開昭５８−２１９２２６号、特開昭５９−７８２６５号、特開昭６０−９２３５９号、特開昭６２−３４９６２号、特開昭６２−２８５９５６号、特開平４−２２７６６６号、等に記載されている技術がいずれも使用できる。
【０００８】本発明で使用する接着剤は、澱粉水溶液，アルカリカットしたカゼイン水溶液，スチレン−ブタジエン共重合ラテックス，メチルメタクリレート−ブタジエン共重合ラテックス，ポリ酢酸ビニルエマルジョン，ポリアクリル酸エステルエマルジョン等の単独若しくは混合物からなる水系の接着剤や、フェノール樹脂，アルキッド樹脂，石油樹脂，ビニル樹脂，ポリアミド樹脂，アクリル樹脂，ニトロセルロース，環化ゴム，塩化ゴム等の単独あるいは混合物を有機溶剤に溶解した接着剤等をいずれも使用できる。
【０００９】真珠顔料と接着剤の使用割合は乾燥重量換算で通常１００：５０〜５００である。この際、本発明の目的を阻害しない範囲で耐水化剤、硬化剤、着色剤、粘度調製剤、ブロッキング防止剤、防腐剤、防カビ剤等の副資材を適宜併用することもできる。
【００１０】本発明の偽造防止用紙は、前述したような真珠顔料と接着剤を主体として混合し、塗料やインクを調製し、それを基紙の一部に塗工若しくは印刷し部分的な被覆層を形成することで製造する。
【００１１】このようにして製造した偽造防止用紙に所定事項を印刷し印刷層を形成すると本発明の偽造防止印刷物が得られる。また基紙に、真珠顔料と接着剤を主体としたインキで部分的な被覆層を印刷手段で形成し、後に所定事項を印刷してもよいし、或いはこの逆でもよい。
【００１２】このようにして得られた印刷物をカラー複写機で複写すると、真珠顔料層を形成した部分（被覆層）の色は複写物には再現されない。この理由はよく解らないが、次に理由によるものと推定した。真珠顔料は板状の結晶構造の粒子よりなり、真珠光沢は表面から入射した光の多重反射で発生する。カラー複写機は原稿への照射光の入射は４５度前後であり、９０度前後の反射光で感光ドラムを露光する方式が大部分である。反射光は９０度前後の角度では真珠光沢感はほとんど失われ、複写物には真珠顔料の色は再現されない。
【００１３】真珠顔料には虹彩色を発するものがあり、見る角度で色相が変化することが特徴である。本発明で用いる真珠顔料はこの虹彩色を発する真珠顔料を用いることが特に好ましい。異なった色相の虹彩色を発する真珠顔料で塗料またはインクを別々に調製し、基紙に別々に被覆層を形成すると、人間の目では異なった虹彩色が部分的に別々に視認でき、前記と同様にカラー複写機ではその色相が再現されず、より偽造防止効果が高まるからである。
【００１４】真珠顔料と接着剤を主体とした被覆層の形状は、円、楕円、正方形、矩形、星形、ストライプ、任意の文字，図形など種々の形状が選択できる。被覆層の形成方法は特定の形状を刻んだグラビアロールを用いてグラビア塗工する方法、ストライプコーターを用いてストライプ形状の被覆層を形成する方法、印刷機を使用して特定の形状の被覆層を部分的に形成する方法等、任意の方法を採用できる。
【００１５】本発明に用いる基紙は、針葉樹晒クラフトパルプ（ＮＢＫＰ），広葉樹晒クラフトパルプ（ＬＢＫＰ），針葉樹晒サルファイトパルプ（ＮＢＳＰ），サーモメカニカルパルプ（ＴＭＰ）等の製紙用パルプを主体としこれに乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料、蛍光剤などを適宜併用し、通常フリーネス５５０〜２５０ｍｌＣ．Ｓ．Ｆ．で長網抄紙機や円網抄紙機等の公知の抄紙機を使用して抄紙する。本発明ではさらに、抄紙途上で紙面に澱粉、ポリビニルアルコール、各種表面サイズ等をサイズプレス装置等で塗工することも可能である。さらに必要に応じ、マシンカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を施し、表面平滑性を向上させることも適宜行われる。
【００１６】また本発明の偽造防止用紙は他の偽造防止手段と併用することができる。例えば、透き入れ、染色繊維との混抄、スレッドの抄込み等である。これにより偽造防止効果をより高めることができる。
【００１７】
【実施例】
実施例１ＮＢＫＰ２０重量部，ＬＢＫＰ８０重量部を３５０ｍｌＣ．Ｓ．Ｆ．に叩解し、これに白土１０重量部、紙力増強剤（商品名「ポリストロン１９１」、荒川化学工業（株）製）０．３重量部、サイズ剤（商品名「サイズパインＥ」、荒川化学工業（株）製）１．０重量部、硫酸バンドを適量加え紙料を調製し、長網抄紙機を使用して常法により坪量１００ｇ／ｍ2の基紙を抄造した。真珠顔料（商品名「マーリン・マグナパール１０００」、マール・コーポレーション製造）１００乾燥重量部、接着剤（アクリル酸エステルエマルジョン）２２０乾燥重量部よりなる塗料を調製し、ストライプコーターで幅５ｍｍのストライプを１０ｃｍ間隔で基紙に塗工し、厚み１０μｍの被覆層をストライプ状に形成し偽造防止用紙を得た。
【００１８】実施例２実施例１の偽造防止用紙に、所定事項をオフセット印刷機を使用してカラー印刷した。ストライプ状の被覆層の上にはカラー印刷は施さなかった。得られた偽造防止印刷物をトナー方式のカラー複写機（商品名「ピクセル」、キャノン（株）製造）で複写したが、ストライプ状の被覆層の真珠光沢と色相は全く複写されず、原稿と複写物の差は明確に認められた。
【００１９】実施例３下記処方の真珠顔料を含んだインクを調製した。
処方１赤色の虹彩色を発する真珠顔料（商品名「マーリン・ラスター・ピグメンツ、ハイライト・スーパーレツド９４３０Ｚ」、マール・コーポレーション製造）１００乾燥重量部、メジウム（商品名「ＭＦＧメジウム」、東洋インキ（株）製造）３００乾燥重量部、溶剤５００重量部よりなるグラビア用インクを調製した。
処方２緑色の虹彩色を発する真珠顔料（商品名「マーリン・ラスター・ピグメンツ、ハイライト・スーパーグリーン１８４３０Ｚ」、マール・コーポレーション製造）１００乾燥重量部、メジウム（商品名「ＭＦＧメジウム」、東洋インキ（株）製造）３００乾燥重量部、溶剤５００重量部よりなるグラビア用インクを調製した。実施例１の基紙にクレーコーティングを１５ｇ／ｍ2施した。ついで処方１のグラビアインクを用い、３ｍｍ×５ｍｍの形状の長方形が、１０ｃｍ×１０ｃｍの面積に５０個ランダムに触刻されたシリンダーロールを使用して印刷を施した。ついで処方２のグラビアインクを用い、３ｍｍ×３ｍｍの形状の正方形が、１０ｃｍ×１０ｃｍの面積に６０個ランダムに触刻されたシリンダーロールを使用して印刷を施した。このようにして得られた偽造防止用紙は、ある角度で赤色と緑色の虹彩色が視認できた。
【００２０】実施例４実施例３の偽造防止用紙に、所定事項をオフセット印刷機を使用して白抜け部の多い単色（黒）の印刷を施した。得られた偽造防止印刷物をトナー方式のカラー複写機（商品名「ピクセル」、キャノン（株）製造）で複写したが、長方形と正方形の被覆層の真珠光沢と虹彩色は全く複写されず、原稿と複写物の差は明確に認められた。
【００２１】
【発明の効果】以上説明したように本発明の偽造防止用紙及び偽造防止印刷物は製造され、下記に述べるような顕著な効果を有する。
１）カラー複写機で複写を試みても、基紙の一部に設けられた真珠顔料層の光沢と色相は再現できないため、偽造したものであるか否かの判定が即座に可能となる。
２）真珠顔料はおだやかな色なので、金属蒸着を利用した偽造防止用紙と比較して違和感がない。
３）印刷技術で用紙を製造できるので小ロットに対応できる。
４）古紙から製紙用繊維の回収が容易に行える。
５）このような特性を生かし、本発明の偽造防止用紙は、小切手用紙、株券用紙、債券用紙、紙幣用紙、商品券用紙、パスポート用紙、各種チケット用紙、乗車券、投票用紙などに好適に使用できる。
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、偽造防止用紙及び偽造防止印刷物に関する。より詳しくは、複写機によるコピーを行っても原稿（本物）とは全く異なった色調の複写物しか得られない偽造防止用紙及び偽造防止印刷物に関する。
【０００２】
【従来の技術】最近の複写機の精度向上は著しく、特に電子写真方式のカラー複写機の普及は各種の有価証券類等の偽造を容易にしている。これを防止するため種々の偽造防止手段が考えられているが、その一つに、現在の複写機では光輝性を有するもの、例えば金属色を再現することが出来ないことを利用したものがある。
【０００３】例えば実開昭５８−１６８７５４号に提案されているように、基紙上面に、金属色調顕著なアルミ箔などの光輝版を設け、且つ該光輝版表面に文字図柄を施してなる複写機によるコピー不能用紙の提案がある。これをコピーすると、用紙面に施された文字図柄は複写機の光線照射があると箔表面が黒ずんでコピーされるので読みとり不可能となる。この用紙は複写そのものが不可能（複写物の読みとりが出来ない）という長所はあるが、光輝版の用紙に占める面積が大きいために金属色が強調されすぎて違和感があることが欠点である。また用紙の製造工程が複雑となり、必然的にコスト高になること等の別の問題点もある。
【０００４】カラー複写機を意識した偽造防止手段としての他の方法は、特殊なインクを使用して印刷を施し、原稿とは全く異なった色彩に複写されることを利用した印刷物があり、紙幣等に応用されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技術とは全く異なった偽造防止用紙及び偽造防止印刷物を提供することを課題とする。具体的にはカラー複写機を使用して複写を試みても、基紙に形成された部分的な被覆層の色相を再現できない偽造防止用紙及び偽造防止印刷物を得ることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成したことを特徴とする偽造防止用紙である。また本発明は、基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層と所定事項を印刷した印刷層を形成したことを特徴とする偽造防止印刷物である。
【０００７】本発明に使用する真珠顔料は、天然パールエッセンスや、雲母粉末、酸化チタン被覆雲母粉末、塩基性炭酸塩、魚鱗箔等公知の真珠顔料がいずれも使用できる。これらの製法等は特公昭３５−５３６７号、特公昭３９−２８８８５号、特公昭４８−２３１７９号、特公昭４７−２９５６９号、特公昭５３−４７３７５号、特公昭５６−３９６６９号、特公昭５８−７６７４号、特公平１−２２８７３号、特公平４−４８８１２号、特開昭５８−１７４４４９号、特開昭５８−１８０５６１号、特開昭５８−２１９２２６号、特開昭５９−７８２６５号、特開昭６０−９２３５９号、特開昭６２−３４９６２号、特開昭６２−２８５９５６号、特開平４−２２７６６６号、等に記載されている技術がいずれも使用できる。
【０００８】本発明で使用する接着剤は、澱粉水溶液，アルカリカットしたカゼイン水溶液，スチレン−ブタジエン共重合ラテックス，メチルメタクリレート−ブタジエン共重合ラテックス，ポリ酢酸ビニルエマルジョン，ポリアクリル酸エステルエマルジョン等の単独若しくは混合物からなる水系の接着剤や、フェノール樹脂，アルキッド樹脂，石油樹脂，ビニル樹脂，ポリアミド樹脂，アクリル樹脂，ニトロセルロース，環化ゴム，塩化ゴム等の単独あるいは混合物を有機溶剤に溶解した接着剤等をいずれも使用できる。
【０００９】真珠顔料と接着剤の使用割合は乾燥重量換算で通常１００：５０〜５００である。この際、本発明の目的を阻害しない範囲で耐水化剤、硬化剤、着色剤、粘度調製剤、ブロッキング防止剤、防腐剤、防カビ剤等の副資材を適宜併用することもできる。
【００１０】本発明の偽造防止用紙は、前述したような真珠顔料と接着剤を主体として混合し、塗料やインクを調製し、それを基紙の一部に塗工若しくは印刷し部分的な被覆層を形成することで製造する。
【００１１】このようにして製造した偽造防止用紙に所定事項を印刷し印刷層を形成すると本発明の偽造防止印刷物が得られる。また基紙に、真珠顔料と接着剤を主体としたインキで部分的な被覆層を印刷手段で形成し、後に所定事項を印刷してもよいし、或いはこの逆でもよい。
【００１２】このようにして得られた印刷物をカラー複写機で複写すると、真珠顔料層を形成した部分（被覆層）の色は複写物には再現されない。この理由はよく解らないが、次に理由によるものと推定した。真珠顔料は板状の結晶構造の粒子よりなり、真珠光沢は表面から入射した光の多重反射で発生する。カラー複写機は原稿への照射光の入射は４５度前後であり、９０度前後の反射光で感光ドラムを露光する方式が大部分である。反射光は９０度前後の角度では真珠光沢感はほとんど失われ、複写物には真珠顔料の色は再現されない。
【００１３】真珠顔料には虹彩色を発するものがあり、見る角度で色相が変化することが特徴である。本発明で用いる真珠顔料はこの虹彩色を発する真珠顔料を用いることが特に好ましい。異なった色相の虹彩色を発する真珠顔料で塗料またはインクを別々に調製し、基紙に別々に被覆層を形成すると、人間の目では異なった虹彩色が部分的に別々に視認でき、前記と同様にカラー複写機ではその色相が再現されず、より偽造防止効果が高まるからである。
【００１４】真珠顔料と接着剤を主体とした被覆層の形状は、円、楕円、正方形、矩形、星形、ストライプ、任意の文字，図形など種々の形状が選択できる。被覆層の形成方法は特定の形状を刻んだグラビアロールを用いてグラビア塗工する方法、ストライプコーターを用いてストライプ形状の被覆層を形成する方法、印刷機を使用して特定の形状の被覆層を部分的に形成する方法等、任意の方法を採用できる。
【００１５】本発明に用いる基紙は、針葉樹晒クラフトパルプ（ＮＢＫＰ），広葉樹晒クラフトパルプ（ＬＢＫＰ），針葉樹晒サルファイトパルプ（ＮＢＳＰ），サーモメカニカルパルプ（ＴＭＰ）等の製紙用パルプを主体としこれに乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、染料、着色顔料、蛍光剤などを適宜併用し、通常フリーネス５５０〜２５０ｍｌＣ．Ｓ．Ｆ．で長網抄紙機や円網抄紙機等の公知の抄紙機を使用して抄紙する。本発明ではさらに、抄紙途上で紙面に澱粉、ポリビニルアルコール、各種表面サイズ等をサイズプレス装置等で塗工することも可能である。さらに必要に応じ、マシンカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を施し、表面平滑性を向上させることも適宜行われる。
【００１６】また本発明の偽造防止用紙は他の偽造防止手段と併用することができる。例えば、透き入れ、染色繊維との混抄、スレッドの抄込み等である。これにより偽造防止効果をより高めることができる。
【００１７】
【実施例】
実施例１ＮＢＫＰ２０重量部，ＬＢＫＰ８０重量部を３５０ｍｌＣ．Ｓ．Ｆ．に叩解し、これに白土１０重量部、紙力増強剤（商品名「ポリストロン１９１」、荒川化学工業（株）製）０．３重量部、サイズ剤（商品名「サイズパインＥ」、荒川化学工業（株）製）１．０重量部、硫酸バンドを適量加え紙料を調製し、長網抄紙機を使用して常法により坪量１００ｇ／ｍ2の基紙を抄造した。真珠顔料（商品名「マーリン・マグナパール１０００」、マール・コーポレーション製造）１００乾燥重量部、接着剤（アクリル酸エステルエマルジョン）２２０乾燥重量部よりなる塗料を調製し、ストライプコーターで幅５ｍｍのストライプを１０ｃｍ間隔で基紙に塗工し、厚み１０μｍの被覆層をストライプ状に形成し偽造防止用紙を得た。
【００１８】実施例２実施例１の偽造防止用紙に、所定事項をオフセット印刷機を使用してカラー印刷した。ストライプ状の被覆層の上にはカラー印刷は施さなかった。得られた偽造防止印刷物をトナー方式のカラー複写機（商品名「ピクセル」、キャノン（株）製造）で複写したが、ストライプ状の被覆層の真珠光沢と色相は全く複写されず、原稿と複写物の差は明確に認められた。
【００１９】実施例３下記処方の真珠顔料を含んだインクを調製した。
処方１赤色の虹彩色を発する真珠顔料（商品名「マーリン・ラスター・ピグメンツ、ハイライト・スーパーレツド９４３０Ｚ」、マール・コーポレーション製造）１００乾燥重量部、メジウム（商品名「ＭＦＧメジウム」、東洋インキ（株）製造）３００乾燥重量部、溶剤５００重量部よりなるグラビア用インクを調製した。
処方２緑色の虹彩色を発する真珠顔料（商品名「マーリン・ラスター・ピグメンツ、ハイライト・スーパーグリーン１８４３０Ｚ」、マール・コーポレーション製造）１００乾燥重量部、メジウム（商品名「ＭＦＧメジウム」、東洋インキ（株）製造）３００乾燥重量部、溶剤５００重量部よりなるグラビア用インクを調製した。実施例１の基紙にクレーコーティングを１５ｇ／ｍ2施した。ついで処方１のグラビアインクを用い、３ｍｍ×５ｍｍの形状の長方形が、１０ｃｍ×１０ｃｍの面積に５０個ランダムに触刻されたシリンダーロールを使用して印刷を施した。ついで処方２のグラビアインクを用い、３ｍｍ×３ｍｍの形状の正方形が、１０ｃｍ×１０ｃｍの面積に６０個ランダムに触刻されたシリンダーロールを使用して印刷を施した。このようにして得られた偽造防止用紙は、ある角度で赤色と緑色の虹彩色が視認できた。
【００２０】実施例４実施例３の偽造防止用紙に、所定事項をオフセット印刷機を使用して白抜け部の多い単色（黒）の印刷を施した。得られた偽造防止印刷物をトナー方式のカラー複写機（商品名「ピクセル」、キャノン（株）製造）で複写したが、長方形と正方形の被覆層の真珠光沢と虹彩色は全く複写されず、原稿と複写物の差は明確に認められた。
【００２１】
【発明の効果】以上説明したように本発明の偽造防止用紙及び偽造防止印刷物は製造され、下記に述べるような顕著な効果を有する。
１）カラー複写機で複写を試みても、基紙の一部に設けられた真珠顔料層の光沢と色相は再現できないため、偽造したものであるか否かの判定が即座に可能となる。
２）真珠顔料はおだやかな色なので、金属蒸着を利用した偽造防止用紙と比較して違和感がない。
３）印刷技術で用紙を製造できるので小ロットに対応できる。
４）古紙から製紙用繊維の回収が容易に行える。
５）このような特性を生かし、本発明の偽造防止用紙は、小切手用紙、株券用紙、債券用紙、紙幣用紙、商品券用紙、パスポート用紙、各種チケット用紙、乗車券、投票用紙などに好適に使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】 基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成したことを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項２】 真珠顔料が虹彩色を発する真珠顔料であることを特徴とする請求項１記載の偽造防止用紙。
【請求項３】 基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層と所定事項を印刷した印刷層を形成したことを特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項４】 真珠顔料が虹彩色を発する真珠顔料であることを特徴とする請求項３記載の偽造防止印刷物。
【請求項１】 基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層を形成したことを特徴とする偽造防止用紙。
【請求項２】 真珠顔料が虹彩色を発する真珠顔料であることを特徴とする請求項１記載の偽造防止用紙。
【請求項３】 基紙表面に真珠顔料と接着剤を主体とした部分的な被覆層と所定事項を印刷した印刷層を形成したことを特徴とする偽造防止印刷物。
【請求項４】 真珠顔料が虹彩色を発する真珠顔料であることを特徴とする請求項３記載の偽造防止印刷物。
【公開番号】特開平６−３１３２９８
【公開日】平成６年（１９９４）１１月８日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平５−１２４８８０
【出願日】平成５年（１９９３）４月２８日
【出願人】（０００２２５０４９）特種製紙株式会社 (45)
【公開日】平成６年（１９９４）１１月８日
【国際特許分類】
【出願日】平成５年（１９９３）４月２８日
【出願人】（０００２２５０４９）特種製紙株式会社 (45)
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