説明

傍ストーマヘルニアの治療及び予防のための方法

傍ストーマヘルニアを予防又は治療するための方法及びデバイスが提供される。本方法は、ストーマを取り囲む腹直筋鞘と腹直筋との間に移植材料を配置するステップを具えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年11月20日提出の米国仮特許出願第61/116,538号の優先権を主張し、その全体が引用によって本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
オストミーは、永久的に又は一時的に適切に機能することができない腸管又は泌尿器構造を経路変更するのに通常用いられる。このような処置においては、身体通路又は体腔と体壁との間の連結部は外科的に生成される。この連結部は一般的にはストーマと称され、老廃物は体壁の開口部を介して排出できる。オストミーは一般的には、例えば人工肛門形成、イレオストミー、及び人工膀胱形成を含む。
【0003】
オストミーは開口部を取り囲む腹壁に脆弱な領域を生成しうる。時が経つと、腹腔内の内容物はストーマの内部又は近傍に隆起し、傍ストーマヘルニアを生成しうる。ストーマヘルニアは不快であり、器具の封入が不足しており、あるいは漏れがあるため、非常に面倒である。場合によってはヘルニア状態の腸のループは閉塞され、絞扼として知られる重篤な状態を起こす可能性があり、この場合は腸への血液供給が損なわれる。いくつかの場合においては、外科的介入が傍ストーマヘルニアを修復するのに必要となる。しかしながら、ヘルニアの修復は主に外科手術であり、現行の利用可能な処置は、更なる再発を回避する点ではわずかしか成功していない。
【0004】
従って、傍ストーマヘルニアを予防又は修復するための方法及びデバイスの改善に対するニーズが依然として存在している。本開示は、傍ストーマヘルニアの予防的治療又は修復のための方法及びデバイスを提供する。
【発明の概要】
【0005】
特定の実施形態によると、傍ストーマヘルニアを予防する方法が提供される。本方法は、ストーマ部位の予防的な補強用の移植材料を選択するステップと、腹壁に腹直筋を横切る開口部を形成するステップとを具える。開口部を取り囲む腹壁の腹直筋と腹直筋鞘との間に空間が形成される。移植材料は腹直筋と腹直筋鞘との間の空間に挿入し、中空器官の一部は、中空器官と腹壁との間にストーマを形成し、移植材料が中空器官を取り囲むように、腹壁中の移植材料と開口部とを介して貫通する。中空器官の一部はオストミーを生成するために腹壁に付着する。一態様においては、移植材料は腹直筋又は腹直筋鞘に能動的に固定されない。
【0006】
特定の実施形態によると、傍ストーマヘルニアを修復する方法が提供される。本方法は、ストーマ部位の修復用の移植材料を選択するステップと、ストーマ部位を取り囲む腹壁の腹直筋と腹直筋鞘との間に空間を形成するステップとを具える。移植材料は、ストーマ部位を取り囲むように腹直筋と腹直筋鞘との間の空間に挿入し、移植材料は腹直筋又は腹直筋鞘に能動的に固定されない。
【0007】
特定の実施形態によると、傍ストーマヘルニアの発生率を回復又は低減するためのデバイスが提供される。このデバイスは移植材料を含み、この材料は開口部が略中心にある細長型のシートを含み、中央の開口部は略「X」字形状の構造を形成するように、対角線状に配置されて細長型のシートを横切る2以上の細長型のスリットによって形成される。
【0008】
前の一般的な記載及び以降の詳細な記載の双方が単なる例示及び説明であり、特許請求の範囲のように本発明を限定しないことは理解されよう。
【0009】
添付の図面は本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本発明の方法及び実施形態を例示し、本記載とともに本発明の様々な態様の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、特定の実施形態による、傍ストーマヘルニアを予防又は修復するための移植材料の例示的な実施形態の上面図である。
【図2】図2は、特定の実施形態による、ストーマ近傍の後側の腹直筋鞘と腹直筋との間に配置された移植材料の投射断面図である。
【図3】図3は、特定の実施形態による、傍ストーマヘルニアを予防又は治療するための方法のフローチャートである。
【図4】図4は、特定の実施形態による、ストーマ近傍の前側の腹直筋鞘と腹直筋との間に配置された移植材料の投射断面図である。
【図5】図5は、特定の実施形態による、ストーマ近傍の腹直筋の前側及び後側の双方の腹直筋鞘の下に配置された移植材料の投射断面図である。
【図6】図6は、特定の実施形態による、傍ストーマヘルニアを修復するための移植材料の例示的な実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は傍ストーマヘルニアを予防又は修復するための方法を提供する。いくつかの実施形態においては、本方法は腹直筋とその周囲の腹直筋鞘との間に移植材料を配置するステップを具える。いくつかの実施形態においては、移植片は縫合、ステープル、又はクリップといった能動的な固定を用いることなく、筋と鞘との間に配置される。特定の実施形態においては、移植片は後側の腹直筋の鞘と直筋との間に配置される。他の実施形態においては、移植片は前側の鞘と直筋との間に配置される。いくつかの実施形態においては、移植片は前側の鞘と直筋との間、及び後側の鞘と直筋との間の双方に配置してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態においては、移植片は、傍ストーマヘルニアを予防的に治療又は予防するために、腹直筋鞘と対応する直筋との間に配置できる。いくつかの実施形態においては、選択した移植材料は免疫学的に不活性であるか、身体内の免疫反応を回避するため免疫原性を低減している。いくつかの実施形態においては、移植材料は人工的なものではない。一実施形態においては、移植材料はコラーゲン材料である。特定の実施形態においては、組織片は無細胞組織の基質を含んでもよい。一実施形態においては、無細胞組織の基質は架橋結合のない基質である。別の実施形態においては、無細胞組織の基質は皮膚基質を含んでもよい。更に特定の実施形態においては、その材料は、外科的に生成されたストーマを取り囲む腹壁に対し構造学的に補強するように選択してもよい。更にいくつかの実施形態においては、材料は、移植後に組織の内殖を促進するように選択してもよい。材料によって急速に組織が内殖し、そのため定位置に材料が固定され、縫合、クリップ、又はステープルといった能動的な固定が必要ない。
【0013】
本開示の一実施形態においては、材料は細胞を除去し、免疫原性を低減するように処理されたブタの真皮から得てもよい。例えば、ある好適なブタ由来の組織はStrattice(商標)であり、ニュージャージー州ブランクバーグのLifecell社によって生成されたブタの皮膚組織である。組織の基質は、表皮は除去するが皮膚基質は実質的に無傷にすることによって、ブタの皮膚から得てもよい。更に、ブタ由来の組織の基質は組織の内殖と、患者自身の細胞の再構築を促進できる。他の実施形態においては、材料は表皮と細胞との双方を除去するように処理されている、ヒトの死体の皮膚から得られるコラーゲン基質(例えば、AlloDerm(商標)、ニュージャージー州ブランクバーグのLifecell社)を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態においては、材料は、最初のオストミー手順時に移植を促進するために、あるいは現存の傍ストーマヘルニアの修復のために選択できる。例えば図1は、特定の実施形態による傍ストーマヘルニアの治療又は予防用の移植材料10を例示する。図示するように、材料は単一シートの材料を含み、開口部30はそこを貫通でき、中空の腹腔内又は骨盤内器官(例えば、小腸若しくは大腸、又は泌尿器構造)の一部が通過できる。
【0015】
図示するように、いくつかの実施形態においては、移植材料10は、ライン32が対角線状に交差する、略四角形の材料を含むことができる。図示するように、ライン32は構造が略「X」字形状である開口部30を形成できる。いくつかの実施形態においては、ライン32は開口部30を形成する事前形成されたスリットを含むことができる。いくつかの実施形態においては、ライン32は、まだ切断されていないが、医者が材料10を切断して開口部30を生成できるようにガイドとして機能する、表面の標識又はミシン目であってもよい。
【0016】
図示するように、ライン32は対角線状に延在し、始点の隅部から対応する対向する隅部まで材料10を横切る。材料10を横切る距離がこの方向で最長となるようなこの構造は、いくつかの実施形態で所望されうる。従って、外科医はライン又はスリット32のうちの1以上を拡張することが必要となる場合に、拡張したライン又はスリット32の末端と材料10の隅部又は縁部との間に更なる取り囲む材料を利用できる。このようにして、外科医はスリットの大きさを更に柔軟に制御し、スリット32と材料10の縁部との間には更なる支持材料が保持される。
【0017】
以下に更に詳細に記載するように、開口部の構造はライン又はスリット32を含み、手術中の材料の調製を向上させることができる。いくつかの実施形態においては、「X」字形状の構造によって、ストーマ及び/又は周囲の組織は更に支持される。例えば、ライン又はスリット32は開口部30を貫通する組織を実質的に取り囲むタブ部又はフラップ部34を生成し、これによってストーマを形成する中空器官の組織が支持される。
【0018】
上に記載のように、いくつかの実施形態においては、移植材料10は腹直筋鞘と直筋との間に配置できる。いくつかの実施形態においては、移植材料は縫合、クリップ、又はステープルといった、定位置に材料を固定すべく材料に接触する能動的な固定を用いずに配置される。
【0019】
図2は特定の実施形態による腹壁の投射断面図を例示し、移植材料10はストーマの周りの後側の腹直筋鞘と腹直筋との間に移植されている。図2に示すように、ストーマ14は中空の腹腔内又は骨盤内器官8(腸又は泌尿器構造といった)と身体表面との間に連結部を形成する。図2に例示したように、ストーマ14によって中空器官の一部は腹壁中の開口部12を介して経路変更できる。ストーマ14を形成する大腸の一部は、ストーマ14が形成される腹腔組織層の各々を横切る。図示するようにストーマ14は弓状線の上部の直筋の位置に配置され、中空器官8は腹膜16、横筋筋膜18、後側の腹直筋鞘20、直筋22、前側の腹直筋鞘21、皮下脂肪26、及び皮膚28を横切る。中空器官8は更に、後側の腹直筋鞘20と腹直筋22との間に移植される移植材料10中の開口部30を介して貫通する。一実施形態においては、材料の移植片10はこの解剖学的位置に能動的に固定されない。
【0020】
本開示の方法は、例えばイレオストミー、人工肛門形成、及び/又は人工膀胱形成を含む任意の型のオストミーと関連する傍ストーマヘルニアを予防又は治療するのに用いることができる。更に中空器官、中空の腹腔器官、及び中空の腔といった用語は、任意の中空の腹腔内又は骨盤内の器官又は組織を称し、ストーマ又はオストミー処置で用いられうる任意の胃腸管系(例えば、任意の種類の腸管)又は泌尿器構造(例えば、尿管又は膀胱)を含むことは理解されよう。
【0021】
上に述べるように、本開示の方法によって、最初のオストミー処置時の、あるいはストーマ再配置の処置時の傍ストーマヘルニアの予防的治療が可能となる。いくつかの実施形態においては、本開示の方法によって、わずかないし中程度の更なる外科ステップ、手術時間及び/又は患者に対する外傷で、予防的な傍ストーマヘルニアの治療が可能となる。図3は傍ストーマヘルニア形成の割合を予防又は低減するための方法を例示する。ステップ80に示すように、本方法は、中空器官8の切開部が外面化されるように貫通する腹壁中の開口部又は切開部の形成から開始する。
【0022】
開口部又は切開部は、多数の異なる道具を用いて、及び、外科処置における様々な段階で形成できる。例えばいくつかの実施形態においては開口部はメスを用いて、あるいは事前にサイズ調整された器具(例えば、外套針)で形成される。多くの場合において、オストミーは外科処置の後で、例えば疾病の器官又は腸管の部分的な切除後に行われる。従って一般的には、開口部又は切開部は、最初の切開が既に開口外科処置でなされた後で、あるいは腹腔鏡のアクセスが得られた後で、生成される。
【0023】
開口部が腹壁に形成された後に、移植材料10を配置可能な空間が、ステップ82に示されるように形成される。いくつかの実施形態においては、移植材料10は腹直筋鞘20、21と腹直筋22との間に配置される。従って、外科医はストーマ部位14を取り囲む領域で、後側の腹直筋鞘20、前側の腹直筋鞘21、又は後側の腹直筋鞘20及び前側の腹直筋鞘21の双方を直筋22から分離又は切開することによって、移植材料10を配置するための空間を形成できる。
【0024】
一般的には、腹直筋鞘20、21はブラントジセクションを用いて腹直筋22から分離でき、外科医の手指又はブラント型器具を用いて実行できる。いくつかの実施形態においては、切開はストーマ14を取り囲む総ての方向で実行できる。更に、切開はストーマを生成するように形成される開口部を介して腹直筋鞘にアクセスすることによって実行できる。代替的に、切開は、開口外科処置で既になされた最初の切開を介して、あるいは初期処置のために生成した腹腔鏡の出入口を介して行ってもよい。
【0025】
一般的には、切開は選択した移植片のサイズを収容できる程度に大きな空間を生成するために行われる。例えば、好適な移植片のサイズは一般的には約6cm×6cmの正方形である。しかしながらいくつかの実施形態においては、患者の体格、以前の外科手術、及び/又は他の患者の状態に基づいて更に大きい又は小さい移植片を選択してもよい。更には、移植材料10は矩形であっても、他の構造であってもよい。いくつかの実施形態においては、外科医は移植前に、あるいはその部位で、移植材料10を所望の形状及び/又はサイズに調整するであろう。
【0026】
腹直筋鞘20、21と腹直筋22との間での空間の形成後に、ステップ84に示されるように、移植材料10の無菌シートが切開した空間に挿入される。上述のように、シートは腹壁を横切る切開部又は開口部に整列するように、一般的に配置される事前形成された開口部30を含んでもよい。
【0027】
次にステップ86に示すように、ストーマ14を形成する中空器官8を移植材料10中の開口部30を介して、及び腹壁中の開口部12を介して貫通させる。このように、中空器官8は、ストーマ部位が移植材料10によって取り囲まれるように開口部30を貫通する。更に、材料10の「X」字形状の中心部分のフラップ部34は、開口部12を横切る中空器官の一部の側壁に沿って配置される。いくつかの実施形態においては、フラップ部34は器官の側壁に並んで配置され、器官を安定化させ、更なる補強によって傍ストーマヘルニアを予防するように作用しうる。
【0028】
最後にストーマ形成は、腹壁における開口部を取り囲む皮膚又は組織に、中空器官の一部を固定することによって完成し、これによってオストミーが完成する。このように、移植材料10は縫合又は他の能動的な固定デバイスを用いずに、ストーマを取り囲む腹壁に固定されることに留意すべきである。移植材料10は腹直筋鞘20、21と直筋22との間に挟まれ、移植後の移植材料のずれ(dislodgement)を抑制する。
【0029】
いくつかの実施形態においては、移植材料10は図4に示すように、腹直筋22と前側の腹直筋鞘21との間に切開される空間に移植できる。一般的には、この位置における移植材料10の配置は、移植片の配置用に後側の腹直筋鞘と直筋との間の空間を切開するための、上に概説した同じ処置を用いて実行できる。更にいくつかの実施形態においては、図5に示すように、移植材料10を更に支持して傍ストーマヘルニアを予防又は治療するように、前側の腹直筋鞘21と直筋22との間、及び後側の腹直筋鞘20と直筋22との間に配置できる。
【0030】
いくつかの実施形態においては、本開示の方法は現存する傍ストーマヘルニアの修復を含む。現存する傍ストーマヘルニアの治療は最初のストーマ形成後に傍ストーマヘルニアの形成を予防するために用いられるのと同様の方法で行われうる。予防的治療と同様に、いくつかの実施形態においては、傍ストーマヘルニアの修復は、ストーマを取り囲む腹直筋鞘20、21の一部と腹直筋22との間に移植材料10を配置することによって実現できる。いくつかの実施形態においては、移植材料10は後側の腹直筋鞘20と直筋22との間に配置できる。いくつかの実施形態においては、移植材料10は前側の腹直筋鞘21と直筋22との間に配置できる。特定の実施形態においては、移植材料10は、後側の腹直筋鞘20と腹直筋22との間、及び前側の腹直筋鞘21と腹直筋22との間の双方に配置される。更には、移植材料10は、縫合または他の固定系を用いて能動的に固定する必要なく、この位置に配置及び維持できる。
【0031】
いくつかの実施形態においては、傍ストーマヘルニアの修復は現存するストーマを除去することなく行ってもよい。このような場合においては、ストーマ部位は最初に開口処置又は腹腔鏡処置を用いてアクセスされ、ヘルニア状態の腹腔部分が腹壁中の開口部から除去される。必要に応じて、病気の、あるいは損傷した組織は摘除してもよい。次に、空間が腹直筋鞘20、21の一部と腹直筋22との間に生成される。上述のように、これはブラントジセクションを用いてなされうる。この空間が生成された後で、移植材料10’はストーマの周りの組織を強化するように空間に配置される。図6に示すように、移植材料10’の細長型のスリット11は、中央の開口部30’から材料の周縁部に延在し、外科医は中空器官8の周りに移植片を配置できる。いくつかの実施形態においては、移植材料10’は更にタブ部34’を形成する「X」字形状の開口部30’を含む。上述のように、タブ部34’はストーマを形成する中空器官の側壁に沿って配置され、これによって器官の側壁を支持する。いくつかの実施形態においては、開口部30は円形であり、スリットは開口部から材料の周縁部に延在する。
【0032】
いくつかの実施形態においては、傍ストーマヘルニアは、ストーマを再配置又は一時的に除去することによって修復できる。例えばいくつかの実施形態においては、オストミーは周囲にある腹直筋鞘と筋組織との間に移植材料を配置できるように、周囲の組織から離脱できる。移植材料が配置された後に、腹壁を横切ってストーマを再形成するように移植材料を介して中空器官の一部を貫通させることによって、オストミーは再形成できる。他の実施形態においては、傍ストーマヘルニアは、ストーマを異なる腹部の四半円部に再配置することによって修復される。この場合においては、元のストーマ部位は、元のストーマ部位での切開ヘルニアの危険を予防するために、その周囲にある腹直筋鞘と筋との間に移植材料10を配置し、その後最初のストーマ開口部を閉塞することによって修復できる。次いで、移植材料10は新しいストーマ部位に配置されて、本明細書に記載の処置を用いて新しい部位でのヘルニアの危険を低下させる。
【0033】
いくつかの実施形態においては、本開示の方法及びデバイスは一時的なオストミーを処置するのに用いてもよい。他の実施形態においては、本方法及びデバイスは長期間又は永久であることを目的とするオストミーを処置するのに用いることができる。
【0034】
前述の記載は単なる例示であることを意図しており、その他の本発明の等価物、実施形態、及び変更物は本明細書の考察、ならびに本明細書中に開示のデバイス及び方法の実施から、当該技術分野の当業者に明らかであることは理解されよう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
傍ストーマヘルニアを予防する方法であって:
ストーマ部位の補強用の移植材料を選択するステップと;
腹壁に腹直筋を横切る開口部を形成するステップと;
前記開口部を取り囲む前記腹壁の前記腹直筋と腹直筋鞘との間に空間を切開するステップと;
前記腹直筋と前記腹直筋鞘との間の前記空間に前記移植材料を挿入するステップと;
中空器官と前記腹壁との間にストーマを形成し、前記移植材料が前記中空器官を取り囲むように、前記腹壁中の前記移植材料と前記開口部とを介して、前記中空器官の一部を貫通させるステップと;
オストミーを生成するために前記中空器官の一部を前記腹壁に付着するステップと;
を具え、前記移植材料が前記腹直筋又は前記腹直筋鞘に能動的に固定されないことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記空間が後側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間に形成されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記空間が前側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間に形成されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記空間が、前側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間、及び後側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間に形成され、第1の移植材料が前記前側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間の前記空間に挿入され、第2の移植材料が前記後側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間の前記空間に挿入されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記移植材料が人工的なものではないことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記移植材料が無細胞組織の基質であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記移植材料が皮膚基質であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記移植材料が前記腹壁中の前記開口部を介して前記空間に挿入されることを特徴とする方法。
【請求項9】
傍ストーマヘルニアを修復する方法であって:
ストーマ部位の補強用の移植材料を選択するステップと;
ストーマ部位を取り囲む腹壁の腹直筋と腹直筋鞘との間に空間を切開するステップと;
前記ストーマ部位を取り囲むように前記腹直筋と前記腹直筋鞘との間の前記空間に前記移植材料を挿入するステップと;
を具え、前記移植材料が前記腹直筋又は前記腹直筋鞘に能動的に固定されないことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記空間が後側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間に形成されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、前記空間が前側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間に形成されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法において、前記空間が、前側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間、及び後側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間に形成され、第1の移植材料が前記前側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間の前記空間に挿入され、第2の移植材料が前記後側の腹直筋鞘と前記腹直筋との間の前記空間に挿入されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、前記移植材料が人工的なものではないことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法において、前記移植材料が無細胞組織の基質であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記移植材料が皮膚基質であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項9に記載の方法が:
前記ストーマ部位を取り囲むように前記腹直筋と前記腹直筋鞘との間の前記空間に前記移植材料を挿入するステップの前に、前記腹壁から前記ストーマを脱離するステップと;
中空器官と前記腹壁との間にストーマを再形成し、前記移植材料が前記中空器官を取り囲むように、前記腹壁中の前記移植材料と開口部とを介して、前記ストーマを形成する前記中空器官の一部を貫通させるステップと;
オストミーを生成するために前記中空器官の一部を前記腹壁に付着するステップと;
を更に具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
傍ストーマヘルニアの発生率を回復又は低減するためのデバイスであって、皮膚基質の材料を含み、当該材料は、開口部が略中心にある細長型のシートを含み、中央の前記開口部が略X字形状の構造を形成するように、対角線状に配置されて前記細長型のシートを横切る2以上の細長型のスリットによって形成されることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスにおいて、当該デバイスがブタの皮膚基質を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項17に記載のデバイスにおいて、当該デバイスがヒトの皮膚基質を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項17に記載のデバイスにおいて、前記細長型のスリットのうちの1つが前記シートの縁部まで延在することを特徴とするデバイス。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−509153(P2012−509153A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537610(P2011−537610)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065087
【国際公開番号】WO2010/059789
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(504154148)ライフセル コーポレーション (13)
【氏名又は名称原語表記】LifeCell Corporation
【Fターム(参考)】