傾斜検出器及びモーションセンサー
【課題】検出信号を任意の方向に絞り込むことができる傾斜検出器及びモーションセンサーを提供する。
【解決手段】傾斜検出器は、互いの凹部S1,S2を向き合わせつつ、凹部S1,S2間に間隙を設ける絶縁体8を配置した一対の電極3A,3Bと、凹部S1,S2内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体7Aと、を有する検出器であって、可導体7Aが電極3A,3Bの凹部S1,S2内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて検出器の傾斜状態を検出する。
【解決手段】傾斜検出器は、互いの凹部S1,S2を向き合わせつつ、凹部S1,S2間に間隙を設ける絶縁体8を配置した一対の電極3A,3Bと、凹部S1,S2内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体7Aと、を有する検出器であって、可導体7Aが電極3A,3Bの凹部S1,S2内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて検出器の傾斜状態を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜状態を検出する傾斜検出器及びそれを用いたモーションセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人、動物、及び物体の動きを検出して制御に用いる機器には様々なものが存在する。このような機器に用いられ、人、動物、及び物体の動きを検出するセンサーは広くモーションセンサーと呼ばれることがある。このようなモーションセンサーには、加速度センサー、角速度センサーなどが用いられ、用途によって複数のセンサーを組み合わせて使用されるものがある。
【0003】
例えば特許文献1では、球状の電極内に球状の導電性可動体が挿入された傾斜・振動センサーで、導電性可動体と一対の電極とが接触状態であるか非接触状態であるかを検出することによって、振動や傾斜角度を検出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−365050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の傾斜・振動センサーをX軸とY軸とに設置し、モーションセンサーを構成した場合、X軸方向の振動が発生した際に、X軸、Y軸に設置したセンサーは電極及び導電性可動体がともに球状のため、X軸のセンサーだけでなく、Y軸のセンサーも反応し、両方のセンサーで信号を検出してしまう。また振動が大きい場合、可動体が電極内部で円運動を行うことでON−OFFを繰り返してしまう。これらの現象のため、一定方向の振動に対する信号の信頼性は低くなると言う課題がある。また、上記の現象に対する補正を行う場合、傾斜情報を処理する際の処理データ量が多くなってしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
〔適用例1〕互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出することを特徴とする傾斜検出器。
【0008】
適用例1の傾斜検出器では、電極を円筒状に構成し、底面を絶縁体で構成しているため、可動体の回転は側面側に限定される。これにより、可動体の動きを限定できるため、検出信号は任意の方向に絞り込むことができる。
【0009】
〔適用例2〕上記傾斜検出器であって、前記電極の前記凹部は、半円筒形であることを特徴とする傾斜検出器。
【0010】
適用例2の傾斜検出器では、電極が対称な半円筒形状であるため、導通の位置が対称となる。そのため検出情報から設定した軸方向を正確に判定することができる。また導通の位置が非対称の場合に比べ、情報処理量も減らすことができる。
【0011】
〔適用例3〕上記傾斜検出器であって、前記可動体は、円柱状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする傾斜検出器。
【0012】
適用例3の傾斜検出器では、可動体を円柱形状(円柱状)にすることで、電極の円筒内で側面方向のみに回転が可能であるため、検出したい信号を電極の側面側に限定できる。これにより検出信号を任意の方向に絞り込むことができるため、検出信号の信頼性が向上する。
【0013】
〔適用例4〕上記傾斜検出器であって、前記可動体は、球状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする傾斜検出器。
【0014】
適用例4の傾斜検出器では、可動体を球形状とするため、導通接触部が円柱状のような線接触でなく、点接触になるため、激しい回転等の際に円柱形状で生じる可能性のあるネジレ、ズレのために二点接触してしまうような誤作動を防止できる。
【0015】
〔適用例5〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記円柱状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0016】
適用例5の傾斜検出器では、電極の形成する円筒の、内部の円柱の直径及び高さと、可動体の円柱の直径を上記の関係にすることで、激しい回転の際にもネジレ、ズレを生じずに動きを一定方向に制御でき、検出信号の信頼性を向上できる。
【0017】
〔適用例6〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記球状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0018】
適用例6の傾斜検出器では、電極の形成する円筒の、内部の円柱の直径及び高さと、可動体の球の直径を上記の関係にすることで、激しい回転の際にも動きを一定方向に制御でき、検出信号の信頼性を向上できる。
【0019】
〔適用例7〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の円中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0020】
適用例7の傾斜検出器では、電極間距離を上記の関係にすることで、可動体が電極間をまたぐ際、接触せずに通過することを防げるため、信号を確実に検出できる。また十分に狭い角度であるため、高感度の検出を行うことができる。
【0021】
〔適用例8〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の球中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0022】
適用例8の傾斜検出器では、電極間距離を上記の関係にすることで、可動体が電極間をまたぐ際、接触せずに通過することを防げるため、信号を確実に検出できる。また十分に狭い角度であるため、高感度の検出を行うことができる。
【0023】
〔適用例9〕互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出する傾斜検出器を複数用いることで、互いに交差する2軸の傾斜状態を検出することを特徴とするモーションセンサー。
【0024】
適用例9のモーションセンサーでは、各検出器が電極を円筒状に構成し、底面を絶縁体で構成しているため、可動体の回転は側面側に限定される。これにより、可動体の動きを限定できるため、検出信号は任意の方向に絞り込むことができる。それにより、規定された配置でX方向の検出信号、Y方向の検出信号を正確に検出できるため、精度の高いモーションセンサーを実現できる。
【0025】
なお、以上述べた各構成は、本発明の趣向を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例における傾斜検出器の一例である傾斜センサーの外観斜視図。
【図2】本実施例における支持体の外観図。
【図3】図1のA面に相当する位置で傾斜センサーを切断したときの断面図。
【図4】本実施例として導電性可動体と空間とのサイズバランスが崩れている状態を示す縦断正面図。
【図5】本実施例として導電性可動体と空間とのサイズバランスが崩れて不具合状態を示す縦断正面図。
【図6】図1の傾斜センサーの縦断横面図。
【図7】図1の傾斜センサーの外部電極側底面図。
【図8】本実施例として対向する内部電極間の隙間を広くして感度を下げる縦断正面図。
【図9】本実施例の使用用途を示すX軸、Y軸の傾斜センサーの設置図。
【図10】図9をX軸方向に回転させたときの信号発生角度図。
【図11】(A)は、傾斜センサーが水平位置にあって内部電極が導電性可動体を介して導電している状態を示す縦断正面図。(B)は、内部電極の開口部が、重力方向に垂直にある導通時の回路図。
【図12】(A)は、傾斜センサーが傾き内部電極が導電性可動体から離れ非導電の状態を示す縦断正面図。(B)は、内部電極の開口部が、重力方向に垂直から傾き非導通にあるときの回路図。
【図13】本実施例として傾斜センサーをX、Y、Zの3軸に並べた斜視図。
【図14】本実施例として傾斜センサーを組み込んだモーションセンサーを対象物に取り付けた一例の図。
【図15】本実施例としてモーションセンサーを人体に取付け行動した発生信号を示す図。(A)は、本実施例におけるモーションセンサーのX方向移動時の信号、(B)は、本実施例におけるモーションセンサーのY方向移動時の信号、(C)は、本実施例におけるモーションセンサーのXY方向移動時の信号、(D)は、3軸とも球状センサーのX方向移動時の信号、(E)は、3軸とも球状センサーのX方向移動時の信号。
【図16】変形例1としての傾斜センサーが水平位置にあって内部電極が球状導電性可動体を介して導電している状態を示す縦断横面図。
【図17】変形例2としての内部電極を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
A.実施例の構成:
以下、実施例について、図面に従って説明する。
図1は、本実施例における傾斜検出器の一例である傾斜センサーの外観傾斜図である。傾斜センサー1は、支持体2A,2B、支持体2Aに設けられた空間領域(凹部)S1、支持体2Bに設けられた空間領域(凹部)S2、空間領域S1,S2で構成される空間領域Sが基枠をなす。その曲面部に非接触状態で設けられた、内部電極3A,3B(本発明の電極に該当)、外部電極4A,4B、基枠の底面部を構成する絶縁部5A,6B,6A,5B、基枠に内包された円柱形状(円柱状)の導電性可動体7A、及び支持体2Aと支持体2Bとの間に隙間を持たせる絶縁体8、とを備えて傾斜センサー1を構成している。
【0028】
傾斜センサー1は、略円筒状の空間領域Sの側面に内部電極3A,3Bを配し、導電性可動体7Aを空間領域S内に納めることで、導電性可動体7Aが内部電極3A,3B両方に接触する場合には通電し、どちらか一方のみに接触する場合には非通電になる。導電性可動体7Aは傾斜センサー1の姿勢により移動するため、通電/非通電に応じて傾斜センサー1の位置情報が得られる。
【0029】
また傾斜センサー1は、略円筒状の空間領域Sの底面に絶縁部5A,6B、反対面に絶縁部6A,5Bを有する。絶縁部5A,6B,6A,5Bにより、導電性可動体7Aを介しての底面での導通防止の役割を果たす。そのため、側面でのみ導通が起きるのでSN比が高くなる。
【0030】
空間領域Sと、内包されている導電性可動体7Aは互いに円柱形状であり、お互いの側面は側面に向かい合うように、底面は底面に向かい合うように配置されているため、一方向にのみ可動する。そのため、導電性可動体7Aが様々な方向から力を受けても、任意の方向の力に反応して動くため、様々な傾斜による信号検出が起きづらくなる。結果として検出信号が測定したい方向の情報であるという信頼性が向上する。
【0031】
導電性可動体7Aは、円柱形状であり、空間領域S内に配置されている。導電性可動体7Aは切削や金型などの方法で加工されたものである。このほかに表面を金メッキするなどの方法で作成する。材質の比重により選択することで対象に適した感度にすることができる。特に真鍮などが好適である。また導電性可動体7Aは略同様の位置で回転を繰り返し、回転する際に内部電極3A,3Bを傷つける虞があるため、面取りをすることが望ましい。
【0032】
図2は、本実施例における支持体2Aの外観図である。支持体2Aは、絶縁部5A,6Aと内部電極3Aと外部電極4Aとを備えている。支持体2Aは、直方体の材料に対し、切削や金型、プレスなど材質に適用した方法で半円筒状に加工され空間領域S1を形成することで形成される。支持体2Aは耐久性という観点から、SUSや真鍮のような材料を用いるのが好ましい。
【0033】
内部電極3Aは、空間領域S1の側面に対し、金メッキ処理を施すことで形成される。金メッキが良い理由として導電性が良い。外部電極4Aは、内部電極3Aと接合されており、接着等の加工方法にて、導電性物質で形成されている。図2では円筒の側面方向から内部電極3Aと接続するように記載されているが、例えば円筒の底面方向から接続させても構わない。絶縁部5A,6Aは、支持体2Aに対し未処理若しくは樹脂系の塗料や絶縁シート等で絶縁処理されて形成される。支持体2Bも上述した支持体2Aと同様に加工・形成されている。
【0034】
図3は、図1のA面に相当する位置で傾斜センサー1を切断したときの断面図である。換言すれば、傾斜センサー1が水平位置にあって内部電極3A,3Bが導電性可動体7Aを介して導電している状態を示す縦断正面図である。支持体2Aの導電性処理が施された内部電極3Aから外部に導通性物質で繋がった外部電極4Aが備えられる。対向する支持体2Bも同様に導電性処理が施された内部電極3Bから外部に導通性物質で繋がった外部電極4Bを備える。
【0035】
図3の支持体2Aの内部電極3Aと対向する支持体2Bの内部電極3Bが向き合うように絶縁体8を支持体2A、支持体2Bに接続して空間領域S1と空間領域S2とから略円筒状の空間領域Sが形成され、内部に導電性可動体7Aを内包しているため、空間領域Sから飛び出すことが防止される。
【0036】
図3の支持体2Aの内部電極3A、支持体2Bの内部電極3Bへの導電性処理の範囲は重力方向に導通処理された外部電極4A,4B側であれば処理範囲を支持体2A,3Bの縁だけにできる。
【0037】
図3の略円柱状の空間領域Sの直径Xは、導電性可動体7Aの直径の101%≦X≦135%にする。101%より小さい場合だと導電性可動体7Aの直径が空間領域Sに接触して可動しないため、傾斜センサー1にかかる傾きなどの動きに対応した信号が検出できないため、センサーとして動作できない。135%より大きい場合だと導電性可動体7Aが空間領域S内でネジレ等の現象を起こすため、異常な信号が検出される。
【0038】
図4は、本実施例として導電性可動体7Aと空間とのサイズバランスが崩れている状態を示す縦断正面図である。換言すれば、導電性可動体7Aの直径に対し空間領域Sを135%以上にした縦断正面図である。導電性可動体7Aの直径に対し空間領域Sの直径が大きくなると支持体2Aと支持体2B間の絶縁体8で決められた隙間との比率が変化し、ON/OFF信号発生角度が大きくなる。このような状態の場合、導電性可動体7Aが空間領域S内で回転以外の運動を行うことがある。
【0039】
図5は、本実施例として導電性可動体7Aと空間とのサイズバランスが崩れて不具合状態を示す縦断正面図である。換言すれば、図4における、導電性可動体7Aがネジレた場合の図である。図のように、導電性可動体7Aの両端が支持体2Aと支持体2Bとに引っかかり、信号がONのみの状態となる(二点接触状態)。また導電性可動体7Aが引っかかる状態になると、内部電極3A,3Bに傷が付くことで、内部電極3A,3Bの劣化が生じてしまう。また引っかからない場合でも、通常の支持体2A,2Bの絶縁体8を挟んだ領域と導電性可動体7Aとでの接触である、線状接触以外に、上述の二点接触状態が起きるため、検出の際のノイズが増えてしまう。
【0040】
図6は、図1の傾斜センサー1の縦断横面図である。換言すれば、傾斜センサー1が水平位置にあって内部電極3A,3Bが円柱形状の導電性可動体7Aを介して導電している状態を示す縦断横面図である。略円筒状の空間領域Sに内包されている導電性可動体7Aは円柱形状であり支持体2Aの内部電極3Aに対して絶縁部5Aと絶縁部6Aとへの動きを制限できる構造となっている。絶縁体8は、支持体2Aの支持体2Bと接合する面全体に厚みを持つように備えられている。このように絶縁体8を配することで、支持体2Aと支持体2Bとの間に一定の距離を設けることができる。これにより、内部電極3Aと内部電極3Bとが導通することを防止している。また支持体2Aと支持体2Bとの間に生じる隙間を埋めているため、内部の密閉を行うことができる。これにより湿度や結露、防水等による検出信号変化を低減することができる。
【0041】
図6の空間領域S1(S)の高さYは、導電性可動体7Aの高さの101%≦Y≦135%にする。101%より下であれば導電性可動体7Aの直径が空間領域Sに接触して可動せず信号がでないため、センサーとして動作できない。135%より上であると図5で示したように、導電性可動体7Aが空間領域S内でネジレ等の運動が起きるため、異常な信号が検出される。そのため検出感度が低下する。
【0042】
図7は、図1の傾斜センサー1の外部電極4A,4B側底面図である。換言すれば、内部底面絶縁部と外部電極4A,4Bとの取り出しを示す裏面図である。外部電極4Aは、内部電極3Aから外部に取り出した電極であり、底面では支持体2Aにスリットを作り保持する。外部電極4Bは、内部電極3Bから外部に取り出した電極であり、底面では支持体2Bにスリットを作り保持する。なお、図7のように外部電極4A,4Bの取り出し場所を互い違いにすることにより、支持体2A,2B間でのショートを防止することができる。
【0043】
図7の支持体2Aの半円筒の空間領域S1の底面には絶縁部5A,6A、支持体2Bの半円筒の空間領域S2の底面には絶縁部5B,6Bがあり、導電性可動体7Aを介しての底面での導通を防止の役割を果たす。
【0044】
また、外部電極4A,4Bは絶縁体8により接触しないよう構成されている。このように構成することで外部電極4A,4Bがショートするのを防ぐ。
【0045】
図7より、空間領域Sの直径は、半円柱の外部電極4A,4Bのそれぞれの底面における半径の和に、絶縁体8の厚さを加味する必要があることがわかる。
【0046】
図8は、本実施例として対向する内部電極3A,3B間の隙間を広くして感度を下げる縦断正面図である。図8(A)は、支持体2A,2B間にある絶縁体8を厚くした図である。支持体2A,2Bのギャップ(絶縁体)8が増加する、感度は低下するが導電性可動体7Aが転がりでる角度を45度を最大として検出角度を大きくできる。θが45度より大きい場合、導電性可動体7Aがギャップ8部分に挟まり易くなり、スムーズな移動が妨げられてしまう。
【0047】
逆に支持体2A,2B間にある絶縁体8を薄くすれば支持体2A,2Bのギャップ8が減少する、感度は向上するが導電性可動体7Aが転がりでる角度を10度を最小限に検出角度を小さくできる。θが10度より小さい場合、導電性可動体7Aがギャップ8部分で止まらず、接触不良となり、ギャップ8部分に導電性可動体7Aがあっても信号が検出されない現象が発生する。
【0048】
図8(B)は、ギャップ8と内部電極3A,3B、導電性可動体7Aの図である。
(記号説明)
R:内部電極3A,3Bの半径
r:導電性可動体7Aの半径
δ:ギャップ8の半値幅
Φ:内部電極3A,3Bの端部と内部電極3A,3Bの中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角(内部電極3A(3B)に居た導電球(導電性可動体)7Aが傾いたときにギャップ8に転がり込み始める角度)
θ:内部電極3A,3Bの端部と導電球7Aの中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角(ギャップ8に居た導電球7Aが傾いたときにギャップ8から転がり出始める角度)
【0049】
(実施した一例)
r=1(mm)、R=1.35(mm)、θ=20(度)のとき、δ=r・sinθ=0.342、Φ=sin―1(δ/R)=sin―1(0.342/1.35)=14.676(度)になり、導電球7Aが内部電極3A(3B)に居るときから傾いてギャップ8に転がり込み始める角度:Φと、導電球7Aがギャップ8に居るときから傾くことで導電球7Aがギャップ8から転がり出始める角度:θの関係を求めることができる。また上記関係が成り立つギャップ8=2δであることもわかる。この関係式を用いることでθよりギャップ8=2δを計算することができる。
【0050】
B.センサーの動作
B−1.傾斜センサーの動作
次に対象物に設置したときの動作について説明する。
図9は、本実施例の使用用途を示すX軸、Y軸の傾斜センサー1の設置図である。図9のように傾斜センサー1を側面方向にX軸、Y軸方向に設置する。設置には支持体2Aと支持体2Bとの開口部が重力方向に垂直になるように設置する。設置には各軸方向が90度であれば間隔、位置は基板の配線次第の場所に実装できる。(A)がX方向、(B)がY方向の動きを感知する。なるべく近くに実装したほうがX、Y方向互いのデータが正確になりやすい。
【0051】
図10は、図9をX軸方向に回転させたときの信号発生角度図である。換言すれば、図8で内部電極3A,3B間の隙間変更を行ったときの感度差信号(OFF/ONがθ=10度、θ=45度)を示す図である。図8のように支持体2Aと支持体2Bとの間隔を絶縁体8の厚さに調整することにより信号発生角度が変化する。この図では、上段に傾斜センサー1のθ=10度を使い横軸の回転角度に対する導通の状態(ON表示)及び非導通の状態のイメージを示す。また、下段に傾斜センサー1のθ=45度を使い横軸の回転角度に対する導通の状態(ON表示)及び非導通の状態のイメージを示す。
【0052】
図11(A)は、傾斜センサー1が水平位置にあって内部電極3A,3Bが導電性可動体7Aを介して導電している状態を示す縦断正面図である。換言すれば、導電性可動体7Aが内部電極3Aと内部電極3Bとに接触して導通状態の縦断正面図である。内部電極3Aは外部電極4Aに繋がり、内部電極3Bは外部電極4Bに繋がり傾斜センサー1の外部へ接続されている。
【0053】
図11(B)は、内部電極3A,3Bの開口部が、重力方向に垂直にある導通時の回路図である。換言すれば、傾斜センサー1が図11(A)の状態の回路図である。回路21には、直流電源23と、回路21に流れる電流を検出する検出部24と、外部電極4A、外部電極4Bが接続されたスイッチング部として機能するセンサー20とが備えられる。この時スイッチ22は閉じた状態にあるので回路21には電流が流れる。
【0054】
図12(A)は、傾斜センサー1が傾き内部電極3A,3Bが導電性可動体7Aから離れ非導電の状態を示す縦断正面図である。換言すれば、導電性可動体7Aが支持体2Bの方向に傾き内部電極3Bのみに接触した非導通状態の縦断正面図である。導電性可動体7Aは内部電極3Aと内部電極3Bとに接触して導通していたが、傾斜センサー1が支持体2Bの方向に傾くことにより、導電性可動体7Aが転がり内部電極3Bとのみ接触し、内部電極3Aとは非接触となり非導通状態となる。
【0055】
図12(B)は、内部電極3A,3Bの開口部が、重力方向に垂直から傾き非導通にあるときの回路図である。換言すれば、傾斜センサー1が図12(A)の状態の回路図である。回路21には、直流電源23と、回路21に流れる電流を検出する検出部24と、外部電極4A、外部電極4Bが接続されたスイッチング部として機能するセンサー20とが備えられる。この時スイッチ22は開いた状態にあるので回路21には電流が流れない。電流が流れない非導通状態になった場合は非導通信号が発生した傾斜センサー1の軸方向に異常が発生したことがわかる。
【0056】
B−2.モーションセンサーの動作
次に、上述の傾斜センサーを適用する一例としてモーションセンサー52の動作について説明する。
図13は、本実施例として傾斜センサーをX、Y、Zの3軸に並べた斜視図である。本実施例の傾斜センサー1をX軸、Y軸対応として設置し、従来の球状傾斜センサー50を360度対応させるためZ軸対応として設置する。傾斜センサー1の設置にはX軸、Y軸の開口部が重力方向に垂直になるように設置し、従来の球状傾斜センサー50は開口部が重力方向に水平になるように設置する。このように設置することで、XY軸に球状Z軸を追加することにより全方向感知センサーを実現できる。
【0057】
図14は、本実施例として傾斜センサー1を組み込んだモーションセンサー52を対象物に取り付けた一例の図である。傾斜センサー1にCPUや電源を含む信号検出回路10を搭載してモーションセンサー52として人の腰付近にX軸、Y軸の方向を合わせて取り付けしOFF/ON信号を解析して行動を把握する。
【0058】
図15は、本実施例としてモーションセンサー52を人体に取付け行動した発生信号を示す図である。換言すれば、実際に人に取り付けて行動した際の検出データである。参考に、球状傾斜センサー50をX,Y,Zの3軸に並べて人体に取付け行動した発生信号も示す。(A)は、本実施例におけるモーションセンサー52のX方向移動時の信号であり、(B)は、本実施例におけるモーションセンサー52のY方向移動時の信号であり、(C)は、本実施例におけるモーションセンサー52のXY方向移動時の信号である。また、(D)は、3軸とも球状傾斜センサー50のX方向移動時の信号であり、(E)は、3軸とも球状傾斜センサー50のY方向移動時の信号である。
【0059】
まず、従来の3軸とも球状傾斜センサー50のデータを示す。(D)は、X方向(前後方向)に静止からゆっくり歩行から走るまでを5段階に分けて信号を検出したものである。また(E)は、Y方向(前後方向)に3段階に分けて信号を検出したものである。(D)及び(E)より、移動方向とそれに直交する方向の信号が略同じだけでており、結果としてX軸又はY軸方向に移動していてもどちらの方向に移動しているのか判断することが難しかった。
【0060】
これに対し、(A)は、本実施例のモーションセンサー52におけるX方向(前後方向)に静止からゆっくり歩行から走るまでを5段階に分けて信号を検出したものである。(B)は、同様に本実施例のモーションセンサー52におけるY方向(左右方向)に3段階に分けて信号を検出したものである。(A)及び(B)より、X、Y方向どちらに動いた場合でも直交する成分に比べ明らかに移動方向の検出信号が大きく検出されることがわかる。
【0061】
これにより、従来の球状傾斜センサー50に比べ、移動方向に対する正確な信号検出ができることがわかる。また、ゆっくり移動している場合に関しても、移動方向と、その直交方向に関する検出信号に差があるため、移動状態についても検出が可能となる。
【0062】
次に(C)は、本実施例のモーションセンサー52におけるX軸−Y軸それぞれに対し45度の方向に移動した場合の検出データである。両軸に対し丁度45度の方向に動いた際にはX軸由来の信号とY軸由来の信号とが同程度検出できることがわかる。このことより、X軸−Y軸の中間方向に移動した場合であってもX、Y軸の信号量から移動方向を検出することが可能となる。
【0063】
生態以外の移動物体に同様に取り付けることにより移動の振動発生時に導通信号、非導通信号が検出でき、それを解析することにより動作検出も可能である。
【0064】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施例に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0065】
C−1.変形例1
図16は、本変形例としての傾斜センサーが水平位置にあって内部電極3A,3Bが球状導電性可動体を介して導電している状態を示す縦断横面図である。
上述した実施例において略円筒状の空間領域Sに内包される導電性可動体7Aを、図16のように内包される導電性可動体7Bを球状にすることにより線接触でなく点接触になるため、接触抵抗が少なくなる。モーションセンサー52を人など移動物体に使用の場合、信号検出の場合信号量が増えるため動作検出のための情報が多くなる。
【0066】
C−2.変形例2
図17は、本変形例としての内部電極3Aを示す斜視図である。
上述した実施例において、内部電極3Aを図17のように線状に設けることができる。このように内部電極3Aを設けることで、金メッキを空間領域S1の側面部全体に行うことが必要ないため、コストを抑えることができる。また上述した二点接触が起きないため、検出のノイズが低減される。また内部電極3Aを設けた側の導通を基に傾斜状態を検出できるため、導通時間が長い場合、内部電極3Aを設けた側が重力方向であることがわかるため、検出された傾斜状態の信頼性が高い。
【符号の説明】
【0067】
1…傾斜センサー(傾斜検出器)、2A,2B…支持体、3A,3B…内部電極(電極)、4A,4B…外部電極、5A,5B,6A,6B…絶縁部、7A,7B…導電性可動体(導電球)(可動体)、8…絶縁体(ギャップ)、10…信号検出回路、20…センサー、21…回路、22…スイッチ、23…直流電源、24…検出部、50…球状傾斜センサー、52…モーションセンサー、S,S1,S2…空間領域(凹部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜状態を検出する傾斜検出器及びそれを用いたモーションセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人、動物、及び物体の動きを検出して制御に用いる機器には様々なものが存在する。このような機器に用いられ、人、動物、及び物体の動きを検出するセンサーは広くモーションセンサーと呼ばれることがある。このようなモーションセンサーには、加速度センサー、角速度センサーなどが用いられ、用途によって複数のセンサーを組み合わせて使用されるものがある。
【0003】
例えば特許文献1では、球状の電極内に球状の導電性可動体が挿入された傾斜・振動センサーで、導電性可動体と一対の電極とが接触状態であるか非接触状態であるかを検出することによって、振動や傾斜角度を検出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−365050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の傾斜・振動センサーをX軸とY軸とに設置し、モーションセンサーを構成した場合、X軸方向の振動が発生した際に、X軸、Y軸に設置したセンサーは電極及び導電性可動体がともに球状のため、X軸のセンサーだけでなく、Y軸のセンサーも反応し、両方のセンサーで信号を検出してしまう。また振動が大きい場合、可動体が電極内部で円運動を行うことでON−OFFを繰り返してしまう。これらの現象のため、一定方向の振動に対する信号の信頼性は低くなると言う課題がある。また、上記の現象に対する補正を行う場合、傾斜情報を処理する際の処理データ量が多くなってしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
〔適用例1〕互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出することを特徴とする傾斜検出器。
【0008】
適用例1の傾斜検出器では、電極を円筒状に構成し、底面を絶縁体で構成しているため、可動体の回転は側面側に限定される。これにより、可動体の動きを限定できるため、検出信号は任意の方向に絞り込むことができる。
【0009】
〔適用例2〕上記傾斜検出器であって、前記電極の前記凹部は、半円筒形であることを特徴とする傾斜検出器。
【0010】
適用例2の傾斜検出器では、電極が対称な半円筒形状であるため、導通の位置が対称となる。そのため検出情報から設定した軸方向を正確に判定することができる。また導通の位置が非対称の場合に比べ、情報処理量も減らすことができる。
【0011】
〔適用例3〕上記傾斜検出器であって、前記可動体は、円柱状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする傾斜検出器。
【0012】
適用例3の傾斜検出器では、可動体を円柱形状(円柱状)にすることで、電極の円筒内で側面方向のみに回転が可能であるため、検出したい信号を電極の側面側に限定できる。これにより検出信号を任意の方向に絞り込むことができるため、検出信号の信頼性が向上する。
【0013】
〔適用例4〕上記傾斜検出器であって、前記可動体は、球状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする傾斜検出器。
【0014】
適用例4の傾斜検出器では、可動体を球形状とするため、導通接触部が円柱状のような線接触でなく、点接触になるため、激しい回転等の際に円柱形状で生じる可能性のあるネジレ、ズレのために二点接触してしまうような誤作動を防止できる。
【0015】
〔適用例5〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記円柱状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0016】
適用例5の傾斜検出器では、電極の形成する円筒の、内部の円柱の直径及び高さと、可動体の円柱の直径を上記の関係にすることで、激しい回転の際にもネジレ、ズレを生じずに動きを一定方向に制御でき、検出信号の信頼性を向上できる。
【0017】
〔適用例6〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記球状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0018】
適用例6の傾斜検出器では、電極の形成する円筒の、内部の円柱の直径及び高さと、可動体の球の直径を上記の関係にすることで、激しい回転の際にも動きを一定方向に制御でき、検出信号の信頼性を向上できる。
【0019】
〔適用例7〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の円中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0020】
適用例7の傾斜検出器では、電極間距離を上記の関係にすることで、可動体が電極間をまたぐ際、接触せずに通過することを防げるため、信号を確実に検出できる。また十分に狭い角度であるため、高感度の検出を行うことができる。
【0021】
〔適用例8〕上記傾斜検出器であって、向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の球中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする傾斜検出器。
【0022】
適用例8の傾斜検出器では、電極間距離を上記の関係にすることで、可動体が電極間をまたぐ際、接触せずに通過することを防げるため、信号を確実に検出できる。また十分に狭い角度であるため、高感度の検出を行うことができる。
【0023】
〔適用例9〕互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出する傾斜検出器を複数用いることで、互いに交差する2軸の傾斜状態を検出することを特徴とするモーションセンサー。
【0024】
適用例9のモーションセンサーでは、各検出器が電極を円筒状に構成し、底面を絶縁体で構成しているため、可動体の回転は側面側に限定される。これにより、可動体の動きを限定できるため、検出信号は任意の方向に絞り込むことができる。それにより、規定された配置でX方向の検出信号、Y方向の検出信号を正確に検出できるため、精度の高いモーションセンサーを実現できる。
【0025】
なお、以上述べた各構成は、本発明の趣向を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例における傾斜検出器の一例である傾斜センサーの外観斜視図。
【図2】本実施例における支持体の外観図。
【図3】図1のA面に相当する位置で傾斜センサーを切断したときの断面図。
【図4】本実施例として導電性可動体と空間とのサイズバランスが崩れている状態を示す縦断正面図。
【図5】本実施例として導電性可動体と空間とのサイズバランスが崩れて不具合状態を示す縦断正面図。
【図6】図1の傾斜センサーの縦断横面図。
【図7】図1の傾斜センサーの外部電極側底面図。
【図8】本実施例として対向する内部電極間の隙間を広くして感度を下げる縦断正面図。
【図9】本実施例の使用用途を示すX軸、Y軸の傾斜センサーの設置図。
【図10】図9をX軸方向に回転させたときの信号発生角度図。
【図11】(A)は、傾斜センサーが水平位置にあって内部電極が導電性可動体を介して導電している状態を示す縦断正面図。(B)は、内部電極の開口部が、重力方向に垂直にある導通時の回路図。
【図12】(A)は、傾斜センサーが傾き内部電極が導電性可動体から離れ非導電の状態を示す縦断正面図。(B)は、内部電極の開口部が、重力方向に垂直から傾き非導通にあるときの回路図。
【図13】本実施例として傾斜センサーをX、Y、Zの3軸に並べた斜視図。
【図14】本実施例として傾斜センサーを組み込んだモーションセンサーを対象物に取り付けた一例の図。
【図15】本実施例としてモーションセンサーを人体に取付け行動した発生信号を示す図。(A)は、本実施例におけるモーションセンサーのX方向移動時の信号、(B)は、本実施例におけるモーションセンサーのY方向移動時の信号、(C)は、本実施例におけるモーションセンサーのXY方向移動時の信号、(D)は、3軸とも球状センサーのX方向移動時の信号、(E)は、3軸とも球状センサーのX方向移動時の信号。
【図16】変形例1としての傾斜センサーが水平位置にあって内部電極が球状導電性可動体を介して導電している状態を示す縦断横面図。
【図17】変形例2としての内部電極を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
A.実施例の構成:
以下、実施例について、図面に従って説明する。
図1は、本実施例における傾斜検出器の一例である傾斜センサーの外観傾斜図である。傾斜センサー1は、支持体2A,2B、支持体2Aに設けられた空間領域(凹部)S1、支持体2Bに設けられた空間領域(凹部)S2、空間領域S1,S2で構成される空間領域Sが基枠をなす。その曲面部に非接触状態で設けられた、内部電極3A,3B(本発明の電極に該当)、外部電極4A,4B、基枠の底面部を構成する絶縁部5A,6B,6A,5B、基枠に内包された円柱形状(円柱状)の導電性可動体7A、及び支持体2Aと支持体2Bとの間に隙間を持たせる絶縁体8、とを備えて傾斜センサー1を構成している。
【0028】
傾斜センサー1は、略円筒状の空間領域Sの側面に内部電極3A,3Bを配し、導電性可動体7Aを空間領域S内に納めることで、導電性可動体7Aが内部電極3A,3B両方に接触する場合には通電し、どちらか一方のみに接触する場合には非通電になる。導電性可動体7Aは傾斜センサー1の姿勢により移動するため、通電/非通電に応じて傾斜センサー1の位置情報が得られる。
【0029】
また傾斜センサー1は、略円筒状の空間領域Sの底面に絶縁部5A,6B、反対面に絶縁部6A,5Bを有する。絶縁部5A,6B,6A,5Bにより、導電性可動体7Aを介しての底面での導通防止の役割を果たす。そのため、側面でのみ導通が起きるのでSN比が高くなる。
【0030】
空間領域Sと、内包されている導電性可動体7Aは互いに円柱形状であり、お互いの側面は側面に向かい合うように、底面は底面に向かい合うように配置されているため、一方向にのみ可動する。そのため、導電性可動体7Aが様々な方向から力を受けても、任意の方向の力に反応して動くため、様々な傾斜による信号検出が起きづらくなる。結果として検出信号が測定したい方向の情報であるという信頼性が向上する。
【0031】
導電性可動体7Aは、円柱形状であり、空間領域S内に配置されている。導電性可動体7Aは切削や金型などの方法で加工されたものである。このほかに表面を金メッキするなどの方法で作成する。材質の比重により選択することで対象に適した感度にすることができる。特に真鍮などが好適である。また導電性可動体7Aは略同様の位置で回転を繰り返し、回転する際に内部電極3A,3Bを傷つける虞があるため、面取りをすることが望ましい。
【0032】
図2は、本実施例における支持体2Aの外観図である。支持体2Aは、絶縁部5A,6Aと内部電極3Aと外部電極4Aとを備えている。支持体2Aは、直方体の材料に対し、切削や金型、プレスなど材質に適用した方法で半円筒状に加工され空間領域S1を形成することで形成される。支持体2Aは耐久性という観点から、SUSや真鍮のような材料を用いるのが好ましい。
【0033】
内部電極3Aは、空間領域S1の側面に対し、金メッキ処理を施すことで形成される。金メッキが良い理由として導電性が良い。外部電極4Aは、内部電極3Aと接合されており、接着等の加工方法にて、導電性物質で形成されている。図2では円筒の側面方向から内部電極3Aと接続するように記載されているが、例えば円筒の底面方向から接続させても構わない。絶縁部5A,6Aは、支持体2Aに対し未処理若しくは樹脂系の塗料や絶縁シート等で絶縁処理されて形成される。支持体2Bも上述した支持体2Aと同様に加工・形成されている。
【0034】
図3は、図1のA面に相当する位置で傾斜センサー1を切断したときの断面図である。換言すれば、傾斜センサー1が水平位置にあって内部電極3A,3Bが導電性可動体7Aを介して導電している状態を示す縦断正面図である。支持体2Aの導電性処理が施された内部電極3Aから外部に導通性物質で繋がった外部電極4Aが備えられる。対向する支持体2Bも同様に導電性処理が施された内部電極3Bから外部に導通性物質で繋がった外部電極4Bを備える。
【0035】
図3の支持体2Aの内部電極3Aと対向する支持体2Bの内部電極3Bが向き合うように絶縁体8を支持体2A、支持体2Bに接続して空間領域S1と空間領域S2とから略円筒状の空間領域Sが形成され、内部に導電性可動体7Aを内包しているため、空間領域Sから飛び出すことが防止される。
【0036】
図3の支持体2Aの内部電極3A、支持体2Bの内部電極3Bへの導電性処理の範囲は重力方向に導通処理された外部電極4A,4B側であれば処理範囲を支持体2A,3Bの縁だけにできる。
【0037】
図3の略円柱状の空間領域Sの直径Xは、導電性可動体7Aの直径の101%≦X≦135%にする。101%より小さい場合だと導電性可動体7Aの直径が空間領域Sに接触して可動しないため、傾斜センサー1にかかる傾きなどの動きに対応した信号が検出できないため、センサーとして動作できない。135%より大きい場合だと導電性可動体7Aが空間領域S内でネジレ等の現象を起こすため、異常な信号が検出される。
【0038】
図4は、本実施例として導電性可動体7Aと空間とのサイズバランスが崩れている状態を示す縦断正面図である。換言すれば、導電性可動体7Aの直径に対し空間領域Sを135%以上にした縦断正面図である。導電性可動体7Aの直径に対し空間領域Sの直径が大きくなると支持体2Aと支持体2B間の絶縁体8で決められた隙間との比率が変化し、ON/OFF信号発生角度が大きくなる。このような状態の場合、導電性可動体7Aが空間領域S内で回転以外の運動を行うことがある。
【0039】
図5は、本実施例として導電性可動体7Aと空間とのサイズバランスが崩れて不具合状態を示す縦断正面図である。換言すれば、図4における、導電性可動体7Aがネジレた場合の図である。図のように、導電性可動体7Aの両端が支持体2Aと支持体2Bとに引っかかり、信号がONのみの状態となる(二点接触状態)。また導電性可動体7Aが引っかかる状態になると、内部電極3A,3Bに傷が付くことで、内部電極3A,3Bの劣化が生じてしまう。また引っかからない場合でも、通常の支持体2A,2Bの絶縁体8を挟んだ領域と導電性可動体7Aとでの接触である、線状接触以外に、上述の二点接触状態が起きるため、検出の際のノイズが増えてしまう。
【0040】
図6は、図1の傾斜センサー1の縦断横面図である。換言すれば、傾斜センサー1が水平位置にあって内部電極3A,3Bが円柱形状の導電性可動体7Aを介して導電している状態を示す縦断横面図である。略円筒状の空間領域Sに内包されている導電性可動体7Aは円柱形状であり支持体2Aの内部電極3Aに対して絶縁部5Aと絶縁部6Aとへの動きを制限できる構造となっている。絶縁体8は、支持体2Aの支持体2Bと接合する面全体に厚みを持つように備えられている。このように絶縁体8を配することで、支持体2Aと支持体2Bとの間に一定の距離を設けることができる。これにより、内部電極3Aと内部電極3Bとが導通することを防止している。また支持体2Aと支持体2Bとの間に生じる隙間を埋めているため、内部の密閉を行うことができる。これにより湿度や結露、防水等による検出信号変化を低減することができる。
【0041】
図6の空間領域S1(S)の高さYは、導電性可動体7Aの高さの101%≦Y≦135%にする。101%より下であれば導電性可動体7Aの直径が空間領域Sに接触して可動せず信号がでないため、センサーとして動作できない。135%より上であると図5で示したように、導電性可動体7Aが空間領域S内でネジレ等の運動が起きるため、異常な信号が検出される。そのため検出感度が低下する。
【0042】
図7は、図1の傾斜センサー1の外部電極4A,4B側底面図である。換言すれば、内部底面絶縁部と外部電極4A,4Bとの取り出しを示す裏面図である。外部電極4Aは、内部電極3Aから外部に取り出した電極であり、底面では支持体2Aにスリットを作り保持する。外部電極4Bは、内部電極3Bから外部に取り出した電極であり、底面では支持体2Bにスリットを作り保持する。なお、図7のように外部電極4A,4Bの取り出し場所を互い違いにすることにより、支持体2A,2B間でのショートを防止することができる。
【0043】
図7の支持体2Aの半円筒の空間領域S1の底面には絶縁部5A,6A、支持体2Bの半円筒の空間領域S2の底面には絶縁部5B,6Bがあり、導電性可動体7Aを介しての底面での導通を防止の役割を果たす。
【0044】
また、外部電極4A,4Bは絶縁体8により接触しないよう構成されている。このように構成することで外部電極4A,4Bがショートするのを防ぐ。
【0045】
図7より、空間領域Sの直径は、半円柱の外部電極4A,4Bのそれぞれの底面における半径の和に、絶縁体8の厚さを加味する必要があることがわかる。
【0046】
図8は、本実施例として対向する内部電極3A,3B間の隙間を広くして感度を下げる縦断正面図である。図8(A)は、支持体2A,2B間にある絶縁体8を厚くした図である。支持体2A,2Bのギャップ(絶縁体)8が増加する、感度は低下するが導電性可動体7Aが転がりでる角度を45度を最大として検出角度を大きくできる。θが45度より大きい場合、導電性可動体7Aがギャップ8部分に挟まり易くなり、スムーズな移動が妨げられてしまう。
【0047】
逆に支持体2A,2B間にある絶縁体8を薄くすれば支持体2A,2Bのギャップ8が減少する、感度は向上するが導電性可動体7Aが転がりでる角度を10度を最小限に検出角度を小さくできる。θが10度より小さい場合、導電性可動体7Aがギャップ8部分で止まらず、接触不良となり、ギャップ8部分に導電性可動体7Aがあっても信号が検出されない現象が発生する。
【0048】
図8(B)は、ギャップ8と内部電極3A,3B、導電性可動体7Aの図である。
(記号説明)
R:内部電極3A,3Bの半径
r:導電性可動体7Aの半径
δ:ギャップ8の半値幅
Φ:内部電極3A,3Bの端部と内部電極3A,3Bの中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角(内部電極3A(3B)に居た導電球(導電性可動体)7Aが傾いたときにギャップ8に転がり込み始める角度)
θ:内部電極3A,3Bの端部と導電球7Aの中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角(ギャップ8に居た導電球7Aが傾いたときにギャップ8から転がり出始める角度)
【0049】
(実施した一例)
r=1(mm)、R=1.35(mm)、θ=20(度)のとき、δ=r・sinθ=0.342、Φ=sin―1(δ/R)=sin―1(0.342/1.35)=14.676(度)になり、導電球7Aが内部電極3A(3B)に居るときから傾いてギャップ8に転がり込み始める角度:Φと、導電球7Aがギャップ8に居るときから傾くことで導電球7Aがギャップ8から転がり出始める角度:θの関係を求めることができる。また上記関係が成り立つギャップ8=2δであることもわかる。この関係式を用いることでθよりギャップ8=2δを計算することができる。
【0050】
B.センサーの動作
B−1.傾斜センサーの動作
次に対象物に設置したときの動作について説明する。
図9は、本実施例の使用用途を示すX軸、Y軸の傾斜センサー1の設置図である。図9のように傾斜センサー1を側面方向にX軸、Y軸方向に設置する。設置には支持体2Aと支持体2Bとの開口部が重力方向に垂直になるように設置する。設置には各軸方向が90度であれば間隔、位置は基板の配線次第の場所に実装できる。(A)がX方向、(B)がY方向の動きを感知する。なるべく近くに実装したほうがX、Y方向互いのデータが正確になりやすい。
【0051】
図10は、図9をX軸方向に回転させたときの信号発生角度図である。換言すれば、図8で内部電極3A,3B間の隙間変更を行ったときの感度差信号(OFF/ONがθ=10度、θ=45度)を示す図である。図8のように支持体2Aと支持体2Bとの間隔を絶縁体8の厚さに調整することにより信号発生角度が変化する。この図では、上段に傾斜センサー1のθ=10度を使い横軸の回転角度に対する導通の状態(ON表示)及び非導通の状態のイメージを示す。また、下段に傾斜センサー1のθ=45度を使い横軸の回転角度に対する導通の状態(ON表示)及び非導通の状態のイメージを示す。
【0052】
図11(A)は、傾斜センサー1が水平位置にあって内部電極3A,3Bが導電性可動体7Aを介して導電している状態を示す縦断正面図である。換言すれば、導電性可動体7Aが内部電極3Aと内部電極3Bとに接触して導通状態の縦断正面図である。内部電極3Aは外部電極4Aに繋がり、内部電極3Bは外部電極4Bに繋がり傾斜センサー1の外部へ接続されている。
【0053】
図11(B)は、内部電極3A,3Bの開口部が、重力方向に垂直にある導通時の回路図である。換言すれば、傾斜センサー1が図11(A)の状態の回路図である。回路21には、直流電源23と、回路21に流れる電流を検出する検出部24と、外部電極4A、外部電極4Bが接続されたスイッチング部として機能するセンサー20とが備えられる。この時スイッチ22は閉じた状態にあるので回路21には電流が流れる。
【0054】
図12(A)は、傾斜センサー1が傾き内部電極3A,3Bが導電性可動体7Aから離れ非導電の状態を示す縦断正面図である。換言すれば、導電性可動体7Aが支持体2Bの方向に傾き内部電極3Bのみに接触した非導通状態の縦断正面図である。導電性可動体7Aは内部電極3Aと内部電極3Bとに接触して導通していたが、傾斜センサー1が支持体2Bの方向に傾くことにより、導電性可動体7Aが転がり内部電極3Bとのみ接触し、内部電極3Aとは非接触となり非導通状態となる。
【0055】
図12(B)は、内部電極3A,3Bの開口部が、重力方向に垂直から傾き非導通にあるときの回路図である。換言すれば、傾斜センサー1が図12(A)の状態の回路図である。回路21には、直流電源23と、回路21に流れる電流を検出する検出部24と、外部電極4A、外部電極4Bが接続されたスイッチング部として機能するセンサー20とが備えられる。この時スイッチ22は開いた状態にあるので回路21には電流が流れない。電流が流れない非導通状態になった場合は非導通信号が発生した傾斜センサー1の軸方向に異常が発生したことがわかる。
【0056】
B−2.モーションセンサーの動作
次に、上述の傾斜センサーを適用する一例としてモーションセンサー52の動作について説明する。
図13は、本実施例として傾斜センサーをX、Y、Zの3軸に並べた斜視図である。本実施例の傾斜センサー1をX軸、Y軸対応として設置し、従来の球状傾斜センサー50を360度対応させるためZ軸対応として設置する。傾斜センサー1の設置にはX軸、Y軸の開口部が重力方向に垂直になるように設置し、従来の球状傾斜センサー50は開口部が重力方向に水平になるように設置する。このように設置することで、XY軸に球状Z軸を追加することにより全方向感知センサーを実現できる。
【0057】
図14は、本実施例として傾斜センサー1を組み込んだモーションセンサー52を対象物に取り付けた一例の図である。傾斜センサー1にCPUや電源を含む信号検出回路10を搭載してモーションセンサー52として人の腰付近にX軸、Y軸の方向を合わせて取り付けしOFF/ON信号を解析して行動を把握する。
【0058】
図15は、本実施例としてモーションセンサー52を人体に取付け行動した発生信号を示す図である。換言すれば、実際に人に取り付けて行動した際の検出データである。参考に、球状傾斜センサー50をX,Y,Zの3軸に並べて人体に取付け行動した発生信号も示す。(A)は、本実施例におけるモーションセンサー52のX方向移動時の信号であり、(B)は、本実施例におけるモーションセンサー52のY方向移動時の信号であり、(C)は、本実施例におけるモーションセンサー52のXY方向移動時の信号である。また、(D)は、3軸とも球状傾斜センサー50のX方向移動時の信号であり、(E)は、3軸とも球状傾斜センサー50のY方向移動時の信号である。
【0059】
まず、従来の3軸とも球状傾斜センサー50のデータを示す。(D)は、X方向(前後方向)に静止からゆっくり歩行から走るまでを5段階に分けて信号を検出したものである。また(E)は、Y方向(前後方向)に3段階に分けて信号を検出したものである。(D)及び(E)より、移動方向とそれに直交する方向の信号が略同じだけでており、結果としてX軸又はY軸方向に移動していてもどちらの方向に移動しているのか判断することが難しかった。
【0060】
これに対し、(A)は、本実施例のモーションセンサー52におけるX方向(前後方向)に静止からゆっくり歩行から走るまでを5段階に分けて信号を検出したものである。(B)は、同様に本実施例のモーションセンサー52におけるY方向(左右方向)に3段階に分けて信号を検出したものである。(A)及び(B)より、X、Y方向どちらに動いた場合でも直交する成分に比べ明らかに移動方向の検出信号が大きく検出されることがわかる。
【0061】
これにより、従来の球状傾斜センサー50に比べ、移動方向に対する正確な信号検出ができることがわかる。また、ゆっくり移動している場合に関しても、移動方向と、その直交方向に関する検出信号に差があるため、移動状態についても検出が可能となる。
【0062】
次に(C)は、本実施例のモーションセンサー52におけるX軸−Y軸それぞれに対し45度の方向に移動した場合の検出データである。両軸に対し丁度45度の方向に動いた際にはX軸由来の信号とY軸由来の信号とが同程度検出できることがわかる。このことより、X軸−Y軸の中間方向に移動した場合であってもX、Y軸の信号量から移動方向を検出することが可能となる。
【0063】
生態以外の移動物体に同様に取り付けることにより移動の振動発生時に導通信号、非導通信号が検出でき、それを解析することにより動作検出も可能である。
【0064】
C.変形例:
なお、本発明は上記した実施例に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0065】
C−1.変形例1
図16は、本変形例としての傾斜センサーが水平位置にあって内部電極3A,3Bが球状導電性可動体を介して導電している状態を示す縦断横面図である。
上述した実施例において略円筒状の空間領域Sに内包される導電性可動体7Aを、図16のように内包される導電性可動体7Bを球状にすることにより線接触でなく点接触になるため、接触抵抗が少なくなる。モーションセンサー52を人など移動物体に使用の場合、信号検出の場合信号量が増えるため動作検出のための情報が多くなる。
【0066】
C−2.変形例2
図17は、本変形例としての内部電極3Aを示す斜視図である。
上述した実施例において、内部電極3Aを図17のように線状に設けることができる。このように内部電極3Aを設けることで、金メッキを空間領域S1の側面部全体に行うことが必要ないため、コストを抑えることができる。また上述した二点接触が起きないため、検出のノイズが低減される。また内部電極3Aを設けた側の導通を基に傾斜状態を検出できるため、導通時間が長い場合、内部電極3Aを設けた側が重力方向であることがわかるため、検出された傾斜状態の信頼性が高い。
【符号の説明】
【0067】
1…傾斜センサー(傾斜検出器)、2A,2B…支持体、3A,3B…内部電極(電極)、4A,4B…外部電極、5A,5B,6A,6B…絶縁部、7A,7B…導電性可動体(導電球)(可動体)、8…絶縁体(ギャップ)、10…信号検出回路、20…センサー、21…回路、22…スイッチ、23…直流電源、24…検出部、50…球状傾斜センサー、52…モーションセンサー、S,S1,S2…空間領域(凹部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、
前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出することを特徴とする傾斜検出器。
【請求項2】
前記電極の前記凹部は、半円筒形であることを特徴とする請求項1に記載の傾斜検出器。
【請求項3】
前記可動体は、円柱状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の傾斜検出器。
【請求項4】
前記可動体は、球状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の傾斜検出器。
【請求項5】
向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記円柱状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする請求項3に記載の傾斜検出器。
【請求項6】
向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記球状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする請求項4に記載の傾斜検出器。
【請求項7】
向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の円中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、
δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする請求項3に記載の傾斜検出器。
【請求項8】
向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の球中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、
δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする請求項4に記載の傾斜検出器。
【請求項9】
互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、
前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出する傾斜検出器を複数用いることで、互いに交差する2軸の傾斜状態を検出することを特徴とするモーションセンサー。
【請求項1】
互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、
前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出することを特徴とする傾斜検出器。
【請求項2】
前記電極の前記凹部は、半円筒形であることを特徴とする請求項1に記載の傾斜検出器。
【請求項3】
前記可動体は、円柱状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の傾斜検出器。
【請求項4】
前記可動体は、球状であり、かつ導電性を有する表面部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の傾斜検出器。
【請求項5】
向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記円柱状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする請求項3に記載の傾斜検出器。
【請求項6】
向き合った一対の前記電極のなす前記円筒形の直径及び高さは、前記球状の可動体の直径の101%以上かつ135%以下であることを特徴とする請求項4に記載の傾斜検出器。
【請求項7】
向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の円中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、
δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする請求項3に記載の傾斜検出器。
【請求項8】
向き合った一対の前記電極間の前記間隙2δは、前記可動体の半径をr、前記電極と前記可動体との接点と該可動体の球中心とを結ぶ線と、鉛直線とのなす角をθとした際、
δ=r・sinθの関係を満たすとともに、2θが20度以上かつ90度以下であることを特徴とする請求項4に記載の傾斜検出器。
【請求項9】
互いの凹部を向き合わせつつ、該凹部間に間隙を設ける絶縁体を配置した一対の電極と、該凹部内に変位自在に位置し、かつ少なくとも表面部は導電性を有する可動体と、を有する検出器であって、
前記可導体が前記電極の前記凹部内を変位することによって生じる導通状態と非導通状態とに基づいて前記検出器の傾斜状態を検出する傾斜検出器を複数用いることで、互いに交差する2軸の傾斜状態を検出することを特徴とするモーションセンサー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図14】
【公開番号】特開2012−248298(P2012−248298A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116644(P2011−116644)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
[ Back to top ]