説明

像ぶれ補正装置及び該像ぶれ補正装置を備えた撮影装置

【課題】 像ぶれ補正装置内部のレンズ間隔を収納し、薄い鏡筒を提供すること。
【解決手段】 撮影可能状態と収納状態を移動するレンズ鏡筒の一部である像ぶれ補正装置であって、ベース部材と、第一レンズを保持し第一レンズの光軸に直交する方向に移動可能な第一レンズユニットと、第二レンズを保持し第一レンズユニットに対して取り付けられ第二レンズの光軸に直交する方向に移動可能である第二レンズユニットと、ベース部材と前記第一レンズユニットとに挟持される転動部材を有し、第一レンズユニットと第二レンズユニットとの間隔を変更でき、撮影可能状態よりも収納状態の方が第一レンズユニットと第二レンズユニットの間隔は小さく、撮影可能状態よりも収納状態の方が第一レンズユニットとベース部材の間隔が大きく、かつ収納状態のときは転動部材がベース部材もしくは第一レンズユニットと当接しないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムカメラやデジタルカメラ等に備えられた像ぶれ補正装置に用いるレンズ群の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から銀塩フィルムを用いるフィルムカメラは広く普及しているが、近年、フィルムを使用せずに画像をメモリに取り込むことができるデジタルカメラが急速に普及している。このデジタルカメラの中には、複数の光学レンズを光軸方向に移動させ撮影倍率を変更するズーム機構を備えるものがある。このズーム機構は、複数のレンズを保持する複数のレンズ保持手段をカムリングで光軸方向に移動させ、なおかつ回転規制手段によりレンズ保持手段の回転方向への移動を規制している。この構成により光学レンズを指定の位置に移動させることができる。
【0003】
近年では高倍率化が急速に進展しており、それに伴ってレンズ群が増加したり、繰出し全長が長くなったりして大型化する傾向にある。また、カメラの薄型化の要求も強くあり、収納時の大きさを極力薄くすることが求められている。薄型化のためには各鏡筒の光軸方向の寸法を短くし、多段構成によってつなげていくことが考えられるが、複数のカムを交差することなく配置するには多くの制約があり困難である。
【0004】
また、レンズの光学設計によっては同一群内のレンズ間隔が開いており、その間隔分、カメラの厚みが増してしまうということが生じている。
【0005】
このような課題を解決するための方法として、特許文献1は、複数のレンズ群を移動させて繰り出し及び沈胴を行うレンズ鏡胴において、鏡枠が保持しているレンズ群内のレンズ間隔を変化できるようにしたことを特徴としている。この方法を採用することでレンズ群内間隔は圧縮され、カメラ総厚が薄くなる。
【0006】
また、近年カメラの手振れを補正する補正制御機能を搭載したカメラが多数開発されており、この手振れ補正機能は、カメラの振れ量をジャイロセンサで検出し、想定する補正量を、補正レンズを移動させることでカメラの振動を除去する。たとえば特許文献2の手振れ補正機能のメカ構成は、ボールの上に補正レンズを組み込んだレンズホルダーを設置し、ボールの上を転がすことでスムーズに移動できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−140339
【特許文献2】特開平9−33975
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような手振れ補正レンズにおいても、内部のレンズ間隔が開いている場合があり、この間隔もカメラの厚みを厚くする原因となっている。しかしながら、像ぶれ補正装置を設けた特許文献2の構成に、カメラの厚みを薄くすることに対して有効である上記特許文献1をそのまま当てはめようとすると、ボールやボール受け面へ余計な力を作用させて傷をつけると防振性能が低下する問題がある。
【0009】
そのため本発明は、手振れ補正機能を有するカメラにおいて、ボール保持タイプの防振レンズ群の群内レンズ間隔が開いた構成であっても、ボールの当接面やボール表面を傷つけることなく、不使用時には群内レンズ間隔を圧縮することができる。これによって、鏡筒の厚みを精度良く薄くすることが出来るカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、撮影可能状態と収納状態を移動するレンズ鏡筒の一部である像ぶれ補正装置であって、ベース部材と、第一レンズを保持し、前記第一レンズの光軸に直交する方向に移動可能な第一レンズユニットと、第二レンズを保持し、前記第一レンズユニットに対して取り付けられ、前記第二レンズの光軸に直交する方向に移動可能である第二レンズユニットと、前記ベース部材と前記第一レンズユニットとに挟持される転動部材を有し、前記第一レンズユニットと前記第二レンズユニットとの間隔を変更でき、前記撮影可能状態よりも前記収納状態の方が前記第一レンズユニットと前記第二レンズユニットの間隔は小さく、前記撮影可能状態よりも前記収納状態の方が前記第一レンズユニットと前記ベース部材の間隔が大きく、かつ前記収納状態のときは前記転動部材が前記ベース部材もしくは前記第一レンズユニットと当接しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によればボール保持タイプの防振レンズ群の群内レンズ間隔が開いた構成であっても、ボールの当接面やボール表面を傷つけることなく、不使用時には群内レンズ間隔を圧縮することができ、鏡筒の厚みを精度良く薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)本発明の一実施例における像ぶれ補正装置を有する撮影装置のレンズ鏡筒が収納状態である場合の斜視図である。(b)本発明の一実施例における像ぶれ補正装置を有する撮影装置のレンズ鏡筒が札得可能状態である場合の斜視図である。
【図2】本発明の一実施例における像ぶれ補正装置を有する撮影装置の要部を示すブロック図である。
【図3】第1の実施例における撮像装置のレンズ鏡筒が撮影可能状態である場合の、本発明の実施例に係る像ぶれ補正装置の断面図である。
【図4】第1の実施例における撮像装置のレンズ鏡筒が収納状態である場合の、本発明の実施例に係る像ぶれ補正装置の本発明の一実施例における像ぶれ補正装置の断面図である。
【図5】第1の実施例における像ぶれ補正装置の正面図である。
【図6】第1の実施例における像ぶれ補正装置の分解斜視図である。
【図7】本発明の一実施例における像ぶれ補正装置を有する撮影装置であるデジタルカメラの電源ONから撮影時のシーケンスを示すフローチャートである。
【図8】第2の実施例における撮像装置のレンズ鏡筒が撮影可能状態である場合の、本発明の実施例に係る像ぶれ補正装置の断面図である。
【図9】第2の実施例における撮像装置のレンズ鏡筒が収納状態である場合の、本発明の実施例に係る像ぶれ補正装置の本発明の一実施例における像ぶれ補正装置の断面図である。
【図10】第2の実施例における像ぶれ補正装置の正面図である。
【図11】第2の実施例における像ぶれ補正装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。なお、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。また、以下の説明では、具体的な数値、形状、動作等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。さらに、各図中には、各図の対応を明確にして理解を容易とするために、原点は特に規定せず、単に方向を示すための座標系として、カメラを正位置としたときの上方をYプラス方向としてXYZ直交座標を設けている。ここで、正位置とは、レンズ鏡筒の撮影光学系の光軸(以下、単に光軸とする)が水平であり、かつ、撮影画面の長手方向が水平方向となるカメラの姿勢を示すものとする。以下、Yプラス方向を上、Zプラス方向(すなわち、光軸被写体方向)を前とする。
【実施例1】
【0014】
図1(a)は本発明の一実施例に係る像ぶれ補正装置を具備する撮像装置であるデジタルカメラの実施形態を電源OFF状態で示した外観斜視図である。図1(b)は、該デジタルカメラを電源ON状態で示した外観斜視図である。図2は本発明の一実施例に係る像ぶれ補正装置を具備する撮像装置であるカメラ18のブロック図である。なお、図1、図2はカメラの代表的な模式図であり、本発明は上記の構成に限定されるものではない。
【0015】
図1において、18は本実施形態に係るデジタルカメラ(以下、カメラ18)である。該カメラ18の前面には、撮影レンズの焦点距離が変更可能なレンズ鏡筒19およびファインダ窓16が設けられている。レンズ鏡筒2の前面には、カメラの電源オン、オフに従って撮影レンズの光路を開閉するレンズバリア装置(図1(a)は閉状態、図1(b)は開状態)が備えられている。また、カメラ18の上面には、測光測距を行う場合の光源の補助を行う補助光窓部15、被写体に照明光を照射するストロボ装置を構成する発光窓部17が設けられている。さらに、カメラ18の上面には、撮影準備動作(焦点調節動作および測光動作)及び撮影動作(フィルムやCCD等の撮像素子への露光)を開始させるためのレリーズボタン12が設けられている。またズームレンズを駆動することで焦点距離を変更するズーム切換スイッチ13や、電源ボタン14が配置されている。
【0016】
底面には三脚取付部(不図示)、記憶媒体となるメモリーカードを差し込むためのメモリーカードドライブ(図2の42)及びバッテリー挿入部が内部に具備されているカードバッテリーカバー(不図示)が配置されている。背面には操作ボタン(図10の2)が配置され様々な機能切換えを行うことができる。なお、操作ボタン22の個数は特に限定されず、またボタンに限らなくとも同様の機能を発揮できる構成、例えばスティックやダイヤル、タッチパネルであっても良い。そして背面にはまた、ディスプレイ(図2の21)やファインダ接眼部が配置されている。ディスプレイ21は画像表示手段であり、メモリに保存された画像データやメモリーカードから読み込んだ画像データを画面上に表示する。
【0017】
図2において、カメラ18の制御部はCPU46、ROM45、RAM47からが構成され、バス44を介してレリーズボタン12、操作ボタン22、ディスプレイ21、メモリ40、メモリーカードドライブ42等の各種構成要素が接続されている。バス44を介して制御系と接続する駆動回路43には、ズームモーター駆動手段30、フォーカスモーター駆動手段31、シャッタ駆動手段32、絞り駆動手段34が接続されており、制御部からの信号により各々の駆動を制御することになる。また、CCDやCMOS等の撮像素子36、ストロボ17も接続されており、制御部からの信号により各々の駆動を制御することになる。
【0018】
ROM45には上述の各機能構成要素を制御するプログラムが記憶されている。RAM47には各制御プログラムに必要なデータが記憶されている。アナログ信号処理手段37では、取り込まれた画像データにアナログ処理を施し、A/D変換部38に出力する。A/D変換部38では取り込まれたアナログデータをデジタルデータに変換する。このデジタルデータをデジタル信号処理手段39に出力し、ここでデジタルデータの処理を行う。最終的にデジタルデータはメモリ40に記憶されることになる。
【0019】
メモリ40に記憶されたデータは操作ボタン22の操作によって圧縮伸張手段41によりJPEGやTIFF等の圧縮加工等を施しメモリーカードに出力され記憶される。メモリ40に記憶された画像データやメモリーカードドライブ42に記憶されている画像データを圧縮伸張手段41によって伸張処理を行い、その画像データをバス44を介してディスプレイ21に表示させることができる。このディスプレイ21上のデータを使用者が見ることで、その画像が不必要であると判断すると使用者は操作ボタン22の操作によって消去することができる。
【0020】
(第1の実施形態)
次に、本形態に係るカメラ18に備えられたレンズ鏡筒19の一部を構成している像ぶれ補正装置の構成について説明する。図3はカメラ18の使用状態(レンズ鏡筒19の撮影可能状態)での像ぶれ補正装置の断面図を示している。図4はカメラ18の不使用状態(レンズ鏡筒19の収納状態)での像ぶれ補正装置の断面図を示している。図5はカメラ18の像ぶれ補正装置の正面図を示している。図6はカメラ18の像ぶれ補正装置の分解斜視図を示している。
【0021】
本実施形態のブレ補正機構は、光軸に沿って被写体側(Zプラス側)から、第一レンズ保持部材2(第一レンズユニット)、ベース部材9、第二レンズ保持部材4(第二レンズユニット)を備えている。第一レンズ保持部材2(第一レンズユニット)と第二レンズ保持部材4(第二レンズユニット)はベース部材9に対して光軸に直交する方向に移動可能である。そしてブレ補正機構は不図示の駆動機構(例えば、フォロワとカム)に支持されており、ズーム動作や沈胴動作に伴い全体が光軸方向に移動を行う。
【0022】
第一のレンズ1は第一レンズ保持部材2に加締められることによって保持されている。また、第一レンズ保持部材2には、後述のベース部材9のコイルユニット11と相対する位置にマグネット2bが固定されている。2つのマグネット2bは、互いに直交する方向に着磁されている。また、磁石2bと相対する位置に位置検出する手段としてホール素子(不図示)を備えている。第一レンズ保持部材2の各移動を各ホール素子が磁界の変化として検出して、その変化量に基づいて移動量が算出される。マグネットとホール素子の位置精度は重要であるので、ホール素子は精度良く位置決めされるようになっている。
【0023】
ベース部材9は、ブレ補正機構の土台となるユニットである。ベース部材9の中心部には、開口部が設けられている。ベース部材9上にはコイルとボビンからなるコイルユニット11が2つ、ベース部材9に固定されている。上述したコイルユニット11、マグネット2bとホール素子を一組として二組ずつ設けられ、ブレ補正動作時における第一レンズ保持部材2のアクチュエータ及び位置検出として用いられる。また、ベース部材9の前方(Zプラス側)には転動部材であるボール5が3箇所に配置されており、ボール5を挟持して第一レンズ保持部材2が配置されている。
【0024】
さらに、ベース部材9と第一レンズ保持部材2とには、バネ10(第2の付勢部材)が係止されて掛け渡されており、第一レンズ保持部材2が付勢部材であるバネ10によってベース部材9に向かって付勢されている。なお、ここでは付勢部材としてのバネ10は引張りコイルばねであるとするが、第一レンズ保持部材2がベース部材9に向かって付勢されれば良い。
【0025】
第一レンズ保持部材2は、ボール5を介してベース部材9側へ押圧されており、光軸に直交する方向で移動可能となり、撮像面上の被写体像を移動することで振れを補正することができる。なお、ベース部材9にはボール5が周囲に脱落しないようにボール保持部9aが設けられている。ボール5は非磁性のセラミックボールであるとし、少なくとも3つのボール5で第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4を安定して保持できるようにしている。また、このボール保持部9aはベース部材9に溝が掘られていてもよいし、転動可能範囲を囲むように規制部が形成されていても良い。更に、本発明はボール保持部9aがベース部材9に設けられているが、第一レンズ保持部材2のみに設けられていても、またベース部材9と第一レンズ保持部材2の両方に設けられていても良い。
【0026】
同様に、第二のレンズ3は第二レンズ保持部材4に加締められることによって保持されている。また、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4は、第二レンズ保持部材4の第一結合部2aが第二レンズ保持部材4の第二結合部4bに当接することによって結合されており、光軸方向移動可能となるように略一体に構成されている。この結合方法としては、例えばバヨネット結合であるとする。そしてカメラ18の撮影状態では、図1に示すように第一結合部2aと第二結合部4bが当接することで、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4の間隔を決定する。
【0027】
第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4との間には第1の付勢部材となるスプリング6が具備されており、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4の間隔を広げる方向へ力が作用している。なお、本実施例においてスプリング6は圧縮ばねであるとする。
【0028】
以上の構成によって、カメラ18の使用状態(撮影可能状態)では、コイルユニット11に通電することで磁力を発生させ、この第一レンズ保持部材2を平面内で移動させる事によって撮像素子上の像ぶれを抑制してその補正を行うことができる。そして、第一レンズ保持部材2の動作に連動し第二レンズ保持部材4も一体になって光軸に直交する方向に相対移動してブレ補正動作を行うことができる。
【0029】
次に、第二レンズ保持部材4の光軸方向の撮像素子側には例えばフォーカスレンズ7(第三レンズ)を保持するフォーカスレンズ保持部材8(第三レンズユニット)が配置されている。カメラの電源をOFFしたときにカメラ18が使用状態(撮影可能状態)から不使用状態(収納状態)に移動する際は、ベース部材9が収納方向つまり光軸方向の撮像素子側へ移動していく。するとフォーカスレンズ保持部材8に一体で具備された当接部8aが第二レンズ保持部材4上のレンズ被収納手段4aに当接する。
【0030】
ここで、スプリング6にかかる荷重がバネ10にかかる荷重よりも小さく設定された場合、第二レンズ保持部材4のレンズ被収納手段4aが当接部8aによって押されることで第二レンズ保持部材4が第一レンズ保持部材2との間隔を狭める方向へ移動する。そして第二レンズ保持部材4と第一レンズ保持部材2との間隔が縮んだときに、第一レンズ保持部材2とボール5の接触を解除する。もしくは当接を解除することはなくとも、カメラ18の使用時(撮影可能時)の場合よりボール5がベース部材9と第1レンズ保持手段2にかける圧力は小さくなる。また、カメラ18の不使用時(鏡筒収納時)は第一レンズ保持部材2は、収納レンズ位置を規制する規制部材(例えばズーム機構33)に当接して保持されるようにしても良い。これによって、カメラ18の不使用時(鏡筒収納時)に第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4の間隔を縮めることで撮影レンズ鏡筒を薄くすることができる。また、ボール5及び第一レンズ保持部材2及びベース部材9のボール受け面への余計な力の作用を無くし、摺動する面の傷付きを防止することができる。
【0031】
一方、スプリング6にかかる荷重がバネ10にかかる荷重より大きく設定された場合、レンズ被収納手段4aが当接部8aによって押されることで第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4が一体となって光軸方向被写体側へ移動する。そして第一レンズ保持部材2とボール5の接触を解除する。もしくは当接を解除することはなくとも、カメラ18の使用時(撮影可能時)の場合よりボール5がベース部材9と第1レンズ保持手段2にかかる圧力は小さくなる。その後、第一レンズ保持部材2が規制部材(例えばズーム機構33)に当接して保持され、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4の間隔が縮まることで撮影レンズ鏡筒を薄くすることができる。
【0032】
図7は、本実施形態のデジタルカメラの電源ONから撮影終了までのフローチャートである。ステップ(以下、Sとする)10では、操作者が撮影装置の電源をONする。S20では、CPU46よりズームモーター駆動部30に指令を送り、鏡筒駆動モーターをCW(時計回り方向)回転させズーム機構48を駆動する。S30では、鏡筒駆動モーターの駆動力によりレンズ鏡筒19が撮影位置に移動したことが確認できたら鏡筒駆動モーターを停止させる。このとき図1に示す状態から図2に示す状態へレンズ鏡筒19の状態は変化する。
【0033】
S40では、操作者がレリーズボタン13をONする。S50では、測光を行い、被写体の輝度情報を得る。S60では、S50で得られた輝度情報が、規定の輝度と比べて高輝度であるか否かの判断を行う。得られた輝度情報が高輝度の場合にはS70へ進む。得られた輝度情報が既定の輝度より低輝度の場合にはS80へ進むことにより絞り34の動作は行わず撮影光路より退避した状態にしておく。S70では、得られた輝度情報が既定の輝度より高輝度であるので、絞り35を撮影光路内に侵入させ、入射光量を変化させる。S80では、フォーカスレンズ保持部材8を作動させて、フォーカスレンズ保持部材8を被写体のピントが合う位置へ移動させる。
【0034】
S90では、画像の取り込みを開始する。S100では、シャッタ33を開状態から閉状態へ移動させ、入射光量を遮る。S110では、画像取り込みを終了する。S120では、絞り35を撮影光路から退避させる。S130では、フォーカスレンズ保持部材8を初期位置に移動させ、その後動作終了となる。
【0035】
本実施例おいて、カメラ18の使用時(撮影可能時)からカメラ18の不使用時(鏡筒収納時)に移動する場合、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4は狭まることになる。しかしながら第一レンズ保持部材2とベース部材9との間隔は広がるため、ボール5が第一レンズ保持部材2もしくはベース部材9と当接しなくなる。これによって、第一レンズ保持部材2もしくはベース部材9がボール5によって傷つけられる恐れが減り、しかも鏡筒収納時の撮影レンズ鏡筒を薄くすることができる。
【0036】
(第2の実施形態)
本形態に係るカメラ18に備えられたレンズ鏡筒19の一部を構成している像ぶれ補正装置の構成について説明するが、本実施例においては、第1の実施形態とは異なる点についてのみ言及する。図7はカメラ18の使用状態(レンズ鏡筒19の撮影可能状態)での像ぶれ補正装置の断面図を示している。図8はカメラ18の不使用状態(レンズ鏡筒19の収納状態)での像ぶれ補正装置の断面図を示している。図9はカメラ18の像ぶれ補正装置の正面図を示している。図10はカメラ18の像ぶれ補正装置の分解斜視図を示している。
【0037】
本実施形態のブレ補正機構は、第1の実施形態とは異なり、光軸に沿って被写体側(Zプラス側)から、第一レンズ保持部材2(第二レンズユニット)、第二レンズ保持部材4(第一レンズユニット)、ベース部材9を備えている。そして、ベース部材9の前方(Zプラス側)には転動部材であるボール5が3箇所に配置されており、ボール5を挟持して第二レンズ保持部材4が配置されている。ベース部材9と第二レンズ保持部材4とには、バネ10(第2の付勢部材)が係止されて掛け渡されており、第二レンズ保持部材4が付勢部材であるバネ10によってベース部材9に向かって付勢されている。なお、ここでは付勢部材としてのバネ10は引張りコイルばねであるとするが、第二レンズ保持部材4がベース部材9に向かって付勢されれば良い。
【0038】
第一のレンズ1は第一レンズ保持部材2に加締められることによって保持されている。そして同様に第二のレンズ3は第二レンズ保持部材4に加締められることによって保持されており、第二レンズ保持部材2には、ベース部材9のコイルユニット11と相対する位置にマグネット2bが固定されている。
【0039】
第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4は、第二レンズ保持部材4の第二結合部4bが第二レンズ保持部材4の第一結合部2aに当接することによって結合されており、光軸方向移動可能となるように略一体に構成されている。なお、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4との間には第1の付勢部材となるスプリング6(本実施例においても圧縮ばねとする)が具備されており、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4の間隔を広げる方向へ力が作用している。そしてカメラ18の撮影状態では、図8に示すように第一結合部2aと第二結合部4bが当接することで、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4の間隔を決定する。
【0040】
以上の構成によって、カメラ18の使用状態(撮影可能状態)では、コイルユニット11に通電することで磁力を発生させ、第二レンズ保持部材4を平面内で移動させる事によって撮像素子上の像ぶれを抑制してその補正を行うことができる。そして、第二レンズ保持部材4の動作に連動し第一レンズ保持部材2も一体になって光軸に直交する方向に相対移動してブレ補正動作を行うことができる。
【0041】
また、カメラの電源をOFFしたときにカメラ18が使用状態(撮影可能状態)から不使用状態(収納状態)に移動する際は、ベース部材9が収納方向つまり光軸方向の撮像素子側へ移動していく。するとフォーカスレンズ保持部材8に一体で具備された当接部8aがベース部材9の貫通穴9bを通り抜けて第二レンズ保持部材4に当接して押すことで、第二レンズ保持部材4がベース部材9との間隔を広げる方向に移動し、ボール5の接触を解除する。カメラ18の不使用時(鏡筒収納時)は第一レンズ保持部材2は、収納レンズ位置を規制する規制部材(例えばズーム機構48)に当接して収納状態へ移行する。このため、カメラ18の不使用時(鏡筒収納時)に第一レンズ保持部材2がズーム機構48に押されることによって、第一レンズ保持部材2と第二レンズ保持部材4の間隔を縮めることで撮影レンズ鏡筒を薄くすることができる。また、ボール5及び第一レンズ保持部材2及びベース部材9のボール受け面への余計な力の作用を無くし、摺動する面の傷付きを防止することができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影可能状態と収納状態を移動するレンズ鏡筒の一部である像ぶれ補正装置であって、
ベース部材と、
第一レンズを保持し、前記第一レンズの光軸に直交する方向に移動可能な第一レンズユニットと、
第二レンズを保持し、前記第一レンズユニットに対して取り付けられ、前記第二レンズの光軸に直交する方向に移動可能である第二レンズユニットと、
前記ベース部材と前記第一レンズユニットとに挟持される転動部材を有し、
前記第一レンズユニットと前記第二レンズユニットとの間隔を変更でき、前記撮影可能状態よりも前記収納状態の方が前記第一レンズユニットと前記第二レンズユニットの間隔は小さく、前記撮影可能状態よりも前記収納状態の方が前記第一レンズユニットと前記ベース部材の間隔が大きく、かつ前記収納状態のときは前記転動部材が前記ベース部材もしくは前記第一レンズユニットと当接しないことを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項2】
前記第一レンズユニットは前記ベース部材に対して被写体側に位置し、
前記第二レンズユニットは前記ベース部材に対して撮像素子側に位置することを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項3】
前記第二レンズユニットは前記第一レンズユニットに対して被写体側に位置し、
前記ベース部材は前記第一レンズユニットに対して撮像素子側に位置することを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。
【請求項4】
請求項3に記載の像ぶれ補正装置を備えたレンズ鏡筒であって、
前記レンズ鏡筒は第三レンズと前記第三レンズを保持する第三レンズユニットとを更に有し、
前記第三レンズユニットは、前記収納状態のときに前記ベース部材の貫通穴を通じて前記第一レンズユニットと当接する当接部を有するレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の像ぶれ補正装置を備えたレンズ鏡筒であって、
前記レンズ鏡筒は前記像ぶれ補正装置よりも光軸方向被写体側にズームユニットを更に有し、
前記ズームユニットは、前記収納状態のときに前記第一レンズユニットと当接するレンズ鏡筒。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のレンズ鏡筒を有する撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−141373(P2011−141373A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1196(P2010−1196)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】