説明

像位置調整方法、及び、像位置調整装置

【課題】像位置調整方法及び像位置調整装置において、撮像装置の像位置を正確に調整する。
【解決手段】像位置調整方法は、光源から出射された、像位置調整対象である撮像装置20の撮像素子21を照明するための照明光L1の光路を、半透過膜13aを有する光学部材(プリズム13)を用いることで、照明光L1の撮像素子21からの反射光L2が入射する投影光学系12の光軸Aに一致させ、撮像素子21の観察画像に基づき、撮像素子21に入射光を結像する撮像装置20の撮像光学系22と撮像素子21との間隔Dを調整して像位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の像位置を調整する像位置調整方法及び像位置調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、望遠状態での描写性能評価用のチャート板及び広角状態での描写性能評価用のチャート板を用いて、これらのチャート板に描かれた解像力評価用チャート図を撮像することで、カメラの描写性能を評価する描写性能評価装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−206993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の描写性能評価装置は、チャート板を一様に照明することができない。そのため、解像力評価用チャート図の読み取りバラツキが発生し、描写性能を正確に評価することができなくなることで、所望のピントが得られないという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、撮像装置の像位置を正確に調整することができる像位置調整方法及び像位置調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の像位置調整方法は、光源から出射された、像位置調整対象である撮像装置の撮像素子を照明するための照明光の光路を、半透過膜を有する光学部材を用いることで、上記照明光の記撮像素子からの反射光が入射する投影光学系の光軸に一致させ、上記撮像素子の観察画像に基づき、上記撮像素子に入射光を結像させる上記撮像装置の撮像光学系と上記撮像素子との間隔を調整して像位置を調整する。
【0007】
また、上記像位置調整方法において、上記撮像素子の上記観察画像の中心部分を含む一部を複数に分割した各部のコントラストを測定し、このコントラストが基準を満たすように上記像位置を調整するようにしてもよい。
【0008】
本発明の像位置調整装置は、像位置調整対象である撮像装置の撮像素子を照明するための照明光を出射する光源と、上記照明光の上記撮像素子からの反射光が入射する投影光学系と、半透過膜を有し、上記光源から出射された上記照明光の光路を、上記投影光学系の光軸に一致させることが可能な光学部材と、上記撮像素子に入射光を結像させる上記撮像装置の撮像光学系と上記撮像素子との間隔を調整して像位置を調整する間隔調整装置と、上記間隔調整装置を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮像装置の像位置を正確に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る像位置調整装置と、像位置調整対象である撮像装置とを示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る像位置調整方法を説明するためのコンピュータの表示部を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る像位置調整方法及び像位置調整装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る像位置調整装置10と、像位置調整対象である撮像装置20とを示す概略構成図である。
【0012】
図1に示すように、像位置調整装置10は、光源11と、投影光学系12と、半透過膜13aを有する光学部材の一例であるプリズム13と、観察用撮像素子14と、制御部15aを有するコンピュータ15と、を備える。
【0013】
撮像装置20は、調整対象撮像素子(撮像素子)21と、撮像光学系22とを備える。
光源11は、像位置調整対象である撮像装置20の調整対象撮像素子21を照明する照明光L1を出射する。
【0014】
投影光学系12は、複数の光学素子を有する。複数の光学素子としては、例えば、入射側から出射側へ順に、両凸レンズ12a、両凹レンズ12b、両凸レンズ12c、両凸レンズ12d、両凹レンズ12e、両凸レンズ12が配置されている。
【0015】
投影光学系12には、撮像装置20の調整対象撮像素子21からの反射光L2が入射する。
プリズム13は、投影光学系12の両凸レンズ12cと両凸レンズ12dとの間に配置されている。また、プリズム13は、例えば金属薄膜である半透過膜13aを有し、光源11から出射された照明光L1の光路を、投影光学系12の光軸Aに一致させることが可能である。
【0016】
半透過膜13aは、例えば2つの三角柱の部材の間に形成されている。半透過膜13aは、光源11からの照明光L1を撮像装置20側へ投影光学系12の光軸A方向に反射させることで、照明光L1の光路を投影光学系12の光軸Aに一致させる。
【0017】
観察用撮像素子14には、投影光学系12により調整対象撮像素子21の像が結像される。観察用撮像素子14は、撮像信号を出力し、その撮像信号はコンピュータ15の例えば図示しないI/F部により取得される。コンピュータ15は、観察用撮像素子14により撮像された観察画像(撮像装置20の調整対象撮像素子21の観察画像)を表示する表示部15bを有する。
【0018】
撮像装置20の調整対象撮像素子21は、プリズム13により反射された照明光L1(調整対象撮像素子21の入射光)を撮像光学系22によって、結像される。
調整対象撮像素子21は、間隔調整装置30によって、撮像光学系22との間隔Dを調整される。これにより、撮像装置20の像位置が調整される。なお、上記の間隔Dを調整するには、調整対象撮像素子21及び撮像光学系22のうち少なくとも一方を移動させるようにすればよい。
【0019】
撮像光学系22は、複数の光学素子を有する。複数の光学素子としては、例えば、入射側から出射側へ順に、片凸レンズ22a、メニスカスレンズ22b、メニスカスレンズ22c、片凸レンズ22d、両凸レンズ22eが配置されている。
【0020】
間隔調整装置30は、CPUである制御部15aによって像位置を調整するように制御される。制御部15aは、像位置調整装置10の観察用撮像素子14の観察結果に基づき、間隔調整装置30を制御して上記の間隔Dを調整する。
なお、撮像装置20は、例えば、図1に示すXYZの3軸方向に移動可能であると共に、光軸(投影光学系の光軸Aと同一)方向に移動可能である。
【0021】
以下、本実施の形態に係る像位置調整方法について説明する。なお、上述の説明と重複する点については、説明を適宜省略する。
図2は、本実施の形態に係る像位置調整方法を説明するためのコンピュータ15の表示部15bを拡大して示す説明図である。
【0022】
図1において、撮像装置20は、撮像光学系22の光軸が像位置調整装置10の投影光学系12の光軸Aに対向するように配置されている。
まず、光源11が、照明光L1を出射する。この照明光L1は、プリズム13の半透過膜13aによって、投影光学系12の光軸A方向のうち撮像装置20側へ反射される。
【0023】
そして、照明光L1は、投影光学系12の両凸レンズ12c、両凹レンズ12b、両凸レンズ12a、撮像光学系22へ順に導光されて撮像装置20の調整対象撮像素子21に照射される。
【0024】
照明光L1の調整対象撮像素子21からの反射光L2は、光路(即ち、照明光L1の光路)が投影光学系12の光軸Aに一致するように調整対象撮像素子21において反射し、撮像光学系22、投影光学系12の両凸レンズ12a、両凹レンズ12b、両凸レンズ12cへ順に導光されてプリズム13の半透過膜13aを透過する。
【0025】
また、半透過膜13aを透過した反射光L2は、投影光学系12の両凸レンズ12d、両凹レンズ12e、両凸レンズ12fへ順に導光され、観察用撮像素子14に撮像装置20の調整対象撮像素子21像が結像される。
【0026】
観察用撮像素子14は、撮像信号を出力し、その撮像信号はコンピュータ15により取得される。コンピュータ15は、観察用撮像素子14により撮像された観察画像(撮像装置20の調整対象撮像素子21の観察画像)を表示部15bに表示する。なお、本実施の形態では、観察画像が表示部15bに表示されるが、観察画像が表示部15bに表示されなくともよい。
【0027】
制御部15aは、観察用撮像素子14により取得した調整対象撮像素子21の観察画像に基づき、撮像装置20の撮像光学系22と調整対象撮像素子21との間隔Dを調整して像位置を調整する。
【0028】
像位置を調整する際には、制御部15aは、例えば、図2の表示部15bに表示される調整対象撮像素子21の観察画像21aの中心部分(例えば観察画像21aの中心点)を含む一部を複数に分割した各部(例えば、m×n(m・nは、それぞれ2以上の自然数)に分割)21a−11〜21a−mnのコントラストを測定する。
【0029】
なお、観察画像21aの中心部分を含む一部とは、例えば図2の表示部15bに表示されている矩形部分であるが、観察画像21aの中心部分を含んでいれば形状は限定されない。
【0030】
そして、制御部15は、各部21a−11〜21a−mnのコントラストの平均値が例えば閾値以上となる場合などの、コントラストの基準を満たすように、間隔調整装置30によって撮像光学系22と調整対象撮像素子21との間隔Dを調整して、撮像装置20の像位置を調整する。
【0031】
以上説明した本実施の形態では、半透過膜13aを有するプリズム(光学部材)13は、像位置調整対象である撮像装置20の調整対象撮像素子21を照明する照明光L1の光路を、この照明光L1の調整対象撮像素子21からの反射光L2が入射する投影光学系12の光軸Aに一致させる。また、制御部15a及び間隔調整装置30は、調整対象撮像素子21の観察画像に基づき、調整対象撮像素子21に入射光を結像する撮像装置20の撮像光学系22と調整対象撮像素子21との間隔Dを調整して像位置を調整する。
【0032】
そのため、調整対象撮像素子21に照明光L1を一様に照射して、調整対象撮像素子21の観察精度を高めることができる。
よって、本実施の形態によれば、撮像装置20の像位置を正確に調整することができる。
【0033】
更には、公知の特許文献1(特開平10−206993号公報)の描写性能評価装置のように焦点距離の違いごとに解像力評価用チャート図を用意してそれを撮像するという工程が不要であるため、簡素な構成で簡単に像位置を調整することができる。
【0034】
また、本実施の形態では、調整対象撮像素子21の観察画像21aの中心部分を含む一部を複数に分割した各部21a−11〜21a−mnのコントラストを測定し、そのコントラストが基準を満たすように像位置を調整する。そのため、例えば撮像光学系22のレンズに面形状誤差が発生すると、観察画像21aの中心近傍においても解像力に差が生じるが、各部21a−11〜21a−mnのコントラストが基準を満たすように像位置を調整することで、より一層正確に像位置を調整することができる。
【0035】
なお、本実施の形態の撮像装置20は、撮像素子21と撮像光学系22との間隔を調整することで像位置調整を行うことができるものであればよい。また、撮像装置20は、例えば、内視鏡装置に適用してもよい。
【0036】
また、光源11と観察用撮像素子14との位置を入れ替えることができる。その場合、投影光学系12の配置を変更すればよい。
【符号の説明】
【0037】
10 像位置調整装置
11 光源
12 投影光学系
12a 両凸レンズ
12b 両凹レンズ
12c 両凸レンズ
12d 両凸レンズ
12e 両凹レンズ
12f 両凸レンズ
13 プリズム(光学部材)
13a 半透過膜
14 観察用撮像素子
15 コンピュータ
15a 制御部
15b 表示部
20 撮像装置(像位置調整対象)
21 調整対象撮像素子(撮像素子)
21a 観察画像
22 撮像光学系
22a 片凸レンズ
22b メニスカスレンズ
22c メニスカスレンズ
22d 片凸レンズ
22e 両凸レンズ
30 間隔調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された、像位置調整対象である撮像装置の撮像素子を照明するための照明光の光路を、半透過膜を有する光学部材を用いることで、前記照明光の前記撮像素子からの反射光が入射する投影光学系の光軸に一致させ、
前記撮像素子の観察画像に基づき、前記撮像素子に入射光を結像させる前記撮像装置の撮像光学系と前記撮像素子との間隔を調整して像位置を調整する、像位置調整方法。
【請求項2】
前記撮像素子の前記観察画像の中心部分を含む一部を複数に分割した各部のコントラストを測定し、
該コントラストが基準を満たすように前記像位置を調整する、請求項1記載の像位置調整方法。
【請求項3】
像位置調整対象である撮像装置の撮像素子を照明するための照明光を出射する光源と、
前記照明光の前記撮像素子からの反射光が入射する投影光学系と、
半透過膜を有し、前記光源から出射された前記照明光の光路を、前記投影光学系の光軸に一致させることが可能な光学部材と、
前記撮像素子に入射光を結像させる前記撮像装置の撮像光学系と前記撮像素子との間隔を調整して像位置を調整する間隔調整装置と、
前記間隔調整装置を制御する制御部と、を備える、像位置調整装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−242723(P2012−242723A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114536(P2011−114536)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】