説明

充填ポリマー複合物

少なくとも1つのポリマー樹脂及び気泡を含む充填樹脂複合物であって、前記気泡の平均サイズD50が25マイクロメートル以下であり、前記気泡の10%崩壊強度が少なくとも68.8MPa(10,000PSI)である充填樹脂複合物が開示される。こうした樹脂は、驚くべき、これまで達成されていない、優れた物理的特性の組合せを示す。こうした複合物で製造される物品が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空微小球又は気泡が充填されたポリマー又は樹脂複合物に関する。
【背景技術】
【0002】
高価なポリマー構成成分と置き換えるため、又は得られる物品の密度を低減するために、ポリマー複合物(例えば、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂)中に中空微小球を組み込むことは、当該技術分野において既知である。例えば、3M社(3M Company)は、とりわけ、ポリマー複合物における充填剤として使用される3MブランドS60HSガラス気泡を販売している。こうしたガラス気泡の平均サイズD50は29マイクロメートルであり、平均サイズD90は45マイクロメートルである。
【0003】
ガラス気泡は、最終複合物の密度をうまく低減するために使用されることが多いが、そのような結果として生じる複合物は、衝撃強度及び引張り強度のような特定の物理的特性の望ましくない損失を示すことが多い。非補強充填剤をポリマーマトリックスに組み込むと、充填ポリマー組成物の機械的強度(引張、衝撃等)の減少を引き起こす。非補強充填剤は、アスペクト比(長さ/直径)が2未満であるあらゆる粒子と定義され得る。機械的強度の損失は、主にポリマー鎖の絡み合い能力の破壊を引き起こす充填剤に起因し、同様にポリマーと充填剤の効率の悪い接着に起因すると考えられている;ここで接着強度は、ポリマー鎖自体の引張り強度より小さいとされる。充填剤粒子とポリマーマトリックスの接着強度を改善するためにカップリング剤(例えば、シラン処理)を使用することが知られているが、得られる複合物の物理的特性の更なる改善が望まれる。
【0004】
充填樹脂複合物の実例は、米国特許第3,769,126号(コレック(Kolek))、同第4,243,575号(マイヤーズ(Myers)ら)、同第4,923,520号(安西(Anzai)ら)、及び同第5,695,851号(渡辺(Watanabe)ら)、並びに欧州特許出願EP1,142,685(アケソン(Akesson))に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中空微小球が充填されたポリマー複合物又は樹脂マトリックスの改善への要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、中空微小球又は気泡を含有するポリマー又は樹脂複合物、並びにこうした複合物で製造される物品を対象とする。改善された特性を示す、得られる複合物は、以下に記載するような特定の中空微小球を使用して製造できることが見出された。
【0007】
概要で、本発明の複合物は、ポリマー又は樹脂マトリックス、並びに本明細書に記載された複数個の中空微小球を含む。微小球が、これまでに既知の複合物において使用される微小球よりも比較的小さく比較的強いという点で、本発明の複合物は従来の複合物と異なる。
【0008】
本発明の複合物は、衝撃強度及び伸長が挙げられる優れた物理的特性の驚くべき、これまで達成されていない組合せを示す。本発明に従うと、こうした複合物で製造される物品は、驚くべき有利な結果を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の目的のために、この出願で使用される以下の用語は、次のように定義される:
「平均サイズD50」は、平均して、微小球の50%(数で)の直径が等しい又はこれより大きい直径である。
【0010】
「平均サイズD90」は、平均して、微小球の90%(数で)の直径が等しい又はこれより大きい直径である。
【0011】
本発明の複合物は、ポリマー又は樹脂マトリックス及び複数個の中空微小球を含む。場合によっては、本発明の複合物は、こうしたマトリックス、下記の微小球、及び所望の添加剤から本質的に成る。
【0012】
微小球
典型的に、本発明の複合物において使用される中空微小球の平均サイズD50は25マイクロメートル以下であり、ASTM D3102−72;「中空ガラス微小球の流体静力学的崩壊強度」を使用して測定する10%崩壊強度は少なくとも68.8MPa(10,000PSI)であろう。
【0013】
こうした複合物から複合物品を製造するとき一般に遭遇する熱可塑性押出及び射出成形操作に耐えるために、気泡の10%破砕強度は、好ましくは少なくとも103MPa(15,000PSI)、より好ましくは少なくとも124MPa(18,000PSI)である。
【0014】
本発明の複合物において使用される気泡は、複合物において従来使用されるものよりも小さい。典型的に、気泡の平均サイズD50は、約25ミクロン以下、好ましくは約20ミクロン以下であろう。典型的に、気泡の平均サイズD90は約50ミクロン以下、好ましくは約40ミクロン以下であろう。いくつかの実例となる好ましい実施形態では、気泡の平均D50サイズは約25ミクロン以下、平均D90サイズは約50ミクロン以下であり、他のいくつかの実例となる実施形態では、平均D50サイズは約20ミクロン以下、平均D90サイズは約40ミクロン以下でさえある。
【0015】
微小球は、ガラス又はセラミック材料を包含することが好ましく、中空ガラス微小球であることが最も好ましい。
【0016】
ポリマーマトリックス
一般に、ポリマーマトリックスは、中空微小球が採用されてよいあらゆる熱可塑性又は熱硬化性ポリマーあるいはコポリマーである。ポリマーマトリックスは、炭化水素ポリマー及び非炭化水素ポリマーの両方を包含する。有用なポリマーマトリックスの例としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリ尿素、ポリビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、及びフッ素化ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
1つの好ましい適用としては、構成要素が押出ポリマー物品又は成型ポリマー物品の形成前に溶融混合段階で分散する溶融加工可能なポリマーが挙げられる。
【0018】
本発明の目的のために、溶融加工可能な組成物は、少なくとも一部の組成物が溶融状態にある間に処理されることができるものである。
【0019】
従来認識されている溶融加工方法及び機材を、本発明の加工組成物において採用してよい。溶融加工実施の非限定例としては、押出、射出成形、バッチ混合、回転成形、及び引き抜き成形が挙げられる。
【0020】
好ましいポリマーマトリックスとしては、ポリオレフィン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP))、ポリオレフィンコポリマー(例えば、エチレン−ブテン、エチレン−オクテン、エチレンビニルアルコール)、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー(例えば、高衝撃ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、エポキシド、アルキド、メラミン、フェノール樹脂、尿素、ビニルエステル、又はこれらの組合せが挙げられる。
【0021】
エラストマーは、ポリマーマトリックスとして使用するのに適したポリマーの別の部分集合である。有用なエラストマーポリマー樹脂(すなわち、エラストマー)としては、熱可塑性及び熱硬化性樹脂エラストマーポリマー樹脂、例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリクロロプレン、ポリ(2,3−ジメチルブタジエン)、ポリ(ブタジエン−コ−ペンタジエン)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドエラストマー、シリコーンエラストマー、ポリ(ブタジエン−コ−ニトリル)、水素添加ニトリル−ブタジエンコポリマー、アクリルエラストマー、エチレン−アクリレートコポリマーが挙げられる。
【0022】
有用な熱可塑性エラストマーポリマー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(t−ブチルスチレン)、及びポリエステルのようなガラス状ブロック又は結晶性ブロック;並びにポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブチレンコポリマー、ポリエーテルエステル及び同種のもの、例えば、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company)、(テキサス州ヒューストン(Houston))から取引名称「クラトン(KRATON)」として販売されるポリ(スチレンブタジエンスチレン)ブロックコポリマーのようなエラストマーのブロック;で構成されるブロックコポリマーが挙げられる。また、これらの前述のエラストマーのポリマー樹脂のコポリマー及び/又は混合物も使用できる。
【0023】
また有用なポリマーマトリックスとしては、フルオロポリマー、すなわち、少なくとも部分的にフッ素化したポリマーが挙げられる。有用なフルオロポリマーとしては、例えば、25クロロトリフルオロエチレン、2−クロロペンタフルオロプロペン、3−クロロペンタフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロペンタフルオロプロペン、1,1−ジクロロフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロピロピレン、フッ化ビニル、ペルフルオロ化ビニルエーテル{例えば、CFOCFCFCFOCF=CFのようなペルフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、あるいはペルフルオロ(メチルビニルエーテル)又はペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)のようなペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)}を含むモノマー:例えば、ニトリル含有モノマー{例えば、CF=CFO(CF)LCN、CF=CFO[CFCF(CF)O](CFO)CF(CF)CN、CF=CF[OCFCF(CF)]O(CFCN、又はCF=CFO(CFOCF(CF)CN、(ここでLは2〜12、qは0〜4、rは1〜2、yは0〜6、tは1〜4、及びuは2〜6である)}のような硬化部位モノマー:臭素含有モノマー(例えば、Z−Rf−Ox−CF=CF、ここでZはBr又はI、Rfはペルフルオロ化してもよい及び1以上のエーテル酸素原子を含有してもよい置換又は非置換C〜C12フルオロアルキレン、xは0又は1である);あるいは任意で、例えば、エチレン又はプロピレンのような追加の非フルオロ化モノマーと組み合わせられたそれらの組み合わせから(例えば、フリーラジカル重合により)調製されるものが挙げられる。こうしたフルオロポリマーの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのコポリマー;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、及びフッ化ビニリデンのコポリマー;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー;テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(例えば、テトラフルオロエチレンペルフルオロ(プロピルビニルエーテル));及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
有用な市販の熱可塑性フルオロポリマーとしては、例えば、ダイニオン社(Dyneon,LLC)(ミネソタ州、オークデール(Oakdale))から、取引名称ダイニオン(Dyneon)(商標)THV(例えば、「THV220」、「THV400G」、「THV500G」、「THV815」、及び「THV610X」)、「PVDF」、「PVF」、「TFEP」、「PFA」、「HTE」、「ETFE」、並びに「FEP」で販売されるもの;アトフィナケミカルズ(Atofina Chemicals)(ペンシルベニア州、フィラデルフィア(Philadelphia))から、取引名称「KYNAR」(例えば、「KYNAR」(商標)740」)で販売されるもの;ソルベイ・ソレクシス(Solvay Solexis)(ニュージャージー州、ソロフェア(Thorofare))から、取引名称「HYLAR」(例えば、「HYLAR(商標)700」)及び「HALAR(商標)ECTFE」で販売されるもの;アライド・シグナル(Allied Signal)PCTFE;並びにデュポン・テフロン(登録商標)(DuPont TEFLON(登録商標))(商標)が挙げられる。
【0025】
本発明の複合物のポリマー樹脂構成成分は、譲受人の同時係属米国特許仮出願番号60/628335(2004年11月16日出願)、(整理番号60207US002)に記載されるブロックコポリマーを含んでよい。
【0026】
ブロックコポリマーは、官能基を通して微小球と相互作用する。官能ブロックは、典型的に、例えば、酸(例えば、−COH、−SOH、−POH);−OH;−SH;一級、二級、又は三級アミン;アンモニウムN−置換又は非置換アミド及びラクタム;N−置換又は非置換チオアミド及びチオラクタム;無水物;直鎖状又は環状エーテル及びポリエーテル;イソシアネート;シアネート;ニトリル;カルバメート;尿素;チオ尿素;複素環式アミン(例えば、ピリジン又はイミダゾール))のような1以上の極性部分を有する。こうした基を導入するために使用してよい有用なモノマーとしては、例えば、酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及び米国公開特許出願2004/0024130(ネルソン(Nelson)ら)に記載されるようなt−ブチルメタクリレートモノマー単位の触媒脱保護によって形成されるメタクリル酸官能基を包含する);アクリレート及びメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート)、アクリルアミド及びメタクリルアミド、N−置換及びN,N−二置換アクリルアミド(例えば、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド)、N−エチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、及びN−エチル−N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド)、脂肪族アミン(例えば、3−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン);並びに複素環式モノマー(例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−(2−アミノエチル)ピリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、3−アミノキヌクリジン、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタム)が挙げられる。
【0027】
典型的に、他の好適なブロックは、例えば、少なくとも約4個、8個、12個、又は18個までもの炭素原子を有するもののような脂肪族及び芳香族炭化水素部分のような1以上の疎水性部分;例えば、少なくとも約4個、8個、12個、又は18個までもの炭素原子を有するもののようなフッ素化脂肪族及び/又はフッ素化芳香族炭化水素部分;並びにシリコーン部分を有する。
【0028】
こうしたブロックに組み込むために有用なモノマーの非限定例としては、エチレン、プロピレン、イソプレン、スチレン、及びブタジエンのような炭化水素オレフィン;デカメチルシクロペンタシロキサン及びデカメチルテトラシロキサンのような環状シロキサン;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、及びクロロフルオロエチレンのようなフッ素化オレフィン;ブチルアクリレート、イソオクチルメタクリレートラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートのような非フルオロ化アルキルアクリレート及びメタクリレート;式HC=C(R)C(O)O−X−N(R)SO’、(式中:R’は−C13、−C、又は−C;Rは水素、C〜C10アルキル、又はC〜C10アリール;Xは二価結合基である)を有するペルフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアクリレート及びメタクリレートのようなフッ素化アクリレートが挙げられる。好ましい例としては、CSON(CH)COC(O)NH(C)CHNHC(O)OCOC(O)CH=CH又はCSON(CH)COC(O)NH(C)CHNHC(O)OCOC(O)C(CH)=CHが挙げられる。
【0029】
こうしたモノマーは、商業的供給源から容易に得られてよく、又は例えば、米国公開特許出願2004/0023016(セルノホウス(Cernohous)ら)(この開示は、本明細書に参考として組み込まれる)における手順に従って、調製されてよい。
【0030】
官能部分を有する有用なブロックコポリマーの他の非限定例としては、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸グリシジル);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル無水物);ポリ(イソプレン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−2−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−アクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル);ポリ(スチレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−メタクリル酸グリシジル);ポリ(スチレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−N−ビニルピロリドンコポリマー);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸グリシジル);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル無水物);ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸グリシジル);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル無水物);ポリ(ブタジエン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸グリシジル);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル無水物);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸));及び以下のものの水素添加形態;ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル無水物)、ポリ(ブタジエン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸))、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル無水物)、ポリ(イソプレン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル無水物−コ−メタクリル酸)、スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル無水物、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸グリシジル)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル無水物)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−メタクリル酸)(ここで、「MeFBSEMA」は、例えば、3M社(ミネソタ州、セントポール(Saint Paul))から入手可能な2−(N−メチルペルフルオロブタンスルホンアミド)エチルメタクリレートを指す)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−メタクリル無水物−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−メタクリル無水物−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−メタクリル無水物)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−(メタクリル酸−コ−メタクリル無水物))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−メタクリル無水物−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(メタクリル無水物−コ−メタクリル酸−コ−MeFBSEMA))、及びポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−コ−MeFBSEMA))が挙げられる。
【0031】
一般に、ブロックコポリマーは、少なくとも1つのブロックが微小球と相互作用できるように選択されなければならない。典型的に、ブロックコポリマーの残りのブロックの選択は、ブロックコポリマーが結合されるであろうあらゆるポリマー樹脂の性質によって指向されるであろう。
【0032】
ブロックコポリマーは、当該技術分野において従来認識されるように、機能的反応開始剤を使用することにより、又は現存のポリマー鎖をエンドキャッピングすることにより、合成され得る、末端部官能化ポリマー材料であってよい。本発明の末端部官能化ポリマー材料は、少なくとも1つの鎖末端上において官能基で終端したポリマーを含んでよい。ポリマー種は、ホモポリマー、コポリマー、又はブロックコポリマーであってよい。複数の鎖末端を有するポリマーにおいては、官能基は同一でも異なってもよい。官能基の非限定例としては、アミン、無水物、アルコール、カルボン酸、チオール、マレアート、シラン、及びハロゲン化物が挙げられる。これらの材料を提供するために、当該技術分野において既知である現存の重合方法を使用する末端部官能化戦略が利用され得る。
【0033】
あらゆる量のブロックコポリマーを使用してよいが、典型的にブロックコポリマーは、5重量%までの範囲の量で包含される。
【0034】
カップリング剤
好ましい実施形態においては、微小球とポリマー樹脂との相互作用を増強するために、微小球をカップリング剤で処理してよい。選択されたポリマー製剤の対応する官能基との好適な反応性に適合する又は提供するカップリング剤を選択することが望ましい。カップリング剤の実例としては、ジルコン酸塩、シラン、又はチタン酸塩が挙げられる。典型的なチタン酸塩及びジルコン酸塩カップリング剤は、当業者に既知であり、これらの材料の用途及び選択基準の詳細な概要は、モント(Monte),S.J.、ケンリッチペトロケミカルズ社(Kenrich Petrochemicals, Inc.)、「ケン−リアクト(Ken-React)(登録商標)参照マニュアル−チタン酸塩、ジルコン酸塩及びアルミン酸塩カップリング剤」、第三改訂版、1995年3月に見出すことができる。使用する場合、カップリング剤は、一般に約1重量%〜3重量%の量で包含される。
【0035】
好適なシランは、縮合反応を通してガラス表面に結合し、珪質充填剤とのシロキサン結合を形成する。この処理は、充填剤をより水和性にするか、又は微小球表面への材料の接着を促進する。これは、無機充填剤と有機マトリックスの間の共有結合、イオン結合又は双極子結合をもたらすための機構を提供する。シランカップリング剤は、所望の特定の官能性に基づいて選択される。例えば、アミノシランガラス処理は、無水物、エポキシ又はイソシアネート基を含有するブロックコポリマーと複合するために望ましい可能性がある。或いは、酸性官能基を有するシラン処理は、酸塩基相互作用、イオン結合又は水素結合シナリオが可能なブロックを有するために、ブロックコポリマーの選択を必要とする可能性がある。密接なガラス微小球−ブロックコポリマー相互作用を得るための別の取り組みは、微小球の表面を、重合可能な部分を含有する好適なカップリング剤で官能化し、材料をポリマー主鎖に直接組み込むことである。重合可能な部分の例は、スチレン、アクリル、及びメタクリル部分のようなオレフィン性官能性を含有する材料である。好適なシランカップリング戦略は、シランカップリング剤:バーリー・アークルズ(Barry Arkles)による境界を通した連結(Connecting Across Boundaries)、165〜189頁、ゲレスト(Gelest)カタログ3000−Aシラン及びシリコーン:ゲレスト社(Gelest Inc.)、ペンシルペニア州、モリスビル(Morrisville)で概説される。
【0036】
カップリング剤の他の実例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。
【0037】
好適なカップリング剤の選択は、樹脂及び微小球の組成物に一部依存し、当業者によって容易になされることができる。
【0038】
他の添加剤
必要であれば、本発明の複合物は、必要に応じ他の添加剤及び剤を更に含んでよい。実例としては、顔料、粘着付与剤、難燃剤、UV吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、強化剤、衝撃改質剤、酸化防止剤、造核剤、分散剤、抗菌剤、帯電防止剤、及び加工助剤が挙げられる。
【0039】
物品
本発明の複合物は、要望通りの様々な物品を製造するために使用されてよい。実例としては、インストルメンタルパネルコア、エンジンカバー、側面衝突パネル、バンパー、計器盤(fascia)、Oリング、ガスケット、ブレーキパッド、及びホースような輸送用途;成型家庭用部品;複合シート;熱成形構造用構成成分、並びにワイヤー及びケーブルクラッディングが挙げられる。他の実例としては、製陶化合物、パネル構造、構造用複合樹脂、プラスチック容器、及びパレットが挙げられる。
【0040】
本発明は、以下の実例により更に説明されるであろう。
【実施例】
【0041】
【表1】

【0042】
複合物の複合及び成型
微小球及びガラス繊維のトップフィーダー、水浴及びペレタイザー付属品を備えるバーストオフ・ウルトラグライド(Berstorff Ultra Glide)2軸押し出し機(TSE;25mmスクリュー直径;長さと直径の比36:1;バーストオフ社(Berstorff GmbH)(ドイツ、ハノーバー(Hannover))から入手可能)で、全ての試料を複合した。スクリュー速度は、14.7rad/s(140rpm)〜16.8rad/s(160rpm)の範囲である。温度設定点は93℃〜302℃(200゜F〜575゜F)の範囲であり、一方、実値は93℃〜260℃(500゜F〜575゜F)の範囲である。TSEスループットは、約1.3g/s(10ポンド/時間)であった。
【0043】
その後、試験被検査物を、ASTM4個取り金型を使用して、136,077.7kg(150トン)エンゲル(Engel)射出成形機(エンゲル社(ENGEL GmbH)(オーストリア、シュウェルトベルグ(Schwertberg))から入手可能)で成型した。使用するスクリュー直径は30mmであり、微小球破損を最小限にするために、射出圧力は124MPa(18,000PSI)未満に維持した。
【0044】
試験方法
以下の試験方法を使用した。
【0045】
ノッチ付きアイゾット衝撃強度は、ASTM D−256により決定され、ノッチ無しアイゾット衝撃強度は、ASTM D−4812により決定した。
【0046】
引張弾性率は、ASTM試験方法D−638により決定され、MPaで報告する。
【0047】
最終引張り強度は、ASTM試験方法D−638により決定され、MPaで報告する。
【0048】
曲げ弾性率は、ASTM試験方法D−790により決定され、MPaで報告する。
【0049】
最終曲げ強度は、ASTM試験方法D−790により決定され、MPaで報告する。
【0050】
破断点伸びは、以下のASTM試験方法D−638により決定され、%で報告する。
【0051】
ASTMD−2840−69、「中空微小球の平均真粒子密度」に従い、マイクロメリティクス(Micromeritics)(ジョージア州、ノルクロス(Norcross))から取引名称「アキュピック(ACCUPYC)1330比重瓶」として得られる十分に自動化されたガス置換比重瓶を使用して、射出成形複合材料の密度を決定した。
【0052】
物理的測定手順
マイクロメトリクス・アキュピック(Micromeretics Accupyc)1330ヘリウム比重瓶(マイクロメリティクス・インスツルメント社(Micromeritics Instrument Corporation)(ジョージア州、ノルクロス(Norcross))から入手可能)を使用して、射出成形複合試料の密度を測定した。射出成形複合物の機械的及び熱的特性は、表1に列記されるATSTM標準試験方法を使用して測定された。
【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
S60HS微小球及び微小球A&Bは、2軸押し出し機上で、ナイロン6,6樹脂へと複合された。その後、ASTM試験被検査物は、様々な製剤へ射出成形され、典型的な機械的特性は、上で指定されるASTM試験に従って測定された。機械的特性試験の結果を表3に示す。
【0056】
【表4】

【0057】
結果は、より小さくより強い気泡A又はBをナイロン6,6に組み込むことにより、ナイロン6,6中のS60HSと比較して、改善された機械的特性(衝撃強度、引張り強度、引張伸び及び曲げ強度)が得られることを示す。
【0058】
本明細書においては、いくつかの特許出願及び特許を引用する;それぞれは、その全体が参考文献として本明細書に組み込まれる。
【0059】
本発明の範囲及び精神から逸脱することない、本発明の様々な修正及び変更が、当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリマー樹脂及び気泡を含む充填樹脂複合物であって、前記気泡の平均サイズD50が25マイクロメートル以下であり、前記気泡の10%崩壊強度が少なくとも68.8MPa(10,000PSI)である充填樹脂複合物。
【請求項2】
前記気泡の10%崩壊強度が少なくとも103MPa(15,000PSI)である、請求項1に記載の複合物。
【請求項3】
前記気泡の10%崩壊強度が少なくとも124MPa(18,000PSI)である、請求項1に記載の複合物。
【請求項4】
前記気泡の平均サイズD50が約20ミクロン以下である、請求項1に記載の複合物。
【請求項5】
前記気泡の平均D90サイズが約50ミクロン以下である、請求項1に記載の複合物。
【請求項6】
前記気泡の平均D90サイズが約40ミクロン以下である、請求項1に記載の複合物。
【請求項7】
前記気泡の平均D50サイズが約25マイクロメートル以下であり、平均D90サイズが約50マイクロメートル以下である、請求項1に記載の複合物。
【請求項8】
前記気泡の平均D50サイズが約20マイクロメートル以下であり、平均D90サイズが約40マイクロメートル以下である、請求項1に記載の複合物。
【請求項9】
前記複合物中の大多数の気泡の平均D50サイズが約20マイクロメートル以下であり、平均D90サイズが約40マイクロメートル以下である、請求項1に記載の複合物。
【請求項10】
前記複合物中の75%を超える気泡の平均D50サイズが約20マイクロメートル以下であり、平均D90サイズが約40マイクロメートル以下である、請求項1に記載の複合物。
【請求項11】
前記ポリマー樹脂が熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂から成る群から選択される、請求項1に記載の複合物。
【請求項12】
前記気泡が、ガラス気泡及びセラミック気泡から成る群から選択される、請求項1に記載の複合物。
【請求項13】
請求項1に記載の複合物を含む物品。

【公表番号】特表2009−516023(P2009−516023A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540102(P2008−540102)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/043205
【国際公開番号】WO2007/058812
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】