説明

充填レベルを制御するための装置及び方法

容器における液体フィードバルブを用いて液体−気体混合物の充填レベルを制御するための測定装置であって、容器の側面外部壁上に設置されるとともに水平な管状油圧装置を介して容器の内部チャンバに流体を携えるように接続された少なくとも1つの垂直な流体直立パイプを備え、
・第1の下側レベル油圧装置は、流体直立パイプにおける充填レベルが容器における充填レベルとともに変化するように、容器の底部近くに設置され、
・第2の油圧装置は、自由に選択することが可能な容器における充填レベルについての設定点が超えられるときに流体直立パイプにおける充填レベルが変化するように、容器における充填レベルの設定点の上方に設けられ、
・測定装置には、容器の液体フィードバルブとの制御接続を有する表示および制御ユニットが装備され、
・容器は、液体および気体のための入口および出口ラインを含み、
・流体直立パイプには、容器内に水平に突出するとともに容器における充填レベルの設定点の高さにおいてまたは設定点の下方に設置された少なくとも1つのさらなる第3の管状油圧装置が装備され、
・第1の下側レベル油圧装置は、設けられたその他の油圧装置に対して、還流を絞るように設計されている、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい測定装置および方法、および液体−気体混合物を有する容器におけるレベル制御としてのそのアプリケーションに関する。本発明は、また、蒸気ドラムおよび一般に二相混合物のためのセパレータにおいて、ならびにエバポレータにおいても用いることが可能であると考えられる。
【背景技術】
【0002】
それぞれの容器の側面上に編成された直立パイプとして実施されるとともに容器における流体レベルを観察するためのサイトグラスが装備されたレベルゲージが、従来技術から既知である。直立パイプは、各々、上側および下側のレベルゲージ接続を有し、かかる接続は、ともに、流体を伝導させるように容器の内部チャンバに接続されている。下側レベルゲージ接続は、容器の底部近くに設置され、上側レベルゲージ接続は、流体レベルの所望される設定点よりも相当高く位置決めされている。
【0003】
測定は、「連通パイプ」の原理で行われる。流体直立パイプは、流体直立パイプにおける液体と容器における液体とが同じ密度ρを有する限り、容器において示されるのと同じレベルステータスを表示する。純粋な液体の場合、容器における液体と測定パイプにおける液体とが同じρ値を有するというこの基本的な前提条件が良好な精度で満たされ、記載の測定原理を何の問題もなく適用することが可能である。
【0004】
しかし、容器における液体−気体混合物において、密度は、液体に含まれる気体の量に依存する。これは、二相混合物は直立パイプにおいて分離し純粋な液体は対応するより高い密度を有するため、二相混合物を有する容器についてのレベル測定のときは、上述の要件が満たされるとは限らないことを意味する。その結果、この測定に関連して一定の不確実性が存在する。実際、容器における液体のρが流体直立パイプにおけるρの大きさの半分に過ぎないという動作条件が存在する。エバポレータでは、上昇する気泡の量および従って有効密度の低下は、エバポレータの負荷の関数である。このため、二相混合物と液体との間の比重量の逸脱は、一定ではない。これは、下側レベルゲージ接続に対する有効圧力がエバポレータチャンバにおける媒体の有効密度に依存することを意味する。しかし、この密度は、外側から直接判定することが不可能な程度において、蒸発する媒体の蒸気泡濃度により低下する。
【0005】
このため、エバポレータでは、エバポレータチャンバにおける媒体の有効密度が低下する程度は、蒸発する液体の量、すなわち、エバポレータの負荷に基本的に依存する。このため、表示される充填レベルは充填レベルが正常であることを示すにもかかわらず、エバポレータチャンバにおける充填レベルは、液滴セパレータまで上昇する可能性がある。
【0006】
すべての熱交換器管が液体で覆われ、エバポレータが全能力を発揮することが可能であるとき、エバポレータにおいて最適な充填レベルが到達される。それよりも高い充填レベルは、必要でも望ましくもないが、これは、流体により容器に気体が残るリスクがあるためである。これにより、下流の機械に損傷が引き起こされる可能性がある。
【0007】
本明細書でエバポレータを例に用いて説明するこの問題は、一般に、蒸気ドラムなどの二相混合物を有する他のすべての容器においても発生することが知られている。この場合、一般に、気相および液相への分離が可能な限りきれいに行われることを保証するため、容器の中心充填レベルの周辺に設定点を有することを目標とする。
【0008】
概して、この種の容器からの液体が気相を同伴することは望ましくなく、これは、塩などの不純物が気相とともに排出される可能性があるためである。これにより、下流のプラントセクションにおいて腐食および侵食が引き起こされる可能性がある。また、例えばアンモニアプラントにおける冷凍プラントにおけるのと同様に、直接下流にエバポレータがあるプラントにおいては、インペラに損傷が引き起こされる可能性もある。
【0009】
このため、記載の測定原理は、二相混合物が生じるときはアプリケーションが限定されてしまう。この場合、局所的光学表示が用いられるか、または電気圧力センサを用いて遠隔的表示が行われるかは無関係である。
【0010】
記載の測定の不正確性にもかかわらず測定管における表示に頼る場合、液体−気体混合物を有する容器の充填レベルを制御するためにこの種の制御ループを動作させることは、多大な経験と感度とを要求する。すべての考えられる負荷条件に適合するように容器における充填レベルを最適に調節することは、不可能である。
【0011】
これは、容器の構成およびアプリケーションまたは動作に依存して、最適な動作レベルは既知であるが、この動作レベルをいかにして正確に測定するかの問題は未解決のままであることを意味する。
【0012】
このため、本発明の目的は、容器における充填レベルのある設定点において、容器における充填レベルが、液体が気相を伴って容器から排出されるレベルまで上昇しないことを保証することを可能にする測定装置、この測定装置を動作させる方法、およびこの測定装置のためのアプリケーションを提供することである。
【0013】
この目的は、容器における液体フィードバルブを用いて液体−気体混合物の充填レベルを制御するための新しい測定装置であって、容器の側面外部壁上に設置されるとともに水平な管状油圧装置を介して容器の内部チャンバに流体を携えるように接続された少なくとも1つの垂直な流体直立パイプを備え、
・第1の下側レベル油圧装置は、流体直立パイプにおける充填レベルが容器における充填レベルとともに変化するように、容器の底部近くに設置され、
・第2の油圧装置は、自由に選択することが可能な容器における充填レベルについての設定点が超えられるときに流体直立パイプにおける充填レベルが変化するように、容器における充填レベルの設定点の上方に設けられ、
・測定装置には、容器の液体フィードバルブとの制御接続を有する表示および制御ユニットが装備され、
・容器は、液体および気体のための入口および出口ラインを含む
装置において、
・流体直立パイプには、容器内に水平に突出するとともに容器における充填レベルの設定点の高さにおいてまたは設定点の下方に設置された少なくとも1つのさらなる第3の管状油圧装置が装備され、
・第1の下側レベル油圧装置は、設けられたその他の油圧装置に対して、還流を絞るように設計されている装置により達成される。
【0014】
その際、「容器における充填レベルの設定点の高さにおいて」との表現は、容器内に水平に突出するとともに管状油圧装置の中心点において測定された設定点に直接対応する第3の管状油圧装置を設置することを意味する。
【0015】
この第3の油圧装置を設定点の下方に設置することにより、容器における設定点に到達すると、流体直立パイプにおける流体レベルの表示に加え、対応する値が流体直立パイプにおいても表示されることが保証される。本発明の好適な実施形態において、容器内に水平に突出する第3の管状油圧装置は、油圧装置の直径の中心点において測定した場合、設定点に対して1〜25%、好ましくは1〜15%、特に好ましくは8〜12%設定点の下方に設置されている。
【0016】
本発明の好適な実施形態において、容器はエバポレータであり、エバポレータにおける充填レベルの設定点は、エバポレータに含まれる加熱ユニットを完全に覆うことにより達成される。その際、エバポレータにおける加熱ユニットは、少なくとも1つの熱交換器管を備える。液体は、例えば、従来技術から既知のいずれの冷却液であることも可能である。
【0017】
本発明のさらなる実施形態において、容器は蒸気ドラムであり、蒸気ドラムにおける充填レベルの設定点は、中心充填レベルにおいて達成され、蒸気ドラムにおける中心充填レベルの±0〜20%、好ましくは±0〜10%、特に好ましくは±0〜5%の逸脱が許容される。
【0018】
第1の油圧装置の還流絞り実施形態は、好ましくは、プロファイル制限装置および/またはバルブおよび/または還流スロットルのうちの1つの方法を備える。
【0019】
管状油圧装置は、ノズルおよび管の群から選択されると有利である。
【0020】
表示および制御装置には、センサおよび/またはプローブが装着されていると賢明である。
【0021】
記載の測定装置により容器における液体−気体混合物の充填レベルを制御するための対応する方法は、以下の方法ステップを含む:
・液体が容器に送られ、液体は、第1の油圧装置を通じて容器の外側に固定された流体直立パイプに流入し、かかる第1の油圧装置は、容器の底部近くに設置されるとともに、設けられたその他の油圧装置に対して、還流を絞るように設計されており、
・充填レベルが容器においてさらに上昇し、対応するレベルが到達されると、液体は、容器の充填レベルの設定点の高さにおいてまたは設定点の下方に設置された少なくとも1つの追加の第3の油圧装置を通じて送られ、流体直立パイプにおける液体は、実際のレベルまで充填され、
・追加の液体が容器に送られると、流体直立パイプにおける液体のレベルがさらに充填され、
・外部流体直立パイプにおける液体から逃げるいずれの気体も、容器における充填レベルの設定点の上方に設置された第2の油圧装置を介して送られ、
・設定点に到達すると、容器への液体送りは、容器の液体還流バルブを閉じさせる信号を制御装置に送る流体直立パイプにおける表示装置により休止され、
・設定点が到達されない場合、表示および制御装置により信号が送られ、それにより容器の液体還流バルブが開かれる。
【0022】
本方法のさらなる実施形態において、液体がエバポレータである容器に送られ、この液体は、エバポレータにおいて加熱ユニットを介して加熱され、エバポレータから気体として排出される。
【0023】
本発明のさらなる可能性のある実施形態において、気泡に富んだ液体が蒸気ドラムである容器に送られ、この液体は、蒸気ドラムにおいて気泡から分離され、気体と液体とが別々の流れで蒸気ドラムから排出される。
【0024】
好適なアプリケーションでは、測定装置が、二相混合物を有するコールドエバポレータにおいて充填レベルを制御するために用いられる。このアプリケーションは、アンモニアプラントについて特に有利である。また、測定装置は、ホットエバポレータにおいて用いることも可能である。
【0025】
さらなる可能性のあるアプリケーションは、測定装置を、水/蒸気混合物が分離される蒸気ドラムにおいて充填レベルを制御するために用いる。
【0026】
後続の図面を用いて、本発明の異なる設計変形形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、液体−気体混合物の充填レベルを制御するための従来技術による測定装置の概略を示す、容器の断面図である。
【図2】図2は、液体−気体混合物の充填レベルを制御するための本発明による測定装置の概略を示す、容器の断面図である。
【図3】図3は、本発明による装置を用いて液体レベルについて期待される測定誤差を示す。
【図4】図4は、液体−気体混合物の充填レベルのための本発明による測定装置の概略を示す、多管式コールドエバポレータの断面図である。
【図5】図5は、水−蒸気混合物の充填レベルのための本発明による測定装置の概略を示す、蒸気ドラムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、従来技術による測定装置4への制御接続を有する制御可能な液体フィードバルブ3が装着されたフィードライン2を有する容器1を示す。液体が容器1に行き着くと、この液体は、容器の底部近くに設置された従来技術による測定装置4の第1の下側レベルゲージ接続5に流入する。容器1における充填レベルが上昇するにつれ、従来技術による測定装置4の流体直立パイプ7における液柱6も上昇する。流体直立パイプ7における液柱6は、液体の停止値8まで上昇する。
【0029】
液体が気泡を含む場合、流体直立パイプ7における表示される液体レベル6は、容器の内側における媒体の有効密度に依存する第1の下側レベルゲージ接続5に対して有効静圧9が作用する結果生じる誤差を有する。この密度は、容器における液体の気泡濃度により低下する。従来技術による測定装置において、気体と液体とは、外側の流体直立パイプ7において分離し、気体は、容器1における設定点10の上方に設けられた第2の上側レベルゲージ接続13を介して排出され、液柱6は、対応するより高い濃度を有する液体のみを含む。下側のレベルゲージ接続5において圧力平衡が生じているため、液柱6の高さは、原則的に、容器におけるよりも低い。
【0030】
このため、容器の内側における液体の高さの実際の値11は、流体直立パイプにおける液柱6よりも既に高い可能性がある。yを容器における液体の平均的な蒸気含有量とすると、従来の測定装置の相対誤差についての式
=(h−h)/h=1−h/h=y
を、下側レベルゲージ接続5における静水圧の平衡から導出することが可能である。誤差は、液体の体積気体含有量に基本的に依存し、全測定範囲に亘り概ね一定である。式中、hは、容器における液体レベルの実際のレベル(8)を表し、hは、図1による測定値(6)を表す。
【0031】
このため、測定装置4により容器の内側における二相混合物について所望される設定点10を維持し、液体が気体排出ノズル12を介して容器1から排出されることを防止することは非常に困難である。
【0032】
容器1における実際の液体レベルの識別が遅いと、気体排出ノズル12を介して容器1から排出される気相を介して液体が排出されることになる可能性があるため、非常に不利である。
【0033】
本発明による測定装置15を有する容器1を示す図2において、液体が流入すると、液体は、やはり測定装置15の第1の下側レベルゲージ接続5を介して流体直立パイプ7に流入する。その際、流体直立パイプにおける液柱は、液体の停止値8まで上昇する。これは、図1からの液柱6と同じ値に対応する。
【0034】
液体が気泡を含む場合、流体直立パイプ7における表示される液体レベルは、本発明による測定装置15でも図1の記載において表されるのと同じ誤差を有する。容器1における液体レベルがさらに上昇すると、液体は、容器1の充填レベルの設定点10の下方に設置された追加のゲージ接続14を介して送られる。それにより、流体直立パイプ7における図1からの液柱6は、実際のレベルまで充填される。流体直立パイプ7の下における静圧9が容器の底部における静圧よりも高いため、流体直立パイプ7において駆動力が生じる。これは、容器1における充填レベルが同じ高さであると、流体直立パイプ7に純粋な液体が存在するにもかかわらず、二相混合物が効果を生じるという事実によるものである。これにより、流体直立パイプ7においてループ流が開始され、流体直立パイプ7における液体は、第1の下側レベルゲージ接続5を通じて容器1に戻るように流れる。本発明による測定装置15の場合、この還流は、液体が追加のゲージ接続を通じて流れるよりも速く液体が流体直立パイプから逃げることが不可能なように、還流スロットル16を介して制限される。このため、この動作点における測定は、非常に正確であり、設定点10にほとんど対応する。この測定誤差については、図3に関する後続の説明において述べる。
【0035】
しかし、この動作点についての設定点は未だ十分に達成されていないため、フィードバルブ3は開いたままであり、流体直立パイプ7における液柱17は上昇し続ける。流体直立パイプ7における液体から逃げる気体は、容器1における設定点10の上方に設けられた第2の上側レベルゲージ接続13を介して流体直立パイプ7を出る。設定点が到達されると、液体は、センサを介して制御可能な液体フィードバルブ3に送られる信号により容器1に送られることが停止され、液体フィードバルブ3は閉じられる。
【0036】
容器1における液体が上昇し続けると、この液体は、上側レベルゲージ接続13を介して流体直立パイプ7に流入し、流体直立パイプ7における液柱17はさらに充填され、過剰な値が表示される。過剰な値が到達されると、新しい信号がセンサを介して制御可能な液体フィードバルブ3に送られ、液体フィードバルブ3は閉じ、その結果、さらなる液体は容器1に進入できなくなる。
【0037】
設定点10が超過されると初めて、新しい信号が液体フィードバルブ3に送信され、液体フィードバルブ3を再び開かせ、液体を容器1に戻るように再び流れさせる。
【0038】
本発明による装置について期待される測定誤差を、図3を用いて以下で詳細に説明する。図2に示すように、容器における液体の体積蒸気含有量をyとし、容器における液体レベルをhとし、新しい測定装置における液体レベルをhとし、第3のフィードバルブ14の高さをHとし、下側レベルゲージ接続の流量係数をKVS,D1とし、フィードバルブ14の流量係数をKVS,D2とすると、
<H
の場合、容器における実際の液体レベルhと表示される測定値hとの間の相関は、
=h[1+H/h(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1]/[(1−y)+(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1
となり、実際の値と測定値6との間の相対誤差は、
=(h−h)/h=1−h/h
=1−[(1−y)+(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1]/[1+H/h(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1
となり、
≧H
の場合、容器における実際の液体レベルhと表示される測定値hとの間の相関は、
=h[yH/h+(1−y)+(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1]/[(1−y)+(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1
となり、実際の値と測定値との間の相対誤差は、
=[(1−y)+(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1]/[yH/h+(1−y)+(1−y2*(KVS,D2/KVS,D1
となる。
【0039】
図3は、新しい測定装置での残余誤差が下側レベルゲージ接続5(KVS,D1)および追加の第3のゲージ接続14(KVS,D2)の流れ特性の選択にいかに依存するかを示し、適切な相関KVS,D2/KVS,D1が選択されると液体における蒸気含有量yが高レベルであっても残余誤差が極めてわずかな度合であることを示している。これに関連して、図3aは、h<Hの範囲における誤差を示し、図3bは、h≧Hの範囲についての誤差を示している。
【0040】
図4は、例えばアンモニアプラントにおいて用いられるようなコールドエバポレータ23を用いる、本発明による測定装置のアプリケーションを示す。手順上可能であれば、空のコールドエバポレータ23で開始することも可能である。液体冷却剤21、22が第1の下側レベルゲージ接続5に進入するとすぐに、測定装置は、図2において以下で説明するように、その作業を開始する。本アプリケーションにおいて、設定点10は、熱交換器管18を冷却剤21、22で完全に覆うことにより達成される。熱交換器管18がコールドエバポレータに含まれている結果、コールドエバポレータ23における液体冷却剤21、22は蒸発し、液体において上昇する気泡を形成し、その結果、二相混合物が生じる。これらの気泡は、気体排出バルブ12を介してコールドエバポレータ23を出る。気体冷却剤は、パイプライン19を介してエバポレータ20に送られ、かかるエバポレータ20の助力により気体冷却剤は再液化され、コールドエバポレータ23に送り戻され、それにより冷却回路は閉じている。パイプライン22を介して、外部の冷却剤を補充することが可能である。好ましくは、本アプリケーションにおいて、アンモニアが冷却剤として用いられる。
【0041】
コールドエバポレータ23の運転を全負荷から軽負荷に変更する際の条件は、コールドエバポレータ23が軽負荷運転をしているときは蒸発する液体がより少ないため、液体における気泡がより少ない。従って、二相混合物の体積を、この量だけ減少させる。この結果、コールドエバポレータ23における充填レベルが鋭く低下する。図2において説明した制御方法が開始され、充填レベルの設定点10が最適なレベルに再び戻される。
【0042】
コールドエバポレータ23に軽負荷運転から全負荷運転への逆の負荷シフトが行われる場合、自発的な変更があると、コールドエバポレータ23がオーバーフローするリスクがある。この理由は、コールドエバポレータ23における充填レベルが、上記のように発生する気泡が低レベルであることの結果として液体冷却剤が再調節された軽負荷運転のための最適な点にあるためである。コールドエバポレータ23が突然全負荷運転になることにより気泡濃度が自発的に増加すると、コールドエバポレータ23における充填レベルの体積も増加する。これは、負荷変更の勾配がコールドエバポレータ23のチャンバ体積を超えることはできないことを意味する。この要件が満たされる場合、高すぎる充填レベルは蒸発により低下し、制御可能なフィードバルブ3は、最適な充填レベル、すなわち、設定点10が再び到達され、測定装置が図2において説明したようにその通常の動作を再開するまで、閉じたままである。
【0043】
図5は、蒸気ドラム26を用いる本発明による測定装置のアプリケーションを示す。加えて、水−蒸気混合物24がフィードパイプライン2を介して蒸気ドラム26に送られる。水−蒸気混合物24が第1の下側レベルゲージ接続5に進入するとすぐに、測定装置は、図2において説明したように、その作業を開始する。本アプリケーションにおいて、設定点10は、専門家には既知であるように、蒸気ドラムについての充填レベルが概ね中心であるときに達成される。蒸気ドラム26において、液体は、上昇する蒸気泡27から分離し、蒸気25は、気体排出バルブを介して排出される。放出された液体29は、液体排出バルブ28を介して蒸気ドラム26から排出される。
【0044】
本発明から得られる利点は、下記の通りである:
−多大な費用をかけずに達成可能である
−最適な充填レベルが容器において常時達成される
−エバポレータにおける負荷変更の際も最適な充填レベルが保証される
−測定装置の追加の第3の油圧装置の容器における充填レベルが達成されると、液体測定グラスにおける光学表示の誤差に、非常にわずかな誤差しか生じない
【符号の説明】
【0045】
1 容器
2 フィードライン
3 制御可能な流体フィードバルブ
4 従来技術による測定装置
5 第1の下側レベルゲージ接続
6 液柱
7 液体直立パイプ
8 停止値
9 静圧
10 設定点
11 実際の値
12 気体排出ノズル
13 第2の上側レベルゲージ接続
14 追加のゲージ接続
15 本発明による測定装置
16 還流スロットル
17 液柱
18 熱交換器管
19 パイプライン
20 エバポレータ
21 液体冷却剤
22 液体冷却剤
23 コールドエバポレータ
24 水−蒸気混合物
25 蒸気
26 蒸気ドラム
27 上昇する蒸気泡
28 液体排出ノズル
29 蒸気が除去された液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器における液体フィードバルブを用いて液体−気体混合物の充填レベルを制御するための測定装置であって、前記容器の側面外部壁上に設置されるとともに水平な管状油圧装置を介して前記容器の内部チャンバに流体を携えるように接続された少なくとも1つの垂直な流体直立パイプを備え、
・第1の下側レベル油圧装置は、前記流体直立パイプにおける充填レベルが前記容器における充填レベルとともに変化するように、前記容器の底部近くに設置され、
・第2の油圧装置は、自由に選択することが可能な前記容器における充填レベルについての設定点が超えられるときに前記流体直立パイプにおける充填レベルが変化するように、前記容器における充填レベルの設定点の上方に設けられ、
・前記測定装置には、前記容器の前記液体フィードバルブとの制御接続を有する表示および制御ユニットが装備され、
・前記容器は、液体および気体のための入口および出口ラインを含む
装置において、
・前記流体直立パイプには、前記容器内に水平に突出するとともに前記容器における充填レベルの設定点の高さにおいてまたは設定点の下方に設置された少なくとも1つのさらなる第3の管状油圧装置が装備され、
・前記第1の下側レベル油圧装置は、設けられたその他の油圧装置に対して、還流を絞るように設計されている
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充填レベルを制御するための測定装置において、前記容器はエバポレータであり、前記エバポレータにおける充填レベルの設定点は、前記エバポレータに含まれる加熱ユニットを完全に覆うことにより達成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の充填レベルを制御するための測定装置において、前記エバポレータにおける前記加熱ユニットは、少なくとも1つの熱交換器管を備えることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の充填レベルを制御するための測定装置において、前記容器は蒸気ドラムであり、前記蒸気ドラムにおける充填レベルの設定点は、中心充填レベルで与えられ、前記蒸気ドラムにおける前記中心充填レベルの±0〜20%、好ましくは±0〜10%、特に好ましくは±0〜5%の逸脱が許容されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の充填レベルを制御するための測定装置において、前記容器内に水平に突出する前記第3の管状油圧装置は、前記油圧装置の直径の中心点において測定した場合、前記設定点に対して1〜25%、好ましくは1〜15%、特に好ましくは8〜12%前記設定点の下方に設置されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の充填レベルを制御するための測定装置において、前記第1の油圧装置の還流絞り実施形態は、プロファイル制限装置および/またはバルブおよび/または還流スロットルのうちの1つの方法を備えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の充填レベルを制御するための測定装置において、前記管状油圧装置は、ノズルおよび管の群から選択されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の充填レベルを制御するための測定装置において、前記表示および制御装置には、センサおよび/またはプローブが装着されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の容器における液体−気体混合物の充填レベルを制御するための方法において、
・液体が前記容器に送られ、前記液体は、第1の油圧装置を通じて前記容器の外側に固定された流体直立パイプに流入し、前記第1の油圧装置は、前記容器の底部近くに設置されるとともに、設けられたその他の油圧装置に対して、還流を絞るように設計されており、
・充填レベルが前記容器においてさらに上昇すると、前記液体は、前記容器の充填レベルの設定点の高さにおいてまたは前記設定点の下方に設置された少なくとも1つの追加の第3の油圧装置を通じて送られ、前記流体直立パイプにおける前記液体は、実際のレベルまで充填され、
・追加の液体が前記容器に送られると、前記流体直立パイプにおける前記液体のレベルがさらに充填され、
・前記流体直立パイプにおける前記液体から逃げるいずれの気体も、前記容器における充填レベルの設定点の上方に設置された第2の油圧装置を介して送られ、
・前記設定点に到達すると、前記容器への前記液体送りは、前記容器の液体還流バルブを閉じさせる信号を送る前記流体直立パイプにおける表示および制御装置により休止され、
・前記設定点が到達されない場合、前記表示および制御装置により信号が送られ、それにより前記容器の前記液体還流バルブが開かれることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、液体がエバポレータである前記容器に送られ、この液体は、前記エバポレータにおいて加熱ユニットを介して加熱され、前記エバポレータから気体として排出されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、気泡に富んだ液体が蒸気ドラムである前記容器に送られ、この液体は、前記蒸気ドラムにおいて前記気泡から分離され、気体と液体とが別々の流れで前記蒸気ドラムから排出されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載のアプリケーションにおいて、充填レベルを制御するための前記測定装置は、二相混合物を有するコールドエバポレータにおいて用いられることを特徴とするアプリケーション。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載のアプリケーションにおいて、前記充填レベルを制御するための前記測定装置は、アンモニアプラントにおけるコールドエバポレータにおいて用いられることを特徴とするアプリケーション。
【請求項14】
請求項1〜8の何れか1項に記載のアプリケーションにおいて、前記充填レベルを制御するための前記測定装置は、水/蒸気混合物が分離される蒸気ドラムにおいて用いられることを特徴とするアプリケーション。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−520641(P2013−520641A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553223(P2012−553223)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000753
【国際公開番号】WO2011/101139
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(502099418)ティッセンクルップ ウーデ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Uhde GmbH
【住所又は居所原語表記】Friedrich−Uhde−Strasse 15, D−44141 Dortmund, Germany