説明

充填方法及びその充填システム

【課題】ヨーグルトベースと果肉との混合物を容器へ充填するに際して、各容器中に確実に果肉を充填することが出来て、製品の品質や味にばらつきが無い充填方法及び充填システムの提供。
【解決手段】液体(ヨーグルトベースY)と固形物(果肉P)とを混合し、液体(Y)と固形物(果肉P)との混合物(Mx)を、固形物(果肉P)を含まない液体(果肉無しのヨーグルトベースAY)と固形物(果肉)を含む液体(果肉入りのヨーグルトベースAP)とに分離し、容器(12)内に固形物(果肉P)を含むヨーグルトベース(AP)を注入し、容器(12)内に固形物(果肉P)を含まない液体のヨーグルトベース(AY)を注入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体(例えば、いわゆる「ヨーグルトベース」)と固形物(例えば果肉)との混合物を容器へ充填する技術に関する。より詳細には、その様な混合物を複数の容器へ均等に充填し、且つ、容器の各々に必ず固形物(例えば果肉)が入るように充填する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した様な液体(例えば、いわゆる「ヨーグルトベース」)と固形物(例えば果肉)との混合物の一例として、ヨーグルトベースに果肉を混合した食品がある。ここで、当該果肉は、シロップに漬けられている。
【0003】
係るヨーグルトベースに果肉を混合した食品を、カップ状の食品容器に充填するに際しては、従来、図30で示す様に、果肉とヨーグルトベースとの混合物を一度に容器へ充填している。
図30において、ヨーグルトベースYを貯留したタンク1と、シロップ漬け果肉Pを貯留したタンク2とが並列に配置されている。タンク1は、ポンプ3を介装した管L1によって混合装置5に連結されている。タンク2は、ポンプ4を介装した管L2によって混合装置5に連結されている。
【0004】
混合装置5は、タンク1からのヨーグルトベースYと、タンク2からのシロップ漬け果肉Pを混合して、混合物Mxを作る。混合物Mxは、管L5によって充填タンク28に供給される。
充填タンク28は、液面制御計29によって常時、所定量の混合物Mxが貯留するように制御されている。
【0005】
充填タンク28に貯留された混合物Mxは、吐出口28dから容器12に充填されるようになっている。符号27は、所定量の混合物Mxが充填された状態の充填容器を示している。
しかし、係る従来の充填方式では、果肉とヨーグルトベースとの混合物において果肉が均一に分布していないことがあり、その結果、ヨーグルトベースのみが容器に注入され、果肉が容器内に充填されないことがある。
【0006】
果肉が容器内に充填されないという事態を防止するために、従来の充填方式において、果肉の密度(或いは濃度)が高い混合物を容器毎に充填することが考えられる。果肉の密度が高いので、混合物を充填された混合物内に果肉が存在する確率が高くなるからである。
【0007】
しかしながら、果肉の密度(或いは濃度)を高くした場合には、ヨーグルトベースの比率が高い場合に比較して、製造コスト、特に原料コストが高くなってしまう、という問題がある。
また、果肉の密度(或いは濃度)を高くしても、「果肉が充填されていない」容器の存在を100%排除することが出来ず、果肉が入っていない製品或いはヨーグルトベースのみが充填されている製品を完全に排除することが出来ない。
【0008】
これに対して、ヨーグルトベースと果肉との混合物の充填を、「果肉が入っている」ものの充填と、「果肉が入っていない」ものの充填との2段階に分けて行う従来技術が、提案されている(特許文献1参照)。その様にすれば、「果肉が入っている」ものにおける果肉の濃度が高くなり、「果肉が入っている」ものを全ての容器へ充填すれば、確実に全ての容器へ果肉が充填されるからである。
【0009】
しかし、係る従来技術では、果肉に浸透したシロップに起因して、1つの容器或いは1つの製品中で、場所によって味にバラツキが存在する、という問題が生じる。すなわち、果肉近傍のヨーグルトベースにはシロップが良く浸透するが、果肉から離れた領域のヨーグルトベースにはシロップが浸透しない。そして、シロップの浸透に差異がある結果として、1製品(1容器中)で味のバラツキが生じてしまうのである。
【特許文献1】特許第3007757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、液体(例えば、いわゆる「ヨーグルトベース」)と固形物(例えば果肉)との混合物を容器へ充填するに際して、各容器中に確実に固形物(例えば果肉)を充填することが出来て、しかも、製品の品質(例えば味)にばらつきを生じることが無い充填方法及び充填システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の充填方法は、液体(例えば、いわゆる「ヨーグルトベース」)(Y)と固形物(例えば、シロップに漬け込まれた果肉)(P)とを混合する混合工程と、液体(ヨーグルトベース)(Y)と固形物(果肉)(P)との混合物(Mx)を、固形物(果肉)(P)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)と固形物(果肉)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)(AP)とに分離する分離工程と、容器(12)内に固形物(果肉)(P)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)(AP)を注入する工程と、容器(12)内に固形物(果肉)(P)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)を注入する工程、とを有することを特徴としている(請求項1)。
【0012】
ここで、容器内に固形物(果肉)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)を注入する工程を実行した後に、容器内に固形物(果肉)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)を注入する工程を実行しても良いし、或いは、容器内に固形物(果肉)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)を注入する工程を実行するのに先立って、容器内に固形物(果肉)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)を注入する工程を実行しても良い。
【0013】
本発明の充填方法において、容器(12)内に固形物(果肉)(P)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)(AP)を注入する工程は第1の充填手段(10)により実行され、容器(12)内に固形物(果肉)(P)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)を注入する工程は第2の充填手段(11)により実行され、第1の充填手段(10)或いは第2の充填手段(11)の何れかにおける内容物(第1の充填手段10では「果肉入り」のヨーグルトベース(AP)、第2の充填手段11では「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)の容量が所定量(第1の所定液位:許容最低液面)以下になった際に、当該内容物を第1の充填手段(10)或いは第2の充填手段(11)へ充填する工程を含むのが好ましい(請求項2)。
【0014】
ここで、前記分離工程を実行する分離装置(6)と第1の充填手段(10)を連通するライン(L6)と、該分離装置(6)と第2の充填手段(11)とを連通するライン(L7)とを設け、何れかのラインに液体吸引手段(例えばポンプ)(9)を介装し、内容物(第1の充填手段10では「果肉入り」のヨーグルトベース(AP)、第2の充填手段(11)では「果肉無し」のヨーグルトベース)を第1の充填手段(10)或いは第2の充填手段(11)へ充填する前記工程は、第1の充填手段(10)或いは第2の充填手段(11)の何れかにおける内容物の容量が所定量(第1の所定液位:許容最低液面)以下になった際に液体吸引手段(例えばポンプ)を制御することにより実行されるのが好ましい。
【0015】
本発明の充填システムは、液体(例えば、いわゆる「ヨーグルトベース」)(Y)と固形物(例えば、シロップに漬け込まれた果肉)(P)とを混合する混合装置(混合機5)と、液体(ヨーグルトベース)(Y)と固形物(果肉)(P)との混合物(Mx)を、固形物(果肉)(P)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)と固形物(果肉)(P)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)(AP)とに分離する分離装置(分離部6)と、容器(12)内に固形物(果肉)(P)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)(AP)を注入する第1の充填装置(10)と、容器(12)内に固形物(果肉)(P)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)を注入する第2の充填装置(11)、とを有することを特徴としている(請求項3)。
【0016】
ここで、第1の充填装置(10)により容器内に固形物(果肉)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)(AP)を注入した後に、第2の充填装置(11)により容器内に固形物(果肉)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)を注入しても良いし、或いは、第1の充填装置(10)により容器内に固形物(果肉)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)(AP)を注入するのに先立って、第2の充填装置(11)により容器内に固形物(果肉)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)を注入しても良い。
【0017】
本発明の充填装置の実施に際して、前記分離装置(6)と第1の充填装置(10)を連通するライン(L6)と、分離装置(6)と第2の充填手段(11)とを連通するライン(L7)とを設け、少なくとも何れか一方のラインに液体吸引装置(ポンプ9)を介装しており、第1の充填装置(10)或いは第2の充填手段(11)の何れかにおける内容物(第1の充填手段10では「果肉入り」のヨーグルトベース(AP)、第2の充填手段11では「果肉無し」のヨーグルトベース)(AY)の容量が所定量以下になった場合に液体吸引手段(ポンプ9)からの供給量を増加する様に構成されているのが好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0018】
上述する構成を具備する本発明によれば、液体(例えば、いわゆる「ヨーグルトベース」)と固形物(例えば果肉)との混合物を容器内へ充填するに際して、固形物(果肉)を含む液体(「果肉入り」のヨーグルトベース)の注入と、固形物(果肉)を含まない液体(「果肉無し」のヨーグルトベース)の注入との、2段に分けて充填しており、すなわち、固形物(果肉)が入っているものの充填と、固形物(果肉)が入っていないものの充填とを2段階に分けて行っているので、固形物(果肉)が入っているものにおける固結物(果肉)の濃度が高くなり、そのため、固形物(果肉)が入っているものを全ての容器へ充填すれば、確実に全ての容器へ固結物(果肉)が充填される。すなわち、確実に容器内へ固結物(果肉)を充填できるのである。
【0019】
また、本発明では、固形物である果肉と液体であるヨーグルトベースとを混合して、果肉中のシロップをヨーグルトベース内に均一に浸透させた後に、「果肉入り」と「果肉無し」とに分離しているので、分離した時点において、ヨーグルトベースには、既にシロップが均一に浸透しており、その後、容器に充填しても、容器中喉の部分におけるヨーグルトベースも均一の味となる。従って、引用文献1に関して上述したような「味のバラツキ」の問題は発生しないのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の実施形態では、液体としてヨーグルトベース、固形物としてシロップに漬け込まれた果肉を用いて、果肉を含む液体を充填物として容器に充填する場合について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態を示している。
図1において、液体のヨーグルトベースYを貯留する第1のタンク1と、固形物のシロップ漬け果肉Pを貯留する第2のタンク2とが並列に配置されている。
第1のタンク1は、第1のポンプ3を介装した管L1によって、混合装置5に連結されている。第2のタンク2は、第2のポンプ4を介装した管L2によって、混合装置5の入口に連結されている。
【0022】
混合装置5は、第1のタンク1からのヨーグルトベースYと、第2のタンク2からのシロップ漬け果肉Pを混合して、混合物Mxを作る機能を有している。混合装置5には、ダイナミックミキサや駆動手段を有さない静止型の混合機であるスタティックミキサ等を適用すればよく、ヨーグルトベースYとシロップ漬け果肉Pとを十分に混合できるように適宜選択して使用すればよい。
混合装置5の出口は、管L5によって分離装置6とが連結されている。管L5には、圧力計7が取り付けられている。
【0023】
分離装置6は、シロップ漬け果肉Pとヨーグルトベース(液体)Yとからなる混合物Mxを、果肉を含まない液体AYと、果肉を含む液体APとに分離するように構成されている。その構造は、図9〜図19を参照して後述する。
【0024】
分離装置6には、管L6及び管L7が連通している。
管L6は、果肉を含む液体APを、第1の充填手段である第1の充填タンク10に供給するための管である。管L7は、果肉を含まない液体AYを、第2の充填手段である第2の充填タンク11に供給するための管である。
管L7には、圧力計8が取り付けられ、液体吸引装置である第3のポンプ9が介装されている。
【0025】
第1の充填タンク10は、果肉を含む液体APを、吐出口10dから、空の容器12に所定量だけ注入するように構成されている。
【0026】
第2の充填タンク11は、果肉を含まない液体AYを、吐出口11dから、容器13に所定量だけ注入するように構成されている。ここで、第2の充填タンク11から果肉を含まない液体AYを充填される容器13は、第1の充填タンク10により、既に果肉を含む液体APを注入された容器である。そして、第2の充填タンク11から充填される果肉を含まない液体AYは、果肉を含む液体APの上方に充填されることとなる。
【0027】
第1の充填タンク10、第2の充填タンク11には、液面センサ15、液面センサ16がそれぞれ取り付けられている。この液面センサ15および16は、第1の充填タンク10の果肉を含む液体APと第2の充填タンク11の果肉を含まない液体AYの、上限液面と下限液面を検知するように、センサを有して構成されている。このようにタンクに設置されるセンサとしては液面の高さの違いを検出できるものであれば、その種類は特に制限されることなく適用することができ、例えば、電極式センサ、静電容量式センサ、超音波式センサ、フロート式センサ等を挙げることができる。なお、これらセンサのタンクへの取り付けは、使用するセンサの種類に応じて行えばよく、具体的に液面との接触により液面の高さを検知する電極式センサの取り付け方法を例示すれば、充填タンク内の最上限液面、上限液面(許容最高液面)、下限液面(許容最低液面)、最下限液面を検知するのに必要な本数(4本)を取り付ければよい。この液面センサ15、16は、信号線S1、S2により、制御手段Rを介してポンプ3、4および9に連結されている。
【0028】
図1において、第1及び第2の充填タンク10、11の下方には、空の状態の容器12、果肉を含む液体APを注入された容器13、容器13の上部に果肉を含まない液体AYが注入された容器14が並んだ状態で示されている。
図1では明確に示されていないが、容器12、13、13、14、14は、図1の紙面に垂直な方向に、複数列が並行に配列されている。
【0029】
次に第1実施形態の作用を説明する。
装置の始動によって、第1のポンプ3、第2のポンプ4が作動する。そして、第1のタンク1に貯留する液体のヨーグルトベースYと、第2のタンク2に貯留する固形物のシロップ漬け果肉Pは、それぞれ混合装置5に供給される。
第1のポンプ3と、第2のポンプ4と、第3のポンプ9とは、同期して、駆動し或いは停止する。
【0030】
混合装置5では、液体のヨーグルトベースYと、固形物のシロップ漬け果肉Pとが、攪拌され、均一に混合されて、全体に均一な混合物Mxがつくられる(混合工程)。
混合物Mxは、ついで分離装置6に送られる。圧力計7は、混合物Mxが正常に分離装置6に送られていることを表示する役割を果たす。
【0031】
分離装置6では、混合物Mxが、果肉を含まない液体AYと、固形物である果肉を含む液体APとに分離される(分離工程)。
分離装置6の構成については、図9〜図19を参照して後述する。
分離装置6において、果肉を含まない液体AYは分離装置6のフィルタ孔を通過し、果肉を含む液体APはフィルタ孔を通過しない。
【0032】
フィルタ孔を通過した液体AY(果肉を含まない液体)は、管L7を介して第2の充填タンク11に供給される。圧力計8は、果肉を含まない液体AYが、正常に第2の充填タンク11に送られていることを表示する役割を果たす。
フィルタ孔を通過しなかった液体AP(果肉を含む液体)は、管L6を介して第1の充填タンク10に供給される。
【0033】
図1の紙面に垂直な方向へ複数列が整列して移動する容器12に、第1の充填タンク10から所定量の果肉を含む液体APが注入される(容器内に固形物を含む液体を注入する工程)。
図1において、果肉を含む液体APが注入された状態の容器が符号13で示されている。容器13は、第2の充填タンク11の下方に向かう。
【0034】
次に、果肉を含む液体APが注入された状態の容器13に対して、第2の充填タンク11から、果肉を含まない液体AYが注入される(容器内に固形物を含まない液体を注入する工程)。すなわち、容器内には、果肉を含む液体APと、果肉を含まない液体AYとが、2層に注入される。
これにより、第1の充填タンク10と、第2の充填タンク11からの注入は完了する。
なお、容器への注入される果肉を含まない液体AYの量と、果肉を含む液体APの量との割合は、分離比率によって決定される。
【0035】
上記の容器内に液体を注入する工程において、第1の充填タンク10及び第2の充填タンク11内の内容物が不足して、容器12内への注入量が所定量未満になることを回避する必要がある。
一方、第1の充填タンク10、第2の充填タンク11の貯蔵量が必要以上に多くなり、第1の充填タンク10及び/又は第2の充填タンク11から溢れてしまった場合には、溢れた液体を清掃する必要が有り、且つ、不衛生である。従って、その様な事態も回避する必要がある。
図2に示すフローチャートは、第1の充填タンク10、第2の充填タンク11について、それぞれの充填量を適正に確保するための制御を示している。
【0036】
図2において、第1の充填タンク10の適正充填量を確認するために、液面センサ15により、液面高さを検知する(ステップS1)。
そして、検知された第1の充填タンク10の液面が、第1の所定液位より低い位置にあるか、否かを判定する(ステップS2)。ここで、第1の所定液位は、充填タンク中の許容最低液面を規定している。
【0037】
検知された液面が、第1の所定液位より高い位置にあれば(ステップS2がno)、第1の充填タンク10内の液体が不足する恐れがないと判断して、ステップS4に進む。
検知された液面が、第1の所定液位より低い位置であれば(ステップS2がyes)、第1の充填タンク10内の液体が不足する可能性があると判断して、ステップS3に進み、制御手段Rにより第3のポンプ9を制御して、第3のポンプ9の流量を減少する。
【0038】
ステップS3において、第3のポンプ9の流量を減少させると、管L7を流れる果肉を含まない液体AYの流量、すなわち第2の充填タンク11への供給量も減少する。ここで、分離装置6内に流入する流量は一定であるので、管L7を流れる果肉を含まない液体AYの流量が減少すれば、管L6を流れて第1の充填タンク10へ供給される果肉を含む液体APの流量(果肉を含む液体APの第1の充填タンク10への供給量)が増加する。その結果、第1の充填タンク10内の液体が不足する恐れが解消される。
そして、ステップS4に進む。
【0039】
ステップS4では、液面センサ15によって検知された液面が、第2の所定液位より高い位置にあるか、否かを判定する。ここで、第2の所定液位は、許容最高液位を規定する。
検知された液面が第2の所定液位(許容最高液位)より低い位置であれば(ステップS4がno)、第1の充填タンク10から液体が溢れてしまう恐れがないと判断して、ステップS1に戻る(リターン)。
検知された液面が、第2の所定液位より高い位置であれば(ステップS4がyes)、第1の充填タンク10から液体が溢れてしまう可能性があると判断して、ステップS5に進む。
【0040】
ステップS5では、制御手段Rで第3のポンプ9を制御して、第3のポンプ9の流量を増加させて、果肉を含まない液体AYの第2の充填タンク11への供給量を増加させる。
上述した様に、分離装置6内に流入する流量は一定であるので、管L7を流れる果肉を含まない液体AYの流量が増加すれば、管L6を流れて第1の充填タンク10へ供給される果肉を含む液体APの流量(果肉を含む液体APの第1の充填タンク10への供給量)は減少する。そのため、第1の充填タンク10から液体が溢れてしまう恐れが解消される。
第3のポンプ9の流量を減量させたならば、ステップS1に戻る(リターン)。
【0041】
明確には図示されていないが、液面センサ15、16の各々が、充填タンク10、11内の最上限液面、許容最高液面、許容最低液面、最下限液面を検知する4本の液位センサから構成されている場合には、図2を参照して上述した制御に加えて、液位が最上限液面を上回った時の制御と、最下限液面を下回った時の制御は、以下の様に行われる。
【0042】
液面センサ15、液面センサ16の何れかにより、充填タンク10或いは11の何れかの液位が、最上限液面(第2の所定液位或いは許容最高液位よりも更に上方の液位)よりも高くなった旨が検出された場合には、充填ノズル10d及び11dが作動した状態で、ポンプ3、4及び9を停止する。
一方、液面センサ15、液面センサ16の何れかにより、充填タンク10、11の何れかの液位が、最下限液面(第1の所定液位或いは許容最低液位よりも更に下方の液位)よりも低くなった旨が検出された場合には、充填ノズル10d及び11dによる容器への充填を停止して、ポンプ3、4及び9を作動させる。
【0043】
図3は本発明の第2実施形態を示す。
図3を参照して、図1における第1実施形態と異なる部分について主として説明する。
図3において、混合装置5の出口は、管L15によって混合物タンク17と連通されている。
【0044】
混合物タンク17は、混合装置5で作られた混合物Mxを貯留して、後工程で材料不足を生じさせないための機能、すなわちバッファタンクとしての機能を有している。
混合物タンク17には液面センサ17aが取り付けられており、液面センサ17aは、図示しない制御手段を介して、第1のポンプ3、第2のポンプ4に信号線で連結されている。
図示しない制御手段は、液面センサ17aの信号によって、混合物タンク17の液面を所定値にするべく、図6を参照して後述する様に、第1のポンプ3、第2のポンプ4を制御する。
【0045】
混合物タンク17は、管L17によって分離装置6に連結されている。管L17にはポンプ18が介装されており、圧力計7が取り付けられている。
ポンプ18は、信号伝達ラインを介して図示しない制御手段に接続されており、後記する液面センサ23、24の計測結果により吐出流量が制御される。換言すれば、図示しない制御手段は、液面センサ23、24の計測結果信号によって、第1のバランスタンク19、第2のバランスタンク21の液面が所定レベルの範囲内になる様に、ポンプ9とポンプ18を制御している。
【0046】
分離装置6には、管L16と管L18とが取り付けられている。管L16は、果肉を含む液体APを第1のバランスタンク19に供給するための管であり、管L18は、果肉を含まない液体AYを第2のバランスタンク21に供給するための管である。
管L18には、圧力計8が取り付けられ、第3のポンプ9が介装されている。
【0047】
第1のバランスタンク19はバッファタンクであり、第1の充填手段である第1の充填タンク10内で材料不足を生じさせない機能を有している。第1のバランスタンク19には液面センサ23が取り付けられており、管L19によって第1の充填タンク10に連結されている。管L19にポンプ20が介装されている。
ポンプ20は、図示しない信号線を介して図示しない制御手段と接続されており、図示しない制御手段は液面センサ15に接続されている。図示しない制御手段は、液面センサ15の液位を示す信号に基いて、第1の充填タンク10の液面レベルが所定範囲内となる様に、ポンプ20を制御している。
【0048】
第2のバランスタンク21もバッファタンクであり、第2の充填手段である第2の充填タンク11の材料不足を生じさせない機能を有している。第2のバランスタンク21には液面センサ24が取り付けられており、管L21によって第2の充填タンク11に連結されている。管L21にポンプ22が介装されている。
ポンプ22は、図示しない信号線を介して図示しない制御手段に接続されており、図示しない制御手段は、液面センサ16に接続されている。図示しない制御手段は、液面センサ16の信号に基いて、第2の充填タンク11の液面レベルを所定範囲内とするように、ポンプ22を制御している。
【0049】
図3の第2実施形態は、上記した構成以外は、図示を省略した制御手段も含めて、図1の第1実施形態と同様の構成となっている。
【0050】
図4を参照して、第1のバランスタンク19、第2のバランスタンク21の液位を所定範囲に保つ制御について説明する。
図4において、液面センサ23により、第1のバランスタンク19の液面高さを検知する(ステップS11)。なお、図4で示す制御において、液面センサ24により第2のバランスタンク21の液面高さを検知して行うことも可能である。
【0051】
そして、液面センサ23により検知された第1のバランスタンク19の液面が、第1の所定液位よりも低い位置にあるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、第1の所定液位は、第1のバランスタンク19における最低許容液位を規定している。
【0052】
液面センサ23により検知された第1のバランスタンク19の液面が、第1の所定液位より高い位置であれば(ステップS12がno)、第1のバランスタンク19において液体が不足してしまう恐れはないと判断して、ステップS14に進む。
液液面センサ23により検知された第1のバランスタンク19の液面が、第1の所定液位より低い位置であれば(ステップS12がyes)、第1のバランスタンク19において液体が不足してしまう可能性があると判断して、ステップS13に進む。
【0053】
ステップS13では、図示しない制御手段により第3のポンプ9を制御して、第3のポンプ9の流量を減少させて、果肉を含まない液体AYが第2のバランスタンク21へ供給される流量を減少させる。
ここで、分離装置6内に流入する流量は一定であるので、果肉を含まない液体AYの流量が減少すれば、管L16を流れて第1のバランスタンク19へ供給される果肉を含む液体APの流量(第1のバランスタンク19へ果肉を含む液体APが供給される流量)が増加する。その結果、第1のバランスタンク19内の液体が不足する恐れが解消される。
そして、ステップS14に進む。
【0054】
ステップS14では、第1のバランスタンク19において、検知された液面が、第2の所定液位よりも高い位置にあるか否かを判定する。ここで、第2の所定液位は、第1のバランスタンク19における許容最高液位を規定している。
【0055】
第1のバランスタンク19の液面が第2の所定液位より低い位置であれば(ステップS14がno)、第1のバランスタンク19から液体が溢れ出る恐れがないと判断して、ステップS1に戻る(リターン)。
第1のバランスタンク19の液面が第2の所定液位より高い位置であれば(ステップS14がyes)、第1のバランスタンク19より液体が溢れ出る可能性があると判断して、ステップS15に進む。
【0056】
ステップS15では、図示しない制御手段により第3のポンプ9を制御して、第3のポンプ9の流量を増加して、果肉を含まない液体AYが第2のバランスタンク21へ供給される流量を増加する。上述した様に、ここで、分離装置6内に流入する流量は一定であるので、果肉を含まない液体AYの流量が増加すれば、果肉を含む液体APの第1のバランスタンク19への供給量は減少する。すなわち、第3のポンプ9の流量を増加することにより、第1のバランスタンク19への果肉を含む液体APの供給量が減少し、第1のバランスタンク19から液体が溢れ出る恐れが無くなる。
そして、ステップS1に戻る(リターン)。
【0057】
図4を参照して上述した制御に加えて、バランスタンク19、21における液位が最上限液面を上回った時の制御と、最下限液面を下回った時の制御は、以下の様に行われる。
【0058】
液面センサ23、液面センサ24の何れかにより、バランスタンク19、21の何れかの液位が、最上限液面(第2の所定液位或いは許容最高液位よりも更に上方の液位)よりも高くなった旨が検出された場合には、ポンプ9、18を停止し、ポンプ20、22を作動させる。
一方、液面センサ23、液面センサ24の何れかにより、充填タンク10、11の何れかの液位が、最下限液面(第1の所定液位或いは許容最低液位よりも更に下方の液位)よりも低くなった旨が検出された場合には、ポンプ20、22を停止し、ポンプ9、18を作動させる。
【0059】
図4は、図3で示す第2実施形態において、第1及び第2のバランスタンク19、21への供給量の制御について示している。
次に、図5を参照して、第1及び第2の充填タンク10、11の貯留量に関する制御について、説明する。
【0060】
図5において、液面センサ15により、第1の充填タンク10の液面高さを検知する(ステップS21)。
ここで、液面センサ16により、第2の充填タンク11の液面高さを検知しても良い。図5では、液面センサ16の計測結果に基いて行われる制御については、カッコ書きで表現している。
【0061】
液面センサ15により検知された液面が、第1の所定液位より低い位置にあるか、否かを判定する(ステップS22)。ここで、第1の所定液位は、第1の充填タンク10の許容最低液位を規定している。
【0062】
検知された液面が第1の所定液位より高い位置であれば(ステップS22がno)、第1充填タンク10において、液体が不足してしまう恐れがないと判断して、ステップS24に進む。
検知された液面が第1の所定液位より低い位置であれば(ステップS22がyes)、第1充填タンク10において、液体が不足してしまう恐れがあると判断して、ステップS23に進む。
【0063】
ステップS23では、図示しない制御手段によりポンプ20を制御して、ポンプ20の流量を増加させ、第1のバランスタンク19に貯蔵されている果肉を含む液体APを、第1の充填タンク10へ供給する量を増加する。
これにより、第1の充填タンク10において、液体が不足してしまう恐れを解消する。
ついで、ステップS24に進む。
【0064】
一方、液面センサ16により、第2の充填タンク11の液面高さを検知する場合であれば、第2の充填タンク11の液面を第1の所定液位と比較し(ステップS22)、第1の所定液位よりも高い場合(ステップS22がno)には、ステップS23において、第2のバランスタンク21に貯蔵されている果肉を含まない液体AYを、第2の充填タンク11へ供給する量を増加する。
【0065】
ステップS24では、液面センサ15により検知された第1の充填タンク10の液位が、第2の所定液位より高い位置にあるか否かを判定する。ここで、第2の所定液位は、最高許容液位を規定する。
【0066】
検知された液面が、第2の所定液位より低い位置であれば(ステップS24がno)、第1の充填タンク10から液体が溢れ出す恐れがないと判断して、ステップS21に戻る(リターン)。
液面センサ15により検知された液面が、第2の所定液位より高い位置であれば(ステップS24がyes)、第1の充填タンク10から液体が溢れ出す可能性があると判断して、ステップS25に進む。
【0067】
ステップS25では、制御手段がポンプ20を制御し、ポンプ20の流量を減少させる。これにより、果肉を含む液体APを第1の充填タンク10へ供給する供給量を減少させ、以って、第1の充填タンク10から液体が溢れ出す恐れを解消する。
そして、ステップS21に戻る(リターン)。
【0068】
液面センサ16により、第2の充填タンク11の液面高さを検知する場合であれば、第2の充填タンク11の液面を第2の所定液位と比較し(ステップS24)、第2の所定液位よりも高い場合(ステップS24がYes)には、ステップS25において、第2のバランスタンク21に貯蔵されている果肉を含まない液体AYを、第2の充填タンク11へ供給する量を減少する。
【0069】
上述した様に、図示しない制御手段は、液面センサ17aの信号によって、混合物タンク17の液面を所定値にするべく、第1のポンプ3、第2のポンプ4を制御する。
係る制御について、図6を参照して説明する。
【0070】
図6において、液面センサ17aにより、混合物タンク17の液面高さを検知する(ステップS31)。
そして、液面センサ17aにより検知された混合物タンク17の液面が、第1の所定液位より低い位置にあるか、否かを判定する(ステップS32)。ここで、第1の所定液位は、混合物タンク17の許容最低液位を規定している。
【0071】
検知された液面が第1の所定液位より高い位置であれば(ステップS32がno)、混合物タンク17において、液体が不足する恐れがないと判断して、ステップS34に進む。
混合物タンク17の液面が第1の所定液位より低い位置であれば(ステップS32がyes)、混合物タンク17において、液体が不足してしまう恐れがあると判断して、ステップS33に進む。
【0072】
ステップS33では、図示しない制御手段により第1のポンプ3及び第2のポンプ4を駆動して、混合装置5を介して混合物タンク17へヨーグルトベースYとシロップ漬け果肉Pとの混合物を供給する。以って、混合物タンク17内にヨーグルトベースYとシロップ漬け果肉Pとの混合物が不足してしまう恐れを解消する。
そして、ステップS34に進む。
【0073】
ステップS34では、液面センサ17aにより検知された混合物タンク17の液位が、第2の所定液位より高い位置にあるか否かを判定する。ここで、第2の所定液位は、混合物タンク17における最高許容液位を規定する。
【0074】
検知された液面が、第2の所定液位より低い位置であれば(ステップS34がno)、混合物タンク17から液体が溢れ出す恐れがないと判断して、ステップS31に戻る(リターン)。
液面センサ17aにより検知された液面が、第2の所定液位より高い位置であれば(ステップS34がyes)、混合物タンク17から液体が溢れ出す可能性があると判断して、ステップS35に進む。
【0075】
ステップS35では、図示しない制御手段により、第1のポンプ3及び第2のポンプ4を停止して、ヨーグルトベースYとシロップ漬け果肉Pとの混合物を混合物タンク17へ供給するのを停止する。これにより、ヨーグルトベースYとシロップ漬け果肉Pとの混合物が混合物タンク17から溢れ出す恐れことを防止する。
そして、ステップS31に戻る(リターン)。
【0076】
次に図7を参照して、第3実施形態を説明する。
図7の第3実施形態では、第1及び第2のバランスタンク19、21での液体の貯留量を安定させるために、流量計により供給流量を計測して、供給量の制御をする。
図7を参照して、図3における第2実施形態と異なる部分について説明する。
【0077】
分離装置6には、果肉を含む液体APを第1のバランスタンク19に供給する管L16aが取り付けられており、管L16aには流量計25が介装されている。
また分離装置6には、果肉を含まない液体AYを第2のバランスタンク21に供給するための管L17aが取り付けられており、管L17aには第3のポンプ9と流量計26が介装されている。
【0078】
流量計25、26は、図示しない制御手段に信号線で連結されており、図示しない制御手段は、ポンプ9とポンプ18に図示しない信号線で連結されている。
【0079】
図7の第3実施形態の作用について、説明する。
果肉を含む液体APを第1のバランスタンク19へ供給する供給量は、流量計25によって正確に計量される。そして、果肉を含まない液体AYを第2のバランスタンク21へ供給する供給量は、流量計26によって計量される。
【0080】
計量計25、26の計量結果に基いて、第3のポンプ9の吐出流量が制御される。すなわち、流量計25によって計量される第1のバランスタンク19への供給量が多く、流量計26によって計量される第2のバランスタンク21への供給量が少ない場合には、図4で説明した制御と同様に、第3のポンプ9の吐出流量を増加する。そして逆の場合、すなわち、流量計25によって計量される第1のバランスタンク19への供給量が少なく、流量計26によって計量される第2のバランスタンク21への供給量が多い場合には、第3のポンプ9の吐出流量を減少する。
【0081】
係る制御により、果肉を含む液体APが、第1バランスタンク19や第1の充填タンク10内で不足して、果肉が容器内に充填されなくなると言う事態や、果肉を含む液体APが溢れ出して、充填システム周辺が不衛生となってしまう事態が防止される。
或いは、果肉を含まない液体AYが、第2のバランスタンク21や第2の充填タンク11内で不足してしまう事態や、溢れ出してしまう事態が防止される。
第3実施形態におけるその他の構成及び作用効果については、第2実施形態と同様である。
【0082】
図8は、本発明の第4実施形態を示す。
第1〜第3実施形態では、果肉を含む液体APを容器に注入した後に、果肉を含まない液体AYを注入しているが、第4実施形態では、果肉を含まない液体AYを容器に注入した後に、果肉を含む液体APを注入している。すなわち、注入の順序が逆になっている。
図8を参照して、図3における第2実施形態と異なる部分について、主として説明する。
【0083】
分離装置6に、果肉を含む液体APを、第1のバランスタンク19に供給するための管L16bが取り付けられている。
また分離装置6には、果肉を含まない液体AYを、第2のバランスタンク21に供給するための管L17bが取り付けられている。管L17bには、圧力計8が取り付けられ、第3のポンプ9が介装されている。
【0084】
第1のバランスタンク19から第1の充填タンク10に至る構成は、図3の第2実施形態と同様である。また、第2のバランスタンク21から第2の充填タンク11に至る構成は、図3の第2実施形態と同様である。
【0085】
図8では、第1の充填タンク10と第2の充填タンク11の配列が、図3とは異なっており、先ず、第2の充填タンク11から空の容器12へ注入が為されるように配置されている。すなわち、図8に示すように、空の容器12に、果肉を含まない液体AYが底部に注入される。
そして、第2の充填タンク11から空の容器12へ注入が行われた後に、第1の充填タンク10から、果肉を含む液体APが注入される。
【0086】
図8の第4実施形態において、上述した以外の構成及び作用効果は、図3の第2実施形態と同様である。
【0087】
次に、図1〜図8の第1実施形態〜第4実施形態で使用された分離装置6について、図9〜図19を参照して説明する。
図9は分離装置6の構成と作用を模式的に示した図である。図1をも参照して、以下に説明する。
【0088】
図9において、混合装置5(図1)に連通している管L5が、内管32の一方の入り口部33に接続されている。内管32には多数の孔が設けられている。内管32の他方は、出口部34によって管L6に接続されている。管L6は、第1の充填タンク10(図1)に連通されている。
内管32を外管31が包囲している。外管31は両端が閉じた形状をしており、出口部35を介して第2の充填タンク11(図1)に連結する管L7に接続されている。
【0089】
管L5から分離装置6に、ヨーグルトベースYとシロップ漬け果肉Pが入った固液混合物Mxが供給される。固液混合物Mxは内管32に入って、出口部34に向かって進行する。
内管32を流れる固液混合物Mxは、管L7に設けられた第3のポンプ9によって吸引される。ここで果肉Pは内管32の孔を通過することが出来ないので、内管32の孔を通過して、出口部35、管L7を流れるのは、果肉を含まない液体AYとなる。
内管32の孔を通過しない固液混合物Mxは、果肉を含むヨーグルトベースAPとして、出口部34、管L6に導かれる。
【0090】
図10は、上記分離装置6の内管32を明示した側面図である。内管32には、同径の円孔32aが多数穿孔されている。
例えば、パンチングで穿孔された孔径は3mmであるが、孔径は果肉の通かを妨げる0.1mm〜20mmの範囲が好ましい。また、孔径は同一である必要はない。円孔32aの配列も、第3のポンプ9によって吸引されるヨーグルトベースAYの量、抵抗等を配慮して、等ピッチであっても、不等ピッチであっても、その他のパターンでもよい。
【0091】
図11、図12は、上記分離装置6の内管32の孔形状の変形例を示しており、果肉Pにより、孔が詰まってしまうことを防止した分離装置6aである。
図11、図12で示す内管32Aの孔32bは、管の内方から管の外方にテーパ状に拡っている。図12に示すように、内管32Aの内壁面における孔32bの径Bは、内管32Aの外壁面における孔32bの径Aに対して、小径となっている。
【0092】
図11、図12の分離装置6aによれば、吸引されて孔32bの近傍に到った果肉が孔32bの内径Bを塞ごうとするときに、果肉が当該孔32bの内壁面側(内径B側)に引っ掛かってしまっても、果肉は凸凹しているので、果肉の凹部分と孔周縁部との間に空間が形成され、その空間から果肉を含まない液体AYが孔32b内に流れることができる。また仮に、果肉が引っ掛かって孔32bの内径Bが塞がった場合であっても、外径Aから逆洗することにより、小径の内径Bでの圧が高まるため、容易に果肉を除去することもできる。
【0093】
図13では、内管の孔の形状を長孔にして、孔詰まりを避けるようにした分離装置6bを示している。
図13では、内管32Bに、軸方向に平行な適度に長い長孔32cが、配列されている。図13の例では、長孔32cは縦方向に3行設けられている。長孔32cの幅は、図10の孔径と同一である。
この分離装置6bでは、長孔全長に亘って果肉が付着することは確率的に少なく、長孔32cが閉塞されてしまうことは少ない。
【0094】
図14、図15は、上記分離装置6bにおいて、積極的に孔詰まりを避けるようにした分離装置6cを示している。
図15において、内管32Bを包囲する環状の掻き取り手段36が設けられている。掻き取り手段36は、環部36aと、環部36aから半径方向内方に延びる複数の棒状部36Bとで構成されている。棒状部36Bは、長孔32cに遊嵌している。
図14、図15の分離装置によれば、図14に示すように、常時あるいは随時に、掻き取り手段36が長孔32cに沿って移動して、孔を閉塞している果肉を除去して、孔詰まりを防止する。
【0095】
図16は、図13の長孔32cを軸方向(長手方向)に傾斜角度を設けて、孔詰まりを避けるようにした分離装置6dである。
内管32Cには、軸方向に軸線に対して傾斜した長孔32dが、並行に配列されている。図16においては、長孔32dの傾斜角は小さいが、傾斜角を図16で示すよりも大きくしても良い。長孔32d間のピッチ幅は、適宜設定される。
この分離装置6dでは、果肉が長孔32dに沿って移動する際に、軸心に対して回転方向に移動するので塞がれることはさらに少ない。
【0096】
図17は、コイルばね32Sを内管32Dとして構成した分離装置6eである。そして、コイルばね32Sの隣接する条間の隙間wが、内管32Dの孔として作用する。したがって、傾斜した孔が内管32Dの円周方向の全域に連続して形成された状態となっている。
この分離装置6eでは、らせん状に連続した孔の全域を果肉が閉塞することは、確率的に生じる可能性が少なく、果肉による詰まりが発生し難くなる。
【0097】
図18で示す分離装置6fは、内管32の内壁面に付着した果肉を掻き取るため、内管32の内側に掻き取り用スクリュー37を設けている。内管32に形成された多数の孔が果肉により閉塞した場合には、図18の矢印Rfで示す様に掻き取り用スクリュー37を回転し、内管32の内壁面に付着して、内管32に形成された孔を閉塞している果肉が、スクリュー37の歯(条)で掻き取られる。
なお、掻き取り用スクリュー37の回転駆動力については、図示しないモータ等の原動機から伝達しても良いし、或いは、手動でスクリュー37を回転しても良い。
【0098】
図19は、サイクロン状の分離装置6gである。分離装置6gは、上部が大径で下部が小径な錐筒体31Aの上部に、円錐ダクト状のダクト部31Bが設けられて形成されている。錐筒体31Aの底部に出口34が設けられている。錐筒体31Aの上部に入口33が設けられている。ダクト部31Bに出口35が設けられている。
入口33から入った固液混合物Mxは、サイクロン効果によって遠心分離される。そして、下方には比重の大きい果肉を含む液体APが移動して、出口34から吐出される。上方には比重の小さい果肉を含まない液体AYが移動して、出口35から吐出される。
【0099】
次に、図20、図21を用いて、容器12に、果肉を含まない液体AYと、果肉を含む液体APとを注入するための実施形態を説明する図である。
【0100】
図20(a)で示す様に、容器12に先に充填された果肉を含む液体APの部分は、果肉を含まない液体AYが後で充填されることにより被覆されてしまうと(図20(b)で示す状態)、需要者が容器12の蓋を剥がした際に、果肉を視認する事が出来ない。換言すると、需要者をして「果肉が入っていない不良品ではないか?」という懸念を抱かせてしまう恐れが存在する。
ここで図20(a)の符号13は、容器12に果肉を含む液体APが注入された状態を示し、図20(b)の符号14は、果肉を含む液体APの上部に果肉を含まない液体AYが注入された状態を示している。
【0101】
これに対して、図21の実施形態では、果肉を含まない液体AYを充填する際に、先に充填された果肉を含む液体APの部分が、果肉を含まない液体AYが充填された後も、上方から果肉を視認する事が出来る様に、果肉を含まない液体AYの充填を行っている。なお、符号66は、注入ノズルである。
なお、図21の実施形態の前提として、図1〜図7の実施形態の様に、果肉を含む液体APを充填してから、果肉を含まない液体AYを充填する。
【0102】
果肉を含む液体APの部分が、果肉を含まない液体AYの上側に来る様に充填されれば、蓋を剥がした際に、需要者は果肉が入っていることを視認することが出来る。それに加えて、果肉を含む液体APのみが需要者に視認出来るために、果肉の量が多いような印象を与えることも可能である。
【0103】
なお、果肉を含まない液体AYの上に果肉の塊が載っているのではなくて、果肉を含まない液体AY中に果肉が点在していても良い。
要は、蓋を剥がしたときに、需要者が「果肉が存在している」旨を視覚的に理解できれば良い。
【0104】
図21(a)及び図21(b)の実施形態を実現するための態様を、図22〜図28を参照して、以下に説明する。
図22〜図24で示す充填の態様で用いられる充填ノズル66Aは、先端に軸方向に向いた単孔を有している。
図22は、充填ノズル66Aを用いて、果肉を含まない液体AYを単孔から容器12に注入する態様を、上方から見た状態を示している。図23は、係る態様の斜視図である。
【0105】
図22〜図24で示す充填の態様によれば、果肉を含まない液体AYが、容器12の内壁に沿って螺旋状に注入される。果肉を含まない液体AYは、予め注入された果肉を含む液体APの周囲から下方に向かって注入されるので、果肉を含まない液体AYが果肉を含む液体APを被覆してしまうことがない。
【0106】
ここで、果肉を含まない液体AYを注入するに際して、充填ノズル66Aの先端部から飛び散る飛沫Spが容器12tの外部に拡散しない様にする手段が必須である。また、飛沫は充填ノズル66Aの先端部だけでなく、容器12の内壁に衝突する際にも発生することがあるので、当該飛沫が容器外部に拡散しない様にせしめる手段が必須である。飛沫Spは、充填システムが設置されている箇所の美観を損ねるのみならず、衛生上の害をもたらす懸念があるからである。
【0107】
図24は、果肉を含む液体APの下方に、果肉を含まない液体AYが注入された状態を示している。
【0108】
図25及び図26は、充填ノズル66Bを用いた充填の態様を示す。充填ノズル66Bは、二股に分岐しており、分岐した各々が先端に注入孔を有している。
図25は、果肉を含まない液体AYを、ノズル部66b、66bのそれぞれの単孔から容器12tに注入する状態を側面から示しており、図26は係る状態を上方から示している。
【0109】
図25で示すように、果肉を含まない液体AYは、容器12tの内壁に沿って垂直下方に注入されるので、予め注入された果肉を含む液体APが果肉を含まない液体AYで被覆されてしまうことが無く、上方から果肉を含む液体APを視認することが出来る状態が維持される。
【0110】
図27及び図28は、充填ノズル66Cを用いた充填の態様を示している。充填ノズル66Cは、先端に複数の噴射孔69を有しており、各噴射孔69は、その噴射方向が斜め下方に向かっている。
図27では、果肉を含まない液体AYを、噴射孔69の各々から容器12tへ噴射している状態を、側面から示している。図26は、係る状態を上方から示している。
【0111】
図27において、噴射孔69の各々から噴射された果肉を含まない液体AYは、容器12tの内壁に沿って、容器12tの垂直方向下方に注入される。そのため、果肉を含まない液体AYは、予め注入された果肉を含む液APを被覆することがなく、果肉を含む液APが上方から視認出来る状態が保たれる。
【0112】
図29は、図示の実施形態を用いて容器中に注入した場合において、注入された果肉の数量を、従来技術と比較して示している。
図29において、横軸は製品が充填された容器中の果肉の数量(n)であり、縦軸fは容器中に含まれる果肉の数量の頻度を示している。そして図29において、特性曲線D1は図30で示す従来技術における分布を示しており、特性曲線D2は図示の実施形態における分布を示している。
【0113】
図29から明らかな様に、従来技術に比較して、本発明では、各容器に注入される果肉の数は一定している。
より詳細に述べると、固液混合物Mxを1度で容器に充填する従来技術を示す特性曲線D1では、充填された果肉の数量は中心数Nのピークが小さく、バラツキの大きな分布状態である。
【0114】
これに対して、果肉を含まない液体AYと果肉を含む液体APとを別個に(2段で)充填した図示の実施形態を示す特性曲線D2は、中心数Nのピークが非常に大きく、且つ、中心数Nから離隔した頻度が少ない分布となっており、商品として果肉数のばらつきの少ない分布状態を示している。
【0115】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1実施形態の構成図。
【図2】図1の制御を示すフローチャート。
【図3】第2実施形態の構成図。
【図4】図3の制御を示すフローチャート。
【図5】図3の別の制御を示すフローチャート。
【図6】図3の更に別の制御を示すフローチャート。
【図7】第3実施形態の構成図。
【図8】第4実施形態の構成図。
【図9】分離装置の構成と作用を示す側断面図。
【図10】分離装置の側断面図。
【図11】別の分離装置の側断面図。
【図12】図11の分離装置の孔形状を示す断面図。
【図13】別の分離装置の側断面図。
【図14】さらに別の分離装置の側断面図。
【図15】図14の分離装置の掻き取り手段を示す正面図。
【図16】異なる分離装置の側断面図。
【図17】さらに異なる分離装置の側断面図。
【図18】その他の分離装置の側断面図。
【図19】他の分離装置の側面図。
【図20】充填方法を説明するための図。
【図21】充填方法の一例を説明する図。
【図22】充填の一態様を示す上面図。
【図23】図22の充填態様の斜視図。
【図24】図22、図23で示す充填態様の側断面図。
【図25】別の充填態様を示す側面図。
【図26】図25の態様の上面図。
【図27】別の充填態様を示す側面図。
【図28】図27の態様の上面図。
【図29】従来の充填技術による固形物(果肉)の分布状態と、本発明の充填システムによる固形物(果肉)の分布状態とを比較して示す図。
【図30】従来の実施形態の構成図。
【符号の説明】
【0117】
Y・・・・ヨーグルトベース
AY・・・固形物(果肉)を含まない液体
P・・・・固形物(果肉)を含む液体(シロップ)
AP・・・固形物(果肉)を含むヨーグルトベース
Mx・・・ヨーグルトベースと固形物(果肉)入りの液体との固液混合物
R・・・・制御装置
1・・・・第1のタンク
2・・・・第2のタンク
3・・・・第1のポンプ
4・・・・第2のポンプ
5・・・・混合装置
6、6a〜6g・・・・分離装置
7、8・・・・圧力計
9・・・・第3のポンプ
10・・・第1の充填タンク
11・・・第2の充填タンク
12・・・(空)容器
13、14・・・(充填済)容器
15、16、17a、23、24・・・液面センサ
17・・・混合物タンク
18、20、22・・・ポンプ
19・・・第1のバランスタンク
21・・・第2のバランスタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と固形物とを混合する混合工程と、液体と固形物との混合物を、固形物を含まない液体と固形物を含む液体とに分離する分離工程と、容器内に固形物を含む液体を注入する工程と、容器内に固形物を含まない液体を注入する工程、とを有することを特徴とする充填方法。
【請求項2】
本発明の充填方法において、容器内に固形物(果肉)を含む液体を注入する工程は第1の充填手段により実行され、容器内に固形物を含まない液体を注入する工程は第2の充填手段により実行され、第1の充填手段或いは第2の充填手段の何れかにおける内容物の容量が所定量以下になった際に、当該内容物を第1の充填手段或いは第2の充填手段へ充填する工程を含む請求項1の充填方法。
【請求項3】
液体と固形物とを混合する混合装置と、液体と固形物との混合物を固形物を含まない液体と固形物を含む液体とに分離する分離装置と、容器内に固形物を含む液体を注入する第1の充填装置と、容器内に固形物を含まない液体を注入する第2の充填装置、とを有することを特徴とする充填システム。
【請求項4】
前記分離装置と第1の充填装置を連通するラインと、分離装置と第2の充填手段とを連通するラインとを設け、少なくとも何れか一方のラインに液体吸引装置を介装しており、第1の充填装置或いは第2の充填手段の何れかにおける内容物の容量が所定量以下になった場合に液体吸引手段からの供給量を増加する様に構成されている請求項3の充填システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2007−319116(P2007−319116A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154559(P2006−154559)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【Fターム(参考)】