充填治具および固形粉末化粧料の製造方法
【課題】収容皿にスラリーを充填する際、その表面にスラリーの切れた跡が生じることを抑制し、外観品質の安定化を図る。
【解決手段】ヘッド1aの下方には、収容皿2内に充填されたスラリーを摺り切るための摺切平面1cが形成されている。注入孔1dは、摺切平面1cにおいて開口しており、供給管1bと連通している。ここで、注入孔1dは、摺切平面1cに向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面1cとなだらかに繋がっている。
【解決手段】ヘッド1aの下方には、収容皿2内に充填されたスラリーを摺り切るための摺切平面1cが形成されている。注入孔1dは、摺切平面1cにおいて開口しており、供給管1bと連通している。ここで、注入孔1dは、摺切平面1cに向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面1cとなだらかに繋がっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填治具および固形粉末化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションやアイシャドウといった固形粉末化粧料の一つとして、湿式成形品が知られている。例えば、特許文献1には、図18に示すような充填治具10を用いて、収容皿11を含む充填空間A内に流動状の充填物を充填する粉末化粧料の成形方法が開示されている。この充填治具10は、平面状の蓋状部10aを有する。蓋状部10aの下面には、流動状の充填物を吐出する充填口10bが設けられており、この充填口10bは流通路10cと連通している。充填空間A内に充填物を充填する場合、蓋状部10aによって充填空間Aの開口部全域を覆い尽くし、これを閉塞した上で、充填口10bより充填物が注入される。
【0003】
【特許文献1】特開2006−199616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1によれば、打型後に外観不良が生じるおそれがある。図18に示したように、パイプ形状の充填口から吐出された規定量の充填物を充填空間A内に充填する際、充填物の切れた跡が打型後の充填物の表面に生じ得るからである。この場合、ヘラ等で表面を撫でるなどして、充填物の切れた跡を消すといった作業を必要に応じて行わなければならない。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、収容皿に充填物を充填する際、その表面に充填物の切れた跡が生じることを抑制し、外観品質の安定化を図ることである。
【0006】
また、本発明の別の目的は、充填物の切れた跡を消す修正工程を不要にして、製造作業の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、第1および第2の発明は、ヘッドと、供給管と、注入孔とを有し、収容皿内に流動状の充填物を充填する充填治具を提供する。ヘッドは、収容皿内の上開口部の上方に配置され、このヘッドの下方には、収容皿内または収容皿を含む空間内に充填された充填物を摺り切るための摺切平面が形成されている。供給管は、充填物を供給するためにヘッドに取り付けられている。注入孔は、摺切平面において開口しており、供給管と連通している。ここで、第1の発明において、注入孔は、摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面となだらかに繋がっている。一方、第2の発明において、注入孔は、当該注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。ここで、第2の発明において、注入孔の内面の曲率半径は、摺切平面の近傍部位の方が摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことが好ましい。
【0008】
第1または第2の発明において、摺切平面においてヘッドを貫通するように開口しており、注入孔よりも開口断面が小さい少なくとも一つの排出孔をさらに有していてもよい。この場合、排出孔は、注入孔に対して点対称な位置に複数設けられていることが好ましい。また、第1または第2の発明において、注入孔は、収容皿の略中央に位置するように開口していてもよい。
【0009】
第3および第4の発明は、固形粉末化粧料の製造方法を提供する。この製造方法では、第1のステップとして、基板の一部を収容皿の高さよりも浅く陥没させた陥没部に収容皿をセットし、このセットされた収容皿をヘッドの下に配置する。第2のステップとして、ヘッドを降下させ、ヘッドの下方に形成された摺切平面を収容皿の上縁に当接させることによって、収容皿の上開口部を摺切平面で覆う。第3のステップとして、摺切平面において開口した注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、収容皿内を充填物で充填する。第4のステップとして、ヘッドに対する基板の相対移動によって、収容皿内に充填された充填物を摺切平面によって摺り切る。そして、第5のステップとして、収容皿の上縁相当に摺り切られた収容皿内の充填物を上方よりプレスする。ここで、第3の発明において、注入孔は、摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面となだらかに繋がっている。一方、第4の発明において、注入孔は、当該注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。
【0010】
第5および第6の発明は、固形粉末化粧料の製造方法を提供する。この製造方法では、第1のステップとして、基板の一部を収容皿の高さよりも深く陥没させた陥没部に収容皿をセットし、このセットされた収容皿をヘッドの下に配置する。第2のステップとして、ヘッドを降下させ、ヘッドの下方に形成された摺切平面を基板の上面に当接させることによって、陥没部の上開口部を摺切平面で覆う。第3のステップとして、摺切平面において開口した注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、収容皿を含む陥没部内の空間を充填物で充填する。第4のステップとして、ヘッドに対する基板の相対移動によって、空間内に充填された充填物を摺切平面によって摺り切る。そして、第5のステップとして、基板の上面相当に摺り切られた収容皿内の充填物を上方よりプレスする。ここで、第5の発明において、注入孔は、摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面となだらかに繋がっている。一方、第6の発明において、注入孔は、当該注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。
【0011】
ここで、第4または第6の発明において、注入孔の内面の曲率半径は、摺切平面の近傍部位の方が摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことが好ましい。また、第3から第6までの発明のいずれかにおいて、第3のステップは、少なくとも一つの排出孔を介して、収容皿内の空気を排出するステップを有していてもよい。この排出孔は、摺切平面においてヘッドを貫通するように開口しており、注入孔よりも開口断面が小さい。
【発明の効果】
【0012】
第1から第6までの発明によれば、摺切平面に向かうにつれて注入孔が拡径し、摺切平面となだらかに繋がっており、或いは、注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。これにより、摺切平面によって充填物を摺り切る際、その表面に充填物の切れた跡が生じることを抑制できる。その結果、外観品質の安定化を図ることができるとともに、充填物の切れた跡を消す修正工程が不要になるので、製造作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る充填治具の外観斜視図である。この充填治具1は、矩形プレート状のヘッド1aと、中空状の供給管1bとを主体に構成され、収容皿2内に流動状の充填物(スラリー)を充填する成形ヘッドとして用いられる。ヘッド1aおよび供給管1bは共に金属製であり、両者は強固に一体化されている。ヘッド1aは、成形ヘッドの仕様として要求される強度を確保するのに十分な厚みを有する。このヘッド1aの下方には、水平かつ平坦な摺切平面1cが形成されている。
【0014】
この摺切平面1cは、2つの役割を担っている。一つは、収容皿2の上開口部は収容皿2を含む空間の上開口部を覆って、スラリーの充填空間を形成するという役割である。そして、もう一つは、充填空間に充填されたスラリーを摺り切るという役割である。一方、供給管1bは、ヘッド1aの上方において左側にオフセットした位置に溶接等によって取り付けられている。この供給管1bは、外部から供給されたスラリーをヘッド1aに導くために用いられる。スラリーは、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった固形粉末化粧料の化粧料基材と、エタノール、水、流動パラフィン、イソパラフィン、イソプロピルアルコール等の揮発性溶剤とを混合したものである。
【0015】
また、ヘッド1aは、注入孔1dと、少なくとも一つの排出孔1eとを有している。注入孔1dは、摺切平面1c上において矩形状に開口しており、ヘッド1aを上下方向に延在している。そして、注入孔1dの上端は供給管1bと連通している。これにより、供給管1bより供給されたスラリーは、注入孔1dを介して下方に吐出される。一方、排出孔1eは、摺切平面1c上において開口しており、ヘッド1aを上下方向に貫通している。この排出孔1eは、充填空間内の空気(エア)を抜くための役割を担っており、注入孔1dよりも開口断面が小さく形成されている。スラリーの充填時、充填空間内の空気や充填されたスラリーの一部は、排出孔1eを介して充填空間外に排出される。その際、スラリーの充填時に充填空間内をある程度加圧するためには、排出孔1eの開口断面を注入孔1dのそれよりも小さくする必要がある。一般に、排出孔1eを小径にするほど充填空間内の圧力が高まる。開口断面の具体値は、注入孔1dの径(開口断面)やスラリーの供給圧等も考慮した上で、充填空間内をどの程度圧縮するかに応じて適宜設定される。本実施形態において、排出孔1eは、同図右側3カ所に1φ程度の大きさで設けられているが、少なくとも1カ所に設けられていれば足りる。
【0016】
図2は、充填治具1の要部断面図である。注入孔1dの下側、すなわち、摺切平面1cにおける開口は、湾曲したテーパー形状を有している。具体的には、同図(a),(b)に示すように、注入孔1dは、摺切平面1cに向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面1cとなだらかに繋がっている。換言すれば、注入孔1dの内面と摺切平面と1cによって形成される角部は、曲面状に面取りされている。注入孔1dがテーパー形状を有さない場合、すなわち、注入孔1dの内面と摺切平面1cと直線状に折れ曲がっている場合、プッシャーにて収容皿2を排出(水平移動)させる際、この折れ曲がった角部によってスラリーの切れた筋状の跡が表面に生じてしまう。これに対して、本実施形態のようなテーパー形状にした場合、角部が面取りされているので、上記筋状の跡が生じ難くなる。このような観点より、本発明は、同図(a)のように、上記角部を単純に面取りした形態を排除するものではないが、同図(b)のように、注入孔1dの内面の曲率半径を摺切平面1cの近傍部位の方を摺切平面1cの奥まった部位よりも大きくすれば、上記筋状跡の発生を一層有効に防止できる。なお、同様の観点から、排出孔1eの下側に同様のテーパー形状を設けてもよい。
【0017】
固形粉末化粧料の製造工程では、充填治具1に対して収容皿2を相対移動させるための手段として、ターンテーブルが用いられる。図3は、ターンテーブルの要部斜視図である。ターンテーブル4は、取付軸を中心に回転可能である。このターンテーブル4の周方向には複数の取付部4aが設けられており、それぞれの取付部4aに基板3が着脱自在に嵌入される。基板3の一部(略中央)は、収容皿2の形状に応じた陥没部3aが設けられている。本実施形態において、この陥没部3aの深さは収容皿2の高さよりも浅くなっている。したがって、陥没部3aに収容皿2をセットした状態では、収容皿2の上縁の方が基板3の上面よりも高くなって、基板3の上面より収容皿2が突出する。ターンテーブル4は、所定の間隔で所定の角度だけ回転し、これに応じて、これに嵌入されたそれぞれの基板3も水平面上を断続的に移動する。
【0018】
つぎに、図4から図8を参照しつつ、固形粉末化粧料の製造方法について説明する。上述した充填治具1は、図示しない昇降装置が有する昇降機構に取り付けられ、油圧や空気圧を制御することによって昇降する。
【0019】
まず、図4に示すように、基板3の一部を収容皿2の高さよりも浅く陥没させた陥没部3aに収容皿2をセットする。そして、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、収容皿2を充填治具1の下に配置する。その後、上昇していた充填治具1を降下させて、ヘッド1aの下方に形成された摺切平面1cを収容皿2の上縁に当接させる。これによって、収容皿2の上開口部が摺切平面1cで覆われて、収容皿2の内底2aと、その外枠2bと、摺切平面1cとによって囲まれた充填空間Aが形成される。
【0020】
つぎに、図5に示すように、供給管1b内を加圧することによって、注入孔1dより吐出されたスラリーが充填空間A内に注入される。比較的高い粘性を有するスラリーは、注入孔1dより落下し、充填空間A内を横方向に広がっていく。その際、注入孔1dの下側がテーパー形状になっているので、注入孔1dの途中(摺切平面1cに至る前)から横方向に広がり始める。これにより、スラリーの充填を迅速に行うことができ、充填されたスラリーの粒子密度も均一化される。
【0021】
スラリーの充填に伴い、充填空間A内に存在する空気は、排出孔1eより外部に排出される。排出孔1eの開口断面は注入孔1dのそれよりも十分に小さいので、排出孔1eを設けていても、充填空間A内が所望の圧力に保たれる。そして、図6に示すように、1回当たりの規定量に相当するスラリーの注入が終了すると、この収容皿2に対する充填工程が完了する。この状態において、充填空間A内の空気が排出され、充填空間A内がスラリーで完全に満たされる。なお、上記規定量は(充填空間Aの体積+α)に設定されているので、注入されたスラリーの一部が排出孔1eより若干吐出される。
【0022】
つぎに、図7に示すように、充填治具1を降下させた状態のまま、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、ヘッド1aに対して基板3を水平方向に相対移動させる。これによって、充填空間A内に充填されたスラリーは摺切平面1cによって摺り切られる。その際、注入孔1dの下端は摺切平面1cとなめらかに繋がっているので、摺り切りによって露出したスラリー表面に筋状の跡が生じ難い。この摺り切りによって、スラリー表面の高さは、収容皿2の上縁相当、すなわち外枠2bの高さ相当になる。
【0023】
そして、図8に示すように、収容皿2の上縁相当に摺り切られたスラリーを、プレスヘッド5によって上方よりプレスする。このプレス過程でスラリーの揮発成分を除去する場合には、プレスヘッド5として多孔性の部材を用い、プレスヘッド5とスラリーとの間に、多孔性のプレスシートを介在させることが好ましい。
【0024】
そして、スラリー内の残存揮発成分を乾燥除去することによって、図9に示すように、収容皿2を収容された固形粉末化粧料が完成する。最終的な化粧料表面は、プレス工程等に起因して、収容皿2の上縁よりも所定の高さαだけ低くなる。
【0025】
このように、第1の実施形態によれば、注入孔1dの下側にはテーパーが形成されているので、摺切平面1cによってスラリーを摺り切る際、その表面にスラリーの切れた跡が生じることを抑制できる。その結果、外観品質の安定化を図ることができる。また、スラリーの切れた跡を消す修正工程が不要になるので、製造作業の効率化を図ることができる。さらに、スラリーの切れ方に起因した充填量のバラツキを低減できるので、充填量の安定化を図ることも可能になる。
【0026】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態に係る製造方法によれば、最終製品における化粧料表面が収容皿2の上縁よりも所定の高さα分だけ低くなる。そこで、本実施形態では、最終製品における化粧料表面を収容皿2と面一にするための製造方法について、図10から図16を参照しつつ説明する。なお、本実施形態で用いる充填治具1は、図1,2の構成と同一なので、同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0027】
まず、図10に示すように、基板3’の一部に設けられた陥没部3a’に収容皿2をセットする。上述した第1の実施形態とは異なり、陥没部3a’を収容皿2の高さよりも深く形成している点に留意されたい。そして、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、収容皿2を充填治具1の下に配置する。その後、上昇していた充填治具1を降下させて、ヘッド1aの下方に形成された摺切平面1cを基板3’の上面3b’に当接させる。これによって、陥没部3a’の上開口部が摺切平面1cで覆われて、陥没部3a’と、摺切平面1cとによって囲まれた充填空間A(正確には、収容皿2が存在する領域を除く)が形成される。
【0028】
つぎに、図11に示すように、供給管1b内を加圧することによって、注入孔1dを介して吐出されたスラリーを充填空間A内に注入する。注入孔1dより落下した高粘性のスラリーは、充填空間A内を横方向に広がっていく。その際、注入孔1dの下側がテーパー形状になっているので、注入孔1dの途中(摺切平面1cに至る前)から横方向に広がり始める。スラリーの充填に伴い、充填空間A内に存在する空気は、排出孔1eを介して外部に排出される。そして、図12に示すように、1回当たりの規定量に相当するスラリーの注入が終了すると、この収容皿2に対する充填工程が完了する。
【0029】
つぎに、図13に示すように、充填治具1を降下させた状態のまま、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、ヘッド1aに対して基板3’を水平方向に相対移動させる。これによって、充填空間A内に充填されたスラリーは摺切平面1cによって摺り切られる。その際、注入孔1dの下端は摺切平面1cとなめらかに繋がっているので、摺り切りによって露出したスラリー表面に筋状の跡が生じ難い。この摺り切りによって、スラリー表面の高さは基板3’の上面相当になる。本実施形態では、スラリー表面の高さが収容皿2の上縁、具体的には収容皿2の外枠2bの高さよりも高くなる点に留意されたい。
【0030】
そして、図14に示すように、基板3’の上面相当に摺り切られたスラリーを、プレスヘッド5’によって上方よりプレスする。本実施形態において、プレスヘッド5’は、ヘッドガイド5aと、このガイド5aによって規制された範囲で昇降するヘッド本体5bとで構成される。ヘッドガイド5aの一部は、下方に向かって枠状に突出しており、その外枠の形状は、陥没部3a’の開口形状に対応している。そして、この突出した枠内にヘッド本体5bが上下方向に変位自在に取り付けられている。そして、図15に示すように、ヘッドガイド5aを陥没部3a’に嵌入した状態で、ヘッド本体5bの下面が収容皿2の上縁に至るまで、ヘッド本体5bを押し下げる。このプレス過程でスラリーの揮発成分を除去する場合には、プレスヘッド5として多孔性の部材を用い、プレスヘッド5とスラリーとの間に、多孔性のプレスシートを介在させることが好ましい。
【0031】
そして、スラリー内の残存揮発成分を乾燥除去することによって、図16に示すように、収容皿2を収容された固形粉末化粧料が完成する。本実施形態では、収容皿2の上縁よりも高い位置でスラリーを摺り切っているので、プレス後においても収容皿2に対して化粧料表面が陥没せず、収容皿2と面一にすることができる。
【0032】
このように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の理由で、外観品質の安定化と、製造作業の効率化と、スラリーの充填量の安定化とを図ることが可能になる。また、化粧料表面が収容皿2と面一な固形粉末化粧料製品を得ることができる。
【0033】
(第3の実施形態)
図17は、本実施形態に係る充填治具1’の外観斜視図である。この充填治具1’の特徴は、注入孔1d(摺切平面1cにおける開口)を収容皿2の略中央に位置するようにしている点である。このようにすることで、注入孔1dよりスラリーを吐出した際、収容皿2の四隅に向けたスラリーの広がり方が均一になる。また、空気抜きの均一化を図るべく、排出孔1eは注入孔1dに対して点対称な位置、本実施形態では収容皿2の四隅にそれぞれ設けられている。なお、この充填治具1’は、上述した第1および第2の実施形態のどちらの製造方法にも用いることができる。
【0034】
このように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、注入孔1dより吐出されたスラリーの広がり方が均一になるので、スラリーの粒子密度にバラツキが生じることを一層有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態に係る充填治具の外観斜視図
【図2】第1の実施形態に係る充填治具の要部断面図
【図3】ターンテーブルの要部斜視図
【図4】基板にセットされた収容皿の状態を示す図
【図5】収容皿内にスラリーを注入する状態を示す図
【図6】収容皿内にスラリーが充填された状態を示す図
【図7】充填治具によるスラリーの摺切状態を示す図
【図8】収容皿内のスラリーをプレスする状態を示す図
【図9】収容皿に収容された固形粉末化粧料の状態を示す図
【図10】第2の実施形態における基板にセットされた収容皿の状態を示す図
【図11】第2の実施形態における収容皿内にスラリーを注入する状態を示す図
【図12】第2の実施形態における収容皿内にスラリーが充填された状態を示す図
【図13】第2の実施形態における充填治具によるスラリーの摺切状態を示す図
【図14】第2の実施形態におけるスラリーのプレス前の状態を示す図
【図15】第2の実施形態におけるスラリーのプレス途中の状態を示す図
【図16】第2の実施形態における収容皿に収容された固形粉末化粧料を示す図
【図17】第3の実施形態に係る充填治具の外観斜視図
【図18】従来の充填治具の説明図
【符号の説明】
【0036】
1 充填治具
1a ヘッド
1b 供給管
1c 摺切平面
1d 注入孔
1e 排出孔
2 収容皿
3 基板
4 ターンテーブル
5 プレスヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填治具および固形粉末化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションやアイシャドウといった固形粉末化粧料の一つとして、湿式成形品が知られている。例えば、特許文献1には、図18に示すような充填治具10を用いて、収容皿11を含む充填空間A内に流動状の充填物を充填する粉末化粧料の成形方法が開示されている。この充填治具10は、平面状の蓋状部10aを有する。蓋状部10aの下面には、流動状の充填物を吐出する充填口10bが設けられており、この充填口10bは流通路10cと連通している。充填空間A内に充填物を充填する場合、蓋状部10aによって充填空間Aの開口部全域を覆い尽くし、これを閉塞した上で、充填口10bより充填物が注入される。
【0003】
【特許文献1】特開2006−199616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1によれば、打型後に外観不良が生じるおそれがある。図18に示したように、パイプ形状の充填口から吐出された規定量の充填物を充填空間A内に充填する際、充填物の切れた跡が打型後の充填物の表面に生じ得るからである。この場合、ヘラ等で表面を撫でるなどして、充填物の切れた跡を消すといった作業を必要に応じて行わなければならない。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、収容皿に充填物を充填する際、その表面に充填物の切れた跡が生じることを抑制し、外観品質の安定化を図ることである。
【0006】
また、本発明の別の目的は、充填物の切れた跡を消す修正工程を不要にして、製造作業の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、第1および第2の発明は、ヘッドと、供給管と、注入孔とを有し、収容皿内に流動状の充填物を充填する充填治具を提供する。ヘッドは、収容皿内の上開口部の上方に配置され、このヘッドの下方には、収容皿内または収容皿を含む空間内に充填された充填物を摺り切るための摺切平面が形成されている。供給管は、充填物を供給するためにヘッドに取り付けられている。注入孔は、摺切平面において開口しており、供給管と連通している。ここで、第1の発明において、注入孔は、摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面となだらかに繋がっている。一方、第2の発明において、注入孔は、当該注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。ここで、第2の発明において、注入孔の内面の曲率半径は、摺切平面の近傍部位の方が摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことが好ましい。
【0008】
第1または第2の発明において、摺切平面においてヘッドを貫通するように開口しており、注入孔よりも開口断面が小さい少なくとも一つの排出孔をさらに有していてもよい。この場合、排出孔は、注入孔に対して点対称な位置に複数設けられていることが好ましい。また、第1または第2の発明において、注入孔は、収容皿の略中央に位置するように開口していてもよい。
【0009】
第3および第4の発明は、固形粉末化粧料の製造方法を提供する。この製造方法では、第1のステップとして、基板の一部を収容皿の高さよりも浅く陥没させた陥没部に収容皿をセットし、このセットされた収容皿をヘッドの下に配置する。第2のステップとして、ヘッドを降下させ、ヘッドの下方に形成された摺切平面を収容皿の上縁に当接させることによって、収容皿の上開口部を摺切平面で覆う。第3のステップとして、摺切平面において開口した注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、収容皿内を充填物で充填する。第4のステップとして、ヘッドに対する基板の相対移動によって、収容皿内に充填された充填物を摺切平面によって摺り切る。そして、第5のステップとして、収容皿の上縁相当に摺り切られた収容皿内の充填物を上方よりプレスする。ここで、第3の発明において、注入孔は、摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面となだらかに繋がっている。一方、第4の発明において、注入孔は、当該注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。
【0010】
第5および第6の発明は、固形粉末化粧料の製造方法を提供する。この製造方法では、第1のステップとして、基板の一部を収容皿の高さよりも深く陥没させた陥没部に収容皿をセットし、このセットされた収容皿をヘッドの下に配置する。第2のステップとして、ヘッドを降下させ、ヘッドの下方に形成された摺切平面を基板の上面に当接させることによって、陥没部の上開口部を摺切平面で覆う。第3のステップとして、摺切平面において開口した注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、収容皿を含む陥没部内の空間を充填物で充填する。第4のステップとして、ヘッドに対する基板の相対移動によって、空間内に充填された充填物を摺切平面によって摺り切る。そして、第5のステップとして、基板の上面相当に摺り切られた収容皿内の充填物を上方よりプレスする。ここで、第5の発明において、注入孔は、摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面となだらかに繋がっている。一方、第6の発明において、注入孔は、当該注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。
【0011】
ここで、第4または第6の発明において、注入孔の内面の曲率半径は、摺切平面の近傍部位の方が摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことが好ましい。また、第3から第6までの発明のいずれかにおいて、第3のステップは、少なくとも一つの排出孔を介して、収容皿内の空気を排出するステップを有していてもよい。この排出孔は、摺切平面においてヘッドを貫通するように開口しており、注入孔よりも開口断面が小さい。
【発明の効果】
【0012】
第1から第6までの発明によれば、摺切平面に向かうにつれて注入孔が拡径し、摺切平面となだらかに繋がっており、或いは、注入孔の内面と摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされている。これにより、摺切平面によって充填物を摺り切る際、その表面に充填物の切れた跡が生じることを抑制できる。その結果、外観品質の安定化を図ることができるとともに、充填物の切れた跡を消す修正工程が不要になるので、製造作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る充填治具の外観斜視図である。この充填治具1は、矩形プレート状のヘッド1aと、中空状の供給管1bとを主体に構成され、収容皿2内に流動状の充填物(スラリー)を充填する成形ヘッドとして用いられる。ヘッド1aおよび供給管1bは共に金属製であり、両者は強固に一体化されている。ヘッド1aは、成形ヘッドの仕様として要求される強度を確保するのに十分な厚みを有する。このヘッド1aの下方には、水平かつ平坦な摺切平面1cが形成されている。
【0014】
この摺切平面1cは、2つの役割を担っている。一つは、収容皿2の上開口部は収容皿2を含む空間の上開口部を覆って、スラリーの充填空間を形成するという役割である。そして、もう一つは、充填空間に充填されたスラリーを摺り切るという役割である。一方、供給管1bは、ヘッド1aの上方において左側にオフセットした位置に溶接等によって取り付けられている。この供給管1bは、外部から供給されたスラリーをヘッド1aに導くために用いられる。スラリーは、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった固形粉末化粧料の化粧料基材と、エタノール、水、流動パラフィン、イソパラフィン、イソプロピルアルコール等の揮発性溶剤とを混合したものである。
【0015】
また、ヘッド1aは、注入孔1dと、少なくとも一つの排出孔1eとを有している。注入孔1dは、摺切平面1c上において矩形状に開口しており、ヘッド1aを上下方向に延在している。そして、注入孔1dの上端は供給管1bと連通している。これにより、供給管1bより供給されたスラリーは、注入孔1dを介して下方に吐出される。一方、排出孔1eは、摺切平面1c上において開口しており、ヘッド1aを上下方向に貫通している。この排出孔1eは、充填空間内の空気(エア)を抜くための役割を担っており、注入孔1dよりも開口断面が小さく形成されている。スラリーの充填時、充填空間内の空気や充填されたスラリーの一部は、排出孔1eを介して充填空間外に排出される。その際、スラリーの充填時に充填空間内をある程度加圧するためには、排出孔1eの開口断面を注入孔1dのそれよりも小さくする必要がある。一般に、排出孔1eを小径にするほど充填空間内の圧力が高まる。開口断面の具体値は、注入孔1dの径(開口断面)やスラリーの供給圧等も考慮した上で、充填空間内をどの程度圧縮するかに応じて適宜設定される。本実施形態において、排出孔1eは、同図右側3カ所に1φ程度の大きさで設けられているが、少なくとも1カ所に設けられていれば足りる。
【0016】
図2は、充填治具1の要部断面図である。注入孔1dの下側、すなわち、摺切平面1cにおける開口は、湾曲したテーパー形状を有している。具体的には、同図(a),(b)に示すように、注入孔1dは、摺切平面1cに向かうにつれて徐々に拡径し、摺切平面1cとなだらかに繋がっている。換言すれば、注入孔1dの内面と摺切平面と1cによって形成される角部は、曲面状に面取りされている。注入孔1dがテーパー形状を有さない場合、すなわち、注入孔1dの内面と摺切平面1cと直線状に折れ曲がっている場合、プッシャーにて収容皿2を排出(水平移動)させる際、この折れ曲がった角部によってスラリーの切れた筋状の跡が表面に生じてしまう。これに対して、本実施形態のようなテーパー形状にした場合、角部が面取りされているので、上記筋状の跡が生じ難くなる。このような観点より、本発明は、同図(a)のように、上記角部を単純に面取りした形態を排除するものではないが、同図(b)のように、注入孔1dの内面の曲率半径を摺切平面1cの近傍部位の方を摺切平面1cの奥まった部位よりも大きくすれば、上記筋状跡の発生を一層有効に防止できる。なお、同様の観点から、排出孔1eの下側に同様のテーパー形状を設けてもよい。
【0017】
固形粉末化粧料の製造工程では、充填治具1に対して収容皿2を相対移動させるための手段として、ターンテーブルが用いられる。図3は、ターンテーブルの要部斜視図である。ターンテーブル4は、取付軸を中心に回転可能である。このターンテーブル4の周方向には複数の取付部4aが設けられており、それぞれの取付部4aに基板3が着脱自在に嵌入される。基板3の一部(略中央)は、収容皿2の形状に応じた陥没部3aが設けられている。本実施形態において、この陥没部3aの深さは収容皿2の高さよりも浅くなっている。したがって、陥没部3aに収容皿2をセットした状態では、収容皿2の上縁の方が基板3の上面よりも高くなって、基板3の上面より収容皿2が突出する。ターンテーブル4は、所定の間隔で所定の角度だけ回転し、これに応じて、これに嵌入されたそれぞれの基板3も水平面上を断続的に移動する。
【0018】
つぎに、図4から図8を参照しつつ、固形粉末化粧料の製造方法について説明する。上述した充填治具1は、図示しない昇降装置が有する昇降機構に取り付けられ、油圧や空気圧を制御することによって昇降する。
【0019】
まず、図4に示すように、基板3の一部を収容皿2の高さよりも浅く陥没させた陥没部3aに収容皿2をセットする。そして、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、収容皿2を充填治具1の下に配置する。その後、上昇していた充填治具1を降下させて、ヘッド1aの下方に形成された摺切平面1cを収容皿2の上縁に当接させる。これによって、収容皿2の上開口部が摺切平面1cで覆われて、収容皿2の内底2aと、その外枠2bと、摺切平面1cとによって囲まれた充填空間Aが形成される。
【0020】
つぎに、図5に示すように、供給管1b内を加圧することによって、注入孔1dより吐出されたスラリーが充填空間A内に注入される。比較的高い粘性を有するスラリーは、注入孔1dより落下し、充填空間A内を横方向に広がっていく。その際、注入孔1dの下側がテーパー形状になっているので、注入孔1dの途中(摺切平面1cに至る前)から横方向に広がり始める。これにより、スラリーの充填を迅速に行うことができ、充填されたスラリーの粒子密度も均一化される。
【0021】
スラリーの充填に伴い、充填空間A内に存在する空気は、排出孔1eより外部に排出される。排出孔1eの開口断面は注入孔1dのそれよりも十分に小さいので、排出孔1eを設けていても、充填空間A内が所望の圧力に保たれる。そして、図6に示すように、1回当たりの規定量に相当するスラリーの注入が終了すると、この収容皿2に対する充填工程が完了する。この状態において、充填空間A内の空気が排出され、充填空間A内がスラリーで完全に満たされる。なお、上記規定量は(充填空間Aの体積+α)に設定されているので、注入されたスラリーの一部が排出孔1eより若干吐出される。
【0022】
つぎに、図7に示すように、充填治具1を降下させた状態のまま、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、ヘッド1aに対して基板3を水平方向に相対移動させる。これによって、充填空間A内に充填されたスラリーは摺切平面1cによって摺り切られる。その際、注入孔1dの下端は摺切平面1cとなめらかに繋がっているので、摺り切りによって露出したスラリー表面に筋状の跡が生じ難い。この摺り切りによって、スラリー表面の高さは、収容皿2の上縁相当、すなわち外枠2bの高さ相当になる。
【0023】
そして、図8に示すように、収容皿2の上縁相当に摺り切られたスラリーを、プレスヘッド5によって上方よりプレスする。このプレス過程でスラリーの揮発成分を除去する場合には、プレスヘッド5として多孔性の部材を用い、プレスヘッド5とスラリーとの間に、多孔性のプレスシートを介在させることが好ましい。
【0024】
そして、スラリー内の残存揮発成分を乾燥除去することによって、図9に示すように、収容皿2を収容された固形粉末化粧料が完成する。最終的な化粧料表面は、プレス工程等に起因して、収容皿2の上縁よりも所定の高さαだけ低くなる。
【0025】
このように、第1の実施形態によれば、注入孔1dの下側にはテーパーが形成されているので、摺切平面1cによってスラリーを摺り切る際、その表面にスラリーの切れた跡が生じることを抑制できる。その結果、外観品質の安定化を図ることができる。また、スラリーの切れた跡を消す修正工程が不要になるので、製造作業の効率化を図ることができる。さらに、スラリーの切れ方に起因した充填量のバラツキを低減できるので、充填量の安定化を図ることも可能になる。
【0026】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態に係る製造方法によれば、最終製品における化粧料表面が収容皿2の上縁よりも所定の高さα分だけ低くなる。そこで、本実施形態では、最終製品における化粧料表面を収容皿2と面一にするための製造方法について、図10から図16を参照しつつ説明する。なお、本実施形態で用いる充填治具1は、図1,2の構成と同一なので、同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0027】
まず、図10に示すように、基板3’の一部に設けられた陥没部3a’に収容皿2をセットする。上述した第1の実施形態とは異なり、陥没部3a’を収容皿2の高さよりも深く形成している点に留意されたい。そして、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、収容皿2を充填治具1の下に配置する。その後、上昇していた充填治具1を降下させて、ヘッド1aの下方に形成された摺切平面1cを基板3’の上面3b’に当接させる。これによって、陥没部3a’の上開口部が摺切平面1cで覆われて、陥没部3a’と、摺切平面1cとによって囲まれた充填空間A(正確には、収容皿2が存在する領域を除く)が形成される。
【0028】
つぎに、図11に示すように、供給管1b内を加圧することによって、注入孔1dを介して吐出されたスラリーを充填空間A内に注入する。注入孔1dより落下した高粘性のスラリーは、充填空間A内を横方向に広がっていく。その際、注入孔1dの下側がテーパー形状になっているので、注入孔1dの途中(摺切平面1cに至る前)から横方向に広がり始める。スラリーの充填に伴い、充填空間A内に存在する空気は、排出孔1eを介して外部に排出される。そして、図12に示すように、1回当たりの規定量に相当するスラリーの注入が終了すると、この収容皿2に対する充填工程が完了する。
【0029】
つぎに、図13に示すように、充填治具1を降下させた状態のまま、プッシャーによってターンテーブル4を回転させて、ヘッド1aに対して基板3’を水平方向に相対移動させる。これによって、充填空間A内に充填されたスラリーは摺切平面1cによって摺り切られる。その際、注入孔1dの下端は摺切平面1cとなめらかに繋がっているので、摺り切りによって露出したスラリー表面に筋状の跡が生じ難い。この摺り切りによって、スラリー表面の高さは基板3’の上面相当になる。本実施形態では、スラリー表面の高さが収容皿2の上縁、具体的には収容皿2の外枠2bの高さよりも高くなる点に留意されたい。
【0030】
そして、図14に示すように、基板3’の上面相当に摺り切られたスラリーを、プレスヘッド5’によって上方よりプレスする。本実施形態において、プレスヘッド5’は、ヘッドガイド5aと、このガイド5aによって規制された範囲で昇降するヘッド本体5bとで構成される。ヘッドガイド5aの一部は、下方に向かって枠状に突出しており、その外枠の形状は、陥没部3a’の開口形状に対応している。そして、この突出した枠内にヘッド本体5bが上下方向に変位自在に取り付けられている。そして、図15に示すように、ヘッドガイド5aを陥没部3a’に嵌入した状態で、ヘッド本体5bの下面が収容皿2の上縁に至るまで、ヘッド本体5bを押し下げる。このプレス過程でスラリーの揮発成分を除去する場合には、プレスヘッド5として多孔性の部材を用い、プレスヘッド5とスラリーとの間に、多孔性のプレスシートを介在させることが好ましい。
【0031】
そして、スラリー内の残存揮発成分を乾燥除去することによって、図16に示すように、収容皿2を収容された固形粉末化粧料が完成する。本実施形態では、収容皿2の上縁よりも高い位置でスラリーを摺り切っているので、プレス後においても収容皿2に対して化粧料表面が陥没せず、収容皿2と面一にすることができる。
【0032】
このように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の理由で、外観品質の安定化と、製造作業の効率化と、スラリーの充填量の安定化とを図ることが可能になる。また、化粧料表面が収容皿2と面一な固形粉末化粧料製品を得ることができる。
【0033】
(第3の実施形態)
図17は、本実施形態に係る充填治具1’の外観斜視図である。この充填治具1’の特徴は、注入孔1d(摺切平面1cにおける開口)を収容皿2の略中央に位置するようにしている点である。このようにすることで、注入孔1dよりスラリーを吐出した際、収容皿2の四隅に向けたスラリーの広がり方が均一になる。また、空気抜きの均一化を図るべく、排出孔1eは注入孔1dに対して点対称な位置、本実施形態では収容皿2の四隅にそれぞれ設けられている。なお、この充填治具1’は、上述した第1および第2の実施形態のどちらの製造方法にも用いることができる。
【0034】
このように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、注入孔1dより吐出されたスラリーの広がり方が均一になるので、スラリーの粒子密度にバラツキが生じることを一層有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態に係る充填治具の外観斜視図
【図2】第1の実施形態に係る充填治具の要部断面図
【図3】ターンテーブルの要部斜視図
【図4】基板にセットされた収容皿の状態を示す図
【図5】収容皿内にスラリーを注入する状態を示す図
【図6】収容皿内にスラリーが充填された状態を示す図
【図7】充填治具によるスラリーの摺切状態を示す図
【図8】収容皿内のスラリーをプレスする状態を示す図
【図9】収容皿に収容された固形粉末化粧料の状態を示す図
【図10】第2の実施形態における基板にセットされた収容皿の状態を示す図
【図11】第2の実施形態における収容皿内にスラリーを注入する状態を示す図
【図12】第2の実施形態における収容皿内にスラリーが充填された状態を示す図
【図13】第2の実施形態における充填治具によるスラリーの摺切状態を示す図
【図14】第2の実施形態におけるスラリーのプレス前の状態を示す図
【図15】第2の実施形態におけるスラリーのプレス途中の状態を示す図
【図16】第2の実施形態における収容皿に収容された固形粉末化粧料を示す図
【図17】第3の実施形態に係る充填治具の外観斜視図
【図18】従来の充填治具の説明図
【符号の説明】
【0036】
1 充填治具
1a ヘッド
1b 供給管
1c 摺切平面
1d 注入孔
1e 排出孔
2 収容皿
3 基板
4 ターンテーブル
5 プレスヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容皿内に流動状の充填物を充填する充填治具において、
前記収容皿内の上開口部の上方に配置され、かつ、前記収容皿内または前記収容皿を含む空間内に充填された前記充填物を摺り切るための摺切平面が下方に形成されたヘッドと、
前記充填物を供給するために、前記ヘッドに取り付けられた供給管と、
前記摺切平面において開口しており、前記供給管と連通した注入孔とを有し、
前記注入孔は、前記摺切平面に向かうにつれて拡径し、前記摺切平面となだらかに繋がっていることを特徴とする充填治具。
【請求項2】
収容皿内に流動状の充填物を充填する充填治具において、
前記収容皿内の上開口部の上方に配置され、かつ、前記収容皿内または前記収容皿を含む空間内に充填された前記充填物を摺り切るための摺切平面が下方に形成されたヘッドと、
前記充填物を供給するために、前記ヘッドに取り付けられた供給管と、
前記摺切平面において開口しており、前記供給管と連通した注入孔とを有し、
前記注入孔の内面と前記摺切平面とによって形成される角部は、曲面状に面取りされていることを特徴とする充填治具。
【請求項3】
前記注入孔の内面の曲率半径は、前記摺切平面の近傍部位の方が前記摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載された充填治具。
【請求項4】
前記摺切平面において前記ヘッドを貫通するように開口しており、前記注入孔よりも開口断面が小さい少なくとも一つの排出孔をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された充填治具。
【請求項5】
前記排出孔は、前記注入孔に対して点対称な位置に複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載された充填治具。
【請求項6】
前記注入孔は、前記収容皿の略中央に位置するように開口していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された充填治具。
【請求項7】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも浅く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記収容皿の上縁に当接させることによって、前記収容皿の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口し、前記摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、前記摺切平面となだらかに繋がっている注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿内を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記収容皿内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記収容皿の上縁相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項8】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも浅く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記収容皿の上縁に当接させることによって、前記収容皿の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口しており、自己の内面と前記摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされた注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿内を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記収容皿内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記収容皿の上縁相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項9】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも深く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記基板の上面に当接させることによって、前記陥没部の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口しており、前記摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、前記摺切平面となだらかに繋がっている注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿を含む前記陥没部内の空間を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記空間内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記基板の上面相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項10】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも深く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記基板の上面に当接させることによって、前記陥没部の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口しており、自己の内面と前記摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされた注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿を含む前記陥没部内の空間を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記空間内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記基板の上面相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項11】
前記注入孔の内面の曲率半径は、前記摺切平面の近傍部位の方が前記摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことを特徴とする請求項8または10に記載された充填治具。
【請求項12】
前記第3のステップは、
前記摺切平面において前記ヘッドを貫通するように開口しており、前記注入孔よりも開口断面が小さい少なくとも一つの排出孔を介して、前記収容皿内の空気を排出するステップを有することを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載された固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項1】
収容皿内に流動状の充填物を充填する充填治具において、
前記収容皿内の上開口部の上方に配置され、かつ、前記収容皿内または前記収容皿を含む空間内に充填された前記充填物を摺り切るための摺切平面が下方に形成されたヘッドと、
前記充填物を供給するために、前記ヘッドに取り付けられた供給管と、
前記摺切平面において開口しており、前記供給管と連通した注入孔とを有し、
前記注入孔は、前記摺切平面に向かうにつれて拡径し、前記摺切平面となだらかに繋がっていることを特徴とする充填治具。
【請求項2】
収容皿内に流動状の充填物を充填する充填治具において、
前記収容皿内の上開口部の上方に配置され、かつ、前記収容皿内または前記収容皿を含む空間内に充填された前記充填物を摺り切るための摺切平面が下方に形成されたヘッドと、
前記充填物を供給するために、前記ヘッドに取り付けられた供給管と、
前記摺切平面において開口しており、前記供給管と連通した注入孔とを有し、
前記注入孔の内面と前記摺切平面とによって形成される角部は、曲面状に面取りされていることを特徴とする充填治具。
【請求項3】
前記注入孔の内面の曲率半径は、前記摺切平面の近傍部位の方が前記摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載された充填治具。
【請求項4】
前記摺切平面において前記ヘッドを貫通するように開口しており、前記注入孔よりも開口断面が小さい少なくとも一つの排出孔をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された充填治具。
【請求項5】
前記排出孔は、前記注入孔に対して点対称な位置に複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載された充填治具。
【請求項6】
前記注入孔は、前記収容皿の略中央に位置するように開口していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された充填治具。
【請求項7】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも浅く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記収容皿の上縁に当接させることによって、前記収容皿の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口し、前記摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、前記摺切平面となだらかに繋がっている注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿内を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記収容皿内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記収容皿の上縁相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項8】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも浅く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記収容皿の上縁に当接させることによって、前記収容皿の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口しており、自己の内面と前記摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされた注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿内を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記収容皿内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記収容皿の上縁相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項9】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも深く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記基板の上面に当接させることによって、前記陥没部の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口しており、前記摺切平面に向かうにつれて徐々に拡径し、前記摺切平面となだらかに繋がっている注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿を含む前記陥没部内の空間を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記空間内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記基板の上面相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項10】
固形粉末化粧料の製造方法において、
基板の一部を収容皿の高さよりも深く陥没させた陥没部に前記収容皿をセットし、当該セットされた収容皿をヘッドの下に配置する第1のステップと、
前記ヘッドを降下させ、前記ヘッドの下方に形成された摺切平面を前記基板の上面に当接させることによって、前記陥没部の上開口部を前記摺切平面で覆う第2のステップと、
前記摺切平面において開口しており、自己の内面と前記摺切平面とによって形成される角部が曲面状に面取りされた注入孔を介して、固形粉末化粧料の化粧料基材と揮発性溶剤とを混合した流動状の充填物を注入することによって、前記収容皿を含む前記陥没部内の空間を前記充填物で充填する第3のステップと、
前記ヘッドに対する前記基板の相対移動によって、前記空間内に充填された前記充填物を前記摺切平面によって摺り切る第4のステップと
前記基板の上面相当に摺り切られた前記収容皿内の前記充填物を上方よりプレスする第5のステップと
を有することを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
【請求項11】
前記注入孔の内面の曲率半径は、前記摺切平面の近傍部位の方が前記摺切平面よりも奥まった部位よりも大きいことを特徴とする請求項8または10に記載された充填治具。
【請求項12】
前記第3のステップは、
前記摺切平面において前記ヘッドを貫通するように開口しており、前記注入孔よりも開口断面が小さい少なくとも一つの排出孔を介して、前記収容皿内の空気を排出するステップを有することを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載された固形粉末化粧料の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−102280(P2009−102280A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277603(P2007−277603)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
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