説明

充放電システム

【課題】回路を簡略化しても高い充放電効率を有する充放電システムを提供する。
【解決手段】充放電システム10は、電源部(PV11)と、電源部によりセル単位で充電される複数セルで構成される蓄電部(EDLC12)と、蓄電部から電力供給をうける負荷部(LED13)と、蓄電部を、定格セル電圧を超える電圧で充電し、負荷部の定格電圧に合わせて放電するように複数セルの接続の切替えを行う制御部14とを含み構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電システムに関し、特に、太陽電池により充電される電気二重層コンデンサ(EDLC:Electric double-layer capacitor)を二次電池として用いるソーラシステムに用いて好適な充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電によるソーラシステムが注目されるようになり、より充放電効率の高いソーラシステムが求められている。太陽光発電は、太陽のエネルギーを吸収して電気に変える太陽電池を使った発電システムである。太陽電池は、太陽の光が入手したときの日射量に応じて電気を起こす半導体であり、PV(Photovoltaic)とも呼ばれる。ソーラシステムは、太陽電池自体が蓄電機能を持たないため、EDLC等の二次電池と併用して使用することにより、日照の有無に拘わらず有効な電力を供給可能なように構成されている。
【0003】
上記したソーラシステムにおいて、太陽電池から蓄電器への蓄電を効率的に行う方法が特許文献1、2、3に紹介されている。特許文献1、2、3によれば、いずれも、太陽電池や負荷の状態をモニタし、太陽電池のセルの直並列接続の組み合わせをスイッチによって切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−60021号公報(段落[0006]〜[0009]、図1)
【特許文献2】特開平6−296333号公報(段落[0006]〜[0007]、図1)
【特許文献3】国際公開2004−109890号公報(頁3の12行〜頁6の4行、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したソーラシステムにおいて、充電は、太陽電池の出力電圧と二次電池の充電電圧との間に電位差があるほど非効率とされている。これを効率良く充電するためには、充電電圧を昇圧し、又は降圧して充電を行うコンバータ、あるいは専用ICで構成される昇降圧回路が必要になる。また、放電の場合も、二次電池の出力電圧と、例えばLED(Light Emitting Diode)等の直流負荷の定格電圧との間に電位差がある場合、効率よく安定して放電させるために、放電電圧を昇圧し又は降圧する昇降圧回路が必要になる。このため、回路規模が増加し、小型化、低コスト化を実現するうえで妨げになっていた。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、回路を簡略化しても高い充放電効率を有する充放電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の充放電システムは、電源部と、前記電源部によりセル単位で充電される複数セルで構成される蓄電部と、前記蓄電部から電力供給をうける負荷部と、前記蓄電部を、定格セル電圧を超える電圧で充電し、前記負荷部の定格電圧に合わせて放電するように前記複数セルの接続の切替えを行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の充放電システムにおいて、前記制御部は、直並列接続される前記複数セルの接続切替えを行う直並列接続切替え回路と、前記電源部と前記蓄電部の出力電圧を監視し、前記直並列接続切替え回路による前記複数セルの接続切替えを行うコントローラと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の充放電システムにおいて、前記コントローラは、定格セル電圧によって決まる満充電可能な最小直列接続数にしたがい直列接続されたセルを充電し、前記直列接続されたセルの充電終止電圧が所定の値を超えた場合に前記直列接続されたセルの一つを並列接続に切替え、前記充電終止電圧が前記最小直列接続数と前記定格セル電圧とを乗算した値を超えないように制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の充放電システムにおいて、前記コントローラは、予め設定される前記負荷部の定格電圧を読み込んで、前記読み込んだ定格電圧になるように、前記蓄電部を構成するセルの直並列接続の切替えによる放電を行い、前記直列接続されたセルの合計電圧が所定の値まで下降した場合に、前記並列接続された一つのセルを前記直列接続されたセルに切替え、全てのセルが直列接続された状態で前記所定の値まで下降した場合に前記放電を終了することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の充放電システムにおいて、前記電源部と前記蓄電部との間、又は前記蓄電部と前記負荷部との間、もしくはその両方に接続され、前記電源部又は前記蓄電部の出力電圧の変動許容範囲内において出力電圧を一定に維持する昇降圧回路を備え、前記コントローラは、前記蓄電部の定格セル電圧又は前記負荷部の定格電圧によっては、前記直並列接続切替え回路による充放電の制御から前記昇降圧回路による充放電制御に切替えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の充放電システムは、太陽電池と、前記太陽電池によりセル単位で充電され、複数セルで構成された二次電池と、前記二次電池から電力供給をうける直流負荷と、前記二次電池の充放電に先立って前記太陽電池の出力電圧に基づく昼夜判定を行い、昼と判定された場合に、前記二次電池を前記セルの定格電圧を超える電圧で充電し、夜と判定された場合に、前記二次電池を前記直流負荷の定格電圧に合わせた出力電圧で放電するように前記複数セルの接続切替えを行う制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回路を簡略化しても高い充放電効率を有する充放電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る充放電システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る充放電システムの制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る充放電システムの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る充放電システムの充電時におけるセルの接続切替え動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る充放電システムの充電時におけるセルの接続切替え動作を模式的に示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る充放電システムの放電時におけるセルの接続切替え動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る充放電システムの放電時におけるセルの接続切替え動作を模式的に示した図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る充放電システムの放電動作を時系列上に示した図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る充放電システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る充放電システムの放電動作を時系列上に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0016】
(第1の実施形態の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る充放電システムの構成を示すブロック図である。図1によれば、充放電システム10は、電源部11と、蓄電部12と、負荷部13と、制御部14と、充放電スイッチ15、16と、により構成される。
【0017】
ここでは、充放電システム10としてソーラシステムが例示されており、電源部11はPV、蓄電部12はEDLC、負荷部13はLEDであるものとして説明する。EDLC12は、PV11によりセル単位で充電され、LED13を点灯させる。制御部14は、複数セルが直並列接続されて構成されるEDLC12を、定格セル電圧を超える電圧で充電し、LED13の定格電圧に合わせて放電するように、複数セルの接続の切替え制御を行う。制御部12には、例えば、不図示のジャンパースイッチ等がライン17を介して接続され、ジャンパースイッチ等により設定される、PV11の開放電圧、EDLC12を構成する単セルの定格電圧、LEDの定格負荷電圧等のデータを取り込み、上記した制御を行う。
【0018】
なお、充放電スイッチ15、16は、制御部14による制御の下で充放電を切替える、例えば、FET(Field Effect Transistor)で構成されるスイッチ回路である。この充放電スイッチ15、16により、充放電時に共に使用される後述する直並列切替え回路142の共有を実現する。
【0019】
制御部12は、例えば、図2に示されるように、直並列接続切替え回路141と、コントローラ142とにより構成される。直並列接続切替え回路141は、EDLC12を構成する直並列接続された複数セルの接続切替えを行う、例えば、上記した特許文献1、2、3に開示されている周知の回路構成を有する。コントローラ142は、PV11とEDLC12の出力電圧を監視し、直並列接続切替え回路141によるEDLC12の複数セルの接続切替え行う機能を有する。
【0020】
コントローラ142は、例えば、メモリを含むマイクロプロセッサにより構成され、上記した機能は、メモリに記録されたプログラム制御の下で実行される。
【0021】
なお、コントローラ142は、EDLC12を構成する複数セルの直並列接続切替えを行う他、上記した充放電スイッチ15、16の充放電の切替えも行う。ここでは1個のコントローラ142でいずれも制御するものとするが、充放電切替えとは、それぞれ独立したコントローラで制御しても良い。また、第1の実施形態において、制御部14は、EDLC12とは別体として示しているが、EDLC12の中に組み込んでも良い。
【0022】
(第1の実施形態の動作)
図3、図4、図6は、本発明の第1の実施形態に係る充放電システム10の動作を示すフローチャートである。図3は、全体動作を、図4は、全体動作の中の充電時におけるEDLC12のセル切替え動作を、図6は放電時におけるEDLC12のセル切替え動作のそれぞれを示す。
【0023】
図3によれば、制御部14(コントローラ142)は、まず、ジャンパー線等を介してオペレータにより選択設定される、PV11の開放電圧、LED13の定格電圧等のデータを取り込み、以降の計算に適用するための初期設定を行う(ステップS31)。この初期設定により、後述する充放電時におけるセルの直列接続数が決定される。
【0024】
上記した初期設定の後に充放電制御が開始され、コントローラ142は、まず、PV11、およびLED13の出力電圧の監視を行う(ステップS32)。そして、PV11の開放電圧をチェックすることで昼夜モードの判定を行う(ステップS33)。例えば、初期設定されたPV11の開放電圧を15Vとした場合、監視電圧が15V以上になっていた場合に充電を行う昼モードとし、15V未満の場合に放電を行う夜モードと判定する。
【0025】
昼モードと判定された場合(ステップS33“昼モード”)、コントローラ142は、充放電スイッチ15、16を制御してこれまで行われていた放電を停止し(ステップS34)、充電を行うために直並列接続切替え回路141を制御してEDLC12を構成する複数セルの直並列接続切替えを行う(ステップS35)。ここでは、コントローラ142は、EDLC12を、その定格セル電圧を超える電圧で充電するようにセルの接続切替えを行ない、充電を行う(ステップS36)。充電時のセル接続切替えの詳細は、図4、図5を用いて後述する。
【0026】
一方、夜モードと判定された場合、(ステップS33“夜モード”)、コントローラ142は、充放電スイッチ15、16を制御して充電を停止し(ステップS37)、放電を行うために直並列接続切替え回路141を制御してEDLC12を構成する複数セルの直並列接続切替えを行う(ステップS38)。ここでは、コントローラ142は、LED13の定格電圧に合わせて放電するようにEDLC12のセルの接続切替えを行ない、放電を行う(ステップS39)。放電時のセル接続切替えの詳細は、図6、図7を用いて後述する。
【0027】
充電時におけるセル接続切替え動作について、図4のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0028】
コントローラ142は、まず、ジャンパー線等により設定されたPV11の開放電圧とEDLC12の定格セル電圧値を、ライン17経由で読み取る(ステップS351)。そして、読み取ったPV11の開放電圧の80%の電圧(最大充電効率を発揮)になるように、EDLC12の定格セル電圧によって決まる満充電可能なセルの最小直列接続数を決定する。そして、直並列接続切替え回路141を制御してその接続数にしたがいEDLC12の構成セルを直列接続するように切替え、その直列接続されたセルに充電を開始する(ステップS352)。
【0029】
例えば、PV11の開放電圧が15V、EDLC12の定格電圧が10V(単セル2.5V)、LED13の定格電圧が10Vとすれば、PV11の開放電圧の80%は12Vであり、単セルの定格電圧2.5Vで割った値が4.8になるため、最小直列接続数は4になる。
【0030】
続いてコントローラ142は、PV11の出力電圧を監視する(ステップS353)。ここで、直列接続されたセルの充電終止電圧が、PV11の開放電圧の80%の値を超えた場合(ステップS354“≧”)、コントローラ142は、直並列接続切替え回路141を制御して、先に直列接続されたセルの一つを並列接続に切替え(ステップS355)、最終的に最小直列数で充電する。コントローラ142は、直列接続されたセルの充電終止電圧が、最小直列接続数と単セルの定格セル電圧とを乗算した値を超えないように充電終止電圧を制御する。
【0031】
EDLC12を4直列3並列の12個のセルで構成した場合の、充電時におけるセル接続切替えの具体例が、図5に模式的に示されている。
【0032】
図5によれば、(a)に示されるように、EDLC12は、充電量が0である充電直後は単セル12個のセルの全てが直列接続される。また、(b)に示されるように、これを12Vまで充電したとすれば、各セルが1Vずつ充電されるまでは全セルが直列接続されたままである。続いて(c)に示されるように、12Vまで充電したら、コントローラ142が直並列接続切替え回路141を制御してセルを1個だけ並列接続に切替える。ここでは、各セルが1.1Vまで充電され、単セル10個と2並列セル1個を直列接続した合計11直列接続数になる。
【0033】
そして、(d)に示されるように、12Vまで充電したら1セル並列に切り替える。ここでは単セルがそれぞれ1.2Vずつ充電されたものとし、単セル9個と3並列セルを直列接続した合計10直列数になる。なお、12Vまで充電されたら、以降は、1セルずつ並列切替えを繰り返す。すなわち、(e)に示されるように、単セルがそれぞれ2.4Vまで充電されたものとすれば、単セル4個と8並列セルを直列接続した合計5直列数になる。そして、(f)に示されるように、最後は、最小直列数の4直列、3並列で夜モードになるまで充電を行う。このときの充電終止電圧は10Vになる。
【0034】
なお、EDLC12を構成するセルが中途半端に余る場合、例えば、最小直列接続数が4セルに対して5セルになる箇所がある場合、(g)に示されるように、充電終止電圧が10Vになったら、余りのセルと充電中のセルとを順番に入れ替える必要がある。
【0035】
次に、放電時におけるセル接続切替え動作について、図6のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0036】
コントローラ142は、まず、ジャンパー線等により設定されたLED13の定格電圧をライン17経由で読み取る(ステップS381)。ここで設定されたLED13の定格電圧にしたがい、放電許容電圧範囲である、例えば±1.5Vの上下限値が自動的に設定される(ステップS382)。そして、コントローラ142は、直並列切替え回路141を制御して読み取った定格電圧になるように、EDLC12を構成するセルの接続切替えを行う(ステップS383)。ここでは、満充電時、4直列3並列のセル接続構成とする。
【0037】
コントローラ142は、EDLC12の出力電圧の監視を行なっている(ステップS384)。電圧監視の結果、直列接続されたセルの合計出力電圧値が、下限値である8.5V以下に到達した場合(ステップS385“≦”)、コントローラ142は、直並列接続切替え回路141を制御してEDLC12の並列接続セルを一個崩し、残る直列接続されたセルに振り分ける接続切替えを行ない、同時に余ったセルは直列接続されているセルに並列接続する(ステップS386)。そして放電を行い、EDLC12の出力電圧が下限値以下になる毎に上述したステップS386の動作を繰り返し実行する。なお、全てのセルが直列接続され、8.5Vの下限値になったところで放電を終了する。
【0038】
EDLC12を4直列3並列の12セルで構成した場合の、放電時におけるセルの接続切替えの具体例が図7に模式的に示されている。
【0039】
図7によれば、放電直後、(a)に示されるように、コントローラ142は、直並列接続切替え回路141を制御して、EDLC12の出力電圧が設定した定格電圧10Vになるように接続切り替えを行う。ここでは、満充電時の4直列3並列の接続構成とし、このときEDLC12を構成する単セルは、いずれも2.5Vの容量を有している。
【0040】
次に、(b)に示されるように、放電によりEDLC12の出力電圧が低下して下限値である8.5Vに到達したとする。なお、EDLC12を構成する単セルの容量は、いずれも2.1Vになっている。このとき、(c)に示されるように、EDLC12の並列接続セルを一つ崩して残る直列接続されたセルに振り分ける接続切替えを行なう。なお、余ったセルは直列接続されているセルに並列接続する。すなわち、EDLC12のセル接続構成は、5直列2並列になり、10.5Vの電圧を出力することができる。
【0041】
続いて放電により、(d)に示すように各単セルの容量が1.7Vに下降し、EDLC12の出力電圧が、再度下限電圧である8.5Vに到達すると、コントローラ142は、直並列接続切替え回路141を制御して、EDLC12のセル接続構成を、(e)に示されるように6直列2並列に切替える。この接続構成によれば、EDLC12は、LED13に10.2Vの電圧を供給することができる。また、更なる放電により、(f)に示すように各単セルの容量が1.4Vに低下し、EDLC12の出力電圧が下限値である8.5Vに到達すると、コントローラ142は、直並列接続切替え回路141を制御して、EDLC12のセル接続構成を、(g)に示す7直列に切替え、余ったセルを並列接続して直列接続したセルに追加する。この接続構成によれば、LED13に9.8Vの電圧を供給することができる。
【0042】
同じく放電により、(h)で示すように各単セルの容量が1.2Vに下降し、EDLC12の出力電圧が、再度下限電圧である8.5Vに到達すると、コントローラ142は、直並列接続切替え回路141を制御して、並列接続したセルを崩して直列接続する動作を繰り返す。この接続構成によれば、EDLC12は、LED13に10.8Vの電圧を供給することができる。以上の動作は、(i)に示されるように、並列接続されたセルを崩して全てのセルを直列接続し、直列接続されたセルの合計が8.5V以下になるまで繰り返し実行される。
【0043】
上記した制御に基づく放電特性が図8に示されている。図8によれば、縦軸にEDLC12の出力電圧を目盛り、横軸にLED13の点灯時間を目盛ったときの放電曲線が示されている。図8において、左に示したグラフによれば、LED13の点灯時間が経過するに伴い、EDLC12の出力電圧が徐々に降下し、点灯時間2Sを経過したところで、LED13の点灯が不可になる2Vを割る。これに対して、右に示したグラフによれば、2VのポイントでEDLC12の構成セルの直列接続数を増加させるように接続切替えを行うことで、繰り返し放電が可能になる。ここでは、並列接続されたセルを崩して全てのセルを直列接続し、直列接続されたセルの合計が2V以下になるまで繰り返し放電することが可能である。
【0044】
(第1の実施形態の効果)
上記した第1の実施形態に係る充放電システム10によれば、制御部14(コントローラ142)は、蓄電部(EDLC12)を、定格セル電圧を超える電圧で充電し、負荷部(LED13)の定格電圧に合わせて放電するように複数セルの接続の切替えを行う。このため、電源部(PV11)の定格電圧以上の蓄電部(EDLC12)であっても昇圧する必要がなく、したがって、電源部(PV11)と蓄電部(EDLC12)との間の回路が簡略化される。また、負荷部(LED13)の定格電圧を蓄電部(EDLC12)のセル単位で調整できるため、蓄電部(EDLC12)と負荷部(LED13)との間の回路が簡略化される。このように回路を簡略化しても高い充放電効率を有する充放電システムを提供することができる。また、回路部品が減少することから、小型化、低コスト化にも貢献できる。
【0045】
本発明は、特に、ソーラシステムに適用して顕著な効果が得られ、上記した小型化、低コスト化の他に、電圧調整を蓄電部(EDLC12)のセルの切り替えにより行うためノイズの発生を抑制でき、したがって高信頼性を有するソーラシステムを提供することができる。
【0046】
(第2の実施形態の構成)
図9は、本発明の第2の実施形態に係る充放電システム10の構成を示すブロック図である。図9おいて、図1に示す第1の実施形態との差異は、EDLC12と、充放電スイッチ15、16との間に、昇降圧回路18、19をそれぞれ付加したことにある。昇降圧回路18は充電用として、昇降圧回路19は放電用として用いられる。他の構成は第1の実施形態と同様である。なお、ここでは昇降圧回路18、19を1個に纏めているが、PV11の容量あるいはLED13の定格電圧によってはEDLC12を構成するセルを単位に設けるようにしてもよい。また、昇降圧回路18、19は充放電用に必ずしも2個必要とするものでなく、少なくとも充電用または放電用に1個あればよい。更に、1個の昇降圧回路18または19を充放電用に共用して切替え使用してもよい。
【0047】
(第2の実施形態の動作)
昇降圧回路18、19は、PV11又はEDLC12の出力電圧の変動許容範囲内において出力電圧を一定に維持する回路であり、コンバータもしくは専用ICとして市販されているものである。コントローラ142は、EDLC12の定格セル電圧又はLED13の定格電圧によっては、直並列接続切替え回路141による充放電の制御から、昇降圧回路18、19による充放電制御に切替える。このことにより、PV11、EDLC12の出力電圧の変動許容範囲内において出力を一定に維持することが可能になる。
【0048】
図10に、昇降圧回路19を付加したことにより変化する放電特性が示されている。ここでは、昇降圧回路19への入力電圧範囲(蓄電部12の出力電圧の変動範囲)を2〜5Vとし、5V定格の昇降圧回路19を接続した場合を例示している。図10において、左に示したグラフは第1の実施形態による放電特性であり、2Vを境に上限に変動している。これに対し、右に示したグラフによれば、蓄電部12の出力電圧の変動許容範囲内において5Vの出力が一定に維持されていることがわかる。
【0049】
(第2の実施形態の効果)
本発明の第2の実施形態に係る充放電システム10によれば、制御部14(コントローラ141)は、蓄電部(EDLC12)の定格セル電圧、又は負荷部(LED13)の定格電圧により、直並列接続切替え回路141による充放電の制御から、電源部(PV11)と蓄電部(EDLC12)との間、又は蓄電部(EDLC12)と負荷部(LED13)との間、もしくはその両方に接続され、電源部(PV11)又は蓄電部(EDLC12)の出力電圧の変動許容範囲内において出力電圧を一定に維持する昇降圧回路18、19による充放電制御に切替える。このため、直並列接続切替え回路141と、昇降圧回路18、19とを組み合わせ使用することで、充電時には電力充電による迅速な充電が可能となり、また、放電時には、変動許容範囲内であれば出力電圧を一定に維持することが可能になるため、より高効率な充放電が可能になる。
【0050】
なお、上記した第1、第2の実施形態では、電源部11に太陽電池を使用したソーラシステムを例示したが、ソーラシステムに限らず、電源部11は、太陽電池同様、EDLCと相性の良い水力発電を利用して得られる商用電源であっても良い。また、蓄電部12もEDLCに限らず、セル単位で充放電が可能な二次電池であれば何れでも良い。また、負荷部13もLEDに限らず、直流負荷全般に適用が可能である。
【0051】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0052】
10・・・充放電システム、11・・・電源部(PV)、12・・・蓄電部(EDLC)、13・・・負荷部(LED)、14・・・制御部、17・・・ライン、15、16・・・充放電スイッチ、18、19・・・昇降圧回路、141・・・直並列接続切替え回路、142・・・コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、
前記電源部によりセル単位で充電される複数セルで構成される蓄電部と、
前記蓄電部から電力供給をうける負荷部と、
前記蓄電部を、定格セル電圧を超える電圧で充電し、前記負荷部の定格電圧に合わせて放電するように前記複数セルの接続の切替えを行う制御部と、
を備えたことを特徴とする充放電システム。
【請求項2】
前記制御部は、
直並列接続される前記複数セルの接続切替えを行う直並列接続切替え回路と、
前記電源部と前記蓄電部の出力電圧を監視し、前記直並列接続切替え回路による前記複数セルの接続切替えを行うコントローラと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の充放電システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
定格セル電圧によって決まる満充電可能な最小直列接続数にしたがい直列接続されたセルを充電し、前記直列接続されたセルの充電終止電圧が所定の値を超えた場合に前記直列接続されたセルの一つを並列接続に切替え、前記充電終止電圧が前記最小直列接続数と前記定格セル電圧とを乗算した値を超えないように制御することを特徴とする請求項2記載の充放電システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
予め設定される前記負荷部の定格電圧を読み込んで、前記読み込んだ定格電圧になるように、前記蓄電部を構成するセルの直並列接続の切替えによる放電を行い、前記直列接続されたセルの合計電圧が所定の値まで下降した場合に、前記並列接続された一つのセルを前記直列接続されたセルに切替え、全てのセルが直列接続された状態で前記所定の値まで下降した場合に前記放電を終了することを特徴とする請求項2記載の充放電システム。
【請求項5】
前記電源部と前記蓄電部との間、又は前記蓄電部と前記負荷部との間、もしくはその両方に接続され、前記電源部又は前記蓄電部の出力電圧の変動許容範囲内において出力電圧を一定に維持する昇降圧回路を備え、
前記コントローラは、
前記蓄電部の定格セル電圧又は前記負荷部の定格電圧によっては、前記直並列接続切替え回路による充放電の制御から前記昇降圧回路による充放電制御に切替えることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項記載の充放電システム。
【請求項6】
太陽電池と、
前記太陽電池によりセル単位で充電され、複数セルで構成された二次電池と、
前記二次電池から電力供給をうける直流負荷と、
前記二次電池の充放電に先立って前記太陽電池の出力電圧に基づく昼夜判定を行い、昼と判定された場合に、前記二次電池を前記セルの定格電圧を超える電圧で充電し、夜と判定された場合に、前記二次電池を前記直流負荷の定格電圧に合わせた出力電圧で放電するように前記複数セルの接続切替えを行う制御装置と、
を備えたことをと特徴とする充放電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−239603(P2011−239603A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109981(P2010−109981)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】