説明

充電器

【課題】外部装置に対する汎用性に優れた充電器を提供する。
【解決手段】バッテリを充電する充電器40は、バッテリへの充電を制御するコントローラ45と、コントローラ45と課金システム10との間に介在する通信インタフェース46と、を備えており、コントローラ45は、通信インタフェース46を介した課金システム10からの信号の入力を待ち、通信インタフェース46を介して課金システム10から信号が入力されたことを条件として、バッテリの充電制御を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを充電する充電器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリの充電が終了したら、充電スタンドから管理センタサーバに充電電力量情報を送信し、管理センタサーバで充電電力に応じて充電料金の課金を行う技術が知られている(例えば特許文献1(段落0066及び図4)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−114988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、充電スタンド側から管理センタサーバに対して情報を能動的に送信するため、充電スタンドがマスタ側となっている。そのため、管理センタサーバが複数種存在する場合には、それぞれの管理センタサーバに対応したプロトコルを充電スタンドに個別に実装する必要があり、管理センタサーバ等の外部装置に対する充電スタンドの汎用性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、外部装置に対する汎用性に優れた充電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、制御手段が、インタフェースを介して外部装置からの信号の入力を待ち、インタフェースを介して外部装置から信号が入力されたことを条件として、バッテリの充電制御を開始することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部装置に対して充電器がスレーブ側となり、それぞれの外部装置に対応したプロトコルを充電器に実装する必要がなくなるので、外部装置に対する充電器の汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態における充電システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態における充電器及び課金端末の斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態における充電器及び課金端末の他の例の斜視図である。
【図4】図4(a)は、本発明の実施形態における充電システムの制御系を示すブロック図であり、図4(b)は、従来の充電システムの制御系を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態におけるスレーブモードの状態遷移図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態における単独モードの状態遷移図である。
【図7】図7(a)〜図7(f)は、図5の各状態におけるタッチパネルの表示画像の一例をそれぞれ示す図である。
【図8】図8(a)〜図8(f)は、図5の各状態におけるタッチパネルの表示画像の一例をそれぞれ示す図である。
【図9】図9は、他の実施形態における充電システムを示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す充電システムに用いられるランプI/Fを示す回路図である。
【図11】図11は、図9に示す充電システムに用いられる制御I/Fを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本実施形態における充電システムの全体構成を示す図、図2は本実施形態における充電器及び課金端末の斜視図、図3は本実施形態における充電器及び課金端末の他の例の斜視図、図4(a)は本実施形態における充電システムの制御系を示すブロック図、図4(b)は従来の充電システムの制御系を示すブロック図、図5は本実施形態におけるスレーブモードの状態遷移図、図6は本実施形態における単独モードの状態遷移図である。
【0011】
本実施形態における充電システム1は、図1に示すように、車両50の走行用バッテリ(不図示)を充電し、その充電電力量に応じた料金を課金するシステムであり、課金システム10(上位システム)と、充電器40と、を備えている。
【0012】
なお、本実施形態における車両50は、動力源としてのモータジェネレータと、当該モータジェネレータに対して充放電を行う走行用バッテリと、を有する車両であり、例えば、電気自動車やプラグインタイプのハイブリッドカー等を例示することができる。
【0013】
課金システム10は、課金サーバ20と、課金端末30と、を備えており、本実施形態では、料金の課金に加えて、サイクリック通信によって充電器40の状態をモニタリングしたり、後述するREADYコマンド等の指令を充電器40に指示したり、充電器40の充電完了条件やその上限値を設定することが可能となっている。なお、課金システム10が、充電器40の充電開始/停止を制御可能であってもよい。
【0014】
課金サーバ20は、充電器40による車両50のバッテリへの充電に対して課金認証処理を行うサーバである。この課金サーバ20は、ネットワーク等を介して課金端末30に接続されている。
【0015】
なお、図1では、1台の課金サーバ20に対して、1台の充電器40が接続されているが、特にこれに限定されず、1台の課金サーバ20に対して、複数の充電器40を接続して、当該課金サーバ20で複数の充電器40を統括的に管理してもよい。また、1台の課金端末30で複数の充電器40に対応してもよい。
【0016】
課金端末30は、例えば充電器40の近傍に設けられており、LAN等を介して、充電器40のコントローラ45に接続されている。この課金端末30は、図2に示すように、タッチパネル31と、カードリーダ32と、を備えている。タッチパネル31は、課金認証のためのHMI(Human Machine Interface)である。また、カードリーダ32は、例えば、ICカードを読み書き可能な非接触式のカードリーダである。
【0017】
例えば、充電操作を行う充電操作者(例えばドライバ等)は、車両50のバッテリの充電に際して、タッチパネル31に表示される案内に従って、当該タッチパネル31上のボタンにタッチしたり、ICカードをカードリーダ32に近づけることで、課金認証のための操作を行う。カードリーダ32が読み取ったICカードのデータは、ネットワーク等を通じて課金サーバ20に送信される。ICカードの具体例としては、例えば、キャッシュカード、クレジットカード、或いは、電子マネーが予めチャージされたプリペイド型のICカード等を例示することができる。
【0018】
なお、非接触式のカードリーダ32に代えて、接触式のカードリーダを課金端末30に設けてもよいし、非接触式のカードリーダ32に加えて、接触式のカードリーダ、コインメック(C/M)、ビルバリ(B/V)等を課金端末30に設けてもよい。
【0019】
充電器40は、車両50に電力を供給することで、車両50の走行用バッテリを充電する急速充電スタンドである。この充電器40は、商用交流電力を直流電力に変換し、これを所定の電圧に昇圧する電力変換器が内蔵されており、この電力変換器で変換された直流電力を、充電ケーブル41を介して車両50のバッテリに供給する。
【0020】
図1に示すように、この充電ケーブル41の先端には充電コネクタ42が取り付けられており、当該充電コネクタ42を、車両50の給電インレット51に装着することで、充電ケーブル41を介して充電器40と車両50のバッテリとが電気的に接続される。
【0021】
図2に示すように、この充電器40の筐体43には、充電開始ボタン431と、充電停止ボタン432と、緊急停止ボタン433と、が設けられている。充電操作者が、充電コネクタ42を給電インレット51に装着した後に、充電開始ボタン431を押すことで、車両50のバッテリの充電が開始される。一方、バッテリの充電を開始してから当該充電を停止させる場合には、充電操作者は充電停止ボタン432を押す。また、例えば充電中に異常が発生して充電を緊急停止させたい場合には、充電操作者は緊急停止ボタン433を押す。
【0022】
また、充電器40の筐体43には、3つのランプ434〜436と、タッチパネル44と、が設けられている。
【0023】
レディランプ434は、充電器40が充電可能な状態(後述する図5や図6の状態S120)になった場合に点灯する。チャージランプ435は、充電開始ボタン431が押されてバッテリが充電されている間中(後述する図5や図6の状態S131〜S135)、点灯する。アラームランプ436は、例えば充電器40自体に故障が発生する等の異常が発生した場合に点灯或いは点滅する。
【0024】
タッチパネル44は、充電器40と充電操作者やシステム管理者との間のHMIであり、例えば、充電操作者が充電作業の進捗状態を確認したり、システム管理者が充電器40のメンテナンス等を行う際に使用される。
【0025】
なお、図3に示すように、充電器40の筐体43にカードリーダ32を設けると共に、充電器40のタッチパネル44が課金端末30のタッチパネル31を兼ねることで、充電器40に課金端末30の機能を組み込んでもよい。
【0026】
さらに、この充電器40は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータから構成されたコントローラ45を備えている。このコントローラ45は、ROMに記憶された制御プログラムを実行することで、車両50の充電の制御を行う。このコントローラ45は、図4(a)に示すように、課金システム10と通信を行うための通信インタフェース46を有している。
【0027】
本実施形態では、このコントローラ45は、通信インタフェース46を介して入力される課金システム10からの信号に基づいて、図5及び図6に示す2つの制御モード(「スレーブモード」と「単独モード」)のいずれか一方を選択することが可能となっている。
【0028】
図5に示す「スレーブモード」は、充電器40が課金システム10からの指令に従って動作するモードである。一方、図6に示す「単独モード」は、充電器40が単独で動作するモードである。本実施形態における「スレーブモード」が本発明における第1のモードの一例に相当し、本実施形態における「単独モード」が本発明における第2のモードの一例に相当する。
【0029】
以下に、「スレーブモード」でのコントローラ45による制御の流れについて、図7(a)〜図7(f)及び図8(a)〜図8(f)を参照しながら説明する。図7(a)〜図7(f)及び図8(a)〜図8(f)は図5の各状態において、充電器40のタッチパネル44上に表示される画像の一例を示す図である。
【0030】
先ず、充電器40の電源が投入されると、図5の状態S100において、コントローラ45は、充電器40の初期化を行うと共に、図7(a)に示すように、タッチパネル44上に「起動中」の画面を表示する。
【0031】
この状態S100において、コントローラ45は、課金システム10からのサイクリック信号が通信インタフェース46を介して入力されるのを所定時間待つ。このサイクリック信号は、例えば100[msec]毎に発信されるのに対し、コントローラ45が待機する前記所定時間は、例えば8[sec]である。なお、この状態S100における所定時間は、上記の値に特に限定されず、任意に設定することができる。本実施形態における課金システム10からのサイクリック信号が、本発明における第1の信号の一例に相当する。
【0032】
この状態S100において、コントローラ45は、所定時間内に、通信インタフェース46を介して課金システム10からのサイクリック信号を受信した場合には、図5に示す「スレーブモード」を選択する。これに対し、コントローラ45は、所定時間を経過しても課金システム10からサイクリック信号を受信しなかった場合には、図6に示す「単独モード」を選択する。なお、課金システム10と充電器40との間でサイクリック通信が確立されると、課金システム10はこのサイクリック通信によって充電器40の状態を読み取ることができる。コントローラ45によって「スレーブモード」が実行されている間、このサイクリック通信は維持される。
【0033】
「スレーブモード」が選択されたら、コントローラ45は、図5の状態S110において、図7(b)に示すような画面をタッチパネル44上に表示して、課金システム10からのREADYコマンドを待つ。本実施形態における図5の状態S110が、本発明における第1の状態の一例に相当する。
【0034】
この図5の状態S110では、課金システム10側に制御権があるため、充電器40のコントローラ45は、課金システム10からREADYコマンドを受け取るまで、走行用バッテリの充電制御を開始することができない。この状態S110では、例えば、管理者が、タッチパネル44を介して、充電器40の管理やメンテナンスを行うことが可能となっている。
【0035】
具体的には、管理者が、図7(b)に示すタッチパネル上の「管理」ボタンや「メンテナンス」ボタンにタッチすると、充電完了条件(充電作業が完了する充電時間や充電率(SOC:State of Charge)等)を選択したり、充電完了条件の充電時間を変更したり(図7(c)参照)、或いは、充電完了条件の充電率を変更する(図7(d)参照)ことが可能となっている。なお、図7(c)や図7(d)において「OK」ボタンを押すと、図7(b)の画面に戻る。また、特に図示しないが、1台の課金サーバ20や1台の課金端末30で複数の充電器40に対応する場合には、この状態S110において、それぞれの充電器40の局番を設定してもよい。
【0036】
本実施形態では、充電器40のコントローラ45が充電制御を開始することができない状態S110を設けることで、「スレーブモード」において、ICカードの認証が完了していなかったり、充電完了条件等を設定しているにも関わらず、勝手に充電器40の充電開始ボタン431が押されて充電処理が開始してしまうのを防止することが可能となっている。
【0037】
図5の状態S110において、通信インタフェース46を介して課金システム10からコントローラ45にREADYコマンドが入力されたら、コントローラ45は、図5の状態S120に移行する。このREADYコマンドは、例えば、充電操作者が、課金端末30のカードリーダ32にICカードをタッチさせた後に、図7(b)に示すタッチパネル24に表示された枠内をタッチすることで、課金システム10から通信インタフェース46を介してコントローラ45に指示される。コントローラ45がこのREADYコマンドを課金システム10から受信することで、制御権が課金システム10からコントローラ45に移る。このREADYコマンドが、本発明における第2の信号の一例に相当する。
【0038】
この図5の状態S120では、制御権がコントローラ45にあるため、充電操作者が充電開始ボタン431を押せば、充電器40がバッテリの充電をいつでも開始可能な状態となっている。この図5の状態S120におけるタッチパネル44の表示画面の一例を図7(e)に示す。本実施形態における図5の状態S120が、本発明における第2の状態の一例に相当する。
【0039】
そして、充電操作者が充電器40の充電開始ボタン431を押すと、図5の状態S131〜S135における充電制御が実行される。具体的には、先ず、図5の状態S131において、コントローラ45は、車両50と通信を行うことで、走行用バッテリの現状の充電率や故障の有無等の情報を取得する。この図5の状態S131におけるタッチパネル44の表示画面の一例を図8(a)に示す。
【0040】
次いで、図5の状態S132において、コントローラ45は、例えば500[V]程度の電圧を印加して絶縁試験を行い、さらに、図5の状態S133において、充電器40自身の故障状態を確認する。この図5の状態S132及び状態S133におけるタッチパネル44の表示画面の一例を図8(b)及び図8(c)に示す。
【0041】
そして、充電開始条件が成立したら、コントローラ45は、図5の状態S134において、実際に充電器40から直流電力を車両50に供給して走行用バッテリを充電する。この図5の状態S134におけるタッチパネル44の表示画面の一例を図8(d)に示す。
【0042】
図5の状態S134で車両50のバッテリの充電を行って充電完了条件が成立したら、コントローラ45は、図5の状態S135に移行して充電を停止させる。この図5の状態S135におけるタッチパネル44の表示画面の一例を図8(e)に示す。
【0043】
なお、図5の状態S131〜S134において、例えば充電操作者が充電停止ボタン432を押す等して充電停止イベントが発生した場合にも、この図5の状態S135に移行する。
【0044】
そして、図5の状態S135において充電の停止作業が完了したら、コントローラ45は、通信インタフェース46を介して、充電電力量等の充電結果を課金システム10に送信し、コントローラ45の状態は再び図5の状態S110に移行する。
【0045】
課金端末30は、充電器40のコントローラ45から送信された充電結果を課金サーバ20に送信し、課金サーバ20は、この充電結果に基づいて料金を算出して決済処理する。
【0046】
本実施形態では、課金システム10が充電器40のコントローラ45から充電結果を受け取ると、制御権がコントローラ45から課金システム10に移り、再び充電器40のコントローラ45は充電制御を開始することができない状態となる。図5における状態S135から状態S110に移行した直後のタッチパネル44の表示画面の一例を、図8(f)に示す。なお、一定時間が経過したら、タッチパネル44の表示画面は、図8(f)から図7(a)に切り替わる。
【0047】
なお、図5のいずれかの状態S100,S110,S120,S131〜S135において、充電器40が故障した場合には、図5の状態S140に移行して、充電操作者に故障発生を喚起する。この図5の状態S140におけるタッチパネル44の表示画面の一例を図7(f)に示す。
【0048】
一方、図5の状態S100において、充電器40のコントローラ45が、所定時間内に、通信インタフェース46を介して課金システム10からのサイクリック信号を受信しない場合には、図6に示す「単独モード」に移行する。
【0049】
この「単独モード」は、図5の状態S110を有していない点を除いて、上述の図5に示す「スレーブモード」と同一である。そのため、図6中において、図5と同じ状態に対して、図5と同一の符号S100,S120,S131〜S135,及びS140を付して、図6の「単独モード」についての詳細な説明は省略する。
【0050】
この「単独モード」では、課金システム10からのREADYコマンドを待つ状態S110がないため、「単独モード」が選択されると、図6において状態S100から状態S120に移行し、充電器40のコントローラ45は、課金システム10からの指示なく、車両50のバッテリの充電制御を開始することが可能となっている。
【0051】
このように、本実施形態では、課金システム10からの信号がコントローラ45に入力されない場合に、充電器40は単独で動作することが可能となっているので、例えば課金サーバ20や課金端末30が故障した場合でも、充電器40によって車両50のバッテリを充電することが可能となっている。
【0052】
さらに、本実施形態では、コントローラ45が「単独モード」を実行している間に、通信インタフェース46を介して課金システム10からサイクリック信号が入力された場合には、「単独モード」から「スレーブモード」に移行する。
【0053】
同様に、本実施形態では、コントローラ45が「スレーブモード」を実行している間に、課金システム10からのサイクリック信号が途絶えた場合には、「スレーブモード」から「単独モード」に移行する。
【0054】
このため、「単独モード」で使用されていた充電器40を途中から「スレーブモード」に自動的に切り替えたり、「スレーブモード」を選択した後に課金サーバ20や課金端末30が故障した場合でも「単独モード」に自動的に移行することが可能となっている。
【0055】
但し、本実施形態では、充電器40のコントローラ45が充電制御状態(図5における状態S131〜S135)にある間は、課金システム10はコントローラ45に対して一切指示をすることができず、上述のサイクリック通信によって、充電器40の状態を読み取ることしかできない。
【0056】
そのため、「単独モード」においてコントローラ45が充電制御状態にある間に、課金システム10からサイクリック信号が入力された場合には、この充電制御状態が完了した後(すなわち状態S135を完了した後)に、「スレーブモード」(図5)における状態S110に移行する。
【0057】
同様に、「スレーブモード」においてコントローラ45が充電制御状態にある間に、課金システム10からのサイクリック信号が途絶えた場合には、この充電制御状態が完了した後(すなわち状態S135を完了した後)に、「単独モード」(図6)に移行する。但し、この場合には、「単独モード」の状態S120に移行する。この「単独モード」における状態S120が、本発明における第3の状態の一例に相当する。
【0058】
なお、本実施形態では、コントローラ45が「スレーブモード」と「単独モード」の2つのモードを備えていているが、特にこれに限定されず、コントローラ45が「スレーブモード」のみを備えてもよい。この場合には、図5の状態S100において、所定時間内に、通信インタフェース46を介して課金システム10からサイクリック信号がコントローラ45に入力されない限り、充電器40のコントローラ45が走行用バッテリの充電制御を開始することはない。
【0059】
ところで、従来のように、充電器が外部システムに対してマスタ側となっている場合には、それぞれ課金システムに対応したプロトコルを充電器に実装しなければならない。具体的には、図4(b)に示すように、例えば、A社の課金システムに対応する場合には、A社専用のゲートウェイを充電器に設けなければならず、B社の課金システムに対応する場合にはB社専用のゲートウェイを充電器に設けなければならず、充電器の汎用性が劣っている。
【0060】
これに対し、本実施形態では、充電器40のコントローラ45が、通信インタフェース46を介して課金システム10からの信号(サイクリック信号やREADYコマンド)の入力を待ち(図5の状態S100やS110)、通信インタフェース46を介して課金システム10から信号が入力されたことを一つの条件として、車両50の走行用バッテリの充電制御(図5の状態S131〜S135)を開始する。
【0061】
このため、課金システム10に対して充電器40がスレーブ側となり、図4(a)に示すように、課金システムに対応したプロトコルを充電器40に実装する必要がなくなるので、課金サーバ等の外部装置に対する汎用性が向上する。
【0062】
なお、充電開始のコマンドも通信インタフェース46を介して課金システム10からコントローラ45に入力される場合には、走行用バッテリの充電制御を開始する条件は、図5においては、通信インタフェース46を介した課金システム10からの信号(サイクリック信号、READYコマンド、充電開始コマンド)の入力のみとなる。
【0063】
従って、本実施形態では、充電器40のコントローラ45が、通信インタフェース46を介して課金システム10から信号が入力されたことを少なくとも一つの条件として(すなわち、少なくとも通信インタフェース46を介して課金システム10から信号が入力されたことを条件として)、走行用バッテリの充電制御を開始する。
【0064】
本実施形態における充電器40のコントローラ45が本発明における制御手段の一例に相当し、本実施形態における充電器40の通信インタフェース46が本発明におけるインタフェースの一例に相当し、本実施形態における課金システム10が本発明における外部装置の一例に相当する。
【0065】
なお、図9に示すように、課金端末30をコインメック33やビルバリ34だけで構成した場合には、課金サーバ20との接続は不要となる。この場合には、図10に示すようなランプI/F回路と、図11に示すような制御I/F回路と、を充電システム(課金端末30及び充電器40)に設けてもよい。
【0066】
図10に示すランプI/F回路では、課金端末30が充電器40のランプ434〜436の点灯/消灯状態を監視したり、課金端末30が当該ランプ434〜436を点灯/消灯させることが可能となっている。
【0067】
具体的には、図10に示すランプI/F回路では、スイッチSを閉じて、接点Jと接点Jとの導通状態によって、充電器40のランプPL(上述のランプ434〜436に相当)の点灯/消灯状態を、課金端末30が取得することができる。
【0068】
また、スイッチSを閉じて、接点Jと接点Jとを短絡させることで、課金端末30と充電器40の両方が、ランプPLを点灯/消灯させることができる。
【0069】
これに対し、スイッチSを開いて、接点Jと接点Jとの導通状態によって、充電器40のランプPLの点灯/消灯状態を課金端末30が取得することができ、接点Jと接点Jを短絡させることで、充電器40側の制御をブロックしつつ、課金端末30がランプPLを点灯/消灯させることができる。
【0070】
一方、図11に示す制御I/F回路では、課金端末30が充電器40の充電を開始させたり、課金端末30が充電開始ボタン431の押し下げを検出することが可能となっている。
【0071】
具体的には、図11に示す制御I/F回路では、接点Jと接点Jを短絡させることで、課金端末30によって車両50のバッテリの充電を開始させることができる。
【0072】
また、スイッチSを閉じて、接点Jと接点Jの導通状態によって、充電器40の充電開始ボタン431の押し下げを検出することができる。なお、スイッチSは、例えば、コインメック33のコイン投入部に設けられたリレーと連動している。
【0073】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0074】
例えば、上述の実施形態では、充電器40のコントローラ45に課金システム10を接続した例について説明したが、充電器のコントローラに接続される外部装置は特にこれに限定されない。例えば、充電器内に設けられたヒータを遠隔でオン/オフする操作する遠隔操作装置を、通信インタフェースを介して充電器のコントローラに接続してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…充電システム
10…課金システム
20…課金サーバ
30…課金端末
31…タッチパネル
32…カードリーダ
33…コインメック
34…ビルバリ
40…充電器
41…充電ケーブル
42…充電コネクタ
43…筐体
431…充電開始ボタン
432…充電停止ボタン
433…緊急停止ボタン
434…レディランプ
435…チャージランプ
436…アラームランプ
44…タッチパネル
45…コントローラ
46…通信インタフェース
50…車両
51…給電インレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを充電する充電器であって、
前記バッテリへの充電の制御を行う制御手段と、
前記制御手段と外部装置との間に介在するインタフェースと、を備えており、
前記制御手段は、前記インタフェースを介した前記外部装置からの信号の入力を待ち、前記インタフェースを介して前記外部装置から信号が入力されたことを条件として、前記バッテリの充電制御を開始することを特徴とする充電器。
【請求項2】
請求項1に記載の充電器であって、
前記制御手段は、
前記充電器が前記外部装置からの信号に従う第1のモード、又は、
前記充電器が単独で動作する第2のモード、
のいずれか一方を、前記インタフェースを介して入力される前記外部装置からの信号に基づいて選択することを特徴とする充電器。
【請求項3】
請求項2に記載の充電器であって、
前記制御手段は、
所定時間内に、前記インタフェースを介して前記外部装置から信号が入力された場合に、前記第1のモードを選択し、
前記所定時間内に、前記インタフェースを介して前記外部装置から信号が入力されない場合に、前記第2のモードを選択することを特徴とする充電器。
【請求項4】
請求項3に記載の充電器であって、
前記制御手段は、
前記インタフェースを介して前記外部装置から第1の信号が入力された場合に、前記第1のモードにおいて前記外部装置からの第2の信号を待つ第1の状態に移行し、
前記インタフェースを介して前記外部装置から前記第2の信号が入力された場合に、前記第1のモードにおいて前記バッテリの充電を開始可能な第2の状態に移行することを特徴とする充電器。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の充電器であって、
前記制御手段は、前記所定時間内に、前記インタフェースを介して前記外部装置から信号が入力されない場合には、前記第2のモードにおいて前記バッテリの充電を開始可能な第3の状態に移行することを特徴とする充電器。
【請求項6】
請求項2〜5の何れかに記載の充電器であって、
前記制御手段は、前記第2のモードにおいて前記インタフェースを介して前記外部装置から信号が入力された場合には、前記第2のモードから前記第1のモードに移行することを特徴とする充電器。
【請求項7】
請求項6に記載の充電器であって、
前記制御手段は、前記バッテリの充電が終了した後に、前記第2のモードから前記第1のモードに移行することを特徴とする充電器。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の充電器であって、
前記制御手段は、前記インタフェースを介して入力される前記外部装置からの信号が途絶えた場合に、前記第1のモードから前記第2のモードに移行することを特徴とする充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−85346(P2013−85346A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222666(P2011−222666)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】