説明

充電機能を備えた循環式駐車装置及びその制御方法

【課題】 入出庫後、パレット群の必要最小限の循環移動距離で複数の充電パレットに給電可能となり、パレット毎に公平に課金することができる充電機能を備えた循環式駐車装置を提供すること。
【解決手段】 充電ケージ5,11と標準ケージ1〜4,6〜10,12とを混載した複数のパレットを循環経路49に沿って循環させ、前記循環経路49は、第1の等ピッチで配設した複数の給電特定場所31〜34を備え、前記充電パレット5,11は、前記第1の等ピッチの一部を除いた第2の等ピッチで配設した少なくとも2台が備えられているようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両搭載用パレットに搭載した電気自動車に対する充電機能を備えた循環式駐車装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車両を駐車させるための機械式駐車装置として、車両搭載用パレット(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、車両搭載用ケージも「パレット(車台)」に含むものとする)を循環させる、垂直循環方式、多層循環方式等の循環式駐車装置(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、水平循環式、箱型循環式、円形循環式等の全てを含む)が広く利用されている。
【0003】
一方、近年、電気自動車(この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「電気自動車」は、「電気自動車」、「電動機と内燃機関とを組合わせたハイブリッド車」等の充電を必要とする車両をいう)が普及している。このような電気自動車は排気ガス量を減らせるので環境保全上優れているが、従来の燃料の代わりに電気を蓄電池(バッテリ)に充電する必要がある。そのため、上記したような駐車装置に格納している時間を利用して充電しようとする充電機能付きの駐車装置が発明されている。
【0004】
例えば、垂直循環式駐車装置において、各ケージの吊り主軸外方延長端部にブラシを設け、無端状循環経路の全周に亘ってトロリー線を敷設し、このトロリー線から上記ブラシに給電できるようにすることで、ケージ群の循環中も搭載した電気自動車に充電できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2908945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明では、空ケージや充電要求していない電気自動車を搭載したケージも含め、全てのケージのブラシが常時トロリー線に接触した状態で循環移動するため、これらの磨耗劣化が激しく、頻繁に保守点検・交換作業を行う必要がある。
【0007】
しかも、上記保守点検・交換作業は各ケージのブラシを交換することのみに留まらず、全周に敷設されたトロリー線の保守点検を要し、更にトロリー線を交換する必要がある場合には、その交換作業のために駐車装置の躯体全体にわたる大掛かりな作業が必要となり、多大な費用と時間が必要となる。
【0008】
また、各ケージが、共通のトロリー線から給電されているため、充電要求した電気自動車を搭載した複数のケージについて個別の充電量を計測ことができず、公平な課金ができない。
【0009】
そこで、本発明は、入出庫後、パレット群の必要最小限の循環移動距離で複数の充電パレットに給電可能となり、パレット毎に公平に課金することができる充電機能を備えた循環式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る充電機能を備えた循環式駐車装置は、充電パレットと標準パレットとを混載した複数のパレットを循環経路に沿って循環させる循環式駐車装置であって、前記循環経路は、第1の等ピッチで配設した複数の給電特定場所を備え、前記充電パレットは、前記第1の等ピッチと同一又は前記複数の給電特定場所の少なくとも2箇所と合致する第2の等ピッチで配設した少なくとも2台が備えられている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「等ピッチ」は、個々の構成を配設する間隔をいう。これにより、循環経路で循環させる複数の充電パレットは、パレット群を循環移動させて一箇所の充電パレットを給電特定場所に循環させれば、他の箇所の充電パレットも他の給電特定場所に配置されるので、複数台の充電パレットに搭載された電気自動車に対して複数同時に給電することを効率良く充電することができる。しかも、充電に関する構成の保守点検は給電特定場所と充電パレットとになり、容易に保守点検をすることができる。その上、個別に充電量を計測して公平に課金することもできる。
【0011】
また、前記給電特定場所の1つは、乗入れ部を除く近接位置に設けられていてもよい。このようにすれば、充電パレットに乗入れた電気自動車を給電特定場所に移動させる動作が迅速に行えるので、効率良く電気自動車に充電することができる。
【0012】
さらに、前記給電特定場所は、前記パレットの総数を等分割できる前記第1の等ピッチで配設され、前記充電パレットは、該給電特定場所と同一の等ピッチ又は一部の給電特定場所を除いた等ピッチで配設されていてもよい。このようにすれば、1つの充電パレットを給電特定場所に配置すれば他の充電パレットの全てが給電特定場所に配置されるので、充電パレットに搭載された電気自動車に対する充電を複数箇所で同時に行うことができる。
【0013】
また、前記給電特定場所は、充電パレットに給電する各給電部を有し、該各給電部には、前記充電パレットと同一数の電力量計測手段から分岐した各給電特定場所の給電線がそれぞれの開閉器を介して接続されていてもよい。このようにすれば、各給電特定場所における給電量を電力量計測手段によって計測することができるので、充電パレットに搭載されて移動した電気自動車に対する給電量は、各給電特定場所における給電量を合算することで計測でき、充電した電気自動車毎に適正な課金を行なうことができる。
【0014】
一方、本発明に係る循環式駐車装置の制御方法は、前記いずれかに記載の充電機能を備えた循環式駐車装置の制御方法であって、前記複数のパレットの入出庫するパレットを乗入れ部に配置し、該パレットに入出庫を行なった後、該パレットに近接する前記充電ケージを前記乗入れ部に最も近い給電特定場所に循環移動させて給電部からの給電を開始するようにしている。これにより、充電パレットと標準パレットとを混載した複数のパレットを有する循環式駐車装置において、標準パレット又は充電パレットに乗入れた後、充電パレットを給電特定場所へ迅速に配置することができるので、充電を要する電気自動車に対する充電、及び入出庫のために充電を中断した電気自動車に対する充電を効率良く行うことができる。
【0015】
また、前記電力量計測手段は、前記各給電特定場所における充電パレット毎の電力供給量を計測し、該充電パレット毎の電力供給量から課金を行うように構成されていてもよい。このようにすれば、各充電パレットに対する電力供給量を計測して課金するので、電力供給量に応じて公平な課金をすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入出庫後、充電パレットが必要最小限の循環移動距離で、何れかの給電特定場所に同時に配置されて給電可能となり、迅速に充電作業を継続して行なうことが可能となる。しかも、公平に充電料金の課金を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る垂直循環式駐車装置の全体構成図と制御ブロック図である。
【図2】図1に示す垂直循環式駐車装置における充電制御のフローチャートである。
【図3】(a) 〜(c) は、図1に示す垂直循環式駐車装置における作用説明図である。
【図4】(a) 〜(f) は、垂直循環式駐車装置における変形例を示す構成図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る水平循環式駐車装置の全体構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る箱型循環式駐車装置の全体構成図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る円形循環式駐車装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、充電機能を備えた垂直循環式駐車装置20の例を主に説明する。また、図1に示す全体構成図のように、駐車装置の正面に向った状態で、上下方向、左右方向という。さらに、以下の垂直循環式駐車装置20では、車両を搭載する「パレット」を「ケージ」という。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態の垂直循環式駐車装置20は、総ケージ数を12台とした駐車装置であり、図1に示す状態の各ケージにケージ番号(1)〜(12)を付している。この垂直循環式駐車装置20では0は、最下部が乗入れ部21となっており、この乗入れ部21の前部に入出庫口22が設けられ、この入出庫口22の側方には運転操作盤23が設けられている。
【0020】
上記ケージ1〜12は、上スプロケット24と下スプロケット25との間に掛けられたケージ循環用無端チェーン26に設けられたアタッチメント部材27に吊下げられており、ケージ循環用無端チェーン26が駆動されることによって循環させられる。このケージ循環用無端チェーン26は、上スプロケット24を回動させるケージ循環駆動部28によって駆動される。
【0021】
そして、上記ケージ1〜12の循環経路49に、第1の等ピッチである3ピッチ間隔で4箇所に給電特定場所31〜34が配設されている。この図では、上記ケージ2,5,8,11の位置が給電特定場所31〜34となっている。これらの各給電特定場所31〜34には、それぞれ給電部38(充電電源側接点等)が設けられている。
【0022】
この図1では、上記4箇所の給電特定場所31〜34の内、第2の等ピッチである6ピッチ離れた2箇所の位置に充電ケージ5,11が配設されている。この実施形態では、乗入れ部21に近接した充電ケージ5,11の位置を給電特定場所32,31としている。充電ケージ11には、電気自動車EV(A)が搭載され、充電ケージ5には、電気自動車EV(B)が搭載されている。これらの電気自動車EVは、充電口13と充電ケージ5,11に設けられた充電中継スタンド14との間が充電ケーブル15で接続されている。この2台の充電ケージ5,11は、総ケージ数に対して等ピッチ間隔で配設されているため、2箇所の給電特定場所33,31又は34,32において同時充電可能な配置となっている。
【0023】
一方、上記各給電部38には、充電ケージ5,11に設けられたケージ側接点39,40と接続される電源側接点41〜44が設けられている。この例では4箇所の給電特定場所31〜34に電源側接点41〜44が設けられ、各電源側接点41〜44には個別に給電線45〜48が接続されている。
【0024】
このように、この実施形態では、循環経路49に、総ケージの配列を基準とした第1の等ピッチで複数の給電特定場所31〜34を設定し、この第1の等ピッチの給電特定場所31〜34の一部を除いた第2の等ピッチで複数の充電ケージ5,11を配設するようにしている。すなわち、総ケージ数の12台(偶数)配列を基準とし、第1の等ピッチである「3」で4箇所に給電特定場所31〜34を設定し、この第1の等ピッチである「3」を等分に間引いた第2の等ピッチ「6」で2台の充電パレット5,11を配設するようにしている。つまり、上記給電特定場所31〜34が4箇所であるため、上記総ケージ数を等分に間引いて生じる2箇所で同時充電可能な第2の等ピッチ、すなわち6ピッチ間隔で2台の充電パレット5,11が配設されている。
【0025】
なお、このような給電特定場所31〜34と充電パレット5,11の配設は、総ケージ数の配列を基準として決定すればよく、この実施形態に限定されるものではない。
【0026】
上記垂直循環式駐車装置20の制御ブロック図としては、上記各給電特定場所31〜34に供給する電力を制御する充電電源制御装置51と、駐車装置本体の制御装置52、上記運転操作盤23、ケージ循環駆動部28、入出庫口扉駆動部53、入出庫誘導案内部54、及び車両・人検知部55がI/O装置56を介して接続されている。
【0027】
上記充電電源制御装置51には、この例では、充電パレット11,5が2台であるため、それぞれの充電パレット11,5に対する電力量を個別に計測する電力量計測手段たる電力量計57,58(図では、電気自動車EV(A),(B)に対応した(A),(B)を付す)が設けられている。この電力量計57,58は、例えばメータであり、上記4箇所の給電特定場所31〜34の電源側接点41〜44に接続された給電線45〜48に電力供給するように分岐した4系統の給電線が開閉器A31〜A34(コネクタ)及び開閉器B31〜B34(コネクタ)に接続されており、これらの開閉器A31〜A34、B31〜B34に上記各電源側接点41〜44に接続された給電線45〜48が接続されている。上記電力量計57,58には、充電用電源59に接続された受電盤60内に設けられたそれぞれのブレーカ61,62を介して電力供給されている。
【0028】
一方、上記制御装置52は、ケージ番号/利用者ID/充電要求の有無等を一体的に記憶するRAMや、ROM、CPU等を備えている。また、上記運転操作盤23には、最上部に「入口番号」と「呼番号」との案内表示部70と、「非常停止」釦71とが設けられている。その下方には、パレット番号及び実車表示ランプ72が設けられており、この例では、充電パレット5,11の番号下方に目印(二本線)が設けられている。その下方には、「標準ケージ空呼」釦73、「充電パレット空呼」釦74、「充電要求」釦75、及びテンキー76が設けられている。このテンキー76は、利用者IDやケージ番号等の入力に使用される。その下方には、「制御電源」スイッチ、「暗証」、「スタート」、「安全確認」、「終了扉閉」、及び「取消」の各釦が配設された釦部77が設けられている。
【0029】
次に、図2に基いて、上記循環式駐車装置20における充電制御のフローチャートを説明する。この例では、充電ケージ5又は11に充電要求の電気自動車EVが搭載されている場合を例にしている。
【0030】
スタートすると、まず循環駆動停止中か否かが判断され(S1)、循環駆動停止中であれば、充電パレット5又は充電パレット11に充電要求の電気自動車EVが搭載されているか否かが判断される(S2)。この判断で充電パレット5又は11に充電要求の電気自動車EVが搭載されている場合、その充電パレットの配置場所は給電特定場所か否かが判断される(S3)。この判断で給電特定場所の場合、その給電特定場所の特定がなされる(S4)。
【0031】
一方、上記給電特定場所か否かの判断(S3)で給電特定場所ではないと判断された場合、ケージ群の循環駆動指令が出される(S5)。そして、充電パレットの配置が給電特定場所か否かが判断され(S6)、充電パレットが給電特定場所に配置されるまで続けられる。この判断(S6)で充電パレットが給電特定場所であると判断されると、循環駆動停止命令が出された後(S7)、上記給電特定場所の特定がなされる(S4)。この例では上述した図1の循環式駐車装置20を例にしているため、充電ケージ5の場合は給電特定場所33(EV(B))、充電ケージ11の場合は、給電特定場所31(EV(A))となる。
【0032】
そして、入出庫要求がされているか否かが判断され(S8)、入出庫要求がされている場合には、充電中か否かの判断がなされる(S9)。この判断で充電中でない場合はエンドとなり、充電中である場合は、充電停止指令が出され(S10)、対応する開閉器A31,B33が開成されてエンドとなる。
【0033】
また、上記入出庫要求がされているか否かの判断(S8)で、入庫要求がされていない場合、充電要求の給電特定場所について充電指令が出される(S11)。これにより、対応する開閉器A31,B33が閉成される。
【0034】
その後、検出電流値が設定電流値以下になったか否かが検出され(S12)、設定電流値以下の場合には、満充電又は電気自動車充電ケーブル非接触(又は接触不良)と判断され、充電停止命令が出される(S10)。これにより、対応する開閉器A31,B33が開成されてエンドとなる。
【0035】
次に、図3(a) 〜(c) に基いて、上記循環式駐車装置20による作用を説明する。
【0036】
図3(a) に示すように、2台の充電ケージ5,11がそれぞれ充電要求の電気自動車EV(B),(A)を搭載して給電特定場所31,33に配置され、給電可能な状態(開閉器A31・B33を閉成)とされる。
【0037】
この状態から標準ケージ9の入出庫要求があるとする。上記給電特定場所31,33で充電中であれば、充電を中断(開閉器A31・B33を開成)したうえで、ケージ群を反時計回りに4ピッチ循環移動させてケージ9を乗入れ部21に着床させる。
【0038】
そして、図3(b) に示すように、ケージ9に対する入出庫作業を行なった後、充電ケージ5,11を給電特定場所34,32に配置するために、ケージ群を時計回りに1ピッチ循環移動させる。
【0039】
これにより、図3(c) に示すように、2台の充電ケージ5,11が元の配置とは異なる給電特定場所34,32にそれぞれ配置され、給電部38の接続が行われて、充電が必要な場合はそれぞれ対応する開閉器B34・A32が閉成されて、再び給電状態となる。
【0040】
図4は、図1に示す垂直循環式駐車装置20における変形例を示しており、総ケージ数を上述した第1実施形態と同一の12台とし、給電場所と充電ケージの数を変更した複数の例を示している。上部に示す組合わせ表は、給電特定場所のピッチと場所数、充電ケージのピッチと充電ケージ数との関係を示している。
【0041】
図4(a) に示す例は、給電特定場所31,32を第1の等ピッチの6ピッチで2箇所に設け、充電ケージ11,5を同一の等ピッチの6ピッチで2台配設した例を示している。(b) に示す例は、給電特定場所31〜33を第1の等ピッチの4ピッチで3箇所に設け、充電ケージ3,7,11を同一の等ピッチの4ピッチで3台配設した例を示している。(c) に示す例は、給電特定場所31〜34を第1の等ピッチの3ピッチで4箇所に設け、充電ケージ2,5,8,11を同一の等ピッチの3ピッチで4台配設した例を示している。
【0042】
また、図4(d) に示す例は上述した図1の例を示しており、給電特定場所31〜34を第1の等ピッチの3ピッチで4箇所に設け、充電ケージ5,11を一部の給電特定場所を除いた第2の等ピッチの6ピッチで2台配設した例を示している。(e) に示す例は、給電特定場所31〜36を第1の等ピッチの2ピッチで6箇所に設け、充電ケージ1,3,5,7,9,11を同一の等ピッチの2ピッチで6台配設した例を示している。(f) に示す例は、給電特定場所31〜36を第1の等ピッチの2ピッチで6箇所に設け、充電ケージ1,5,9を一部の給電特定場所を除いた第2の等ピッチの4ピッチで3台配設した例を示している。
【0043】
このように、上記垂直循環式駐車装置20によれば、入出庫後、複数の充電ケージ5,11が、ケージ群の必要最小限の循環移動距離で、何れかの給電特定場所31〜34に同時に配置されて給電可能な状態となるので、迅速に充電作業を連続して行なうことで充電要求された電気自動車EVに対して効率良く充電することが可能となる。
【0044】
しかも、充電に関する構成の保守点検は給電特定場所31〜34と充電ケージ5,11とになり、容易に保守点検をすることができる。しかも、個別に充電量を計測して公平に課金することも可能となる。
【0045】
その上、充電ケージ5,11の給電特定場所31〜34は配置替えの都度異なることもあるが、電力量計57,58は充電ケージ5,11ごとに固定されているので、個別に充電量を計測して充電を行わない電気自動車EVや一般自動車(非電気自動車)車両と充電を行った電気自動車EVとの間の課金に関する不公平を解消して公平に課金することが可能となる。
【0046】
次に、図5〜図7に基いて、他の循環式駐車装置における実施形態を以下に説明する。以下の実施形態では、上述した第1実施形態と同一の構成には同一符号を付して説明する。また、以下の実施形態は、いずれも、総パレット数を12台とし、第1の等ピッチとして3ピッチ間隔で給電特定場所31〜34を備え、第2の等ピッチとして一部の給電特定場所を除いた6ピッチ間隔で充電パレット5,11(第1実施形態の充電ケージ5,11と同一符号を付す)が配設され、他の位置には標準パレット1〜4,6〜10,12(第1実施形態の標準ケージ1〜4,6〜10,12と同一符号を付す)が配設されている。
【0047】
図5は、本発明の第2実施形態に係る水平循環式駐車装置の適用レイアウト図であり、この水平循環式駐車装置80は、パレット1〜12が循環経路49に設けられた横移送機器(図示略)と両端部の縦移送機器81(レールのみを示す)とによって循環させられるようになっている。
【0048】
そして、この実施形態では、乗入れ部となるリフト82に近接した2台隣の位置を給電特定場所31にするとともに、その位置から3ピッチ間隔で給電特定場所32〜34が配設されている。これらの給電特定場所31〜34には、給電部38がそれぞれ設けられている。
【0049】
これにより、パレット1〜12を循環させて2台の充電パレット5,11の一方を給電特定場所31〜34のいずれかに配置すると、他方の充電パレット5,11も必ず給電特定場所31〜34に配置されるため、両方の充電パレット5,11に搭載された電気自動車EVに対して同時に充電することができる。しかも、個別に充電量を計測して、各々に公平な課金をすることができる。
【0050】
図6は、本発明の第3実施形態に係る箱型循環式駐車装置の適用レイアウト図であり、この箱型循環式駐車装置84は、入出庫扉85が設けられた入出庫口86から昇降路87を介してリフト88でパレット1〜12が搬入され、これらのパレット1〜12は、上下の循環経路49に設けられた横移送機器(図示略)と上記リフト88及び他方端部に設けられたリフト89とによって循環させられるようになっている。
【0051】
そして、この実施形態では、乗入れ部となる昇降路87に近接した2台隣の位置を給電特定場所31にするとともに、その位置から3ピッチ間隔で給電特定場所32〜34が配設されている。これらの給電特定場所31〜34には、給電部38がそれぞれ設けられている。
【0052】
これにより、パレット1〜12を循環させて2台の充電パレット5,11の一方を給電特定場所31〜34のいずれかに配置すると、他方の充電パレット5,11も必ず給電特定場所31〜34に配置されるため、両方の充電パレット5,11に搭載された電気自動車EVに対して同時に充電することができる。しかも、個別に充電量を計測して、各々に公平な課金をすることができる。
【0053】
図7は、本発明の第4実施形態に係る円形循環式駐車装置の適用レイアウト図であり、この円形循環式駐車装置91は、入出庫扉92が設けられた入出庫口93から昇降路94を介してリフト95でパレット1〜12が搬入され、これらのパレット1〜12は、右端に設けられた駆動スプロケット96と左端の従動スプロケット97との間に設けられた循環用チェーン98で循環経路49を循環させられるようになっている。
【0054】
そして、この実施形態では、乗入れ部となる昇降路94に近接した2台隣の位置を給電特定場所31にするとともに、その位置から3ピッチ間隔で給電特定場所32〜34が配設されている。これらの給電特定場所31〜34には、給電部38がそれぞれ設けられている。
【0055】
これにより、パレット1〜12を循環させて2台の充電パレット5,11の一方を給電特定場所31〜34のいずれかに配置すると、他方の充電パレット5,11も必ず給電特定場所31〜34に配置されるため、両方の充電パレット5,11に搭載された電気自動車EVに対して同時に充電することができる。しかも、個別に充電量を計測して、各々に公平な課金をすることができる。
【0056】
このように、上述した図1に示す垂直循環式駐車装置20以外の方式の循環式駐車装置80,84,91においても、複数の充電パレット5,11がパレット群の必要最小限の循環移動距離で、何れかの給電特定場所31〜34に同時に配置されて給電可能となり、迅速に充電作業を連続して行なうことで充電要求された電気自動車EVに対して効率良く充電することが可能となる。
【0057】
しかも、充電パレット5,11の給電特定場所31〜34は配置替えの都度異なることもあるが、電力量計57,58(図1)は充電パレット5,11ごとに固定されているので、個別に充電量を計測して充電を行わない電気自動車EVや一般自動車(非電気自動車)と充電を行った電気自動車EVとの間の課金に関する不公平を解消して公平に課金することが可能となる。
【0058】
なお、上記実施形態では、充電ケージ5,11(充電パレット5,11)を2台とした例を説明したが、給電特定場所31〜34と同一の3ピッチ間隔で4台を配設してもよい。また、充電ケージ5,11(充電パレット5,11)は、電気自動車EVの普及及び駐車利用状況に応じて台数を種々変更してもよい。例えば、上述した図4(a) 〜(f) に示すように変更すればよく、上述した実施形態以外でもよい。
【0059】
さらに、上述した実施形態では、総パレット数(総ケージ数)を等分割できる偶数台とし、給電特定場所31〜34を全周で第1の等ピッチ間隔に配設し、充電パレット5,11も全周で第2の等ピッチ間隔で配設しているが、総ケージ数は上述した実施形態に限定されるものではなく、総パレット数(総ケージ数)が奇数台であっても、更に多くのパレット(ケージ)を備えた循環式駐車装置であっても適用でき、第1の等ピッチで配設された給電特定場所に対して、少なくとも2箇所の給電特定場所と合致するような第2の等ピッチで充電パレット(充電ケージ)が配設されていればよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、給電特定場所31〜34における充電ケージ5,11(充電パレット5,11)への給電形態としてコンセント方式の給電部38を例に説明したが、この給電形態は、パレット側に短尺の給電線(トロリ)を使用したトロリー方式等、他の給電形態でも適用可能であり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0061】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る充電機能を備えた循環式駐車装置は、複数の電気自動車に効率良く充電したい循環式駐車装置に利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1〜4 ケージ(パレット)
5 充電ケージ(充電パレット)
6〜10 ケージ(パレット)
11 充電ケージ(充電パレット)
12 ケージ(パレット)
20 垂直循環式駐車装置
21 乗入れ部
23 運転操作盤
26 ケージ循環用無端チェーン
27 アタッチメント部材
28 ケージ循環駆動部
31〜34 給電特定場所
35,36 給電特定場所
38 給電部
39,40 ケージ側接点
41〜44 電源側接点
45〜48 給電線
49 循環経路
51 充電電源制御装置
52 制御装置
57,58 電力量計(電力量計測手段)
59 充電用電源
60 受電盤
61,62 ブレーカ
72 実車表示ランプ
73 「標準ケージ空呼」釦
74 「充電パレット空呼」釦
75 「充電要求」釦
80 水平循環式駐車装置
82 リフト
84 箱型循環式駐車装置
87 昇降路
91 円形循環式駐車装置
94 昇降路
A31〜A34 開閉器
B31〜B34 開閉器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電パレットと標準パレットとを混載した複数のパレットを循環経路に沿って循環させる循環式駐車装置であって、
前記循環経路は、第1の等ピッチで配設した複数の給電特定場所を備え、
前記充電パレットは、前記第1の等ピッチと同一又は前記複数の給電特定場所の少なくとも2箇所と合致する第2の等ピッチで配設した少なくとも2台が備えられていることを特徴とする充電機能を備えた循環式駐車装置。
【請求項2】
前記給電特定場所の1つは、乗入れ部を除く近接位置に設けられている請求項1に記載の充電機能を備えた循環式駐車装置。
【請求項3】
前記給電特定場所は、前記パレットの総数を等分割できる前記第1の等ピッチで配設され、
前記充電パレットは、該給電特定場所と同一の等ピッチ又は一部の給電特定場所を除いた等ピッチで配設されている請求項1又は請求項2に記載の充電機能を備えた循環式駐車装置。
【請求項4】
前記給電特定場所は、充電パレットに給電する各給電部を有し、
該各給電部には、前記充電パレットと同一数の電力量計測手段から分岐した各給電特定場所の給電線がそれぞれの開閉器を介して接続されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の充電機能を備えた循環式駐車装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の充電機能を備えた循環式駐車装置の制御方法であって、
前記複数のパレットの入出庫するパレットを乗入れ部に配置し、該パレットに入出庫を行なった後、該パレットに近接する前記充電ケージを前記乗入れ部に最も近い給電特定場所に循環移動させて給電部からの給電を開始するようにしたことを特徴とする充電機能を備えた循環式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
前記電力量計測手段は、前記各給電特定場所における充電パレット毎の電力供給量を計測し、該充電パレット毎の電力供給量から課金を行うように構成されている請求項5に記載の循環式駐車装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−179195(P2011−179195A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42849(P2010−42849)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)