光エミッタ及びその製造方法
【課題】波長変換粒子が硬化された状態で不均一に分散されることを防ぐことができる光エミッタとその製造方法を提供する。
【解決手段】第1のスペクトルの光を放出する光源12と、光源とは別個に形成され、かつ、半球状の変換材料領域全体に均一に分散された変換粒子22を含む半球状の変換材料領域21と、を備え、変換材料領域は、少なくとも一部の光源の光が変換材料領域を通過するように、光源に近接して配置され、変換材料領域は、通過する光が変換材料領域の実質的に類似する厚みを通って進むように成形され、変換粒子は、変換材料領域を通過する少なくとも一部の光源の光を吸収し、かつ第2のスペクトルの光を放出し、第1のスペクトルの光及び第2のスペクトルの光が、変換材料領域内で組み合わされ、エミッタが、実質的に均一な色分散及び強度で第1及び第2のスペクトルの組み合わせを放出する。
【解決手段】第1のスペクトルの光を放出する光源12と、光源とは別個に形成され、かつ、半球状の変換材料領域全体に均一に分散された変換粒子22を含む半球状の変換材料領域21と、を備え、変換材料領域は、少なくとも一部の光源の光が変換材料領域を通過するように、光源に近接して配置され、変換材料領域は、通過する光が変換材料領域の実質的に類似する厚みを通って進むように成形され、変換粒子は、変換材料領域を通過する少なくとも一部の光源の光を吸収し、かつ第2のスペクトルの光を放出し、第1のスペクトルの光及び第2のスペクトルの光が、変換材料領域内で組み合わされ、エミッタが、実質的に均一な色分散及び強度で第1及び第2のスペクトルの組み合わせを放出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エミッタ及びその製造方法に関し、より詳細には、放出された光の少なくともある波長が、変換材料領域によって他の波長に変換される光エミッタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年2月26日に出願された米国特許仮出願第60/451067号の恩恵を請求する。
【0003】
発光ダイオード(LED)は、電気エネルギーを光エネルギーに変換し、かつ一般に、2つの反対にドープされた層間に挟まれた半導体材料の活性層を備える固体デバイスの重要なクラスである。バイアスが、ドープされた層を横切って印加されると、正孔及び電子が活性層に注入され、活性層でそれらは光を生成するために再結合される。光は、一般に活性層及びLEDの表面から全ての方向に放出される。
【0004】
発光に使用される従来のLEDの1つの欠点は、それらLEDが、それらLEDの活性層から白色光を生成できないことである。単一の青色発光LEDに白色光を放出させる1つの方法は、そのLEDを黄色燐光体、ポリマー、又は染料で囲むことである(Nichia Corp.白色LED、部品番号NSPW300BS、NSPW312BSなどを参照されたい。Haydenへの(特許文献1)「Multiple Encapsulation of Phosphor−LED Devices」も参照されたい)。囲む材料は、光の少なくともある波長を「ダウンコンバート(downconvert)」し、その色を変化させる。例えば、青色放出LEDが黄色燐光体で囲まれるなら、ある青色光は、変化されずに燐光体を通過し、一方、残りの光は黄色にダウンコンバートされる。したがって、LEDは、白色光を形成するために組み合わせされる青色光及び黄色光の両方を放出する。
【0005】
変換材料領域(conversion material region)によって囲まれるLEDを製造するための1つの従来の方法は、LEDにバイアスを印加するために必要な電気接続部を有する、カップ形状のサブマウント内にLEDを搭載することである。シリンジ機構(syringe mechanism)が、光学的に透明で硬化可能な材料(例えば、エポキシ、シリコン、ゾルゲルなど)で充填され、一般に燐光体粒子を含む変換材料が材料中に混合される。次に、シリンジ混合物がサブマウント内に注入され、LEDを覆いかつ部分的にサブマウントを充填する。透明な材料が最初にカップ内に注入されたとき、変換粒子(conversion particle)は、一般に、材料全体に均一に混合され/懸濁される。透明材料は、次に変換材料領域を形成するために硬化され、アセンブリ全体は、透明なエポキシで包まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5959316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この製造方法の1つの欠点は、ある状況の下、変換粒子が硬化された状態で不均一に分散され得ることである。透明材料混合物がカップ内に注入された後、それが硬化される前に時間遅延が存在することがある。この遅延の間、変換粒子が、カップの底部に向かって、かつLEDを覆って沈殿(settle)することがあり、変換材料領域全体に粒子の異なる濃度が存在する。この沈殿問題は、硬化プロセスの間に脱水する透明材料において一層悪くなることがあり、変換粒子がより迅速に沈殿することを可能にする。沈殿された変換材料領域は、異なる角度から見たときに異なる色及び/又は強度として表れる光エミッタからの光を結果として生じ、なぜなら放出された光は、変換材料の異なる量に遭遇するからである。
【0008】
この製造方法の他の欠点は、シリンジからの光学的に透明な材料の注入は、光エミッタ間で変換粒子の濃度における変動を導入することがあり、光エミッタの一貫した再現性を低減することがある。変換粒子は、シリンジが満たされたときに透明材料混合物で注入された光エミッタが、後で形成された光エミッタより大きな濃度の変換粒子を有することがあるように、シリンジ内で沈殿することがある。カップ内にシリンジから注入される透明材料の量は、制御することも困難であり得、透明材料混合物の異なる量が、異なる光エミッタに堆積されることがある。これは、異なる光エミッタ内の異なる量の変換粒子の量を結果として生じることもある。硬化された材料の端部表面形状は、変わることもあり、異なるLEDからの光は、異なる量の透明材料及び粒子を通過する。これらの問題は、一貫した光放出特性を有する光エミッタを製造する安定性を低減する。
【0009】
従来の光エミッタ製造方法の他の欠点は、光エミッタが、必要な放出基準を満たさないときの材料の浪費である。2つに分離する実際的な方法は無く、光エミッタ全体は、光エミッタ又は変換材料領域が不完全であれば廃棄されなければならない。したがって、LEDが良好であるが、変換材料領域が不完全であれば、両者は使用できない。光エミッタ全体を廃棄することは、そうでなければ良好なLEDを過剰に浪費する結果となり、製造全体のコストに追加される。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、放出された光の少なくともある波長が、変換材料領域によって他の波長に変換される光エミッタ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、従来の光エミッタ及びその製造方法の欠点に対処する、改善されたLEDに基づく光エミッタ及びその製造方法を提供する。本発明による光エミッタの1つの実施形態は、第1のスペクトルの光を放出する光源を備えている。この光源とは別個に形成され、かつ変換粒子を有する変換材料領域が含まれている。少なくとある光源の光が変換材料領域を通過するように、変換材料領域は、光源に近接して配置されている。変換粒子は、変換材料領域を通過する少なくともある光源の光を吸収し、第2のスペクトルの光を放出する。
【0012】
本発明による光エミッタの他の実施形態は、第1のスペクトルの光を放出する光源と、この光源とは別個に形成された変換材料領域とを備えている。変換材料領域は、光源に近接して配置され、光源によって放出された少なくともある光を吸収し、第2のスペクトルの光で光を放出するように構成されている。光エミッタは、第1及び第2のスペクトルの光の組み合わせを均一な第3の光のスペクトルで放出する。
【0013】
本発明による光エミッタの製造方法のある実施形態は、光源を提供するステップと、変換粒子を含む別個の形成された変換材料領域を提供するステップとを含んでいる。変換材料領域は、次に光源に近接して結合される。異なる角度で光源から放出された少なくともある光が、変換材料領域を通りかつ実質的に同じ量の変換粒子を通って流れるように、変換材料領域が配置されている。
【0014】
本発明のこれら及び他のさらなる特徴及び利点は、添付した図面をともに行う以下の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る光エミッタの一実施形態を説明するための構成図で、LED及びサブマウントとは別個に製造された半球状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図2】図1に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図3】本発明に係る光エミッタの他の実施形態を説明するための構成図で、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図4】図3に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図5】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図6】図5に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図7】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図8】図7に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図9】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、燐光体を含む層及び散乱粒子を有する半球状のレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図10】図9に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図11】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、燐光体を含む層を有するほぼ半球状のレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図12】図11に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図13】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図である。
【図14】図13に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図15】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、穿孔され燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図である。
【図16】図15に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図17】本発明に係る光エミッタの製造方法の一実施形態を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図18】本発明に係る光エミッタの製造方法の他の実施形態を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2は、本発明に係る光エミッタの一実施形態を説明するための構成図で、図1は、発光ダイオード(LED)及びサブマウントとは別個に製造された半球状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図2は、図1に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【0017】
光エミッタ10は、角度範囲を通じて均一な色及び/又は強度で光を放出することが望ましいディスプレイシステムに含まれるなど、多くの異なる用途で使用される。このディスプレイシステムは、単一の光エミッタ又は光エミッタのアレイを含むことができるが、この実施形態では、説明を簡単にするために、1つの光エミッタを示している。
【0018】
光エミッタ10は、カップ形状のサブマウント14の表面11上に配置された光源12を有している。この光源12は、知られている結合方法を使用して表面11上に搭載されることができる。充填材料19は、この充填材料19がカップ内の容積を充填するように、表面11上に配置され、かつ光源12を囲んでいる。燐光体を含む半球状のレンズ16は、サブマウント14に隣接して配置されている。このレンズ16は、レンズ16及び粒子22が変換材料領域21を形成するように、全体に分散される変換粒子22を含んでいる。表面11は、光源12によって放出された光が、表面11から反射し、かつ光エミッタ10の光の放出に寄与するように、関心のある波長で反射性であり得る。変換粒子22は、図1及び図2、ならびに他の図面に示されるように、レンズ16中において点として示している。
【0019】
レンズ16の表面13は、充填材料19に結合され、かつサブマウント14に対して所定の位置に保持されている。したがって、光源12によって放出された光の一部が、表面13から表面15へレンズ16を通って流れるように、レンズ16が配置されている。しかしながら、充填材料19は任意であり、レンズ16は、サブマウント14の表面17に直接結合されることができる。充填材料19は、サブマウント14にレンズ16を結合することができるエポキシ又は他の充填材料を含むことができる。レンズ16及び充填材料19は、関心のある波長に対して透明な材料を含むことができる。変換粒子22は、燐光体、蛍光染料、又は光ルミネッセンス半導体材料などの1つ以上の蛍光又は燐光材料を含むことができる。
【0020】
図示されているように、光源12は、単一の発光ダイオード(LED)を備えている。しかしながら、この光源12は、とりわけ固体レーザ、レーザダイオード、有機発光ダイオードなどの他の光エミッタを含むことができる。他の波長が使用されることができるが、関心のある所望の波長は、一般に赤外から紫外までの範囲である。さらに光源12は、同じ又は異なる波長で光を放出する複数の光源を備えることができる。
【0021】
従来のLED及び他の光エミッタの動作及びその製造についての詳細は、よく知られている。従来のLEDは、多くの知られている方法によって多数の材料系から製造することができ、適切な方法は、化学気相堆積(CVD)によって製造される。他の適切な方法は、分子ビームエピタキシ(MBE)及び金属有機化学気相堆積(MOCVD)を含んでいる。
【0022】
LEDは、一般に、p型又はn型のいずれかでドープされた2つの反対にドープされた層間に挟まれた活性領域を含んでいる。LEDは、層の導電性が反転されても動作するが、LEDの頂部層は、通常p型であり、底部層は、通常n型である。p及びn型層は、それぞれ接点を有し、電気信号が、接点を横切って印加されることができ、電流が、光放出を作るために活性領域に注入される。
【0023】
サブマウント14は、光源12に結合される、光放出のために電力を提供するための電気回路などの電気回路(図示せず)を含むことができる。サブマウント14は、静電衝撃などの大きな電気信号から光源12を保護するための構成部品及び回路を含むこともできる。
【0024】
動作において、光源12は、所望の波長で光を放出し、この放出された光は、光源から直接に又は表面11からの反射によって間接的のいずれかでレンズ16を通って流れる。光源12によって放出された光の一部は、レンズ16を通って流れ、かつ変換粒子22によって吸収される。
【0025】
吸収放射の一部は、一般に吸収された波長とは異なる1つ以上の波長スペクトルで再放出され、この再放出された光は、一般に吸収された光より長い波長を有する。伝達された光と再伝達された光の組み合わせは、光エミッタ10が、元々の放出された光とは異なる光の波長を放出することを可能にする。例えば、光源12が、青色光を放出することができ、変換粒子22が、青色光の一部を吸収し、それを黄色光に変換することができる。光エミッタ10は、次にこのように青色光と黄色光の組み合わせの白色光を放出する。広い黄色スペクトルの放出の完全な範囲は、(Gd、Y)3(Al、Ga)5O12:Ce系に基づく燐光体を含む変換粒子を使用して可能である。他の例において、変換粒子22は、緑色光を再放出することができ、適切な緑色放出材料は、Sr:チオガレート燐光体(thiogallate phosphor)である。青色光を吸収して異なる波長の光を再放出する他の変換粒子が使用されることができる。紫外光を吸収して異なる波長で光を放出するなど、異なる波長の光を吸収して異なる波長の光を再放出する異なる変換粒子も使用することができる。
【0026】
本発明によれば、放出された光の色及び強度が、広い範囲の見る角度全体で均一であるように、レンズ16全体に均一に変換粒子22を分散することが望ましい。したがって、レンズ16は、サブマウント14及び光源12とは別個に製造される。したがって、サブマウント14内にレンズ16を形成する透明材料混合物を注入する代わりに、材料は、射出成形又は従来のシリンジ製造プロセスなどの知られている方法を用いて、レンズを大量製造するために使用することができる。サブマウント14及び光源12とは別個にレンズ16を製造することによって、従来の方法を使用して製造された光エミッタに関連する問題を解消する多数の利点が実現される。
【0027】
1つの利点は、製造プロセスは、従来の技術より安価であるレンズを提供できることである。プロセスが安価である1つの理由は、光源12が、レンズ16がサブマウント14に搭載される前に検査されることができので、光エミッタ10の形成が、生成される廃棄物を低減するためである。光エミッタ10が、標準の放出を有し又はその他の点で欠陥があるなら、光源12又はレンズ16に欠陥があるかどうかについての決定が行われる。欠陥のある構成部品は、次に廃棄されて新たな構成部品と置き換えられることができる。交換プロセスは、放出が標準以下であるなら光エミッタ全体が廃棄される、従来の製造プロセスに関連する浪費を回避する。
【0028】
他の利点は、光エミッタが、より柔軟な製造プロセスで形成することができることである。例えば、異なるレンズが、サブマウント14及び光源12の幾何形状に一致するように使用されることができる。また、特定の光エミッタ10によって放出される色は、異なる光の組み合わせを作るために異なるタイプの変換粒子を含むレンズを使用することによって、変更されることができる。レンズの変更は、単に異なるレンズの供給装置を置き換えることによって、組み立てラインで行われることができる。
【0029】
材料のより広い選択がレンズ16を形成するために使用することができるので、製造プロセスにおける柔軟性も得られる。例えば、透明な材料が、従来のシリンジ方法でLED上に直接注入されるので、比較的低い溶融/硬化温度を有する材料だけを使用することができる。より高い温度材料が使用されるなら、光源12又はサブマウント14が、透明材料混合物と接触されたときに損傷されることがある。
【0030】
レンズ16は、光源12及びサブマウント14とは別個に製造することができ、次に上述のようにサブマウント14に結合される。結果として、そうでなければ従来のシリンジプロセスにおいて損傷を引き起こす可能性がある材料が、今や使用することができ、1つのそのような材料はガラスである。ガラスなどの堅い材料内に変換粒子22を包むことによって、変換粒子22は、望ましくなく粒子22と反応してエミッタ10の使用可能な寿命を低減することがある周囲雰囲気における汚染物からより良好に保護される。レンズ16は、エポキシ又はプラスチックなどのガラス以外の多くの異なる材料で作ることができ、本発明は、本明細書で述べられた特定のレンズ材料に制限されるものではない。
【0031】
製造プロセスは、光が、従来の製造技術によって提供されるより均一な色、強度、及び温度で放出される利点も有する。より良好な均一性が達成される1つの理由は、異なる角度で光源12から放出された光は、類似するレンズ16の厚みを通過し、したがって、変換粒子が領域21全体に実質的に均一に分散されるので、実質的に類似する変換粒子22の量を通過するからである。例えば、図2中の矢印で示されているように、光経路1、2及び3は、実質的に同一のレンズ16の厚みを通って進み、実質的に同一の変換粒子の量を通って進む。
【0032】
変換粒子22の均一性は、レンズ16が別個に形成されるのでより良好に制御される。変換粒子22の沈殿は、混合物が型内に注入された後に材料混合物を迅速に硬化することによって、又は硬化の間に注入型を振動させることによって避けられることができる。
【0033】
他の利点は、変換材料領域21は、一般に光源12に接触せず、そのために、光源12の表面又は形状における変動は、光エミッタ10の性能の著しく影響を与えないことである。さらに、変換材料領域21が、光源12にあまり近すぎて配置されるなら、熱は、変換粒子22を損傷することがある。
【0034】
図3及び図4は、本発明に係る光エミッタの他の実施形態を説明するための構成図で、図3は、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図4は、図3に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【0035】
光エミッタ30は、図1及び図2に図示される構成部品に類似する構成部品を含んでいる。エミッタ10に関連して上述した説明は、光エミッタ30及び他の実施形態に等しく適用されるとともに、類似する構成部品については、同様の符号を付してある。
【0036】
光エミッタ30は、サブマウント14に搭載された光源12を備えている。充填材料19は、光源12を囲むために表面11上に配置されるが、説明を簡単にするために、他の実施形態においてもその説明を省略している。光エミッタ30は、表面17に搭載されたレンズ36を備えている。このレンズ36は、変換粒子22を有する内側層38と外側層40とを有し、内側層38及び外側層40は、好ましくは全体に均一な厚みを有する。レンズ36は、ドーム形状であり表面17上に配置され、光源12から放出された光の一部は、表面33から表面35へレンズ36を通って進む。
【0037】
変換粒子22は、変換材料領域21全体に分散されている。しかしながら、この変換材料領域21は、レンズ36の一部だけを構成している。特に、変換粒子22は、内部層38全体に分散され、かつ好ましくは外側層40内には分散されない。したがって、内側層38は、変換粒子22で混合された透明材料を含むことができ、外側層40は、透明材料を含むことができる。この構成において、光源12から異なる角度で放出される光は、レンズ36のほぼ同一の厚み、及び同一量の変換粒子22を通過する(すなわち、光経路1、2及び3は等しい)。
【0038】
ドームの形状にレンズ36を形成することによって、内側距離42(図4を参照)は、光源12と、内側層38ならびに変換粒子22との間に維持されることができ、距離42は、特定の光源12及びサブマウント14に関して最適化される。距離42及び厚み44に関する最適値は、光源12及びサブマウント14のタイプ及び寸法に応じる。距離42は、変換粒子22を損傷することがある過剰な熱を生成することなく、光源12がより高い光の強度を提供することを可能にするように選択される。熱は、変換材料領域21が光源12にあまり近く配置されるなら、変換粒子22を損傷することがある。
【0039】
距離42は、光エミッタ30の光効率に影響を与えることがある。光源12からの指向性の光が、内側層38内を通過して光源12に向かって戻って再方向付けられるとき、指向性の光の一部は、変換粒子22によって吸収され、かつ全方向に再放出されることができる。距離42が小さすぎるなら、又は変換粒子22が光源12上に直接配置されるなら、ある再放出された光は、光源12内に戻るように方向付けられて光源12によって吸収される。この光の吸収は、光エミッタ30の全体の光放出効率を低減することがある。なぜなら、それは、光源12の温度を増大することがあるからである。距離42が大きすぎると、厚み44は、変換粒子22からの光が、内部全反射によってレンズ36に捉えられることがある点に低減されることがあり、同様に光エミッタ30の全体効率を低減する。
【0040】
図5及び図6は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図5は、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図6は、図5に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ50は平坦なサブマウント54を備えている。
【0041】
この実施形態において、ドーム形状のレンズ56は、光源12を覆って配置されて、サブマウント54の表面51に搭載され、空間内に配置された光源12は、レンズ56の内側表面53とサブマウント54の間に提供される(図6を参照)。光源12及び内側表面53は、変換材料領域22からの再放出された光の光源12による吸収が最小化されるように離間されている。レンズ56は、レンズ56全体に分散された変換粒子22を有し、光源12から放出された光がレンズ56を通過するとき、その一部は、変換粒子22によって吸収されて、異なる波長で再放出される。
【0042】
図7及び図8は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図7は、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図8は、図7に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【0043】
この実施形態において、光エミッタ70は、サブマウント54の表面51に搭載されたドーム形状のレンズ76を備えている。このレンズ76は、変換粒子22で混合された透明材料を有する内側層78と、好ましくは任意の変換粒子なしに透明材料を有する外側層80とを有している。光は、光源12からレンズ76を通って、表面73から表面75へ進む。
【0044】
図3及び図4に関連して上述したように、内側距離82は、変換粒子22から光源12への再放出された光の吸収を最小化するために、光源12と内側層78との間で選択される。距離82及び厚み84は、光エミッタ50の光の効率を最適化するように選択されることができ、光の効率は、再放出された光の吸収を最小化し、かつ上述したように、内部全反射を低減することによって最適化される。
【0045】
図9及び図10は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図9は、燐光体を含む層及び散乱粒子を有する半球状のレンズを有する光エミッタの断面図で、図10は、図9に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ90は、サブマウント14の表面11に搭載された光源12を有する。
【0046】
この実施形態において、半球状のレンズ96は、表面17に搭載され、レンズ96は、変換粒子22を有する底部層98を有している。しかしながら、この底部層98全体に分散される変換粒子22に加えて、底部層98は、ある光を再方向付けするための散乱粒子100も含んでいる。
【0047】
底部層98における変換粒子22によって吸収され、かつ再放出された光の一部は、矢印99によって示されているように(図10を参照)、底部層98に沿って方向付けられている。この再放出された光は、表面95から離れて方向付けられることができる。したがって、散乱粒子100が底部層98内に含まれる1つの理由は、光エミッタ90の光放出効率が増大されるように、光を表面95に向かって再方向付けることである。
【0048】
変換粒子22の変換及び散乱効率は、光の波長及び変換粒子のサイズに応じることができる。変換材料領域21は、一般に光を効率的に散乱しない。なぜならそれら粒子のサイズが低下すると、粒子22の変換効率は低下するからである。結果として、直径がほぼ1ミクロンより小さい粒子で高い変換効率を得ることは困難である。光を効率的に散乱するために、散乱粒子100の直径は、散乱される光の波長のほぼ1/2にするべきである。空気中で、これは、直径がほぼ0.2ミクロンから0.25ミクロンである粒子100を結果として生じる。この直径の範囲は、自由空間より大きな屈折率を有するエポキシ又は他の材料など異なる媒体における粒子に関してより小さい。結果として、燐光体粒子は、一般に光を効果的に散乱するには大きすぎる。
【0049】
図11及び図12は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図11は、燐光体を含む層を有するほぼ半球状のレンズを有する光エミッタの断面図で、図12は、図11に示した別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。このエミッタ110は、サブマウント114の表面111に搭載された光源12を備えている。
【0050】
この実施形態において、レンズ116は、サブマウント114の表面117に搭載され、レンズ116は、変換粒子22を有する底部層118を有している。光は、光源12からレンズ116を通って表面103から表面105へ進む。
【0051】
サブマウント114は、変換粒子22から放出された光を表面105に向けて再方向付けるように向けられた表面101及び表面115を含んでいる。したがって、底部層118は、変換粒子22から再放出された光を散乱するために、上述したような散乱粒子100に類似する散乱粒子を含む必要はない。しかしながら、散乱粒子100は、底部層118に含ませることができるが、説明を簡単にするために省略してある。
【0052】
表面101及び115は、底部層118に沿って向けられる光は、表面101及び/又は表面117を離れて反射し、底部層118を通って表面105に進む光源12から放出される光と組み合わされる。表面101及び115から反射される光は、光エミッタ110によって放出される光に寄与することができる。したがって、光エミッタ110の光放出効率は、サブマウント114内に表面101及び115を含むことによって増大される。
【0053】
図13及び図14は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図13は、燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図で、図14は、図13に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ130は、成形されることができるLED152を有している。
【0054】
この実施形態において、光エミッタ130は、上述した実施形態におけるようなサブマウントを有する。その代わりに、光エミッタ130は、LED152の底部上に配置された接点134及び135を備えている。したがって、LED152は、LED152の照明のために電力を提供するために、カップでバイアス源に電気的に接続された接点134及び135を有する金属カップに搭載される。
【0055】
レンズを有する代わりに、光エミッタ130は、LED152と同じ基本形状を有し、好ましくは一般に一貫する厚みを有する燐光体で充填されたキャップ136を備えている。このキャップ136は、上述したレンズと同じ材料で作られ、全体に分散された変換粒子を含むことができる。キャップ136は、上述したレンズと同じ方法によって、1つの方法は射出成形である方法によってLED152とは別個に製造される。キャップ136は、エポキシ又は他の類似する材料でLED152を覆って所定の場所に搭載される。
【0056】
動作において、異なる角度でLED152から放出される光は、キャップ136の類似する厚みを通過し、したがって、光は、変換粒子22の類似する量と遭遇し、光エミッタ130が、異なる角度で見られるときに本質的に同じ色及び強度の光を提供することを可能にする。
【0057】
図15及び図16は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図15は、穿孔され燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図で、図16は、図15に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ150は、LED152及び燐光体で充填されたキャップ154を備えている。
【0058】
しかしながら、この実施形態において、2つの底部接点を含む代わりに、LED152は、底部接点156及び頂部接点158を備えている。キャップ154は、頂部接点158よりわずかに大きい頂部孔160を有し、キャップ154がLED152に結合されたとき、頂部接点158が、頂部孔160内に配置され及び頂部孔160を介してアクセス可能である。孔160は、燐光体キャップに沿ういずれの場所にも配置可能であるが、説明を簡単にするために頂部上で中心合わせされた場合について示している。
【0059】
頂部接点158の配置は、電気信号が、それぞれ底部接点156及び頂部接点158を通じてLED152に提供される。図16に示されるようなLED150に関して、電気信号は、接点158に結合されたワイヤである導体162を介して、頂部接点158に提供される。電気信号は、導体(図示せず)を介して又は金属カップを介して底部接点156に提供される。
【0060】
<製造方法>
図17は、本発明に係る光エミッタの製造方法の一実施形態を説明するためのフローチャートを示す図で、光エミッタの構成部品が、別個に製造されかつその後ともに結合される光エミッタの製造方法170を示している。
【0061】
まず、ステップ172において、LEDは、MOCVD反応装置における製造など任意の知られている方法を使用して製造される。次に、ステップ174において、サブマウントが製造され、次に、ステップ176において、LEDは、知られている結合方法を使用してサブマウントの底部に結合される。次に、ステップ178において、変換材料領域を有するレンズは、射出成形などの知られている製造方法を使用して製造される。最後に、ステップ180において、レンズは、好ましい方法で、LEDを覆ってサブマウントに結合され、レンズとサブマウント/LED間の空間をエポキシ又は他の充填材料で充填し、それを所定の場所に保持するために、レンズの内側表面を接触する。
【0062】
代わりの中間ステップ(図示せず)において、光エミッタは、サブマウント上の所定の場所のレンズとともに検査されることができるが、光エミッタが、サブマウントに結合される前である。光エミッタの放出が標準的であれば、LED又はレンズに欠陥があるかどうかの決定を行うことができる。欠陥部品は、次に廃棄され、かつ新規な部品と取り替えられることができる。結合ステップ180は、光エミッタが効率的に動作するまで、検査プロセスが繰り返された後で行われる。
【0063】
図18は、本発明に係る光エミッタの製造方法の他の実施形態を説明するためのフローチャートを示す図で、本発明に係る光エミッタの製造方法190を示している。
【0064】
まず、ステップ192において、LEDは、MOCVD反応装置における製造など任意の知られている方法を使用して製造され、LEDは、任意に成形される。次に、ステップ194において、接点が、スパッタリングなどの知られている方法を使用してLED上に形成される。次に、ステップ196において、燐光体で充填されたカップが、射出成形など知られている方法を使用して製造される。次に、ステップ198において、カップは、LED光の一部がカップを通過するように、LEDに搭載される。カップは、エポキシ又は他の結合材料を使用して、LEDに搭載される。この製造方法において、接点は、LEDの底部表面上に堆積され、カップは、LEDの頂部及び側部表面を覆う。他の製造方法において、接点は、LEDの底部表面上に堆積され、他の接点は、LEDの頂部表面上に堆積される。カップは、その頂部表面で孔が開けられ、それがLEDに結合されたとき、頂部接点が、孔内に収容されかつ孔を介してアクセス可能である。
【0065】
製造方法は、カップがLEDに結合される前に、光エミッタを検査する中間ステップを含むこともできる。カップ又はLEDのいずれかに欠陥があると見出されたなら、欠陥部品は、廃棄され、かつ異なる部品と取り替えられることができる。検査は、光エミッタが、カップがLEDに結合される前に、ある範囲の見る角度にわたって有意な色及び強度で光を放出するまで繰り返される。
【0066】
本発明は、所定の好ましいその構造を参照してかなり詳細に記載されたが、他の変形が可能である。上述した製造方法におけるステップの順番は、変更することができる。本発明による異なる製造方法は、より多い又はより少ないステップを使用することができ、また異なるステップを使用することができる。上述したレンズ及びカップは、多くの異なる形状及び層をとることができ、多くの異なるタイプの変換粒子を含むことができる。レンズ及びカップは、特定の応用に対して適合するように形成され、放出された光を集束するように形成することができる。記載された各レンズ及びカップは、全体に又は異なる場所に散乱粒子を含むこともできる。
【0067】
したがって、本明細書に記載された本発明の実施形態は、例示であり、多数の修正、変形及び再構成が、実質的に等価の結果を達成するために容易に想定されることができ、これら全ては、特許請求の技術的範囲に規定される本発明の精神及び範囲内に包含されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エミッタ及びその製造方法に関し、より詳細には、放出された光の少なくともある波長が、変換材料領域によって他の波長に変換される光エミッタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年2月26日に出願された米国特許仮出願第60/451067号の恩恵を請求する。
【0003】
発光ダイオード(LED)は、電気エネルギーを光エネルギーに変換し、かつ一般に、2つの反対にドープされた層間に挟まれた半導体材料の活性層を備える固体デバイスの重要なクラスである。バイアスが、ドープされた層を横切って印加されると、正孔及び電子が活性層に注入され、活性層でそれらは光を生成するために再結合される。光は、一般に活性層及びLEDの表面から全ての方向に放出される。
【0004】
発光に使用される従来のLEDの1つの欠点は、それらLEDが、それらLEDの活性層から白色光を生成できないことである。単一の青色発光LEDに白色光を放出させる1つの方法は、そのLEDを黄色燐光体、ポリマー、又は染料で囲むことである(Nichia Corp.白色LED、部品番号NSPW300BS、NSPW312BSなどを参照されたい。Haydenへの(特許文献1)「Multiple Encapsulation of Phosphor−LED Devices」も参照されたい)。囲む材料は、光の少なくともある波長を「ダウンコンバート(downconvert)」し、その色を変化させる。例えば、青色放出LEDが黄色燐光体で囲まれるなら、ある青色光は、変化されずに燐光体を通過し、一方、残りの光は黄色にダウンコンバートされる。したがって、LEDは、白色光を形成するために組み合わせされる青色光及び黄色光の両方を放出する。
【0005】
変換材料領域(conversion material region)によって囲まれるLEDを製造するための1つの従来の方法は、LEDにバイアスを印加するために必要な電気接続部を有する、カップ形状のサブマウント内にLEDを搭載することである。シリンジ機構(syringe mechanism)が、光学的に透明で硬化可能な材料(例えば、エポキシ、シリコン、ゾルゲルなど)で充填され、一般に燐光体粒子を含む変換材料が材料中に混合される。次に、シリンジ混合物がサブマウント内に注入され、LEDを覆いかつ部分的にサブマウントを充填する。透明な材料が最初にカップ内に注入されたとき、変換粒子(conversion particle)は、一般に、材料全体に均一に混合され/懸濁される。透明材料は、次に変換材料領域を形成するために硬化され、アセンブリ全体は、透明なエポキシで包まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5959316号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この製造方法の1つの欠点は、ある状況の下、変換粒子が硬化された状態で不均一に分散され得ることである。透明材料混合物がカップ内に注入された後、それが硬化される前に時間遅延が存在することがある。この遅延の間、変換粒子が、カップの底部に向かって、かつLEDを覆って沈殿(settle)することがあり、変換材料領域全体に粒子の異なる濃度が存在する。この沈殿問題は、硬化プロセスの間に脱水する透明材料において一層悪くなることがあり、変換粒子がより迅速に沈殿することを可能にする。沈殿された変換材料領域は、異なる角度から見たときに異なる色及び/又は強度として表れる光エミッタからの光を結果として生じ、なぜなら放出された光は、変換材料の異なる量に遭遇するからである。
【0008】
この製造方法の他の欠点は、シリンジからの光学的に透明な材料の注入は、光エミッタ間で変換粒子の濃度における変動を導入することがあり、光エミッタの一貫した再現性を低減することがある。変換粒子は、シリンジが満たされたときに透明材料混合物で注入された光エミッタが、後で形成された光エミッタより大きな濃度の変換粒子を有することがあるように、シリンジ内で沈殿することがある。カップ内にシリンジから注入される透明材料の量は、制御することも困難であり得、透明材料混合物の異なる量が、異なる光エミッタに堆積されることがある。これは、異なる光エミッタ内の異なる量の変換粒子の量を結果として生じることもある。硬化された材料の端部表面形状は、変わることもあり、異なるLEDからの光は、異なる量の透明材料及び粒子を通過する。これらの問題は、一貫した光放出特性を有する光エミッタを製造する安定性を低減する。
【0009】
従来の光エミッタ製造方法の他の欠点は、光エミッタが、必要な放出基準を満たさないときの材料の浪費である。2つに分離する実際的な方法は無く、光エミッタ全体は、光エミッタ又は変換材料領域が不完全であれば廃棄されなければならない。したがって、LEDが良好であるが、変換材料領域が不完全であれば、両者は使用できない。光エミッタ全体を廃棄することは、そうでなければ良好なLEDを過剰に浪費する結果となり、製造全体のコストに追加される。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、放出された光の少なくともある波長が、変換材料領域によって他の波長に変換される光エミッタ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、従来の光エミッタ及びその製造方法の欠点に対処する、改善されたLEDに基づく光エミッタ及びその製造方法を提供する。本発明による光エミッタの1つの実施形態は、第1のスペクトルの光を放出する光源を備えている。この光源とは別個に形成され、かつ変換粒子を有する変換材料領域が含まれている。少なくとある光源の光が変換材料領域を通過するように、変換材料領域は、光源に近接して配置されている。変換粒子は、変換材料領域を通過する少なくともある光源の光を吸収し、第2のスペクトルの光を放出する。
【0012】
本発明による光エミッタの他の実施形態は、第1のスペクトルの光を放出する光源と、この光源とは別個に形成された変換材料領域とを備えている。変換材料領域は、光源に近接して配置され、光源によって放出された少なくともある光を吸収し、第2のスペクトルの光で光を放出するように構成されている。光エミッタは、第1及び第2のスペクトルの光の組み合わせを均一な第3の光のスペクトルで放出する。
【0013】
本発明による光エミッタの製造方法のある実施形態は、光源を提供するステップと、変換粒子を含む別個の形成された変換材料領域を提供するステップとを含んでいる。変換材料領域は、次に光源に近接して結合される。異なる角度で光源から放出された少なくともある光が、変換材料領域を通りかつ実質的に同じ量の変換粒子を通って流れるように、変換材料領域が配置されている。
【0014】
本発明のこれら及び他のさらなる特徴及び利点は、添付した図面をともに行う以下の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る光エミッタの一実施形態を説明するための構成図で、LED及びサブマウントとは別個に製造された半球状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図2】図1に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図3】本発明に係る光エミッタの他の実施形態を説明するための構成図で、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図4】図3に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図5】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図6】図5に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図7】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図8】図7に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図9】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、燐光体を含む層及び散乱粒子を有する半球状のレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図10】図9に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図11】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、燐光体を含む層を有するほぼ半球状のレンズを有する光エミッタの断面図である。
【図12】図11に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図13】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図である。
【図14】図13に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図15】本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、穿孔され燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図である。
【図16】図15に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【図17】本発明に係る光エミッタの製造方法の一実施形態を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図18】本発明に係る光エミッタの製造方法の他の実施形態を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1及び図2は、本発明に係る光エミッタの一実施形態を説明するための構成図で、図1は、発光ダイオード(LED)及びサブマウントとは別個に製造された半球状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図2は、図1に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【0017】
光エミッタ10は、角度範囲を通じて均一な色及び/又は強度で光を放出することが望ましいディスプレイシステムに含まれるなど、多くの異なる用途で使用される。このディスプレイシステムは、単一の光エミッタ又は光エミッタのアレイを含むことができるが、この実施形態では、説明を簡単にするために、1つの光エミッタを示している。
【0018】
光エミッタ10は、カップ形状のサブマウント14の表面11上に配置された光源12を有している。この光源12は、知られている結合方法を使用して表面11上に搭載されることができる。充填材料19は、この充填材料19がカップ内の容積を充填するように、表面11上に配置され、かつ光源12を囲んでいる。燐光体を含む半球状のレンズ16は、サブマウント14に隣接して配置されている。このレンズ16は、レンズ16及び粒子22が変換材料領域21を形成するように、全体に分散される変換粒子22を含んでいる。表面11は、光源12によって放出された光が、表面11から反射し、かつ光エミッタ10の光の放出に寄与するように、関心のある波長で反射性であり得る。変換粒子22は、図1及び図2、ならびに他の図面に示されるように、レンズ16中において点として示している。
【0019】
レンズ16の表面13は、充填材料19に結合され、かつサブマウント14に対して所定の位置に保持されている。したがって、光源12によって放出された光の一部が、表面13から表面15へレンズ16を通って流れるように、レンズ16が配置されている。しかしながら、充填材料19は任意であり、レンズ16は、サブマウント14の表面17に直接結合されることができる。充填材料19は、サブマウント14にレンズ16を結合することができるエポキシ又は他の充填材料を含むことができる。レンズ16及び充填材料19は、関心のある波長に対して透明な材料を含むことができる。変換粒子22は、燐光体、蛍光染料、又は光ルミネッセンス半導体材料などの1つ以上の蛍光又は燐光材料を含むことができる。
【0020】
図示されているように、光源12は、単一の発光ダイオード(LED)を備えている。しかしながら、この光源12は、とりわけ固体レーザ、レーザダイオード、有機発光ダイオードなどの他の光エミッタを含むことができる。他の波長が使用されることができるが、関心のある所望の波長は、一般に赤外から紫外までの範囲である。さらに光源12は、同じ又は異なる波長で光を放出する複数の光源を備えることができる。
【0021】
従来のLED及び他の光エミッタの動作及びその製造についての詳細は、よく知られている。従来のLEDは、多くの知られている方法によって多数の材料系から製造することができ、適切な方法は、化学気相堆積(CVD)によって製造される。他の適切な方法は、分子ビームエピタキシ(MBE)及び金属有機化学気相堆積(MOCVD)を含んでいる。
【0022】
LEDは、一般に、p型又はn型のいずれかでドープされた2つの反対にドープされた層間に挟まれた活性領域を含んでいる。LEDは、層の導電性が反転されても動作するが、LEDの頂部層は、通常p型であり、底部層は、通常n型である。p及びn型層は、それぞれ接点を有し、電気信号が、接点を横切って印加されることができ、電流が、光放出を作るために活性領域に注入される。
【0023】
サブマウント14は、光源12に結合される、光放出のために電力を提供するための電気回路などの電気回路(図示せず)を含むことができる。サブマウント14は、静電衝撃などの大きな電気信号から光源12を保護するための構成部品及び回路を含むこともできる。
【0024】
動作において、光源12は、所望の波長で光を放出し、この放出された光は、光源から直接に又は表面11からの反射によって間接的のいずれかでレンズ16を通って流れる。光源12によって放出された光の一部は、レンズ16を通って流れ、かつ変換粒子22によって吸収される。
【0025】
吸収放射の一部は、一般に吸収された波長とは異なる1つ以上の波長スペクトルで再放出され、この再放出された光は、一般に吸収された光より長い波長を有する。伝達された光と再伝達された光の組み合わせは、光エミッタ10が、元々の放出された光とは異なる光の波長を放出することを可能にする。例えば、光源12が、青色光を放出することができ、変換粒子22が、青色光の一部を吸収し、それを黄色光に変換することができる。光エミッタ10は、次にこのように青色光と黄色光の組み合わせの白色光を放出する。広い黄色スペクトルの放出の完全な範囲は、(Gd、Y)3(Al、Ga)5O12:Ce系に基づく燐光体を含む変換粒子を使用して可能である。他の例において、変換粒子22は、緑色光を再放出することができ、適切な緑色放出材料は、Sr:チオガレート燐光体(thiogallate phosphor)である。青色光を吸収して異なる波長の光を再放出する他の変換粒子が使用されることができる。紫外光を吸収して異なる波長で光を放出するなど、異なる波長の光を吸収して異なる波長の光を再放出する異なる変換粒子も使用することができる。
【0026】
本発明によれば、放出された光の色及び強度が、広い範囲の見る角度全体で均一であるように、レンズ16全体に均一に変換粒子22を分散することが望ましい。したがって、レンズ16は、サブマウント14及び光源12とは別個に製造される。したがって、サブマウント14内にレンズ16を形成する透明材料混合物を注入する代わりに、材料は、射出成形又は従来のシリンジ製造プロセスなどの知られている方法を用いて、レンズを大量製造するために使用することができる。サブマウント14及び光源12とは別個にレンズ16を製造することによって、従来の方法を使用して製造された光エミッタに関連する問題を解消する多数の利点が実現される。
【0027】
1つの利点は、製造プロセスは、従来の技術より安価であるレンズを提供できることである。プロセスが安価である1つの理由は、光源12が、レンズ16がサブマウント14に搭載される前に検査されることができので、光エミッタ10の形成が、生成される廃棄物を低減するためである。光エミッタ10が、標準の放出を有し又はその他の点で欠陥があるなら、光源12又はレンズ16に欠陥があるかどうかについての決定が行われる。欠陥のある構成部品は、次に廃棄されて新たな構成部品と置き換えられることができる。交換プロセスは、放出が標準以下であるなら光エミッタ全体が廃棄される、従来の製造プロセスに関連する浪費を回避する。
【0028】
他の利点は、光エミッタが、より柔軟な製造プロセスで形成することができることである。例えば、異なるレンズが、サブマウント14及び光源12の幾何形状に一致するように使用されることができる。また、特定の光エミッタ10によって放出される色は、異なる光の組み合わせを作るために異なるタイプの変換粒子を含むレンズを使用することによって、変更されることができる。レンズの変更は、単に異なるレンズの供給装置を置き換えることによって、組み立てラインで行われることができる。
【0029】
材料のより広い選択がレンズ16を形成するために使用することができるので、製造プロセスにおける柔軟性も得られる。例えば、透明な材料が、従来のシリンジ方法でLED上に直接注入されるので、比較的低い溶融/硬化温度を有する材料だけを使用することができる。より高い温度材料が使用されるなら、光源12又はサブマウント14が、透明材料混合物と接触されたときに損傷されることがある。
【0030】
レンズ16は、光源12及びサブマウント14とは別個に製造することができ、次に上述のようにサブマウント14に結合される。結果として、そうでなければ従来のシリンジプロセスにおいて損傷を引き起こす可能性がある材料が、今や使用することができ、1つのそのような材料はガラスである。ガラスなどの堅い材料内に変換粒子22を包むことによって、変換粒子22は、望ましくなく粒子22と反応してエミッタ10の使用可能な寿命を低減することがある周囲雰囲気における汚染物からより良好に保護される。レンズ16は、エポキシ又はプラスチックなどのガラス以外の多くの異なる材料で作ることができ、本発明は、本明細書で述べられた特定のレンズ材料に制限されるものではない。
【0031】
製造プロセスは、光が、従来の製造技術によって提供されるより均一な色、強度、及び温度で放出される利点も有する。より良好な均一性が達成される1つの理由は、異なる角度で光源12から放出された光は、類似するレンズ16の厚みを通過し、したがって、変換粒子が領域21全体に実質的に均一に分散されるので、実質的に類似する変換粒子22の量を通過するからである。例えば、図2中の矢印で示されているように、光経路1、2及び3は、実質的に同一のレンズ16の厚みを通って進み、実質的に同一の変換粒子の量を通って進む。
【0032】
変換粒子22の均一性は、レンズ16が別個に形成されるのでより良好に制御される。変換粒子22の沈殿は、混合物が型内に注入された後に材料混合物を迅速に硬化することによって、又は硬化の間に注入型を振動させることによって避けられることができる。
【0033】
他の利点は、変換材料領域21は、一般に光源12に接触せず、そのために、光源12の表面又は形状における変動は、光エミッタ10の性能の著しく影響を与えないことである。さらに、変換材料領域21が、光源12にあまり近すぎて配置されるなら、熱は、変換粒子22を損傷することがある。
【0034】
図3及び図4は、本発明に係る光エミッタの他の実施形態を説明するための構成図で、図3は、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図4は、図3に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【0035】
光エミッタ30は、図1及び図2に図示される構成部品に類似する構成部品を含んでいる。エミッタ10に関連して上述した説明は、光エミッタ30及び他の実施形態に等しく適用されるとともに、類似する構成部品については、同様の符号を付してある。
【0036】
光エミッタ30は、サブマウント14に搭載された光源12を備えている。充填材料19は、光源12を囲むために表面11上に配置されるが、説明を簡単にするために、他の実施形態においてもその説明を省略している。光エミッタ30は、表面17に搭載されたレンズ36を備えている。このレンズ36は、変換粒子22を有する内側層38と外側層40とを有し、内側層38及び外側層40は、好ましくは全体に均一な厚みを有する。レンズ36は、ドーム形状であり表面17上に配置され、光源12から放出された光の一部は、表面33から表面35へレンズ36を通って進む。
【0037】
変換粒子22は、変換材料領域21全体に分散されている。しかしながら、この変換材料領域21は、レンズ36の一部だけを構成している。特に、変換粒子22は、内部層38全体に分散され、かつ好ましくは外側層40内には分散されない。したがって、内側層38は、変換粒子22で混合された透明材料を含むことができ、外側層40は、透明材料を含むことができる。この構成において、光源12から異なる角度で放出される光は、レンズ36のほぼ同一の厚み、及び同一量の変換粒子22を通過する(すなわち、光経路1、2及び3は等しい)。
【0038】
ドームの形状にレンズ36を形成することによって、内側距離42(図4を参照)は、光源12と、内側層38ならびに変換粒子22との間に維持されることができ、距離42は、特定の光源12及びサブマウント14に関して最適化される。距離42及び厚み44に関する最適値は、光源12及びサブマウント14のタイプ及び寸法に応じる。距離42は、変換粒子22を損傷することがある過剰な熱を生成することなく、光源12がより高い光の強度を提供することを可能にするように選択される。熱は、変換材料領域21が光源12にあまり近く配置されるなら、変換粒子22を損傷することがある。
【0039】
距離42は、光エミッタ30の光効率に影響を与えることがある。光源12からの指向性の光が、内側層38内を通過して光源12に向かって戻って再方向付けられるとき、指向性の光の一部は、変換粒子22によって吸収され、かつ全方向に再放出されることができる。距離42が小さすぎるなら、又は変換粒子22が光源12上に直接配置されるなら、ある再放出された光は、光源12内に戻るように方向付けられて光源12によって吸収される。この光の吸収は、光エミッタ30の全体の光放出効率を低減することがある。なぜなら、それは、光源12の温度を増大することがあるからである。距離42が大きすぎると、厚み44は、変換粒子22からの光が、内部全反射によってレンズ36に捉えられることがある点に低減されることがあり、同様に光エミッタ30の全体効率を低減する。
【0040】
図5及び図6は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図5は、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図6は、図5に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ50は平坦なサブマウント54を備えている。
【0041】
この実施形態において、ドーム形状のレンズ56は、光源12を覆って配置されて、サブマウント54の表面51に搭載され、空間内に配置された光源12は、レンズ56の内側表面53とサブマウント54の間に提供される(図6を参照)。光源12及び内側表面53は、変換材料領域22からの再放出された光の光源12による吸収が最小化されるように離間されている。レンズ56は、レンズ56全体に分散された変換粒子22を有し、光源12から放出された光がレンズ56を通過するとき、その一部は、変換粒子22によって吸収されて、異なる波長で再放出される。
【0042】
図7及び図8は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図7は、ドーム形状の燐光体を含むレンズを有する光エミッタの断面図で、図8は、図7に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。
【0043】
この実施形態において、光エミッタ70は、サブマウント54の表面51に搭載されたドーム形状のレンズ76を備えている。このレンズ76は、変換粒子22で混合された透明材料を有する内側層78と、好ましくは任意の変換粒子なしに透明材料を有する外側層80とを有している。光は、光源12からレンズ76を通って、表面73から表面75へ進む。
【0044】
図3及び図4に関連して上述したように、内側距離82は、変換粒子22から光源12への再放出された光の吸収を最小化するために、光源12と内側層78との間で選択される。距離82及び厚み84は、光エミッタ50の光の効率を最適化するように選択されることができ、光の効率は、再放出された光の吸収を最小化し、かつ上述したように、内部全反射を低減することによって最適化される。
【0045】
図9及び図10は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図9は、燐光体を含む層及び散乱粒子を有する半球状のレンズを有する光エミッタの断面図で、図10は、図9に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ90は、サブマウント14の表面11に搭載された光源12を有する。
【0046】
この実施形態において、半球状のレンズ96は、表面17に搭載され、レンズ96は、変換粒子22を有する底部層98を有している。しかしながら、この底部層98全体に分散される変換粒子22に加えて、底部層98は、ある光を再方向付けするための散乱粒子100も含んでいる。
【0047】
底部層98における変換粒子22によって吸収され、かつ再放出された光の一部は、矢印99によって示されているように(図10を参照)、底部層98に沿って方向付けられている。この再放出された光は、表面95から離れて方向付けられることができる。したがって、散乱粒子100が底部層98内に含まれる1つの理由は、光エミッタ90の光放出効率が増大されるように、光を表面95に向かって再方向付けることである。
【0048】
変換粒子22の変換及び散乱効率は、光の波長及び変換粒子のサイズに応じることができる。変換材料領域21は、一般に光を効率的に散乱しない。なぜならそれら粒子のサイズが低下すると、粒子22の変換効率は低下するからである。結果として、直径がほぼ1ミクロンより小さい粒子で高い変換効率を得ることは困難である。光を効率的に散乱するために、散乱粒子100の直径は、散乱される光の波長のほぼ1/2にするべきである。空気中で、これは、直径がほぼ0.2ミクロンから0.25ミクロンである粒子100を結果として生じる。この直径の範囲は、自由空間より大きな屈折率を有するエポキシ又は他の材料など異なる媒体における粒子に関してより小さい。結果として、燐光体粒子は、一般に光を効果的に散乱するには大きすぎる。
【0049】
図11及び図12は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図11は、燐光体を含む層を有するほぼ半球状のレンズを有する光エミッタの断面図で、図12は、図11に示した別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。このエミッタ110は、サブマウント114の表面111に搭載された光源12を備えている。
【0050】
この実施形態において、レンズ116は、サブマウント114の表面117に搭載され、レンズ116は、変換粒子22を有する底部層118を有している。光は、光源12からレンズ116を通って表面103から表面105へ進む。
【0051】
サブマウント114は、変換粒子22から放出された光を表面105に向けて再方向付けるように向けられた表面101及び表面115を含んでいる。したがって、底部層118は、変換粒子22から再放出された光を散乱するために、上述したような散乱粒子100に類似する散乱粒子を含む必要はない。しかしながら、散乱粒子100は、底部層118に含ませることができるが、説明を簡単にするために省略してある。
【0052】
表面101及び115は、底部層118に沿って向けられる光は、表面101及び/又は表面117を離れて反射し、底部層118を通って表面105に進む光源12から放出される光と組み合わされる。表面101及び115から反射される光は、光エミッタ110によって放出される光に寄与することができる。したがって、光エミッタ110の光放出効率は、サブマウント114内に表面101及び115を含むことによって増大される。
【0053】
図13及び図14は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図13は、燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図で、図14は、図13に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ130は、成形されることができるLED152を有している。
【0054】
この実施形態において、光エミッタ130は、上述した実施形態におけるようなサブマウントを有する。その代わりに、光エミッタ130は、LED152の底部上に配置された接点134及び135を備えている。したがって、LED152は、LED152の照明のために電力を提供するために、カップでバイアス源に電気的に接続された接点134及び135を有する金属カップに搭載される。
【0055】
レンズを有する代わりに、光エミッタ130は、LED152と同じ基本形状を有し、好ましくは一般に一貫する厚みを有する燐光体で充填されたキャップ136を備えている。このキャップ136は、上述したレンズと同じ材料で作られ、全体に分散された変換粒子を含むことができる。キャップ136は、上述したレンズと同じ方法によって、1つの方法は射出成形である方法によってLED152とは別個に製造される。キャップ136は、エポキシ又は他の類似する材料でLED152を覆って所定の場所に搭載される。
【0056】
動作において、異なる角度でLED152から放出される光は、キャップ136の類似する厚みを通過し、したがって、光は、変換粒子22の類似する量と遭遇し、光エミッタ130が、異なる角度で見られるときに本質的に同じ色及び強度の光を提供することを可能にする。
【0057】
図15及び図16は、本発明に係る光エミッタのさらに他の実施形態を説明するための構成図で、図15は、穿孔され燐光体が充填されたキャップを有する光エミッタの断面図で、図16は、図15に示された別個の部材がともに結合された光エミッタの断面図である。この光エミッタ150は、LED152及び燐光体で充填されたキャップ154を備えている。
【0058】
しかしながら、この実施形態において、2つの底部接点を含む代わりに、LED152は、底部接点156及び頂部接点158を備えている。キャップ154は、頂部接点158よりわずかに大きい頂部孔160を有し、キャップ154がLED152に結合されたとき、頂部接点158が、頂部孔160内に配置され及び頂部孔160を介してアクセス可能である。孔160は、燐光体キャップに沿ういずれの場所にも配置可能であるが、説明を簡単にするために頂部上で中心合わせされた場合について示している。
【0059】
頂部接点158の配置は、電気信号が、それぞれ底部接点156及び頂部接点158を通じてLED152に提供される。図16に示されるようなLED150に関して、電気信号は、接点158に結合されたワイヤである導体162を介して、頂部接点158に提供される。電気信号は、導体(図示せず)を介して又は金属カップを介して底部接点156に提供される。
【0060】
<製造方法>
図17は、本発明に係る光エミッタの製造方法の一実施形態を説明するためのフローチャートを示す図で、光エミッタの構成部品が、別個に製造されかつその後ともに結合される光エミッタの製造方法170を示している。
【0061】
まず、ステップ172において、LEDは、MOCVD反応装置における製造など任意の知られている方法を使用して製造される。次に、ステップ174において、サブマウントが製造され、次に、ステップ176において、LEDは、知られている結合方法を使用してサブマウントの底部に結合される。次に、ステップ178において、変換材料領域を有するレンズは、射出成形などの知られている製造方法を使用して製造される。最後に、ステップ180において、レンズは、好ましい方法で、LEDを覆ってサブマウントに結合され、レンズとサブマウント/LED間の空間をエポキシ又は他の充填材料で充填し、それを所定の場所に保持するために、レンズの内側表面を接触する。
【0062】
代わりの中間ステップ(図示せず)において、光エミッタは、サブマウント上の所定の場所のレンズとともに検査されることができるが、光エミッタが、サブマウントに結合される前である。光エミッタの放出が標準的であれば、LED又はレンズに欠陥があるかどうかの決定を行うことができる。欠陥部品は、次に廃棄され、かつ新規な部品と取り替えられることができる。結合ステップ180は、光エミッタが効率的に動作するまで、検査プロセスが繰り返された後で行われる。
【0063】
図18は、本発明に係る光エミッタの製造方法の他の実施形態を説明するためのフローチャートを示す図で、本発明に係る光エミッタの製造方法190を示している。
【0064】
まず、ステップ192において、LEDは、MOCVD反応装置における製造など任意の知られている方法を使用して製造され、LEDは、任意に成形される。次に、ステップ194において、接点が、スパッタリングなどの知られている方法を使用してLED上に形成される。次に、ステップ196において、燐光体で充填されたカップが、射出成形など知られている方法を使用して製造される。次に、ステップ198において、カップは、LED光の一部がカップを通過するように、LEDに搭載される。カップは、エポキシ又は他の結合材料を使用して、LEDに搭載される。この製造方法において、接点は、LEDの底部表面上に堆積され、カップは、LEDの頂部及び側部表面を覆う。他の製造方法において、接点は、LEDの底部表面上に堆積され、他の接点は、LEDの頂部表面上に堆積される。カップは、その頂部表面で孔が開けられ、それがLEDに結合されたとき、頂部接点が、孔内に収容されかつ孔を介してアクセス可能である。
【0065】
製造方法は、カップがLEDに結合される前に、光エミッタを検査する中間ステップを含むこともできる。カップ又はLEDのいずれかに欠陥があると見出されたなら、欠陥部品は、廃棄され、かつ異なる部品と取り替えられることができる。検査は、光エミッタが、カップがLEDに結合される前に、ある範囲の見る角度にわたって有意な色及び強度で光を放出するまで繰り返される。
【0066】
本発明は、所定の好ましいその構造を参照してかなり詳細に記載されたが、他の変形が可能である。上述した製造方法におけるステップの順番は、変更することができる。本発明による異なる製造方法は、より多い又はより少ないステップを使用することができ、また異なるステップを使用することができる。上述したレンズ及びカップは、多くの異なる形状及び層をとることができ、多くの異なるタイプの変換粒子を含むことができる。レンズ及びカップは、特定の応用に対して適合するように形成され、放出された光を集束するように形成することができる。記載された各レンズ及びカップは、全体に又は異なる場所に散乱粒子を含むこともできる。
【0067】
したがって、本明細書に記載された本発明の実施形態は、例示であり、多数の修正、変形及び再構成が、実質的に等価の結果を達成するために容易に想定されることができ、これら全ては、特許請求の技術的範囲に規定される本発明の精神及び範囲内に包含されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスペクトルの光を放出する光源と、
前記光源とは別個に形成され、かつ、半球状の変換材料領域全体に均一に分散された変換粒子を含む前記半球状の変換材料領域と、を備え、前記変換材料領域は、少なくとも一部の前記光源の光が前記変換材料領域を通過するように、前記光源に近接して配置され、前記変換材料領域は、通過する前記光が前記変換材料領域の実質的に類似する厚みを通って進むように成形され、前記変換粒子は、前記変換材料領域を通過する少なくとも一部の前記光源の光を吸収し、かつ第2のスペクトルの光を放出し、
前記第1のスペクトルの光及び第2のスペクトルの光が、前記変換材料領域内で組み合わされ、前記エミッタが、実質的に均一な色分散及び強度で前記第1及び第2のスペクトルの組み合わせを放出すること、を特徴とするエミッタ。
【請求項2】
前記光源は、前記変換材料領域を通って延在する複数の光経路に沿って前記第1のスペクトルの光を放出し、各光経路は、実質的に等しい量の変換粒子を通って延在していること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項3】
前記変換材料領域は、ガラスレンズからなること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項4】
前記変換材料領域は、前記光源とは別個に形成され、かつ前記光源に近接して結合されていること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項5】
前記変換材料領域は、燐光体で充填されたキャップからなること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項6】
前記変換材料領域は、半球状に成形され、前記光源は、前記変換材料領域の底部に向かって、かつ前記変換材料領域を通って光を放出するように構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項7】
前記変換材料領域は、前記変換材料領域と前記光源との間に空間が存在するように、前記光源に対して配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の光のエミッタ。
【請求項8】
光源を提供するステップと、
半球状の変換材料領域全体に均一に分散された変換粒子を含む別個に形成された前記半球状の変換材料領域を提供するステップと、
前記光源に近接して前記変換材料領域を結合するステップと、を含み、前記変換材料領域は、異なる角度で前記光源から放出された少なくとも一部の光が、前記変換材料領域を通って進むように配置され、
前記変換材料領域は、前記光源から放出された全ての光が前記変換材料領域の類似する厚みを通過するように配置されていること、を特徴とするエミッタの製造方法。
【請求項9】
前記変換粒子は、前記エミッタが、実質的に均一な色分散、及び/又は、実質的に均一な強度を有する光を放出するように、前記変換材料領域全体に分散されていること、を特徴とする請求項8に記載のエミッタの製造方法。
【請求項10】
前記半球状の変換材料領域を提供するステップは、前記変換材料領域を含むレンズを提供するステップを含むこと、を特徴とする請求項8に記載のエミッタの製造方法。
【請求項1】
第1のスペクトルの光を放出する光源と、
前記光源とは別個に形成され、かつ、半球状の変換材料領域全体に均一に分散された変換粒子を含む前記半球状の変換材料領域と、を備え、前記変換材料領域は、少なくとも一部の前記光源の光が前記変換材料領域を通過するように、前記光源に近接して配置され、前記変換材料領域は、通過する前記光が前記変換材料領域の実質的に類似する厚みを通って進むように成形され、前記変換粒子は、前記変換材料領域を通過する少なくとも一部の前記光源の光を吸収し、かつ第2のスペクトルの光を放出し、
前記第1のスペクトルの光及び第2のスペクトルの光が、前記変換材料領域内で組み合わされ、前記エミッタが、実質的に均一な色分散及び強度で前記第1及び第2のスペクトルの組み合わせを放出すること、を特徴とするエミッタ。
【請求項2】
前記光源は、前記変換材料領域を通って延在する複数の光経路に沿って前記第1のスペクトルの光を放出し、各光経路は、実質的に等しい量の変換粒子を通って延在していること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項3】
前記変換材料領域は、ガラスレンズからなること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項4】
前記変換材料領域は、前記光源とは別個に形成され、かつ前記光源に近接して結合されていること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項5】
前記変換材料領域は、燐光体で充填されたキャップからなること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項6】
前記変換材料領域は、半球状に成形され、前記光源は、前記変換材料領域の底部に向かって、かつ前記変換材料領域を通って光を放出するように構成されていること、を特徴とする請求項1に記載のエミッタ。
【請求項7】
前記変換材料領域は、前記変換材料領域と前記光源との間に空間が存在するように、前記光源に対して配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の光のエミッタ。
【請求項8】
光源を提供するステップと、
半球状の変換材料領域全体に均一に分散された変換粒子を含む別個に形成された前記半球状の変換材料領域を提供するステップと、
前記光源に近接して前記変換材料領域を結合するステップと、を含み、前記変換材料領域は、異なる角度で前記光源から放出された少なくとも一部の光が、前記変換材料領域を通って進むように配置され、
前記変換材料領域は、前記光源から放出された全ての光が前記変換材料領域の類似する厚みを通過するように配置されていること、を特徴とするエミッタの製造方法。
【請求項9】
前記変換粒子は、前記エミッタが、実質的に均一な色分散、及び/又は、実質的に均一な強度を有する光を放出するように、前記変換材料領域全体に分散されていること、を特徴とする請求項8に記載のエミッタの製造方法。
【請求項10】
前記半球状の変換材料領域を提供するステップは、前記変換材料領域を含むレンズを提供するステップを含むこと、を特徴とする請求項8に記載のエミッタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−93595(P2013−93595A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−274904(P2012−274904)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2010−254633(P2010−254633)の分割
【原出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274904(P2012−274904)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2010−254633(P2010−254633)の分割
【原出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]