説明

光センサ、ガンマ線検出器、及び陽電子放出コンピュータ断層撮影装置

【課題】光をデジタル信号によって処理することが可能な光センサ、ガンマ線検出器、及び陽電子放出コンピュータ断層撮影装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る光センサは、光電子増倍管と、アナログデジタル変換器と、一時的でない記憶部とを備える。光電子増倍管は、光を受信し、受信した光に対応するアナログ信号を出力する。アナログデジタル変換器は、アナログ信号を受信し、受信したアナログ信号からデジタル信号を生成する。記憶部は、光電子増倍管の動作中に計算されるパラメータを格納する。光電子増倍管、アナログデジタル変換器、及び記憶部は、単一の筐体に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、光センサ、ガンマ線検出器、及び陽電子放出コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のガンマ線検出器(gamma ray detector)は、透明なライトガイド(light guide)に結合されたシンチレータアレイ(array of scintillator crystals)を含む。透明なライトガイドは、透明なライトガイドの上に配列された光電子増倍管(以下、「PMT(photomultiplier tubes)」とも称する)アレイの表面にシンチレーション光を分布させる。シンチレータアレイ内におけるガンマ線の相互作用の位置は、一般に、近接するもの同士でグループ化されたいくつかのPMTを覆うガンマ線に対応する光信号の拡散によって、コード化される。また、ガンマ線の相互作用の位置は、近接するPMT各々からの相対的な信号強度を測定して統計学的手法を適用し、あるいは、重心計算を実行することによって、算出される。近接に対応するPMTからの信号を、通常、アナログ領域で合計した後、合計された信号の立ち上がり(leading edge)に基づいて、タイミングを測定する。
【0003】
タイムオブフライト(Time−of−Flight)情報をサポートするのに十分なPMTの速さは、シンチレーション光に対する応答(response)の超高速分析を実行する能力に基づいている。一般的に、図1A〜図1Cに示すように、応答信号の立ち上がりは、タイミング情報のために使われる一方、全信号の積分は、イベントのエネルギーを確立するのに使用される。
【0004】
通常、現実のシステムにおいてPMTを使用することは、以下の2つの主要因のために困難である。(1)イベントのエネルギー及びタイミングの抽出、及び(2)イベントの出現の高変動レートの取扱い。
【0005】
エネルギー及びタイミングの抽出は、通常、ノイズが多い背景で実行されるので、簡単ではない。この種の信号のトリガ処理及びフィルタ処理には、専用のアナログ電子機器回路と出費のかさむ開発努力とが必要である。この仕事は、PMTには、固有の特徴(ゲイン、平均伝播時間(average transit time)など)があるという事実によって更に難しくなる。この固有の特徴には、処理回路が複数の状況に適応できることが必要である。
【0006】
カウントレートの変動性に関して、大部分の照射検出過程は、平均して、イベント間の時間は、1秒間に収集されるカウント数の逆数であると規定するポアソンの法則によって非常に正確に記述される確率過程になる。しかし、実際には、その時間は、指数分布によって変動する。実際には、毎ミリ秒1カウントを受け入れるシステムを構成して、プロセスが、毎秒1000カウントを発生させると見込んだ場合、システムは、カウントの約74%を捕獲するだけである。
【0007】
したがって、従来の検出器は、多数のパラメータを調節するために、高度に調整可能なフロントエンドシステムを含む。ある場合には、例えば、ゲイン調整のために、ダイナミックレンジは、調整レンジに対して大きくなりすぎる場合があり、部品の選別は、往々にして必要になる。例えば、同程度のゲインを有するPMTを1つの共通のサブシステムに接続して、この特定のシステムが取り扱わなければならないレンジを下げる場合がある。更に、カウントレートに関する問題に対処するためには、失われるイベントがより少なくなるように、より高い帯域幅のシステムを構成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7723694号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、光をデジタル信号によって処理することが可能な光センサ、ガンマ線検出器、及び陽電子放出コンピュータ断層撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る光センサは、光電子増倍管と、アナログデジタル変換器と、一時的でない記憶部とを備える。前記光電子増倍管は、光を受信し、受信した光に対応するアナログ信号を出力する。前記アナログデジタル変換器は、前記アナログ信号を受信し、受信したアナログ信号からデジタル信号を生成する。前記記憶部は、前記光電子増倍管の動作中に計算されるパラメータを格納する。前記光電子増倍管、前記アナログデジタル変換器、及び前記記憶部は、単一の筐体に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、イベントの時間及びエネルギーが得られるPMT応答信号を示した図である。
【図1B】図1Bは、イベントの時間及びエネルギーが得られるPMT応答信号を示した図である。
【図1C】図1Cは、イベントの時間及びエネルギーが得られるPMT応答信号を示した図である。
【図2A】図2Aは、PMT出力信号を処理するための従来の処理回路を示した図である。
【図2B】図2Bは、PMT出力信号を処理するための従来の処理回路を示した図である。
【図3】図3は、一実施形態におけるシステム構造を示した図である。
【図4】図4は、一実施形態におけるデジタルPMTの構成要素を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る光センサ、ガンマ線検出器、及び陽電子放出コンピュータ断層撮影装置を、図面を参照しながら説明する。なお、本出願は、TMRU−097(“Detection of Leading Edge of PMT Output”)」、代理人整理番号第367707US号、特願2012−97084号)、及び出願TMRU−098(“Timing Pick-Off of Undersampled Pulses”)」、代理人整理番号第367699US号)に関するものであり、それらの内容は、参照することにより本明細書中に援用される。
【0013】
一実施形態では、デジタル光センサ(以下、「光センサ」、「デジタルPMT」とも称する)は、電圧配分回路を含み、受信した光に応じてアナログ信号を出力するように構成されたPMT、アナログ信号を受信してデジタル信号を生成するアナログデジタル変換器(以下、「ADC(Analog-to-Digital Converter)、及びPMTの製造パラメータ(manufacturing parameter)と、PMTの動作中にパラメータ計算部によって計算されるPMTの運用パラメータ(operational parameter)とを格納する、一時的でない(non-transitory)の記憶部を含む。ここで、PMT、ADC、及び記憶部は、単一の筐体に組み込まれるものである。
【0014】
更に、一実施形態では、デジタル光センサは、時間の関数としてデジタル信号を連続的に格納するためのバッファを更に含む。
【0015】
その上、別の一実施形態では、デジタル光センサは、所定のトリガ条件が満たされるか否かを判断し、所定のトリガ条件が満たされたとき、内部のトリガ信号を出力するために、デジタル信号の値をモニターするように構成されたトリガ検出部を更に含む。
【0016】
更に、別の実施形態では、デジタル光センサは、内部トリガ信号と、デジタル光センサの外側からの外部トリガ信号とに基づいて、トリガ出力信号を生成するように構成されたトリガ制御部と、トリガ出力信号を出力するための出力端子とを含む。
【0017】
別の実施形態では、デジタル光センサは、トリガ制御部からのトリガ出力信号を受信して、トリガ制御部からトリガ出力信号を受信したとき、一時的でない記憶部に格納されたレンジパラメータと、トリガ出力信号に関連するトリガ時間とに基づいて、バッファに格納されているデジタル信号のうちのバッファから出力されるべき一部を決定するように構成された間引き部を更に含む。間引き部は、トリガ時間、所定の時間周期、及び所定の遅延に基づいて決定された所定の時間ウィンドウに対応するように、バッファに格納されているデジタル信号のうちのバッファから出力されるべき一部を決定するように更に構成されてもよい。ここで、一時的でない記憶部に格納されたレンジパラメータは、所定の時間周期と所定の遅延とを含むものである。
【0018】
別の実施形態では、デジタル光センサは、所定のトリガ条件を定義するトリガパラメータを格納する一時的でない記憶部を更に含む。ここで、トリガパラメータは、ユーザによる外部設定によって設定されるものである。
【0019】
別の実施形態では、一時的でない記憶部に格納される製造パラメータは、ユーザによる外部入力によって設定される。一時的でない記憶部は、PMTのシリアル番号、PMTの製造日、PMTの固有ゲイン、PMTの伝播時間、及びPMTの青感度のうちの少なくとも1つを含むPMTの製造パラメータ、dGain/dV(電圧変化によるゲイン変動)、及びdTransitTime/dV(電圧変化による伝播時間変動)を格納する。
【0020】
別の実施形態では、デジタル光センサは、デジタル信号を出力するための第1出力端子と、PMTから直接アナログ信号を出力するための第2出力端子とを更に含む。
【0021】
更に、別の実施形態では、ADCは、1GHz以上で出力アナログ信号をサンプルするように構成される。別の実施形態では、ADCは、少なくとも8ビットの精度で出力アナログ信号をサンプルするように構成される。
【0022】
別の実施形態では、デジタル光センサは、ADCに入力される増幅されたアナログ信号を生成するために、アナログ信号を増幅するように構成された可変増幅器を更に含む。
【0023】
別の実施形態では、デジタル光センサは、内部トリガ信号の時間に対して所定の時間ウィンドウにわたるデジタル信号の積分を数値的に計算するように構成されたエネルギー計算回路を更に含む。
【0024】
別の実施形態では、デジタル光センサは、外部クロック信号を受信するように構成された入力端子を更に含む。ここで、ADCのサンプル時間は、外部クロック信号と同期するものである。
【0025】
別の実施形態では、デジタル光センサは、デジタル信号のうち、出力されるべく決定された部分を示す情報を間引き部から受信し、デジタル信号のうち、出力されるべく決定された部分を示す情報に基づいて、バッファに格納されているデジタル信号のサンプルを検索し、及びデジタル信号のうちの検索されたサンプルを出力するように構成された通信制御部を更に含む。
【0026】
別の実施形態では、通信制御装置は、バッファに格納されている検索されたサンプル又は検索されたサンプルの対応するフィルタ処理後のバージョンを出力するように更に構成される。
【0027】
更に、一実施形態では、ガンマ線検出器は、(1)電圧配分回路を含み、受信した光に応じてアナログ信号を出力するように構成されているPMT、アナログ信号を受信して、デジタル信号を生成する対応するADC、及びデジタル信号を出力するための出力端子をそれぞれが含む複数のデジタル光センサと、(2)複数の光センサのうちの各光センサに対応する出力デジタル信号を受信するように構成されたデジタル処理部とを含む。
【0028】
本明細書に記載の実施形態は、PMTアナログ出力信号のデジタル化を含むために、従来のアナログPMTを修正することに関するものである。次に、デジタル出力信号を、信号の変形又は劣化を被ることなく、処理し、フィルタに通し、一時的に遅延させ、又は格納できる。
【0029】
図2A及び図2Bは、対応する処理ステップを重畳した状態の従来の陽電子放出コンピュータ断層撮影システム(以下、「PET(Positron Emission Tomography)システム」、「PET装置」とも称する)を示した図である。12台のPMTを図2Aに示した。最初に、PMT出力信号の各々は、可変ゲイン増幅器によって事前増幅される。可変ゲイン増幅器のそれぞれは、ゲイン及び遅延を調整可能である。図2A中の(1)及び(2)を参照。事前増幅された信号は、次に、以下の2セットに分割される。図2B中の(3)を参照。イベントのタイミングを決定するためのセット、及びイベントのエネルギーを決定するためのセットである。第1のセットの信号は、異なるトリガ区域(trigger zone)、この場合、5トリガ区域に対応する一連のアナログ加算器(7)に入力される前に更に分割される。図2B中の(4)を参照。加算された信号は、次に、トリガ回路(8)に通される。トリガ回路は、トリガ信号をデジタル処理回路に出力する。一方、第2のセットの信号は、整形及びフィルタ処理(5)され、次に、4チャンネルADC(6)によりデジタル信号に変換されて、デジタル処理回路に通される。デジタル処理回路は、アルゴリズムを使って、イベントの位置、タイミング、及び エネルギーを決定する。
【0030】
図3に示すように、以下でより詳細に記述するデジタルPMT100のそれぞれは、内蔵型ADCを有し、各デジタルPMTからのデジタル出力イベントデータは、直接デジタル処理部300に供給される。各PMTのADCの適切なダイナミックレンジによって、アナログゲイン調整は、不要である。その上、微細な固有のPMT遅延(伝播時間)は、変換に含まれることになる。更に、フィルタ処理は、デジタル処理部300内のデジタル領域で実行されることになる。それに加えて、信号の分割処理は、信号がすでにデジタルであるので、問題にならない。
【0031】
更に、図3に示すように、内部トリガ信号は、1台のデジタルPMT内で生成され、1台又は複数台の近隣のPMT、例えば、トリガ区域を形成しているPMTに送られる。以下で更に詳細に検討するように、各デジタルPMTは、所定の又は可調のトリガ条件に基づいて内部トリガ信号を生成することができる。内部で生成されたトリガ信号は、次に、1台又は複数台の他のデジタルPMTに通される。このように、各デジタルPMTは、別のデジタルPMTによって生成された外部トリガ信号を受信するために、少なくとも1台の入力端子を有する。1台のPMTによって生成されたトリガ信号は、デジタルPMTを複数のトリガ区域に分類できるように、複数のデジタルPMTに通すことができる。
【0032】
図3に示したシステムでは、デジタル処理部300は、デジタルPMTから受信した時間サンプルに基づいて、イベントのエネルギー、タイミング、及び位置を決定するために、アルゴリズムを実行する。あるいは、以下で検討するように、各デジタルPMTはまた、デジタル信号に関連するエネルギー値も出力できる。ここで、エネルギー値は、トリガ信号に基づく所定の時間ウィンドウにわたるデジタル信号の数値積分を表すものである。
【0033】
図4は、デジタルPMT100の実施形態を示す図である。図4に示すように、光電陰極、陽極、及び多段のダイノードを含む「アナログ」PMT1は、高電圧信号と低電力供給信号とを受信するための入力端子を有する。入力電力信号は、事前設定された割合でダイノードに配電される。PMTは、接地信号と、アナログPMTが受信した光に応じて時間変動するアナログ出力信号とを出力する。PMT1からのアナログ信号出力は、PMTの固有ゲインに基づくことになるプリアンプ(PRE-AMP)のための入力段増幅器5に入力される。増幅器のゲインは、PMTに固有のメーカーパラメータを格納している記憶部31に格納された値に基づいて制御されることになる。その上、PMT1からのアナログ信号出力は、デジタルPMTの出力として通過されることになる。アナログ信号を直接出力信号として両方とも通過させて、以下に記載するように内部的に処理もする場合、電気バッファ(不図示)を使用できる。
【0034】
増幅された信号は、ADC10へ出力される。ADC10は、必要に応じて、デジタルフィルタ部11によりフィルタ処理されるデジタル信号を生成する。他の実施形態では、複数の、より遅いADCが、ADC10の代わりに使用される。その場合、より遅いADCの各出力は、得られるデジタル信号を形成するために、結合される。この複数のADC構造は、TMRU−097(特願2012−97084号)でより詳細に記載されており、これは、参照することにより、本明細書中に援用される。
【0035】
図4に示すように、マルチプレクサ18は、ADC10の直接出力、又はデジタル的にフィルタ処理された信号のどちらを内部トリガ検出部20に通すかを、ユーザ選定の外部制御信号によって、ユーザが選択できるように構成されている。一方、ユーザ選定の制御信号は、ローカル記憶部(不図示)に格納されたパラメータであってもよい。
【0036】
内部トリガ検出部20は、マルチプレクサ18から出力されたフィルタ処理済又はフィルタ未処理のデジタル信号出力を分析して、入力デジタル信号がトリガ条件を満たしたか否かを決定できる。例えば、入力デジタル信号の値が、所定の期間、パルス(検出器イベント)の指標である所定の閾値を上回った場合、内部トリガ信号が生成され、生成された内部トリガ信号は、内部トリガ検出部20によってトリガチェーン制御部45へ出力される。
【0037】
なお、内部トリガ検出部20は、1つ又は複数のトリガ条件が満たされたか否かに基づいて、内部トリガ信号を生成する。トリガ条件は、ユーザによるユーザパラメータ設定に基づいている。例えば、トリガ条件は、デジタル信号が、ある所定の閾値を上回る所定の数より多い連続的なサンプルを有し、所定の数と所定の閾値とが両方ともユーザ設定パラメータであってもよい。デジタルPMT内の分離された記憶部(不図示)に格納できるユーザ設定トリガパラメータは、内部トリガ検出部20内に内部格納してもよい、又はデジタルPMTに直接入力してもよい。
【0038】
なお、他の実施形態では、フィルタ部11と内部トリガ検出部20とを単一部に併合して、両方とも、フィルタに通して、内部トリガ検出を実行してもよい。
【0039】
内部トリガ検出部20が実行するトリガ分析の結果に関係なく、フィルタ未処理及びフィルタ処理済のデジタル信号をADC10とデジタルフィルタ11のそれぞれからマルチプレクサ38へ出力して、2つの信号のうちの1つを、ユーザ選択の設定に基づいて時間バッファ40に通す。このように、マルチプレクサ38によって、ユーザは、いつでも、直射的なADC出力信号、又はデジタルフィルタ処理済データのいずれをバッファするかを決定できる。
【0040】
内部トリガ検出部20が生成した内部トリガ信号は、トリガチェーン制御部45へ出力される。トリガチェーン制御部45はまた、外部の「トリガイン」信号も受信し、1つ又は複数の他のデジタルPMTによってトリガされる。例えば、所定のデジタルPMTは、その右側にある1つのPMTから、又はその左側にある別のPMTから外部トリガ信号を受信できる。内外のトリガ信号とユーザ設定パラメータとに基づいて、トリガチェーン制御部45は、イベントが発生したか否かを判断する。トリガチェーン制御部45は、イベントが発生したと判断したとき、「トリガアウト」信号を出力し、且つダンプ制御/間引き部47にダンプ制御信号を送ってダンプ制御を始動させる。一実施形態では、デジタルPMTが、外部トリガ信号を受信したとき、内部トリガ検出部は、若干のプログラム可能な所定の期間、別のトリガ信号を生成しないように構成される。
【0041】
ダンプ制御/間引き部47は、ユーザ設定パラメータに基づいて、出力される必要がある、又は関連情報を含む信号パルスの関連部分を識別して、非関連部分を除去し、破棄し、又は放棄する。パルスの関連部分は、パルスが検出される前に得られたポイント(points obtained prior to the discovery of the pulse)と、パルスが検出された後のデータ(又は時間)の事前設定量(a preset amount of data(or time))とを含む。関連していると識別されるデータは、バッファ40から取得されて、出力段50に送られる。なお、関連していると判断されたデータのサブセットは、トリガが検出される前のADC点を含んでもよい(及び通常、含むであろう)。例えば、出力信号の分解能は、信号の様々な部分、例えば、立ち上がり、立ち下がり(the trailing pulse)、及びプレトリガウィンドウで異なるものである。
【0042】
ダンプ制御/間引き部47は、信号のどの部分を出力段50に伝えるべきか、及び、信号のどの部分を放棄し、破棄し、又は除去すべきかを示す情報をトリガチェーン制御部45から受信する。ダンプ制御/間引き部47は、トリガチェーン制御部45から受信したトリガ情報に基づいて、どのデータを放棄すべきかを決定するために、多くの異なる技術を使用する。例えば、データ出力の量を制限することは、複数の間引き要因(例えば、データ削減なしを示す1であってもよい)のうちの1つを用いて、1つ又は複数の時間ウィンドウを画定することによって達成できる。そのような決定は、重要であるが、それは、非常に高いサンプリングレートでは、データが全て出力された場合、トランシーバーは、超高速でデータを処理しなければならないからである。限定されたデータ量しか(ウィンドウや間引きを使用して)転送する必要がないなら、より遅い、低電力トランシーバーが使える。
【0043】
例えば、一実施形態では、トリガチェーン制御部45が出力するトリガ信号とダンプ制御信号とに応じて、ダンプ制御/間引き部47は、時間レンジ[t0−D,t0+R]内のサンプルを出力するべきであると決定する。但し、t0は、トリガ条件が得られた時間を示すタイムスタンプである。タイムスタンプは、例えば、以下で検討するように、時間基準15によるクロック信号のサンプルを計数することにより計算され、トリガ信号に含まれることができる。したがって、この例では、ダンプ制御/間引き部47は、t0より前のDps〜t0より後のRpsの時間範囲にあるサンプルを、時間バッファ40から出力されるべく選択すべきであると決定する。パラメータR及びDは、ユーザにより設定され(及びユーザにより変更可能であり)、内部記憶部(不図示)に格納されるものである。別の実施形態では、ダンプ制御/間引き部47は、時間バッファ40に格納されたサンプルからいくつかのサンプルNbを選択する。ここで、パラメータNbは、ユーザ設定パラメータである。
【0044】
図4に示すように、ダンプ制御/間引き部47は、時間基準15からカウント値を受信する。時間基準15は、マスタークロック入力に基づいてマスタークロックサイクルを計数するカウンターである。時間基準15は、幾多のデジタルPMT内の各時間基準を同期させることができるTsynch入力によって「ゼロにする」ことができる。
【0045】
一旦、ダンプ制御/間引き部47が、データ、例えば、データレンジを出力段50に通すべきである、及びデータを放棄、間引き等すべきであると決定したならば、ダンプ制御/間引き部47は、保存されたデジタルデータを出力段50に通し、出力段50はそのデータを出力として準備する。出力段50は、選択されたサンプルをデジタル処理回路300に送る。フィルタ処理済又はフィルタ未処理のサンプルは、そのサンプルに関連するタイムスタンプとともに出力されることになる。出力段50は、パケットフレーマ部、送信TX(Transmit)バッファ、低電圧差動信号処理LVDS(Low Voltage Differential Signaling)出力部、及び位相同期回路部を含む。これらは、関連出願TMRU−097(代理人整理番号第367707US号)により詳細に記載されている。
【0046】
上述のように、一時的でない記憶部31は、「アナログ」PMTに関連する幾多のPMT製造パラメータ、例えば、固有ゲインG(Intrinsic Gain)、平均伝播時間TT(Transit Time)、及び感度S(Sensitivity)を格納する。記憶部31はまた、シリアル番号及び製造日付を含むPMTに関連する他の情報も格納できる。一般的に、記憶部31に格納される値は、一旦、メーカーによって入力されるが、一実施形態では、それらはまた、いつでも外部設定できる。しかし、留意点としては、ゲイン及び伝播時間は、一般に、高電圧HV(High Voltage)電力設定の機能であり、同様に格納されるものであるという点である。有効情報の更なる例としては、dGain/dV(電圧変動によるゲイン変動)及びdTransitTime/dV(電圧変動による伝播時間変動)が含まれる。
【0047】
図4に付加的に示したデジタルPMTは、PMTに関連するPMTの耐用年数にわたり運用パラメータを格納する記憶部32を含む。運用パラメータは、PMTの耐用年数にわたる使用に関するものであり、デジタルPMTによって、例えば、以下に記述する耐用年数パラメータ計算部60によって内部計算される。例えば、内部計算が可能である有効な運用パラメータは、(1)生成されたパルス数(the number of pulses)、パルス振幅(pulse amplitude)、及びPMT固有ゲイン(intrinsic gain)に関連し、且つPMTの「有効耐用年数」と直接相関関係にある、PMTにたまる(PTMから取り出された)累積電荷(cumulative charge drawn)、(2)アフターパルス比(after-pulse rate)。このアフターパルス比は、チューブ(PMT)の真空破壊、アフターパルス対(真の)パルスの比、アフターパルスの振幅(固有ゲインに比例している)を示す、(3)最大使用バイアス電圧(maximum operating bias voltage)、(4)最大瞬間持ち出し電流(maximum instantaneous current drawn)、及び(6)検出されたトリガ数(number of triggers detected)を含む。なお、記憶部32に格納されるパラメータは、デジタル処理部300によるデジタル信号の使用にかかわりなく、連続的に更新される。
【0048】
上述のように、耐用年数パラメータ計算部60は、幾多のデータ、例えば、ADC10、内部トリガ検出部20、及びバッファ40から得られるデータ、並びに、記憶部31に格納されたPMT製造パラメータに基づいて、PMTの実利用に関連する幾多のパラメータを計算する。例えば、耐用年数パラメータ計算部60は、PMTによる総持ち出し電流及びPMTによる最大瞬間持ち出し電流を計算する。更に、内部トリガ検出部20が、内部トリガ信号を生成したとき、耐用年数パラメータ計算部60は、図1Cに示したように、デジタル信号を数値的に積分して計算される、イベントに関連するエネルギーを計算する。特に、耐用年数パラメータ計算部60は、内部トリガの数と、検出されたイベント全ての累積電荷の両方の経過を追う。
【0049】
図4に示すように、耐用年数パラメータ計算部60が計算した運用パラメータは、記憶部32に格納され、ユーザによる出力及び読出しが可能である。
【0050】
なお、更に、記憶部31及び32は、分離された記憶部であってもよいし、あるいは、単一の記憶部の分離部分であってもよい。各記憶部31及び32は、一時的でない記憶部である。デジタルPMT100は、更なる記憶部(不図示)を使用して、デジタルフィルタ11、マルチプレクサ18及び38、内部検出部20、トリガチェーン制御部45、及びダンプ制御/間引き部47で使用されるユーザ設定パラメータを格納してもよい。
【0051】
図4に示すように、デジタルPMTは、いくつかの入力及び出力を有することができる。デジタルPMTへの入力は、上述のように、PMTへの電力入力、クロック入力、Tsynch信号、トリガイン信号、PMTのメーカーパラメータ、及びデジタルPMTの幾多の下位構成要素の動作に影響を及ぼす幾多のユーザ設定パラメータを含む。例えば、ユーザ設定パラメータは、デジタルフィルタ11、内部トリガ検出部20、トリガチェーン制御部45、ダンプ制御/間引き部47、及びマルチプレクサ18及び38の動作に影響を及ぼすものである。その上、上記のように、ユーザ設定パラメータの一部又は全部は、デジタルPMTの内部記憶部に格納できる。
【0052】
一定の入力を記述してきたが、これらの入力は、単なる例として提示したのであって、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定するものではない。別の実施形態では、更なるユーザ設定パラメータを含む更なる入力信号をデジタルPMTに入力できる。
【0053】
デジタルPMTの出力は、アナログのPMT信号、トリガ出力信号、デジタル信号サンプル及び関連するタイムスタンプを含むことができる出力イベントデータ、及びPMT耐用年数パラメータを含むことができる。別の実施形態では、これらの出力値の全ては、出力段50の制御下でシリアルインターフェースを介して出力されるものである。
【0054】
一定の出力を記述してきたが、これらの出力は、単なる例として提示したのであって、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定するものではない。別の実施形態では、デジタルPMTは、更なる出力信号を有することができる。
【0055】
例として図3及び図4に示したデジタルPMT100は、いくつかの利点を提供する。
【0056】
図2A及び図2Bに示した複雑なアナログのサブシステムは、完全にデジタルであるものと置き換えられるので、得られる検出器システムは、より万能であり堅牢である。例えば、信号の全てのフィルタ処理が、アナログ領域でよりはむしろ、デジタル領域で実行されるので、フィルタ処理を、カウントレートが変動するにつれて、システムの性能を最適化するために動的且つ連続的に変えることができる。約76秒の半減期を有するRb−82(rubidium-82:ルビジウム−82)心臓スキャンでは、カウントレートは、スキャンコースにわたって5又は6の倍数で変動する可能性があるので、単一のアナログシステムは、全検査を通して最適性能を得るための調整は不可能である。したがって、高カウントレートと低カウントレートとの間で良好な性能の両立を図る代わりに、完全デジタル構造によれば、常時最適パラメータで動作するようにシステムをプログラムできる。
【0057】
本明細書に記載のデジタルPMT構造に由来する利点の別の例は、図2A及び図2Bを図3と比較したとき、明白となる。図2A及び図2Bの従来の手法では、アナログ加算器7へのかなりの数の入力は、配線で接続されている。換言すると、一つの構造を決定するには、合計するチャンネル数に関する推測を行わなければならない。この決定によって、低カウントレートと高カウントレートとの間で良好な性能の両立が強制的に図られる場合が多い。通常、カウントレートが低い場合、イベントからのあらゆるシンチレーション光を受信するPMTが、全て合計に含まれるなら、タイミング性能は、より良好になるであろう。したがって、低カウントレートの性能は、より多くの入力チャネルをアナログ合計に含むとき、最適化される場合が多い。しかし、カウントレートが増加するにつれて、より多数の入力チャネルを含むことは、先行のパルスからのより多くの雑音が、アナログ合計(パルスのパイルアップ状態)に含まれるので、タイミング性能が劣化することになる。図2A及び図2Bのアナログ手法では、低レートと高レートとの間で両立を図る性能が、選ばれなければならない。対照的に、デジタルPMT構造での加算は、アナログ電子機器回路でよりもむしろデジタル処理部300で実行されるので、デジタルPMT構造は、総和に含まれる入力チャネルの数をカウントレートに基づいて動的に変更できる。
【0058】
その上、デジタルPMT構造はまた、ランダムなイベント取得レートを処理するための電子機器回路の設計を不要にする。実際、核スキャナにおいてPMTによって検出されるイベントは、ポアソン分布によるランダムなプロセスをたどる。例えば、上述の取得プロセスが、目標有効レートに対して設計された場合、イベントは、平均より速く発生していると考えられるので、その37%は、失われるであろう。
【0059】
しかも、デジタルPMT構造によれば、フロントエンドデジタル処理部は、様々なシンチレータ又はPMTを使う多様な検出器を利用できるようになる。例えば、従来の手法では、(例えば、図2A及び図2Bに示した)類似のアナログフロントエンドは、シンチレータ材料としてLYSO及びLaBr3の両方の使用をサポートしていない。従来の手法では、LYSOからLaBr3に切り換えた場合、成形フィルタを含むアナログフロントエンドは、再設計されなければならないであろう。対照的に、デジタルPMT構造では、LYSOからLaBr3への変更は、デジタル処理部で使われるパラメータの再プログラムを必要とするだけである。この変更は、非常により簡単且つ安価である。
【0060】
更に、たとえデジタルPMT構造の2GHzのADCが複雑な電子デバイスであり得るとしても、全体的な部品点数は、従来のアナログ手法と比較して明らかにより少ない。したがって、この少ない部品点数もまた、かなりのコスト優位性を提供する。
【0061】
別の利点は、デジタルプロセッサだけで典型的に非常に複雑な動作を実行できる能力である。高速ADCサンプル処理を採用しているPMTによって、通常、開発及び保守に対して高度に特化された技術的専門知識を必要とするシステムのアナログ部分を殆ど完全に排除できる。
【0062】
更なる利点は、外部時計を準備することによってイベントにタイムスタンプを付けることができる能力である。この実施形態では、システムが、同じイベントを検出するために複数のPMT信号を使うので、同じ時計が、PMTに提供される。
【0063】
別の利点は、イベントの読取値をバッファしたりデランダマイズ(de-randomize)したりする能力である。ポアソンの法則の性質によって、読取システムが、確率過程の平均に対応する場合、2段の深いバッファでは、イベント収集の約92%が保証される一方、5段のバッファでは、100%が保証される。
【0064】
更なる利点は、タイムスタンプが、デジタル的に付けられるので、複雑な時間デジタル変換器(TDC(Time to Digital Converter))回路を作る必要はない。
【0065】
別の利点は、完全パルスがデジタル的に得られるので、処理は、カウントレートなどの変動電流状態に容易に適応するという点である。同様に、パイルアップ除去又は補正の実行は容易である。
【0066】
プログラム可能なトリガ及びバッファの使用から生じる更なる利点は、通信リンクで転送される必要なデータ量が著しく減少することである。ADCは、連続的にデータをサンプルして、それをバッファに格納するが、トリガ条件が満たされたとき、バッファされたデータの小さな部分だけを転送する。例えば、シンチレーションパルスのタイミングが、主要な対象である場合、イベントトリガを受信したとき、パルスの立ち上がりから少数のサンプルだけが、通信リンク全体に転送される必要がある。
【0067】
別の利点は、PMTデバイスに内蔵されたインテリジェント回路とPMTデバイスの一部とを利用できることによって、製造パラメータ及び運用パラメータを保存でき、PMTとともに、その耐用年数の間中、留めることができることである。上で検討したように、有効な製造パラメータは、以下を含む。(1)シリアル番号、(2)製造日(construction date)、(3)固有ゲイン、(4)伝播時間、及び(5)青感度。有効な運用パラメータは、以下を含む。(1)生成されたパルス数、パルス振幅、及びPMT固有ゲインに関連し、且つPMTの「有効耐用年数」と直接相関関係にある、PMTにたまる(PTMから取り出された)累積電荷、(2)生成や格納が可能であり、アフターパルスレートを含み、チューブ(PMT)の真空破壊、アフターパルス対(真の)パルスの比、アフターパルスの振幅(固有ゲインに比例している)を示すことができる他のパラメータ、及び(3)最大使用バイアス電圧。なお、そのような運用パラメータは、(a)回路が常時「オン」である必要があり、(b)PMTが使われている回路が、全てPMTの適切な使用履歴を得るために同一特性を必要とすると思われるので、従来の独立した回路を使って収集及び格納することは殆んど不可能であろう。対照的に、本明細書に開示したように、PMTに取り付けられたインテリジェント回路は、電源を投入すると直ちに(及び電源を投入している限り)情報を収集する。
【0068】
なお、PMT信号(パルス)は、比較的高帯域幅であるので、サンプリングレートの必要条件はいくぶん厳しい。より速いシンチレータに対応するためには少なくとも1GHzのサンプリングレートが必要とされ、2GHzは好ましく、4GHzはより好ましい。更に、8ビット精度が必要とされ、10ビット精度は好ましく、12ビット精度は更に好ましい。
【0069】
上述したように、デジタルPMTの利点は、非常に明白である。しかし、重要なことは、これらの利点を実現するためには、一般に、1GHz(又はそれ以上)のサンプリングレートを必要とする点に注目することである。
【0070】
なお、上述したデジタルPMTは、例えば、PET装置(図示を省略)に備えられる。この場合、例えば、PET装置は、架台装置と、コンソール装置とを備える。また、例えば、架台装置は、被検体が載置される寝台と、寝台を駆動する寝台駆動部と、複数のガンマ線検出器モジュールとを含む。例えば各ガンマ線検出器モジュールに、上述したデジタルPMTが組み込まれればよい。また、例えば、コンソール装置は、マウスやキーボードなどの入力部と、液晶ディスプレイなどの表示部と、寝台の駆動を制御する寝台制御部と、各種データを記憶する記憶部と、上述したデジタル処理部と、収集されたデータからPET画像を再構成する画像再構成部と、PET装置全体を制御するシステム制御部とを含む。なお、例えば、デジタル処理部は、架台側に備えられてもよい。
【0071】
図3に示したデジタル処理部300は、デジタルPMT100から受信した信号を処理するように構成されたプロセッサを含む。上述したように、処理工程は、各イベントに対するタイミング、エネルギー、及び位置を決定する工程を含み、タイミング、エネルギー、及び位置の推定精度を向上させるために、従来のキャリブレーション(calibration)に基づく多くの補正ステップを含むことができる。当業者には自明であるが、デジタル処理部300は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又は他のCPLD(Complex Programmable Logic Device)のような個別論理ゲート(logic gate)として実装可能である。FPGA又はCPLDの実装は、VHDL(Very high speed integrated circuit hardware description language)、Verilog、又は他の任意のハードウェア記述言語にコード化してもよい。コードは、FPGA又はCPLD内で電子記憶部に直接格納してもよい、又は、分離された電子記憶部に格納してもよい。更に、電子記憶部は、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、又はフラッシュメモリなどの不揮発性であってもよい。また、電子記憶部は、スタティックRAM(Random-Access Memory)又はダイナミックRAMなどの揮発性であってもよい。FPGA又はCPLDと電子記憶部との間の相互作用だけでなく電子記憶部も管理するために、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサなどのプロセッサを設けてもよい。
【0072】
あるいは、デジタル処理部300は、本明細書に記載の機能を実行する一組のコンピュータ可読命令を含むコンピュータープログラムを実行できる。ここで、プログラムは、任意の上記一時的でない(non-transitory)電子記憶部及びハードディスク装置、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュドライブ又は他の任意の既知の記憶媒体の全て又はいずれかに格納されるものである。更に、コンピュータ可読命令は、アメリカのインテル社のキセノンプロセッサ、又はアメリカのAMD社のオプテロンプロセッサなどのプロセッサ、及びマイクロソフトVISTA、UNIX(登録商標)、Solaris、LINUX(登録商標)、Apple、MAC−OSなどのオペレーティングシステム、及び当業者には周知の他のオペレーティングシステムとともに動作する実用向けアプリケーション、バックグラウンドデーモン、又はオペレーティングシステムの構成要素、又はそれらの組合せとして提供されてもよい。
【0073】
一旦、デジタル処理部300で処理されたならば、処理された信号は、電子格納部に保存及び表示部に表示の両方又は一方が行われる。当業者には自明であるが、電子格納部は、ハードディスク装置、CD−ROM(Compact Disc Read-Only memory)装置、DVD装置、フラッシュ装置、RAM、ROM、又は当業界で周知の任意の他の電子格納部であってもよい。表示部は、LCD(Liquid Crystal Display)表示装置、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置、プラズマ表示装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、又は当業界で周知の任意の他の表示装置として実装してもよい。そのように、本明細書に提供した電子格納部及び表示部の記載は、単なる具体例であり、本利点の範囲を限定するものではない。
【0074】
また、図3のシステムは、ガンマ線検出部が、他の外部デバイス及びユーザの両方又は一方とインタフェースするインタフェースも含むことができる。例えば、インタフェースは、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、又は当業界で周知の任意の他のインタフェースであってもよい。また、インタフェースは、有線又は無線であってもよく、ユーザとの対話のためにキーボード及びマウスの両方又は一方、又は当業界で周知の他のヒューマンインタフェイスデバイスを含むことができる。
【0075】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の光センサ、ガンマ線検出器、及び陽電子放出コンピュータ断層撮影装置によれば、光をデジタル信号によって処理することが可能になる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
1 PMT(光電子増倍管)
10 ADC(アナログデジタル変換器)
11 デジタルフィルタ
15 時間基準
18 マルチプレクサ
20 内部トリガ検出部
31 記憶部
32 記憶部
38 マルチプレクサ
40 バッファ
45 トリガチェーン制御部
47 ダンプ制御/間引き部
50 出力段
60 耐用年数パラメータ計算部
100 デジタルPMT(デジタル光電子増倍管)
300 デジタル処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受信し、受信した光に対応するアナログ信号を出力する光電子増倍管と、
前記アナログ信号を受信し、受信したアナログ信号からデジタル信号を生成するアナログデジタル変換器と、
前記光電子増倍管の動作中に計算されるパラメータを格納する一時的でない記憶部とを備え、
前記光電子増倍管、前記アナログデジタル変換器、及び前記記憶部は、単一の筐体に組み込まれることを特徴とする光センサ。
【請求項2】
前記デジタル信号を連続的に格納するバッファを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
【請求項3】
前記デジタル信号が所定のトリガ条件を満たすか否かを判定し、前記所定のトリガ条件を満たすと判定した場合に、前記光センサの内部で内部トリガ信号を生成するトリガ検出部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光センサ。
【請求項4】
前記内部トリガ信号と、前記光センサの外部から入力された外部トリガ信号とに基づいて、トリガ出力信号を生成するトリガ制御部と、
前記トリガ出力信号を出力する出力端子と
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の光センサ。
【請求項5】
前記記憶部は、前記パラメータとして、レンジパラメータ及びトリガ時間を格納し、
前記トリガ制御部から前記トリガ出力信号を受信すると、前記記憶部に格納された前記レンジパラメータ及び前記トリガ時間に基づいて、前記バッファに格納された前記デジタル信号のうち前記バッファから出力される一部を決定する間引き部を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の光センサ。
【請求項6】
前記レンジパラメータは、所定の時間周期及び所定の遅延を含み、
前記間引き部は、前記所定の時間周期、前記所定の遅延、及び前記トリガ時間に基づいて決定された所定の時間ウィンドウに対応するように、前記バッファに格納された前記デジタル信号のうち前記バッファから出力される前記一部を決定することを特徴とする請求項5に記載の光センサ。
【請求項7】
前記所定のトリガ条件を定義するトリガパラメータを格納する一時的でない第2記憶部を更に備え、
前記トリガパラメータは、ユーザによる入力によって設定されることを特徴とする請求項3に記載の光センサ。
【請求項8】
前記記憶部に格納されたパラメータは、ユーザによる入力によって設定されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光センサ。
【請求項9】
前記デジタル信号を出力する第1出力端子と、
前記光電子増倍管から前記アナログ信号を出力する第2出力端子と
を更に備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の光センサ。
【請求項10】
前記アナログデジタル変換器は、1GHz以上のサンプリングレートで前記アナログ信号をサンプルすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の光センサ。
【請求項11】
前記アナログデジタル変換器は、少なくとも8ビットの精度で前記アナログ信号をサンプルすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の光センサ。
【請求項12】
前記アナログデジタル変換器に入力されるアナログ信号を増幅する可変増幅器を更に備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の光センサ。
【請求項13】
前記トリガ時間に対して所定の時間ウィンドウにわたる前記デジタル信号の積分を計算するエネルギー計算回路を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の光センサ。
【請求項14】
前記記憶部は、前記パラメータとして、前記光電子増倍管のゲイン、前記光電子増倍管の伝播時間、電圧変動によるゲイン変動、及び電圧変動による伝播時間変動のうちの少なくとも1つを含む前記光電子増倍管の製造パラメータを格納することを特徴とする請求項8に記載の光センサ。
【請求項15】
外部クロック信号を受信する入力端子を更に備え、
前記アナログデジタル変換器のサンプル時間が、前記外部クロック信号と同期することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の光センサ。
【請求項16】
前記デジタル信号のうち出力されるべく決定された前記一部を示す情報を前記間引き部から受信し、受信した情報に基づいて、前記バッファに格納された前記デジタル信号のサンプルを検索し、前記デジタル信号のうち前記検索されたサンプルを出力する通信制御部を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の光センサ。
【請求項17】
複数の光センサと、
デジタル処理部とを備え、
前記光センサは、
光を受信し、受信した光に対応するアナログ信号を出力する光電子増倍管と、
前記アナログ信号を受信し、受信したアナログ信号からデジタル信号を生成するアナログデジタル変換器と、
前記光電子増倍管の動作中に計算されるパラメータを格納する一時的でない記憶部とを備え、
前記光電子増倍管、前記アナログデジタル変換器、及び前記記憶部は、単一の筐体に組み込まれ、
前記デジタル処理部は、
各光センサに対応する前記デジタル信号を受信することを特徴とするガンマ線検出器。
【請求項18】
各光センサは、
前記デジタル信号が所定のトリガ条件を満たすか否かを判定し、前記所定のトリガ条件を満たすと判定した場合に、前記光センサの内部で内部トリガ信号を生成するトリガ検出部と、
前記光センサの外部から外部トリガ信号を入力する入力端子とを備え、
前記光センサのうちの1つに入力される前記外部トリガ信号は、前記光センサのうちの別の1つの前記内部トリガ信号に対応することを特徴とする請求項17に記載のガンマ線検出器。
【請求項19】
複数の光センサと、
デジタル処理部とを備え、
前記光センサは、
光を受信し、受信した光に対応するアナログ信号を出力する光電子増倍管と、
前記アナログ信号を受信し、受信したアナログ信号からデジタル信号を生成するアナログデジタル変換器と、
前記光電子増倍管の動作中に計算されるパラメータを格納する一時的でない記憶部とを備え、
前記光電子増倍管、前記アナログデジタル変換器、及び前記記憶部は、単一の筐体に組み込まれ、
前記デジタル処理部は、
各光センサに対応する前記デジタル信号を受信することを特徴とする陽電子放出コンピュータ断層撮影装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−253024(P2012−253024A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127237(P2012−127237)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】