光センサ
【課題】可動部分をなくす、あるいは必要最小限とし、小型かつ外乱による影響を受けにくくし、また測定の高速化も可能である光センサを提供することを目的とするものである。
【解決手段】低コヒーレンス光源8、方向性結合器10、光反射部12、受光器13、およびこれらを光学的に接続する光路9−1〜5を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器10の入力部の一方に該低コヒーレンス光源8を光路9−1により接続し、他方に該受光器13を光路9−5により接続し、該方向性結合器10の出力部と該光反射部12とを光路9−3,4により結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線11を配置し、該方向性結合器10の出力部に光路9−2、光ファイバ14により接続する他方のアーム端は被測定物接続用とし、光ファイバ14に被測定物15を接続すれば、可動部分をなくすことによって、高速,安定、かつ小型構成で遅延を変化させることができる分布型光センサを構成することができる。
【解決手段】低コヒーレンス光源8、方向性結合器10、光反射部12、受光器13、およびこれらを光学的に接続する光路9−1〜5を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器10の入力部の一方に該低コヒーレンス光源8を光路9−1により接続し、他方に該受光器13を光路9−5により接続し、該方向性結合器10の出力部と該光反射部12とを光路9−3,4により結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線11を配置し、該方向性結合器10の出力部に光路9−2、光ファイバ14により接続する他方のアーム端は被測定物接続用とし、光ファイバ14に被測定物15を接続すれば、可動部分をなくすことによって、高速,安定、かつ小型構成で遅延を変化させることができる分布型光センサを構成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波の干渉を利用してセンシングを行う光センサに関する。具体的には、光波の時間的低コヒーレンス性を利用してセンシングを行う低コヒーレンスレフレクトメータ(OLCR:Optical Low Coherence Reflectometry)装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
OLCRは、干渉計の長さの差が光源のコヒーレンス長程度以下の場合にしか干渉を起こさない性質を用いて、被測定物体の長手方向分布の計測を行う方法である。
OLCR装置としては従来、図14に示すように、一方のアームにバルクの可動反射鏡5を配したマイケルソン型干渉計が知られている(非特許文献1)。
図14において、1は低コヒーレンス光源、2−1〜4は光路、3はビームスプリッタ、4は被測定物、5は可動反射鏡、6は受光器(O/E変換器)である。
【0003】
図14に示すように、低コヒーレンス光源1から出力された低コヒーレンス光は、光路2−1を通りビームスプリッタ3で二分され、一方は光路2−2を通り被測定物4に入射され内部の反射点で反射して光路2−2を戻り、他方は光路2−3を通り可動反射鏡5で反射して光路2−3を戻ることになる。
ここで、可動反射鏡5を図中矢印で示すように移動させアームの長さを変えることによって、他方のアームの被測定物4からの反射光の成分中、可動反射鏡5からの反射光と長さがほぼ一致したもののみと干渉が生じる。
【0004】
その干渉光強度を受光器6で測定することによって、被測定物4の長手方向の状態を計測することができる。被測定物4の具体例として、切断部を有する光ファイバを考える。
切断部では反射光強度にピークが生じるため、本手法により切断部の位置を高精度で特定することができる。
低コヒーレンス光源1のコヒーレンス長(別名、可干渉距離:光を2つに分け、異なる長さを伝搬させた後、再び合波したときに干渉が起きる長さの差の上限の目安を与える距離)Lcは、光源のスペクトル形状がガウス型の場合、次式で与えられる。
【0005】
【数1】
【0006】
ただし、
λ0:光源の中心波長、
Δλ:光源のスペクトル半値全幅、
である。
低コヒーレンス光源1のλ0、Δλがそれぞれ、1550nm,50nmと典型的な値の場合、Lcは約48μmとなる。
従ってこの光源を用いることにより、図14は反射型構成の測定系であるため、24μm程度以下の高測定分解能が得られる。
【非特許文献1】http://www.ando.co.jp/products/mid/mid-index.htm 安藤電気カタログ、“高分解能リフレクトメータAQ7410B。”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の方法では、長さ調節用の可動反射鏡5としてモータ駆動のバルク部品を使用しなければならなかった。
そのため、(1)振動等の外乱による測定誤差の発生、(2)装置の大型化、(3)高速測定が困難、などの欠点があった。
本発明は、上記従来技術に鑑みて成されたものであり、可動部分をなくす、あるいは必要最小限とし、小型かつ外乱による影響を受けにくくし、また測定の高速化も可能である光センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る光センサは、低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スイッチの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スイッチの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スイッチの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スイッチの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム端はいずれも被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スプリッタの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スプリッタの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スプリッタの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スプリッタの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム中に光変調器をそれぞれ配置すると共に当該アーム端は何れも被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る光センサは、低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器を接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は可動機構によって可動可能な被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する本発明の請求項5に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ該干渉計の2個のアームは、可変遅延線を配置した一方のアームと、被測定物配置用の他方のアームからなることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明の請求項6に係る光センサは、低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、N入力1出力の光スイッチ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スイッチ間を結ぶN個の光路は、被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明の請求項7に係る光センサは、低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、N入力1出力の光コンバイナ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スプリッタと該光コンバイナ間を結ぶN個の光路は、光変調器を配置すると共に被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明の請求項8に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ2個の光路は、可動機構によって可動可能な被測定物配置用の一方の光路と、可変遅延線を配置した他方の光路とからなることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する本発明の請求項9に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ計K+1個の対称マッハツェンダ型干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明の請求項10に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の一方の出力部と他方の入力部とを、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ長さが等しい導波路ペアを用いて接続した、K+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明の請求項11に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部のそれぞれ一方の出力と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部とを接続したK+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明の請求項12に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部のそれぞれ一方の入力とを接続したK+1個の干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明の請求項13に係る光センサは、請求項4,8において、前記可動機構は、微小電機機械システム(MEMS:Micro−electro−mechanical systems)を用いたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光センサでは、導波路構成技術を駆使したマイケルソン型、あるいはマッハツェンダ型干渉計中に可変遅延線構成を組み込むことによって、可動部分をなくすあるいは必要最小限とすることができる。
また高速位相調整が可能な導波路材料を適用することによって、高速に遅延を変化させることができる。
その結果、小型かつ外乱による影響を受けにくく、高速測定が可能な優れた光センサを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、マイケルソン型干渉計又はマッハツェンダ型干渉計に基づいて物体の長手方向分布を測定する光センサに関し、例えば、平面光波回路上に可変遅延線等の主要な構成を形成することにより、小型で外乱による影響が受けにくく高速測定が可能な光センサを実現するものであり、以下の各実施例に記載のように多彩な機能の追加も実現できる。
【0023】
即ち、本発明において、長さ調節部分を光導波路構造の可変遅延線で構成することにより、導波路中の屈折率変化(<msec)を用いた位相調節によって、長さを最小サブμmオーダステップでサブμm〜mの範囲にわたって高精度かつ広範囲に変化させることができる。
そのため、長さ調節部分の可動部分の除去ができ、小型かつ外乱による影響を受けにくく、測定時間を短縮可能な光センサを構成することができる。
【実施例1】
【0024】
本発明に係る光センサの第1実施形態(請求項1)の構成例を図1に示す。
本実施形態の光センサは、シリコン基板上に形成した石英平面光波回路7、低コヒーレンス光源8、石英導波路9−1〜5、方向性結合器10、可変遅延線11、反射鏡12、受光器13、光ファイバ14、を備える2アーム光マイケルソン型干渉計である。
【0025】
図1に示すように、石英平面光波回路7においては、方向性結合器10の入力部である一方の石英導波路9−1に低コヒーレンス光源8が接続され、他方の石英導波路9−5に受光器13が接続され、方向性結合器10の出力部と反射鏡12とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中である石英導波路9−3,9−4に可変遅延線11が配置され、方向性結合器10の出力部に接続する他方のアーム端である石英導波路9−2は被測定物接続用とした。被測定物接続用石英導波路9−2は光ファイバ14を介して被測定物15に接続されている。方向性結合器10の結合率を変化させる、または、石英導波路9−2〜4のいずれか一つに対称マッハツェンダ型干渉計などの可変光アッテネータを配置することによって両アームの損失を同じにすることができ、高精度の測定を行うことができる。
【0026】
本実施形態では、小型化、安定化、低損失化を目的として、シリコン基板上に石英導波路(クラッド:SiO2、コア:SiO2−GeO2)を形成する平面光波回路技術を用いて可変遅延線11等の主要部分を構成している。
石英導波路では実現不可能な受発光素子である低コヒーレンス光源8は半導体あるいは光ファイバ素子{発光ダイオード(LED)、高輝度発光ダイオード(SLD)、希土類ドープ光ファイバ増幅器あるいは半導体レーザ増幅器の自然放出光(ASE光源)など}、受光器13は半導体素子を用い、平面光波回路にハイブリッド集積している。
【0027】
なお、石英導波路部分を、半導体、LiNbO3(LN)あるいはKTal-xNbxO3(KTN)等の強誘電体、ポリマー、光ファイバなど、またはこれらを複合した導波路構成で置き換えることももちろん可能である。
被測定物15は光ファイバ14を用いて石英平面光波回路7と接続している。
被測定物15を石英平面光波回路7中に配置して測定することも可能であるが、被測定物15の入れ替えを考慮して簡便で汎用的なファイバ接続の例を示した。
【0028】
なお可変遅延線11の遅延変化を用いて被測定物15内の全ての長手方向状態が測定可能なように、石英導波路9−2〜4,光ファイバ14の長さはあらかじめ調節されている。
可変遅延線11の構成例を図2に示す。
図1で図2の可変遅延線を使用した場合、請求項9の実施例に相当する。
図2の可変遅延線は、入力導波路17−1,2、一方のアーム上(クラッド上)に熱光学位相シフト用薄膜ヒータ(クロム、窒化タンタル等)18−1〜K+1(Kは1以上の整数)を配置した対称マッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチ19−1〜19−K+1、非対称アーム対20a−1〜K,20b−1〜K、出力導波路21−1,2、位相調節部22、から構成されている。
【0029】
入力導波路17−1,2のいずれかが石英導波路9−3と接続され、出力導波路21−1が石英導波路9−4と接続される。
非対称アーム対20a−1〜K,20b−1〜Kの長さの差ΔLKは本構成例ではΔLK=2K-1ΔLlと設定する。ただし、ΔLlは20a−1,20b−1の長さの差である。
2×2光スイッチ19−1〜19−K+1のスイッチング状態を変化させることによって、入力導波路17−1,2と出力導波路21−1,2間の特性として、0〜(2K−1)ΔL1の範囲をΔL1刻みで可変可能な計2K通りの相対遅延を最小構成で実現することができる。高々K=10で、1000点以上の測定を行うことができる。
反射型構成であるため、往復で、0〜(2K−1)2ΔL1の範囲を2ΔL1刻みで可変可能な計2K通りの相対遅延特性を得ることができる。
【0030】
なお、石英導波路は精密な設計および作製が可能なため、ΔL1を最小でμmあるいはサブμmオーダに設定することも可能である。
低コヒーレンス光源8の導波路内でのコヒーレンス長Lcを2ΔL1より小さく設定した場合、簡単のため石英導波路の等価屈折率と15の屈折率が同一と仮定すると、分解能ΔL1で15の長手方向の状態を測定可能となる。
位相調節部22はΔLKの作製誤差を補正するために用いられ、熱光学位相シフト用薄膜ヒータ18と同様に薄膜ヒータが用いられる。
熱光学位相シフトは、可変範囲、設定精度がそれぞれ、波長程度、波長の200分の1程度であるため、nmオーダの精度での長さ調節が可能となる。またμm以下オーダステップでの長さ調節部としては、位相シフタの縦続接続構成を用いることができる。
【0031】
なお、入力導波路17−1,2のいずれか、あるいは非対称アーム対20上のいずれかに位相調節部を配置することによっても同様の調節が可能である。
また、反射鏡12としては、1本の導波路の2箇所を50%結合方向性結合器で結合したループミラー(Sagnacミラー)、導波路型グレーティングなどの他、導波路端面に蒸着した金属などを用いることもできる。
ここで、図1,2の構成を用いる場合の被測定物スキャン測定時間Tmは、19のスイッチング時間をTsとすると、以下の式で表される。
【0032】
【数2】
【0033】
ただし、
【0034】
【数3】
【0035】
J:必要スイッチング回数、Lm:被測定物の長さで、[y]は正の実数yの整数部を表す。
長さ100mmの被測定物を分解能20μmで測定するものとすると、石英導波路あるいはポリマー導波路などの熱光学屈折率変化(Ts≒ms)を用いる場合、Tm≒5sとなる。
半導体導波路、強誘電体導波路、ポリマー導波路などの電気光学効果等の高速屈折率変化を用いる場合は、Ts<nsとすることは容易なので、Tm<5μsとすることができる。
【0036】
市販の可動反射ミラーを用いたOLCR装置AQ7410B(安藤電気製、分解能20μm)の測定速度は、40mm/s程度であるので、上記測定物の測定時間は、100mm/(40mm/s);2.5sとなる。
そのため図1,2に示す可動部分無しの構成を用いることによって、半導体導波路、強誘電体導波路を可変遅延線部に適用した場合には6桁以上の測定高速化が可能となり、石英導波路の適用でも従来構成程度オーダの速度での測定が小型の装置で可能となる。
【0037】
可変遅延線11の他の構成例を図3(a)に示す。
図1で図3(a)の可変遅延線を使用した場合、請求項10の実施例に相当する。
図3(a)に示すように、この可変遅延線は、入力導波路24−1,2、干渉計型2×2光スイッチ25−1〜K+1、非対称アーム対26a−1〜K,26b−1〜K、出力導波路27−1,2、位相調節部28、から構成されている。
干渉計型2×2光スイッチ25の構成例を図3(b)に示す。
【0038】
図3(b)に示すように、この干渉計型2×2光スイッチ25は、入力導波路29−1,2、方向性結合器30−1〜4、対称アーム対31a−1〜3,31b−1〜3、薄膜ヒータ32−1〜3、出力導波路33−1,2、から構成される。
薄膜ヒータ32−1,3を用い位相調節を行うことによって、アーム31a−1とアーム31b−1間、アーム31a−3とアーム31b−3間の位相をπ/2に設定する。
この場合、入力導波路29−1,2とアーム31a−2,31b−2間、アーム31a−2,31b−2と出力導波路33−1,2間の強度特性として、結合率50%の方向性結合器(3dB方向性結合器)を等価的に実現できる。
【0039】
図2の構成では、対称マッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチ19−1〜19−K+1中の方向性結合器の結合率(固定値)が50%からずれた場合、消光特性、即ちスイッチング特性が劣化する。
これに対し図3では、方向性結合器30−1〜4が50%からずれた場合でも、薄膜ヒータ32−1,3の調節により対称マッハツェンダ型干渉計1段の特性として3dB方向性結合器が実現できるため、干渉計型2×2光スイッチ25−1〜K+1全体の特性として良好な消光比のスイッチング特性が得られる。
干渉計型2×2光スイッチ25−1〜K+1は、対称マッハツェンダ型干渉計の2つの出力部と、他の対称マッハツェンダ型干渉計の2つの入力部とを接続した、2段縦続接続対称マッハツェンダ型干渉計構成と言い替えることもできる。
【0040】
可変遅延線11の他の具体例として、図4(a)の構成も可能である。
図4(a)に示すように、この可変遅延線は、入力導波路34−1、2、干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1、非対称アーム対36a−1〜K,36b−1〜K、出力導波路37−1,2、位相調節部38、から構成されている。
干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1の構成例を図4(b)或いは図4(c)に示す。
図4(a)の干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1として、図4(b)或いは図4(c)に示すものを使用した場合、それぞれ、請求項11,12の実施例に相当する。
【0041】
図4(b)において干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1は、入力導波路39−1〜4、方向性結合器40−1〜6、対称アーム対41a−1〜3,41b−1〜3、薄膜ヒータ42−1〜3、出力導波路43−1,2、から構成される。
また、図4(c)において干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1は、入力導波路44−1,2、方向性結合器45−1〜6、対称アーム対46a−1〜3,46b−1〜3、薄膜ヒータ47−1〜3、出力導波路48−1〜4、から構成される。
【0042】
なお、(39−1、2)、(39−3,4)、(48−1,2)、(48−3,4)の組み合わせのうちいずれか一方が入出力部として用いられる。
図4(b)或いは図4(c)のいずれの構成も、対称マッハツェンダ型干渉計2段を、1ポートずつを縦続接続する構成を取っているため、対称マッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチ19−1〜19−K+1よりも良好な消光特性を得ることができる。
また、可変遅延線11として、非対称アーム対の両端に対称マッハツェンダ型2×2スイッチを配置したものを単位とした非対称マッハツェンダ型干渉計を複数用意し、各非対称マッハツェンダ型干渉計の一方のアームを互いに接続する構成も用いることができる。
【実施例2】
【0043】
本発明に係る光センサの第2実施形態(請求項2)の構成例を図5に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路49、低コヒーレンス光源50、導波路51−1〜N+3、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ52、可変遅延線53、反射鏡54、受光器55、光ファイバ56−1〜N−1、を備えるNアーム光マイケルソン型干渉計である。
【0044】
図5に示すように、導波回路49において、2入力N出力の光スイッチ52の入力部の一方に導波路51−1を介して低コヒーレンス光源50が接続され、他方に導波路51−N+3を介して受光器55が接続され、光スイッチ52の出力部に接続するN個のアームのうち、1個のアーム中である導波路51−N+1と導波路51−N+2の間に可変遅延線53が配置され、そのアーム端である導波路51−N+2に反射鏡54が接続され、他の(N−1)個のアーム端である導波路51−2〜51−Nはいずれも被測定物接続用とした。被測定物接続用導波路51−2〜51−Nは光ファイバ56−1〜N−1を介して被計測物57が接続されている。
【0045】
光スイッチ52の構成例(2入力8出力)を図6に示す。
図6は、一方のポートに位相調節部58−1〜7を備えた対称マッハツェンダ型2×2光スイッチ59−1〜7をツリー状に縦続接続している。
その他、Y分岐型1×2ディジタル光スイッチをツリー状に縦続接続し、その入力部に方向性結合器の一方の出力ポートを接続する構成なども考えられる。
2入力N出力光スイッチ52で低コヒーレンス光源50からの低コヒーレンス光を導波路51−2〜Nのいずれか1つと導波路51−N+1に切り替え、可変遅延線53での遅延変化を利用して被測定物57の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる(N−1)本の導波路51−2〜Nに対して1回ずつ計(N−1)回繰り返す。
【0046】
光ファイバ56−1〜N−1と被測定物57の接続部が直線になっていると仮定すると、本操作により被測定物57の長手方向分布と光ファイバ56−1〜N−1に対して垂直方向の直線位置分布の情報、すなわち2次元分布情報を得ることができる。
なお、直線方向位置分布の分解能は、光ファイバ56−1〜N−1の配置位置に依存する。
なお、光ファイバ56−1〜N−1を被測定物57に対して2次元平面的に接続する場合、被測定物57の長手方向分布と光ファイバ56−1〜N−1に対して垂直方向の平面位置分布の情報、すなわち3次元分布情報を得ることができる。
【0047】
図5の光スイッチ52の出力部を積層導波路技術によって3次元空間上に構成し、被測定物を直接積層導波路に接続する構成例を図7(a)に示す。
図7(a)においては、図5の破線部6Aに相当する部分のみを示し、60−1〜3,61−1〜3,62はそれぞれ、位相調節部、対称マッハツェンダ型2×2光スイッチ、被測定物である。
簡単のため2層積層導波路構造を用い、2×4ツリー状スイッチを用いた例を示す。
【0048】
図中、太線、細線はそれぞれ、上層導波路、下層導波路を表すために用いており、導波路サイズを示すものではない。
図7(b)、図7(c)はそれぞれ、図7(a)中の矢印で示した方向のA−A’断面図、B−B’導波路断面図である。図7(b)においては、内部の導波路構成を破線で示している。
図7(a)に示すように、太線と細線が重なった部分で、上下方向に方向性結合器が構成されている。
【0049】
本構成により、平面に分布した対称マッハツェンダ型2×2光スイッチ61−2,3の出力部4点に対応した被測定物62の長手方向分布を測定することができる。
なお簡単のため2層積層導波路を用いた例を示したが、さらなる多層化によって測定点を増加させることができる。
図7の構成は図5のように光ファイバ56を用いないので、系の簡略化、小型化を図ることができる。
以上説明した2次元および3次元分布を可動部無しに測定する技術もまた、従来技術では実現不可能である。
【実施例3】
【0050】
本発明に係る光センサの第3実施形態(請求項3)の構成例を図8に示す。
図において、本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路63、低コヒーレンス光源64、導波路65−1〜N+3、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ66、可変遅延線67、反射鏡68、受光器69、電気配線70−1〜N+2、同期検波器71、電気発振器72,1入力多出力電気スイッチ73、光変調器74−1〜N−1、光ファイバ75−1〜N−1、を備えるNアーム光マイケルソン型干渉計である。
【0051】
図8に示すように、導波回路63において、2入力N出力の光スプリッタ66の入力部の一方に導波路65−1を介して低コヒーレンス光源64が接続され、他方に導波路65−N+3を介して受光器69が接続され、光スプリッタ66の出力部に接続するN個のアームのうち、1個のアーム中である導波路65−N+1と導波路65−N+2の間に可変遅延線67が配置されると共に当該アーム端である導波路65−N+2に反射鏡68が接続され、他の(N−1)個のアーム中である導波路65−2〜Nに光変調器74−1〜N−1がそれぞれ配置されると共に当該アーム端である導波路65−2〜Nは何れも被測定物接続用とした。被測定物接続用導波路65−2〜Nは光ファイバ75−1〜N−1を介して被測定物76が接続されている。
【0052】
低コヒーレンス光源64からの低コヒーレンス光を2入力N出力の光スプリッタ66で導波路65−2〜N+1に分配する。
1入力多出力電気スイッチ73を用いて電気発振器72の出力信号を切り替え、光変調器74−1〜N−1のいずれか1つを駆動して光に強度あるいは位相などの変調をかける。
同期検波器71による同期検波を用いて(N−1)個の導波路65−2〜Nを通過する光の分離を行い、可変遅延線67での遅延変化を利用して被測定物76の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる導波路65−2〜Nに対して1回ずつ計(N−1)回繰り返し、被測定物76の2次元あるいは3次元分布情報を得ることができる。
【0053】
図5の構成と比較して、光変調器74−1〜N−1および電気装置70〜73が増えるが、ツリー状光スイッチを用いる必要がないため導波回路部分は小型化することができる。
なお、電気発振器72と、対応する同期検波器71を(N−1)個ずつ用意し、1入力多出力電気スイッチ73を用いず電気発振器72の出力を直接用いて光変調器74−1〜N−1をそれぞれ異なる周波数で変調することによって、被測定物76からの(N−1)個の反射光を同時に測定することができる。
そのため電気装置数は増加するものの、図8の構成と比較して測定時間を(N−1)分の1以下に低減することができる。
【実施例4】
【0054】
本発明に係る光センサの第4実施形態(請求項4)の構成例を図9に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路77、低コヒーレンス光源78、導波路79−1〜5、方向性結合器80、可変遅延線81、反射鏡82、受光器83、被測定物84を設置する可動機構(図示省略)、を備える2アーム光マイケルソン型干渉計である。
【0055】
図9に示すように、導波回路77において、方向性結合器80の入力部の一方に導波路79−1を介して低コヒーレンス光源78が接続され、他方に導波路79−5を介して受光器83が接続され、方向性結合器80の出力部と光反射部82とを結ぶ該干渉計の一方のアームである導波路79−3と導波路79−4の間に可変遅延線81が配置され、方向性結合器80の出力部に接続する他方のアーム端である導波路79−2は被測定物接続用である。導波路79−2には、可動機構によって可動可能な被測定物84が接続される。
可動機構をMEMSとすれば、請求項13の実施例に相当する。
可動機構により被測定物84を導波路79−2に対して垂直面内で移動させた場合、複数のプローブ(導波路あるいはファイバ)を接触させる必要のない小型の系で被測定物84の3次元分布を測定することができる。
【実施例5】
【0056】
本発明に係る光センサの第5実施形態(請求項5)の構成例を図10に示す。
本実施形態の光センサは、シリコン基板上に形成した石英平面光波回路85、低コヒーレンス光源86、導波路87−1〜8、2個の方向性結合器88−1,2、可変遅延線89、受光器90、光ファイバ91−1,2、を備える2アーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0057】
図10に示すように、石英平面光波回路85において、方向性結合器88−1の入力部の一方に導波路87−1を介して低コヒーレンス光源86が接続され、方向性結合器88−2の出力部の一方に導波路87−8を介して受光器90が接続され、2個の方向性結合器88−1,2間を結ぶ該干渉計の2個のアームは、一方のアームである可変遅延線89を配置した導波路87−6,7と、他方のアームである導波路87−2,87−3及び被測定物配置用の光ファイバ91−1,2からなる。光ファイバ91−1,2の間には、被測定物92が配置される。
本実施形態においては、被測定物の反射光ではなく、その透過光を用いて低コヒーレンス光源による分布型干渉測定を行うものである。
方向性結合器88−1,2の結合率を変化させる、または、導波路87−2,3,6,7のいずれか一つに可変光アッテネータを配置することによって、マイケルソン型干渉計と同様に両アームの損失を同じにすることができ、高精度に測定を行うことができる。
【0058】
図10では一方のアームに可変遅延線89を配したマッハツェンダ型干渉計が構成されている。
可変遅延線89の遅延量を変化させアームの長さを変えることによって、他方のアームの被測定物92からの透過光の成分中、可変遅延線89からの透過光と長さがほぼ一致したもののみと干渉が生じる。
その干渉光強度を測定することによって、被測定物92の長手方向の状態を計測することができる。
【0059】
可変遅延線89として、前述の図2に構成を示す可変遅延線を用いた場合(請求項9の実施例に相当)、0〜(2K−1)ΔL1の範囲をΔL1刻みで可変可能な計2K通りの相対遅延特性を得ることができる。
低コヒーレンス光源86の導波路内でのコヒーレンス長LcをΔL1より小さく設定した場合、簡単のため石英導波路の等価屈折率と被測定物92の屈折率が同一と仮定すると、分解能ΔL1で被測定物92の長手方向の状態を測定可能となる。
【実施例6】
【0060】
本発明に係る光センサの第6実施形態(請求項6)の構成例を図11に示す。
本実施形態の光センサは、シリコン基板上に形成した石英平面光波回路93、低コヒーレンス光源94、導波路95−1〜2N+4,1入力N出力の光スイッチ96,N入力1出力の光スイッチ97、可変遅延線98、受光器99、光ファイバ100−1〜2N−2、を備えるNアーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0061】
図11に示すように、石英平面光波回路93において、1入力N出力光スイッチ96の入力部に導波路95−1を介して低コヒーレンス光源94が接続され、N入力1出力の光スイッチ97の出力部に導波路95−(2N+4)を介して受光器99が接続され、1入力N出力の光スイッチ96とN入力1出力の光スイッチ97を結ぶN個の光路である導波路95−2〜2N+3、被測定物配置用の光ファイバ100−1〜2N−2、可変遅延線98とからなる。光ファイバ100−1〜2N−2には、被測定物101が配置される。
1入力N出力光スイッチ96は、図6に示す構成例のもので入力ポートの一方を用いることにより実現できる。
N入力1出力光スイッチ97は、上記構成を左右反転させた構成により実現可能となる。
また、光スイッチ97は、単純なコンバイナ構成とすることもできるが、この場合、光スイッチ構成と比較して損失が増大する。
【0062】
1入力N出力光スイッチ96で低コヒーレンス光源94からの低コヒーレンス光を導波路95−2,4,6,...,2N−2,2Nのいずれか1つと導波路95−2N+2に切り替え、可変遅延線98での遅延変化を利用して被測定物101の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる(N−1)本の導波路95−2,4,6,...,2N−2,2Nに対して1回ずつ計(N−1)回繰り返す。
本操作により被測定物101の長手方向分布と光ファイバ100に対して垂直方向の位置分布の情報、すなわち2次元あるいは3次元分布情報を得ることができる。
【実施例7】
【0063】
本発明に係る光センサの第7実施形態(請求項7)の構成例を図12に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路102、低コヒーレンス光源103、導波路104−1〜2N+4、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ105、N入力1出力の光コンバイナ106、可変遅延線107、受光器108、電気配線109−1〜N+2、同期検波器110、電気発振器111,1入力多出力電気スイッチ112、光変調器113−1〜N−1、光ファイバ114−1〜2N−2、を備えるNアーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0064】
図12に示すように、導波回路102において、1入力N出力の光スプリッタ105の入力部に導波路104−1を介して低コヒーレンス光源103が接続され、N入力1出力の光コンバイナ106の出力部に導波路104−(2N+4)を介して受光器108が接続され、1入力N出力の光スプリッタ105とN入力1出力の光コンバイナ106の間を結ぶN個の光路は、光変調器113−1〜N−1を配置する導波路104−2〜2N+1及び被測定物配置用の光ファイバ114−1〜2N−2よりなる(N−1)個の光路と、可変遅延線107を配置した1個の光路である導波路104−(2N+2),104−(2N+3)とからなる。光ファイバ114−1〜2N−2には、被測定物115が配置される。
低コヒーレンス光源103からの低コヒーレンス光をスプリッタ105で導波路104−2,4,6,...,2N,2N+2に分配する。
【0065】
1入力多出力電気スイッチ112を用いて電気発振器111の出力信号を切り替え、光変調器113−1〜N−1のいずれか1つを駆動して光に強度あるいは位相などの変調をかける。
同期検波器110による同期検波を用いて(N−1)個の導波路104−3,5,7,....,2N−1,2N+1を通過する光の分離を行い、可変遅延線107での遅延変化を利用して被測定物115の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる導波路104−3,5,7,...,2N−1,2N+1に対して1回ずつ計(N−1)回繰り返すことによって、被測定物115の2次元あるいは3次元分布情報を得ることができる。
【0066】
図11の構成と比較して、光変調器113および電気配線109−1〜N+2、同期検波器110、電気発振器111,1入力多出力電気スイッチ112が増えるが、光スイッチ96,97を用いる必要がないため導波回路部分を小型化することができる。
なお、電気発振器111と、対応する同期検波器110を(N−1)個ずつ用意し、1入力多出力電気スイッチ112を用いず電気発振器111の出力を直接用いて光変調器113−1〜N−1をそれぞれ異なる周波数で変調することによって、導波路104からの(N−1)個の透過光を同時に測定することができる。
そのため電気装置数は増加するものの、図12の構成と比較して測定時間を(N−1)分の1以下とすることができる。
【実施例8】
【0067】
本発明に係る光センサの第8実施形態(請求項8)の構成例を図13に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路116、低コヒーレンス光源117、導波路118−1〜8、2個の方向性結合器119−1,2、可変遅延線120、受光器121、被測定物122を可動可能な可動機構(図示省略)、を備える2アーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0068】
図13に示すように、導波回路116において、2個の方向性結合器119−1,2間を結ぶ2個の光路は、被測定物配置用の一方の光路である導波路118−2,118−3と、可変遅延線120を配置した他方の光路である導波路118−6,118−7とからなる。導波路118−2,118−3の間には、可動機構によって可動可能な被測定物122が配置される。
可動機構をMEMSとすれば、請求項13の実施例に相当する。
被測定物122を導波路118−2,3に対して垂直面内で移動させた場合、複数のプローブ(導波路あるいはファイバ)を接触させる必要がない小型の系で被測定物122の3次元分布を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、光エレクトロニクス分野(集積光部品、光ファイバ等の各種光デバイスの分布診断)、医療・バイオ分野(生体細胞の断層分布診断)などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の光センサの第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1中の可変遅延線の構成例を示す概略構成図である。
【図3】図3(a)は図1中の可変遅延線を示す概略構成図、図3(b)は図3(a)中の干渉計型2×2光スイッチを示す概略構成図である。
【図4】図4(a)は図1中の可変遅延線を示す概略構成図、図4(b)(c)は、何れも図4(a)中の干渉計型2×2光スイッチを示す概略構成図である。
【図5】本発明の光センサの第2実施形態を示す概略構成図である。
【図6】図5中の光スイッチを示す概略構成図である。
【図7】図7(a)は図5の光センサの他の実施形態を示す概略構成図、図7(b)、図7(c)は、それぞれ図7(a)中のA−A’断面図、B−B’断面図である。
【図8】本発明の光センサの第3実施形態を示す概略構成図である。
【図9】本発明の光センサの第4実施形態を示す概略構成図である。
【図10】本発明の光センサの第5実施形態を示す概略構成図である。
【図11】本発明の光センサの第6実施形態を示す概略構成図である。
【図12】本発明の光センサの第7実施形態を示す概略構成図である。
【図13】本発明の光センサの第8実施形態を示す概略構成図である。
【図14】従来の光センサ(OLCR装置)を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0071】
1 低コヒーレンス光源
2−1〜4 光路
3 ビームスプリッタ
4 被測定物
5 可動反射鏡
6 受光器(O/E変換器)
7 石英平面光波回路
8 低コヒーレンス光源
9−1〜5 石英導波路
10 方向性結合器
11 可変遅延線
12 反射鏡
13 受光器
14 光ファイバ
15 被測定物
17−1,2 入力導波路
18−1〜K+1 薄膜ヒータ
19−1〜19−K+1 対称マッツェンダ干渉計型2×2光スイッチ
20a−1〜K,20b−1〜K 非対称アーム対
21−1,2 出力導波路
22 位相調節部
24−1,2 入力導波路
25−1〜K+1 干渉計型2×2光スイッチ
26a−1〜K,26b−1〜K 非対称アーム対
27−1,2 出力導波路
28 位相調節部
29−1,2 入力導波路
30−1〜4 方向性結合器
31a−1〜3,31b−1〜3 対称アーム対
32−1〜3 薄膜ヒータ
33−1,2 出力導波路
34−1,2 入力導波路
35−1〜K+1 干渉計型2×2光スイッチ
36a−1〜K,36b−1〜K 非対称アーム対
37−1,2 出力導波路
38 位相調節部
39−1〜4 入力導波路
40−1〜6 方向性結合器
41a−1〜3,41b−1〜3 対称アーム対
42−1〜3 薄膜ヒータ
43−1,2 出力導波路
44−1,2 入力導波路
45−1〜6 方向性結合器
46a−1〜3,46b−1〜3 対称アーム対
47−1〜3 薄膜ヒータ
48−1〜4 出力導波路
49 導波回路
50 低コヒーレンス光源
51−1〜N+3 導波路
52 光スイッチ
53 可変遅延線
54 反射鏡
55 受光器
56−1〜N−1 光ファイバ
57 被測定物
58−1〜7 位相調節部
59−1〜7 対称マッツェンダ型2×2光スイッチ
60−1〜3 位相調節部
61−1〜3 対称マッツェンダ型2×2光スイッチ
62 被測定物
63 導波回路
64 低コヒーレンス光源
65−1〜N+3 導波路
66 光スプリッタ
67 可変遅延線
68 反射鏡
69 受光器
70−1〜N+2 電気配線
71 同期検波器
72 電気発振器
73 1入力多出力電気スイッチ
74−1〜N−1 光変調器
75−1〜N−1 光ファイバ
76 被測定物
77 導波回路
78 低コヒーレンス光源
79−1〜5 導波路
80 方向性結合器
81 可変遅延線
82 反射鏡
83 受光器
84 可動機構に設置された被測定物
85 石英平面光波回路
86 低コヒーレンス光源
87−1〜8 導波路
88−1,2 方向性結合器
89 可変遅延線
90 受光器
91−1,2 光ファイバ
92 被測定物
93 石英平面光波回路
94 低コヒーレンス光源
95−1〜2N+4導波路
96 1入力N出力光スイッチ
97 N入力1出力光スイッチ
98 可変遅延線
99 受光器
100−1〜2N−2 光ファイバ
101 被測定物
102 導波回路、
103 低コヒーレンス光源
104−1〜2N+4 導波路
105 光スプリッタ
106 光コンバイナ
107 可変遅延線
108 受光器
109−1〜N+2 電気配線
110 同期検波器
111 電気発振器
112 1入力多出力電気スイッチ
113−1〜N−1 光変調器
114−1〜2N−2 光ファイバ
115 被測定物
116 導波回路
117 低コヒーレンス光源
118−1〜8 導波路
119−1,2 方向性結合器
120 可変遅延線
121 受光器
122 可動機構に設置された被測定物
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波の干渉を利用してセンシングを行う光センサに関する。具体的には、光波の時間的低コヒーレンス性を利用してセンシングを行う低コヒーレンスレフレクトメータ(OLCR:Optical Low Coherence Reflectometry)装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
OLCRは、干渉計の長さの差が光源のコヒーレンス長程度以下の場合にしか干渉を起こさない性質を用いて、被測定物体の長手方向分布の計測を行う方法である。
OLCR装置としては従来、図14に示すように、一方のアームにバルクの可動反射鏡5を配したマイケルソン型干渉計が知られている(非特許文献1)。
図14において、1は低コヒーレンス光源、2−1〜4は光路、3はビームスプリッタ、4は被測定物、5は可動反射鏡、6は受光器(O/E変換器)である。
【0003】
図14に示すように、低コヒーレンス光源1から出力された低コヒーレンス光は、光路2−1を通りビームスプリッタ3で二分され、一方は光路2−2を通り被測定物4に入射され内部の反射点で反射して光路2−2を戻り、他方は光路2−3を通り可動反射鏡5で反射して光路2−3を戻ることになる。
ここで、可動反射鏡5を図中矢印で示すように移動させアームの長さを変えることによって、他方のアームの被測定物4からの反射光の成分中、可動反射鏡5からの反射光と長さがほぼ一致したもののみと干渉が生じる。
【0004】
その干渉光強度を受光器6で測定することによって、被測定物4の長手方向の状態を計測することができる。被測定物4の具体例として、切断部を有する光ファイバを考える。
切断部では反射光強度にピークが生じるため、本手法により切断部の位置を高精度で特定することができる。
低コヒーレンス光源1のコヒーレンス長(別名、可干渉距離:光を2つに分け、異なる長さを伝搬させた後、再び合波したときに干渉が起きる長さの差の上限の目安を与える距離)Lcは、光源のスペクトル形状がガウス型の場合、次式で与えられる。
【0005】
【数1】
【0006】
ただし、
λ0:光源の中心波長、
Δλ:光源のスペクトル半値全幅、
である。
低コヒーレンス光源1のλ0、Δλがそれぞれ、1550nm,50nmと典型的な値の場合、Lcは約48μmとなる。
従ってこの光源を用いることにより、図14は反射型構成の測定系であるため、24μm程度以下の高測定分解能が得られる。
【非特許文献1】http://www.ando.co.jp/products/mid/mid-index.htm 安藤電気カタログ、“高分解能リフレクトメータAQ7410B。”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の方法では、長さ調節用の可動反射鏡5としてモータ駆動のバルク部品を使用しなければならなかった。
そのため、(1)振動等の外乱による測定誤差の発生、(2)装置の大型化、(3)高速測定が困難、などの欠点があった。
本発明は、上記従来技術に鑑みて成されたものであり、可動部分をなくす、あるいは必要最小限とし、小型かつ外乱による影響を受けにくくし、また測定の高速化も可能である光センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る光センサは、低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スイッチの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スイッチの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スイッチの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スイッチの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム端はいずれも被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スプリッタの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スプリッタの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スプリッタの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スプリッタの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム中に光変調器をそれぞれ配置すると共に当該アーム端は何れも被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る光センサは、低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器を接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は可動機構によって可動可能な被測定物接続用としたことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する本発明の請求項5に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ該干渉計の2個のアームは、可変遅延線を配置した一方のアームと、被測定物配置用の他方のアームからなることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明の請求項6に係る光センサは、低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、N入力1出力の光スイッチ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スイッチ間を結ぶN個の光路は、被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明の請求項7に係る光センサは、低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、N入力1出力の光コンバイナ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スプリッタと該光コンバイナ間を結ぶN個の光路は、光変調器を配置すると共に被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明の請求項8に係る光センサは、低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ2個の光路は、可動機構によって可動可能な被測定物配置用の一方の光路と、可変遅延線を配置した他方の光路とからなることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する本発明の請求項9に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ計K+1個の対称マッハツェンダ型干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決する本発明の請求項10に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の一方の出力部と他方の入力部とを、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ長さが等しい導波路ペアを用いて接続した、K+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0018】
上記課題を解決する本発明の請求項11に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部のそれぞれ一方の出力と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部とを接続したK+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0019】
上記課題を解決する本発明の請求項12に係る光センサは、請求項1〜8において、前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部のそれぞれ一方の入力とを接続したK+1個の干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする。
【0020】
上記課題を解決する本発明の請求項13に係る光センサは、請求項4,8において、前記可動機構は、微小電機機械システム(MEMS:Micro−electro−mechanical systems)を用いたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光センサでは、導波路構成技術を駆使したマイケルソン型、あるいはマッハツェンダ型干渉計中に可変遅延線構成を組み込むことによって、可動部分をなくすあるいは必要最小限とすることができる。
また高速位相調整が可能な導波路材料を適用することによって、高速に遅延を変化させることができる。
その結果、小型かつ外乱による影響を受けにくく、高速測定が可能な優れた光センサを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、マイケルソン型干渉計又はマッハツェンダ型干渉計に基づいて物体の長手方向分布を測定する光センサに関し、例えば、平面光波回路上に可変遅延線等の主要な構成を形成することにより、小型で外乱による影響が受けにくく高速測定が可能な光センサを実現するものであり、以下の各実施例に記載のように多彩な機能の追加も実現できる。
【0023】
即ち、本発明において、長さ調節部分を光導波路構造の可変遅延線で構成することにより、導波路中の屈折率変化(<msec)を用いた位相調節によって、長さを最小サブμmオーダステップでサブμm〜mの範囲にわたって高精度かつ広範囲に変化させることができる。
そのため、長さ調節部分の可動部分の除去ができ、小型かつ外乱による影響を受けにくく、測定時間を短縮可能な光センサを構成することができる。
【実施例1】
【0024】
本発明に係る光センサの第1実施形態(請求項1)の構成例を図1に示す。
本実施形態の光センサは、シリコン基板上に形成した石英平面光波回路7、低コヒーレンス光源8、石英導波路9−1〜5、方向性結合器10、可変遅延線11、反射鏡12、受光器13、光ファイバ14、を備える2アーム光マイケルソン型干渉計である。
【0025】
図1に示すように、石英平面光波回路7においては、方向性結合器10の入力部である一方の石英導波路9−1に低コヒーレンス光源8が接続され、他方の石英導波路9−5に受光器13が接続され、方向性結合器10の出力部と反射鏡12とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中である石英導波路9−3,9−4に可変遅延線11が配置され、方向性結合器10の出力部に接続する他方のアーム端である石英導波路9−2は被測定物接続用とした。被測定物接続用石英導波路9−2は光ファイバ14を介して被測定物15に接続されている。方向性結合器10の結合率を変化させる、または、石英導波路9−2〜4のいずれか一つに対称マッハツェンダ型干渉計などの可変光アッテネータを配置することによって両アームの損失を同じにすることができ、高精度の測定を行うことができる。
【0026】
本実施形態では、小型化、安定化、低損失化を目的として、シリコン基板上に石英導波路(クラッド:SiO2、コア:SiO2−GeO2)を形成する平面光波回路技術を用いて可変遅延線11等の主要部分を構成している。
石英導波路では実現不可能な受発光素子である低コヒーレンス光源8は半導体あるいは光ファイバ素子{発光ダイオード(LED)、高輝度発光ダイオード(SLD)、希土類ドープ光ファイバ増幅器あるいは半導体レーザ増幅器の自然放出光(ASE光源)など}、受光器13は半導体素子を用い、平面光波回路にハイブリッド集積している。
【0027】
なお、石英導波路部分を、半導体、LiNbO3(LN)あるいはKTal-xNbxO3(KTN)等の強誘電体、ポリマー、光ファイバなど、またはこれらを複合した導波路構成で置き換えることももちろん可能である。
被測定物15は光ファイバ14を用いて石英平面光波回路7と接続している。
被測定物15を石英平面光波回路7中に配置して測定することも可能であるが、被測定物15の入れ替えを考慮して簡便で汎用的なファイバ接続の例を示した。
【0028】
なお可変遅延線11の遅延変化を用いて被測定物15内の全ての長手方向状態が測定可能なように、石英導波路9−2〜4,光ファイバ14の長さはあらかじめ調節されている。
可変遅延線11の構成例を図2に示す。
図1で図2の可変遅延線を使用した場合、請求項9の実施例に相当する。
図2の可変遅延線は、入力導波路17−1,2、一方のアーム上(クラッド上)に熱光学位相シフト用薄膜ヒータ(クロム、窒化タンタル等)18−1〜K+1(Kは1以上の整数)を配置した対称マッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチ19−1〜19−K+1、非対称アーム対20a−1〜K,20b−1〜K、出力導波路21−1,2、位相調節部22、から構成されている。
【0029】
入力導波路17−1,2のいずれかが石英導波路9−3と接続され、出力導波路21−1が石英導波路9−4と接続される。
非対称アーム対20a−1〜K,20b−1〜Kの長さの差ΔLKは本構成例ではΔLK=2K-1ΔLlと設定する。ただし、ΔLlは20a−1,20b−1の長さの差である。
2×2光スイッチ19−1〜19−K+1のスイッチング状態を変化させることによって、入力導波路17−1,2と出力導波路21−1,2間の特性として、0〜(2K−1)ΔL1の範囲をΔL1刻みで可変可能な計2K通りの相対遅延を最小構成で実現することができる。高々K=10で、1000点以上の測定を行うことができる。
反射型構成であるため、往復で、0〜(2K−1)2ΔL1の範囲を2ΔL1刻みで可変可能な計2K通りの相対遅延特性を得ることができる。
【0030】
なお、石英導波路は精密な設計および作製が可能なため、ΔL1を最小でμmあるいはサブμmオーダに設定することも可能である。
低コヒーレンス光源8の導波路内でのコヒーレンス長Lcを2ΔL1より小さく設定した場合、簡単のため石英導波路の等価屈折率と15の屈折率が同一と仮定すると、分解能ΔL1で15の長手方向の状態を測定可能となる。
位相調節部22はΔLKの作製誤差を補正するために用いられ、熱光学位相シフト用薄膜ヒータ18と同様に薄膜ヒータが用いられる。
熱光学位相シフトは、可変範囲、設定精度がそれぞれ、波長程度、波長の200分の1程度であるため、nmオーダの精度での長さ調節が可能となる。またμm以下オーダステップでの長さ調節部としては、位相シフタの縦続接続構成を用いることができる。
【0031】
なお、入力導波路17−1,2のいずれか、あるいは非対称アーム対20上のいずれかに位相調節部を配置することによっても同様の調節が可能である。
また、反射鏡12としては、1本の導波路の2箇所を50%結合方向性結合器で結合したループミラー(Sagnacミラー)、導波路型グレーティングなどの他、導波路端面に蒸着した金属などを用いることもできる。
ここで、図1,2の構成を用いる場合の被測定物スキャン測定時間Tmは、19のスイッチング時間をTsとすると、以下の式で表される。
【0032】
【数2】
【0033】
ただし、
【0034】
【数3】
【0035】
J:必要スイッチング回数、Lm:被測定物の長さで、[y]は正の実数yの整数部を表す。
長さ100mmの被測定物を分解能20μmで測定するものとすると、石英導波路あるいはポリマー導波路などの熱光学屈折率変化(Ts≒ms)を用いる場合、Tm≒5sとなる。
半導体導波路、強誘電体導波路、ポリマー導波路などの電気光学効果等の高速屈折率変化を用いる場合は、Ts<nsとすることは容易なので、Tm<5μsとすることができる。
【0036】
市販の可動反射ミラーを用いたOLCR装置AQ7410B(安藤電気製、分解能20μm)の測定速度は、40mm/s程度であるので、上記測定物の測定時間は、100mm/(40mm/s);2.5sとなる。
そのため図1,2に示す可動部分無しの構成を用いることによって、半導体導波路、強誘電体導波路を可変遅延線部に適用した場合には6桁以上の測定高速化が可能となり、石英導波路の適用でも従来構成程度オーダの速度での測定が小型の装置で可能となる。
【0037】
可変遅延線11の他の構成例を図3(a)に示す。
図1で図3(a)の可変遅延線を使用した場合、請求項10の実施例に相当する。
図3(a)に示すように、この可変遅延線は、入力導波路24−1,2、干渉計型2×2光スイッチ25−1〜K+1、非対称アーム対26a−1〜K,26b−1〜K、出力導波路27−1,2、位相調節部28、から構成されている。
干渉計型2×2光スイッチ25の構成例を図3(b)に示す。
【0038】
図3(b)に示すように、この干渉計型2×2光スイッチ25は、入力導波路29−1,2、方向性結合器30−1〜4、対称アーム対31a−1〜3,31b−1〜3、薄膜ヒータ32−1〜3、出力導波路33−1,2、から構成される。
薄膜ヒータ32−1,3を用い位相調節を行うことによって、アーム31a−1とアーム31b−1間、アーム31a−3とアーム31b−3間の位相をπ/2に設定する。
この場合、入力導波路29−1,2とアーム31a−2,31b−2間、アーム31a−2,31b−2と出力導波路33−1,2間の強度特性として、結合率50%の方向性結合器(3dB方向性結合器)を等価的に実現できる。
【0039】
図2の構成では、対称マッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチ19−1〜19−K+1中の方向性結合器の結合率(固定値)が50%からずれた場合、消光特性、即ちスイッチング特性が劣化する。
これに対し図3では、方向性結合器30−1〜4が50%からずれた場合でも、薄膜ヒータ32−1,3の調節により対称マッハツェンダ型干渉計1段の特性として3dB方向性結合器が実現できるため、干渉計型2×2光スイッチ25−1〜K+1全体の特性として良好な消光比のスイッチング特性が得られる。
干渉計型2×2光スイッチ25−1〜K+1は、対称マッハツェンダ型干渉計の2つの出力部と、他の対称マッハツェンダ型干渉計の2つの入力部とを接続した、2段縦続接続対称マッハツェンダ型干渉計構成と言い替えることもできる。
【0040】
可変遅延線11の他の具体例として、図4(a)の構成も可能である。
図4(a)に示すように、この可変遅延線は、入力導波路34−1、2、干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1、非対称アーム対36a−1〜K,36b−1〜K、出力導波路37−1,2、位相調節部38、から構成されている。
干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1の構成例を図4(b)或いは図4(c)に示す。
図4(a)の干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1として、図4(b)或いは図4(c)に示すものを使用した場合、それぞれ、請求項11,12の実施例に相当する。
【0041】
図4(b)において干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1は、入力導波路39−1〜4、方向性結合器40−1〜6、対称アーム対41a−1〜3,41b−1〜3、薄膜ヒータ42−1〜3、出力導波路43−1,2、から構成される。
また、図4(c)において干渉計型2×2光スイッチ35−1〜K+1は、入力導波路44−1,2、方向性結合器45−1〜6、対称アーム対46a−1〜3,46b−1〜3、薄膜ヒータ47−1〜3、出力導波路48−1〜4、から構成される。
【0042】
なお、(39−1、2)、(39−3,4)、(48−1,2)、(48−3,4)の組み合わせのうちいずれか一方が入出力部として用いられる。
図4(b)或いは図4(c)のいずれの構成も、対称マッハツェンダ型干渉計2段を、1ポートずつを縦続接続する構成を取っているため、対称マッハツェンダ干渉計型2×2光スイッチ19−1〜19−K+1よりも良好な消光特性を得ることができる。
また、可変遅延線11として、非対称アーム対の両端に対称マッハツェンダ型2×2スイッチを配置したものを単位とした非対称マッハツェンダ型干渉計を複数用意し、各非対称マッハツェンダ型干渉計の一方のアームを互いに接続する構成も用いることができる。
【実施例2】
【0043】
本発明に係る光センサの第2実施形態(請求項2)の構成例を図5に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路49、低コヒーレンス光源50、導波路51−1〜N+3、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ52、可変遅延線53、反射鏡54、受光器55、光ファイバ56−1〜N−1、を備えるNアーム光マイケルソン型干渉計である。
【0044】
図5に示すように、導波回路49において、2入力N出力の光スイッチ52の入力部の一方に導波路51−1を介して低コヒーレンス光源50が接続され、他方に導波路51−N+3を介して受光器55が接続され、光スイッチ52の出力部に接続するN個のアームのうち、1個のアーム中である導波路51−N+1と導波路51−N+2の間に可変遅延線53が配置され、そのアーム端である導波路51−N+2に反射鏡54が接続され、他の(N−1)個のアーム端である導波路51−2〜51−Nはいずれも被測定物接続用とした。被測定物接続用導波路51−2〜51−Nは光ファイバ56−1〜N−1を介して被計測物57が接続されている。
【0045】
光スイッチ52の構成例(2入力8出力)を図6に示す。
図6は、一方のポートに位相調節部58−1〜7を備えた対称マッハツェンダ型2×2光スイッチ59−1〜7をツリー状に縦続接続している。
その他、Y分岐型1×2ディジタル光スイッチをツリー状に縦続接続し、その入力部に方向性結合器の一方の出力ポートを接続する構成なども考えられる。
2入力N出力光スイッチ52で低コヒーレンス光源50からの低コヒーレンス光を導波路51−2〜Nのいずれか1つと導波路51−N+1に切り替え、可変遅延線53での遅延変化を利用して被測定物57の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる(N−1)本の導波路51−2〜Nに対して1回ずつ計(N−1)回繰り返す。
【0046】
光ファイバ56−1〜N−1と被測定物57の接続部が直線になっていると仮定すると、本操作により被測定物57の長手方向分布と光ファイバ56−1〜N−1に対して垂直方向の直線位置分布の情報、すなわち2次元分布情報を得ることができる。
なお、直線方向位置分布の分解能は、光ファイバ56−1〜N−1の配置位置に依存する。
なお、光ファイバ56−1〜N−1を被測定物57に対して2次元平面的に接続する場合、被測定物57の長手方向分布と光ファイバ56−1〜N−1に対して垂直方向の平面位置分布の情報、すなわち3次元分布情報を得ることができる。
【0047】
図5の光スイッチ52の出力部を積層導波路技術によって3次元空間上に構成し、被測定物を直接積層導波路に接続する構成例を図7(a)に示す。
図7(a)においては、図5の破線部6Aに相当する部分のみを示し、60−1〜3,61−1〜3,62はそれぞれ、位相調節部、対称マッハツェンダ型2×2光スイッチ、被測定物である。
簡単のため2層積層導波路構造を用い、2×4ツリー状スイッチを用いた例を示す。
【0048】
図中、太線、細線はそれぞれ、上層導波路、下層導波路を表すために用いており、導波路サイズを示すものではない。
図7(b)、図7(c)はそれぞれ、図7(a)中の矢印で示した方向のA−A’断面図、B−B’導波路断面図である。図7(b)においては、内部の導波路構成を破線で示している。
図7(a)に示すように、太線と細線が重なった部分で、上下方向に方向性結合器が構成されている。
【0049】
本構成により、平面に分布した対称マッハツェンダ型2×2光スイッチ61−2,3の出力部4点に対応した被測定物62の長手方向分布を測定することができる。
なお簡単のため2層積層導波路を用いた例を示したが、さらなる多層化によって測定点を増加させることができる。
図7の構成は図5のように光ファイバ56を用いないので、系の簡略化、小型化を図ることができる。
以上説明した2次元および3次元分布を可動部無しに測定する技術もまた、従来技術では実現不可能である。
【実施例3】
【0050】
本発明に係る光センサの第3実施形態(請求項3)の構成例を図8に示す。
図において、本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路63、低コヒーレンス光源64、導波路65−1〜N+3、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ66、可変遅延線67、反射鏡68、受光器69、電気配線70−1〜N+2、同期検波器71、電気発振器72,1入力多出力電気スイッチ73、光変調器74−1〜N−1、光ファイバ75−1〜N−1、を備えるNアーム光マイケルソン型干渉計である。
【0051】
図8に示すように、導波回路63において、2入力N出力の光スプリッタ66の入力部の一方に導波路65−1を介して低コヒーレンス光源64が接続され、他方に導波路65−N+3を介して受光器69が接続され、光スプリッタ66の出力部に接続するN個のアームのうち、1個のアーム中である導波路65−N+1と導波路65−N+2の間に可変遅延線67が配置されると共に当該アーム端である導波路65−N+2に反射鏡68が接続され、他の(N−1)個のアーム中である導波路65−2〜Nに光変調器74−1〜N−1がそれぞれ配置されると共に当該アーム端である導波路65−2〜Nは何れも被測定物接続用とした。被測定物接続用導波路65−2〜Nは光ファイバ75−1〜N−1を介して被測定物76が接続されている。
【0052】
低コヒーレンス光源64からの低コヒーレンス光を2入力N出力の光スプリッタ66で導波路65−2〜N+1に分配する。
1入力多出力電気スイッチ73を用いて電気発振器72の出力信号を切り替え、光変調器74−1〜N−1のいずれか1つを駆動して光に強度あるいは位相などの変調をかける。
同期検波器71による同期検波を用いて(N−1)個の導波路65−2〜Nを通過する光の分離を行い、可変遅延線67での遅延変化を利用して被測定物76の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる導波路65−2〜Nに対して1回ずつ計(N−1)回繰り返し、被測定物76の2次元あるいは3次元分布情報を得ることができる。
【0053】
図5の構成と比較して、光変調器74−1〜N−1および電気装置70〜73が増えるが、ツリー状光スイッチを用いる必要がないため導波回路部分は小型化することができる。
なお、電気発振器72と、対応する同期検波器71を(N−1)個ずつ用意し、1入力多出力電気スイッチ73を用いず電気発振器72の出力を直接用いて光変調器74−1〜N−1をそれぞれ異なる周波数で変調することによって、被測定物76からの(N−1)個の反射光を同時に測定することができる。
そのため電気装置数は増加するものの、図8の構成と比較して測定時間を(N−1)分の1以下に低減することができる。
【実施例4】
【0054】
本発明に係る光センサの第4実施形態(請求項4)の構成例を図9に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路77、低コヒーレンス光源78、導波路79−1〜5、方向性結合器80、可変遅延線81、反射鏡82、受光器83、被測定物84を設置する可動機構(図示省略)、を備える2アーム光マイケルソン型干渉計である。
【0055】
図9に示すように、導波回路77において、方向性結合器80の入力部の一方に導波路79−1を介して低コヒーレンス光源78が接続され、他方に導波路79−5を介して受光器83が接続され、方向性結合器80の出力部と光反射部82とを結ぶ該干渉計の一方のアームである導波路79−3と導波路79−4の間に可変遅延線81が配置され、方向性結合器80の出力部に接続する他方のアーム端である導波路79−2は被測定物接続用である。導波路79−2には、可動機構によって可動可能な被測定物84が接続される。
可動機構をMEMSとすれば、請求項13の実施例に相当する。
可動機構により被測定物84を導波路79−2に対して垂直面内で移動させた場合、複数のプローブ(導波路あるいはファイバ)を接触させる必要のない小型の系で被測定物84の3次元分布を測定することができる。
【実施例5】
【0056】
本発明に係る光センサの第5実施形態(請求項5)の構成例を図10に示す。
本実施形態の光センサは、シリコン基板上に形成した石英平面光波回路85、低コヒーレンス光源86、導波路87−1〜8、2個の方向性結合器88−1,2、可変遅延線89、受光器90、光ファイバ91−1,2、を備える2アーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0057】
図10に示すように、石英平面光波回路85において、方向性結合器88−1の入力部の一方に導波路87−1を介して低コヒーレンス光源86が接続され、方向性結合器88−2の出力部の一方に導波路87−8を介して受光器90が接続され、2個の方向性結合器88−1,2間を結ぶ該干渉計の2個のアームは、一方のアームである可変遅延線89を配置した導波路87−6,7と、他方のアームである導波路87−2,87−3及び被測定物配置用の光ファイバ91−1,2からなる。光ファイバ91−1,2の間には、被測定物92が配置される。
本実施形態においては、被測定物の反射光ではなく、その透過光を用いて低コヒーレンス光源による分布型干渉測定を行うものである。
方向性結合器88−1,2の結合率を変化させる、または、導波路87−2,3,6,7のいずれか一つに可変光アッテネータを配置することによって、マイケルソン型干渉計と同様に両アームの損失を同じにすることができ、高精度に測定を行うことができる。
【0058】
図10では一方のアームに可変遅延線89を配したマッハツェンダ型干渉計が構成されている。
可変遅延線89の遅延量を変化させアームの長さを変えることによって、他方のアームの被測定物92からの透過光の成分中、可変遅延線89からの透過光と長さがほぼ一致したもののみと干渉が生じる。
その干渉光強度を測定することによって、被測定物92の長手方向の状態を計測することができる。
【0059】
可変遅延線89として、前述の図2に構成を示す可変遅延線を用いた場合(請求項9の実施例に相当)、0〜(2K−1)ΔL1の範囲をΔL1刻みで可変可能な計2K通りの相対遅延特性を得ることができる。
低コヒーレンス光源86の導波路内でのコヒーレンス長LcをΔL1より小さく設定した場合、簡単のため石英導波路の等価屈折率と被測定物92の屈折率が同一と仮定すると、分解能ΔL1で被測定物92の長手方向の状態を測定可能となる。
【実施例6】
【0060】
本発明に係る光センサの第6実施形態(請求項6)の構成例を図11に示す。
本実施形態の光センサは、シリコン基板上に形成した石英平面光波回路93、低コヒーレンス光源94、導波路95−1〜2N+4,1入力N出力の光スイッチ96,N入力1出力の光スイッチ97、可変遅延線98、受光器99、光ファイバ100−1〜2N−2、を備えるNアーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0061】
図11に示すように、石英平面光波回路93において、1入力N出力光スイッチ96の入力部に導波路95−1を介して低コヒーレンス光源94が接続され、N入力1出力の光スイッチ97の出力部に導波路95−(2N+4)を介して受光器99が接続され、1入力N出力の光スイッチ96とN入力1出力の光スイッチ97を結ぶN個の光路である導波路95−2〜2N+3、被測定物配置用の光ファイバ100−1〜2N−2、可変遅延線98とからなる。光ファイバ100−1〜2N−2には、被測定物101が配置される。
1入力N出力光スイッチ96は、図6に示す構成例のもので入力ポートの一方を用いることにより実現できる。
N入力1出力光スイッチ97は、上記構成を左右反転させた構成により実現可能となる。
また、光スイッチ97は、単純なコンバイナ構成とすることもできるが、この場合、光スイッチ構成と比較して損失が増大する。
【0062】
1入力N出力光スイッチ96で低コヒーレンス光源94からの低コヒーレンス光を導波路95−2,4,6,...,2N−2,2Nのいずれか1つと導波路95−2N+2に切り替え、可変遅延線98での遅延変化を利用して被測定物101の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる(N−1)本の導波路95−2,4,6,...,2N−2,2Nに対して1回ずつ計(N−1)回繰り返す。
本操作により被測定物101の長手方向分布と光ファイバ100に対して垂直方向の位置分布の情報、すなわち2次元あるいは3次元分布情報を得ることができる。
【実施例7】
【0063】
本発明に係る光センサの第7実施形態(請求項7)の構成例を図12に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路102、低コヒーレンス光源103、導波路104−1〜2N+4、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ105、N入力1出力の光コンバイナ106、可変遅延線107、受光器108、電気配線109−1〜N+2、同期検波器110、電気発振器111,1入力多出力電気スイッチ112、光変調器113−1〜N−1、光ファイバ114−1〜2N−2、を備えるNアーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0064】
図12に示すように、導波回路102において、1入力N出力の光スプリッタ105の入力部に導波路104−1を介して低コヒーレンス光源103が接続され、N入力1出力の光コンバイナ106の出力部に導波路104−(2N+4)を介して受光器108が接続され、1入力N出力の光スプリッタ105とN入力1出力の光コンバイナ106の間を結ぶN個の光路は、光変調器113−1〜N−1を配置する導波路104−2〜2N+1及び被測定物配置用の光ファイバ114−1〜2N−2よりなる(N−1)個の光路と、可変遅延線107を配置した1個の光路である導波路104−(2N+2),104−(2N+3)とからなる。光ファイバ114−1〜2N−2には、被測定物115が配置される。
低コヒーレンス光源103からの低コヒーレンス光をスプリッタ105で導波路104−2,4,6,...,2N,2N+2に分配する。
【0065】
1入力多出力電気スイッチ112を用いて電気発振器111の出力信号を切り替え、光変調器113−1〜N−1のいずれか1つを駆動して光に強度あるいは位相などの変調をかける。
同期検波器110による同期検波を用いて(N−1)個の導波路104−3,5,7,....,2N−1,2N+1を通過する光の分離を行い、可変遅延線107での遅延変化を利用して被測定物115の長手方向分布計測を行う。
この操作を異なる導波路104−3,5,7,...,2N−1,2N+1に対して1回ずつ計(N−1)回繰り返すことによって、被測定物115の2次元あるいは3次元分布情報を得ることができる。
【0066】
図11の構成と比較して、光変調器113および電気配線109−1〜N+2、同期検波器110、電気発振器111,1入力多出力電気スイッチ112が増えるが、光スイッチ96,97を用いる必要がないため導波回路部分を小型化することができる。
なお、電気発振器111と、対応する同期検波器110を(N−1)個ずつ用意し、1入力多出力電気スイッチ112を用いず電気発振器111の出力を直接用いて光変調器113−1〜N−1をそれぞれ異なる周波数で変調することによって、導波路104からの(N−1)個の透過光を同時に測定することができる。
そのため電気装置数は増加するものの、図12の構成と比較して測定時間を(N−1)分の1以下とすることができる。
【実施例8】
【0067】
本発明に係る光センサの第8実施形態(請求項8)の構成例を図13に示す。
本実施形態の光センサは、基板上に形成した導波回路116、低コヒーレンス光源117、導波路118−1〜8、2個の方向性結合器119−1,2、可変遅延線120、受光器121、被測定物122を可動可能な可動機構(図示省略)、を備える2アーム光マッハツェンダ型干渉計である。
【0068】
図13に示すように、導波回路116において、2個の方向性結合器119−1,2間を結ぶ2個の光路は、被測定物配置用の一方の光路である導波路118−2,118−3と、可変遅延線120を配置した他方の光路である導波路118−6,118−7とからなる。導波路118−2,118−3の間には、可動機構によって可動可能な被測定物122が配置される。
可動機構をMEMSとすれば、請求項13の実施例に相当する。
被測定物122を導波路118−2,3に対して垂直面内で移動させた場合、複数のプローブ(導波路あるいはファイバ)を接触させる必要がない小型の系で被測定物122の3次元分布を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、光エレクトロニクス分野(集積光部品、光ファイバ等の各種光デバイスの分布診断)、医療・バイオ分野(生体細胞の断層分布診断)などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の光センサの第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1中の可変遅延線の構成例を示す概略構成図である。
【図3】図3(a)は図1中の可変遅延線を示す概略構成図、図3(b)は図3(a)中の干渉計型2×2光スイッチを示す概略構成図である。
【図4】図4(a)は図1中の可変遅延線を示す概略構成図、図4(b)(c)は、何れも図4(a)中の干渉計型2×2光スイッチを示す概略構成図である。
【図5】本発明の光センサの第2実施形態を示す概略構成図である。
【図6】図5中の光スイッチを示す概略構成図である。
【図7】図7(a)は図5の光センサの他の実施形態を示す概略構成図、図7(b)、図7(c)は、それぞれ図7(a)中のA−A’断面図、B−B’断面図である。
【図8】本発明の光センサの第3実施形態を示す概略構成図である。
【図9】本発明の光センサの第4実施形態を示す概略構成図である。
【図10】本発明の光センサの第5実施形態を示す概略構成図である。
【図11】本発明の光センサの第6実施形態を示す概略構成図である。
【図12】本発明の光センサの第7実施形態を示す概略構成図である。
【図13】本発明の光センサの第8実施形態を示す概略構成図である。
【図14】従来の光センサ(OLCR装置)を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0071】
1 低コヒーレンス光源
2−1〜4 光路
3 ビームスプリッタ
4 被測定物
5 可動反射鏡
6 受光器(O/E変換器)
7 石英平面光波回路
8 低コヒーレンス光源
9−1〜5 石英導波路
10 方向性結合器
11 可変遅延線
12 反射鏡
13 受光器
14 光ファイバ
15 被測定物
17−1,2 入力導波路
18−1〜K+1 薄膜ヒータ
19−1〜19−K+1 対称マッツェンダ干渉計型2×2光スイッチ
20a−1〜K,20b−1〜K 非対称アーム対
21−1,2 出力導波路
22 位相調節部
24−1,2 入力導波路
25−1〜K+1 干渉計型2×2光スイッチ
26a−1〜K,26b−1〜K 非対称アーム対
27−1,2 出力導波路
28 位相調節部
29−1,2 入力導波路
30−1〜4 方向性結合器
31a−1〜3,31b−1〜3 対称アーム対
32−1〜3 薄膜ヒータ
33−1,2 出力導波路
34−1,2 入力導波路
35−1〜K+1 干渉計型2×2光スイッチ
36a−1〜K,36b−1〜K 非対称アーム対
37−1,2 出力導波路
38 位相調節部
39−1〜4 入力導波路
40−1〜6 方向性結合器
41a−1〜3,41b−1〜3 対称アーム対
42−1〜3 薄膜ヒータ
43−1,2 出力導波路
44−1,2 入力導波路
45−1〜6 方向性結合器
46a−1〜3,46b−1〜3 対称アーム対
47−1〜3 薄膜ヒータ
48−1〜4 出力導波路
49 導波回路
50 低コヒーレンス光源
51−1〜N+3 導波路
52 光スイッチ
53 可変遅延線
54 反射鏡
55 受光器
56−1〜N−1 光ファイバ
57 被測定物
58−1〜7 位相調節部
59−1〜7 対称マッツェンダ型2×2光スイッチ
60−1〜3 位相調節部
61−1〜3 対称マッツェンダ型2×2光スイッチ
62 被測定物
63 導波回路
64 低コヒーレンス光源
65−1〜N+3 導波路
66 光スプリッタ
67 可変遅延線
68 反射鏡
69 受光器
70−1〜N+2 電気配線
71 同期検波器
72 電気発振器
73 1入力多出力電気スイッチ
74−1〜N−1 光変調器
75−1〜N−1 光ファイバ
76 被測定物
77 導波回路
78 低コヒーレンス光源
79−1〜5 導波路
80 方向性結合器
81 可変遅延線
82 反射鏡
83 受光器
84 可動機構に設置された被測定物
85 石英平面光波回路
86 低コヒーレンス光源
87−1〜8 導波路
88−1,2 方向性結合器
89 可変遅延線
90 受光器
91−1,2 光ファイバ
92 被測定物
93 石英平面光波回路
94 低コヒーレンス光源
95−1〜2N+4導波路
96 1入力N出力光スイッチ
97 N入力1出力光スイッチ
98 可変遅延線
99 受光器
100−1〜2N−2 光ファイバ
101 被測定物
102 導波回路、
103 低コヒーレンス光源
104−1〜2N+4 導波路
105 光スプリッタ
106 光コンバイナ
107 可変遅延線
108 受光器
109−1〜N+2 電気配線
110 同期検波器
111 電気発振器
112 1入力多出力電気スイッチ
113−1〜N−1 光変調器
114−1〜2N−2 光ファイバ
115 被測定物
116 導波回路
117 低コヒーレンス光源
118−1〜8 導波路
119−1,2 方向性結合器
120 可変遅延線
121 受光器
122 可動機構に設置された被測定物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項2】
低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スイッチの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スイッチの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スイッチの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スイッチの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム端はいずれも被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項3】
低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スプリッタの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スプリッタの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スプリッタの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スプリッタの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム中に光変調器をそれぞれ配置すると共に当該アーム端は何れも被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項4】
低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器を接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は可動機構によって可動可能な被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項5】
低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ該干渉計の2個のアームは、可変遅延線を配置した一方のアームと、被測定物配置用の他方のアームからなることを特徴とする光センサ。
【請求項6】
低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、N入力1出力の光スイッチ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スイッチ間を結ぶN個の光路は、被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする光センサ。
【請求項7】
低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、N入力1出力の光コンバイナ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スプリッタと該光コンバイナ間を結ぶN個の光路は、光変調器を配置すると共に被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする光センサ。
【請求項8】
低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ2個の光路は、可動機構によって可動可能な被測定物配置用の一方の光路と、可変遅延線を配置した他方の光路とからなることを特徴とする光センサ。
【請求項9】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ計K+1個の対称マッハツェンダ型干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項10】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の一方の出力部と他方の入力部とを、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ長さが等しい導波路ペアを用いて接続した、K+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項11】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部のそれぞれ一方の出力と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部とを接続したK+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項12】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部のそれぞれ一方の入力とを接続したK+1個の干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項13】
前記可動機構は、MEMS(Micro‐electro‐mechanical systems)機構を用いたものであることを特徴とする請求項4又は8に記載の光センサ。
【請求項1】
低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項2】
低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スイッチの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スイッチの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スイッチの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スイッチの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム端はいずれも被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項3】
低コヒーレンス光源、2入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マイケルソン型干渉計であって、該光スプリッタの入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器をそれぞれ接続し、該光スプリッタの出力部に接続するN個のアームのうち、該光スプリッタの出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の1個のアーム中に可変遅延線を配置し、該光スプリッタの出力部に接続する他の(N−1)個のアーム中に光変調器をそれぞれ配置すると共に当該アーム端は何れも被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項4】
低コヒーレンス光源、方向性結合器、光反射部、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マイケルソン型干渉計であって、該方向性結合器の入力部の一方に該低コヒーレンス光源を、他方に該受光器を接続し、該方向性結合器の出力部と該光反射部とを結ぶ該干渉計の一方のアーム中に可変遅延線を配置し、該方向性結合器の出力部に接続する他方のアーム端は可動機構によって可動可能な被測定物接続用としたことを特徴とする光センサ。
【請求項5】
低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ該干渉計の2個のアームは、可変遅延線を配置した一方のアームと、被測定物配置用の他方のアームからなることを特徴とする光センサ。
【請求項6】
低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スイッチ、N入力1出力の光スイッチ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スイッチ間を結ぶN個の光路は、被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする光センサ。
【請求項7】
低コヒーレンス光源、1入力N出力(Nは3以上の整数)の光スプリッタ、N入力1出力の光コンバイナ、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有するNアーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該光スプリッタと該光コンバイナ間を結ぶN個の光路は、光変調器を配置すると共に被測定物配置用の(N−1)個の光路と、可変遅延線を配置した1個の光路とからなることを特徴とする光センサ。
【請求項8】
低コヒーレンス光源、2個の方向性結合器、受光器、およびこれらを光学的に接続する光路を有する2アーム光マッハツェンダ型干渉計であって、該2個の方向性結合器間を結ぶ2個の光路は、可動機構によって可動可能な被測定物配置用の一方の光路と、可変遅延線を配置した他方の光路とからなることを特徴とする光センサ。
【請求項9】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ計K+1個の対称マッハツェンダ型干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項10】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の一方の出力部と他方の入力部とを、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ長さが等しい導波路ペアを用いて接続した、K+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項11】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部のそれぞれ一方の出力と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部とを接続したK+1個の多段干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項12】
前記可変遅延線は、長さの差がΔL,2ΔL,4ΔL、…、2K-2ΔL,2K-1ΔLであるK個(Kは1以上の整数)の遅延線ペア間および両端の遅延線ペアの前後を、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ対称マッハツェンダ型干渉計の両方の出力部と、少なくとも一方のアーム上に位相調節部を持つ2つの対称マッハツェンダ型干渉計の両方の入力部のそれぞれ一方の入力とを接続したK+1個の干渉計で接続し、入出力部、遅延線部の少なくとも1箇所に位相調節部を有するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8に記載の光センサ。
【請求項13】
前記可動機構は、MEMS(Micro‐electro‐mechanical systems)機構を用いたものであることを特徴とする請求項4又は8に記載の光センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−23409(P2006−23409A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199973(P2004−199973)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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