説明

光ディスク再生装置

【課題】消費電力と制御部の稼働率とを抑えることができるインターネットに接続可能な光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】インターネット接続可能なLANモジュール9と、LANモジュール9を制御する制御部6とを備え、光ディスクの再生中であって、インターネット接続が不要な期間中は、LANモジュール9の動作が一時停止する光ディスク再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク再生装置に関し、特にインターネットに接続可能な光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
BD−ray Disc(登録商標。以下「BD」という)には、プロファイルと呼ばれる規格が規定されている。BD−ROMの最新規格である「BD−ROM Profile 2.0」には、新たに「BD−Live」という機能が定義されている。
【0003】
「BD−Live」は、再生中であるBDのコンテンツに対応した補助データを、LAN(Local Area Network)モジュールを利用してインターネット経由でダウンロードして補助記憶装置(容量が1Gバイト以上の記憶装置)に記録し、ダウンロードした補助データを利用しながらBDのコンテンツを再生する機能である。
【0004】
ダウンロードされる補助データとしては、例えば、映画の予告編の映像、特典映像、追加言語の字幕や吹き替え、特典映像を見るためにパスワード等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−263873号公報
【特許文献2】特開2009−15900号公報
【特許文献3】特開2002−142141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年の光ディスク再生装置には、光ディスクの再生機能以外に、LANモジュールを利用したインターネット経由でのコンテンツのストリーミング再生機能等を有するものがある。従来、このような光ディスク再生装置では、光ディスク再生装置の動作中は常時LANモジュールが動作していた。
【0007】
従来の「BD−Live」対応光ディスク再生装置においても、同様に、光ディスク再生装置の動作中は常時LANモジュールが動作していた。しかしながら、BDの再生中にインターネット接続が必要な場面は限られており、LANモジュールの常時動作が光ディスク再生装置のCPU(Central Processing Unit)資源や消費電力の浪費を引き起こしているという問題があった。
【0008】
なお、「BD−Live」対応光ディスク再生装置に限らず、光ディスクの再生中にインターネット接続が必要な場面の限られている光ディスク再生装置全般について同様の問題が生じる。
【0009】
特許文献1〜3には消費電力の低減技術が開示されているが、光ディスクの再生中にインターネット接続が必要な場面の限られている光ディスク再生装置における消費電力の低減技術については、特許文献1〜3のいずれにも開示も示唆もされていない。
【0010】
本発明は、上記の状況に鑑み、消費電力と制御部の稼働率とを抑えることができるインターネットに接続可能な光ディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明に係る光ディスク再生装置は、インターネット接続可能なLANモジュールと、前記LANモジュールを制御する制御部とを備え、光ディスクの再生中であって、インターネット接続が不要な期間中は、前記LANモジュールの動作が一時停止する構成とする。
【0012】
このような構成によると、光ディスクの再生中であって、インターネット接続が不要な期間中は前記LANモジュールの動作が一時停止するので、消費電力と前記制御部の稼働率とを抑えることができる。
【0013】
また、前記光ディスク再生装置が、前記LANモジュールを利用して、インターネット上の所定のWebサイトにアクセスし、再生中であるBD−ray Disc(登録商標)のコンテンツに対応した補助データをインターネット経由でダウンロードして前記BD−ray Disc以外の記憶装置に記録し、ダウンロードした補助データを利用しながら前記BD−ray Discのコンテンツを再生する特殊再生機能を有する光ディスク再生装置であって、前記BD−ray Discの再生中であって、インターネット接続が不要な期間中は、前記LANモジュールの動作が一時停止するようにしてもよい。
【0014】
また、前記BD−ray Discの再生中であって、インターネット接続が不要な期間の少なくとも一つが、前記BD−ray Discに記録されている本編映像の再生開始から前記本編映像の再生停止またはポップアップメニューの表示開始までの期間であり、前記ポップアップメニューが前記特殊再生機能の選択項目を含んでいるようにしてもよい。
【0015】
また、前記BD−ray Discの再生中であって、インターネット接続が不要な期間の少なくとも一つが、前記ポップアップメニューの表示終了から前記本編映像の再生停止または前記ポップアップメニューの表示再開までの期間であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る光ディスク再生装置によると、光ディスクの再生中であって、インターネット接続が不要な期間中はLANモジュールの動作が一時停止するので、消費電力とLANモジュールを制御する制御部の稼働率とを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る光ディスク再生装置の一概略構成例を示す図である。
【図2】図1に示す光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】トップメニューの表示例を示す図である。
【図4】トップメニューの表示例を示す図である。
【図5】ポップアップメニューの表示例を示す図である。
【図6】ポップアップメニューの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る光ディスク再生装置の一概略構成例を図1に示す。
【0019】
図1に示す光ディスク再生装置は、再生機能以外に録画機能も有するBDレコーダであって、チューナ1と、映像音声処理部2と、OSD(On Screen Display)部3と、出力部4と、光ディスク記録再生部5と、制御部6と、不揮発性メモリ7と、受光部8とを備えている。なお、制御部6には例えばCPUを用いるとよい。
【0020】
チューナ1は、アンテナ10から受け取ったテレビ放送信号の選局及び復調(例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調)を行う。映像音声処理部2は、チューナ1から受け取った映像音声信号又は光ディスク記録再生部5で再生された映像音声信号を出力部4に送ったり、チューナ1から受け取った映像音声信号を光ディスク記録再生部5に送ったりする。OSD部3は、制御部6からの指示に基づいて生成したOSD画像データを出力部4に送る。出力部4は、映像音声処理部2から受け取った映像信号とOSD部3から受け取ったOSD画像データとを合成した合成映像信号を外部に出力したり、上記合成処理を行わず映像音声処理部2から受け取った映像信号をそのまま外部に出力したり、上記合成処理を行わずOSD部3から受け取ったOSD画像データをそのまま外部に出力したり、映像音声処理部2から受け取った音声信号を外部に出力したりする。出力部4の出力信号は、図1に示す光ディスク再生装置に接続されるテレビ受像機(不図示)に送出される。図1に示す光ディスク再生装置に接続されるテレビ受像機は、出力部4の出力信号に基づく映像表示および音声出力を行う。
【0021】
光ディスク記録再生部5は、映像音声処理部2から受け取った映像音声信号を光ディスクに記録したり、光ディスクに記録されている映像音声信号を再生したりする。なお、光ディスクは、光ディスク記録再生部5に対して着脱自在に装着される。また、光ディスク記録再生部5は、BD、DVD、CDに対応しており、光ディスクが装着されると光ディスクの種類の判別を行い、判別結果に応じた再生あるいは記録を行う。
【0022】
受光部8は、リモコン送信機(不図示)から送信されたリモコン赤外線信号を受光して電気信号に変換し、さらにその電気信号から操作コードを抽出して制御部6に出力する。制御部6は、不揮発性メモリ7に格納されている制御プログラム及び各種設定(例えば、各操作コードと各機能との対応関係を示すデータテーブル等)と、受光部8から受け取った操作コードと、図1に示す光ディスク再生装置の本体に設けられている操作キー群(不図示)から出力される信号によって定まる操作コードとに応じて、図1に示す光ディスク再生装置の各部を制御する。
【0023】
LANモジュール9は、ネットワークに接続されたモデム(不図示)を介して容易にインターネットに接続することができる。「BD−Live」の実行において、制御部6は、LANモジュール9を利用して、インターネット上の所定の「BD−Live」に対応したWebサイトにアクセスし、再生中であるBDのコンテンツに対応した補助データをインターネット経由でダウンロードして不揮発性メモリ7に記録し、ダウンロードした補助データを利用しながらBDのコンテンツを再生するための再生動作制御を行う。
【0024】
以上のような構成である図1に示す光ディスク再生装置の動作について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0025】
図1に示す光ディスク再生装置の電源がオン状態になると、図2のフローチャート動作が開始する。
【0026】
まずステップS10において、LANモジュール9が起動する。そして、ステップS10に続くステップS20において、図1に示す光ディスク再生装置が提供する各種サービスを表示するホームメニューを表示するためのOSD画像データが出力部4から出力され、図1に示す光ディスク再生装置に接続されるテレビ受像機の表示画面にホームメニューが表示される。
【0027】
ステップS20に続くステップS30において、制御部6は、ユーザがホームメニュー上の光ディスクサービスを選択する操作をリモコン送信機あるいは図1に示す光ディスク再生装置の本体に設けられている操作キー群に対して行った否かを判定する。
【0028】
光ディスクサービス以外のサービスが選択された場合(ステップS30のNO)、図1に示す光ディスク再生装置は選択されたサービスの処理を実行する(ステップS130)。選択されたサービスがインターネット経由でのコンテンツのストリーミング再生サービスやインターネットラジオサービスであれば、インターネット接続が必要であるのでLANモジュール9の動作状態を維持するが、選択されたサービスがインターネット接続を必要としないサービスであれば、LANモジュール9の動作を一時停止させるとよい。
【0029】
一方、光ディスクサービスが選択された場合(ステップS30のYES)、制御部6は、光ディスク記録再生部5から情報を取得して、光ディスク記録再生部5に光ディスクが挿入されているか否かを判定する(ステップS40)。そして、光ディスクが挿入されていれば(ステップS40のYES)、ステップS50に移行する。
【0030】
ステップS50において、制御部6は、光ディスク記録再生部5から情報を取得して、光ディスク記録再生部5に挿入されている光ディスクがBDであるか否かを判定する。
【0031】
光ディスク記録再生部5に挿入されている光ディスクがBDでなくDVDあるいはCDである場合(ステップS50のNO)、制御部6は、DVDあるいはCDに応じた再生や記録を行うように、光ディスク記録再生部5を制御する(ステップS140)。CDやDVDの再生時にインターネット接続が必要となる可能性がないため、ステップS140ではLANモジュール9の動作を一時停止させる。
【0032】
一方、光ディスク記録再生部5に挿入されている光ディスクがBDである場合(ステップS50のYES)、ステップS60に移行する。
【0033】
ステップS60では、制御部6が、光ディスク記録再生部5から情報を取得して、BDに記録されている本編映像の再生が開始されているか否かを判定する。BDには、自動的に本編映像の再生が開始されるものと、トップメニュー中の「PLAY MOVIE(本編映像の再生)」を選択して初めて本編映像の再生が開始されるものとがある。
【0034】
自動的に本編映像の再生が開始されるものであれば、ただちにステップS70に移行する。
【0035】
これに対して、トップメニュー中の「PLAY MOVIE(本編映像の再生)」を選択して初めて本編映像の再生が開始されるものであれば、ステップS60の開始時に、トップメニューを表示するためのOSD画像データが出力部4から出力され、図1に示す光ディスク再生装置に接続されるテレビ受像機の表示画面に図3に示すトップメニューが表示される。図3において太枠で示されているフォーカス枠は、ユーザがリモコン送信機あるいは図1に示す光ディスク再生装置の本体に設けられている操作キー群を操作することで移動可能である。このフォーカス枠は選択候補を意味しており、選択確定のユーザ操作により、フォーカス枠の項目を選択することができる。図3に示す表示状態において「SPECIAL FEATURES」が選択されると、図4に示す表示状態になり、「BD Live」が選択可能となる。この種のBDの場合、トップメニュー中の「PLAY MOVIE(本編映像の再生)」が選択されると、ステップS70に移行する。
【0036】
本編映像の再生が一旦開始されると、ポップアップメニューが表示されない限り「BD−Live」が選択される可能性がないので、ステップS70においてLANモジュール9の動作を一時停止させる。
【0037】
ステップS70に続くステップS80において、制御部6は、本編映像の再生を停止させたか否かを判定する。本編映像の再生を停止させた場合(ステップS80のYES)、ステップS10に移行する。一方、本編映像の再生を停止させていない場合(ステップS80のNO)、ステップS90に移行する。
【0038】
ステップS90において、制御部6は、ポップアップメニューが表示されているか否かを判定する。
【0039】
本編映像の再生中にユーザがリモコン送信機のメニューキーを押下すると、ポップアップメニューを表示するためのOSD画像データが出力部4から出力され、図1に示す光ディスク再生装置に接続されるテレビ受像機の表示画面に図5に示すポップアップメニューが表示される。図5において太枠で示されているフォーカス枠は、ユーザがリモコン送信機あるいは図1に示す光ディスク再生装置の本体に設けられている操作キー群を操作することで移動可能である。このフォーカス枠は選択候補を意味しており、選択確定のユーザ操作により、フォーカス枠の項目を選択することができる。図5に示す表示状態において「SPECIAL FEATURES」が選択されると、図6に示す表示状態になり、「BD Live」が選択可能となる。すなわち、ポップアップメニューの表示中には、インターネット接続が必要となる可能性がある。
【0040】
このため、ポップアップメニューが表示されている場合(ステップS90のYES)、LANモジュール9を再度起動させる(ステップS100)。一方、ポップアップメニューが表示されていない場合(ステップS90のNO)、ステップS80に戻り、LANモジュール9の動作の一時停止を維持する。
【0041】
ステップS100に続くステップS110において、制御部6は、ポップアップメニューが非表示になったか否かを判定する。
【0042】
ポップアップメニューの表示中にユーザがリモコン送信機のメニューキーを押下すると、ポップアップメニューを表示するためのOSD画像データが出力部4から出力されなくなり、ポップアップメニューが非表示となる。
【0043】
ポップアップメニューが非表示になった場合(ステップS110のYES)、再度ポップアップメニューが表示されない限り「BD−Live」が選択される可能性がないので、ステップS120においてLANモジュール9の動作を一時停止させ、その後ステップS80に戻る。
【0044】
以上のような動作により、BDの再生中であって、「BD−Live」が選択される可能性がない期間(インターネット接続が不要な期間)中は、LANモジュール9の動作が一時停止する。これにより、消費電力とLANモジュール9を制御する制御部6の稼働率とを抑えることができる。
【0045】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、「BD−Live」によりダウンロードした補助データを不揮発性メモリ7に記録したが、光ディスク再生装置にUSB(Universal Serial Bus)コネクタやSDカードスロット等の外部メモリ用インターフェースを備えている場合は外部メモリ用インターフェースに接続される外部メモリに記録してもよい。
【0047】
また、例えば、上述した実施形態では、一旦ポップアップメニューが表示されると、ポップアップメニューの非表示が指示されるまでポップアップメニューの表示を維持し続けるが、ポップアップメニューの表示開始から所定の時間が経過すると強制的にステップS120に移行してポップアップメニューを非表示にするようにしてもよく、また、ポップアップメニューの表示開始から所定の時間が経過すると強制的にスクリーンセーバー表示に切り替わりその後何らかのユーザ操作がある迄はスクリーンセーバー表示を維持するようにしてもよい。なお、スクリーンセーバーの表示中は、「BD−Live」が選択される可能性がなく、インターネット接続が不要であるため、LANモジュール9の動作を一時停止させることが望ましい。
【符号の説明】
【0048】
1 チューナ
2 映像音声処理部
3 OSD部
4 出力部
5 光ディスク記録再生部
6 制御部
7 不揮発性メモリ
8 受光部
9 LANモジュール
10 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット接続可能なLANモジュールと、
前記LANモジュールを制御する制御部とを備え、
光ディスクの再生中であって、インターネット接続が不要な期間中は、前記LANモジュールの動作が一時停止することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
前記光ディスク再生装置が、前記LANモジュールを利用して、インターネット上の所定のWebサイトにアクセスし、再生中であるBD−ray Disc(登録商標)のコンテンツに対応した補助データをインターネット経由でダウンロードして前記BD−ray Disc以外の記憶装置に記録し、ダウンロードした補助データを利用しながら前記BD−ray Discのコンテンツを再生する特殊再生機能を有する光ディスク再生装置であって、
前記BD−ray Discの再生中であって、インターネット接続が不要な期間中は、前記LANモジュールの動作が一時停止することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記BD−ray Discの再生中であって、インターネット接続が不要な期間の少なくとも一つが、
前記BD−ray Discに記録されている本編映像の再生開始から前記本編映像の再生停止またはポップアップメニューの表示開始までの期間であり、
前記ポップアップメニューが前記特殊再生機能の選択項目を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
前記BD−ray Discの再生中であって、インターネット接続が不要な期間の少なくとも一つが、
前記ポップアップメニューの表示終了から前記本編映像の再生停止または前記ポップアップメニューの表示再開までの期間である請求項3に記載の光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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