光ディスク判別装置
【目的】 サーボループを発振状態にすることなく、確実にディスク判別を行うことができるディスク判別装置を提供する。
【構成】 焦点位置制御部で焦点位置をフィードバック制御しつつ光ディスクに照射した判別光の反射光を受光し、光検出信号を出力する受光手段と、ゲイン切換信号に対応する増幅率で光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として出力する増幅手段と、増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力する比較手段と、比較結果信号に基づいて光ディスクの種別を判別するとともに、光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応するゲイン切換信号を出力し、光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応するゲイン切換信号を出力する制御手段と、を備える。
【構成】 焦点位置制御部で焦点位置をフィードバック制御しつつ光ディスクに照射した判別光の反射光を受光し、光検出信号を出力する受光手段と、ゲイン切換信号に対応する増幅率で光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として出力する増幅手段と、増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力する比較手段と、比較結果信号に基づいて光ディスクの種別を判別するとともに、光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応するゲイン切換信号を出力し、光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応するゲイン切換信号を出力する制御手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスクに各種情報を記録し、光ディスクの記録情報を再生する情報記録再生装置に用いられる光ディスク判別装置に係り、特に反射率の異なる複数種類の光ディスクを記録再生可能な情報記録再生装置に用いられる光ディスク判別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に複数種類の光ディスクを再生可能な光ディスク再生装置が知られている。
【0003】この様な光ディスク再生装置においては、いずれのディスクが装着されたのかを自動的に判別する光ディスク判別動作が重要となる。特に光源から光ディスクへ照射される光量に対する反射光量の比、すなわち、反射率が異なる複数種類の光ディスクからその記録情報を再生する記録情報再生装置においては、光ディスク判別動作は重要な動作となる。
【0004】なぜなら、フォーカスサーボ回路やトラッキングサーボ回路はそのゲインや帯域等を装着された光ディスクの反射率によって規定されるため、対応する制御を行わなければ安定したサーボ制御を行うことができず、したがって、安定な再生動作を行えないからである。
【0005】そこで、従来の光ディスク判別装置においては、ディスク判別用の光ディテクタを設け、その出力信号レベルをディスク判別用のコンパレータにより予め設定した基準信号レベルと比較して判別するような構成を取っていた(特開昭59−98324号公報、特に第3図乃至第5図並びにその関連説明参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の光ディスク再生装置においては、ディスクの種別を判別するための判別用ディテクタ及びコンパレータをサーボ信号生成用に用いられる4分割ディテクタとは別個に設けていたため、装置が大型化してしまうという問題点があった。
【0007】これを解決するため、4分割ディテクタを判別用ディテクタとして兼用することが考えられるが、単に4分割ディテクタを兼用するだけでは、以下の様な問題点を生じる。
【0008】すなわち、従来の光ディスク再生装置において、単に4分割ディテクタを兼用するとサーボ制御を行いつつディスクの判別を行うこととなるため、装着されたディスクに対応していない不適切なサーボゲインが設定されている可能性が生じる。
【0009】このため、例えば、低い反射率を有するディスクに対応するサーボゲイン、すなわち、高いゲインが設定されている場合に、高い反射率を有するディスクが装着された場合、サーボループが発振状態となり、安定に動作させることができないという問題点が生じる。
【0010】そこで、本発明の目的は、サーボ信号生成用のディテクタをディスク判別用ディテクタに兼用した場合であっても、サーボループを発振状態にすることなく、確実にディスク判別を行うことができるディスク判別装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、判別光の焦点位置をフィードバック制御する焦点位置制御部を有し、光ディスクに照射した前記判別光の反射光に基づいて光学特性の異なる複数の光ディスクの種別を判別可能な光ディスク判別装置であって、前記反射光を受光し、光検出信号を出力する受光手段と、ゲイン切換信号に対応する増幅率で前記光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として出力する増幅手段と、前記増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力する比較手段と、前記比較結果信号に基づいて前記光ディスクの種別を判別するとともに、前記光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力し、前記光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力する制御手段と、を備えて構成する。
【0012】
【作用】本発明によれば、受光手段は、焦点位置制御部により判別光の焦点位置をフィードバック制御しつつ光ディスクに照射した判別光の反射光を受光し、光検出信号を増幅手段に出力する。
【0013】これと並行して制御手段は、光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応するゲイン切換信号を出力する。これにより、増幅手段は、制御手段から入力されたゲイン切換信号に対応する増幅率、すなわち、ディスク判別開始時には最低の増幅率で光検出信号を増幅し、光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応する増幅率で光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として比較手段に出力し、比較手段は、入力された増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を制御手段に出力する。
【0014】この結果、制御手段は、比較結果信号に基づいて光ディスクの種別を判別するに際し、焦点位置制御部におけるフィードバックループが発振することがないので、確実にディスク判別を行うことができる。
【0015】
【実施例】次に図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。
第1実施例図1に光ディスク再生装置のサーボ系(フォーカス及びトラッキングサーボ)の概要構成ブロック図を示す。
【0016】サーボ系1は、光ディスクに照射された読出光であるレーザ光の反射光を受光して光検出信号B1 〜B4 を出力する4分割フォトディテクタ2と、光検出信号B1 〜B4 をそれぞれ増幅して増幅光検出信号AB1 〜AB4 として出力する可変利得アンプ部3と、増幅光検出信号AB1 〜AB4 に基づいて装着された光ディスクの種別を判別し、ディスク判別信号DDを出力するディスク判別回路3と、増幅光検出信号AB1 〜AB4 に基づいてフォーカスエラー信号FEを出力する第1差動アンプ5と、フォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカスアクチュエータコイル6を駆動し、対物レンズ7をフォーカス方向に駆動してフォーカシング制御を行うとともに、フォーカスロック時(フォーカスエラー信号FEのゼロクロス時)にフォーカスロック信号FLを出力するフォーカスサーボ回路8と、光ディスクに照射された読出光であるレーザ光の反射光を受光して光検出信号T1 を出力する第1フォトディテクタ9と、同様に光検出信号T2 を出力する第2フォトディテクタ10と、光検出信号T1 及び光検出信号T2 に基づいてトラッキングエラー信号TEを出力する第2差動アンプ11と、トラッキングエラー信号TEに基づいてトラッキングアクチュエータコイル12を駆動し、対物レンズ7をトラッキング方向に駆動してトラッキング制御を行うトラッキングサーボ回路13と、ディスク判別信号DD及びフォーカスロック信号FLが入力され、フォーカス制御時に“H”レベルとなるフォーカスオン命令信号FO、トラッキング制御時に“H”レベルとなるトラッキングオン命令信号及び可変利得アンプのゲイン設定を行うためのゲイン制御信号GCを出力するとともに、光ディスク再生装置全体の制御を行うコントローラ14と、を備えて構成されている。尚、トラッキングアクチュエータコイル12及び抵抗Rの中間接続点の信号は図示しないスライダサーボ回路に出力され、スライダサーボ制御に用いられる。
【0017】図2に可変利得アンプ部3及びディスク判別回路4の詳細構成ブロック図を示す。まず、図2を参照して可変利得アンプ部3の構成を説明する。
【0018】可変利得アンプ部3は、コントローラ14からのゲイン制御信号GCによりそのゲインをLDが装着されている場合には標準ゲインとし、追記型のLD(以下、LDW[LD Write once ]という。)が装着されている場合には標準ゲインの5倍の高ゲインとして、4分割ディテクタの各受光面D1 〜D4 からそれぞれ出力される光検出信号B1 〜B4 をそれぞれ増幅して増幅光検出信号AB1 〜AB4 としてそれぞれ出力する4個の可変利得アンプ31〜34を備えて構成されている。この場合において、LDW装着時のゲインを標準ゲインの5倍の高ゲインとするのは、LDと比較してLDWの反射率がおよそ1/5倍となっているからである。したがって、装着するディスクの反射率に応じて各可変利得アンプのゲインは設定されることとなる。
【0019】ここで、図3を参照して可変利得アンプの構成について説明する。尚、各可変利得アンプ31〜34は同一構成であるため、以下の説明においては可変利得アンプ31について説明する。
【0020】可変利得アンプ31は、非反転入力端子に光検出信号B1 が入力され、反転入力端子に入力抵抗RINを介してグランドが接続され、出力端子と反転入力端子と入力端子RINの中間接続点にはフィードバック抵抗Rf1が接続され、フィードバック抵抗Rf1には並列にスイッチSWが接続されたオペアンプOPを備えている。
【0021】スイッチSW1 はゲイン制御信号GCによりオン/オフされ、LD装着時にはオンとなり、LDW装着時にはオフとなる。したがって、可変利得アンプ31のゲインGは、G=1+Rf1/RINであるので、Rf1=4×RINとすれば、LD装着時には、ゲインG=1(標準ゲイン)となり、LDW装着時にはゲインG=5(高ゲイン)となる。
【0022】次にディスク判別回路4の構成を図2を参照して説明する。ディスク判別回路4は、増幅光検出信号AB1 〜AB4 がそれぞれレベル調整抵抗R1 〜R4 を介して入力され、増幅光検出信号AB1 〜AB4 を加算してフィードバック抵抗Rf に対応する増幅率で増幅して加算信号SUMを出力する加算器41と、フォーカスオン命令信号FOが“L”レベルの場合にはリセット状態となるとともに、フォーカスオン命令信号FOが“H”レベルの場合には加算信号SUMのピークホールドを行いピークホールド信号PKとして出力するピークホールド回路42と、ピークホールド信号の電圧レベルを予め設定した固定値の基準電圧VREF と比較することにより、標準ゲインの場合にLDが装着されると“H”レベルのディスク判別信号DDを出力し、標準ゲインの場合にLDWが装着されると“L”レベルのディスク判別信号DDを出力するコンパレータ43と、を備えて構成されている。
【0023】尚、加算器41において増幅光検出信号AB1 〜AB4 が反転入力端子に入力されているのは、4分割フォトディテクタには受光出力特性の直線性を向上させるため逆バイアス電圧(負電圧)が印加されており、増幅光検出信号AB1 〜AB4 はDC的には負電圧となっているためである。
【0024】ここで、図4を参照してディスク判別回路4の動作を説明する。ディスク判別回路4のピークホールド回路42は、図4(a)に示すフォーカスオン命令信号FOが時刻t1 に“H”レベルになると、ピークホールド動作を開始し、ピークホールド信号PKとして出力する(図4(e)点線部参照)。
【0025】ところで、反射光量が最も大きくなるのは、光ディスクにフォーカスがあった時(ジャストフォーカス時(時刻t2 ))である。そこで、ディスク判別回路4は、フォーカスエラー信号FE(図4(c)参照)のゼロクロス検出時、すなわち、フォーカスロック信号FLが“H”レベル(図4(b)参照)時の加算信号SUMのピーク値をピークホールド回路42により保持し、コンパレータ43により基準電圧VREF と比較しディスク判別信号DDを出力する。
【0026】次に図5を参照して、光ディスク再生装置のディスク判別動作を説明する。まず、コントローラ14は、光ディスク再生装置の電源がオンされたか、あるいは新規にディスクがローディングされた場合(ステップS1)には、ゲイン選択信号GCをLDモードにし、可変利得アンプ部3のゲインを標準ゲイン(G=1)に設定する(ステップS2)。
【0027】次にコントローラ14はレーザダイオード(Ld)をオンし(ステップS3)、対物レンズ7をその位置に応じてアップ(UP)若しくはダウン(DN)する(ステップS4)。
【0028】次にコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“L”レベルにすることによりピークホールド回路42をリセット状態とする(ステップS5)。つづいてコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“H”レベルとして、フォーカスサーボ回路8を動作させる(ステップS6)。
【0029】これによりディスク判別回路4は動作を開始し、ディスク判別信号DDを出力する。コントローラ14は、ディスク判別信号DDが“H”レベルか否かを判別する(ステップS7)。
【0030】ディスク判別信号DDが“H”レベルの場合には、コントローラ14は装着された光ディスクがLDであると確定し、LDモードとして可変利得アンプ部3のゲインG=1(標準ゲイン)に固定する(ステップS8)。
【0031】次にコントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止し(ステップS9)、通常動作(START)に移行する(ステップS10)。
【0032】ステップS7の判別において、ディスク判別信号DDが“L”レベルであった場合には、装着されたディスクがLDWであるかあるいはディスクが未装着であるので、コントローラ14はいずれの状態であるかを判別することとなる。
【0033】まずコントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止する(ステップS11)。次にコントローラ14は、ゲイン選択信号GCをLDWモードにし、可変利得アンプ部3のゲインを高ゲイン(G=5)に設定する(ステップS12)。
【0034】次にコントローラ14はレーザダイオード(Ld)をオンし(ステップS13)、対物レンズ7をその位置に応じてアップ(UP)若しくはダウン(DN)する(ステップS14)。
【0035】次にコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“L”レベルにすることによりピークホールド回路42をリセット状態とする(ステップS15)。つづいてコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“H”レベルとして、フォーカスサーボ回路8を動作させる(ステップS16)。
【0036】これによりディスク判別回路4は動作を開始し、ディスク判別信号DDを出力する。コントローラ14は、ディスク判別信号DDが“H”レベルか否かを判別する(ステップS17)。
【0037】ディスク判別信号DDが“H”レベルの場合には、コントローラ14は装着された光ディスクがLDWであると確定し、LDWモードとして可変利得アンプ部3のゲインG=5(高ゲイン)に固定する(ステップS18)。
【0038】次にコントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止し(ステップS9)、通常動作(START)に移行する(ステップS10)。
【0039】ステップS17の判別において、ディスク判別信号DDが“L”レベルであった場合には、ディスクが未装着であることが確定したので(ステップS19)、コントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止し(ステップS9)、ユーザの指示があるまで待機状態(PARK)となる。
【0040】以上の説明では、ディスク判別動作時に、可変利得アンプ部3のゲインはゲインの低い標準ゲインG=1から動作を始めていたが、これは、大きなゲイン(例えば、高ゲインG=5)を最初に設定して判別を行ってしまうとフォーカスサーボループをクローズした場合に、反射光量が多すぎて当該フォーカスサーボループが発振してしまうのを防止するためである。これにより、確実にディスクを判別することができるとともに安定した動作を行わせることができるのである。
【0041】以上の第1実施例ではフォーカスサーボループをクローズにした状態でディスクの判別を行っていたが、フォーカスサーボループをオープン状態としても、ある光ディスクに生じる反射光量のばらつきを吸収できるほどに、種類の異なる光ディスク間で反射率に差がある場合には、フォーカスサーボループをオープン状態のままで、対物レンズのアップ/ダウンを行い、その過程で得られる反射光量のピーク値からディスク判別を行うことも可能である。
第2実施例ところで、光ディスクの種別によっては、記録時に熱により記録を行うものがある。これらの記録可能な光ディスクの記録材料中には、熱に弱いものがあり、読出用のレーザビームを同一の場所に長時間照射するだけで記録されてしまうものがある。
【0042】この様な現象をさけて上記第1実施例を適用するための方法は、光ディクを回転駆動させることであるが、LDの様に質量の大きい光ディスクでは、回転駆動させるために消費される電力や時間を考えると、ディスク判別のためだけに回転駆動させることは余り得策ではない。
【0043】そこで、本実施例では、光ディスクを回転駆動しないでディスク判別を行う場合でも、同一の場所に長時間読出用のレーザビームを照射することなくディスク判別を行えるようにしている。
【0044】図6に第2実施例のトラッキングサーボ回路13’の詳細構成ブロック図を示す。尚、以下の説明においては、図1及び図4を参照して説明する。トラッキングサーボ回路13’は、トラッキングエラー信号TEをゲイン制御信号GCに対応するゲインで増幅し増幅トラッキングエラー信号ATEとして出力する可変利得アンプ50と、増幅トラッキングエラー信号ATEの波形整形を行って源トラッキング駆動信号OTDとして出力する補償アンプ51と、トラッキングオン命令信号TOに基づいてトラッキングサーボループのクローズ時に閉状態となるスイッチSW1 と、対物レンズを半径方向に振動させるための正弦波信号SINを生成し出力する発振器52と、通常はスイッチSW1 側に接続されるとともに、ディスク判別時にコントローラ14から出力されるスイッチ切換信号SS(図1参照)により発振器52側に接続されるスイッチSW2 と、源トラッキング駆動信号OTDまたは正弦波信号SINの電力増幅を行ってトラッキング駆動信号TDをトラッキングアクチュエータコイル12に出力する電力アンプ53と、を備えて構成されている。尚、スイッチSW2 及び発振器52を除く構成は通常のトラッキングサーボ回路と同様である。
【0045】次に主要動作を説明する。コントローラ14はフォーカスオン命令信号FOが“H”レベルであって、フォーカスロック信号FLが“L”レベルの間、すなわち、図4における時刻t1 〜時刻t2 の間、スイッチ切換信号SSによりスイッチSW2 を発振器52側に切換える。
【0046】これにより、発振器52により生成され、出力された正弦波信号SINが、電力アンプ53により電力増幅され、トラッキング駆動信号TDとしてトラッキングアクチュエータコイル12に印加される。
【0047】この結果、トラッキングアクチュエータコイル12は光ディスクの半径方向に振動し、光ディスクを回転駆動せず、静止させた状態で上述と同様のディスク判別を行ってもレーザビームが一点に集中することがなく、熱に弱い記録材料を用いた光ディスクにおいても、記録面を破壊することなくディスク判別を行うことができる。
【0048】以上の第2実施例においては、トラッキングアクチュエータコイルを振動させる場合について説明したが、同様にして、対物レンズを半径方向に粗駆動するためのスライダを振動させるようにしてもよい。
第3実施例以上の各実施例においては、ディスク判別時に可変利得アンプ部3のゲインを変化させ、コンパレータ43の基準電圧VREF を固定値としていたが、ディスク判別時に可変利得アンプ部3のゲインを固定しコンパレータの基準電圧を切換えるように構成しても同様にディスク判別を行うことが可能となる。
【0049】より具体的には、図7に示すように、ディスク判別回路に設けるコンパレータ43’の一方の入力端子に第1基準電圧VREF1、第2基準電圧VREF2、第3基準電圧VREF3を出力可能な基準電圧切換部60を設け、コントローラ14からの切換制御信号SELにより、コンパレータ43’の基準電圧を切換えるようにする。
【0050】この場合において、上記各実施例の場合と同様に、フォーカスサーボループを発振させないためには、より大きな基準電圧を選択的に接続して判別を行う必要がある。例えば、VREF1<VREF2<VREF3の場合には、最初に第3基準電圧VREF3を選択的に接続し、第3基準電圧VREF3で判別できなかった場合は、次に第2基準電圧VREF2に切換える、というようにディスク判別を行うようにする必要がある。
【0051】この結果、フォーカスサーボループが発振することなく安定して、確実にディスク判別を行うことが可能となる。この時、ディスク判別動作時には可変利得アンプ部のゲインは所定の値に設定され、ディスク判別動作終了後に判別されたディスクに対応するものに切換えられる。
【0052】以上の第3実施例では、基準電圧切換部で複数の固定基準電圧を切換えてディスク判別を行っていたが、一の可変基準電圧回路で電圧を設定して判別を行うように構成することも可能である。
【0053】以上の各実施例はフォーカスサーボ方法として非点収差法を用い、トラッキングサーボ方法として3ビーム法を用いた場合であったが、これに限定されるものではなく、フォーカスサーボ方法としてはナイフエッジ法、トラッキングサーボ法としてはプッシュプル法等の他の周知技術を用いた光ディスク再生装置についても本発明の適用が可能である。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、増幅手段は、ディスク判別開始時には最低の増幅率で光検出信号を増幅し、光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率で光検出信号を増幅して増幅光検出信号として比較手段に出力し、比較手段は、入力された増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力するので、制御手段は焦点位置制御部におけるフィードバックループを発振させることなくディスク判別処理を行え、確実にディスク判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の光ディスク再生装置のサーボ系の概要構成を示すブロック図である。
【図2】可変利得アンプ部及びディスク判別回路の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】可変利得アンプの詳細構成を示す図である。
【図4】動作説明のためのタイミングチャートである。
【図5】ディスク判別動作の処理フローチャートである。
【図6】第2実施例のトラッキングサーボ回路の詳細構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施例のコンパレータ周辺回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…サーボ系
2…4分割フォトディテクタ
3…可変利得アンプ部
4…ディスク判別回路
5…第1差動アンプ
6…フォーカスアクチュエータコイル
7…対物レンズ
8…フォーカスサーボ回路
9…第1フォトディテクタ
10…第2フォトディテクタ
11…第2差動アンプ
12…トラッキングアクチュエータコイル
13…トラッキングサーボ回路
14…コントローラ
31〜34…可変利得アンプ
41…加算器
42…ピークホールド回路
43…コンパレータ
43’…コンパレータ
50…可変利得アンプ
51…補償アンプ
52…発振器
53…電力アンプ
AB1 〜AB4 …増幅光検出信号
ATE…増幅トラッキングエラー信号
B1 〜B4 …光検出信号
D1 〜D4 …受光面
DD…ディスク判別信号
FE…フォーカスエラー信号
FL…フォーカスロック信号
GC…ゲイン制御信号
OTD…源トラッキング駆動信号
PK…ピークホールド信号
RIN…入力抵抗
Rf1…フィードバック抵抗
SW…スイッチ
SUM…加算信号
SIN…正弦波信号
SS…スイッチ切換信号
T1 …光検出信号
TE…トラッキングエラー信号
TD…トラッキング駆動信号
VREF …基準電圧
VREF1…第1基準電圧
VREF2…第2基準電圧
VREF3…第3基準電圧
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスクに各種情報を記録し、光ディスクの記録情報を再生する情報記録再生装置に用いられる光ディスク判別装置に係り、特に反射率の異なる複数種類の光ディスクを記録再生可能な情報記録再生装置に用いられる光ディスク判別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に複数種類の光ディスクを再生可能な光ディスク再生装置が知られている。
【0003】この様な光ディスク再生装置においては、いずれのディスクが装着されたのかを自動的に判別する光ディスク判別動作が重要となる。特に光源から光ディスクへ照射される光量に対する反射光量の比、すなわち、反射率が異なる複数種類の光ディスクからその記録情報を再生する記録情報再生装置においては、光ディスク判別動作は重要な動作となる。
【0004】なぜなら、フォーカスサーボ回路やトラッキングサーボ回路はそのゲインや帯域等を装着された光ディスクの反射率によって規定されるため、対応する制御を行わなければ安定したサーボ制御を行うことができず、したがって、安定な再生動作を行えないからである。
【0005】そこで、従来の光ディスク判別装置においては、ディスク判別用の光ディテクタを設け、その出力信号レベルをディスク判別用のコンパレータにより予め設定した基準信号レベルと比較して判別するような構成を取っていた(特開昭59−98324号公報、特に第3図乃至第5図並びにその関連説明参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の光ディスク再生装置においては、ディスクの種別を判別するための判別用ディテクタ及びコンパレータをサーボ信号生成用に用いられる4分割ディテクタとは別個に設けていたため、装置が大型化してしまうという問題点があった。
【0007】これを解決するため、4分割ディテクタを判別用ディテクタとして兼用することが考えられるが、単に4分割ディテクタを兼用するだけでは、以下の様な問題点を生じる。
【0008】すなわち、従来の光ディスク再生装置において、単に4分割ディテクタを兼用するとサーボ制御を行いつつディスクの判別を行うこととなるため、装着されたディスクに対応していない不適切なサーボゲインが設定されている可能性が生じる。
【0009】このため、例えば、低い反射率を有するディスクに対応するサーボゲイン、すなわち、高いゲインが設定されている場合に、高い反射率を有するディスクが装着された場合、サーボループが発振状態となり、安定に動作させることができないという問題点が生じる。
【0010】そこで、本発明の目的は、サーボ信号生成用のディテクタをディスク判別用ディテクタに兼用した場合であっても、サーボループを発振状態にすることなく、確実にディスク判別を行うことができるディスク判別装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、判別光の焦点位置をフィードバック制御する焦点位置制御部を有し、光ディスクに照射した前記判別光の反射光に基づいて光学特性の異なる複数の光ディスクの種別を判別可能な光ディスク判別装置であって、前記反射光を受光し、光検出信号を出力する受光手段と、ゲイン切換信号に対応する増幅率で前記光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として出力する増幅手段と、前記増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力する比較手段と、前記比較結果信号に基づいて前記光ディスクの種別を判別するとともに、前記光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力し、前記光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力する制御手段と、を備えて構成する。
【0012】
【作用】本発明によれば、受光手段は、焦点位置制御部により判別光の焦点位置をフィードバック制御しつつ光ディスクに照射した判別光の反射光を受光し、光検出信号を増幅手段に出力する。
【0013】これと並行して制御手段は、光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応するゲイン切換信号を出力する。これにより、増幅手段は、制御手段から入力されたゲイン切換信号に対応する増幅率、すなわち、ディスク判別開始時には最低の増幅率で光検出信号を増幅し、光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応する増幅率で光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として比較手段に出力し、比較手段は、入力された増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を制御手段に出力する。
【0014】この結果、制御手段は、比較結果信号に基づいて光ディスクの種別を判別するに際し、焦点位置制御部におけるフィードバックループが発振することがないので、確実にディスク判別を行うことができる。
【0015】
【実施例】次に図面を参照して本発明の好適な実施例を説明する。
第1実施例図1に光ディスク再生装置のサーボ系(フォーカス及びトラッキングサーボ)の概要構成ブロック図を示す。
【0016】サーボ系1は、光ディスクに照射された読出光であるレーザ光の反射光を受光して光検出信号B1 〜B4 を出力する4分割フォトディテクタ2と、光検出信号B1 〜B4 をそれぞれ増幅して増幅光検出信号AB1 〜AB4 として出力する可変利得アンプ部3と、増幅光検出信号AB1 〜AB4 に基づいて装着された光ディスクの種別を判別し、ディスク判別信号DDを出力するディスク判別回路3と、増幅光検出信号AB1 〜AB4 に基づいてフォーカスエラー信号FEを出力する第1差動アンプ5と、フォーカスエラー信号FEに基づいてフォーカスアクチュエータコイル6を駆動し、対物レンズ7をフォーカス方向に駆動してフォーカシング制御を行うとともに、フォーカスロック時(フォーカスエラー信号FEのゼロクロス時)にフォーカスロック信号FLを出力するフォーカスサーボ回路8と、光ディスクに照射された読出光であるレーザ光の反射光を受光して光検出信号T1 を出力する第1フォトディテクタ9と、同様に光検出信号T2 を出力する第2フォトディテクタ10と、光検出信号T1 及び光検出信号T2 に基づいてトラッキングエラー信号TEを出力する第2差動アンプ11と、トラッキングエラー信号TEに基づいてトラッキングアクチュエータコイル12を駆動し、対物レンズ7をトラッキング方向に駆動してトラッキング制御を行うトラッキングサーボ回路13と、ディスク判別信号DD及びフォーカスロック信号FLが入力され、フォーカス制御時に“H”レベルとなるフォーカスオン命令信号FO、トラッキング制御時に“H”レベルとなるトラッキングオン命令信号及び可変利得アンプのゲイン設定を行うためのゲイン制御信号GCを出力するとともに、光ディスク再生装置全体の制御を行うコントローラ14と、を備えて構成されている。尚、トラッキングアクチュエータコイル12及び抵抗Rの中間接続点の信号は図示しないスライダサーボ回路に出力され、スライダサーボ制御に用いられる。
【0017】図2に可変利得アンプ部3及びディスク判別回路4の詳細構成ブロック図を示す。まず、図2を参照して可変利得アンプ部3の構成を説明する。
【0018】可変利得アンプ部3は、コントローラ14からのゲイン制御信号GCによりそのゲインをLDが装着されている場合には標準ゲインとし、追記型のLD(以下、LDW[LD Write once ]という。)が装着されている場合には標準ゲインの5倍の高ゲインとして、4分割ディテクタの各受光面D1 〜D4 からそれぞれ出力される光検出信号B1 〜B4 をそれぞれ増幅して増幅光検出信号AB1 〜AB4 としてそれぞれ出力する4個の可変利得アンプ31〜34を備えて構成されている。この場合において、LDW装着時のゲインを標準ゲインの5倍の高ゲインとするのは、LDと比較してLDWの反射率がおよそ1/5倍となっているからである。したがって、装着するディスクの反射率に応じて各可変利得アンプのゲインは設定されることとなる。
【0019】ここで、図3を参照して可変利得アンプの構成について説明する。尚、各可変利得アンプ31〜34は同一構成であるため、以下の説明においては可変利得アンプ31について説明する。
【0020】可変利得アンプ31は、非反転入力端子に光検出信号B1 が入力され、反転入力端子に入力抵抗RINを介してグランドが接続され、出力端子と反転入力端子と入力端子RINの中間接続点にはフィードバック抵抗Rf1が接続され、フィードバック抵抗Rf1には並列にスイッチSWが接続されたオペアンプOPを備えている。
【0021】スイッチSW1 はゲイン制御信号GCによりオン/オフされ、LD装着時にはオンとなり、LDW装着時にはオフとなる。したがって、可変利得アンプ31のゲインGは、G=1+Rf1/RINであるので、Rf1=4×RINとすれば、LD装着時には、ゲインG=1(標準ゲイン)となり、LDW装着時にはゲインG=5(高ゲイン)となる。
【0022】次にディスク判別回路4の構成を図2を参照して説明する。ディスク判別回路4は、増幅光検出信号AB1 〜AB4 がそれぞれレベル調整抵抗R1 〜R4 を介して入力され、増幅光検出信号AB1 〜AB4 を加算してフィードバック抵抗Rf に対応する増幅率で増幅して加算信号SUMを出力する加算器41と、フォーカスオン命令信号FOが“L”レベルの場合にはリセット状態となるとともに、フォーカスオン命令信号FOが“H”レベルの場合には加算信号SUMのピークホールドを行いピークホールド信号PKとして出力するピークホールド回路42と、ピークホールド信号の電圧レベルを予め設定した固定値の基準電圧VREF と比較することにより、標準ゲインの場合にLDが装着されると“H”レベルのディスク判別信号DDを出力し、標準ゲインの場合にLDWが装着されると“L”レベルのディスク判別信号DDを出力するコンパレータ43と、を備えて構成されている。
【0023】尚、加算器41において増幅光検出信号AB1 〜AB4 が反転入力端子に入力されているのは、4分割フォトディテクタには受光出力特性の直線性を向上させるため逆バイアス電圧(負電圧)が印加されており、増幅光検出信号AB1 〜AB4 はDC的には負電圧となっているためである。
【0024】ここで、図4を参照してディスク判別回路4の動作を説明する。ディスク判別回路4のピークホールド回路42は、図4(a)に示すフォーカスオン命令信号FOが時刻t1 に“H”レベルになると、ピークホールド動作を開始し、ピークホールド信号PKとして出力する(図4(e)点線部参照)。
【0025】ところで、反射光量が最も大きくなるのは、光ディスクにフォーカスがあった時(ジャストフォーカス時(時刻t2 ))である。そこで、ディスク判別回路4は、フォーカスエラー信号FE(図4(c)参照)のゼロクロス検出時、すなわち、フォーカスロック信号FLが“H”レベル(図4(b)参照)時の加算信号SUMのピーク値をピークホールド回路42により保持し、コンパレータ43により基準電圧VREF と比較しディスク判別信号DDを出力する。
【0026】次に図5を参照して、光ディスク再生装置のディスク判別動作を説明する。まず、コントローラ14は、光ディスク再生装置の電源がオンされたか、あるいは新規にディスクがローディングされた場合(ステップS1)には、ゲイン選択信号GCをLDモードにし、可変利得アンプ部3のゲインを標準ゲイン(G=1)に設定する(ステップS2)。
【0027】次にコントローラ14はレーザダイオード(Ld)をオンし(ステップS3)、対物レンズ7をその位置に応じてアップ(UP)若しくはダウン(DN)する(ステップS4)。
【0028】次にコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“L”レベルにすることによりピークホールド回路42をリセット状態とする(ステップS5)。つづいてコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“H”レベルとして、フォーカスサーボ回路8を動作させる(ステップS6)。
【0029】これによりディスク判別回路4は動作を開始し、ディスク判別信号DDを出力する。コントローラ14は、ディスク判別信号DDが“H”レベルか否かを判別する(ステップS7)。
【0030】ディスク判別信号DDが“H”レベルの場合には、コントローラ14は装着された光ディスクがLDであると確定し、LDモードとして可変利得アンプ部3のゲインG=1(標準ゲイン)に固定する(ステップS8)。
【0031】次にコントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止し(ステップS9)、通常動作(START)に移行する(ステップS10)。
【0032】ステップS7の判別において、ディスク判別信号DDが“L”レベルであった場合には、装着されたディスクがLDWであるかあるいはディスクが未装着であるので、コントローラ14はいずれの状態であるかを判別することとなる。
【0033】まずコントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止する(ステップS11)。次にコントローラ14は、ゲイン選択信号GCをLDWモードにし、可変利得アンプ部3のゲインを高ゲイン(G=5)に設定する(ステップS12)。
【0034】次にコントローラ14はレーザダイオード(Ld)をオンし(ステップS13)、対物レンズ7をその位置に応じてアップ(UP)若しくはダウン(DN)する(ステップS14)。
【0035】次にコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“L”レベルにすることによりピークホールド回路42をリセット状態とする(ステップS15)。つづいてコントローラ14は、フォーカスオン命令信号FOを“H”レベルとして、フォーカスサーボ回路8を動作させる(ステップS16)。
【0036】これによりディスク判別回路4は動作を開始し、ディスク判別信号DDを出力する。コントローラ14は、ディスク判別信号DDが“H”レベルか否かを判別する(ステップS17)。
【0037】ディスク判別信号DDが“H”レベルの場合には、コントローラ14は装着された光ディスクがLDWであると確定し、LDWモードとして可変利得アンプ部3のゲインG=5(高ゲイン)に固定する(ステップS18)。
【0038】次にコントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止し(ステップS9)、通常動作(START)に移行する(ステップS10)。
【0039】ステップS17の判別において、ディスク判別信号DDが“L”レベルであった場合には、ディスクが未装着であることが確定したので(ステップS19)、コントローラ14は、レーザダイオードをオフにし、フォーカスサーボ回路8の動作を停止し(ステップS9)、ユーザの指示があるまで待機状態(PARK)となる。
【0040】以上の説明では、ディスク判別動作時に、可変利得アンプ部3のゲインはゲインの低い標準ゲインG=1から動作を始めていたが、これは、大きなゲイン(例えば、高ゲインG=5)を最初に設定して判別を行ってしまうとフォーカスサーボループをクローズした場合に、反射光量が多すぎて当該フォーカスサーボループが発振してしまうのを防止するためである。これにより、確実にディスクを判別することができるとともに安定した動作を行わせることができるのである。
【0041】以上の第1実施例ではフォーカスサーボループをクローズにした状態でディスクの判別を行っていたが、フォーカスサーボループをオープン状態としても、ある光ディスクに生じる反射光量のばらつきを吸収できるほどに、種類の異なる光ディスク間で反射率に差がある場合には、フォーカスサーボループをオープン状態のままで、対物レンズのアップ/ダウンを行い、その過程で得られる反射光量のピーク値からディスク判別を行うことも可能である。
第2実施例ところで、光ディスクの種別によっては、記録時に熱により記録を行うものがある。これらの記録可能な光ディスクの記録材料中には、熱に弱いものがあり、読出用のレーザビームを同一の場所に長時間照射するだけで記録されてしまうものがある。
【0042】この様な現象をさけて上記第1実施例を適用するための方法は、光ディクを回転駆動させることであるが、LDの様に質量の大きい光ディスクでは、回転駆動させるために消費される電力や時間を考えると、ディスク判別のためだけに回転駆動させることは余り得策ではない。
【0043】そこで、本実施例では、光ディスクを回転駆動しないでディスク判別を行う場合でも、同一の場所に長時間読出用のレーザビームを照射することなくディスク判別を行えるようにしている。
【0044】図6に第2実施例のトラッキングサーボ回路13’の詳細構成ブロック図を示す。尚、以下の説明においては、図1及び図4を参照して説明する。トラッキングサーボ回路13’は、トラッキングエラー信号TEをゲイン制御信号GCに対応するゲインで増幅し増幅トラッキングエラー信号ATEとして出力する可変利得アンプ50と、増幅トラッキングエラー信号ATEの波形整形を行って源トラッキング駆動信号OTDとして出力する補償アンプ51と、トラッキングオン命令信号TOに基づいてトラッキングサーボループのクローズ時に閉状態となるスイッチSW1 と、対物レンズを半径方向に振動させるための正弦波信号SINを生成し出力する発振器52と、通常はスイッチSW1 側に接続されるとともに、ディスク判別時にコントローラ14から出力されるスイッチ切換信号SS(図1参照)により発振器52側に接続されるスイッチSW2 と、源トラッキング駆動信号OTDまたは正弦波信号SINの電力増幅を行ってトラッキング駆動信号TDをトラッキングアクチュエータコイル12に出力する電力アンプ53と、を備えて構成されている。尚、スイッチSW2 及び発振器52を除く構成は通常のトラッキングサーボ回路と同様である。
【0045】次に主要動作を説明する。コントローラ14はフォーカスオン命令信号FOが“H”レベルであって、フォーカスロック信号FLが“L”レベルの間、すなわち、図4における時刻t1 〜時刻t2 の間、スイッチ切換信号SSによりスイッチSW2 を発振器52側に切換える。
【0046】これにより、発振器52により生成され、出力された正弦波信号SINが、電力アンプ53により電力増幅され、トラッキング駆動信号TDとしてトラッキングアクチュエータコイル12に印加される。
【0047】この結果、トラッキングアクチュエータコイル12は光ディスクの半径方向に振動し、光ディスクを回転駆動せず、静止させた状態で上述と同様のディスク判別を行ってもレーザビームが一点に集中することがなく、熱に弱い記録材料を用いた光ディスクにおいても、記録面を破壊することなくディスク判別を行うことができる。
【0048】以上の第2実施例においては、トラッキングアクチュエータコイルを振動させる場合について説明したが、同様にして、対物レンズを半径方向に粗駆動するためのスライダを振動させるようにしてもよい。
第3実施例以上の各実施例においては、ディスク判別時に可変利得アンプ部3のゲインを変化させ、コンパレータ43の基準電圧VREF を固定値としていたが、ディスク判別時に可変利得アンプ部3のゲインを固定しコンパレータの基準電圧を切換えるように構成しても同様にディスク判別を行うことが可能となる。
【0049】より具体的には、図7に示すように、ディスク判別回路に設けるコンパレータ43’の一方の入力端子に第1基準電圧VREF1、第2基準電圧VREF2、第3基準電圧VREF3を出力可能な基準電圧切換部60を設け、コントローラ14からの切換制御信号SELにより、コンパレータ43’の基準電圧を切換えるようにする。
【0050】この場合において、上記各実施例の場合と同様に、フォーカスサーボループを発振させないためには、より大きな基準電圧を選択的に接続して判別を行う必要がある。例えば、VREF1<VREF2<VREF3の場合には、最初に第3基準電圧VREF3を選択的に接続し、第3基準電圧VREF3で判別できなかった場合は、次に第2基準電圧VREF2に切換える、というようにディスク判別を行うようにする必要がある。
【0051】この結果、フォーカスサーボループが発振することなく安定して、確実にディスク判別を行うことが可能となる。この時、ディスク判別動作時には可変利得アンプ部のゲインは所定の値に設定され、ディスク判別動作終了後に判別されたディスクに対応するものに切換えられる。
【0052】以上の第3実施例では、基準電圧切換部で複数の固定基準電圧を切換えてディスク判別を行っていたが、一の可変基準電圧回路で電圧を設定して判別を行うように構成することも可能である。
【0053】以上の各実施例はフォーカスサーボ方法として非点収差法を用い、トラッキングサーボ方法として3ビーム法を用いた場合であったが、これに限定されるものではなく、フォーカスサーボ方法としてはナイフエッジ法、トラッキングサーボ法としてはプッシュプル法等の他の周知技術を用いた光ディスク再生装置についても本発明の適用が可能である。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、増幅手段は、ディスク判別開始時には最低の増幅率で光検出信号を増幅し、光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率で光検出信号を増幅して増幅光検出信号として比較手段に出力し、比較手段は、入力された増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力するので、制御手段は焦点位置制御部におけるフィードバックループを発振させることなくディスク判別処理を行え、確実にディスク判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の光ディスク再生装置のサーボ系の概要構成を示すブロック図である。
【図2】可変利得アンプ部及びディスク判別回路の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】可変利得アンプの詳細構成を示す図である。
【図4】動作説明のためのタイミングチャートである。
【図5】ディスク判別動作の処理フローチャートである。
【図6】第2実施例のトラッキングサーボ回路の詳細構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施例のコンパレータ周辺回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…サーボ系
2…4分割フォトディテクタ
3…可変利得アンプ部
4…ディスク判別回路
5…第1差動アンプ
6…フォーカスアクチュエータコイル
7…対物レンズ
8…フォーカスサーボ回路
9…第1フォトディテクタ
10…第2フォトディテクタ
11…第2差動アンプ
12…トラッキングアクチュエータコイル
13…トラッキングサーボ回路
14…コントローラ
31〜34…可変利得アンプ
41…加算器
42…ピークホールド回路
43…コンパレータ
43’…コンパレータ
50…可変利得アンプ
51…補償アンプ
52…発振器
53…電力アンプ
AB1 〜AB4 …増幅光検出信号
ATE…増幅トラッキングエラー信号
B1 〜B4 …光検出信号
D1 〜D4 …受光面
DD…ディスク判別信号
FE…フォーカスエラー信号
FL…フォーカスロック信号
GC…ゲイン制御信号
OTD…源トラッキング駆動信号
PK…ピークホールド信号
RIN…入力抵抗
Rf1…フィードバック抵抗
SW…スイッチ
SUM…加算信号
SIN…正弦波信号
SS…スイッチ切換信号
T1 …光検出信号
TE…トラッキングエラー信号
TD…トラッキング駆動信号
VREF …基準電圧
VREF1…第1基準電圧
VREF2…第2基準電圧
VREF3…第3基準電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】 判別光の焦点位置をフィードバック制御する焦点位置制御部を有し、光ディスクに照射した前記判別光の反射光に基づいて光学特性の異なる複数の光ディスクの種別を判別可能な光ディスク判別装置であって、前記反射光を受光し、光検出信号を出力する受光手段と、ゲイン切換信号に対応する増幅率で前記光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として出力する増幅手段と、前記増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力する比較手段と、前記比較結果信号に基づいて前記光ディスクの種別を判別するとともに、前記光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力し、前記光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力する制御手段と、を備えて構成したことを特徴とする光ディスク判別装置。
【請求項1】 判別光の焦点位置をフィードバック制御する焦点位置制御部を有し、光ディスクに照射した前記判別光の反射光に基づいて光学特性の異なる複数の光ディスクの種別を判別可能な光ディスク判別装置であって、前記反射光を受光し、光検出信号を出力する受光手段と、ゲイン切換信号に対応する増幅率で前記光検出信号を増幅し、増幅光検出信号として出力する増幅手段と、前記増幅光検出信号と所定の基準判別信号とを比較して比較結果信号を出力する比較手段と、前記比較結果信号に基づいて前記光ディスクの種別を判別するとともに、前記光ディスクの判別開始時には判別に用いる複数の増幅率のうち最低の増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力し、前記光ディスクの種別の判別終了まで順次大きな増幅率に対応する前記ゲイン切換信号を出力する制御手段と、を備えて構成したことを特徴とする光ディスク判別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開平6−325481
【公開日】平成6年(1994)11月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−113413
【出願日】平成5年(1993)5月14日
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【公開日】平成6年(1994)11月25日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)5月14日
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
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