説明

光ディスク基板、光ディスク

【課題】従来の単に平坦な光ディスクを製造するとき、塑性過程で供給される圧力によって、反りのある光ディスクが生産される。反りのある光ディスクは、品質管理段階で拒絶される。
【解決手段】光ディスク基板は、環状基板と突出部を含む。環状基板は、内側の支持部と、記録面を有する外側の記録部を有する。支持部の上に重ねられた突出部は、その外周上に複数のくぼみを有し、支持部の上に突出部を折り重ねた厚さは、記録部の厚さよりも大きい。データを記録するための塗料層はディスク基板の記録面上に塗られた光ディスクが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのようなディスク基板を含む、光ディスク基板と光ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクは、例えば、イメージ、コンピュータのデジタルイメージ、テキストのような、異なる形式を有するデータを蓄積でき、従って、光ディスクは、新世代の光ストレージ媒体の中で最も便利なストレージ媒体である。加えて、光ディスクは、ライブラリのアーカイブ、データバックアップ、電子印刷、イメージデータストレージ、個人医療記録管理を含む多くの分野に適用される。一般に、読み/書き特性に従って分類される、複数の光ディスクの型式が利用可能であり、とりわけ、全型式とも何回も読み取られ、いくつかは読み取りのみであって、いくつかは1回だけ書き込まれ、他は何回でも書き込みされる。本発明は、そのような全ての型式に適用可能である。
【0003】
図1Aは、従来の光ディスク1を上から見た図である。光ディスク1は環状で、円の内側上の支持部11と円の外側上の記録部12に分割される。図1Bは、光ディスク1の詳細な構造を図解し、光ディスク1は、基板14、塗料層15、補正シート16を含む。塗料層15は記録層151、反射層152、保護層153を含み、これらは記録部12を形成するために基板14上に順次積み重ねられている。補正シート16と基板14は、光ディスク1を形成するために互いに結合されている。基板14は厚さ0.6mmであり、補正シート16もまた厚さ0.6mmであって、これにより、光ディスク1の支持部11は、光ディスクドライブにより押さえつけられるように、厚さ1.2mmである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ディスクを製造するときには、多数の問題が持ち上がる。以下は、採番した最重要課題である。
【0005】
I)反り
レーザービームの投射角度が一定であるように、ディスクは平坦である必要がある。反った光ディスクを回転させると、読み/書きの誤り又は不可を生む、不規則で予測のできない反射ビームの散乱が生じる。さらに、ディスクは、正常に利用されている間、回転数の範囲内において平坦を保たなくてはならない。
【0006】
II)双屈折
双屈折は、光ディスクを形成する可塑性材料を用いる製造過程において、供給される圧力によって生じる光の歪みとして定義される。製造者は、双屈折を測定し、形成されたディスクが仕様の範囲内であることを保証しなければならない。それを怠った場合、誤差率が高く受容できないディスクが生産される。
【0007】
III)材料と生産コスト
材料コストは、製品の生産において利用される材料が少なければ、減少することが明らかであり、更に、生産過程と製品自体の複雑性を単純化すれば、製品を生産するコストも減少する。このため、そのような光ディスクの生産数が重大な意味を与える。
【0008】
IV)空中の塵/埃の粒子
光ディスクは、通常の家庭環境において機能を果たす必要がある、代表的なコンシューマ製品である。空中の塵/埃の粒子の存在は、そのような光ディスクを読み/書きするときに、より高い誤差を割り当てる。
【0009】
V)共振又は振動効果
光ディスクが回転するとき、レーザービームの投射角度がばらつくと共振又は振動効果が発生する可能性があり、それにより、読み/書きの誤りや不可を生ずる、不規則で予測のできない反射ビームの散乱が生じる。
【0010】
最適な方法でこれらの課題を解決することが、当発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の方法にて前述の課題を解決する。
【0012】
当発明に従った光ディスクは、中心の開口部とともに、それを同心状に取り囲み、その上に重ねられた押さえ領域を有する基板からなる。押さえ領域を取り囲んでいるのは、同心状の情報領域である。本発明の光ディスクは、データを記録するための光ディスク基板の情報領域表面上に形成された塗料層を含む。押さえ領域は、ディスクの残りの部分の厚さよりも大きな厚さを有し、それにより、ディスクの残りの部分に平行な突出領域を形づくられたディスクを形成する。押さえ領域の突出構造を構成する要素は、その外周において複数のくぼみの中に形成され、それにより、情報領域表面上に隣接する傾斜面を持つ、歯状に類似した形の側面を提供する。本発明の基礎を形成するのは、複数のへこみの存在である。
【0013】
複数の歯状に類似した形のへこみの存在により、注入過程とその後の過程から生じる光ディスクの内部圧力は、より低下される。これは双屈折をより低下させるよう導き、くぼみの’堅くする’効果によって、とりわけ、ディスクの回転速度が高い場合において、構造の反りは減少傾向となり、単に平坦なディスクに形づくられた押さえ領域の形成に必要とされる量に比して、必要とする材料が少ない。加えて、1つの片に形成された構造は、製造過程を単純化するとともに、より堅牢な構造を提供して、互いの表面を結合する必要をなくす。さらに、突出部の上に傾斜面を有するくぼみは、可塑性材料で均一に満たすような注入形成を許容し、それにより、注入形成過程はより簡単になり、上部と下部の間に’ぎざぎざのない’境界を提供する。回転するくぼみの存在は、情報領域に平行な空気流と、それを横切る気流を発生し、そのため、情報領域上に付着する塵/埃粒子は最小化する傾向となる。また、これらの空気流の存在は、システム内の共振/振動の確率を減少させる、湿気のある因子を増加させる。そのような望まれない共振/振動の存在は、レーザービームの軌道と焦点に影響を及ぼす。
【0014】
様々なパラメータの最適な値と、請求項に詳細に記載した特別な特性の好ましい値を構成するこれらの値を決定するために、実験的研究が広く行われている。
【0015】
本発明の適用の最終結果は、より良好な製品がより低いコストで生産されることと、品質管理段階において拒絶されるディスクの数を有効に減ずることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態に従った光ディスク基板と光ディスクを、一致する要素には同じ参照番号で表した図を参照して、以下に記載する。
【0017】
図2A、2Bに示すように、本発明の好ましい実施形態に従った光ディスク基板2は、環状基板21と突出部22を含む。環状基板21は、内面に支持部211を備え、外面には記録部212を備える。記録部212は、後述する塗料層上に形成された記録面212aを有する。突出部22は、支持部211上に積み重ねられ、支持表面22aを有する。その厚さは、環状基板21の支持部211上に突起部22を重ねることにより、0.66mmから1.6mmの間に達する。そのような厚さは、光ディスクが光ディスクドライブに置かれたとき、読み/書き操作のために光ディスクドライブが支持表面22aを押さえることを許容する。一方、環状基板21の記録部212の厚さは0.55mmから0.65mmの間であり、これにより、支持表面22aと記録表面212aは、ともに共平面(coplanar)ではない。すなわち、支持表面22aが置かれる平面P1は、記録表面212aが置かれる平面P2とは異なる。2つの平面は、図2Bに示すように環状基板12の同一面上とすることができる、又は、2つの平面は、図2Cに示すように、環状基板12の異なる面上とすることもできる。加えて、突出部22が歯車状に類似した形、又は、花びら状に類似した形に、突起部のへりの周りに形成された複数のくぼみ221は、突出部22の外周上に備えられる。環状基板21と突出部22が1つの片に形成できることは特記すべきことであり、例えば、注入形成により、又は、1つの片に形成することで互いに結合されて組み立てられることが好ましい。環状基板21の直径は70mmから90mmの間であり、80mmであるのが好ましく、又は、110mmから130mmの間であって、120mmであるのが好ましい。また、他の寸法も選択することができる。
【0018】
本発明の実施形態に従った光ディスク基板は、さらに、支持表面22aが置かれる平面P1から記録表面212aが置かれる平面P2へと広がる傾斜面222を含み、突出部22と記録部212の外周の間に置かれる。
【0019】
図3、4は、本発明の好ましい実施形態に従った2つの光ディスク3、4を、それぞれ図解する。光ディスク3、4は、それぞれ光ディスク基板2と塗料層35、45を含む。光ディスク基板2の構造特性は、前述した通りであるので、ここでは記載を省略し、塗料層35はデータを記録するための記録面212a上に形成される。異なる性質の塗料層35、45を有する異なる光ディスクは、異なった適用に利用される。例えば、図3に示す塗料層35は、記録層351、反射層352、保護層353を、記録面212a上に順次積み重ねることにより形成され、記録層351は染料から成り、反射層352は金属材料から成る。図4に示す塗料層45は、第1の誘電体の層451、記録層452、第2の誘電体の層453、絶縁体の層454、反射層455、保護層456を、記録面212a上に順次積み重ねることにより形成され、第1の誘電体の層451と第2の誘電体の層453は低誘電の一定材料からなり、記録層452(位相変更層)は上部と下部に分離した層の合金材料から成り、絶縁層454は金属又は非金属材料からなり、反射層455は金属材料から成る。光ディスク4は、位相変更を行う型式の光ディスクから生成される。
【0020】
光ディスク基板3、4は光ディスクの異なる範疇に属する。本発明は、そのような範疇の制限なしに適用され、両面光ディスク、2層光ディスク、両面2層光ディスク(つまり、4つの記録面)を含む。
【0021】
更に、構造上の堅さと反り防止を要求を満たすことにより、本発明の光ディスク基板と光ディスクもまた、より良好な光学特性を有する。図5A、5Bを参照すると、図5Aはくぼみ221のない光ディスクの相対2重反射指標(双屈折)を図解した光学特性図であり、図5Bは本発明の光ディスクの相対2重反射指標を図解した光学特性図である。半径が22.8mm、40.0mm、57.3mmである従来の光ディスクに対する相対2重反射指標の平均値は、それぞれ74nm、10nm、−25nmであり、一方、同一の半径を有する、本発明に従った光ディスクに対する相対2重反射指標の平均値は、それぞれ−19nm、−8nm、−24nmであって、一般の光ディスクに比して低く、それによって、より良好な光学特性を有する。
【0022】
本発明の光ディスク基板と光ディスクによれば、突出部上の光ディスク基板の支持部を重ねた厚さは、光ディスクドライブが直接押さえることができる程に十分大きく、それにより、光ディスクの厚さを増すための補正シートは不要である。また、支持部の方が厚みのある光ディスク基板の堅さは、環状基板の反りを妨げ、それによって、より簡単に光ディスク基板を製造でき、より高い降伏を得ることができる。突出部のくぼみは、光ディスク基板を製造する上での材料コストを減少させ、それに対し光ディスク基板の堅さは維持され、塑性過程がより同質となることにより、光ディスク基板の内部圧力はさらに低められ、その上、光ディスク基板はより完璧な光学特性を有する。更に、突出部の外周上の傾斜面は、注入形成過程の間、鋳型を可塑性材料でより均一に満たすことを許容し、これは品質管理段階で拒絶される製品の排出を減少させ、代わりに生産コストをさらに低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】一般の光ディスクを上から見た図である。
【図1B】一般の光ディスクの断面図である。
【図2A】本発明の好ましい実施形態に従った光ディスク基板を、上から見た図である。
【図2B】本発明の好ましい実施形態に従った光ディスク基板の断面図である。
【図2C】本発明の他の好ましい実施形態に従った光ディスク基板の断面図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従った光ディスクの断面図である。
【図4】本発明の他の好ましい実施形態に従った光ディスクの断面図である。
【図5A】従来の光ディスクの、相対2重屈折指標(双屈折)の光学特性を示す図である。
【図5B】本発明の好ましい実施形態に従った光ディスクの、相対2重屈折指標(双屈折)の光学特性を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 光ディスク
2 光ディスク基板
3 光ディスク基板
4 光ディスク基板
11 支持部
12 記録部
14 基板
15 塗料層
151 記録層
152 反射層
153 保護層
16 補正シート
21 環状基板
212 記録部
212a 記録面
22 突出部
221 くぼみ
222 傾斜面
22a 支持表面
P1 平面
P2 平面
35 塗料層
351 記録層
352 反射層
353 保護層
45 塗料層
451 第1の誘電体の層
452 記録層
453 第2の誘電体の層
454 絶縁体の層
455 反射層
456 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心の開口部と、
実体的に同心状に中心の開口部を取り囲む押さえ領域(22)と、
実体的に同心状に前記押さえ領域(22)を取り囲む情報領域(212)と、を備え、
前記押さえ領域(22)は前記情報領域(212)よりも厚さが大きく、
前記情報領域(212)を超える高さに突き出た前記押さえ領域(22)の要素は、外周において歯状に類似した形の側面を備える複数のくぼみ(221)で形成される、
ことを特徴とする光ディスク基板(2)。
【請求項2】
歯状に類似した形の側面は、傾斜面(222)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク基板(2)。
【請求項3】
くぼみ(221)の数が3以上よりも多い、ことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク基板(2)。
【請求項4】
前記側面(222)の傾斜の角度が20°から60°の間であり、30°が好ましく、傾斜したへりが前記情報領域(12)に対して隣接する角度が、150°であることが好ましい、ことを特徴とする請求項3に記載の光ディスク基板(2)。
【請求項5】
前記側面が、歯車状に類似、又は、花びら状に類似した形である、ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光ディスク基板(2)。
【請求項6】
前記押さえ領域(22)の厚さは、前記情報領域(212)の厚さよりも大きく、2倍であることが好ましい、ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光ディスク基板(2)。
【請求項7】
前記押さえ領域の突出構造(22)と前記ディスク基板(21)の残りの部分が1つの片に成形された、ことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光ディスク基板(2)。
【請求項8】
前記押さえ領域(22)の突出構造は、前記情報領域(212)の表面上、又は、それと反対の表面上のどちらかへと広がる、ことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光ディスク基板(2)。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項で定義した押さえ領域の突出構造(22)を表面に有する両方の情報領域(212、212a)を、両表面に備える、光ディスク基板(2)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の基板(2)と、データを記録するための情報領域(212)の表面上に形成された塗料層(35、45)を、含む光ディスク(3、4)。


【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2007−66501(P2007−66501A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225418(P2006−225418)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(506284980)メガ データ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】