説明

光ディスク装置

【課題】コストを上昇させることなく、筐体から漏れる風切音を低減することができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】トップケース10とボトムケース20とによって略箱形の筐体を構成する光ディスク装置であって、前記トップケースは、その一辺に前記ボトムケースと係合するフックを備え、前記ボトムケースは、前記フック11Aと係合する切り欠き23が設けられた係合部を備え、前記切り欠きの内側に、前記切り欠きを通過する空気の流通を妨げる遮蔽部25を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、遮音性を向上させた筐体の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD、BD等の光ディスクに情報を読み書きする光ディスク装置は、光ディスク装置が装着されるコンピュータの小型化に伴い、薄型化している。このため、光ディスク装置の内部で回転するディスクの風切音が、光ディスク装置の外部に漏れやすいという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、光ディスクの回転に伴って発生する光ディスクの半径方向の空気流をケース外部に漏出する通路に、該漏出を阻止するカバー部材を設けた光ディスク装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−36664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、従来の光ディスク装置では、回転するディスクによって生じる風切音が、光ディスク装置の外部に漏れやすい。特に、厚さが12.7mmや、9.5mmのいわゆるスリムドライブでは、本体部より薄厚のウイング部にもディスクが収容されているので、回転するディスクとボトムケースとの距離が近く、ディスクの回転によって生じる風切音が筐体の外部に漏れやすい。
【0005】
前述したスリムドライブでは、ウイング部にボトムケースとトップケースを係合する係合部が設けられており、係合部のトップケースにはフックを係合するための穴が空けられている。この係合部はディスクに近い位置に設けられていることから、係合部の穴から風切音が漏れやすい。このため、この係合部からの風切音の漏れを低減することが求められている。
【0006】
また、前述した特許文献1では、風切音の漏出を防止するカバー部材を別部材としたので、遮音性の向上が光ディスク装置のコスト上昇要因となっている。そこで、別部材を用いることなく、ケースからの風切音の漏出を防止するケースが求められている。
【0007】
本発明は、コストを上昇させることなく、筐体から漏れる風切音を低減することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、トップケースとボトムケースとによって略箱形の筐体を構成する光ディスク装置であって、前記トップケースは、その一辺に前記ボトムケースと係合するフックを備え、前記ボトムケースは、前記フックと係合する切り欠きが設けられた係合部を備え、前記切り欠きの内側に、前記切り欠きを通過する空気の流通を妨げる遮蔽部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施の形態によると、筐体の製造コストを上昇させることなく、筐体から漏れる風切音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態の光ディスク装置の外観を示す斜視図である。
【0011】
本実施の形態の光ディスク装置は、トップケース10及びボトムケース20によって略箱形の筐体を構成する。
【0012】
図1に示す筐体は、厚さが厚い本体部31と、本体部より薄厚なウイング部32とに分けられる、いわゆるスリムケースである。また、筐体の正面側(フロント側)には、フロントパネル30が取り付けられている。フロントパネル30は、ディスクを装着するトレーに取り付けられている。トレーは筐体内をスライドして、装着されたディスクを出し入れする。すなわち、トレーが筐体内に収納された場合、フロントパネル30は筐体に当接する。
【0013】
トップケース10は、ウィング側(図1の左側)に、フック11A、11Bが設けられている。フック11A、11Bは、ボトムケース20の切り欠き23と係合する。トップケース10とボトムケース20とは、フック11A、11Bの反対側(図1の右側)では、ネジ止めによって固定される。
【0014】
フック11Aと係合する切り欠き23(背面側の切り欠き23)には、後述する遮蔽部25(図2参照)が設けられる。なお、フック11Bと係合する切り欠き23(正面側の切り欠き23)には、遮蔽部25を設けなくてもよい。これは、フック11Bと係合する切り欠き23はディスクから遠いことから、遮蔽部25を設けることによる風切音を低減する効果が小さいからである。また、フロント側の切り欠き23に遮蔽部25を設けると、筐体を出入りするトレーと干渉するおそれがあるからである。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態の光ディスク装置のリア側の係合部を示す斜視図である。
【0016】
トップケース10のフック11Aと係合するボトムケース20の係合部は、切り欠き23、遮蔽部25によって構成される。
【0017】
ボトムケース20は、金属薄板による底面21と、金属薄板を底面21と略直角に曲げた側面22とによって構成される。そして、底面21と側面22とによって形成される辺上に、底面21から側面22にかけての一部を切除することによって、切り欠き23を形成する。フック11Aは、切り欠き23において、側面22の切断面24と当接して、光ディスク装置の筐体の高さを規定する(図4参照)。このように、フック11Aを側面22の切断面23に当接させることによって、フック11Aを金属板を曲げて構成された面に当接させる場合と比較し、筐体の高さの誤差を抑制することができる。これは、切り欠き23において、側面22の端部を金属板を折り曲げて形成するより、側面22の切断面によって形成する方が側面22の係合位置の高さ寸法の精度が高くなるからである。
【0018】
切り欠き23の、底面21の内側には、底面21と平行な面を有する遮蔽部25が設けられる。遮蔽部25の平面は、トップケース10とボトムケース20とを組み付けたときに、フック11Aと干渉しないように、切断面23より内側に設けられる。遮蔽部25は、底面21に絞り加工をすることによって、底面21の内側に形成されるとよい。遮蔽部25を絞り加工で形成することによって、遮蔽部25の3辺が底面21と繋がり、ボトムケース20の隙間は、遮蔽部25の外側の面と側面22とのわずかな隙間26(図4参照)のみとなる。
【0019】
切り欠き23は、フック11と係合するためにボトムケース20に穴を開けることによって形成されているところ、この穴を通過する空気によって、ディスクの風切音が筐体の外部に漏れる。しかし、本実施の形態によれば、切り欠き23に空気の流通を妨げる遮蔽部25を設けたので、切り欠き23を通過する空気(音)が減少し、筐体の外部に漏れる風切音を減らすことができる。
【0020】
また、遮蔽部25を絞り加工で形成することによって、切り欠き23の隙間が小さくなることから、筐体の外部に漏れる風切音をさらに低減することができる。
【0021】
遮蔽部25は、絞り加工ではなく、曲げ加工によっても形成することができる。この場合、遮蔽部25は、その1辺を底面21と繋げられ、他の2辺において遮蔽部25と底面21との間には切り込みが設けられる。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態の光ディスク装置のリア側の係合部の係合状態を示す斜視図である。
【0023】
トップケース10とボトムケース20とが組み付けられた状態では、フック11Aが切込23に係合している。切り欠き23の内側の遮蔽部25によって、フック11Aの周囲の空隙の大部分は塞がれている。
【0024】
図4は、本発明の実施の形態の光ディスク装置の係合部を示す断面図である。
【0025】
ボトムケース20の底面21と側面22とにが交わる部分によって構成される辺には切り欠き23が設けられる。切り欠き23の内側に設けられる遮蔽部25は、底面21の内側に底面21と平行に設けられる。なお、遮蔽部25は、側面22の切断面24より内側に設けられるため、フック11Aは切断面24と当接するが、遮蔽部25とは当接しない。
【0026】
遮蔽部25を設けたため、トップケース10とボトムケース20との間の隙間は、遮蔽部25とボトムケース20の側面22との間の隙間26だけになる。よって、切り欠き23全体が隙間となる従来例と比べ、トップケース10とボトムケース20との間の隙間が小さくなり、筐体の遮音性を向上することができる。
【0027】
以上説明したように、本発明の実施の形態によると、遮蔽部を絞り加工で形成したので筐体の製造コストを上昇させることなく、筐体から漏れる風切音を低減することができる。例えば、ディスクの回転数が5200rpmであるとき、遮蔽部25を設けない場合と比べて、風切音を0.5dB低減することができる。
【0028】
また、筐体の隙間が小さくなるので、光ディスク装置から漏れる電磁波を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の光ディスク装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の光ディスク装置の係合部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の光ディスク装置の係合部の係合状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態の光ディスク装置の係合部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10 トップケース
11A、11B フック
20 ボトムケース
21 底面
22 側面
23 切り欠き
24 切断面
25 遮蔽部
26 隙間
30 フロントパネル
31 本体部
32 ウイング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップケースとボトムケースとによって略箱形の筐体を構成する光ディスク装置であって、
前記トップケースは、その一辺に前記ボトムケースと係合するフックを備え、
前記ボトムケースは、前記フックと係合する切り欠きが設けられた係合部を備え、
前記切り欠きの内側に、前記切り欠きを通過する空気の流通を妨げる遮蔽部を設けたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記ボトムケースは、金属薄板による底面と、前記金属薄板を略直角に曲げた側面とを含み、
前記底面と前記側面とによって形成される辺上に、前記底面の一部と前記側面の一部とを切除することによって、前記切り欠きが設けられ、
前記遮蔽部は、前記底面に絞り加工をすることによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記フックは、前記側面の切断面と係合することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記筐体は、略箱形の本体部と、前記本体部より薄厚で、前記本体部から張り出したウイング部とによって構成され、
前記係合部は、前記ウイング部に設けられることを特徴とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記光ディスク装置は、光ディスクが装着されるトレーが取り付けられるフロントパネルを、筐体の正面側に備え、
前記トップケースは、その一辺に前記ボトムケースと係合する二つのフックを備え、
前記ボトムケースは、前記各フックと係合する切り欠きが設けられた二つの係合部を備え、
前記遮蔽部は、前記ウイング部の背面側の係合部に設けられることを特徴とする請求項4に記載の光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−102787(P2010−102787A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274110(P2008−274110)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)