説明

光ディスク装置

【課題】光ディスク装置において、光ピックアップに搭載される対物レンズ駆動機構の温度が過度に上昇し、記録品質が低下する。
【解決手段】ディスク回転機構,光ピックアップ,送り機構を搭載してなるメカシャシーと、ディスクと光ピックアップの間に位置し、前記メカシャシー上に固定される板状部材である化粧板と、ディスクの格納および取出しを行うディスクトレイと、駆動制御用の回路基板と、上記構成部品を搭載してなる装置筐体とからなる光ディスク装置であって前記メカシャシーのディスク記録面外周領域と対峙する箇所に、凹形状に窪んだ段差部を設けると共に、前記ディスクトレイの前記メカシャシーを搭載するために設けられる開口部の近傍で、かつ、ディスク記録面外周領域と対峙する箇所に、前記段差部までなだらかに繋がる傾斜部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する円盤状のディスクに情報を記録および再生を行う光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置とは、データ記録媒体である円盤状のディスクを回転させた状態で、ディスク盤面にデータの記録を行うと共に、ディスク盤面に記録されたデータを再生させるデータ記憶装置である。
【0003】
データを記録,再生させるための信号書き込みおよび読み取り手段として使用される、レーザ発光部,レーザ受光部およびディスク盤面にレーザ光を集光させる対物レンズ等を備えた電子部品(光学ヘッド)は、光ピックアップもしくは単にピックアップと称される。データ記録媒体であるディスクとしては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory),CD−R(Compact Disc Recordable),CD−RW(Compact Disc Rewritable),DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory),DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable),DVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable),DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random Access Memory),DVD+R(Digital Versatile Disc Recordable),DVD+RW(Digital Versatile Disc Rewritable),BD−ROM(Blu-ray(登録商標)Disc Read Only Memory),BD−R(Blu-ray(登録商標)Disc Recordable),BD−RE(Blu-ray(登録商標)Disc Rewritable)等が挙げられる。そして、光ディスク装置は一般に、光ディスク装置へのアクセス制御および演算処理等を行う中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えた電子機器、例えばパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)などに搭載される。
【0004】
前記電子機器がデスクトップ型PCである場合は、光ディスク装置は一般にハーフハイト型光ディスク装置と称されものと、ノート型PCである場合は、一般にスリム型光ディスク装置と称されるものがある。
【0005】
光ディスク装置においては、近年特にデータ記憶容量の大容量化が要求されている。大容量化のためには、BDのような大容量ディスクを用い、さらにディスク記録層を2層構造にするなど多層化させることで記憶容量を増大させる必要がある。
【0006】
つまり、CD/DVD,BDすべてのデータ記録媒体に対応させるため、CD/DVD用赤色レーザ光,BD用青色レーザ光の双方をディスク記録面に集光させるためには、ディスク記録面に近接して対向するよう光ピックアップに搭載される対物レンズも、CD/DVDに加えてBD用のレンズが必要となる。
【0007】
このとき、ディスクの回転に伴いディスク記録面に対する対物レンズの位置および角度を制御させるため、一般に対物レンズは金属ワイヤなどの弾性材により空中に保持される支持部材に固定される。前記支持部材には銅線が巻かれてコイルを形成しており、さらに支持部材を間に挟むように2対の永久磁石が配置される。磁界中に前記支持部材が配置されることになり、コイル状に巻かれた銅線に電流を流すことで電磁力が発生し、これにより支持部材の位置および角度が制御される。なお、対物レンズの位置および角度を制御する機構を、ここでは対物レンズ駆動機構と称す。
【0008】
前述のように、大容量化のためにはCD/DVDおよびBD用の2個の対物レンズが必要となる。このため、前記支持部材の自重が増加し、自重増加した支持部材を駆動させるためにコイルに流す電流が増え、コイルからの発熱量が増大してしまう。よって、支持部材に搭載される対物レンズの温度も上昇することになり、レンズの熱変形によるレーザ光の光軸ずれが発生し、記録品質が大幅に低下するという問題が生じる。
【0009】
低コスト化のためには、前記対物レンズの材質はガラスよりもプラスチックがより好ましく、この場合はレンズの熱変形はさらに顕著になり、レーザ光の光軸ずれによる記録品質の低下の問題はさらに顕在化する。特に、スリム型光ディスク装置の場合は、ハーフハイト型光ディスク装置よりも装置筐体の容積が小さく高密度実装であることから、対物レンズを搭載する対物レンズ駆動機構はハーフハイト型光ディスク装置よりも高温雰囲気にさらされることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−25667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
光ピックアップの放熱対策として、例えば特開平11−25667号公報(特許文献1)では、光ピックアップとディスクの間に介在する板状部材に形成される空気流通路により、ディスク回転により発生する空気流を光ピックアップに導くという方法が提案されている。しかしながら、上記の特許文献1で提案されている方法では、前記対物レンズ駆動機構を効果的に放熱させることはできない。
【0012】
本発明の目的は、スリム型光ディスク装置において、光ピックアップに搭載される対物レンズ駆動機構の温度が過度に上昇し、記録品質が低下することを防止した光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、レーザ発光部からのレーザ光をディスク記録面に集光させる対物レンズと、この対物レンズを駆動させる駆動機構を備えた光ピックアップと、この光ピックアップを前記ディスクの半径方向に移動させる送り機構と、前記送り機構を搭載したメカシャシーと、前記ディスクと前記光ピックアップとの間に位置し、前記メカシャシー上に固定される板状部材の化粧板と、前記ディスクの格納および取出しを行うディスクトレイと、これらの構成部品を搭載した装置筐体とからなる光ディスク装置において、前記メカシャシーのディスク記録面外周領域と対峙する箇所に、凹形状に窪んだ段差部を設け、前記ディスクトレイの前記メカシャシーを搭載するために設けられた開口部の近傍で、かつ前記ディスク記録面外周領域と対峙する箇所に前記段差部まで繋がる傾斜部を設けたことにより達成される。
【0014】
また上記目的は、前記段差部は、長さがディスクの回転方向に沿って徐々に短くなっていることにより達成される。
【0015】
また上記目的は、前記段差部を複数個設けたことにより達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ディスク回転に伴い発生する空気流により対物レンズ駆動機構の放熱が促進され、対物レンズ温度の過度な上昇による記録品質の低下を抑えた光ディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の概略内部構成を示した斜視図である。
【図2】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の概略内部構成を示した平面図である。
【図3】第一の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載されるディスクトレイの斜視図である。
【図4】第一の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載されるメカシャシーの概略平面図である。
【図5】第一の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載されるメカシャシーに化粧板を取り付けた状態を示す概略平面図である。
【図6】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す概略断面図である。
【図7】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す概略断面図である。
【図8】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す概略断面図である。
【図9】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略説明図である。
【図10】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略説明図である。
【図11】第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略説明図である。
【図12】光ディスク装置に搭載される対物レンズ駆動機構の主要構成を示す概略説明図である。
【図13】第二の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載されるメカシャシーの概略平面図である。
【図14】第二の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す概略断面図である。
【図15】第二の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略説明図である。
【図16】第三の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載されるメカシャシーの概略平面図である。
【図17】第三の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図1〜図11にしたがって以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の概略内部構成を示した斜視図である。
図2は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の概略内部構成を示した平面図である。
図3は第一の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載されるディスクトレイの斜視図である。
図4は主要機構部であるメカシャシーの概略平面図である。
図5は第一の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載されるメカシャシーに化粧板を取り付けた状態を示す概略平面図である。
図6は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す概略断面図である。
図7は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す部分断面図である。
図8は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す部分断面図である。 図9は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略説明図である。
図10は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略説明図である。
図11は第一の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略断面図である。
【0020】
光ディスク装置は、装置筐体を成す底板カバー1および天板カバー(図示せず)の内部に、データ記録媒体である円盤状のディスク2を固定するためのターンテーブル10が取り付けられている。9はターンテーブル10を回転駆動するためのスピンドルモータである。6はターンテーブル10によって回転するディスク2の半径方向に移動して、ディスク2へのデータの記録およびディスク2に記録されているデータの再生を行う光ピックアップである。4は光ピックアップ6をディスク2半径方向へ移動させる送り機構(図示せず)等を搭載してなる主要機構部であるメカシャシー(図5に示す)である。5はディスク2と光ピックアップ6の間に位置し、メカシャシー4の表面を覆うようにメカシャシー4に固定される板状の部材である化粧板である。3は化粧板5を備えたメカシャシー4が固定され、かつディスク2の記録面を一定のクリアランスを有して覆うディスクトレイである。さらに底板カバー1および天板カバー(図示せず)の内部にはスピンドルモータ9,光ピックアップ6等を駆動制御する制御回路基板(図示せず)等を備えている。
【0021】
図1に示すディスクトレイ3が装置内部に設けているガイド102上を移動することにより、ディスク2の装置内部への格納(図2のγ1方向)および装置内部からのディスク2の取り出し(図2のγ2方向)が行われる。
【0022】
図1および図2はディスクトレイ3が底板カバー1内に格納された状態を示している。
【0023】
図1,図2において、ディスクトレイ3の開口部3jに、スピンドルモータ9,光ピックアップ6,化粧板5等を搭載してなるメカシャシー4(図5に示す)が装着されており、ディスク2をディスクトレイ3に載置する際には、ディスク2をスピンドルモータ9のターンテーブル10上にディスクチャック11により固定する。この際、ディスク2の中心に設けられる開孔部2aをディスクチャック11に嵌合させる。そして、スピンドルモータ9を回転駆動させることにより、ターンテーブル10上に固定されるディスク2がα1方向(図2)に回転する。ディスク2の回転速度は、例えばスリム型光ディスク装置の場合、最速で5500rpm程度に達する。なお、図2ではディスク2の外径形状を2点鎖線で示している。
【0024】
ディスクトレイ3は、ディスク2の記録面を一定のクリアランスを有して覆う平坦部3aおよび3b、ディスク2の外径より大きくディスク2と同心円状の凸部3f,3gおよび3hを有する外周平坦部3c,3dおよび3e、メカシャシー4(図5に示す)を装着するための開口部3jを備えている。そして前面部であるフロントベゼル101により構成される(図3)。ディスクトレイ3は、例えばABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene 共重合合成樹脂)等を母材として、金型により射出成形される。なお、図2において、化粧板5および光ピックアップ6で、ディスクトレイ3の下方に位置する箇所は点線で示している。
【0025】
ディスク2を回転させた状態で、光ピックアップ6をディスク2の内周から外周方向(図2のβ1方向)へ送り機構(図示せず)により移動させることで、ディスク2の記録層へのデータ記録が行われる。また、ディスク2の記録層が2層構造である2層ディスク(DVD/BD DL:Double Layer)である場合は、光ピックアップ6をディスク2の内周から外周方向(図2のβ1方向)へ送り機構により移動させ1層目の記録が終了した後に、引き続き光ピックアップ6をディスク2の外周から内周方向(図2のβ2方向)へ送り機構により移動させて2層目の記録が行われる。
【0026】
図5において、光ピックアップ6は案内軸である主軸12および副軸13により支持され、主軸12,副軸13それぞれの軸端部がメカシャシー4に固定されている。メカシャシー4は、例えばSS41等の一般構造用圧延鋼材の薄板に、曲げ加工,絞り加工を施すことにより成形される。
【0027】
このとき、光ピックアップ6内に装着される半導体レーザ素子などのレーザ発光部(図示せず)から発振されたレーザ光は、光学ユニット(ミラー,プリズムなど)を通過して対物レンズ8からディスク2の記録面へ集光され、ディスク2へのデータの記録が行われる。一方、ディスク2に記録されたデータの再生時は、ディスク2からの反射光が対物レンズ8から光学ユニット(ミラー,プリズムなど)を通過して、レーザ受光部(図示せず)にて検出される。CD/DVDに加えてBDの記録再生に対応するため、光ピックアップ6はCD/DVD用とBD用の2つの対物レンズ8を有し、光ピックアップ6に搭載される対物レンズ駆動機構7により対物レンズ8のディスク2記録面に対する位置および角度が制御され、ディスク2記録面への焦点距離が調整される。
【0028】
図12は対物レンズ駆動機構の主要構成斜視図である。
図12において、ディスク2の回転に伴いディスク2記録面に対する対物レンズ8の位置および角度を制御させるため、対物レンズ8は金属ワイヤなどの弾性材(図示せず)により空中に保持される支持部材51に固定される。支持部材51には銅線52が巻かれてコイルが形成されている。さらに支持部材51を間に挟むように2対の永久磁石53が配置される。磁界中に支持部材51が配置されることになり、コイル状に巻かれた銅線52に電流を流すことで電磁力が発生し、これにより支持部材51の位置および角度が自動で制御される。
【0029】
対物レンズ駆動機構7は、その周囲を板状の部材14で覆われている。そして、光ピックアップ6がディスク2の半径方向(β1およびβ2方向)に移動することにより、対物レンズ駆動機構7が図9に示した化粧板5の開口部5a内を移動し、ディスク2の記録面へレーザ光が集光される。前記レーザ発光部,レーザ受光部,光学ユニットおよび対物レンズ駆動機構7に加え、これら構成要素を駆動制御するための制御回路基板が、例えば、マグネシウムダイカスト,亜鉛ダイカスト,アルミダイカストなどで成形される構造体に支持され、光ピックアップ6筐体を形成する。
【0030】
以上のごとく、第一の実施の形態においては、前記メカシャシー4のディスク2記録面外周領域と対峙する箇所に、メカシャシー4の表面より凹形状に窪んだ段差部4aを設ける(図4,図5)と共に、前記ディスクトレイ3の平坦部3aであってディスクトレイ3の開口部3jの近傍で、かつ、ディスク2記録面外周領域と対峙する箇所に、前記段差部4aまでなだらかに繋がる傾斜部3iを設けた(図2,図3)。
【0031】
図2のA−A断面の概略断面図を図6に、図4のB−B断面および図5のC−C断面の概略断面図をそれぞれ図7,図8に示している。
【0032】
図6〜図8に示したように、傾斜部3i,段差部4aを介して前記対物レンズ駆動機構7まで繋がる空間が新たに形成される。ここで段差部4aは、例えばSS41等の一般構造用圧延鋼材の薄板を、曲げ加工,絞り加工を施すことにより成形される。また、傾斜部3iは、例えばABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene 共重合合成樹脂)等を母材として、金型により射出成形される。なお、図5において、化粧板5の下方に位置するメカシャシー4,主軸12,副軸13および光ピックアップ6の一部は点線で示している。
【0033】
こうすることにより、ディスク2の高速回転(α1方向)により発生する空気流が、前記傾斜部3iおよび前記段差部4aを通過し、光ピックアップ6の対物レンズ駆動機構7まで直接流れる。ディスク2の回転数が約5500rpmの場合、ディスク2外周領域の空気流速値は約30m/sに達する。
【0034】
図9,図10および図11に、ディスク2の高速回転(α1方向)により、前記傾斜部3iを流れる空気流の方向(ε1方向)、および前記段差部4aを流れる空気流の方向(ε2方向)を概略示す。なお、図9において、段差部4aを流れる空気流(ε2方向)は化粧板5の下方を流れるため、ここでは点線で表示している。発明者は、このときの空気流速値を数値流体シミュレーション(CFD:Computational Fluid Dynamics)により見積もったところ、前記傾斜部3iおよび前記段差部4aを設けることにより、対物レンズ駆動機構7の周囲の流速値が、約4倍に増大することを確認した。
【0035】
このように、ディスク2外周領域に発生する高速空気流をスムーズに対物レンズ駆動機構7の周囲まで直接導くことができるため、対物レンズ駆動機構7から発生する熱を効果的に放熱させることが可能となる。よって、対物レンズ8の温度が過度に上昇し、記録品質が低下するという課題を解決することができる。
【0036】
なお、ここでは光ピックアップ6に搭載されるCD/DVD用とBD用の2つの対物レンズ8が、ディスク2の回転方向に並んで設置される場合を示したが、CD/DVD用とBD用の2つの対物レンズ8は、ディスク2の半径方向に並んで設置される場合であってもよい。
【実施例2】
【0037】
図13は、第二の実施の形態を有する光ディスク装置に搭載される主要機構部であるメカシャシー4の概略平面図である。
図14は、第二の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を示す概略断面図である。
図15は、第二の実施の形態を有する光ディスク装置の導風構造を流れる空気流の方向を示す概略説明図である。なお、図13および図15では、ディスク2の外径形状を2点鎖線で示している。
【0038】
第二の実施の形態は、第一の実施の形態を有する光ディスク装置において、前記メカシャシー4のディスク2記録面外周領域と対峙する箇所に、メカシャシー4の表面より凹形状に窪んだ段差部4bを設ける。このとき、段差部4bの段差部長さを、ディスク2の回転方向(α1方向)に沿って徐々に短くなっている。図14に、図13におけるD−D断面およびE−E断面の概略断面図を示す。D−D断面およびE−E断面の段差部長さはそれぞれL1,L2であり、L1とL2の関係はL1>L2となる。また、段差部4bは、例えばSS41等の一般構造用圧延鋼材の薄板を、曲げ加工,絞り加工を施すことにより成形される。
【0039】
こうすることにより、ディスク2の高速回転(α1方向)により発生する空気流が、前記傾斜部3i(図3)および前記段差部4bを通過し、光ピックアップ6の対物レンズ駆動機構7まで直接流れる。図15に、ディスク2の高速回転(α1方向)により前記段差部4bを流れる空気流の方向(ε3方向)を概略示す。ディスク2の回転方向(α1方向)に沿って、段差部4bの段差部長さを徐々に短くさせることにより、より高速の空気流を光ピックアップ6の対物レンズ駆動機構7まで流すことができる。
【0040】
このように、ディスク2外周領域に発生する高速空気流を、スムーズに対物レンズ駆動機構7の周囲まで直接導くことができるため、対物レンズ駆動機構7から発生する熱を効果的に放熱させることが可能となる。よって、対物レンズ8の温度が過度に上昇し、記録品質が低下するという課題を解決することができる。
【0041】
なお、前記段差部4bの段差部長さに関しては、図13のD−D断面およびE−E断面の段差部長さL1,L2に対し、L1とL2の関係はL1>L2のみならず、L1<L2あるいはL1=L2であってもよい。
【0042】
また、ここでは光ピックアップ6に搭載されるCD/DVD用とBD用の2つの対物レンズ8が、ディスク2の回転方向に並んで設置される場合を示したが、CD/DVD用とBD用の2つの対物レンズ8は、ディスク2の半径方向に並んで設置される場合であってもよい。
【0043】
以上、第一および第二の実施の形態を有する光ディスク装置において、前記メカシャシー4のディスク2記録面外周領域と対峙する箇所に設けられるメカシャシー4の表面より凹形状に窪んだ段差部は、これを複数個設けてもよい。
【実施例3】
【0044】
図16は第三の実施形態である段差部を2個設けた場合のメカシャシー4の概略平面図である。
図17は第三の実施形態である導風構造の概略断面図である。
第三の実施の形態においては、前記メカシャシー4のディスク2記録面外周領域と対峙する箇所に、メカシャシー4の表面より凹形状に窪んだ段差部4cを2個設けたものである。この2個の段差部4cはメカシャシー4を成型することによって左右並列に一体的な段差部4cが形成されたものであり、ほぼ左右対称となっている。
【0045】
本実施形態によれば、第一および第二の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0046】
以上のごとく、第一および第二の実施形態を適用してなる光ディスク装置が搭載される電子機器としては、ノート型パーソナルコンピュータ(PC)だけではなく、ハードディスク(HDD)レコーダー,DVDレコーダー,カーナビゲーションシステムなどの車載用コンピュータあるいは光ディスクを搭載するカメラおよびゲーム機等であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 底板カバー(装置筐体)
2 ディスク
3 ディスクトレイ
3i 傾斜部
4 メカシャシー
4a,4b,4c 段差部
5 化粧板
6 光ピックアップ
7 対物レンズ駆動機構
8 対物レンズ
9 スピンドルモータ
10 ターンテーブル
11 ディスクチャック
12 主軸
13 副軸
14 板状の部材
51 支持部材
52 銅線(コイル)
53 永久磁石
101 フロントベゼル
102 ガイド
α1 ディスク回転方向
β1,β2 光ピックアップの移動方向
γ1,γ2 ディスクトレイの移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発光部からのレーザ光をディスク記録面に集光させる対物レンズと、この対物レンズを駆動させる駆動機構を備えた光ピックアップと、この光ピックアップを前記ディスクの半径方向に移動させる送り機構と、前記送り機構を搭載したメカシャシーと、前記ディスクと前記光ピックアップとの間に位置し、前記メカシャシー上に固定される板状部材の化粧板と、前記ディスクの格納および取出しを行うディスクトレイと、これらの構成部品を搭載した装置筐体とからなる光ディスク装置において、
前記メカシャシーのディスク記録面外周領域と対峙する箇所に、凹形状に窪んだ段差部を設け、前記ディスクトレイの前記メカシャシーを搭載するために設けられた開口部の近傍で、かつ前記ディスク記録面外周領域と対峙する箇所に前記段差部まで繋がる傾斜部を設けたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記段差部は、長さがディスクの回転方向に沿って徐々に短くなっていることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1記載の光ディスク装置において、
前記段差部を複数個設けたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光ディスク装置を搭載した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−54217(P2011−54217A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199197(P2009−199197)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)