説明

光ディスク装置

【課題】トップケースの組み付け性に優れ、かつ、音漏れ、EMI及びESDを低減することができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】トップケースは、一方の端部からトレイの側面に沿って垂下するタブ、他方の端部からトレイの他方の側面に沿って垂下する側面、及び、側面から内側に延びる爪部を有する。ボトムケースは、一方の側面の上端を内側に折り返して形成される下側折り返し部、及び、他方の側面に開口し爪部が係合する切欠きを有する。タブは、内側に向けて突出する突起を有する。下側折り返し部は、トレイの側面に沿って上下方向に延び、トップケースをボトムケースに組み付けた状態で突起が接触するバネ部、及び、バネ部の上部を内側に折り返して形成され、トップケースをボトムケースに組み付ける時に突起が接触する曲げ部を有する片持ちバネを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関し、特に、トレイを収容するケースアセンブリの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)等の光ディスクに情報を読み書きする光ディスク装置は、レーザー光を用いて光ディスクにデータを読み書きする光ピックアップユニット(以下、「OPU」という。)と、OPUを支持し、光ディスクが装着されるトレイと、トレイをスライド可能に収容するケースアセンブリと、を備える。
【0003】
ケースアセンブリは、トレイの側面及び下面を覆うボトムケースにトレイの上面を覆うトップケースを組み付けることによって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−64536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボトムケースに対するトップケースの組み付け性を向上させ、かつ、音漏れ、EMI(電磁干渉)及びESD(静電気放電)を低減するには、両者の取付けガタを無くすことが重要である。
【0006】
しかしながら、取付けガタを、両者のはめあいのみで無くそうとすると、各ケースに要求される加工精度が高くなり、コスト面で不利である。
【0007】
特許文献1では、一方のケースに片持ちバネ、他方のケースに突起を形成し、組み付け時に両者を係合させることによって、取付けガタを無くしている。
【0008】
しかしながら、この構成では、トップケースをボトムケースに組み付ける際に作業者が受ける抵抗が片持ちバネの力に依存し、適度な抵抗感を得られるように調整するのが難しかった。
【0009】
本発明は、トップケースの組み付け性に優れ、かつ、音漏れ、EMI及びESDを低減することができる光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、光ディスク装置は、光ディスクが装着されるトレイと、前記トレイの上面を覆うトップケース、及び、前記トレイの側面及び下面を覆うボトムケースで構成され、前記トレイを収容するケースアセンブリと、を備え、前記トップケースは、一方の端部から前記トレイの側面に沿って垂下するタブ、他方の端部からトレイの他方の側面に沿って垂下する側面、及び、前記側面から内側に延びる爪部を有し、前記ボトムケースは、一方の側面の上端を内側に折り返して形成される下側折り返し部、及び、他方の側面に開口し前記爪部が係合する切欠きを有し、前記タブは、内側に向けて突出する突起を有し、前記下側折り返し部は、前記トレイの側面に沿って上下方向に延び、前記トップケースを前記ボトムケースに組み付けた状態で前記突起が接触するバネ部、及び、前記バネ部の上部を内側に折り返して形成され、前記トップケースを前記ボトムケースに組み付ける時に前記突起が接触する曲げ部を有する片持ちバネを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によると、突起が片持ちバネの曲げ部を乗り越える時の反力によって適度な抵抗感が得られ、トップケースの組み付け性が向上する。反力は突起の高さに依存し、抵抗感を狙った強さに容易かつ精度よく調整することができる。
【0012】
突起が曲げ部を乗り越えた後は、バネ部から突起に力が作用してトップケースとボトムケースとの取付けガタが無くなり、音漏れ、EMI及びESDを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の斜視図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1の光ディスク装置を反対側から見た斜視図である。
【図4A】トップケースの組み付け方法を説明するための図である。
【図4B】トップケースの組み付け方法を説明するための図である。
【図4C】トップケースの組み付け方法を説明するための図である。
【図5A】トップケースの組み付け方法を説明するための図である。
【図5B】トップケースの組み付け方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク装置100の斜視図、図2は、図1の枠Aで囲んだ部分を拡大した部分拡大図、図3は、図1の光ディスク装置100を反対側から見た斜視図である。いずれも、光ディスク装置100の内部構造が分かるように、トップケース31を開いた状態で示している。
【0016】
光ディスク装置100は、光ピックアップユニット(以下、「OPU」という。)1と、光ディスクが装着されるトレイ2と、トレイ2を収容するケースアセンブリ3と、を備える。
【0017】
OPU1は、レーザー光を用いて光ディスクにデータを読み書きする機構である。OPU1は、光ディスクの径方向に移動可能にトレイ2に支持される。
【0018】
ケースアセンブリ3は、トレイ2の上面を覆う平板状のトップケース31と、トレイ2の側面及び下面を覆うボトムケース32と、を有する。ボトムケース32は、図中上側及び右側が開いた箱形である。ボトムケース32にトップケース31を組み付けると、図中右側に開口部33が形成される。
【0019】
トレイ2は、ケースアセンブリ3の内部に敷設された図示しない二本のレールに沿ってスライドすることができ、図中右側にスライドすると開口部33を通ってケースアセンブリ3の外側まで移動することができる。トレイ2の右側には図示しないベゼル(フェイスパネル)が取り付けられる。
【0020】
トップケース31は、一方の端部からトレイ2の側面に沿って垂下する上側折り返し部311、他方の端部からトレイ2の他方の側面に沿って垂下する側面312、及び、側面312から内側に延びる爪部313(図3)を有する。
【0021】
上側折り返し部311は、側面312の幅方向中央(好ましくは、幅方向の寸法を二等分した位置)に対向する位置に、さらに下方に垂下するタブ35を有している。タブ35の内面には、内側に向けて突出する円筒形状の突起36が形成される。突起36は、プレス成形等によって形成される。
【0022】
ボトムケース32は、一方の側面321の上端を内側に折り返して形成される下側折り返し部322と、他方の側面に開口し爪部313が係合する切欠き323(図3)を有する。
【0023】
下側折り返し部322は、突起36に対応する位置に片持ちバネ37を有する。片持ちバネ37は、トレイ2の側面に沿って上下方向に延び突起36が当接するバネ部371、及び、バネ部371の上部が内側に折り返されて形成され、下側折り返し部322に接続する曲げ部372を有するL字形状のバネである。
【0024】
続いて、トップケース31をボトムケース32に組み付ける手順について説明する。
【0025】
まず、図3に示すように、ボトムケース32の切欠き323にトップケース31の爪部313を係合させる。図4Aはこの状態の突起36を通る横断面を示している。
【0026】
次に、爪部313と切欠き323との係合部を中心にトップケース31を回転させ、上側折り返し部311及びタブ35を下側折り返し部322に近づけると、突起36が片持ちバネ37の曲げ部372に接触する(図4B)。この状態からさらにトップケース31に下向きの力を加えると、トップケース31に反力が作用し、突起36が曲げ部372を乗り越える際に、適度な抵抗感が得られる。
【0027】
図5Aは、突起36が曲げ部372に接触した状態を示している。突起36の移動軌跡と曲げ部372は、図中Lで示す量だけ重なっている。突起36が曲げ部372を乗り越えるためには、突起36と曲げ部372との接触部位において、タブ35及び片持ちバネ37の変形量の合計がL以上になる必要があり、これによって、適度な反力がトップケース31に作用する。
【0028】
反力の大きさを調整するには、突起36の高さを調整すればよい。突起36はプレス成形等で比較的高い精度で狙った高さに成形することができるので、一度適切な抵抗が得られる突起36の高さが分かれば、以後高さをそれに揃えることによって、反力(抵抗感)を狙った大きさに容易にかつ精度よく調整することができる。
【0029】
なお、曲げ部372の表面は滑らかに湾曲しているので、突起36が曲げ部372を乗り越える際に不要な引っかかりが生じることはない。
【0030】
突起36が曲げ部372を乗り越えると、トップケース31は図4C及び図5Bに示す閉位置に向けて移動する。
【0031】
片持ちバネ37は上端が下側折り返し部322に接続し、下端が自由端であるので、突起36と片持ちバネ37との接触位置が下がるにつれて突起36に作用する力が弱まり、トップケース31を閉位置までスムーズに移動させることができる。
【0032】
トップケース31が閉位置まで移動した状態では、下側折り返し部322が上側折り返し部311によって覆われ、また、突起36が片持ちバネ37によって外側に押され、トップケース31とボトムケース32の取付けガタが無くなる。
【0033】
そして、以後、トップケース31は、作業者が手で押さえなくても閉位置に安定して保持される。これは、トップケース31がボトムケース32から離れようとすると片持ちバネ37から受ける反力が増大し、かつ、トップケース31がボトムケース32から外れるためには突起36が曲げ部372を乗り越える必要があり、トップケース31は外力が作用しない限り閉位置にとどまろうとするからである。
【0034】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0035】
トップケース31を組み付ける時は、まず、突起36が曲げ部372に接触し、突起36が曲げ部372を乗り越える時の抵抗によって、適度な抵抗感が得られる。この抵抗感は、突起36が曲げ部372を乗り越えると消失するので、作業者はトップケース31がボトムケース32に正しく組み付けられたことを認識することができる。
【0036】
組み付け時の反力は突起36の高さによって決定され、かつ、プレス成形等で加工される突起36の高さ方向の寸法精度は高いことから、組み付け時の抵抗感を狙った強さに容易にかつ精度よく調整することができる。
【0037】
そして、突起36が曲げ部372を乗り越え、トップケース31が閉位置に移動した状態では、突起36が片持ちバネ37によって外側に押され、トップケース31とボトムケース32との取付けガタが無くなる。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、トップケース31の組み付け性を向上させつつ、音漏れ、EMI及びESDを低減することができる。
【0039】
また、片持ちバネ37は、曲げ部372が下側折り返し部322に接続し、下端が自由端の片持ちバネであるので、上記通り、トップケース31を閉位置までスムーズに移動させることができ、また、トップケース31が閉位置まで移動するとその位置で安定し、これによっても組み付け性が向上する。
【0040】
なお、片持ちバネ37は、バネ部371をボトムケース32の側面321に接続し、曲げ部372側を自由端としてもよい。
【0041】
また、突起36及び片持ちバネ37をトップケース31の側面312の幅方向中央に対向する位置に設けたので、トップケース31には、反対側の側面312及び突起36に力がバランスよく作用し、回転モーメントが発生せず、組み付け後のトップケース31の姿勢が安定する。
【符号の説明】
【0042】
2 トレイ
3 ケースアセンブリ
31 トップケース
32 ボトムケース
35 タブ
36 突起
37 片持ちバネ
100 光ディスク装置
312 側面
313 爪部
323 切欠き
371 バネ部
372 曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク装置であって、
光ディスクが装着されるトレイと、
前記トレイの上面を覆うトップケース、及び、前記トレイの側面及び下面を覆うボトムケースで構成され、前記トレイを収容するケースアセンブリと、
を備え、
前記トップケースは、一方の端部から前記トレイの側面に沿って垂下するタブ、他方の端部からトレイの他方の側面に沿って垂下する側面、及び、前記側面から内側に延びる爪部を有し、
前記ボトムケースは、一方の側面の上端を内側に折り返して形成される下側折り返し部、及び、他方の側面に開口し前記爪部が係合する切欠きを有し、
前記タブは、内側に向けて突出する突起を有し、
前記下側折り返し部は、前記トレイの側面に沿って上下方向に延び、前記トップケースを前記ボトムケースに組み付けた状態で前記突起が接触するバネ部、及び、前記バネ部の上部を内側に折り返して形成され、前記トップケースを前記ボトムケースに組み付ける時に前記突起が接触する曲げ部を有する片持ちバネを有する、
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記片持ちバネは、曲げ部が前記下側折り返し部に接続し、下端が自由端である、
ことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ディスク装置であって、
前記突起及び片持ちバネは、前記トップケースの前記側面の幅方向中央に対向する位置に設けられる、
ことを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公開番号】特開2013−8408(P2013−8408A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139377(P2011−139377)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)