説明

光ピックアップ装置

【課題】部品点数及び組立工数の削減と、部品の再利用の容易化を実現した光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】光ピックアップ装置は、光学ベース31、フレキシブルプリント基板32、放熱板33及び樹脂性ピックアップカバー34を備える。光学ベースの上面には突起35,36が形成され、フレキシブルプリント基板、放熱板及び樹脂性ピックアップカバーには、夫々突起に対応する孔が形成されている。突起が対応する孔に挿入されるように、光学ベース上にフレキシブルプリント基板、放熱板及び樹脂性ピックアップカバーを取り付ける。樹脂性ピックアップカバーが放熱板を、放熱板がフレキシブルプリント基板を夫々押圧し、フレキシブルプリント基板が光学ベースに押圧保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関し、特に、保護用カバーを備えた光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光ピックアップ装置は、図1に示すように、光学ベース11と、フレキシブルプリント基板12と、ピックアップカバー(保護用カバー)13とを備えている。
【0003】
光学ベース11には、光学ピックアップアクチュエータ14を始めとする複数の部品が搭載されている。
【0004】
フレキシブルプリント基板12には、光学ベース11に搭載される電気・電子部品に接続される配線が形成され、また、これら電気・電子部品を制御するための電子デバイス等が搭載されている。フレキシブルプリント基板12は、図2に示すように、両面テープ15を用いて光学ベース11に固定されている。
【0005】
ピックアップカバー13は、通常、ステンレス(SUS)製である。これは、薄型化(例えば、厚み0.1mm)が可能、樹脂に比べて放熱に有利、弾性を有するため光学ベース11への取り付け固定が容易、等の理由による。
【0006】
ピックアップカバー13は、フレキシブルプリント基板12の上面を覆うように、光学ベース11に取り付けられる。しかしながら、前述のように、フレキシブルプリント基板12は、両面テープ15によって光学ベース11に固定されており、フレキシブルプリント基板12の固定には貢献していない。
【0007】
他の従来の光ピックアップ装置として、ピックアップカバーがフレキシブルプリント基板の一部を押え付けるように構成したものもある(特許文献1参照)。この光ピックアップ装置では、フレキシブルプリント基板が二分割されており、一方のフレキシブルプリント基板は光学ベースに固定されている。ピックアップカバーは、この光学ベースに固定されたフレキシブルプリント基板と、固定されていないフレキシブルプリント基板との接続部を押え付けるように、光学ベースに取り付けられる。
【0008】
【特許文献1】特開2006−202367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来の光ピックアップ装置では、フレキシブルプリント基板を光学ベースに固定するために両面テープが用いられている。このため、従来の光ピックアップ装置には、部品点数が多く、作業が煩雑で、コスト高であるという問題点がある。
【0010】
また、両面テープは一度使うと再使用できないため、取り付けミスの際に貼り直しができず、また、検査不合格品からフレキシブルプリント基板を取り外して再使用することの障害にもなっている。
【0011】
そこで、本発明は部品点数及び組立工数の削減と、部品の再利用の容易化を実現した光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0012】
なお、特許文献1に記載された技術は、上述したとおり、一方のフレキシブルプリント基板が光学ベースに固定されていることを前提とするものであって、上記問題点を解決するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光ピックアップ装置は、光学ベース(31)と、該光学ベースに取り付けられるカバー(34)と、該カバーによって前記光学ベースに対して押圧保持されるフレキシブルプリント基板(32)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
前記フレキシブルプリント基板と前記カバーとの間には、放熱板(33)を介在させることができる。
【0015】
前記光学ベースには、位置決め用の突起(35,36)が形成され、前記フレキシブルプリント基板、前記放熱板及び前記カバーのそれぞれには、前記突起に対応する孔(37,38,40,41,44,45)が形成されてよい。
【0016】
前記放熱板に形成された孔の周囲は、前記フレキシブルプリント基板側へ突出するように、ボス加工されてよい。
【0017】
なお、上記カッコ内の参照符号は、本願発明の理解を容易にすることを目的とするものであって、なんら本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学ベースに取り付けられるカバーを利用してフレキシブルプリント基板を押圧保持するので、両面テープ等の固定用部品とその取り付け工程を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図3に本実施の形態に係る光ピックアップ装置の分解斜視図を示す。図示の光ピックアップ装置は、光学ベース31と、フレキシブルプリント基板(FPC)32と、放熱板33と、樹脂性ピックアップカバー34とを含む。光ピックアップ装置は、さらに半導体レーザー素子、受光素子、光学素子等を備える。
【0021】
光学ベース31の上面には、一対の突起21,22,35,36を含む複数の位置決め用の突起が形成されている。位置決め用の突起は、好ましくは円柱形である。
【0022】
フレキシブルプリント基板32には、光学ベース31の突起35,36に対応する孔37,38と光学ベース31の突起21,22に対応する孔24,25が形成されている。また、フレキシブルプリント基板32には、IC39を始めとするいくつかの電気・電子部品が搭載されている。
【0023】
放熱板33にも、光学ベース31の突起35,36に対応する孔40,41が形成されている。これらの孔40,41の周囲は、光学ベース31に向かって突出するようボス加工されている。また、孔40は、部品の寸法誤差を吸収し、光学ベース31への組み付けを容易にするため、一方向に長い長孔として形成されている。
【0024】
また、放熱板33は、その一部が折り曲げられ、光学ベース31の一部をフレキシブルプリント基板32の一部とともに挟み込むように構成されている。折り曲げ部分のフレキシブルプリント基板32に対向する面には、フレキシブルプリント基板32に搭載されたIC39と密着するシリコンゴム42が貼り付けられ、突起21,22によって、光学ベース231上に位置決めされている。
【0025】
樹脂性ピックアップカバー34は、光学ベース31の上面を覆う主板と、この主板から光学ベース31の下面側へ伸びる複数のフック43を有している。主板には、光学ベース31の突起35,36に対応する孔44,45が形成されている。樹脂性ピックアップカバー34は、光学ベース31にその上面側から取り付けられ、フック43に形成された爪が、光学ベース31の側面又は裏面に形成された溝50に係合し固定される。また、光学ベース31がフレキシブルプリント基板32に覆われている部分では、放熱板33に孔60を形成し、ここにフック43の爪を係合させることにより、樹脂性ピックアップカバー34は固定される。
【0026】
以下、図3の光ピックアップ装置の組立について説明する。
【0027】
まず、フレキシブルプリント基板32を光学ベース31に取り付ける。このとき、光学ベース31に形成された突起21,22,35,36を、フレキシブルプリント基板32に形成された孔24,25,37,38に挿通させる。これにより、フレキシブルプリント基板32は、光学ベース31の上面面内方向(水平方向)に関して位置固定される。
【0028】
次に、放熱板33をフレキシブルプリント基板32が取り付けられた状態の光学ベース31に取り付ける。このとき、放熱板33の折り曲げ部が、放熱板33及びシリコンゴム42の弾性力によって、光学ベース31の一部をフレキシブルプリント基板32の一部とともに挟持する。また、光学ベース31の突起35,36を放熱板33に形成された孔40,41に挿通させることにより、放熱板33もまた、フレキシブルプリント基板32と同様に、光学ベース31の上面面内方向に関して位置固定される。
【0029】
次に、樹脂性ピックアップカバー34を光学ベース31に取り付ける。その様子を図4に示す。樹脂性ピックアップカバー34は、光学ベース31の上面側を覆うように、光学ベース31の上面側から取り付けられる。このとき、光学ベース31の突起35,36が樹脂性ピックアップカバー34の孔44,45に挿入される。また、樹脂製ピックアップカバー34が放熱板33を光学ベース31側へ押圧し、放熱板33のボス部分がフレキシブルプリント基板32の孔37,38の周囲を光学ベース31側へ押圧する。これにより、フレキシブルプリント基板32が光学ベース31の上面に直交する方向(垂直方向)にも位置固定される。樹脂性ピックアップカバー34のフック43及びこれらフック43の爪に対応する光学ベース31の係合部は、上記取り付け状態を実現するように形成(クリアランス設定)される。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る光学ピックアップ装置では、樹脂性ピックアップカバー34を用いてフレキシブルプリント基板32を光学ベース31に対して保持固定するので、両面テープ等の固定部材が不要になる。また、放熱板33を固定するためのねじ等も不要になる。これにより、部品点数の削減と、組立工程の簡略化を実現することができる。また、両面テープを用いないので、フレキシブルプリント基板32の再利用が容易になる。
【0031】
また、本実施の形態では、光学ベース31に形成された突起35,36を利用するようにしたことで、フレキシブルプリント基板32の位置ずれを防止することができ、両面テープを用いた場合のような貼り付け位置ずれを回避することができる。
【0032】
さらに、本実施の形態では、ピックアップカバー34を樹脂製にしたことで、光ピックアップ装置が外部に露出している場合であっても、ステンレス製の場合に比べて、光ディスクを傷つける可能性を低減することができる。また、光ピックアップ装置の軽量化も実現することができる。
【0033】
以上、本発明について一実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良、変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、放熱板と樹脂カバーとが別体の場合について説明したが、これらが一体に形成されたものでもよい。また、ピックアップカバーのフックと対応する係合部とを適切に形成することにより、放熱板がなく、ピックアップカバーがフレキシブルプリント基板を直接押圧するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来の光ピックアップ装置の分解斜視図である。
【図2】図1の光ピックアップ装置におけるフレキシブルプリント基板の光学ベースへの取り付け構造を説明するための分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る光ピックアップ装置の分解斜視図である。
【図4】図3の光ピックアップ装置の組立後の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
11 光学ベース
12 フレキシブルプリント基板
13 ピックアップカバー
14 光学ピックアップアクチュエータ
15 両面テープ
21,22 突起
24,25 孔
31 光学ベース
32 フレキシブルプリント基板
33 放熱板
34 樹脂性ピックアップカバー
35,36 突起
37,38,40,41,44,45 孔
39 IC
42 シリコンゴム
43 フック
50 溝
60 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ベースと、
該光学ベースに取り付けられるカバーと、
該カバーによって前記光学ベースに対して押圧保持されるフレキシブルプリント基板と、
を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント基板と前記カバーとの間に放熱板を介在させたことを特徴とする請求項1の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記光学ベースに位置決め用の突起が形成され、
前記フレキシブルプリント基板、前記放熱板及び前記カバーのそれぞれに前記突起に対応する孔が形成されていることを特徴とする請求項2の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記放熱板に形成された孔の周囲がボス加工され、前記フレキシブルプリント基板側へ突出していることを特徴とする請求項3の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記突起が複数形成され、前記フレキシブルプリント基板、前記放熱板及び前記カバーにこれら複数の突起に対応する複数の孔が形成されていることを特徴とする請求項3又は4の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記カバーが、前記光学ベースの上面を覆う主板と、該主板から一方向へ伸びるフックとを有し、該フックの爪を前記光学ベースの側面又は下面に形成された係合部に係合させることにより、前記光学ベースに取り付けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記カバーが樹脂製であることを特徴とする請求項6の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−217872(P2009−217872A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57983(P2008−57983)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】