光ピックアップ装置
【目的】 レーザ出射光の光利用効率が高く、製作しやすい光ピックアップ装置を提供する。
【構成】 半導体基板1上に装着された半導体レーザ素子2と、前記半導体基板1に設けた段差面を反射面とし、前記半導体レーザ素子2のレーザ光の出射端面に対向する反射ミラー3と、半導体基板1上に設けた光検出器5,6,7および8とを備え、半導体レーザ素子2の出射端面を反射ミラー3に近接して配置するとともに、半導体レーザ素子2の出射光軸を反射ミラー3と半導体基板1とに共通な垂直面に交差させて反射光10が出射端面に当たらないようにエピ成長層側を半導体基板1に固定し、反射光10がホログラム素子13,14に対してほぼ垂直になるように、半導体基板1を前記ホログラム素子に対して傾けて配置した光ピックアップ装置。
【構成】 半導体基板1上に装着された半導体レーザ素子2と、前記半導体基板1に設けた段差面を反射面とし、前記半導体レーザ素子2のレーザ光の出射端面に対向する反射ミラー3と、半導体基板1上に設けた光検出器5,6,7および8とを備え、半導体レーザ素子2の出射端面を反射ミラー3に近接して配置するとともに、半導体レーザ素子2の出射光軸を反射ミラー3と半導体基板1とに共通な垂直面に交差させて反射光10が出射端面に当たらないようにエピ成長層側を半導体基板1に固定し、反射光10がホログラム素子13,14に対してほぼ垂直になるように、半導体基板1を前記ホログラム素子に対して傾けて配置した光ピックアップ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ディスク装置などに用いられる光ピックアップ装置を小型化するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザ光を用いた記録再生装置が普及しつつあるが、そこに用いられる光ピックアップ装置の小型化が課題である。
【0003】以下、従来の光ピックアップ装置について、図面を参照しながら説明する。光ピックアップ装置を小型化する手段の一つは光学系の小型化であり、その手段として、シリコンの基板上に半導体レーザ素子や光検出器を一体化した光ピックアップ装置が種々提案されている。たとえば、特開昭64−46243号公報には図6および図7に示す光ピックアップ装置が開示されている。
【0004】図6は上記従来の光ピックアップ装置の光学系の構成を断面図で示す。図において、半導体基板34の上面34aおよび34bとカバー部材33の下面33aとが空間を介して対向するように配置され、半導体基板34の上面34aには第1の光検出部35と第2の光検出部36とが形成され、また、半導体基板34の上面34bには半導体レーザ素子37とモニタ用光検出部38とが形成されている。上面34bが上面34aに対して低くなるように段差が形成され、その段差面が半導体レーザ素子37から出射するレーザ光ビームL1 に対向する全反射グレーティング部(以下、反射ミラーと記す)40を構成している。半導体基板34の上面34aは、たとえば、エッチング処理により精度よく加工されている。また、カバー部材33の上面33bにはホログラム素子により形成されたビームスプリッタ41が設けられている。
【0005】上記の構成において動作を説明すると、半導体レーザ素子37から出射したレーザ光ビームL1 が、半導体基板34の上面34aに設けられた反射ミラー40により3本のレーザ光ビームL2 に分割され、上方に反射される。それら3本のレーザ光ビームL2はそれぞれカバー部材33の下面33aから入射し、カバー部材33を透過したのちカバー部材33の上面33bに設けられたビームスプリッタ41に入射する。ビームスプリッタ41に達したレーザ光ビームL2の一部はレーザ光ビームL3としてカバー部材33を透過し、下面33aから出射する。出射したレーザ光ビームL3は第1の光検出部35に入射し、その一部は第1の光検出部35の上面とカバー部材33の下面33aとで反射し、第2の光検出部36に入射する。
【0006】図7は従来の他の光ピックアップ装置の構成を断面図で示す。この光ピックアップ装置は、図6に示した光ピックアップ装置における反射ミラー40の代わりにプリズム50を用いたものである。
【0007】以下、光ピックアップ装置に用いられる光源について説明する。光ピックアップ装置の光源としては、ガリウムヒ素(以下、GaAsと記す)基板上にエピタキシャル成長されたガリウムアルミニウムヒ素(以下、GaAlAsと記す)系のダブルヘテロ構造レーザが一般に使用されている。図8はその構成を斜視図で示す。図において、81はガリウムアルミニウムヒ素(Ga1-xAlxAs)で構成された活性層であり、アルミニウムの組成比によって発振波長を680〜880nmの範囲で選ぶことができる。たとえば、コンパクトディスクおよびビデオディスク用には780nmの波長が使用され、光ディスク用高出力レーザには830nmまたは780nmの波長が使用されている。82a,82bはガリウムアルミニウムヒ素(Ga1-yAlyAs)で構成されたクラッド層であり、キャリア(電子、正孔)と光とを活性層81内に閉じ込める役目をする。83はGaAsで構成されたキャップ層であり、電極抵抗を小さくするために設けられている。
【0008】上記各層の集合体であるレーザチップの通常の大きさは、0.25×0.3×0.12mm程度であって非常に小さい。活性層81にはpn接合が形成され、p電極84を正、n電極85を負にして電圧を印加することにより活性層81に電子と正孔が注入され、ある電流値でレーザ発振が起きる。レーザチップは通常、成長層側を下にして、銅ブロック86上にシリコンなどにより構成したサブマウント88上にろう材87を介してマウントされる。レーザ共振器を構成するために必要な反射鏡89は結晶のへき開面を利用して作られる。
【0009】図9は図6に示した光ピックアップ装置における半導体レーザ素子37と反射ミラー40の近傍を拡大断面図で示す。半導体レーザ素子37において、発光点のある活性層81とキャツプ層83側の端面までの高さZ1は通常10μm程度と小さいが、エピタキシャル成長により作成されるため高さZ1の精度は高く、±1μm以下程度にできる。一方、活成層81とGaAs基板80側の端面までの高さZ2は100μm程度と大きく、その精度はGaAs基板80の厚さ精度に依存する。GaAs基板80はウエハーを研磨またはエッチングして加工されるので、その厚さ精度は±10μm程度であって、高さZ1の精度に比べて数値が非常に大きい。
【0010】シリコンの半導体基板34の段差部分は上面34aをエッチングして加工される。エッチングの深さ(H1+H2)は、エッチング時間の短縮および加工精度の確保のために、なるべく小さい方が望ましい。しかし、半導体レーザ素子37の出射光L1のNA(Numerical Aperture)値を大きくするためには、深さ(H1+H2)を半導体レーザ素子37の高さの2倍程度、すなわち200μm程度にする必要があり、非常に大きな値となる。エッチングの深さを浅くしながらNA値を大きくするために、半導体レーザ素子37の発光点と反射ミラー40との距離X1を可能な限り小さくする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の光ピックアップ装置では、半導体基板上に半導体レーザ素子と光検出器とを備えた構成において、光ディスクからの戻り光をホログラム素子などの分割手段で光検出器に入射させ、たとえば、ビームサイズ法でフォーカシングエラー信号を検出する場合、2つの光検出器の一方は焦点の前で、他方は焦点の後で受光するように構成する必要があるが、光検出器をホログラム素子と平行に配置している従来の構成においては、ホログラム素子と2つの光検出器との距離が同じであるため、ホログラム素子の分割パワーを操作して、焦点位置をずらす構成が必要である。そのためには、その構成に適合した特別なホログラム素子を作成しなければならない。
【0012】また、NA値を大きくするためには、図10R>0に示したように、発光点と反射ミラー40との距離X1を小さくすればよいが、あまり小さくすると半導体レーザ素子37のGaAs基板側の高さZ2が大きいので出射光が半導体レーザ素子37の出射端面の部分37dで遮られ、光の利用効率が低下するので、距離X1を小さくするには限度がある。
【0013】また、図11に示したように、NA値を大きくするために、半導体レーザ素子37をGaAs基板側で半導体基板34に固定した構成においては、光が半導体レーザ素子37で遮られることは少なくなる。この場合、半導体レーザ素子37のZ2の寸法精度がZ1に比べて悪いので発光点の高さ精度が得られず、図6における光検出器35と光検出器36における光スポットの大きさが変わってしまうと言う不都合がある。また、上面34aの高さH1を高くする必要があり、エッチングによる加工ができず、また、深く加工することが困難であるという問題がある。
【0014】また、図7に示した構成においては、プリズム50を容易に大きくできるのでNA値は大きくできるが、Z2の寸法精度が悪く、また、プリズムの添付精度が悪く、さらに、基板34とプリズム50が別部品なので製造しにくいといった問題がある。
【0015】本発明は上記課題を解決するもので、小型化しながら高精度に製作でき、かつNA値を大きくできる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、半導体基板上に装着され、レーザ光を出射する半導体レ−ザ素子と、前記半導体基板を加工して設けた所定高さの傾斜した段差面を反射面とし、前記半導体レーザ素子の出射光を反射する反射ミラーと、前記半導体基板上に設けた複数の光検出器と、前記反射ミラーで反射したレーザ光を記録媒体面上に集光する対物レンズと、前記記録媒体面からの戻り光を分割して所定の前記光検出器に入射させるホログラム素子とを備えた光ピックアップ装置において、前記半導体レーザ素子の出射端面を前記反射ミラーに近接させるとともに出射光軸が前記半導体基板と前記反射ミラーとに共通な垂直面に交差するように配置することにより前記反射ミラーで反射したレーザ光が半導体レーザ素子の出射端面に当たらないようにして前記半導体レーザ素子のエピタキシャル成長層側の面を前記半導体基板上に固定し、前記反射ミラーで反射したレーザ光が前記ホログラム素子に対してほぼ垂直に入射するように前記半導体基板を前記ホログラム素子に対して傾けて配置した光ピックアップ装置である。
【0017】
【作用】本発明は上記構成において、半導体基板と反射ミラーとに共通な垂直面を含まない光軸を有する出射光の反射光は、半導体レーザ素子の出射端面を反射ミラーに近接して配置しても出射端面に当たらない方向に反射する。
【0018】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の実施例の光ピックアップ装置について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例の光ピックアップ装置の構成を概略側断面図で示す。まず、本発明の光ピックアップ装置における半導体基板1と半導体レーザ素子2との位置関係について説明する。図2(a)は本実施例の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子とその近傍とを部分上面図で示し、図2(b)は同側断面図で示す。図において、1は半導体基板、1aはその表面、1bは半導体基板1をエッチング加工により形成された所定深さを有する凹部分の底部、2は半導体レーザ素子、3は前記凹部分における傾斜した平らな段差面で構成された反射ミラーである。半導体レーザ素子2は、図2(a)に示したように、その成長層側の面を底部1bに貼り付けて固定され、また、半導体レーザ素子2の出射端面の底面に平行な稜線を、底部1bの面と反射ミラー3との交線1cに対して傾けて取り付けることにより、半導体レーザ素子2の出射光の光軸が反射ミラー3と半導体基板1とに共通な垂直面に交差するように配置される。この設定により、反射光10が半導体レーザ素子2の出射端面から遠ざかるように反射し、半導体レーザ素子2の発光点と反射ミラーとの距離を小さくしても反射光が半導体レーザ素子2の端面で遮られ難くなり、したがって、レーザ光の反射ミラー3への入射角を大きくしてNA値を大きくできる。
【0019】つぎに本発明の実施例の光ピックアップ装置の動作について説明する。図1において、反射光10が半導体基板1に対して斜めに出射されるため、半導体基板1を傾け、光ディスク11に対して反射光10が垂直に入射するように設定する。半導体基板1の上面にはトラック方向(以下、X方向と記す)に関して、反射ミラー3上の反射中心を挟むように2分割光検出器5と2分割光検出器6とが配置され、また、光ディスク11の半径方向(以下、Y方向と記す)に関し、反射ミラー3上の反射中心を挟むように3分割光検出器7と3分割光検出器8とが配置されている。さらに、ガラスブロック12の互いに平行に対向する表面のうち、反射ミラー3に対向する表面上にホログラム(以下、HOEと記す)素子HOE113が形成され、もう一方の表面にHOE214が形成されている。ここで、2分割光検出器5と2分割光検出器6はそれぞれX方向の分割線で分割した2つの受光領域を構成し、3分割光検出器7と3分割光検出器8はそれぞれY方向の分割線で分割した3つの受光領域を構成する。
【0020】上記構成において、半導体レーザ素子2から出射されたレーザ光9は反射ミラー3で反射され、反射光10はHOE113とHOE214を透過して、0次光が対物レンズ17で光ディスク11に集光される。光ディスク11からの戻り光は、対物レンズ17を通って、HOE113に入射してX方向に回折され、その±1次光は2分割光検出器5と2分割光検出器6で受光される。この2分割光検出器5と2分割光検出器6の出力信号からプッシュプル法によりトラッキングエラー信号と情報信号とを取り出す。また、HOE214でY方向に回折された±1次光は、3分割光検出器7と3分割光検出器8で受光され、その出力信号からビームサイズ法によりフォーカシングエラー信号を取り出す。
【0021】すなわち、2分割光検出器5と2分割光検出器6の受光素子5A,5B,6A,6Bのそれぞれの光電出力をT5A,T5B,T6A,T6Bとすると、トラッキングエラー信号は、(T5A−T5B)+(T6A−T6B)
なる演算により得ることができる。
【0022】また、3分割光検出器7と3分割光検出器8の各受光素子を7A,7B,7Cと8A,8B,8Cとし、それらの出力をそれぞれF7A,F7B,F7CとF8A,F8B,F8Cとするとフォーカシングエラー信号は、(F7B+F7C−F7A)−(F8B+F8C−F8A)
なる演算により得ることができる。
【0023】以上のように本実施例によれば、半導体レーザ素子の出射端面稜線が反射ミラーの稜線に対して傾斜させることにより出射光軸を半導体基板と反射ミラーとに共通な垂直面に交差させ、また、発光点と反射ミラーとの距離を小さく配置することにより、反射光が半導体レーザ素子の端面で遮られることなくNA値を大きくできる。
【0024】また、本実施例によれば、フォーカシングエラー信号を得るための分割用のHOE214の分割のパワーを均等にしても、HOE214と3分割光検出器7との距離と、HOE214と3分割光検出器8との距離とが異なっているため、3分割光検出器7と3分割光検出器8に入射する光は、焦点を前後とすることができる。
【0025】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例について、図面を参照しながら説明する。図3(a)は本実施例の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子とその近傍とを部分上面図で示し、図3(b)は同側断面図で示す。図において、図2の実施例と同じ構成要素には同一番号を付与して説明を省略する。本実施例が第1の実施例と異なる点は、半導体レーザ素子2の2次へき開をレーザ光出射部分に対して均等ではなく、大きく偏らせ、レーザ光9が半導体レーザ素子2の端部近傍から出射するようにしている。したがって、発光点を実施例1の場合よりもさらに反射ミラー3により近づけて設定できるので、NA値を大きくしても反射面の面積を小さくでき、したがって、エッチングにより加工した反射ミラーの深さが浅くて済み、より製作し易くなる。
【0026】以上のように本実施例によれば、半導体レーザ素子2の2次へき開をレーザ光出射部分に対して均等ではなく、大きく偏らせ、レーザ光9が半導体レーザ素子2の端部近傍から出射するようにするとともに、半導体レーザ素子の出射端面稜線が反射面の稜線に対して傾斜させて出射光の光軸を半導体面と反射面との共通な垂直面に交差させ、かつ、発光点と反射ミラーとの距離を小さく配置することにより、NA値を大きくできる。
【0027】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例の光ピックアップ装置について、図面を参照しながら説明する。図4は本実施例の光ピックアップ装置の構成を部分上面図で示す。図4において、1は半導体基板、2は半導体レーザ素子、3は半導体基板1の上面をエッチング加工して形成した多角形の凹部の傾斜した平らな段差面により構成した反射ミラーであり、半導体レーザ素子2は実施例1と同様に、出射端面稜線が反射ミラー稜線に傾斜するように配置することにより、反射したレーザ光9が半導体レーザ素子2に干渉しないように設定している。また、12は反射ミラー3の面に設けた段差であり、レーザ光9の当たっている反射面だけを半導体レーザ素子の出射端面に近付けて配置し、NA値を大きくしても反射面の面積を小さくでき、反射ミラー3のエッチング加工の深さを浅くできるので製作が容易になる。
【0028】また、4はレーザ光9の出射パワーをモニタする後方モニタ用光検出器、5および6は2分割光検出器、7および8は3分割光検出器である。後方モニタ用光検出器4の位置は2分割光検出器5および6と、3分割光検出器7および8とレーザ光が干渉しない位置に設定できるため、前記各光検出器を凹部分に近づけて配置でき、小型化が可能となる。また、後方モニタ用光検出器4の後方には他の光検出器がなく、半導体レーザ素子2の後方出射光が後方モニタ用光検出器4以外の光検出器に入射しないので、オフセットなどを生じることがない。また、後方モニタ用光検出器4における反射光は反射ミラー3における反射光10と方向が90度程度ずれているので、半導体レーザ素子2の後方出射光が対物レンズなどに入射することを防止できる。
【0029】図5(a),図5(b)に半導体レーザ素子2を反射ミラー3に対して斜めにマウントする場合の実施例を上面図で示す。
【0030】図5(a)は半導体基板1をエッチングで加工した段差面を複数個有する多角形の凹部の底面1bに、実施例1と同様に半導体レーザ素子2の出射端面稜線が反射ミラーの稜線に対して斜めになるように配置したときに、半導体レーザ素子2の四角2a,2b,2c,2dが、ほぼ前記段差面の稜線部分に位置するように設定しておき、半導体レーザ素子2を凹部の底面にマウントするとき、この四角2a,2b,2c,2dと4つの段差面との隙間La,Lb,Lc,Ldが均等になるように配置すれば、容易に所定の位置と角度でマウントできる。
【0031】図5(b)は半導体基板1をエッチング加工で凹部を形成し、半導体レーザ素子2をその出射端面稜線が反射ミラー3の稜線に対して斜めになるように配置したとき、半導体レーザ素子2の四角2a,2b,2c,2dに対向する部分に角部Sa,Sb,Sc,Sdを設けておく。半導体レーザ素子2をマウントするとき、この角部Sa,Sb,Sc,Sdに半導体レーザ素子2の四角2a,2b,2c,2dが一致するように配置すれば、容易に望んだ位置および角度でマウントできる。
【0032】以上のように、本発明の実施例の光ピックアップ装置によれば、容易に反射ミラー3に対して、半導体レーザ素子2を斜めに精度よくマウントすることが可能となる。
【0033】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発明は、半導体基板上に装着され、レーザ光を出射する半導体レーザ素子と、前記半導体基板を加工して設けた所定高さの傾斜した段差面を反射面とし、前記半導体レーザ素子の出射光を反射する反射ミラーと、前記半導体基板上に設けた複数の光検出器と、前記反射ミラーで反射したレーザ光を記録媒体面上に集光する対物レンズと、前記記録媒体面からの戻り光を分割して所定の前記光検出器に入射させるホログラム素子とを備えた光ピックアップ装置において、前記半導体レーザ素子の出射端面を前記反射ミラーに近接させるとともに出射光軸が前記半導体基板と前記反射ミラーとに共通な垂直面に交差するように配置することにより前記反射ミラーで反射したレーザ光が半導体レーザ素子の出射端面に当たらないようにして前記半導体レーザ素子のエピタキシャル成長層側の面を前記半導体基板上に固定し、前記反射ミラーで反射したレーザ光が前記ホログラム素子に対してほぼ垂直に入射するように前記半導体基板を前記ホログラム素子に対して傾けて配置したことにより、フォーカシングエラー信号を得るためのホログラム素子での分割パワーを特別に変化させなくても、分割素子の距離が異なっているため、適正な配置にすることができ、また、レーザ光の一部と半導体レーザ素子との干渉がなくなり、十分なNA値が確保できる。
【0034】また、反射ミラーのレーザ光の当たっていない半導体レーザ素子側の部分を逃がす構成にすることにより、半導体レーザ素子と反射ミラーをさらに近づけることが可能となり、半導体基板をエッチングして作る反射ミラーの深さが浅くて済み、製作がより容易になる。また、半導体レーザ素子からのレーザ光出射位置を、半導体レーザ素子の直上から見て、中央よりも反射ミラー面に近い側へオフセットすることにより、半導体レーザ素子の発光点を反射ミラーにより近づけることが可能となり、上記と同様の効果が得られる。さらに、半導体レーザ素子の位置決め用マークを半導体基板上にエッチングにより設けることにより、半導体レーザ素子をマウントするとき、斜めに位置決めすることが大変容易になる。また、エッチングで反射ミラー面と同時に製作するために、位置決め用マークの製作も容易で、精度も高いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における光ピックアップ装置の構成を示す概略側断面図
【図2】(a)本発明の第1の実施例における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の位置関係を示す部分上面図
(b)同側断面図
【図3】(a)本発明の第2の実施例における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の位置関係を示す部分上面図
(b)同側断面図
【図4】本発明の第3の実施例における半導体基板上の半導体レーザ素子、反射ミラーおよび光検出器の位置関係を示す上面図
【図5】(a)本発明の第3の実施例における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の他の位置関係を示す上面図
(b)同変形例の上面図
【図6】従来の光ピックアップ装置の一構成例を示す断面図
【図7】従来の光ピックアップ装置の他の構成例を示す断面図
【図8】従来の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の構成を示す斜視図
【図9】光ピックアップ装置に用いられる半導体レーザ素子と反射ミラーとの近傍を拡大して示す断面図
【図10】従来の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子と反射ミラーとの位置関係を示す部分断面図
【図11】従来の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子と反射ミラーとの位置関係を示す部分断面図
【符号の説明】
1 半導体基板
2 半導体レーザ素子
3 反射ミラー
5 2分割光検出器
6 2分割光検出器
7 3分割光検出器
8 3分割光検出器
9 出射光
10 反射光
11 光ディスク
13 ホログラム素子
14 ホログラム素子
17 対物レンズ
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ディスク装置などに用いられる光ピックアップ装置を小型化するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザ光を用いた記録再生装置が普及しつつあるが、そこに用いられる光ピックアップ装置の小型化が課題である。
【0003】以下、従来の光ピックアップ装置について、図面を参照しながら説明する。光ピックアップ装置を小型化する手段の一つは光学系の小型化であり、その手段として、シリコンの基板上に半導体レーザ素子や光検出器を一体化した光ピックアップ装置が種々提案されている。たとえば、特開昭64−46243号公報には図6および図7に示す光ピックアップ装置が開示されている。
【0004】図6は上記従来の光ピックアップ装置の光学系の構成を断面図で示す。図において、半導体基板34の上面34aおよび34bとカバー部材33の下面33aとが空間を介して対向するように配置され、半導体基板34の上面34aには第1の光検出部35と第2の光検出部36とが形成され、また、半導体基板34の上面34bには半導体レーザ素子37とモニタ用光検出部38とが形成されている。上面34bが上面34aに対して低くなるように段差が形成され、その段差面が半導体レーザ素子37から出射するレーザ光ビームL1 に対向する全反射グレーティング部(以下、反射ミラーと記す)40を構成している。半導体基板34の上面34aは、たとえば、エッチング処理により精度よく加工されている。また、カバー部材33の上面33bにはホログラム素子により形成されたビームスプリッタ41が設けられている。
【0005】上記の構成において動作を説明すると、半導体レーザ素子37から出射したレーザ光ビームL1 が、半導体基板34の上面34aに設けられた反射ミラー40により3本のレーザ光ビームL2 に分割され、上方に反射される。それら3本のレーザ光ビームL2はそれぞれカバー部材33の下面33aから入射し、カバー部材33を透過したのちカバー部材33の上面33bに設けられたビームスプリッタ41に入射する。ビームスプリッタ41に達したレーザ光ビームL2の一部はレーザ光ビームL3としてカバー部材33を透過し、下面33aから出射する。出射したレーザ光ビームL3は第1の光検出部35に入射し、その一部は第1の光検出部35の上面とカバー部材33の下面33aとで反射し、第2の光検出部36に入射する。
【0006】図7は従来の他の光ピックアップ装置の構成を断面図で示す。この光ピックアップ装置は、図6に示した光ピックアップ装置における反射ミラー40の代わりにプリズム50を用いたものである。
【0007】以下、光ピックアップ装置に用いられる光源について説明する。光ピックアップ装置の光源としては、ガリウムヒ素(以下、GaAsと記す)基板上にエピタキシャル成長されたガリウムアルミニウムヒ素(以下、GaAlAsと記す)系のダブルヘテロ構造レーザが一般に使用されている。図8はその構成を斜視図で示す。図において、81はガリウムアルミニウムヒ素(Ga1-xAlxAs)で構成された活性層であり、アルミニウムの組成比によって発振波長を680〜880nmの範囲で選ぶことができる。たとえば、コンパクトディスクおよびビデオディスク用には780nmの波長が使用され、光ディスク用高出力レーザには830nmまたは780nmの波長が使用されている。82a,82bはガリウムアルミニウムヒ素(Ga1-yAlyAs)で構成されたクラッド層であり、キャリア(電子、正孔)と光とを活性層81内に閉じ込める役目をする。83はGaAsで構成されたキャップ層であり、電極抵抗を小さくするために設けられている。
【0008】上記各層の集合体であるレーザチップの通常の大きさは、0.25×0.3×0.12mm程度であって非常に小さい。活性層81にはpn接合が形成され、p電極84を正、n電極85を負にして電圧を印加することにより活性層81に電子と正孔が注入され、ある電流値でレーザ発振が起きる。レーザチップは通常、成長層側を下にして、銅ブロック86上にシリコンなどにより構成したサブマウント88上にろう材87を介してマウントされる。レーザ共振器を構成するために必要な反射鏡89は結晶のへき開面を利用して作られる。
【0009】図9は図6に示した光ピックアップ装置における半導体レーザ素子37と反射ミラー40の近傍を拡大断面図で示す。半導体レーザ素子37において、発光点のある活性層81とキャツプ層83側の端面までの高さZ1は通常10μm程度と小さいが、エピタキシャル成長により作成されるため高さZ1の精度は高く、±1μm以下程度にできる。一方、活成層81とGaAs基板80側の端面までの高さZ2は100μm程度と大きく、その精度はGaAs基板80の厚さ精度に依存する。GaAs基板80はウエハーを研磨またはエッチングして加工されるので、その厚さ精度は±10μm程度であって、高さZ1の精度に比べて数値が非常に大きい。
【0010】シリコンの半導体基板34の段差部分は上面34aをエッチングして加工される。エッチングの深さ(H1+H2)は、エッチング時間の短縮および加工精度の確保のために、なるべく小さい方が望ましい。しかし、半導体レーザ素子37の出射光L1のNA(Numerical Aperture)値を大きくするためには、深さ(H1+H2)を半導体レーザ素子37の高さの2倍程度、すなわち200μm程度にする必要があり、非常に大きな値となる。エッチングの深さを浅くしながらNA値を大きくするために、半導体レーザ素子37の発光点と反射ミラー40との距離X1を可能な限り小さくする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の光ピックアップ装置では、半導体基板上に半導体レーザ素子と光検出器とを備えた構成において、光ディスクからの戻り光をホログラム素子などの分割手段で光検出器に入射させ、たとえば、ビームサイズ法でフォーカシングエラー信号を検出する場合、2つの光検出器の一方は焦点の前で、他方は焦点の後で受光するように構成する必要があるが、光検出器をホログラム素子と平行に配置している従来の構成においては、ホログラム素子と2つの光検出器との距離が同じであるため、ホログラム素子の分割パワーを操作して、焦点位置をずらす構成が必要である。そのためには、その構成に適合した特別なホログラム素子を作成しなければならない。
【0012】また、NA値を大きくするためには、図10R>0に示したように、発光点と反射ミラー40との距離X1を小さくすればよいが、あまり小さくすると半導体レーザ素子37のGaAs基板側の高さZ2が大きいので出射光が半導体レーザ素子37の出射端面の部分37dで遮られ、光の利用効率が低下するので、距離X1を小さくするには限度がある。
【0013】また、図11に示したように、NA値を大きくするために、半導体レーザ素子37をGaAs基板側で半導体基板34に固定した構成においては、光が半導体レーザ素子37で遮られることは少なくなる。この場合、半導体レーザ素子37のZ2の寸法精度がZ1に比べて悪いので発光点の高さ精度が得られず、図6における光検出器35と光検出器36における光スポットの大きさが変わってしまうと言う不都合がある。また、上面34aの高さH1を高くする必要があり、エッチングによる加工ができず、また、深く加工することが困難であるという問題がある。
【0014】また、図7に示した構成においては、プリズム50を容易に大きくできるのでNA値は大きくできるが、Z2の寸法精度が悪く、また、プリズムの添付精度が悪く、さらに、基板34とプリズム50が別部品なので製造しにくいといった問題がある。
【0015】本発明は上記課題を解決するもので、小型化しながら高精度に製作でき、かつNA値を大きくできる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、半導体基板上に装着され、レーザ光を出射する半導体レ−ザ素子と、前記半導体基板を加工して設けた所定高さの傾斜した段差面を反射面とし、前記半導体レーザ素子の出射光を反射する反射ミラーと、前記半導体基板上に設けた複数の光検出器と、前記反射ミラーで反射したレーザ光を記録媒体面上に集光する対物レンズと、前記記録媒体面からの戻り光を分割して所定の前記光検出器に入射させるホログラム素子とを備えた光ピックアップ装置において、前記半導体レーザ素子の出射端面を前記反射ミラーに近接させるとともに出射光軸が前記半導体基板と前記反射ミラーとに共通な垂直面に交差するように配置することにより前記反射ミラーで反射したレーザ光が半導体レーザ素子の出射端面に当たらないようにして前記半導体レーザ素子のエピタキシャル成長層側の面を前記半導体基板上に固定し、前記反射ミラーで反射したレーザ光が前記ホログラム素子に対してほぼ垂直に入射するように前記半導体基板を前記ホログラム素子に対して傾けて配置した光ピックアップ装置である。
【0017】
【作用】本発明は上記構成において、半導体基板と反射ミラーとに共通な垂直面を含まない光軸を有する出射光の反射光は、半導体レーザ素子の出射端面を反射ミラーに近接して配置しても出射端面に当たらない方向に反射する。
【0018】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の実施例の光ピックアップ装置について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例の光ピックアップ装置の構成を概略側断面図で示す。まず、本発明の光ピックアップ装置における半導体基板1と半導体レーザ素子2との位置関係について説明する。図2(a)は本実施例の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子とその近傍とを部分上面図で示し、図2(b)は同側断面図で示す。図において、1は半導体基板、1aはその表面、1bは半導体基板1をエッチング加工により形成された所定深さを有する凹部分の底部、2は半導体レーザ素子、3は前記凹部分における傾斜した平らな段差面で構成された反射ミラーである。半導体レーザ素子2は、図2(a)に示したように、その成長層側の面を底部1bに貼り付けて固定され、また、半導体レーザ素子2の出射端面の底面に平行な稜線を、底部1bの面と反射ミラー3との交線1cに対して傾けて取り付けることにより、半導体レーザ素子2の出射光の光軸が反射ミラー3と半導体基板1とに共通な垂直面に交差するように配置される。この設定により、反射光10が半導体レーザ素子2の出射端面から遠ざかるように反射し、半導体レーザ素子2の発光点と反射ミラーとの距離を小さくしても反射光が半導体レーザ素子2の端面で遮られ難くなり、したがって、レーザ光の反射ミラー3への入射角を大きくしてNA値を大きくできる。
【0019】つぎに本発明の実施例の光ピックアップ装置の動作について説明する。図1において、反射光10が半導体基板1に対して斜めに出射されるため、半導体基板1を傾け、光ディスク11に対して反射光10が垂直に入射するように設定する。半導体基板1の上面にはトラック方向(以下、X方向と記す)に関して、反射ミラー3上の反射中心を挟むように2分割光検出器5と2分割光検出器6とが配置され、また、光ディスク11の半径方向(以下、Y方向と記す)に関し、反射ミラー3上の反射中心を挟むように3分割光検出器7と3分割光検出器8とが配置されている。さらに、ガラスブロック12の互いに平行に対向する表面のうち、反射ミラー3に対向する表面上にホログラム(以下、HOEと記す)素子HOE113が形成され、もう一方の表面にHOE214が形成されている。ここで、2分割光検出器5と2分割光検出器6はそれぞれX方向の分割線で分割した2つの受光領域を構成し、3分割光検出器7と3分割光検出器8はそれぞれY方向の分割線で分割した3つの受光領域を構成する。
【0020】上記構成において、半導体レーザ素子2から出射されたレーザ光9は反射ミラー3で反射され、反射光10はHOE113とHOE214を透過して、0次光が対物レンズ17で光ディスク11に集光される。光ディスク11からの戻り光は、対物レンズ17を通って、HOE113に入射してX方向に回折され、その±1次光は2分割光検出器5と2分割光検出器6で受光される。この2分割光検出器5と2分割光検出器6の出力信号からプッシュプル法によりトラッキングエラー信号と情報信号とを取り出す。また、HOE214でY方向に回折された±1次光は、3分割光検出器7と3分割光検出器8で受光され、その出力信号からビームサイズ法によりフォーカシングエラー信号を取り出す。
【0021】すなわち、2分割光検出器5と2分割光検出器6の受光素子5A,5B,6A,6Bのそれぞれの光電出力をT5A,T5B,T6A,T6Bとすると、トラッキングエラー信号は、(T5A−T5B)+(T6A−T6B)
なる演算により得ることができる。
【0022】また、3分割光検出器7と3分割光検出器8の各受光素子を7A,7B,7Cと8A,8B,8Cとし、それらの出力をそれぞれF7A,F7B,F7CとF8A,F8B,F8Cとするとフォーカシングエラー信号は、(F7B+F7C−F7A)−(F8B+F8C−F8A)
なる演算により得ることができる。
【0023】以上のように本実施例によれば、半導体レーザ素子の出射端面稜線が反射ミラーの稜線に対して傾斜させることにより出射光軸を半導体基板と反射ミラーとに共通な垂直面に交差させ、また、発光点と反射ミラーとの距離を小さく配置することにより、反射光が半導体レーザ素子の端面で遮られることなくNA値を大きくできる。
【0024】また、本実施例によれば、フォーカシングエラー信号を得るための分割用のHOE214の分割のパワーを均等にしても、HOE214と3分割光検出器7との距離と、HOE214と3分割光検出器8との距離とが異なっているため、3分割光検出器7と3分割光検出器8に入射する光は、焦点を前後とすることができる。
【0025】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例について、図面を参照しながら説明する。図3(a)は本実施例の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子とその近傍とを部分上面図で示し、図3(b)は同側断面図で示す。図において、図2の実施例と同じ構成要素には同一番号を付与して説明を省略する。本実施例が第1の実施例と異なる点は、半導体レーザ素子2の2次へき開をレーザ光出射部分に対して均等ではなく、大きく偏らせ、レーザ光9が半導体レーザ素子2の端部近傍から出射するようにしている。したがって、発光点を実施例1の場合よりもさらに反射ミラー3により近づけて設定できるので、NA値を大きくしても反射面の面積を小さくでき、したがって、エッチングにより加工した反射ミラーの深さが浅くて済み、より製作し易くなる。
【0026】以上のように本実施例によれば、半導体レーザ素子2の2次へき開をレーザ光出射部分に対して均等ではなく、大きく偏らせ、レーザ光9が半導体レーザ素子2の端部近傍から出射するようにするとともに、半導体レーザ素子の出射端面稜線が反射面の稜線に対して傾斜させて出射光の光軸を半導体面と反射面との共通な垂直面に交差させ、かつ、発光点と反射ミラーとの距離を小さく配置することにより、NA値を大きくできる。
【0027】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例の光ピックアップ装置について、図面を参照しながら説明する。図4は本実施例の光ピックアップ装置の構成を部分上面図で示す。図4において、1は半導体基板、2は半導体レーザ素子、3は半導体基板1の上面をエッチング加工して形成した多角形の凹部の傾斜した平らな段差面により構成した反射ミラーであり、半導体レーザ素子2は実施例1と同様に、出射端面稜線が反射ミラー稜線に傾斜するように配置することにより、反射したレーザ光9が半導体レーザ素子2に干渉しないように設定している。また、12は反射ミラー3の面に設けた段差であり、レーザ光9の当たっている反射面だけを半導体レーザ素子の出射端面に近付けて配置し、NA値を大きくしても反射面の面積を小さくでき、反射ミラー3のエッチング加工の深さを浅くできるので製作が容易になる。
【0028】また、4はレーザ光9の出射パワーをモニタする後方モニタ用光検出器、5および6は2分割光検出器、7および8は3分割光検出器である。後方モニタ用光検出器4の位置は2分割光検出器5および6と、3分割光検出器7および8とレーザ光が干渉しない位置に設定できるため、前記各光検出器を凹部分に近づけて配置でき、小型化が可能となる。また、後方モニタ用光検出器4の後方には他の光検出器がなく、半導体レーザ素子2の後方出射光が後方モニタ用光検出器4以外の光検出器に入射しないので、オフセットなどを生じることがない。また、後方モニタ用光検出器4における反射光は反射ミラー3における反射光10と方向が90度程度ずれているので、半導体レーザ素子2の後方出射光が対物レンズなどに入射することを防止できる。
【0029】図5(a),図5(b)に半導体レーザ素子2を反射ミラー3に対して斜めにマウントする場合の実施例を上面図で示す。
【0030】図5(a)は半導体基板1をエッチングで加工した段差面を複数個有する多角形の凹部の底面1bに、実施例1と同様に半導体レーザ素子2の出射端面稜線が反射ミラーの稜線に対して斜めになるように配置したときに、半導体レーザ素子2の四角2a,2b,2c,2dが、ほぼ前記段差面の稜線部分に位置するように設定しておき、半導体レーザ素子2を凹部の底面にマウントするとき、この四角2a,2b,2c,2dと4つの段差面との隙間La,Lb,Lc,Ldが均等になるように配置すれば、容易に所定の位置と角度でマウントできる。
【0031】図5(b)は半導体基板1をエッチング加工で凹部を形成し、半導体レーザ素子2をその出射端面稜線が反射ミラー3の稜線に対して斜めになるように配置したとき、半導体レーザ素子2の四角2a,2b,2c,2dに対向する部分に角部Sa,Sb,Sc,Sdを設けておく。半導体レーザ素子2をマウントするとき、この角部Sa,Sb,Sc,Sdに半導体レーザ素子2の四角2a,2b,2c,2dが一致するように配置すれば、容易に望んだ位置および角度でマウントできる。
【0032】以上のように、本発明の実施例の光ピックアップ装置によれば、容易に反射ミラー3に対して、半導体レーザ素子2を斜めに精度よくマウントすることが可能となる。
【0033】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発明は、半導体基板上に装着され、レーザ光を出射する半導体レーザ素子と、前記半導体基板を加工して設けた所定高さの傾斜した段差面を反射面とし、前記半導体レーザ素子の出射光を反射する反射ミラーと、前記半導体基板上に設けた複数の光検出器と、前記反射ミラーで反射したレーザ光を記録媒体面上に集光する対物レンズと、前記記録媒体面からの戻り光を分割して所定の前記光検出器に入射させるホログラム素子とを備えた光ピックアップ装置において、前記半導体レーザ素子の出射端面を前記反射ミラーに近接させるとともに出射光軸が前記半導体基板と前記反射ミラーとに共通な垂直面に交差するように配置することにより前記反射ミラーで反射したレーザ光が半導体レーザ素子の出射端面に当たらないようにして前記半導体レーザ素子のエピタキシャル成長層側の面を前記半導体基板上に固定し、前記反射ミラーで反射したレーザ光が前記ホログラム素子に対してほぼ垂直に入射するように前記半導体基板を前記ホログラム素子に対して傾けて配置したことにより、フォーカシングエラー信号を得るためのホログラム素子での分割パワーを特別に変化させなくても、分割素子の距離が異なっているため、適正な配置にすることができ、また、レーザ光の一部と半導体レーザ素子との干渉がなくなり、十分なNA値が確保できる。
【0034】また、反射ミラーのレーザ光の当たっていない半導体レーザ素子側の部分を逃がす構成にすることにより、半導体レーザ素子と反射ミラーをさらに近づけることが可能となり、半導体基板をエッチングして作る反射ミラーの深さが浅くて済み、製作がより容易になる。また、半導体レーザ素子からのレーザ光出射位置を、半導体レーザ素子の直上から見て、中央よりも反射ミラー面に近い側へオフセットすることにより、半導体レーザ素子の発光点を反射ミラーにより近づけることが可能となり、上記と同様の効果が得られる。さらに、半導体レーザ素子の位置決め用マークを半導体基板上にエッチングにより設けることにより、半導体レーザ素子をマウントするとき、斜めに位置決めすることが大変容易になる。また、エッチングで反射ミラー面と同時に製作するために、位置決め用マークの製作も容易で、精度も高いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における光ピックアップ装置の構成を示す概略側断面図
【図2】(a)本発明の第1の実施例における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の位置関係を示す部分上面図
(b)同側断面図
【図3】(a)本発明の第2の実施例における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の位置関係を示す部分上面図
(b)同側断面図
【図4】本発明の第3の実施例における半導体基板上の半導体レーザ素子、反射ミラーおよび光検出器の位置関係を示す上面図
【図5】(a)本発明の第3の実施例における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の他の位置関係を示す上面図
(b)同変形例の上面図
【図6】従来の光ピックアップ装置の一構成例を示す断面図
【図7】従来の光ピックアップ装置の他の構成例を示す断面図
【図8】従来の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子と反射ミラー近傍の構成を示す斜視図
【図9】光ピックアップ装置に用いられる半導体レーザ素子と反射ミラーとの近傍を拡大して示す断面図
【図10】従来の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子と反射ミラーとの位置関係を示す部分断面図
【図11】従来の光ピックアップ装置における半導体レーザ素子と反射ミラーとの位置関係を示す部分断面図
【符号の説明】
1 半導体基板
2 半導体レーザ素子
3 反射ミラー
5 2分割光検出器
6 2分割光検出器
7 3分割光検出器
8 3分割光検出器
9 出射光
10 反射光
11 光ディスク
13 ホログラム素子
14 ホログラム素子
17 対物レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体基板上に装着され、レーザ光を出射する半導体レ−ザ素子と、前記半導体基板を加工して設けた所定高さの傾斜した段差面を反射面とし、前記半導体レ−ザ素子の出射光を反射する反射ミラーと、前記半導体基板上に設けた複数の光検出器と、前記反射ミラーで反射したレーザ光を記録媒体面上に集光する対物レンズと、前記記録媒体面からの戻り光を分割して所定の前記光検出器に入射させるホログラム素子とを備えた光ピックアップ装置において、前記半導体レーザ素子の出射端面を前記反射ミラーに近接させるとともに出射光軸が前記半導体基板と前記反射ミラーとに共通な垂直面に交差するように配置することにより前記反射ミラーで反射したレーザ光が半導体レーザ素子の出射端面に当たらないようにして前記半導体レーザ素子のエピタキシャル成長層側の面を前記半導体基板上に固定し、前記反射ミラーで反射したレーザ光が前記ホログラム素子に対してほぼ垂直に入射するように前記半導体基板を前記ホログラム素子に対して傾けて配置した光ピックアップ装置。
【請求項2】 レーザ光が当たらない反射ミラーの部分であって、半導体レーザ素子が近接する部分を半導体レーザ素子から遠ざけるように削除した請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】 レーザ光の出射位置が出射端面の中央よりも反射ミラーの反射面に近づく位置に偏っている半導体レーザ素子を用いた請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】 段差面の一部が半導体レーザ素子を半導体基板上に固定するときの位置決め用の段差を構成する請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項1】 半導体基板上に装着され、レーザ光を出射する半導体レ−ザ素子と、前記半導体基板を加工して設けた所定高さの傾斜した段差面を反射面とし、前記半導体レ−ザ素子の出射光を反射する反射ミラーと、前記半導体基板上に設けた複数の光検出器と、前記反射ミラーで反射したレーザ光を記録媒体面上に集光する対物レンズと、前記記録媒体面からの戻り光を分割して所定の前記光検出器に入射させるホログラム素子とを備えた光ピックアップ装置において、前記半導体レーザ素子の出射端面を前記反射ミラーに近接させるとともに出射光軸が前記半導体基板と前記反射ミラーとに共通な垂直面に交差するように配置することにより前記反射ミラーで反射したレーザ光が半導体レーザ素子の出射端面に当たらないようにして前記半導体レーザ素子のエピタキシャル成長層側の面を前記半導体基板上に固定し、前記反射ミラーで反射したレーザ光が前記ホログラム素子に対してほぼ垂直に入射するように前記半導体基板を前記ホログラム素子に対して傾けて配置した光ピックアップ装置。
【請求項2】 レーザ光が当たらない反射ミラーの部分であって、半導体レーザ素子が近接する部分を半導体レーザ素子から遠ざけるように削除した請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】 レーザ光の出射位置が出射端面の中央よりも反射ミラーの反射面に近づく位置に偏っている半導体レーザ素子を用いた請求項1記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】 段差面の一部が半導体レーザ素子を半導体基板上に固定するときの位置決め用の段差を構成する請求項1記載の光ピックアップ装置。
【図2】
【図3】
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開平6−180852
【公開日】平成6年(1994)6月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−331496
【出願日】平成4年(1992)12月11日
【出願人】(000005843)松下電子工業株式会社 (43)
【公開日】平成6年(1994)6月28日
【国際特許分類】
【出願日】平成4年(1992)12月11日
【出願人】(000005843)松下電子工業株式会社 (43)
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