説明

光ファイバートレイ

【課題】機器ユニットのメンテナンスや修理などにおいて機器ユニットから中継用コネクタを取り外した際に、その中継用コネクタを光ファイバートレイ上の定位置に簡単にかつ安定して保持でき、構造が簡単で製造が容易な光ファイバートレイを提供する。
【解決手段】 機器ユニット10のソケット12の上方で挿入口3aに隣接する位置において、中継用コネクタ11の本体11aに対応する間隔をあけて、細長い板状片からなるリブ13が基板3b上に垂直に立設されている。このリブ13は一直線状ガイド壁37とで、中継用コネクタ11を嵌脱可能な保持手段20を構成しており、中継用コネクタ11をリブ13とガイド壁37間で挟持し保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ファイバー(光ケーブルとも称される)によって映像信号などの受信や送信などを行う光送受信用機器に関連し、特に、光ファイバーを送受信機器やO/E変換器などの機器ユニットと接続する際に余長部分や終端部分をループ状に巻装して収容する光ファイバートレイ(光ケーブルトレイとも称される)に関するものである。詳しくは、光ファイバーを機器ユニットに接続する際に、通常、中継用コネクタが使用されるが、この中継用コネクタを保持する手段を備えた光ファイバートレイに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光送受信用機器では、その筐体内に機器ユニットを装填し、この機器ユニット上に光ファイバートレイが着脱可能に装着される。この光ファイバートレイは、一般的に、光ファイバー導入部からトレイ内に引き込んだ光ファイバーの余長部を円弧状のガイド枠に沿ってループ状に複数回巻装したのち、光ファイバーの先端に中継用コネクタを溶着して取り付けたり、あらかじめ先端が中継用コネクタに接続された光ファイバーを導入した光ファイバーとメカニカルスプライスと称する接続具を用いて接続したりして、光ファイバートレイ下に装入した機器ユニットに中継用コネクタを介して接続している。また、光ファイバートレイには、下方の機器ユニットに中継用コネクタを接続するための挿入口が設けられており、その挿入口から中継用コネクタを挿入し、機器ユニットに接続されるが、機器ユニットには、通常、その挿入口に臨ませて中継用コネクタとの接続部が設けられている。
【0003】
上記のような光ファイバートレイに関する先行技術として、ベース部材の表裏に第1の光ケーブルトレイと第2の光ケーブルトレイとをそれぞれ挟合した状態で、両光ケーブルトレイに設けた両装着カラー部の両突起をベース部材の貫通孔に挿入し、且つ、両装着カラー部の両挿着孔に係着ピンの挿着脚部を挿入して、両光ケーブルトレイをベース部材に装着し、さらに、係着ピンは頭部の先端が第1の装着カラー部の第1挿着孔から突出せず、挿着脚部の先端が第2の装着カラー部の第2挿着孔から突出しないように構成して、光ケーブル収納体1の全体構造を薄型にした光ファイバートレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−174733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の光ファイバートレイおよび上記特許文献1に記載の光ファイバートレイには、次のような点で改良すべき余地がある。すなわち、
光ファイバートレイの光ファイバーガイド枠などのガイド部の途中に、メカニカルスプライスやWDMフィルタを固定する挟持部材は設けられているが、中継用コネクタを保持するための部材は一切設けられていない。このため、機器ユニットの定期点検や修理などの際に、中継用コネクタを機器ユニットの接続部から引き抜く必要があるが、引き抜いた中継用コネクタを光ファイバートレイ上で固定できない。そこで、従来は、例えば作業者があらかじめガムテープなどのテープ類を準備しておき、中継用コネクタをテープ類で固定したり、あるいは引き抜いた中継用コネクタを光ファイバートレイ上に載置したり、光ファイバーに接続された中継用コネクタを光ファイバートレイから吊り下げたりしている。中継用コネクタをテープ類で固定した場合には、ループ状に巻装された光ファイバーが緩んだりすることはないが、中継用コネクタを固定していない場合には、光ファイバーが緩むことがある。いったん緩むと、中継用コネクタが機器ユニットの接続部に届かなくなるおそれがあり、中継用コネクタを接続できなくなるので、光ファイバーを巻き戻して再度巻き直す必要があり、このときに光ファイバーを折損するおそれがあるうえに、巻き直すのに手間がかかる。また、光ファイバーは腰が強いためにループ状に巻装された状態から急激に緩んで拡径したときに、光ファイバーが折れたり損傷したりするおそれがある。したがって、作業者は中継用コネクタを光ファイバートレイ上に固定しない状態で、機器ユニットの取り出しなどの他の作業をする場合には、特に光ファイバートレイの取り扱いを慎重に行わなければならず、作業性が悪くなる。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、機器ユニットのメンテナンスや修理などにおいて機器ユニットから中継用コネクタを取り外した際に、その中継用コネクタを光ファイバートレイ上の定位置に簡単にかつ安定して保持でき、構造が簡単で製造が容易な光ファイバートレイを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明に係る光ファイバートレイは、光ファイバーをループ状に巻装して収容可能な光ファイバートレイにおいて、機器ユニットとの中継用コネクタの嵌脱可能な保持手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のように、前記保持手段を、光ファイバートレイにおける前記中継用コネクタの挿入口の近傍に配置することが好ましい。
【0008】
請求項3に記載のように、前記保持手段は、あらかじめトレイの基板上に立設された光ファイバーの巻き付け用ガイド枠との間で、前記中継用コネクタを挟持可能な間隔をあけて立設したリブであってもよい。
【0009】
請求項4に記載のように、前記保持手段は、トレイの基板から前記中継用コネクタの挿入口の上方に張り出させた部分基板上に、前記中継用コネクタを挟持可能な間隔をあけて立設した一対の挟持部材からなっていてもよい。
【0010】
請求項5に記載のように、前記部分基板は、請求項4記載の光ファイバートレイにおいて、前記光ファイバートレイの下方に装入される機器ユニットの中継用コネクタの接続部の上方に位置し、前記接続部に対する中継用コネクタの接続方向と同一方向に嵌め込むことにより前記中継用コネクタを前記挟持部材間で挟持可能であるのが好ましい。
【0011】
請求項6に記載のように、前記保持手段を、トレイの基板上に一体に形成し、前記中継用コネクタを嵌脱可能な断面逆L字形部材もしくは角筒状の枠体にすることができる。
【0012】
請求項7に記載のように、前記中継用コネクタがその先端面の中央部に設けた開口内にフェルールを備え、前記保持手段を、トレイの基板上に一体に形成し、前記フェルールを挿脱可能な筒状体にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光ファイバートレイは、上記の構成からなるから、次のような優れた効果がある。
【0014】
・請求項1の発明によれば、光ファイバートレイ上に中継用コネクタの保持手段が設けられているから、従来のようにテープ類などの固定手段をあらかじめ用意する必要がなく、機器ユニットから取り外した中継用コネクタを簡単に保持することができる。したがって、光ファイバートレイ上のガイド枠に沿ってループ状に巻装された光ファイバーがその復元力によって巻き戻されて拡がったり、中継用コネクタの接続された先端側が垂れ下がって光ファイバーが折れたりすることがない。
【0015】
・請求項2の発明によれば、中継用コネクタの保持手段が光ファイバートレイの下方に装入されている機器ユニットに光ファイバーを接続するために設けられた挿入口の近傍に位置しているから、機器ユニットから引き抜くなどして取り外した中継用コネクタを、無理なく簡単に保持手段にて保持することができる。
【0016】
・請求項3の発明によれば、保持手段がトレイの基板上に立設された光ファイバーの巻き付け用ガイド枠から所定の間隔をあけてリブを立設しただけの、極めて簡単な構造からなるから、製造コストはほとんど変わることなく、請求項1の発明による効果を得ることができる。
【0017】
・請求項4の発明によれば、請求項3に記載の保持手段に比べると構造的にはやや複雑にはなるが、請求項3の発明と同様に請求項1の発明による効果を得ることができる。
【0018】
・請求項5の発明によれば、中継用コネクタを光ファイバートレイの下方の機器ユニットから取り外すのとほぼ同時に、すぐ上の挟持部材間に挟んで保持させることができる。特に一対の挟持部材を可撓性に富んだ形状にし、一種のバネ材で中継用コネクタを挟み込むようにすれば、中継用コネクタの着脱が容易になるとともに、安定して確実に保持できる。
【0019】
・請求項6の発明によれば、保持手段が中継用コネクタを嵌脱可能な断面逆L字形部材もしくは角筒状の枠体からなるので、中継用コネクタの嵌脱が容易で、確実に保持できる。
【0020】
・請求項7の発明によれば、中継用コネクタが先端面中央部の開口内にフェルールを備えているので、このフェルールを保持手段としての筒状体内に挿入するだけで、確実に保持でき、また円筒体から引き抜いて簡単に取り外せる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の光ファイバートレイの下方について実施の形態を挙げて図面に基づき説明する。
【0022】
図1(a)は本発明の実施例に係る光ファイバートレイを備えた光送受信用機器を示す外観の斜視図で、蓋を開放した状態を表す。図1(b)は図1(a)において本発明の要部を円で囲んで示した部分の拡大斜視図で、中継用コネクタを保持する前の状態を表し、図1(c)は図1(b)において中継用コネクタを保持した状態を表している。
【0023】
図1に示すように、光送受信用機器1は本実施例では光受信用端末装置で、機器類を収容する筐体1aを備えており、この筐体1aは樹脂製で一面(上面)が開放され、この開放面側に樹脂製の蓋2が開閉可能に枢着されている。また、この筐体1aは、蓋2の両側ヒンジ部2aを上側に向けて住宅などの光ファイバーの引き込み口や光信号変換後のTV出力信号用ケーブルの引き込み口近くの建物壁面に取付片1fを用いて固定用ねじで取り付けられる。
【0024】
図1(a)に示すように筐体1aの開放面には、浅くて上端が開放された樹脂製の光ファイバートレイ3が取り外し可能に嵌め込まれている。この光ファイバートレイ下方の筐体1a内には、本例の場合、光信号を電気信号に変換するO/E変換器が機器ユニット10として収容されている。筐体1aの前面1b(取付状態で下面に位置する側)には、TV電気信号の出力端子10aの孔部1dと、出力端子から出力されるTV電気信号をモニターするためのモニター端子10bの孔部1cとが間隔をあけて穿設されている。また、蓋2の開放端前枠2aの幅方向における中間位置に係止板4が直角方向に突設され、この係止板4に対応して係止される係止片4aが筐体1aの前面1b上端縁に一体に形成されている。さらに、蓋2の開放端前枠2bの、係止板4の両側部に留め具5がそれぞれ直角方向に突設され、筐体1aの前面1bで留め具5に対応する位置にそのねじ孔部5aがそれぞれ一体に形成されている。
【0025】
図1(a)に示すように、光ファイバートレイ3は全周囲にわたり枠壁31・32が立設され、光ファイバーの出入り口33(前面側右端部)および増幅した光ケーブルの出入口33(前面側中央部)に位置する枠壁31の一部がそれぞれ切り欠かれて開口されている。この切り欠き開口31aに一致するように、筐体1aの前面1bにも開口(図示せず)が設けられている。なお、図1(a)中の符号1fは筐体1の壁面取付片で止めねじ用貫通孔を備えているが、この取付片1fは下端縁の両側部のほか、上端縁の中央部に設けられている。
【0026】
光ファイバートレイ3は上方より見て長方形状の枠体で、光ファイバーの出入り口33が前部の左側に設けられている。本例では光ファイバーを挟持可能な弾性体ホルダー7(図1(a))の装着部33aに形成され、この装着部33aは側方の枠壁32とこれに対向しかつ平行に立設された内側の枠壁33bとで構成されている。弾性体ホルダー7は全体がゴムやエラストマーなどの弾力性を具備した材料で成形されており、光ファイバー挿入溝(図示せず)が等間隔で平行に貫通して形成され、各挿入溝の上面の中心位置に切り込みが長手方向に入れられている。
【0027】
光ファイバートレイ3の出入り口33には、弾性体ホルダー7の切欠き部に対応する2本のリブ8と弾性体ホルダー7の両側の縦溝に対応するリブ9とが所定の間隔をあけて立設されている。各リブ8・9の相対向する面(挟持面)は、基端から先端側の切欠き開口31aに向けて漸次間隔が狭くなるテーパー面にそれぞれ形成されている。さらに、各リブ8・9の上端には、長方形板状の抜止め片が一体に形成されている。
【0028】
光ファイバートレイ3の出入り口33と反対側の背面寄り隅角部には、光ファイバーと平行に配装されているサポートメンバーを巻き付けて固定するための固定用ねじ用のねじ孔部22が設けられている。
【0029】
また、光ファイバートレイ3はその中央部分に全体で長円形状をなすように直線状部と円弧状部との組み合わせからなるガイド壁35が基板3b上に立設され、光ファイバートレイ3のほぼ中央部を挟んで幅方向において相対向し、かつ半径方向に間隔をあけて三重にそれぞれ半円弧状のガイド壁35が基板3b上に立設されている。これらのガイド壁35で構成されるガイド部34に沿って出入口33から内部に引き込まれ、あるいは内部から送り出される光ファイバーの余長部分をループ状に巻装するために通すガイド部34に形成されている。すなわち、本実施では、外周側から内周側にかけて順に複数のガイド壁35に沿って光ファイバーを半径方向に一定間隔をあけてループ状に巻き付けることにより、余長部分を収容することができる。なお、ガイド壁35の上端には、長手方向に間隔をあけて光ファイバーの抜け止め片35aが一体に形成されている。
【0030】
さらに、光ファイバートレイ3の後部側で幅方向の中間位置付近に、光ファイバートレイ3の下方に装入されている機器ユニット10と、中継用コネクタ11を介して接続するための挿入口3aが開口されている。図1に示すように、挿入口3aには機器ユニット10の接続用ソケット12がやや上向きに示されているが、ソケット12には中継用コネクタ11の直方体状本体11aの上面に突設された突起部11bに対応するガイド溝12aが設けられており、中継用コネクタ11を接続する際に、図1(b)に示すように突起部11bがガイド溝12aに沿って案内され、確実に接続される。一方、挿入口3aに隣接する基板3b上には、左右の円弧状コーナのガイド壁35・35間を断続的に接続する一直線状ガイド壁36が立設されている。この一直線状ガイド壁36の後側には、前後方向に間隔をあけて一直線状のもう一方のガイド壁37が平行に立設され、上方より見て略くの字状のバネ片41がガイド壁37へ向けて漸次間隔(ガイド部34の溝幅)が狭まるように一体に延設され、フィルタやメカニカルスプライスなどの付属品を挟持できるようになっている。これと同じ構造の挟持手段36・37・41が、挿入口3aの前縁側および光ファイバートレイ3の前端部で幅方向の中間位置付近にも設けられている。
【0031】
図1(b)に示すように、機器ユニット10のソケット12の上方(ほぼ真上)で挿入口3aに隣接する位置において、上記挟持手段36・37・41の一部を構成する一直線状ガイド壁37に対し中継用コネクタ11の本体11aに対応する間隔をあけて、細長い板状片からなるリブ13が基板3b上に垂直に立設されている。このリブ13は一直線状ガイド壁37とで、中継用コネクタ11の保持手段20Aを構成しており、図1(c)のように中継用コネクタ11をリブ13とガイド壁37間で挟持し保持することができる。本実施例の保持手段20Aは、機器ユニット10の接続用ソケット12の上方にあるため、接続用ソケット12から引き抜いた中継用コネクタ11をリブ13とガイド壁37間に嵌め込むだけで瞬時にかつ簡単に保持でき、また中継用コネクタ11に接続されている光ファイバーに緩みを生じさせることもない。
【0032】
図2は中継用コネクタ11の保持手段20の第2実施例を示すもので、図2(a)(b)は図1(b)(c)に対応する図面である。
【0033】
図2に示すように、第2実施例にかかる保持手段20Bは、第1実施例の保持手段20Aと同一の位置に、上記挟持手段36・37・41の一部を構成する一直線状ガイド壁37の一部を利用して形成されている。つまり、断面逆L字形の片枠14を上記リブ13とほぼ同一の位置で基板3b上に立設し、接続用ソケット12に近似した角筒状に形成している。接続用ソケット12に比べて長さは短いが、中継用コネクタ11の突起部11bを案内するガイド溝14aも設けて中継用コネクタ11をスムーズに挿入できるようにしている。なお、図示は省略するが、本例の保持手段20Bは角筒体に形成し、一直線状ガイド壁37の一部を利用しないようにしてもよい。
【0034】
図3は中継用コネクタ11の保持手段の第3実施例を示すもので、図3(a)(b)は図1(b)(c)に対応する図面であるが、斜視方向は異なる。
【0035】
図3に示すように、第3実施例にかかる保持手段20Cは、第1実施例の保持手段20Aとほぼ同一の位置に、上記挟持手段36・37・41の一部を構成する一直線状ガイド壁37と平行に、基板3b上に一体に形成されている。本実施例の場合、中継用コネクタ11は本体11aの先端面の中央部に挿入口(開口)11cが穿設され、この挿入口11c内にフェルール11dを、その先端部がわずかに突出するように備えている。本実施例の中継用コネクタ11は、機器ユニット10と接続する際に機器ユニット10側の端子挿入部(図示せず)にフェルール11dを挿入することにより接続される。そこで、保持手段は、外径が中継用コネクタ11は本体11aの先端側に挿入口11cよりやや小さく、内径がフェルール11dの外径よりわずかに大きな円筒体(筒状体の一例)15からなり、基板3b上に一体に形成されている。したがって、図3(b)のようにフェルール11dを円筒体15内に挿入するとともに、本体11aの挿入口11cを円筒体15の周囲に嵌め込んで保持できる。
【0036】
図4は第4実施例に係る中継用コネクタ11の保持手段20Dを備えた光ファイバートレイの別の実施例を示すもので、図4(b)(c)は図1(b)(c)に対応する図面であるが、光送受信用機器1の構造についても上記実施例1〜3の機器とは異なる。
【0037】
図4(a)に示すように、筐体1aの開放面には、浅くて上端が開放された樹脂製の光ファイバートレイ3’の左右一対がそれぞれ取り外し可能に嵌め込まれている。一方、光送受信用機器1’の筐体1a内における左右の光ファイバートレイ3’の下方には、例えば、図示を省略するが、光信号を電気信号に変換するO/E変換器と、光信号を増幅する増幅器とがそれぞれ収容されている。また、蓋2の開放端前枠2aの両側部に留め具5がそれぞれ直角方向に突設され、筐体1aの前面1bで留め具5に対応する位置にそのねじ孔部5aがそれぞれ一体に形成されている。
【0038】
また、左右の各光ファイバートレイ3’は全周囲にわたり枠壁31・32が立設されている。各光ファイバートレイ3’は上方より見て長方形状の枠体で、光ファイバーの出入り口33は前部の左右両側にそれぞれ設けられている。各光ファイバートレイ3’はその中央部分に長円形状の挿入口3aが設けられており、挿入口3aの周囲で4隅の円弧状周縁部に直線状部と円弧状部との組み合わせからなるガイド壁35が基板3b上に立設され、前部左側円弧部と後部右側円弧部には半径方向に間隔をあけて二重に、後部左側円弧部には半径方向に間隔をあけて三重にそれぞれガイド壁35が基板3b上に立設されている。これらのガイド壁35で構成されるガイド部34に沿って出入口33から内部に引き込まれ、あるいは内部から送り出される光ファイバーの余長部分をループ状に巻装するためにガイド部34が形成されている。すなわち、本実施例の光ファイバートレイ3上では、外周側から内周側にかけて順に複数のガイド壁35に沿って光ファイバーを半径方向に一定間隔をあけてループ状に巻き付けることにより、余長部分を収容することができる。なお、ガイド壁35の上端には、長手方向に間隔をあけて光ファイバーの抜け止め片35aが一体に形成されている。
【0039】
ところで、図4(a)の右側の光ファイバートレイ3’について説明したが、左側の光ファイバートレイ3’についても右側の光ファイバートレイ3’とほぼ同一の構造である。ただし、中継用コネクタ11の保持手段20Dは左側の光ファイバートレイ3’にだけ設けられている。すなわち、図4(b)に示すように、第4実施例にかかる保持手段20Dは、挿入口3aの上方に基板3bから張り出させた部分基板3d上に設けられている。この部分基板3dは基板3bに比べて1段高い位置に形成されいるが、他の3つの実施例と同様に、光ファイバートレイ3’の下方に装入される機器ユニット10のソケット12の上方に位置している。
【0040】
保持手段20Dは、中継用コネクタ11の本体11aを挟持可能な一対の樹脂製の挟持部材16・16からなり、各挟持部材16は断面略S字状で、可撓性に富みバネ機能のあるU形湾曲部16aを備え、各湾曲部16aの先端から板状の先端片16bが前方へ延設されている。このため、中継用コネクタ11の本体11aを一対の先端片16b間に容易に嵌め込むことができ、中継用コネクタ11は挟持部材16・16で確実に挟持されて保持される。なお、図4(a)において、図1(a)の光ファイバー機器1と共通する部材は同一の符号を用いて示し、説明を省略する。
【0041】
以上に本発明に係る4件の光ファイバートレイの実施例について説明したが、本発明の光ファイバートレイは次のように実施することができる。
【0042】
・上記各実施例では、製造を簡略化するために中継用コネクタ11の保持手段20A〜20Dを基板3bと一体に形成したが、別体で形成して挿入口3aの開口縁部に嵌着したり、接着剤や接着テープで基板3b上に取り付けたりしてもよい。
【0043】
・特に別体で保持手段を形成する場合には、形状の異なる複数種類の保持手段を形成しておき、中継用コネクタ11の形状や種類に応じて適宜選択できるようにすることができる。
【0044】
・中継用コネクタ11の保持手段は、例えば挿入口3aに連通する切欠き部とし、この切欠き部内に中継用コネクタバネ部材を略くの字状のバネ片41と、の一部を嵌め込んで保持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1(a)は本発明の実施例に係る光ファイバートレイを備えた光送受信用機器を示す外観の斜視図で、蓋を開放した状態を表す。図1(b)は図1(a)は図1(a)において本発明の要部を円で囲んで示した部分の拡大斜視図で、中継用コネクタを保持する前の状態を表し、図1(c)は図1(b)において中継用コネクタを保持した状態を表している。
【図2】図2は中継用コネクタ11の保持手段20の第2実施例を示すもので、図2(a)(b)は図1(b)(c)に対応する拡大斜視図である。
【図3】中継用コネクタ11の保持手段の第3実施例を示すもので、図3(a)(b)は図1(b)(c)に対応する拡大斜視図であるが、方向を変えて見た斜視図である。
【図4】図4(a)は本発明の実施例に係る光ファイバートレイを備えた光ファイバー機器を示す外観の斜視図で、蓋を開放した状態を表す。図4(b)は図4(a)は図4(a)において本発明の要部を円で囲んで示した部分の拡大斜視図で、中継用コネクタを保持する前の状態を表し、図4(c)は図4(b)において中継用コネクタを保持した状態を表している。
【符号の説明】
【0046】
1・1’光送受信用機器
2 蓋
3・3’光ファイバートレイ
3a 挿入口
3b 基板
3c 部分基板
4 係止板
5 留め具
7 弾性体ホルダー
8・9 リブ
10 機器ユニット
11 中継用コネクタ
11a中継用コネクタ11の直方体状本体
11b突起部
11c挿入口(開口)
11dフェルール
12 ソケット
12aガイド溝
13 リブ
14 断面逆L字形の片枠
15 円筒体
16 挟持部材
20(20A〜20D)保持手段
22 固定用ねじ孔
31・32 枠壁
33 光ケーブルの出入り口
34 ガイド部
35 ガイド壁
36 一直線状ガイド壁
37 一直線状ガイド壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーをループ状に巻装して収容可能な光ファイバートレイにおいて、
中継用コネクタの嵌脱可能な保持手段を設けたことを特徴とする光ファイバートレイ。
【請求項2】
前記保持手段を、光ファイバートレイにおける前記中継用コネクタの挿入口の近傍に配置したことを特徴とする請求項1記載の光ファイバートレイ。
【請求項3】
前記保持手段は、あらかじめトレイの基板上に立設された光ファイバーの巻き付け用ガイド枠との間で、前記中継用コネクタを挟持可能な間隔をあけて立設したリブであることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバートレイ。
【請求項4】
前記保持手段は、トレイの基板から前記中継用コネクタの挿入口の上方に張り出させた部分基板上に、前記中継用コネクタを挟持可能な間隔をあけて立設した一対の挟持部材からなることを特徴とする請求項2記載の光ファイバートレイ。
【請求項5】
前記部分基板は、前記光ファイバートレイの下方に装入される機器ユニットの中継用コネクタの接続部の上方に位置し、前記接続部に対する中継用コネクタの接続方向と同一方向に嵌め込むことにより前記中継用コネクタを前記挟持部材間で挟持可能であることを特徴とする請求項4記載の光ファイバートレイ。
【請求項6】
前記保持手段は、トレイの基板上に一体に形成され、前記中継用コネクタを嵌脱可能な断面逆L字形部材もしくは角筒状の枠体からなることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバートレイ。
【請求項7】
前記中継用コネクタがその先端面の中央部に設けた開口内にフェルールを備え、前記保持手段は、トレイの基板上に一体に形成され、前記フェルールを挿脱可能な筒状体からなることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバートレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−93060(P2009−93060A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265429(P2007−265429)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】