説明

光ファイバ心線収納構造

【課題】光ファイバ心線の接続部と余長部分を同時に収納する収納部材を用いて、各光ファイバ心線毎に収納管理して識別及び出し入れを容易にし、光ファイバ心線に対する作業性を大きく向上させられる光ファイバ心線収納構造を提供する。
【解決手段】薄い収納ホルダ10に各光ファイバ心線52の接続部及び余長部分を個別に収納した状態で、フレーム30上の保持具20に複数の収納ホルダ10を重なる状態で保持させ、多数の光ファイバ心線52をまとめて保持状態とすることから、各光ファイバ心線52の接続部及び余長部分を他と分けて混在無く適切に収納できると共に、所定の収納ホルダ10を他の収納ホルダ10の取外しを経ることなく着脱でき、各光ファイバ心線52の取出しや再保持が容易且つ迅速に行え、光ファイバ心線52に対する作業が速やかに実行できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルの分岐接続箇所を収容、保護するクロージャ等で光ファイバ心線を取出し可能に収納する光ファイバ心線収納構造に関し、特に光ファイバ心線の識別、取出しを容易にして、光ファイバ心線に対する各種作業性を向上させられる光ファイバ心線収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高速・広帯域の通信サービスを担う光ケーブル網を各加入者宅内に接続するFTTH(Fiber To The Home)の実現には、架空集合光ケーブルから各通信加入者の宅内に少なくとも1心の光ファイバ心線を引込む必要があり、また、集合住宅や小中規模オフィスビルへの光ファイバ導入の場合、加入者数に対応した光ファイバ心線を建物内に引込む必要がある。こうした宅内や建物内への引込みには、1心または2心以上の光ファイバ心線を備える光ケーブル、特に支持線を有する光ドロップケーブルが一般的に用いられている。
【0003】
加入者個人宅や集合住宅等へ光ケーブルを引込む場合、電柱上架空状態又は地中埋設状態のクロージャにおいて集合光ケーブルから各引込み用光ケーブルの光ファイバ心線に分岐接続されるのが一般的である。クロージャでは、光ファイバ心線がいったん分岐接続された後、解約等、加入者宅への光ケーブル引込状況に変化が生じた場合に対応して、光ファイバ心線の撤去や再接続等の作業が発生する可能性があり、こうしたクロージャにおける光ファイバ心線に対する各種作業が適切に行えるよう、分岐接続された光ファイバ心線の余長部分を適切に収納可能とする収納構造が各種提案されており、クロージャにおける一例が特開2002−243951号公報に開示されている。
【0004】
この従来の光ケーブル用クロージャは、スリーブ内のフレーム上に、光ケーブルの光ファイバ心線と分岐した光ファイバ心線との接続部を収納する接続部収納トレイ、及び、この接続部収納トレイの両端側で光ファイバ心線の余長部分を収納する余長収納部をそれぞれ備えており、通常時は光ファイバ心線の分岐部を確実に保護し、再度の分岐時にはすぐに分岐作業を行えるなど、光ファイバ心線に対する作業の効率を向上させられるものである。
【特許文献1】特開2002−243951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光ケーブル用クロージャにおける光ファイバ心線の収納構造は、前記特許文献に示される構成となっており、光ファイバ心線の余長部分を余長収納部に効率的且つ高密度に収納することができるものの、余長収納部では複数の光ファイバ心線が重なり合って混在することとなり、作業時に取出そうとする所定の光ファイバ心線を複数の光ファイバ心線の中から判別しにくく、光ファイバ心線を余長収納部から速やかに取出すことが難しいという課題を有していた。
【0006】
また、光ファイバ心線取出しの際に、近傍の他の光ファイバ心線を動かしてしまう事態が生じやすく、光ファイバ心線同士の絡まりをもたらす他、動かされた光ファイバ心線の曲率が大きくなって損失が増大したり、光ファイバ心線の損傷に繋がったりするなど、通信障害の原因となる危険性が少なくないという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、光ファイバ心線の接続部と余長部分を同時に収納する収納部材を用いて、各光ファイバ心線毎に収納管理して識別及び出し入れを容易にし、光ファイバ心線に対する作業性を大きく向上させられる光ファイバ心線収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光ファイバ心線収納構造は、二つの光ケーブルの光ファイバ心線同士を接続した接続部を含む所定長さの光ファイバ心線を、一又は複数取出し可能に収納する光ファイバ心線収納構造において、光ファイバ心線の最小曲率半径以上の所定径で輪状にまとめた状態の光ファイバ心線を収納可能なプラスチック製の可撓性を有する薄い略袋状体とされ、少なくとも二箇所以上に掛止保持用の切欠き部を切欠き形成されてなる複数の収納ホルダと、当該収納ホルダの各切欠き部に対してそれぞれ同時に挿脱可能で、且つ各切欠き部最奥部にそれぞれ同時に位置して収納ホルダを保持可能な平行配置とされる複数の略棒状部分を有する保持具と、光ケーブルにおける光ファイバ心線の非露出部分をそれぞれ把持固定する把持部を長手方向両端に形成され、且つ長手方向中間部分に前記保持具を突出状態で一又は複数配設されるフレームとを備え、各光ファイバ心線を前記所定径の輪状にまとめた状態でそれぞれ収納した前記各収納ホルダを、前記切欠き部を介して前記保持具に掛け、各収納ホルダが重なった状態で保持するものである。
【0009】
このように本発明においては、光ケーブルにおける光ファイバ心線の接続部及び余長部分を収納する薄い収納ホルダを用い、この収納ホルダに各光ファイバ心線を個別に収納した状態で、フレーム上の保持具に複数の収納ホルダを重なる状態で保持させ、多数の光ファイバ心線をまとめて保持状態とすることにより、各光ファイバ心線の接続部及び余長部分を他と分けて混在無く適切に収納できると共に、切欠き部で保持具に対し収納ホルダの重なり方向と略直交する向きに各収納ホルダを着脱可能となり、所定の収納ホルダを他の収納ホルダの取外しを経ることなく着脱でき、各光ファイバ心線の取出しや再保持が容易且つ迅速に行えることとなり、光ファイバ心線に対する作業が速やかに実行できる。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバ心線収納構造は必要に応じて、前記収納ホルダが、収納状態の光ファイバ心線の接続部を光ファイバ心線とは別に保持する保持部を備えるものである。
【0011】
このように本発明においては、収納ホルダに光ファイバ心線の接続部を対象とする保持部を配設し、収納ホルダ内で接続部が誤って動くことのないように保持できることにより、接続部の移動に伴う収納ホルダ内での光ファイバ心線の動きと、これに伴う心線の曲率の変化を防ぐことができ、光ファイバ心線の損失増大等の不具合発生を確実に防止できる。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバ心線収納構造は必要に応じて、前記保持具が、前記フレームに対し所定角度範囲回動可能に蝶着されてなり、保持具が少なくとも、保持具に保持された状態の前記収納ホルダとフレーム間に、保持具に対し収納ホルダを着脱する際の収納ホルダの各方向への必要移動量より大きい所定のスペースが生じる一の角度と、収納ホルダとフレームが近接して、収納ホルダとフレーム間のスペースが前記必要移動量より小さくなる他の角度との間で、フレームに対する角度を調整可能とされるものである。
【0013】
このように本発明においては、保持具がフレームに対して所定角度範囲内で回動可能とされ、状況に応じて保持具のフレームに対する角度を変えて、保持具に保持される収納ホルダの保持具に対する着脱の可、不可状態を切換え可能とすることにより、収納ホルダを保持固定する状況や、収納ホルダを着脱する状況にそれぞれ対応させて収納ホルダを最適な配置とすることができ、収納ホルダの保持具に対する着脱が容易に行えると共に、光ファイバ心線に対する作業を行わず収納ホルダを動かすことなく固定したい状況では確実に収納ホルダの保持固定状態を維持して、収納ホルダの離脱を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る光ファイバ心線収納構造を、図1ないし図5に基づいて説明する。本実施形態においては、光ケーブル用クロージャに適用した例について説明する。図1は本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造の概略構成説明図、図2は本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における収納ホルダの正面図、図3は本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における収納ホルダの光ファイバ心線収納状態正面図及び側面図、図4は本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における保持具の収納ホルダ保持固定状態及び収納ホルダ着脱許容状態の各側面図、図5は本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における保持具の収納ホルダ保持固定状態及び収納ホルダ着脱許容状態の各正面図である。
【0015】
前記各図において本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造は、クロージャ40の内部構造をなすものであり、各光ケーブル50、51の光ファイバ心線52接続部分を収納可能で且つ掛止保持用の切欠き部11を二つ切欠き形成される略袋状の収納ホルダ10と、この収納ホルダ10の各切欠き部11に対してそれぞれ同時に挿脱可能とされて収納ホルダ10を保持可能な平行配置棒状部分を有する保持具20と、クロージャ40のスリーブ41内で分岐接続される主側光ケーブル50と分岐側光ケーブル51における光ファイバ心線52の非露出部分をそれぞれ把持固定すると共に前記保持具20を突出状態で一又は複数配設されるフレーム30とを備える構成である。
【0016】
前記収納ホルダ10は、ポリプロピレン樹脂からなる矩形状の二枚の可撓性シート体を平行な二辺の縁部所定範囲で貼り合せ一体化した形態の薄手の略袋状体であり、貼り合せ一体化して閉じた一方の縁部の貼り合せ領域10bには、保持具20を通す掛止保持用の切欠き部11が二箇所に切欠き形成される構成である。
【0017】
この収納ホルダ10における縁部の貼り合せ領域10b、10cはそれぞれ中間部分で狭くなっており、この貼り合せ領域10b、10cを除く内部の収納領域10aは、中間部分で所定の円弧の一部を継足した状態で拡張された形状となっている。この収納領域10aに、光ファイバ心線52の最小曲率半径以上の所定径で輪状にまとめた状態の光ファイバ心線52が収納可能となっており、収納領域10a中間部分の円弧状に拡張された部分に光ファイバ心線52の輪がちょうどはまり込んで、光ファイバ心線52が収納ホルダ10内から離脱しにくくなる仕組みである。収納ホルダ10内に挿入する際の光ファイバ心線52の輪はφ60mm以上とする。
【0018】
この他、収納ホルダ10の収納領域10aに沿う中央部所定箇所を略コ字状に切断すると共に、この切断部分に囲まれた舌状部分端部を折曲げ形状に成型して、光ファイバ心線52の接続部60を挟持可能な保持部12としている。さらに、貼り合せず開口部となっている縁部分には、出し入れ用切欠き部13が所定径の円弧状に切欠かれて設けられ、収納ホルダ10の開放を容易にしている。
【0019】
前記保持具20は、金属製棒状体を折曲げて形成され、収納ホルダ10の保持用部分21として、収納ホルダ10の各切欠き部11に対してそれぞれ同時に挿脱可能で、且つ各切欠き部11最奥部にそれぞれ同時に位置して収納ホルダ10を保持可能な所定長さの平行配置部分を有すると共に、この保持用部分21の隣接部分を保持用部分21に対し所定角度折曲げて、収納ホルダ10が保持用部分21の範囲外へ動かないよう制限した形状とされる構成である。
【0020】
前記フレーム30は、横断面が略L字状となる金属製部材であり、長手方向両端に主側や分岐側の各光ケーブル50、51における光ファイバ心線52の非露出部分をそれぞれ把持固定する把持部31を備える構成である。フレーム30の起立部分における長手方向中間部分には、複数の収納ホルダ10を掛ける保持具20が上下に所定角度範囲内回動可能な状態で、二つを長手方向に並べて、フレーム30から突出する状態として蝶着される構成である。
【0021】
このフレーム30に対し蝶着された保持具20は、保持具20に保持された状態の収納ホルダ10とフレーム30間に、保持具20に対し収納ホルダ10をずらして着脱する際の収納ホルダ10の各方向への必要移動量より十分大きなスペースが生じる一の角度(図4(B)参照)と、収納ホルダ10とフレーム20が近接して、収納ホルダ10とフレーム20間のスペースが前記必要移動量より小さくなる他の角度(図4(A)参照)との間で、フレーム20に対する角度を調整可能となっている。
【0022】
フレーム30両端の把持部31は、従来のクロージャ同様、光ファイバ心線52が露出せず外被の残った状態の光ケーブル50、51端部を把持して外れないよう固定する公知の構成であり、詳細な説明を省略する。なお、フレーム30は、金属部分を全て一体化した構成としているが、この他、各光ケーブル50を支持する主フレームと、保持具20を支持するサブフレームとの組合わせ構造とするなど、複数の部材を組合わせた構成としてもかまわない。
【0023】
収納ホルダ10や保持具20、フレーム30を除くクロージャ40の外装部分については、従来の光ケーブル用クロージャと同様に、光ケーブル50、51を取付けたフレーム30に対し着脱可能ながらその周囲を確実に覆って、内部への水分等の侵入を防止するなど、外部からの影響を受けないよう保護する公知のスリーブ41やキャップ42が配設される構成であり、詳細な説明を省略する。
【0024】
前記光ケーブル50、51は、光ファイバ心線52を一又は複数心備える公知の構成であり、詳細な説明は省略する。この光ケーブル50、51の端部等所定範囲の被覆を除去して所定長さ露出させた光ファイバ心線52が分岐接続されており、接続された光ファイバ心線52の接続部分には、略棒状の接続部60が形成される。この接続部60は、二つの光ファイバ心線52を融着やメカニカルスプライス等により接続した部分であり、二つの心線端部とこれらの接続状態を強固に補強し固定する補助部材からなる公知の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0025】
次に、本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造での光ファイバ心線の収納及び取出し作業状態について説明する。作業に先立ち、クロージャ40のスリーブ41はあらかじめ取外されてクロージャ40内部に対する操作が可能な状態となっているものとする。
【0026】
まず、光ファイバ心線52の収納作業については、主側と分岐側の各光ケーブル50、51における各光ファイバ心線52同士を接続して得られた光ファイバ心線の接続部60、及び所定長さ確保された余長部分を輪状にまとめる。
【0027】
この輪状の光ファイバ心線52に対し、収納ホルダ10の出し入れ用切欠き部13を利用して収納ホルダ10を開き、開いた収納ホルダ10内部の収納領域10aに前記輪状部分を挿入する。出し入れしにくい性質のファイバ心線の場合は、必要に応じて、輪状部分をパラフィン紙等の挿入補助材に包んだ状態で収納ホルダ10に挿入することもできる。この光ファイバ心線52の輪状部分を収納ホルダ10の収納領域10aの円弧状に拡張された中心部に位置させ、さらに光ファイバ心線52の接続部60を収納ホルダ10の保持部12とその周囲部分との間に挟持した状態とする。保持部12では、収納ホルダ10をなすポリプロピレン樹脂素材の弾性により接続部60が確実に挟持状態に維持され、簡単にずれるようなことはない。
【0028】
加えて、収納ホルダ10内の光ファイバ心線52各部は収納ホルダ10の収納領域10aにおいて表裏から挟持された状態にあり、収納ホルダ10素材の適度な弾性力によりこの状態が維持され、光ファイバ心線52を確実に収納状態とすることができる。
【0029】
こうして光ファイバ心線52の収納ホルダ10への収納が終了したら、フレーム30上の保持具20を起した状態(図4(B)参照)で、収納ホルダ10の各切欠き部11に保持具20の保持用部分21をそれぞれ挿入するようにして保持具20に収納ホルダ10を保持させる。この後、複数の収納ホルダ10を保持した状態の保持具20を、フレーム30への蝶着部分を中心に下方へ所定角度回動させて下げ、各収納ホルダ10が斜めに倒れて保持具20に対し各方向へずれるだけのスペースが無くなった保持固定状態(図4(A)参照)とすれば、光ファイバ心線52の収納完了となる。
【0030】
この状態から、さらに必要に応じて、面ファスナ等で緊締状態調節可能なテープをフレーム30と収納ホルダ10に巻回して収納ホルダ10を緊締保持し、収納ホルダ10の固定をより確実にしてもよい。
【0031】
続いて、光ファイバ心線の取出し作業について説明する。まず、収納ホルダ10を保持している保持具20を、収納ホルダ10が垂直起立状態となるように蝶着部分を中心に上方へ所定角度回動させて起す(図4(B)参照)。この状態では、保持具20の保持用部分21の範囲で各収納ホルダ10を保持用部分21に沿ってスライドさせることができ、収納ホルダ10を適宜スライドさせることで所望の収納ホルダ10を他から明確に判別できることとなる。
【0032】
作業に必要な光ファイバ心線52を把握している状態で、この光ファイバ心線52の接続部60及び余長部分を収納している収納ホルダ10を保持された中から判別し、この収納ホルダ10を切欠き部11形状に合わせて各方向にずらして保持具20から取外す。さらに、取外した収納ホルダ10内から光ファイバ心線52を取出せば、点検、撤去等作業を行うことができ、所望の光ファイバ心線52に対応する収納ホルダ10を速やかに判別して保持状態を解除できることで、作業対象の光ファイバ心線52を迅速且つ容易に取出して作業を実行できることとなる。必要な光ファイバ心線52の収納ホルダ10を取外した後の保持具20は、他の取外していない収納ホルダ10ごと、元の通り倒した状態(図4(A)参照)とする。
【0033】
このように、本実施形態に係る光ファイバ心線収納構造は、光ケーブル50における光ファイバ心線52の接続部60及び余長部分を収納する薄い収納ホルダ10を用い、この収納ホルダ10に各光ファイバ心線52を個別に収納した状態で、フレーム30上の保持具20に複数の収納ホルダ10を重なる状態で保持させ、多数の光ファイバ心線52をまとめて保持状態とすることにより、各光ファイバ心線52の接続部60及び余長部分を他と分けて混在無く適切に収納できると共に、切欠き部11で保持具20に対し収納ホルダ10の重なり方向と略直交する向きに各収納ホルダ10を着脱可能となり、所定の収納ホルダ10を他の収納ホルダの取外しを経ることなく着脱でき、各光ファイバ心線52の取出しや再保持が容易且つ迅速に行えることとなり、光ファイバ心線52に対する作業が速やかに実行できる。
【0034】
なお、前記実施形態に係る光ファイバ心線収納構造において、フレーム30には二つの保持具20を配設する構成としているが、これに限らず、光ファイバ心線52の接続数に対応して用いる収納ホルダ10の数に応じて、保持具20を一つのみ配設したり、三つ以上を配設する構成とすることもできる。
【0035】
また、前記実施形態に係る光ファイバ心線収納構造において、保持具20の保持用部分21は、単なる棒状体のままで特に付属物を設けない構成としているが、この他、図6に示すように、この保持用部分21に、中心の孔に保持具20をなす棒状体が貫通する状態とした弾性材製のストッパ22を複数配設する構成とすることもでき、このストッパ22が、弾性力で保持用部分21を締付けて保持用部分21上での位置を維持しようとする一方、一定以上の外力付加により保持用部分21に対し動くことで位置調整を行えることとなり、保持具20に必要数の収納ホルダ10を保持させた状態としたら、保持用部分21上の各ストッパ22を互いに各収納ホルダ10を挟むように寄せて、収納ホルダ10の保持用部分21上での動きを確実に抑えることができる。保持具20に対し収納ホルダ10を着脱する場合には、各ストッパ22をずらして収納ホルダ10から離隔させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ファイバ心線収納構造の概略構成説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における収納ホルダの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における収納ホルダの光ファイバ心線収納状態正面図及び側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における保持具の収納ホルダ保持固定状態及び収納ホルダ着脱許容状態の各側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における保持具の収納ホルダ保持固定状態及び収納ホルダ着脱許容状態の各正面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る光ファイバ心線収納構造における保持具の収納ホルダ保持固定状態側面図及び正面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 収納ホルダ
10a 収納領域
10b、10c 貼り合せ領域
11 切欠き部
12 保持部
13 出し入れ用切欠き部
20 保持具
21 保持用部分
22 ストッパ
30 フレーム
31 把持部
40 クロージャ
41 スリーブ
42 キャップ
50、51 光ケーブル
52 光ファイバ芯線
60 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの光ケーブルの光ファイバ心線同士を接続した接続部を含む所定長さの光ファイバ心線を、一又は複数取出し可能に収納する光ファイバ心線収納構造において、
光ファイバ心線の最小曲率半径以上の所定径で輪状にまとめた状態の光ファイバ心線を収納可能なプラスチック製の可撓性を有する薄い略袋状体とされ、少なくとも二箇所以上に掛止保持用の切欠き部を切欠き形成されてなる複数の収納ホルダと、
当該収納ホルダの各切欠き部に対してそれぞれ同時に挿脱可能で、且つ各切欠き部最奥部にそれぞれ同時に位置して収納ホルダを保持可能な平行配置とされる複数の略棒状部分を有する保持具と、
光ケーブルにおける光ファイバ心線の非露出部分をそれぞれ把持固定する把持部を長手方向両端に形成され、且つ長手方向中間部分に前記保持具を突出状態で一又は複数配設されるフレームとを備え、
各光ファイバ心線を前記所定径の輪状にまとめた状態でそれぞれ収納した前記各収納ホルダを、前記切欠き部を介して前記保持具に掛け、各収納ホルダが重なった状態で保持することを
特徴とする光ファイバ心線収納構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の光ファイバ心線収納構造において、
前記収納ホルダが、収納状態の光ファイバ心線の接続部を光ファイバ心線とは別に保持する保持部を備えることを
特徴とする光ファイバ心線収納構造。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の光ファイバ心線収納構造において、
前記保持具が、前記フレームに対し所定角度範囲回動可能に蝶着されてなり、保持具が少なくとも、保持具に保持された状態の前記収納ホルダとフレーム間に、保持具に対し収納ホルダを着脱する際の収納ホルダの各方向への必要移動量より大きい所定のスペースが生じる一の角度と、収納ホルダとフレームが近接して、収納ホルダとフレーム間のスペースが前記必要移動量より小さくなる他の角度との間で、フレームに対する角度を調整可能とされることを
特徴とする光ファイバ心線収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−58640(P2008−58640A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235916(P2006−235916)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000207089)大電株式会社 (67)
【Fターム(参考)】