説明

光信号処理装置

【課題】従来の光信号処理装置においては、集光レンズを空間光路のほぼ中間点に備えた共焦点光学系を構成するので、空間光学系の距離が長い。このため、装置全体の小型化の障害となる問題があった。また、光信号処理装置の製造時における調整加工に高い精度が必要であった。さらに、装置や製造方法のコストが高いという問題点があった。
【解決手段】本発明の光信号処理装置は、共焦点光学系とは異なるレンズ配置に構成を工夫をして、空間光学系の長さを大幅に短縮化する。信号処理素子のごく近傍に配置された第1の集光レンズと分光素子近傍に配置された第2の集光レンズからなり、分光素子と信号処理素子間の距離は、概ね第1の集光レンズの焦点距離となる。従来技術と比べ光路長を半分に短縮できる。第2の集光レンズの機能は、集光作用を持ったAWGに含めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号処理装置に関する。より詳細には、レンズを含む光信号処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークの高速化、大容量化が進み、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送信号の処理に代表されるような光信号処理装置へのニーズも高まっている。例えば、多重化された光信号をノード間で経路切り替えする機能が要請されている。光−電気変換を経ないで、光信号のまま経路変換を行なうことで、光信号処理装置の高速化が進められている。
【0003】
一方、光信号処理装置の小型化・集積化の観点から、導波路型光回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)の開発研究が進められている。PLCでは、例えばシリコン基板上に石英ガラスを材料としたコアを形成して1つのチップに多様な機能を集積し、低損失で信頼性の高い光機能デバイスを実現している。さらには、複数のPLCチップと他の光機能部品とを組み合わせた複合的な光信号処理部品(装置)も登場している。
【0004】
例えば、特許文献1には、AWGなどを含む導波路型光回路(PLC)と液晶素子などの空間変調素子とを組み合わせた、光信号処理装置が開示されている。より具体的には、液晶素子を中心として対称に配置されたPLCおよびコリメートレンズからなる波長ブロッカをはじめ、波長イコライザ、分散補償器などの検討が進められている。これらの光信号処理装置では、異なる波長を持つ複数の光信号に対して、波長毎に独立して光信号処理を行う。
【0005】
図9は、光信号処理装置の一例を概念図で示したものである。この光信号処理装置では、分光素子100を経由して光信号が入出力される。分光素子100は、異なる波長を持つ複数の光信号を、その波長に応じた出射角度θで分波する。分波された光信号は、集光レンズ2へ向かって出射する。集光レンズ2によって集光された光信号は、出射角度θに対応して、強度変調、位相変調または偏向する機能を持つ信号処理素子4の所定の位置の各集光点に集光される。すなわち、入力光信号の波長に応じて、光信号は信号処理素子の異なる位置に集光されることに留意をされたい。信号処理素子4は、例えば複数の要素素子(ピクセル)からなる液晶素子などである。各要素素子の透過率などの制御によって、各波長の光信号は強度変調などを受け、所定の信号処理機能が実現される。信号処理を受けた光信号は、ミラー5で反射されて進行方向を反転させる。光信号はさらに集光レンズ3を通って、再び分光素子100において合波される。一般によく知られているように、分光素子100は、進行方向によって光信号を合波することもできる。合波された各波長の光信号は、再び出力光として、光信号処理装置外へ出力される。
【0006】
図9において、分光素子100は概念的に示したものであり、光信号の波長に応じて分波および合波をできるものであれば良い。例えば、分光素子には、グレーティング、プリズム、アレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)などがある。信号処理素子は、光信号の強度もしくは位相、または強度および位相を変調できるもの、または光信号の進行方向を偏向できるものであれば良い。例えば、信号処理素子には、液晶素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、非線形結晶などがある。
【0007】
図9に示した光信号処理装置は、ミラーを使用して光信号を折り返すことで、1つの分光素子によって光信号の分波および合波の両方を行なう構成である。この構成は、一般に反射型と呼ばれている。波長ブロック等の光信号処理を行なう装置は、この構成だけに限られない。例えば、図9のミラーを使用せずに、信号処理素子を対称軸の位置とし、入射光路軸の延長線上であって入射系の反対側に、もう1つのレンズおよび分光素子からなる出射系を配置した構成も可能である。この構成は、独立した入射系および出射系を経由して、それぞれ光信号の分波および合波を行なう構成であり、透過型と呼ばれている。さらに、図9の装置構成において、ミラーの向きを変えることによって、任意の位置に配置された、もう一つのレンズおよび分光素子からなる出射系によって光信号の合波を行う構成も可能である。例えば、ミラーの反射面を光信号の入射光路に対して45度傾けて、入射光路に対して垂直方向に配置されたレンズおよび分光素子により出射系を構成することも可能である。また、信号処理素子が偏向機能を持つ場合は、複数の出射系を備えることもできる。
【0008】
図9において、分光素子100と集光レンズ2とは、前焦点距離FFLだけ離して配置され、信号処理素子4と集光レンズ2とは後焦点距離BFLだけ離して配置される。集光レンズ2によって集光される光の焦点の位置は、使用するすべての波長においてミラー5の面上になくてはならない。ミラー面上からずれると、入出力光間の結合損失を生じてします。また、集光された光信号のビームスポット径が大きくなってしまうことから、光信号処理装置における信号処理の波長分解能が低下する問題を生じる。
【0009】
また、信号処理素子4は、光信号の波長ごとに選択的に変調を行なうために、空間的に周期的な構造を備えている必要がある。例えば、信号処理素子4が液晶素子の場合、液晶素子の要素素子の構造は、分光素子および集光レンズの光学特性に合わせて設計されなければならない。
【0010】
より具体的には、信号処理素子上における集光位置の波長依存性は、分光素子の角度分散値に集光レンズの焦点距離を乗じたものに従うことが知られている。集光位置の波長依存性は、分光光学系の線分散値とも呼ばれる。分光素子および集光レンズによって決定される光学系の線分散値は、信号処理素子の構造の設計に用いた線分散値と、十分に一致している必要がある。これらの線分散値にずれがあれば、実際の光信号の集光点の位置は信号処理素子の個々の要素素子(例えば、液晶シャッター素子のピクセル)の位置と一致しなくなる。この不一致のため、処理される光信号の波長誤差が生じる。
【0011】
【特許文献1】特開2002−250828号公報(第16頁、19頁、第20図、第27図、第29D図など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の光信号処理装置では、空間光学系を構成する光路が長いため、装置全体を十分に小型化できないという問題があった。すなわち、装置内において光学系の要素部品を配置する空間は、使用されるレンズの有効焦点距離の少なくとも2倍の長さが必要であった。
【0013】
図10aは、従来の光信号処理装置のより具体的な構成を示す図である。分光素子としてAWG11を用いた反射型光信号処理装置の構成を示している。AWG11は、良く知られているようにスラブ導波路14およびアレイ導波路15を含み、通常は単一の基板上に形成される。AWG11の出射端面9からは、光信号の波長に応じた出射角度で光信号が入出力される。端面9の近傍には、AWG11の基板に垂直方向に出射光を平行光とするシリンドリカルレンズ12が、配置される。光信号処理装置の空間光学系には、図9に示した概念図と同様に、集光レンズ2、信号処理素子4およびミラー5が配置される。
【0014】
上述の空間変調素子を含む光信号処理装置においては、レンズの配置位置の観点から、次のような光学特性が必要とされる。通常の結像レンズにおいては、絞り位置はレンズ中央部、あるいは組レンズの内部にあるのが一般的である。これに対し、本光信号処理装置においては、分光素子の構造によって出射ビーム幅が決定される。したがって、分光素子の出射端に絞り位置があるとみなされるため、通常の結像レンズの場合とは異なるレンズ仕様の最適化が必要である。
【0015】
本光信号処理装置は光結合系の構成であるため、光線は、信号処理素子およびミラーに対して垂直に入射する必要がある。結像レンズにおいては、像テレセントリックレンズがこの要請を満たすものである。この条件から、分光素子の出射端が絞り位置であるだけでなく、さらに集光レンズのFFL(前焦点)の位置となるように、集光レンズを配置する必要がある。
【0016】
したがって、図10aから明らかなように、光信号処理装置は、AWG11から信号処理素子4まで、ほぼ集光レンズ2の有効焦点距離fの2倍の長さを必要とする。透過型の構成で一直線上に空間光学系を配置すれば、さらに有効焦点距離fの4倍の距離が必要となる。このような構成は、共焦点光学系と呼ばれており、光信号処理装置の小型化を阻害する原因となっていた。
【0017】
また、図9および図10に示したような光信号処理装置においては、光信号は、信号処理素子面上で、光信号の波長毎に異なる位置に集光する。先にも述べたように、分光素子および集光レンズによって決定される光学系の線分散値は、信号処理素子の構造の設計に用いた線分散値と十分に一致している必要がある。図9に示したような1つの集光レンズからなる光学系で構成された光信号処理装置の場合において、たとえば、5GHzの分解能で1つの通信波長帯域(5000GHz)の信号処理をするときは、光学系の線分散値に少なくとも0.1%以下の誤差の精度が必要とされる。しかしながら、一般的な製造法による集光レンズの焦点距離の誤差は、1%程度に達する。このため、光学系の線分散値に対して0.1%以下の誤差の高い精度を得るために、光信号処理度装置の製造工程において、光学系の特殊な調整加工が必要となっていた。このため、光信号処理装置の製造コストが高くなる問題があった。
【0018】
上述のように、従来の光信号処理装置においては、集光レンズを空間光路のほぼ中間点に備えた共焦点光学系を構成するので、空間光学系の距離が長いという問題があった。また、光信号処理装置の製造時における調整加工に高い精度が必要である問題点があった。また、装置や製造方法のコストが高いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波して出射する分光手段と、前記分光手段により分波された前記光信号を集光する第1の集光レンズと、前記第1の集光レンズと前記分光手段との間であって、前記分光手段の近傍に配置された第2の集光レンズと、前記第1の集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、前記分光手段の前記分光中心は、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによる2枚レンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置である。
【0020】
請求項2に記載の発明は、分波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波して出射する分光手段と、前記分光手段により分波された前記光信号を集光する第1の集光レンズと、前記第1の集光レンズと前記分光手段との間であって、前記分光手段の近傍に配置された第2の集光レンズと、前記第1の集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、前記第2の集光レンズの前記第1の集光レンズ側の主平面は、前記第1の集光のレンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置である。
【0021】
請求項3に記載の発明は、分波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波して出射する分光手段と、前記分光手段により分波された前記光信号を集光する第1の集光レンズと、前記第1の集光レンズと前記分光手段との間であって、前記分光手段の近傍に配置された第2の集光レンズと、前記第1の集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、前記分光手段の前記分光中心は、前記第2の集光レンズの前記分光素子側の主平面に配置され、前記第2の集光レンズの前記第1の集光レンズ側の主平面は、前記第1の集光のレンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置である。
【0022】
請求項4に記載の発明は、分波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波し、かつ集光作用を持った分光手段であって、前記分光手段の光信号出射面からは前記分波面において円弧球面の光信号が出射されることと、前記分光手段により分光された前記光信号を集光する集光レンズと、前記集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、前記分光手段の前記分光中心は、前記集光レンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置である。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項4の光信号処理装置において前記集光レンズは、前記分光手段側に凸の平凸レンズまたはメニスカスレンズであることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項4の光信号処理装置において、前記分光手段の近傍に配置され、前記分波面に垂直方向に集光作用を持つシリンドリカルレンズと、前記分光手段と前記信号処理素子とのほぼ中間点に配置され、前記分波面に垂直方向に集光作用を持つ第2のシリンドリカルレンズとをさらに備え、前記集光レンズは、前記分波面を含む方向にのみ集光作用を持つシリンドリカルレンズであることを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の光信号処理装置において前記分光手段は、アレイ導波路回折格子であることを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項1の光信号処理装置において、少なくとも1つの入力導波路と、第1のスラブ導波路と、アレイ導波路と、第2のスラブ導波路とを含むアレイ導波路回折格子(AWG)であって、前記AWGは、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波し、前記アレイ導波路は集光作用を持ち、前記AWGの出射端面からは分光面内において円弧波面の光信号が出射されることと、前記AWGにより分光された前記光信号を集光する第1のシリンドリカルレンズと、前記AWGの前記出射端面近傍に配置され、前記分波面の垂直方向に集光作用を持つ第2のシリンドリカルレンズと、前記第1のシリンドリカルレンズに対して前記AWGとは反対側であって、前記第1のシリンドリカルレンズの後焦点より近くに配置され、前記第1のシリンドリカルレンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、前記第1のシリンドリカルレンズの前焦点位置が、前記アレイ導波路の前記出射端面位置と、光学的に一致または概ね一致していることを特徴とする光信号処理装置である。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに光信号処理装置において、前記信号処理手段により信号処理された前記光信号を反射して、前記光信号の光路を曲げるミラーをさらに備えたことを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに光信号処理装置において、前記信号処理手段を対称軸または回転軸として、入射光路軸の延長線上であって入射光学系と重ならない位置に、集光レンズおよび分光素子からなる1組もしくは複数組の出射光学系を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、光信号処理装置の空間光学系の長さを従来の半分程度に短縮化することができる。また、光信号処理装置の調整を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明の光信号処理装置は、空間光学系のレンズ配置構成を工夫することによって、空間光学系の長さを大幅に短縮化するものである。
【0031】
図1は、本発明の光信号処理装置の光学系構成を従来技術と比較しながら概念的に示した図である。図1aは、従来の光信号処理装置の光学系構成を再び示しており、図9に示したものと同一の構成を持っている。すなわち、集光レンズ2を全光路のほぼ中心位置として、集光レンズ2の有効焦点距離f1だけ離れた位置z1がミラー5の反射面と一致するように、信号処理素子4およびミラー5が配置されている。通常、有効焦点距離f1は集光レンズ2の後焦点距離BFLとほぼ一致する。集光レンズ2から、信号処理素子4とは反対側に有効焦点距離f1だけ離れた位置に分光素子1の出射点が在るように、分光素子1が配置される。発明者らは、z1の位置をできる限り集光レンズ2に近づけるためにはどのようにすれば良いかを検討した。
【0032】
ここで、図1aの分光素子1の近傍に仮想的に第2のレンズがあるものと考える。この時、第2のレンズの焦点距離が無限大であれば、第2のレンズは、存在しないのと等価である。ミラー5の反射面の位置z1を集光レンズ2側へ移動させて後焦点距離BFLを短縮するためには、第2の集光レンズ3の焦点距離f2を無限大から有限のより小さい値として、適切な値を選べば良い。
【0033】
信号処理素子4には、例えば液晶素子、MEMSミラーまたは非線形結晶などがある。本発明の特徴は、その空間光学系の構成方法にあるので、図1に示した光信号処理装置は反射型の構成であるが、いわゆる透過型の構成にも適用可能なことはいうまでもない。透過型の構成では、2つの分光素子を用いて、入射系および出射系の光学系を一直線上に配置することも可能である。また、入射系および出射系の光学系を異なる線上に配置することができる。本明細書では、信号処理素子には偏向素子も含まれることにも留意されたい。偏向素子を用いれば、複数の出射系を含む構成が可能となるため、本発明は、分光素子が装置全体で3つ以上ある場合も含むことに留意されたい。
【0034】
図1bは、本発明の光信号処理装置の光学系構成を示した図である。図1aと対比させれば、本発明の光信号処理装置は、信号処理素子4の近傍に配置された第1の集光レンズ2と、分光素子1の近傍に配置された第2の集光レンズ3を持っている点に特徴がある。ミラー5の反射面と第1の集光レンズ2との距離BFLは、第1の集光レンズ2の焦点距離をf1、第2の集光レンズ3の焦点距離をf2とすれば、分光素子1を第2の集光レンズ3に十分に近づけた場合、近似的に次式によって表される。
【0035】
【数1】

【0036】
第1の集光レンズの焦点距離は、分光素子の角度分散値と信号処理素子の構造設計を考慮しながら所望の光学系の線分散値を実現できるように、決定すればよい。f1=f2とすれば、BFLは0となる。装置全体の光路長を最短とするためには、BFLを0に限りなく近づければよいが、信号処理素子4の厚さ分の確保ならびに光信号処理装置全体の製作の容易さや微調整を実施することを考慮して、適切な値に決定すればよい。BFLを決定すれば、式(1)によって第2の集光レンズ3の焦点距離f2が決定される。さらに、光路全長を短縮化するためにには、第1の集光レンズ2および第2の集光レンズ3の2枚レンズの前焦点距離(FFL)が短いことが望ましい。このためには、第2の集光レンズ3の第1の集光レンズ2側の主平面(第2主平面)の位置と、第1の集光レンズ2の前焦点とを近づける必要がある。理想的な場合として、第2の集光レンズ3の第2主平面の位置と、第1の集光レンズ2の前焦点とを一致させれば、自動的に、2枚レンズの前焦点位置は、第2の集光レンズ3の第1主平面の位置となり、光路全長を最も短縮化することができる。第2の集光レンズ3として、分光素子側に凸のメニスカスレンズを使用すれば、主平面が分光素子側のレンズ外部に位置することになるので、上記の理想条件を実現できる。
【0037】
上記のように、信号処理素子4の近傍に配置された第1の集光レンズ2と、分光素子1の近傍に配置された第2の集光レンズ3を配置した構成により、光信号処理装置の有効焦点距離は、おおよそ第1の集光レンズ2の焦点距離f1と等しくなる。従来技術の光信号処理装置において、集光レンズの有効焦点距離fの2倍の距離が必要であったことと比較すれば、本発明の光信号処理装置によれば、空間光学系の全長を半分に短縮できることがわかる。
【0038】
図2は、本発明の光信号処理装置の別の実施形態を示す概念図である。本実施形態は、図1に示した光信号処理装置における第2の集光レンズ3および分光素子1を、1つの集光作用を持った分光素子10に置き換えた点で構成が異なる。このような集光作用を持った分光素子としては、限定されないが例えば凹面グレーティングを利用することができる。本実施形態の構成によれば、図1における分光素子と第2の集光レンズの位置を自動的に一致させることができるので、光学系全長を短縮するための理想的な条件を満たす。さらに、構成部品の点数をさらに減らすことが可能であり、図1に示した構成と同様に、同じ有効焦点距離を持つ条件で、光学系の全長が従来技術による装置の半分に短縮された光信号処理装置を実現することができる。
【0039】
図3は、本発明の光信号処理装置をAWGを利用して実現した、より具体的な実施例を示す図である。図2において、集光作用を持った分光素子10を集光作用を持ったAWG11により構成したものである。AWGは、グレーティングやプリズム等の他の分光素子に比べて小型である特徴を持つ。このため、AWGを本発明の短縮された光学系に適用することで、光信号処理装置全体のサイズをより小さくすることができる。さらに、AWGは、導波路パターンの変更をするだけで集光作用を具備させることができるため、他の分光素子の場合に必要となる追加の製造プロセスは不要である。
【0040】
図3aに示すように集光作用を持ったAWG11は、入力導波路13、スラブ導波路14および集光作用を持ったアレイ導波路15を含む。AWG11の出射端面9からは、AWG11の分波面(AWG基板を含むx−z面)内で波長に応じた出射角度を持って、分波面内で円弧波面を持つ光がz軸方向に沿って空間へ出射される。出射端面9に近接して、AWG11の基板に垂直方向に集光作用を持つシリンドリカルレンズ12が配置され、出射端面9からの出射光は、シリンドリカルレンズ12を透過した後に球面波となる。シリンドリカルレンズ12を透過した出射光は、集光レンズ2により集光され、信号処理素子4において、強度位相変調素子変調などの信号処理を受けたあと、ミラー5により反射される。反射型の光信号処理装置としての動作は、従来技術と同様なので、ここでは、詳細な動作説明を省略する。集光レンズ2は焦点距離fを持つが、集光レンズ2およびミラー5は、焦点距離fよりきわめて短い距離を隔てて、近接して配置されている。出射端面9と集光レンズ2とは、概ね焦点距離fの間隔を持って配置される。
【0041】
図3bは、本実施例における集光作用を持ったAWG11から出射する円弧波面の様子を説明する図であり、図3aのA部を拡大して示したものである。出射端面9近傍のAWG11内にはアレイ導波路15に接続された短いスラブ導波路14aが配置されている。集光作用を持ったアレイ導波路15は、アレイ導波路の終端の等位相面が円弧状に配置されるように構成される。この構成によって、出射端面9から、分波面内において円弧波面を持つ光を出射することができる。あるいは、各アレイ導波路長を調整して出射端面9において円弧波面となる位相差を各アレイ導波路終端に与えておけば、アレイ導波路終端は直線上にあっても構わない。尚、出射側のスラブ導波路14aは、必ずしも必要ではない。
【0042】
従来技術においては、図10bに示すように、出射端面9からは、平面波が出射されることと対比されたい。AWG11が持つ集光作用および集光レンズ2の集光作用によって、図1に示した本発明の短縮化された空間光学系と同等な光信号の伝播経路を構成することができる。装置の有効焦点距離は、従来技術と比べて半分に短縮化されている。AWGに集光作用を持たせることで、正確な円弧波面を形成することができる。すなわち、第2の集光レンズを用いる場合よりも、収差の少ないレンズを使用することに相当する。
【0043】
図4は、AWGを利用した本発明の光信号処理装置の第2の実施例の構成を示す図である。図3に示した第1の実施例においては、AWG11の集光作用はx軸方向のみであって、AWG基板に垂直方向にレンズ作用はない。そこで、集光レンズ2をx軸方向のみに集光作用を持つシリンドリカルレンズとして、基板の垂直方向に対しては、別途、独立した集光レンズを備えることができる。
【0044】
図4aに示すように、本実施例においては、集光レンズ2の代わりにx軸方向に集光作用を持つxシリンドリカルレンズ7を備えるとともに、光路の中央部にy軸方向に集光作用を持つyシリンドリカルレンズ8をさらに備えることを特徴としている。図3に示した構成の光信号処理装置との相違点について説明すれば、信号処理素子4の近傍には、x−z面内で集光作用を持つ焦点距離fのxシリンドリカルレンズ7が配置されている。xシリンドリカルレンズ7は、集光性を持ったAWG11の出射端面9からおおよそ焦点距離fだけ隔てて配置されている。AWG11の光信号入出力点には、接続用光ファイバ16が接続され、光サーキュレータ19を介して、測定用の広帯域光源17および光スペクトラムアナライザ18に接続される。
【0045】
図4bは、AWG11の基板の側面からy−z面内で光信号処理装置を見た図であり、y軸方向における集光作用を説明している。本発明の光信号処理装置においては、信号処理素子4は、x軸方向に光信号の波長に対応して選択的に信号処理がなされるため、信号処理素子4上には要素素子が配列される。例えば、液晶素子などが配置され得る。x軸方向の集光点の位置が重要な意味を持つため、x軸方向では十分に小さいスポットに集光している必要がある。しかし、要素素子の形状等を考えれば、y軸方向では要素素子の長手方向の長さの範囲内に集光スポットが収まっていれば良い。そこで、y−z面内においては、シリンドリカルレンズ12はコリメートレンズとして作用させ、xシリンドリカルレンズ7の焦点距離fの半分の焦点距離fyを持つyシリンドリカルレンズ8を、光路の中央部に配置し、共焦点光学系を構成すれば良い。本構成のように、y方向における集光のためにシリンドリカルレンズ12およびyシリンドリカルレンズ8を配置することにより、各レンズの位置調整が簡単となり光信号処理装置の製造工程が簡略化できる。
【0046】
シリンドリカルレンズ12のみを備えた場合、y軸方向については、シリンドリカルレンズ12のみの作用で、光信号をミラー5上で集光させるかまたは平行光の状態とする必要がある。しかし、AWGの出射端面9におけるy軸方向のビーム径が細いためにシリンドリカルレンズ12の焦点距離は短くならざるを得ない。結果として、シリンドリカルレンズ12の位置調整に高い精度が必要となって、製造上不利である。また、シリンドリカルレンズ12を備えない場合は、yシリンドリカルレンズ8に光信号が到達した時点で、光信号はy軸方向に大きく広がるため、yシリンドリカルレンズ8には口径の大きいレンズが必要となる。そこで図4に示したように、y軸方向について2つのレンズを使用して、共焦点光学系を構成することで、上述の製造上の調整精度を緩和し、製造し易さを確保するとともに、さらにレンズ口径の小型化を実現することができる。
【0047】
ここで、光信号処理装置の有効焦点距離を100mmとした具体的な構成例について述べる。xシリンドリカルレンズは平凸型で焦点距離fが100mmのものを用い、シリンドリカルレンズ12の焦点距離を0.9mm、yシリンドリカルレンズ8の焦点距離fyを50mm、AWGアレイの出口半径を151.4mm、AWGレンズの焦点距離を104.6mm、xシリンドリカルレンズとミラーとの距離を4mmとする。ここで、xシリンドリカルレンズとAWGとの距離は、xシリンドリカルレンズの前焦点位置がAWG端面のアレイ出口中央と一致するように調整する。AWGの集光作用によるAWGレンズの焦点距離は、図4cに示すように、スラブ導波路の屈折率をnsとすると、R−array/nsとなる。集光レンズ系の性能を評価するために、信号処理素子4を動作させずに光をそのまま透過させる状態で損失を測定をした。
【0048】
上述の構成により、広帯域光源と光スペクトラムアナライザを用いて測定したところ、過剰損失は、通信波長Cバンドの中心波長および全使用波長において、それぞれ0.5dB以下および1.0dB以下であった。これらは、従来の構成による光信号処理装置と同等レベルの損失である。本実施例によれば、光信号処理装置の空間光学系の長さを従来技術によるものと比べて、半分に短縮化することができる。装置の調整も簡易化される。
【0049】
図5は、AWGを利用した本発明の光信号処理装置の第3の実施例を示す図である。本実施例においては、第2の実施例における空間光学系の一部を集光作用を持ったAWG内にさらに取り込んで、空間光学系の長さをより短縮した点に特徴がある。すなわち、集光作用を持ったAWG21は、入力導波路13、スラブ導波路14および集光作用を持ったアレイ導波路15を含むとともに、さらに出力スラブ導波路22を持っている。光結合の条件から、xシリンドリカルレンズ7の前焦点位置を、AWG21の分光中心、すなわちアレイ導波路15とスラブ導波路22との境界位置に光学的に一致させる必要がある。ここで光学的に一致させるとは、実際の光路距離を媒体の屈折率で割った光学長を用いて、分光中心からxシリンドリカルレンズ7までの光学長の合計を、xシリンドリカルレンズ7の前焦点距離に一致させることを意味する。
【0050】
出力スラブ導波路22により、図4に示した第2の実施例の構成と比較して、AWG21の出射端面9からからxシリンドリカルレンズ7までの距離を短くすることができる。空間光学系の長さ自体を短縮することで、第2の実施例において述べたような、y軸方向の光信号の広がりが抑えられるため、図4におけるyシリンドリカルレンズ8が不要となる。シリンドリカルレンズ12の位置決定に必要な調整精度も緩和される。空間光学系の距離をさらに短縮したことによって、光信号処理装置を、機械的に強固なものとし、過剰損失などの光学特性をより安定にすることができる。すなわち、振動や温度変化による過剰損失の変動をより抑えることができる。
【0051】
ここで、光信号処理装置の有効焦点距離を30mmとした具体的な構成例について述べる。xシリンドリカルレンズの焦点距離fを30mm、AWGレンズの焦点距離を32.5mm、AWGアレイの出口半径を47mm、xシリンドリカルレンズとミラーとの距離を0.5mmとする。ここで、xシリンドリカルレンズの前焦点位置が光学的にアレイ導波路15とスラブ導波路22の境界中央と一致するように、xシリンドリカルレンズとAWGとの距離を調整する。
【0052】
上述の構成により、広帯域光源と光スペクトラムアナライザを用いて、通信Cバンドの全使用波長において、過剰損失は、1.0dB以下であった。これは、従来の構成の光信号処理装置と同等な損失である。本実施例によれば、光信号処理装置の空間光学系の長さを従来技術によるものと比べ半分以下に短縮化し、さらに装置の調整を簡単にすることができる。
【0053】
図6は、AWGを利用した本発明の光信号処理装置の第4の実施例を示す図である。本発明の光信号処理装置では、集光作用を持ったAWGから出射される光信号は、アレイ導波路出射面の中央部を中心とした円弧状の焦点面を持つ。すなわち、焦点面は大きな像面湾曲を持っている。そこで、焦点面を修正して平面とするために、AWG側に凸の構造を持つ集光レンズを備えるのが好ましい。
【0054】
図6に示すように第4の実施例の光信号処理装置は、図3で示した構成における集光レンズ2を、AWG側を凸とした平凸レンズまたはメニスカスレンズ23とした点に特徴がある。AWGレンズによる湾曲面と、平凸レンズまたはメニスカスレンズ23による湾曲面とを相殺させることで、光信号処理装置全体の像面湾曲を小さく抑えることができる。像面湾曲を小さくすることによって、光信号処理装置が取り扱うバンドの両端領域の波長であって、信号処理素子4の周辺部に集光する光信号の光結合損失を抑えることができる。
【0055】
図7は、第4の実施例における平凸レンズまたはメニスカスレンズの光路短縮効果を示す図である。図7のグラフにおいて、横軸は、図6において示した構成中の集光レンズ23のAWG側面の曲率半径R1を示し、縦軸は、AWG11が持つ集光作用による焦点距離f1である。ここで、AWG11の中心波長を1590nm、集光レンズ23の材質をBK7として、AWG11および集光レンズ23によって決定される有効焦点距離を100mmに固定して、光線追跡計算によって像面湾曲を求めた。図7中の曲線は、ミラー5上の焦点面における像面湾曲が0となるR1とf1との関係を示している。
【0056】
図7から明らかなように、R1<50mmの領域、すなわち集光レンズ23が両凸レンズ形状となる領域において、f1は急激に大きくなる。f1が大きくなれば、空間光学系の全長が長くなり装置全体が大きくなる。したがって、空間光学系の全長を短縮するためには、R1>50mmの領域、すなわち集光レンズ23が平凸レンズまたはメニスカスレンズの形状であることが好ましい。R1=31mmのメニスカス形状のxシリンドリカルレンズを用いて、第2の実施例と同様な光信号処理装置を作製したところ、過剰損失は、通信波長Cバンドの全波長域において0.5dB以下であった。このことから、信号処理素子4の周辺部に集光する周辺波長の光信号の光結合損失を、十分に低減できることが分かった。
【0057】
以上説明したように、本発明の光信号処理装置は、集光性を持ったAWGと、信号処理素子の近傍に配置した集光レンズとを備える。このため、光信号処理装置の線分散値を決定する有効焦点距離EFLは、次式によって表される。
【0058】
【数2】

【0059】
式(2)において、dは、図1の概念図に示した本発明の構成における、第1の集光レンズ2および第2の集光レンズ3の距離を表す。図2に示した別の実施形態、ならびに第1の実施例から第4の実施例においては、f1は集光作用を持った分光素子(AWG)の焦点距離を、dは分光素子と集光レンズとの距離をそれぞれ表す。
【0060】
ここで、集光レンズや分光素子の焦点距離に設計値からの誤差があっても、式(2)より距離dを機械的に調整することによって、光信号処理装置の有効焦点距離を所定の目標値に調整することができる。例えば、図8に示すように分光素子10の位置を、集光レンズ2の本来の焦点距離fから意図的にΔfだけ外して調整することによって、現実の線分散値を所望の線分散値に適合させることができる。
【0061】
例えば、前述の第2の実施例として示した、f1=100mm、f2=104.6mmの光学系において、f1に一般的な加工方法によるレンズの焦点距離誤差が1%存在する場合、式(2)から、距離dの値を0.05%調整するだけでEFLを一定値に保つことをできることが分かる。距離dの値は、前述の様に第1の集光レンズ2の前焦点距離によって規定されるが、この程度の調整を行なったとしても、光結合損失の増加は無視できるほど小さい。
【0062】
以上、詳細に述べたように、本発明によれば、光信号処理装置の空間光学系の長さを従来技術によるものと比べて半分程度に短縮化することができる。これにより、光信号処理装置全体を小型化することができる。また、光信号処理装置の光学系調整を簡単にすることができる。さらに、波長依存性を持った光結合損失を大幅に減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、光通信に使用される光信号処理装置への利用ができる。波長ブロッカをはじめ、波長イコライザ、分散補償器などへの応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の光信号処理装置の光学系の構成を従来技術と比較しながら概念的に示した図である。
【図2】本発明の光信号処理装置の別の実施形態を示す概念図である。
【図3】本発明の光信号処理装置をAWGを利用して実現したより具体的な実施例を示す図である。
【図4】AWGを利用した本発明の光信号処理装置の第2の実施例を示す図である。
【図5】AWGを利用した本発明の光信号処理装置の第3の実施例を示す図である。
【図6】AWGを利用した本発明の光信号処理装置の第4の実施例を示す図である。
【図7】第4の実施例における平凸レンズまたはメニスカスレンズの効果を示す図である。
【図8】本発明の光信号処理装置において、有効焦点距離の調整方法を説明する図である。
【図9】従来の光信号処理装置の概念的な構成図である。
【図10】従来の光信号処理装置のより具体的な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1、100 分光素子
2、3、23 集光レンズ
4 信号処理素子
5 ミラー
7、8、12 シリンドリカルレンズ
11、21 AWG
14、14a、22 スラブ導波路
17 広帯域光源
18 光スペクトラムアナライザ
19 サーキュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波して出射する分光手段と、
前記分光手段により分波された前記光信号を集光する第1の集光レンズと、
前記第1の集光レンズと前記分光手段との間であって、前記分光手段の近傍に配置された第2の集光レンズと、
前記第1の集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、
前記分光手段の前記分光中心は、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによる2枚レンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置。
【請求項2】
分波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波して出射する分光手段と、
前記分光手段により分波された前記光信号を集光する第1の集光レンズと、
前記第1の集光レンズと前記分光手段との間であって、前記分光手段の近傍に配置された第2の集光レンズと、
前記第1の集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、
前記第2の集光レンズの前記第1の集光レンズ側の主平面は、前記第1の集光のレンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置。
【請求項3】
分波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波して出射する分光手段と、
前記分光手段により分波された前記光信号を集光する第1の集光レンズと、
前記第1の集光レンズと前記分光手段との間であって、前記分光手段の近傍に配置された第2の集光レンズと、
前記第1の集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記第1の集光レンズおよび前記第2の集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、
前記分光手段の前記分光中心は、前記第2の集光レンズの前記分光素子側の主平面に配置され、前記第2の集光レンズの前記第1の集光レンズ側の主平面は、前記第1の集光レンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置。
【請求項4】
分波面内の分光中心から、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波し、かつ集光作用を持った分光手段であって、前記分光手段の光信号出射面からは前記分波面において円弧球面の光信号が出射されることと、
前記分光手段により分光された前記光信号を集光する集光レンズと、
前記集光レンズに対して前記分光手段とは反対側であって、前記第1の集光レンズの後焦点より近い位置に配置され、前記集光レンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、
前記分光手段の前記分光中心は、前記集光レンズの前焦点位置またはその近傍に配置されたことを特徴とする光信号処理装置。
【請求項5】
前記集光レンズは、前記分光手段側に凸の平凸レンズまたはメニスカスレンズであることを特徴とする請求項4に記載の光信号処理装置。
【請求項6】
前記分光手段の近傍に配置され、前記分波面に垂直方向に集光作用を持つシリンドリカルレンズと、
前記分光手段と前記信号処理素子とのほぼ中間点に配置され、前記分波面に垂直方向に集光作用を持つ第2のシリンドリカルレンズと、
をさらに備え、
前記集光レンズは、前記分波面を含む方向にのみ集光作用を持つシリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項4に記載の光信号処理装置。
【請求項7】
前記分光手段は、アレイ導波路回折格子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光信号処理装置。
【請求項8】
少なくとも1つの入力導波路と、第1のスラブ導波路と、アレイ導波路と、第2のスラブ導波路とを含むアレイ導波路回折格子(AWG)であって、前記AWGは、光信号の波長に応じた出射角度で前記光信号を分波し、前記アレイ導波路は集光作用を持ち、前記AWGの出射端面からは分光面内において円弧波面の光信号が出射されることと、
前記AWGにより分光された前記光信号を集光する第1のシリンドリカルレンズと、
前記AWGの前記出射端面近傍に配置され、前記分波面の垂直方向に集光作用を持つ第2のシリンドリカルレンズと、
前記第1のシリンドリカルレンズに対して前記AWGとは反対側であって、前記第1のシリンドリカルレンズの後焦点より近くに配置され、前記第1のシリンドリカルレンズによって集光された前記光信号を強度変調、位相変調または偏向する信号処理手段とを備え、
前記第1のシリンドリカルレンズの前焦点位置が、前記アレイ導波路の前記出射端面位置と、光学的に一致または概ね一致していることを特徴とする光信号処理装置。
【請求項9】
前記信号処理手段により信号処理された前記光信号を反射して、前記光信号の光路を曲げるミラーをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光信号処理装置。
【請求項10】
前記信号処理手段を対称軸または回転軸として、入射光路軸の延長線上であって入射光学系と重ならない位置に、集光レンズおよび分光素子からなる1組もしくは複数組の出射光学系を配置したことを特徴とする1乃至9のいずれかに記載の光信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−53255(P2009−53255A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217317(P2007−217317)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】