説明

光出射装置

【課題】 簡素な構成により製造コストの高騰を来たすことなく所望のスペクトルの光を発光体から出射させる。
【解決手段】 所定の光を出射する光源と、一端面が出射面として形成され光源から出射された光を伝送して出射面から出射する射出側バンドルファイバーと、一端面が入射面として形成され射出側バンドルファイバーによって伝送され入射面から入射された光を伝送する受光側バンドルファイバーと、受光側バンドルファイバーによって伝送された光を出射する発光体と、射出側バンドルファイバーの出射面と受光側バンドルファイバーの入射面との間において出射面と入射面が並ぶ方向に対して直交する方向へ移動可能とされると共に入射位置に応じて波長を選択し選択した波長の光を透過して出射する分光フィルターとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は光出射装置についての技術分野に関する。詳しくは、光源から出射された光を伝送する射出側バンドルファイバーと受光側バンドルファイバーの間において分光フィルターを移動可能に配置して簡素な構成により製造コストの高騰を来たすことなく所望のスペクトルの光を発光体から出射させる技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
光源から出射された光を光ファイバーによって発光体に伝送して発光体から発光させる光出射装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような光出射装置は、例えば、各種の光学機器に対して光の校正を行う校正器として用いられる。
【0003】
特許文献1に記載された光出射装置にあっては、光源として複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられ、任意の色や照度(輝度)の光を生成するように構成され、三原色の光を出射する光源(発光ダイオード)の駆動電気量と出射光量の関係を示す情報を格納した記憶部を有している。
【0004】
上記のような光出射装置においては、所望のスペクトル(発光輝度分布)の光を発光体から発光させる必要がある。
【0005】
スペクトルは各発光ダイオードに対して供給される駆動電流の値によって変化するため、特許文献1に記載された光出射装置においては、各駆動電流の値と発光ダイオードの発光輝度分布とを予め測定し、これらの測定値を記憶部に記憶させている。従って、光源の駆動時には、記憶部に記憶された測定値が読み出され、読み出された測定値に応じた駆動電流が各発光ダイオードに供給されて所望のスペクトルの光が発光体から出射される。
【0006】
【特許文献1】特開2006−147171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された光出射装置にあっては、例えば、380nmから780nmの可視光領域において予め選定した複数の波長に対してスペクトルに関する値を算出している。また、スペクトルに関する値として、例えば、重心波長やスペクトル半値幅を記憶部に記憶し、各駆動電流値間のスペクトルに関する値を補間計算によって算出するようにしている。
【0008】
従って、各駆動電流の値と発光ダイオードの発光輝度分布とに関する測定値の計算が複雑であるとともに時間がかかり、製造コストの高騰を来たしてしまう。
【0009】
そこで、本技術光出射装置は、上記した問題点を克服し、簡素な構成により製造コストの高騰を来たすことなく所望のスペクトルの光を発光体から出射させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
光出射装置は、上記した課題を解決するために、所定の光を出射する光源と、一端面が出射面として形成され前記光源から出射された光を伝送して前記出射面から出射する射出側バンドルファイバーと、一端面が入射面として形成され前記射出側バンドルファイバーによって伝送され前記入射面から入射された光を伝送する受光側バンドルファイバーと、前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光を出射する発光体と、前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との間において前記出射面と前記入射面が並ぶ方向に対して直交する方向へ移動可能とされると共に入射位置に応じて波長を選択し選択した波長の光を透過して出射する分光フィルターとを備えたものである。
【0011】
従って、光出射装置にあっては、分光フィルターによって選択された波長の光が受光側バンドルファイバーによって発光体に伝送される。
【0012】
上記した光出射装置においては、前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との前記分光フィルターに対する傾斜角度が変更可能とされることが望ましい。
【0013】
射出側バンドルファイバーの出射面と受光側バンドルファイバーの入射面との分光フィルターに対する傾斜角度が変更可能とされることにより、分光スペクトルの半値幅の調整が可能となる。
【0014】
上記した光出射装置においては、前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、前記受光側バンドルファイバーの光ファイバーの本数が前記射出側バンドルファイバーの光ファイバーの本数より多くされることが望ましい。
【0015】
受光側バンドルファイバーの光ファイバーの本数が射出側バンドルファイバーの光ファイバーの本数より多くされることにより、光の伝送時におけるロスが低減される。
【0016】
上記した光出射装置においては、前記分光フィルターと前記受光側バンドルファイバーの間に前記射出側バンドルファイバーから出射された光を透過するガラス体を配置し、前記受光側バンドルファイバーを前記ガラス体に接続し、前記射出側バンドルファイバーによって伝送された光が前記ガラス体を透過されて前記受光側バンドルファイバーに入射されるようにすることが望ましい。
【0017】
受光側バンドルファイバーをガラス体に接続し、射出側バンドルファイバーによって伝送された光がガラス体を透過されて受光側バンドルファイバーに入射されるようにすることにより、ガラス体によって輝度ムラ及び色度ムラが抑制される。
【0018】
上記した光出射装置においては、前記発光体に円柱状の導光体が設けられ、前記導光体の軸方向における一方の面に光が出射される発光面が形成され、前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光が前記導光体の外周面における周方向に離隔した複数の部分から入射され、前記導光体の外周面から入射された光が前記導光体で導かれて前記発光面から出射されるようにすることが望ましい。
【0019】
受光側バンドルファイバーによって伝送された光が導光体の外周面における周方向に離隔した複数の部分から入射され、導光体の外周面から入射された光が導光体で導かれて発光面から出射されるようにすることにより、導光体に入射される光量が増加する。
【0020】
上記した光出射装置においては、前記導光体に対する光の入射方向を前記導光体の半径方向に対して前記導光体の中心軸に直交する方向に平行にシフトさせることが望ましい。
【0021】
導光体に対する光の入射方向を導光体の半径方向に対して導光体の中心軸に直交する方向に平行にシフトさせることにより、導光体の中心軸に向かう方向以外の方向から光が入射される。
【0022】
上記した光出射装置においては、前記導光体の発光面を円形状に形成し、前記発光面の直径をBとし、前記入射方向のシフト量をCとしたときに、C/Bの値が3.8/30乃至4.2/30となるようにすることが望ましい。
【0023】
導光体の発光面を円形状に形成し、発光面の直径をBとし、入射方向のシフト量をCとしたときに、C/Bの値が3.8/30乃至4.2/30となるようにすることにより、導光体の中心軸に向かう方向以外の方向から光が入射される。
【発明の効果】
【0024】
本技術光出射装置は、所定の光を出射する光源と、一端面が出射面として形成され前記光源から出射された光を伝送して前記出射面から出射する射出側バンドルファイバーと、一端面が入射面として形成され前記射出側バンドルファイバーによって伝送され前記入射面から入射された光を伝送する受光側バンドルファイバーと、前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光を出射する発光体と、前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との間において前記出射面と前記入射面が並ぶ方向に対して直交する方向へ移動可能とされると共に入射位置に応じて波長を選択し選択した波長の光を透過して出射する分光フィルターとを備えている。
【0025】
従って、駆動電流の値と光源の発光輝度分布とに関する複雑な測定値の計算を行うことなく所望のスペクトルの光を発光体から出射させることが可能であり、簡素な構成により製造コストの高騰を来たすことなく所望のスペクトルの光を発光体から出射させることができる。
【0026】
請求項2に記載した技術にあっては、前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との前記分光フィルターに対する傾斜角度が変更可能とされている。
【0027】
従って、分光スペクトルの半値幅の調整が可能となり、所望の波長分解能の状態のスペクトルを得ることができ、所望の分光透過特性を有し安定性の悪い輝線の影響を抑制した安定な分光出力を発光体において行うことができる。
【0028】
請求項3に記載した技術にあっては、前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、前記受光側バンドルファイバーの光ファイバーの本数が前記射出側バンドルファイバーの光ファイバーの本数より多くされている。
【0029】
従って、光の伝送時におけるロスが低減され、光の伝送効率の向上を図ることができる。
【0030】
請求項4に記載した技術にあっては、前記分光フィルターと前記受光側バンドルファイバーの間に前記射出側バンドルファイバーから出射された光を透過するガラス体を配置し、前記受光側バンドルファイバーを前記ガラス体に接続し、前記射出側バンドルファイバーによって伝送された光が前記ガラス体を透過されて前記受光側バンドルファイバーに入射されるようにしている。
【0031】
従って、送り側の光ファイバーの出射面と受け側の光ファイバーの入射面とを突き合わせて光を伝送するときに発生し易い輝度ムラ及び色度ムラを抑制することができる。
【0032】
請求項5に記載した技術にあっては、前記発光体に円柱状の導光体が設けられ、前記導光体の軸方向における一方の面に光が出射される発光面が形成され、前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光が前記導光体の外周面における周方向に離隔した複数の部分から入射され、前記導光体の外周面から入射された光が前記導光体で導かれて前記発光面から出射されるようにしている。
【0033】
従って、導光体に入射される光量を増やすことが可能であり、出射効率の向上を図ることができる。
【0034】
請求項6に記載した技術にあっては、前記導光体に対する光の入射方向を前記導光体の半径方向に対して前記導光体の中心軸に直交する方向に平行にシフトさせている。
【0035】
従って、発光面から出射される光の輝度の均一性を図ることができる。
【0036】
請求項7に記載した技術にあっては、前記導光体の発光面を円形状に形成し、前記発光面の直径をBとし、前記入射方向のシフト量をCとしたときに、C/Bの値が3.8/30乃至4.2/30となるようにしている。
【0037】
従って、発光面から出射される光の輝度の均一性及び高い輝度値を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本技術光出射装置を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0039】
光出射装置は光源と発光体を備えており、以下の説明においては、光源が配置された側を後方とし、発光体が配置された側を前方として方向を示すこととする。
【0040】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0041】
[光出射装置の概略構成]
光出射装置1は、図1に示すように、所定の光を出射する光源ブロック2と、光源ブロック2から出射された光の分光等を行う分光ブロック3と、分光ブロック3に対して動作されて光の制御を行う光制御ブロック4と、分光ブロック3において分光等が行われた光を出射する発光体5とを備えている。
【0042】
光源ブロック2の内部には駆動電流が供給されて光を出射する光源2aが配置されている。
【0043】
光源2aとしては、例えば、熱の照射方向への集中を抑制するダイクロックハロゲンランプを用いられる。光源2aとしてダイクロックハロゲンランプを用いることにより、発光スペクトル特性が平坦になり望ましいスペクトルの光を発光させることが可能になる。
【0044】
また、光出射装置1を、例えば、分光放射輝度計の校正器として用いることを考えた場合には、分光放射輝度計の視野径が円形であるため、効率的な発光状態を確保する観点においては光源2aが円形状(球形状)に形成されていることが望ましい。
【0045】
さらに、光源2aから出射される光の一部をフィードバックして光源2aに対する駆動電流を調整することが望ましい。光源2aに対する駆動電流の調整を行うことにより、光源2aから出射される光の強度を一定にすることが可能となり、光出射装置1を校正器として使用する場合に好適である。
【0046】
光源2aから出射された光は射出側バンドルファイバー6、6、6によって分光ブロック3に伝送される。
【0047】
射出側バンドルファイバー6は複数の光ファイバー7、7、・・・が束ねられて形成されており、射出側バンドルファイバー6の光ファイバー7、7、・・・としては、例えば、プラスチック光ファイバー(POF:Plastic Optical Fiber)が用いられている。プラスチック光ファイバーは光を伝送するコア材がアクリル等によって形成され、コア材を覆うクラッド材がフッ素樹脂等によって形成されている。
【0048】
射出側バンドルファイバー6の光ファイバー7、7、・・・としてプラスチック光ファイバーを用いることにより、プラスチック光ファイバーが石英系の光ファイバーに比べて安価であり曲げに強く折れ難いため、光出射装置1の製造コストの削減や光の伝送に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0049】
また、プラスチック光ファイバーは大口径であるため、端面の汚れや傷、光軸のずれがあった場合においても光の伝送が可能であり、射出側バンドルファイバー6の光ファイバー、7、・・・としてプラスチック光ファイバーを用いることにより、光の効率的な伝送を行うことができる。
【0050】
光ファイバー7としては、例えば、コアの直径が980μm、クラッドの直径が1mm、開口数が0.63程度の大容量のタイプが用いられる。
【0051】
尚、射出側バンドルファイバー6の光ファイバー7、7、・・・としてプラスチック光ファイバーを用いた場合に、光源2aとして赤外線カット機能を有するタイプを用いることにより、塵埃等の付着物を起因とする射出側バンドルファイバー6の端面の損傷等の所謂端面焼けを抑制することが可能である。
【0052】
分光ブロック3は射出側固定ベース8と射出側可動ベース9と受光側固定ベース10と受光側可動ベース11を有している(図1乃至図3参照)。
【0053】
射出側固定ベース8は横長のブロック状に形成され、上方に開口された下側支持溝部8a、8a、8aを有している。下側支持溝部8a、8a、8aは左右方向に延び前後に離隔して形成されている。
【0054】
射出側可動ベース9は横長のブロック状に形成され、射出側固定ベース8の上方に位置されている。射出側可動ベース9には下方に開口された上側支持溝部9a、9a、9aが形成され、上側支持溝部9a、9a、9aは左右方向に延び前後に離隔して形成されている。上側支持溝部9a、9a、9aはそれぞれ射出側固定ベース8に形成された下側支持溝部8a、8a、8aに対向して位置されている。
【0055】
射出側固定ベース8と射出側可動ベース9にはそれぞれ保持ボックス12、12、12が回動自在に支持されている。
【0056】
保持ボックス12、12、12は左右に離隔して位置されている。保持ボックス12は保持部12aと保持部12aから下方へ突出された被支持突部12bと保持部12aから上方へ突出された被支持突部12cとを有している。保持ボックス12は保持部12aが射出側固定ベース8と射出側可動ベース9の間に位置され、被支持突部12b、12cがそれぞれ射出側固定ベース8の下側支持溝部8aと上側支持溝部9aに挿入されている。
【0057】
射出側固定ベース8と受光側固定ベース10には前後に延びるヒンジ軸13、13、13がそれぞれ貫通され、ヒンジ軸13、13、13は左右に離隔して位置されている。また、射出側可動ベース9と受光側可動ベース11には前後に延びるヒンジ軸14、14、14がそれぞれ貫通され、ヒンジ軸14、14、14は左右に離隔して位置されている。
【0058】
保持ボックス12、12、12は、被支持突部12b、12b、12bにそれぞれヒンジ軸13、13、13が挿通され、被支持突部12c、12c、12cにそれぞれヒンジ軸14、14、14が挿通されることにより射出側固定ベース8と射出側可動ベース9に対して回動可能とされる(図3及び図4参照)。
【0059】
保持ボックス12、12、12は同期してヒンジ軸13、13、13及びヒンジ軸14、14、14を支点として回動され、保持ボックス12、12、12が回動されると射出側可動ベース9が射出側固定ベース8に対して平行な状態で移動される。
【0060】
保持ボックス12、12、12の保持部12a、12a、12aにはそれぞれ射出側バンドルファイバー6、6、6の前端部が保持される(図2参照)。保持部12a、12a、12aにはそれぞれ射出側バンドルファイバー6、6、6の前端部が後方から挿通され、射出側バンドルファイバー6、6、6の前端面、即ち、出射面6a、6a、6aが保持部12a、12a、12aの前面と同一面上に位置される。
【0061】
保持部12a、12a、12aにそれぞれ射出側バンドルファイバー6、6、6が保持された状態においては、光ファイバー7、7、・・・が所定の状態で配列され、例えば、横2列、縦10列の状態で合計20本が配列されている(図5参照)。
【0062】
受光側固定ベース10は横長のブロック状に形成され、上方に開口された下側支持溝部10a、10a、10aを有している(図1乃至図3参照)。下側支持溝部10a、10a、10aは左右方向に延び前後に離隔して形成されている。
【0063】
受光側可動ベース11は横長のブロック状に形成され、受光側固定ベース10の上方に位置されている。受光側可動ベース11には下方に開口された上側支持溝部11a、11a、11aが形成され、上側支持溝部11a、11a、11aは左右方向に延び前後に離隔して形成されている。上側支持溝部11a、11a、11aはそれぞれ受光側固定ベース10に形成された下側支持溝部10a、10a、10aに対向して位置されている。
【0064】
受光側固定ベース10と受光側可動ベース11にはそれぞれ接続ボックス15、15、15が回動自在に支持されている。
【0065】
接続ボックス15、15、15は左右に離隔して位置されている。接続ボックス15は接続部15aと接続部15aから下方へ突出された被支持突部15bと接続部15aから上方へ突出された被支持突部15cとを有している。接続ボックス15は接続部15aが受光側固定ベース10と受光側可動ベース11の間に位置され、被支持突部15b、15cがそれぞれ受光側固定ベース10の下側支持溝部10aと上側支持溝部11aに挿入されている。
【0066】
接続ボックス15、15、15は、被支持突部15b、15b、15bにそれぞれヒンジ軸13、13、13が挿通され、被支持突部15c、15c、15cにそれぞれヒンジ軸14、14、14が挿通されることにより受光側固定ベース10と受光側可動ベース11に対して回動可能とされる(図3及び図4参照)。
【0067】
接続ボックス15、15、15はヒンジ軸13、13、13及びヒンジ軸14、14、14を支点として同期して回動され、接続ボックス15、15、15が回動されると受光側可動ベース11が受光側固定ベース10に対して平行な状態で移動される。このとき接続ボックス15、15、15は保持ボックス12、12、12を支持するヒンジ軸13、13、13及びヒンジ軸14、14、14を支点として回動されるため、保持ボックス12、12、12と一体になって回動される。
【0068】
接続ボックス15、15、15の接続部15a、15a、15aの内部にはそれぞれガラス体16、16、16が配置されている(図2乃至図4参照)。ガラス体16は開口数が射出側バンドルファイバー6の開口数に適合されている。ガラス体16は、例えば、光学ガラスや石英ガラスによって縦長の直方体形状に形成され、後面16aが接続部15aの後面と同一平面上に位置され、前面16bが接続部15aの前面より後側に位置されている。
【0069】
光制御ブロック4は駆動部17と駆動部17に連結されたホルダー18とホルダー18に保持された分光フィルター19とを有している(図1参照)。
【0070】
駆動部17は支持ベース20と移動台21とパルスモーター22を有している。
【0071】
支持ベース20は左右方向に延び、射出側固定ベース8及び受光側固定ベース10の側方に配置されている。
【0072】
移動台21は支持ベース20に左右方向に移動自在に支持されている。
【0073】
パルスモーター22は図示しないコントローラや電源回路等によって制御される。パルスモーター22は支持ベース20の長手方向における一端部に取り付けられ、モーター軸に送りネジ22aが連結されている。送りネジ22aは移動台21に螺合されている。従って、パルスモーター22の駆動により送りネジ22aが回転されると、移動台21が送りネジ22aの回転方向に応じて左右方向へ支持ベース20に対して移動される。
【0074】
ホルダー18は左右に長い略L字状に形成され、長手方向における一端部が移動台21に連結されている。
【0075】
分光フィルター19はホルダー18に保持されている。分光フィルター19としては、光の入射位置に応じて波長を選択し選択した波長の光を透過して出射する機能を有するリニアバリアブルフィルター(LVF)が用いられている。リニアバリアブルフィルターは、干渉薄膜の厚みを連続的に変化させることにより透過波長が連続的に変化されるように構成されている。
【0076】
分光フィルター19は、例えば、横長の矩形の板状に形成され、駆動部17の移動台21の左右方向における移動に伴って保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15との間で左右方向へ移動される。
【0077】
分光フィルター19の後面19aには保持ボックス12、12、12にそれぞれ保持された射出側バンドルファイバー6、6、6の出射面6a、6a、6aが対向して位置され、分光フィルター19の前面19bにはガラス体16、16、16の後面16a、16a、16aが対向して位置される(図6参照)。分光フィルター19の後面19aと射出側バンドルファイバー6、6、6の出射面6a、6a、6aとの間隔は0.1mm程度にされ、分光フィルター19の前面19bとガラス体16、16、16の後面16a、16a、16aとの間隔も0.1mm程度にされている。
【0078】
図7は、分光フィルター19を透過される光の波長を示す図である。分光フィルター19の左右方向(長手方向)にX座標をとると、分光フィルター19を透過する光の波長がX座標に比例して直線的な特性を有する。即ち、分光フィルター19に入射される位置によって透過される光の波長の大きさが直線的に変化する。従って、分光フィルター19を長手方向へ移動させることにより、射出側バンドルファイバー6、6、6の出射面6a、6a、6aから出射されて分光フィルター19を透過されガラス体16、16、16に入射される光の波長をそれぞれ任意に選択することが可能とされ、分光フィルター19によって選択(分光)された透過光の波長の変動が低減される。
【0079】
分光フィルター19を透過さる光の波長は、例えば、可視光領域である380nm乃至780nmの範囲にされている。
【0080】
接続ボックス15、15、15の接続部15a、15a、15aにおける前端部にはそれぞれ受光側バンドルファイバー23、23、23の後端部が保持されている(図2及び図6参照)。
【0081】
受光側バンドルファイバー23は複数の光ファイバー24、24、・・・が束ねられて形成されており、受光側バンドルファイバー23の光ファイバー24、24、・・・としては、例えば、射出側バンドルファイバー6の光ファイバー7、7、・・・と同様の種類が用いられる。
【0082】
接続部15a、15a、15aにはそれぞれ受光側バンドルファイバー23、23、23の後端部が前方から挿通され、受光側バンドルファイバー23、23、23の後端面、即ち、入射面23a、23a、23aがそれぞれガラス体16、16、16の前面16b、16b、16bに接続される。ガラス体16、16、16の前面16b、16b、16bに対する入射面23a、23a、23aの接続は、例えば、ガラス体16、16、16と受光側バンドルファイバー23、23、23の屈折率に適合された接着剤を用いて行われる。
【0083】
受光側バンドルファイバー23の光ファイバー24、24、・・・は、例えば、横5列、縦12列の合計60本が配列されている(図8参照)。
【0084】
上記したように、射出側バンドルファイバー6、6、6の出射面6a、6a、6aからそれぞれ出射された光は分光フィルター19を透過されてガラス体16、16、16に入射され、ガラス体16、16、16を介して入射面23a、23a、23aから受光側バンドルファイバー23、23、23に入射される。
【0085】
このとき、分光フィルター19によって分光フィルター19に対する入射位置に応じた波長の光がガラス体16、16、16から受光側バンドルファイバー23、23、23に入射され、受光側バンドルファイバー23、23、23には、例えば、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光が入射される。
【0086】
光出射装置1にあっては、射出側バンドルファイバー6、6、6からそれぞれ出射された光がガラス体16、16、16を介して受光側バンドルファイバー23、23、23に入射されるように構成されているため、送り側の光ファイバーの出射面と受け側の光ファイバーの入射面とを突き合わせて光を伝送するときに発生し易い輝度ムラ及び色度ムラを抑制することができる。
【0087】
尚、送り側の光ファイバーからの受け側の光ファイバーへの光の伝送をボールレンズを用いて行うことも可能であるが、ボールレンズを用いた場合には、受光側バンドルファイバー23の光ファイバー24、24、・・・の直径が、例えば、それぞれ1mmであると、縦12列の光ファイバー24、24、・・・に応じたボールレンズの直径が12mm程度になってしまう。従って、ボールレンズと入射面23aとの間隔を光ファイバー24、24、・・・の位置に応じて一定にすることが困難になる等の不具合が生じ、射出側バンドルファイバー6、6、6と受光側バンドルファイバー23、23、23の間において光の伝送をボールレンズによって行うことは不向きである。
【0088】
また、射出側バンドルファイバー6、6、6の出射面6a、6a、6aからそれぞれ光が出射されたときには、光が拡散される(図6に示す矢印M、M参照)。従って、送り側の射出側バンドルファイバー6、6、6の本数(例えば、20本)より受け側の受光側バンドルファイバー23、23、23の本数(例えば、60本)を多くすることにより、光の伝送時におけるロスが低減され、光の伝送効率の向上を図ることができる。
【0089】
発光体5はケース25とケース25の内部に保持された導光体26とから成る(図1及び図9参照)。
【0090】
ケース25は円板状の底面部27と底面部27の外周部に取り付けられたカバー部28とから成り、カバー部28は底面部27の外周部から上方へ突出された周面部29と周面部29の上端部から内方へ張り出された押さえ部30とから成る。周面部29には周方向に等間隔に離隔して複数のファイバー取付孔29a、29a、・・・が形成されている。押さえ部30の内周縁は円形状に形成されている。
【0091】
導光体26は扁平な円柱状に形成され、下面31が底面部27の上面に接触され、外周面32がカバー部28の周面部29の内面に接触され、上面33の外周部33aがカバー部28の押さえ部30の下面に接触された状態でケース25に保持されている。
【0092】
導光体26は、下面31と上面33の外周部33aとが拡散かつ全反射される反射面として形成され、外周面32が光が入射される入光面として形成され、上面33の外周部33a以外の部分が光が出射される発光面33bとして形成されている。導光体26の外径(直径)は、例えば、50mmにされ、発光面33bの直径は、例えば、30mmにされている。
【0093】
尚、上記には、導光体26の下面31と上面33の外周部33aとが拡散かつ全反射される反射面として形成された例を示したが、これに加え、導光体26の外周面32における光ファイバー24、24、・・・が接続された部分以外の部分も拡散かつ全反射される反射面として形成してもよい。
【0094】
また、カバー部28を、例えば、透明な材料によって形成し、カバー部28の外周面に光ファイバー24、24、・・・を接続し、カバー部28において光が拡散されて導光体26に入射されるように構成することも可能である。
【0095】
ケース25の周面部29に形成されたファイバー取付孔29a、29a、・・・にはそれぞれ受光側バンドルファイバー23、23、23の光ファイバー24、24、・・・が挿通されて取り付けられている。光ファイバー24、24、・・・は、赤色(R)の光を伝送する光ファイバー24Rと緑色(G)の光を伝送する光ファイバー24Gと青色(B)の光を伝送する光ファイバー24Bとが一組になって周方向における同じ位置に上下に並んだ状態で周面部29に取り付けられている。従って、光ファイバー24R、24G、24Bが一組になって上下に並び、これらの一組ずつが周方向に等間隔に離隔して周面部29に取り付けられている。
【0096】
尚、赤色(R)の光を伝送する光ファイバー24Rと緑色(G)の光を伝送する光ファイバー24Gと青色(B)の光を伝送する光ファイバー24Bとが、それぞれ導光体26の中心を基準として、例えば、6°ずつ周方向にずらした状態でファイバー取付孔29a、29a、・・・に取り付けられるようにしてもよい。
【0097】
受光側バンドルファイバー23、23、・・・によって伝送されて発光体5の導光体26に外周面32から入射された光は、導光体26の内部で拡散しながら内面反射されて導光され、発光面33bから出射される。このとき、上記したように、受光側バンドルファイバー23、23、・・・によって伝送された光は、外周面32における周方向に離隔した複数の部分から導光体26に入射される。
【0098】
このように光出射装置1にあっては、円柱状の導光体26の外周面32における周方向に離隔した複数の部分から光が入射されるため、導光体26に入射される光量を増やすことが可能であり、出射効率の向上を図ることができる。
【0099】
また、導光体26を円柱状に形成し、導光体26の外周面32における周方向に離隔した複数の部分から光を入射させるように構成しているため、光の入射効率が高く、その分、発光体5の小型化を図ることができる。
【0100】
尚、上記には、導光体26を円柱状に形成した例を示したが、導光体26の形状は円柱状に限られることはなく、例えば、正多角形状に形成されていてもよい。
【0101】
さらに、発光体5に赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の三原色の光が入射されるように構成されているため、広い色域を確保することができる。
【0102】
光出射装置1にあっては、受光側バンドルファイバー23、23、・・・によって伝送された光の導光体26に対する入射方向Sが、図10に示すように、導光体26の半径方向Rに対して導光体26の中心軸Pに直交する方向に平行にシフトされている。
【0103】
入射方向Sのシフト量は、例えば、発光面33bの直径が30mmのときに4mm±0.2mmとされている。光出射装置1においては、発光面33bの直径をBとし、入射方向Sのシフト量をCとしたときに(図10参照)、C/Bの値が3.8/30乃至4.2/30となるように設定されることが望ましい。
【0104】
図11は、外径(直径)Aが50mm、発光面33bの直径Bが30mmの導光体26について、外周面32から光を入射させたときの導光体26からの光の出射状態を示す模式図である。
【0105】
図11において、上段の図はシフト量Cが0mmのときの状態を示し、中段の図はシフト量Cが4mmのときの状態を示し、下段の図はシフト量Cが10mmのときの状態を示す。図11に示すように、シフト量Cが4mmの場合には、シフト量Cが0mmの場合と10mの場合に比し、発光面33bから出射される光の輝度の均一性が確保されると共に高い輝度値が確保されている。
【0106】
従って、発光面33bの直径をBとし、導光体26の外周面32に対する光の入射方向Sのシフト量をCとしたときに、C/Bの値が3.8/30乃至4.2/30となるように設定されることにより、発光面33bから出射される光の輝度の均一性及び高い輝度値を確保することができる。
【0107】
図12は、導光体26において外径(直径)Aと発光面の直径Bとを一定にしてシフト量Cを変化させた場合の照度を示すグラフ図である。外径Aは50mm、直径Bは30mmである。図12に示すように、シフト量が0mmの場合に比し、入射方向Sが半径方向Rに対して導光体26の中心軸Pに直交する方向に平行にシフトされた場合には、何れも輝度の均一性が高くなっている。
【0108】
従って、導光体26に対する光の入射方向Sを半径方向Rに対して導光体26の中心軸Pに直交する方向に平行にシフトさせることにより、発光面33bから出射される光の輝度の均一性を図ることができる。
【0109】
図13は、導光体26において外径(直径)Aを一定にして発光面の直径Bとシフト量Cを変化させた場合の照度を示すグラフ図である。外径Aは50mmである。構成Xは直径Bが24mm、シフト量Cが5.33mmであり、構成Yは直径Bが30mm、シフト量Cが7.5mmであり、構成Zは直径Bが40mm、シフト量Cが11.5mmであり、直径Bが大きくなるに従ってシフト量Cを大きくしている。
【0110】
図13に示すように、構成X、構成Y及び構成Zの何れの場合においても、発光面33bにおける輝度の均一性が確保されている。
【0111】
尚、上記には、導光体26の外径(直径)をAとしたが、カバー部28を透明な材料によって形成しカバー部28の外周面に光ファイバー24、24、・・・を接続する構成とした場合には、カバー部28の外径(直径)がAになる。
【0112】
[光出射装置の動作]
以下に、光源ブロック2の光源2aから光が出射されたときの光出射装置1の動作について説明する(図14乃至図16参照)。
【0113】
光源ブロック2の光源2aから光が出射されると、出射された光は射出側バンドルファイバー6、6、6を介して出射面6a、6a、6aから分光フィルター19へ向けて出射される。分光フィルター19は、上記したように、左右方向へ移動可能とされており、左右方向へ移動されることにより射出側バンドルファイバー6、6、6から入射された光が任意の波長に選択される。従って、上記したように、分光フィルター19による波長の選択機能によりガラス体16、16、16に、例えば、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光が入射される。
【0114】
このとき、上記したように、保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15はヒンジ軸13、13、13及びヒンジ軸14、14、14を支点として射出側固定ベース8、射出側可動ベース9、受光側固定ベース10及び受光側可動ベース11に対して一体になって回動可能とされている。従って、保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15が回動されると、光ファイバー7、7、・・・と光ファイバー24、24、・・・がそれぞれ縦長の状態で配列されている射出側バンドルファイバー6、6、6と受光側バンドルファイバー23、23、23が傾斜される(図4参照)。
【0115】
図14及び図15は、射出側バンドルファイバー6、6、6と受光側バンドルファイバー23、23、23の傾斜角度の相違による光の分光透過特性、即ち、波長に対する分光放射輝度の変化を示す図である。
【0116】
図14は、保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15が回動される前の状態(図3参照)における分光透過特性を示している。保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15が回動される前においては、射出側バンドルファイバー6、6、6と受光側バンドルファイバー23、23、23が傾斜されておらず縦長の状態とされ、分光透過特性は波長分解能の高い状態にされる。
【0117】
図15は、保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15が回動された状態(図4参照)における分光透過特性を示している。保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15が回動された状態においては、射出側バンドルファイバー6、6、6と受光側バンドルファイバー23、23、23が傾斜されており、分光透過特性は波長分解能の低い平坦な状態にされる。
【0118】
従って、保持ボックス12、12、12と接続ボックス15、15、15の回動状態を変化させることにより、分光スペクトルの半値幅の調整が可能となり、所望の波長分解能の状態のスペクトルを得ることができ、所望の分光透過特性を有し安定性の悪い輝線の影響を抑制した安定な分光出力を発光体5において行うことができる。
【0119】
分光フィルター19によって波長が選択された光はガラス体16、16、16に入射され、ガラス体16、16、16から受光側バンドルファイバー23、23、23に入射され、受光側バンドルファイバー23、23、23によって伝送されて発光体5に入射される。このとき、上記したように、光は導光体26の半径方向Rに対して導光体26の中心軸Pに直交する方向に平行にシフトされた状態で入射され(図10参照)、導光体26の内部で内面反射されて導光され、発光面33bから出射される。
【0120】
図16は、光源2aとしてハロゲンランプを用い、ガラス体16と導光体26の有無により条件を変更し、発光状態を撮影したときの輝度値を示す図である。図16の上段の図は、ガラス体16と導光体26の双方が設けられていない状態の輝度値を示し、図16の中段の図は、ガラス体16が設けられ導光体26が設けられていない状態の輝度値を示し、図16の下段の図は、ガラス体16と導光体26の双方が設けられた状態の輝度値を示す。
【0121】
図16においては、例として、緑色(G)の光と青色(B)の光とについての輝度値を示し、中央の値は発光面の中心点の輝度値を示し、上下左右の値は中心からそれぞれ上下左右に10mm離隔された点の輝度値を示している。
【0122】
図16に示すように、ガラス体16と導光体26が設けられていない場合には、中心点と周辺(10mm離隔された点)との間で大きな輝度ムラが生じているが、ガラス体16が設けられた場合には輝度ムラが改善され、ガラス体16と導光体26が設けられた場合にはさらに輝度ムラが改善されている。色ムラについても、ガラス体16と導光体26が設けられていない場合に比し、ガラス体16が設けられた場合及びガラス体16と導光体26が設けられた場合に改善される。
【0123】
従って、ガラス体16によって輝度ムラ及び色ムラが抑制され、導光体26によっても輝度ムラ及び色ムラが抑制される。
【0124】
[まとめ]
以上に記載した通り、光出射装置1にあっては、射出側バンドルファイバー6、6、6の出射面6a、6a、6aと受光側バンドルファイバー23、23、23の入射面23a、23a、23aとの間において移動可能とされ入射位置に応じて波長を選択し選択した波長の光を透過して出射する分光フィルター19が設けられている。
【0125】
従って、駆動電流の値と光源2aの発光輝度分布とに関する複雑な測定値の計算を行うことなく所望のスペクトルの光を発光体5から出射させることが可能であり、簡素な構成により製造コストの高騰を来たすことなく所望のスペクトルの光を発光体5から出射させることができる。
【0126】
[本技術]
本技術は、以下のような構成とすることができる。
【0127】
(1)所定の光を出射する光源と、一端面が出射面として形成され前記光源から出射された光を伝送して前記出射面から出射する射出側バンドルファイバーと、一端面が入射面として形成され前記射出側バンドルファイバーによって伝送され前記入射面から入射された光を伝送する受光側バンドルファイバーと、前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光を出射する発光体と、前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との間において前記出射面と前記入射面が並ぶ方向に対して直交する方向へ移動可能とされると共に入射位置に応じて波長を選択し選択した波長の光を透過して出射する分光フィルターとを備えた光出射装置。
【0128】
(2)前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との前記分光フィルターに対する傾斜角度が変更可能とされた前記(1)に記載の光出射装置。
【0129】
(3)前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、前記受光側バンドルファイバーの光ファイバーの本数が前記射出側バンドルファイバーの光ファイバーの本数より多くされた前記(1)に記載の光出射装置。
【0130】
(4)前記分光フィルターと前記受光側バンドルファイバーの間に前記射出側バンドルファイバーから出射された光を透過するガラス体を配置し、前記受光側バンドルファイバーを前記ガラス体に接続し、前記射出側バンドルファイバーによって伝送された光が前記ガラス体を透過されて前記受光側バンドルファイバーに入射されるようにした前記(1)から前記(3)の何れかに記載の光出射装置。
【0131】
(5)前記発光体に円柱状の導光体が設けられ、前記導光体の軸方向における一方の面に光が出射される発光面が形成され、前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光が前記導光体の外周面における周方向に離隔した複数の部分から入射され、前記導光体の外周面から入射された光が前記導光体で導かれて前記発光面から出射されるようにした前記(1)から前記(4)の何れかに記載の光出射装置。
【0132】
(6)前記導光体に対する光の入射方向を前記導光体の半径方向に対して前記導光体の中心軸に直交する方向に平行にシフトさせた前記(5)に記載の光出射装置。
【0133】
(7)前記導光体の発光面を円形状に形成し、前記発光面の直径をBとし、前記入射方向のシフト量をCとしたときに、C/Bの値が3.8/30乃至4.2/30となるようにした前記(6)に記載の光出射装置。
【0134】
上記した技術の最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本技術を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本技術の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図2乃至図16と共に本技術光出射装置を示すものであり、本図は、光出射装置の概略斜視図である。
【図2】分光ブロックの概略断面図である。
【図3】接続ボックスが保持ボックスとともに回動される前の状態を一部を断面にして示す正面図である。
【図4】接続ボックスが保持ボックスとともに回動された状態を一部を断面にして示す正面図である。
【図5】保持ボックスの拡大正面図である。
【図6】保持ボックス、接続ボックス及び分光フィルター等を示す拡大断面図である。
【図7】分光フィルターの機能を説明するための図である。
【図8】接続ボックスの拡大断面図である。
【図9】発光体の拡大断面図である。
【図10】導光体に対する光の入射方向を説明するための図である。
【図11】シフト量を変化させたときの発光状態を示す図である。
【図12】導光体において外径Aと発光面の直径Bとを一定にしてシフト量Cを変化させた場合の照度を示すグラフ図である。
【図13】導光体において外径Aを一定にして発光面の直径Bとシフト量Cを変化させた場合の照度を示すグラフ図である。
【図14】保持ボックスと接続ボックスが回動されていない状態における分光透過特性を示すグラフ図である。
【図15】保持ボックスと接続ボックスが回動された状態における分光透過特性を示すグラフ図である。
【図16】ガラス体と導光体の有無により条件を変更し、発光状態を撮影したときの輝度値を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
1…光出射装置、2a…光源、5…発光体、6…射出側バンドルファイバー、6a…出射面、7…光ファイバー、16…ガラス体、19…分光フィルター、23…受光側バンドルファイバー、23a…入射面、24…光ファイバー、26…導光体、32…外周面、33b…発光面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の光を出射する光源と、
一端面が出射面として形成され前記光源から出射された光を伝送して前記出射面から出射する射出側バンドルファイバーと、
一端面が入射面として形成され前記射出側バンドルファイバーによって伝送され前記入射面から入射された光を伝送する受光側バンドルファイバーと、
前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光を出射する発光体と、
前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との間において前記出射面と前記入射面が並ぶ方向に対して直交する方向へ移動可能とされると共に入射位置に応じて波長を選択し選択した波長の光を透過して出射する分光フィルターとを備えた
光出射装置。
【請求項2】
前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、
前記射出側バンドルファイバーの出射面と前記受光側バンドルファイバーの入射面との前記分光フィルターに対する傾斜角度が変更可能とされた
請求項1に記載の光出射装置。
【請求項3】
前記射出側バンドルファイバーと前記受光側バンドルファイバーはそれぞれ複数の光ファイバーが所定の配列状態で束ねられて構成され、
前記受光側バンドルファイバーの光ファイバーの本数が前記射出側バンドルファイバーの光ファイバーの本数より多くされた
請求項1に記載の光出射装置。
【請求項4】
前記分光フィルターと前記受光側バンドルファイバーの間に前記射出側バンドルファイバーから出射された光を透過するガラス体を配置し、
前記受光側バンドルファイバーを前記ガラス体に接続し、
前記射出側バンドルファイバーによって伝送された光が前記ガラス体を透過されて前記受光側バンドルファイバーに入射されるようにした
請求項1に記載の光出射装置。
【請求項5】
前記発光体に円柱状の導光体が設けられ、
前記導光体の軸方向における一方の面に光が出射される発光面が形成され、
前記受光側バンドルファイバーによって伝送された光が前記導光体の外周面における周方向に離隔した複数の部分から入射され、
前記導光体の外周面から入射された光が前記導光体で導かれて前記発光面から出射されるようにした
請求項1に記載の光出射装置。
【請求項6】
前記導光体に対する光の入射方向を前記導光体の半径方向に対して前記導光体の中心軸に直交する方向に平行にシフトさせた
請求項5に記載の光出射装置。
【請求項7】
前記導光体の発光面を円形状に形成し、
前記発光面の直径をBとし、
前記入射方向のシフト量をCとしたときに、
C/Bの値が3.8/30乃至4.2/30となるようにした
請求項6に記載の光出射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−216340(P2012−216340A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79630(P2011−79630)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)