説明

光制御型ビーム形成回路

【課題】アンテナビームの方向、強度分布の制御精度を向上させる。
【解決手段】光波を発生するレーザ光源1と、レーザ光源1からの光波を分配する光波分配器2と、分配された光波の一方の周波数を変移させる光周波数シフタ3と、光周波数シフタ3からの第1の光波の位相分布を、所定のアンテナビームパターンに対応した位相分布に変換するSLM6と、SLM6で変換された第1の光波と光波分配器2からの第2の光波とを合成するビームコンバイナ9と、合成された光波の干渉強度を空間的にサンプリングする光サンプリング手段10と、サンプリングされた複数の光波を光電変換して各素子アンテナ14に出力する光電変換手段13と、SLM6によって変換された光波の空間位相分布を検出する位相センサ21と位相センサ21の検出結果を反映させてSLM6の空間位相分布を演算する演算処理手段22とを有するSLM制御装置20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光制御型ビーム形成回路に関し、特に、光波の位相、または位相と強度の空間分布を所定のパターンに形成後、その位相と強度を電気信号に変換し、アレイアンテナのアンテナ開口上の電界パターンを制御する、光制御型ビーム形成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光制御型ビーム形成回路においては、光波の位相と強度を制御するためにレーザービームの2光波干渉光学系を設け、その一方の光路にレーザービームの空間位相分布を任意に制御する空間位相変調器を配置している(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】R A Wilson, P Sample, A Johnstone and M F Lewis, International topical meeting on Microwave Photonics論文集, IEEE Catalog Number 00EX430, pp. 23-26,Fig. 1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光制御型ビーム形成回路は以上のように構成されているので、光波の位相を制御することで、アンテナビームの方向と強度分布を所望の状態に形成することが可能である。しかし、以下に説明する問題点があった。
【0005】
非特許文献1に示される従来の光制御型ビーム形成回路においては、空間位相変調器の位相変調量が所定の値に対し誤差をもつとアンテナビームの方向や強度分布が所望の状態からずれてしまうという問題点がある。一例として、50×50素子のアレイアンテナを制御する場合、光制御型ビーム形成回路において、光波の波長の1/20の波面傾斜誤差が生じることにより、ビーム方向が約0.1度変位する。逆に言えば、0.1度の制御分解を要求するシステムでは、光波の位相を1/20λPV以下の精度で制御する必要がある。空間位相変調器の絶対制御精度や、温度、大気密度などの周囲環境変化を考慮すると、これを実現することは困難であるという問題点があった。
【0006】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、アンテナビームの方向、強度分布の制御精度を向上させることが可能な光制御型ビーム形成回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、光波を発生する光波発生手段と、前記光波発生手段からの光波を第1の光波と第2の光波とに分配する光波分配器と、無線信号が入力されて、前記光波分配器で分配された前記第1の光波の周波数または前記第2の光波の周波数を、前記無線信号の周波数だけ変移させる光周波数シフタと、前記光周波数シフタまたは前記光波分配器から出力される第1の光波の位相分布を、所定のアンテナビームパターンに対応する位相分布に変換する第1の変換手段と、前記第1の変換手段で変換された前記第1の光波と前記光波分配器から出力される前記第2の光波とを合成する合成手段と、前記合成手段で合成された光波の干渉強度を空間的にサンプリングする光サンプリング手段と、前記光サンプリング手段でサンプリングされた複数の光波をそれぞれ電気信号に光電変換して各素子アンテナに出力する光電変換手段と、前記第1の変換手段によって変換された前記光波の空間位相分布を検出する空間位相分布検出手段と、前記空間位相分布検出手段によって検出された前記光波の空間位相分布を反映させて前記第1の変換手段が変換する空間位相分布を演算する演算手段とを有する第1の変換手段制御手段とを備えた光制御型ビーム形成回路である。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、光波を発生する光波発生手段と、前記光波発生手段からの光波を第1の光波と第2の光波とに分配する光波分配器と、無線信号が入力されて、前記光波分配器で分配された前記第1の光波の周波数または前記第2の光波の周波数を、前記無線信号の周波数だけ変移させる光周波数シフタと、前記光周波数シフタまたは前記光波分配器から出力される第1の光波の位相分布を、所定のアンテナビームパターンに対応する位相分布に変換する第1の変換手段と、前記第1の変換手段で変換された前記第1の光波と前記光波分配器から出力される前記第2の光波とを合成する合成手段と、前記合成手段で合成された光波の干渉強度を空間的にサンプリングする光サンプリング手段と、前記光サンプリング手段でサンプリングされた複数の光波をそれぞれ電気信号に光電変換して各素子アンテナに出力する光電変換手段と、前記第1の変換手段によって変換された前記光波の空間位相分布を検出する空間位相分布検出手段と、前記空間位相分布検出手段によって検出された前記光波の空間位相分布を反映させて前記第1の変換手段が変換する空間位相分布を演算する演算手段とを有する第1の変換手段制御手段とを備えた光制御型ビーム形成回路であるので、アンテナビームの方向、強度分布の制御精度を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面に従って説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明による、実施の形態1に係る光制御型ビーム形成回路の装置構成を示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る光制御型ビーム形成回路は、レーザ光を発生する光波発生手段としてのレーザ光源1と、レーザ光源1からのレーザ光を二つの光路に分岐する光波分配器2と、マイクロ波信号源(図示省略)から無線信号(マイクロ波)が入力されて、光波分配器2により分岐された一方のレーザ光の周波数を当該無線信号の周波数だけ変移(シフト)させる光周波数シフタ3と、光周波数シフタ3からのレーザ光を所定のビーム径に拡大し、空間に放射してレーザビームを形成する第1の拡大光学系4と、第1の拡大光学系4から空間に放射された光波を屈曲させるビームスプリッタ5と、ビームスプリッタ5が屈曲させたレーザビームの空間位相分布を任意に変化させる第1の変換手段としてのSLM(Spatial Light Modulator)6と、前記光波分配器2により2分岐された一方の光波を屈曲させるミラー7と、ミラー7で屈曲されたレーザ光を所定のビーム径に拡大し、空間に放射してレーザビームを形成する第2の拡大光学系8と、SLM6から到来する光波と拡大光学系8より到来する光波とを合波し干渉させる合成手段としてのビームコンバイナ9と、前記ビームコンバイナ9が合波した光波の干渉強度を離散的にサンプリングして、後述の光ファイバアレイ11に結合する光サンプリング手段10と、光サンプリング手段10によりサンプリングされた光強度信号を伝送する複数の光ファイバ12から構成された光ファイバアレイ11と、前記光ファイバアレイ11から伝送された光強度信号を光電変換により電気信号(無線信号)に変換する光電変換手段13と、素子アンテナ14とを備えている。
【0011】
本実施の形態1において、図1で示した1〜14で構成される部位の機能は、SLM6によって光波の位相分布を適当に制御することで、遠方アンテナビームの強度分布を所望の強度分布に可変制御するものであり、詳細な原理は非特許文献1に示されている。相違点は、本実施の形態1においては、人工衛星に搭載する通信用アンテナとしてデザインした事例を示しており、小型軽量のため光電変換後の増幅段を省略している。従って、実用に足るアンテナ出力を満足するために、レーザ光源1に通常よりも高出力のものを用いており、SLM6は高出力対応の構成を用いる。
【0012】
図2はこの発明の本実施の形態1におけるSLM6の構成を示す構成図である。図において、31は複数のマイクロミラー32を集積したマイクロミラーアレイ、33はピエゾアクチュエータ、Aはマイクロミラーの部分拡大図、34はマイクロミラーの反射面、35は板バネ、36は枠である。マイクロミラーアレイ31はシリコン板をエッチングプロセスで加工したものであり、半導体の製造設備で容易に製造可能である。マイクロミラーアレイ32の反射面34は、4本の板バネ35を介して枠36に固定されており、反射面34の裏側に推力を受けると枠36に対して鉛直方向に移動し、推力が減少すると板バネ35の弾性力で逆方向に移動する。反射面31の位置を制御することにより、反射面31に入射したレーザビームの位相をマイクロミラー32毎に任意に変化させることが可能となる。マイクロミラー32に与える推力の制御は、ピエゾアクチュエータ33によって実現される。ピエゾアクチュエータ33は1mm程度の間隔に集積した製品が入手可能である。また、マイクロミラーアレイ31の板バネ35と枠36はレーザビームを反射しないように吸収率の高い鍍金で覆われている。結果としてSLM6に入射し、反射されたレーザビームは前記吸収率の高い領域によって格子上の小口径ビームの束(ビームレット)となって空間を伝播する。このビームレットの間隔は光サンプリング手段10のレンズレットの間隔に一致するようにデザインされている。
【0013】
また、図1に示すように、この発明の実施の形態1に係る光制御型ビーム形成回路には、さらに、第1の変換手段としてのSLM6を制御するための第1の変換手段制御手段としてのSLM制御装置20が設けられている。ピエゾアクチュエータ33の駆動特性は一般にヒステリシスをもつため、位相制御を実現するための絶対精度が不足する。SLM制御装置20は、SLM6が変換する空間位相分布変換量を適正に保つために機能する。図1において、25はSLM6で空間位相分布を変換されたレーザビームを2分岐するビームスプリッタであり、21は位相センサ、22は演算処理手段(SLM1制御演算)、23は所望強度パターン、24は位相パターン演算装置、26は記憶媒体である。尚、SLM制御装置20は、位相センサ21と演算処理手段22とから構成されている。
【0014】
次に、SLM制御装置20の動作を説明する。空間位相分布検出手段としての位相センサ21は、2光波干渉を用いて、SLM6で空間位相分布を変換された光波の空間位相分布を検出する。図3は位相センサ21の構成を示す構成図である。図3に示すように、本実施の形態1においては、位相センサ21には、空間位相分布検出対象である光波51を2分岐する光波2分岐手段としてのビームスプリッタ52と、ビームスプリッタ52で分岐された一方の光波から特定ビームレットを選択する選択手段53と、2つのミラー54,59と、ビームスプリッタ52で分岐され選択手段53を透過した一方の光波を参照波面に変換するスペーシャルフィルタ55と、当該参照波面とビームスプリッタ52で分岐された他方の光波とを合波するビームコンバイナ60と、当該合波から干渉強度分布を検出する2次元検出器としてのCCD(Charged Coupled Device)61と、当該干渉強度分布から空間位相分布を演算する信号処理装置62とが設けられている。スペーシャルフィルタ55は、レンズ56、ピンホール57、及びレンズ58により構成される。レンズ56、及びレンズ58はレンズ間で焦点を結ぶケプラー型テレスコープであり、焦点位置に設置したピンホール57により空間的に安定した成分のみを透過伝播させることにより、入射ビームの空間位相分布に依存せず常に位相の安定した参照光が得られる。
【0015】
このように構成された位相センサ21においては、まず、ビームスプリッタ52で2分岐されて図の上方に進む光波は、選択手段53に入射する。選択手段53はビームレットの1本だけを透過させる遮蔽板である。選択手段53を透過した1本のビームレットは、スペーシャルフィルタ55で略平面の空間位相分布をもつ参照波面に変換される。この参照波面とビームスプリッタ52で2分岐したもう一方の光波とをビームコンバイナ60で合波干渉させ、干渉強度分布をCCD61で検出する。信号処理装置62はこの干渉強度分布から空間位相分布を演算する。
【0016】
位相センサ21の検出した空間位相分布はSLM6の位相変換量を反映している。所望強度パターン23を得るための空間位相分布が如何であるかは、位相パターン演算装置24で演算出力される。位相パターン演算装置24は、簡易的には、あらかじめ制御したい強度パターンのバリエーション全てに対し、対応する空間位相分布を演算しておき、それらのデータを記憶媒体26に記憶しておき、所望強度パターン23の入力に対し、記憶媒体26から、対応する空間位相分布のデータを読み出して出力することで実現される。演算処理手段22には、位相センサ21の出力(すなわち、SLM6が実際に変換している今現在における空間位相分布)と、位相パターン演算装置24の出力(すなわち、所望強度パターン23を実現する空間位相分布)とが、入力される。演算処理手段22では、これらの値に基づいて、位相センサ21によって検出された光波の空間位相分布を反映させて、SLM6の変換する空間位相分布を演算する。具体的には、演算処理手段22では、所望強度パターン23を実現する空間位相分布とSLM6が実際に変換している今現在における空間位相分布との差分を演算し、この差分が0となるようにSLM6に修正信号を出力する。以上述べたようにSLM制御装置20はSLM6に対し、回帰制御を行うように機能する。
【0017】
この発明の本実施の形態1は、以上述べたように、光波を発生するレーザ光源1と、レーザ光源1からの光波を分配する光波分配器2と、分配された光波の一方の周波数を変移させる光周波数シフタ3と、光周波数シフタ3からの第1の光波の位相分布を、所定のアンテナビームパターンに対応した位相分布に変換するSLM6と、SLM6で変換された第1の光波と光波分配器2によって分配された他方の光波である第2の光波とを合成するビームコンバイナ9と、合成された光波の干渉強度を空間的にサンプリングする光サンプリング手段10と、サンプリングされた複数の光波を光電変換して各素子アンテナ14に出力する光電変換手段13とを備え、さらに、SLM6によって変換された光波の空間位相分布を検出する位相センサ21と、位相センサ21の検出結果を反映させてSLM6の空間位相分布を演算する演算処理手段22とを有するSLM制御装置20とを備えるように構成されているので、以下に説明する効果を奏する。
このように、SLM制御装置20を設けたことにより、SLM6に対する回帰制御を行うことが可能となる。従って、SLM6が位相変換誤差を持っていても、その誤差を検出して抑圧するように作用するので、アンテナビームの方向および強度分布の制御精度を向上させることができ、高精度なアンテナビーム形成が可能となる。
【0018】
実施の形態2.
上述のこの発明の実施の形態1では、位相センサ21として2光波干渉方式の装置を使用したが、これに限定されることはなく、空間位相分布を検出できる装置であれば何を用いても良い。たとえば、(本質的にアンテナ制御誤差を生じないピストン位相を除き)最も空間周波数の低い空間位相誤差は波面傾斜であるが、波面傾斜の検出はビームの進行する方位角から簡単に検出することができる。
【0019】
図4は、ビームの波面傾斜の検出のみに特化した位相センサ21Aの構成を示す構成図である。図4においては、図3と同じ構成については同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。図4に示すように、本実施の形態2における位相センサ21Aは、ビームレット51が入射される屈折レンズ70と、屈折レンズ70により集光されたビームレット51の像が結像される焦平面を有する2次元検出器としてのCCD71と、CCD71で検出された検出結果に基づいてSLM6によって変換された光波の空間位相分布を算出する演算処理手段としての信号処理装置72とから構成されている。
【0020】
図4の構成において、ビームレット51を屈折レンズ70で集光すると、焦平面に形成される像は、波面傾斜の方位、大きさに依存して、焦平面上における結像位置が変位する。従って、この結像位置の変化をCCD71で検出し、信号処理装置72で波面傾斜に変換することで、波面傾斜を検出することが可能となる。
【0021】
この発明の実施の形態2における位相センサ21Aは、以上述べたように、ビームレット51が入射される屈折レンズ70と、屈折レンズ70により集光されたビームレット51の像が結像される焦平面を有するCCD71と、CCD71で検出された検出結果が入力される信号処理装置72とから構成されているので、上述の実施の形態1の図3で示した位相センサ21と比較して、構成する部品点数が少なく、低コスト化が可能となる。
【0022】
以上のように、本実施の形態2においては、実施の形態1と同様に、SLM制御装置20を設けたことにより、回帰制御を行うことが可能となり、従って、SLM6が位相変換誤差を持っていても、その誤差を検出して抑圧するように作用するので、アンテナビームの方向および強度分布の制御精度を向上させることができ、高精度なアンテナビーム形成が可能となるという効果が得られるとともに、さらに、位相センサ21Aを少ない部品点数で構成するようにしたので、低コスト化が可能となるという効果が得られる。
【0023】
実施の形態3.
また、位相センサ21として、この発明の実施の形態1のような2光波干渉を用いない簡便な装置構成で、かつ、波面傾斜よりも空間周波数の高い空間位相分布を検出する装置構成も考えられる。図5は、さらなる別の位相センサの構成である位相センサ21Bの構成を示す図である。図5において、図4と同じ構成については、同一符号を付して示し、ここでは説明を省略する。
【0024】
図4と図5の構成の違いは、図5においては、ウェッジガラスプレート73が追加されている点である。ウェッジガラスプレート73は、空間位相分布検出対象である光波51をその光波が所定距離伝播したときの波面と共役な波面に変換する第2の変換手段として機能する。ウェッジガラスプレート73は、高精度に平面研磨されたガラス板で構成されているため、ウェッジガラスプレート73を透過した光波が、裏面で反射し、更に、表面で反射する。このようにしてウェッジガラスプレート73の裏面および表面で反射した光波による2つの像がCCD71の焦平面上に形成される。これら2つの像は、CCD71の焦平面までの伝播光路長がウェッジガラスプレート73の厚さ分だけ異なり、光路長差に依存した異なる強度分布を形成することになる。2次元検出器としてのCCD71では、ウェッジガラスプレート73で変換された光波の強度分布を検出する。なお、このような複数の像強度から、屈折レンズ70に入射する前の空間位相分布を特定する演算アルゴリズムが一般に知られているので、当該演算アルゴリズムを用いて、信号処理装置72はSLM6によって変換された光波の空間位相分布を算出する。すなわち、たとえば、Gerchberg-Saxtonアルゴリズム(例えば、R.W.Gerchberg and W.O.Saxton,"A practical algorithm for the determination of phase from image and diffraction plane picture," Optik,Vol,35,237-246(1972)参照。)として知られるアルゴリズムを適用すれば、信号処理装置72が、ビームレット51の空間位相分布を高い空間周波数まで検出することが可能となる。
【0025】
この発明の実施の形態3は、以上述べたように構成されているので、実施の形態1と同様に、SLM制御装置20を設けたことにより、回帰制御を行うことが可能となり、従って、SLM6が位相変換誤差を持っていても、その誤差を検出して抑圧するように作用するので、アンテナビームの方向および強度分布の制御精度を向上させることができ、高精度なアンテナビーム形成が可能となるという効果が得られるとともに、さらに、位相センサ21Bを少ない部品点数で構成するようにしたので、低コスト化が可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光制御型ビーム形成回路の構成を示した構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る光制御型ビーム形成回路に設けられたSLMの構成を示した構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る光制御型ビーム形成回路に設けられた位相センサの構成を示した構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る光制御型ビーム形成回路に設けられた位相センサの構成を示した構成図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る光制御型ビーム形成回路に設けられた位相センサの構成を示した構成図である。
【符号の説明】
【0027】
1 レーザ光源、2 光波分配器、3 光周波数シフタ、4 第1の拡大光学系、5 ビームスプリッタ、6 SLM、7 ミラー、8 第2の拡大光学系、9 ビームコンバイナ、10 光サンプリング手段、11 光ファイバアレイ、12 光ファイバ、13 光電変換手段、14 素子アンテナ、31 マイクロミラーアレイ、32 マイクロミラー、33 ピエゾアクチュエータ、34 反射面、35 板バネ、36 枠、51 光波、52 ビームスプリッタ、53 選択手段、54,59 ミラー、55 スペーシャルフィルタ、60 ビームコンバイナ、61 CCD、62 信号処理装置、70 屈折レンズ、71 CCD、72 信号処理装置、73 ウェッジガラスプレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光波を発生する光波発生手段と、
前記光波発生手段からの光波を第1の光波と第2の光波とに分配する光波分配器と、
無線信号が入力されて、前記光波分配器で分配された前記第1の光波の周波数または前記第2の光波の周波数を、前記無線信号の周波数だけ変移させる光周波数シフタと、
前記光周波数シフタまたは前記光波分配器から出力される第1の光波の位相分布を、所定のアンテナビームパターンに対応する位相分布に変換する第1の変換手段と、
前記第1の変換手段で変換された前記第1の光波と前記光波分配器から出力される前記第2の光波とを合成する合成手段と、
前記合成手段で合成された光波の干渉強度を空間的にサンプリングする光サンプリング手段と、
前記光サンプリング手段でサンプリングされた複数の光波をそれぞれ電気信号に光電変換して各素子アンテナに出力する光電変換手段と、
前記第1の変換手段によって変換された前記光波の空間位相分布を検出する空間位相分布検出手段と、前記空間位相分布検出手段によって検出された前記光波の空間位相分布を反映させて前記第1の変換手段が変換する空間位相分布を演算する演算手段とを有する第1の変換手段制御手段と
を備えたことを特徴とする光制御型ビーム形成回路。
【請求項2】
前記空間位相分布検出手段は、
検出対象の光波を2分岐する光波2分岐手段と、
前記光波2分岐手段によって2分岐された光波の一方を参照波面に変換するスペーシャルフィルタと、
前記光波2分岐手段により2分岐された光波の他方の光波と前記参照波面とを合波して得られる干渉強度分布を検出する2次元検出器と
から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の光制御型ビーム形成回路。
【請求項3】
前記空間位相分布検出手段は、
検出対象の光波をその光波が所定距離伝播したときの波面と共役な波面に変換する第2の変換手段と、
前記第2の変換手段で変換された光波の強度分布を検出する2次元検出器と
を各々少なくとも1つ備えたことを特徴とする請求項1に記載の光制御型ビーム形成回路。
【請求項4】
前記空間位相分布検出手段は、
前記2次元検出器の出力を元にGerchberg-Saxtonアルゴリズムを用いて前記第1の変換手段によって変換された光波の空間位相分布を算出する演算処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の光制御型ビーム形成回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−118524(P2008−118524A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301562(P2006−301562)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人情報通信研究機構、「移動体向け超高速通信用衛星搭載ビーム形状可変マルチビームアンテナ装置の研究開発」委託契約、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】