説明

光制御板ユニット

【課題】点状光源からの光の均一化と輝度の向上を図ることが可能な光制御板ユニットを提供する。
【解決手段】光制御板ユニット21は、一方向に延在し延在方向に略直交する方向に配置された複数の凸状部33i(i=1,2)が第1の面に有する第1及び第2の光制御板30,302を備える。2枚の光制御板301,302は、各光制御板の凸状部の延在方向に略直交する直交断面において、凸状部の両端をとおる軸線をx軸としたxz座標系で、凸状部の幅をwaとしたとき、凸状部33iの断面形状は、それぞれ独立に-0.475wa≦x≦0.475waにおいて0.95z0(x)≦z(x)≦1.05z0(x)を満たす。z0(x)は次式を満たす。[数1]


(式(1)中、k=1〜8に対する各C2kは所定の定数である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御板ユニット、面光源装置及び透過型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型画像表示装置の一例である直下型画像表示装置40として、例えば図17に示すように、透過型画像表示部50の背面側に光源43が配置されたものが広く用いられている。透過型画像表示部50としては、例えば液晶セル51の両面に直線偏光板52,53が配置された液晶表示パネルが挙げられる。光源43としては、直管型の冷陰極線管などのような線状光源が複数本、互いに平行に配置されて用いられている。
【0003】
かかる直下型画像表示装置40としては、光源43からの光を均一に分散させて透過型画像表示部50を均一に照明できることが望ましく、このため光源43と透過型画像表示部50との間には、光源43側から入射した光を、その向きを変えて反対側の透過型画像表示部50側から出射させる機能を有する一枚の光拡散板といった光制御板42が配置されて用いられている(例えば特許文献1:特開平7−198913号公報参照)。なお、光源43から出力された光は光制御板42により面状の光として出射されるため、光源43と光制御板42とは面光源装置41を構成していることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−198913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、直管型冷陰極線管に代えて、省エネルギーの観点から、発光ダイオードを光源として用いることが検討されている。発光ダイオードは通常、点状光源であり、これを離散的に配置して用いられる。
【0006】
しかし、従来の面光源装置が有する光制御板は、発光ダイオードのような点状光源と組み合わせて直下型画像表示装置に用いると、点状光源からの光を十分に均一なものとすることができず、透過型画像表示部によって表示される画像は、点状光源の近傍と、点状光源から離れた位置とで明るさが異なるものになるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、点状光源からの光の均一化を図ると共に輝度の向上を図ることが可能な光制御板ユニット、面光源装置及び透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光制御板ユニットは、互いに対向する第1の面及び第2の面を各々が有する第1及び第2の光制御板であって、一方向に延在する複数の凸状部が第1の面に形成されており、複数の凸状部が当該凸状部の延在方向に略直交する方向に並列配置されている第1及び第2の光制御板と、一方向に延在する複数のプリズム部が片面に形成されており、複数のプリズム部が当該プリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されている第1及び第2のプリズム板と、を備え、第1及び第2の光制御板の少なくとも一方の第2の面は粗面であり、第1及び第2の光制御板並びに第1及び第2のプリズム板は、第1又は第2の光制御板を最下段として板厚方向に重ね合わせられており、第1の光制御板が有する凸状部の延在方向と第2の光制御板が有する凸状部の延在方向とは略直交し、第1のプリズム板が有するプリズム部の延在方向と第2のプリズム板が有するプリズム部の延在方向とは略直交し、第1及び第2の光制御板の各々が有する凸状部の延在方向に略直交する直交断面において、当該凸状部の両端をとおる軸線をx軸とし、x軸上において両端の中心をとおりx軸に直交する軸線をz軸とし、当該凸状部のx軸方向の長さをwとしたとき、第1の光制御板が有する凸状部の断面形状及び第2の光制御板が有する凸状部の断面形状は、それぞれ独立に、−0.475×w≦x≦0.475×wにおいて式(1)を満たすz(x)で表される。
【0009】
【数1】


ただし、式(1)において、z(x)は式(2)で示される。
【数2】


式(2)中、
=0.762469824257553、C=0.298075662262927、C=−0.559629338153661、C=0.896468280253265、C10=−0.657164166213715、C12=−0.615726418495985、C14=1.245151353938560及びC16=−0.520559083769482であるか、
=0.828034790338647、C=0.322164108625275、C=−0.683409388408353、C=1.221645232748140、C10=−1.204381259337210、C12=−0.140913871787724、C14=1.033110858219420、C16=−0.475388345540708であるか、または、
=0.908743053413473、C=0.412136074245729、C=−1.052244441109330、C=1.939746214284020、C10=−2.013300115231620、C12=0.074678489261357、C14=1.376932293623570、C16=−0.680081068815946である。
【0010】
この構成では、第1及び第2の光制御板の各々が有する凸状部の延在方向が略直交し、第1及び第2のプリズム板の各々が有するプリズム部の延在方向が略直交するように設けられている。そして、第1及び第2の光制御板の第1の面には、各々の凸状部が上記z(x)で表される輪郭形状を有する。さらに、第1及び第2の光制御板の少なくとも一方の第2の面は粗面である。そのため、点状光源からの光の均一化を図ると共に輝度の向上を図ることができる。
【0011】
本発明に係る光制御板ユニットでは、粗面を、表面粗さとしてISO4287:1997で規定される最大高さが5μm以上の面とすることができる。
【0012】
本発明に係る光制御板ユニットでは、粗面を、表面粗さとしてISO4287:1997で規定される算術平均粗さが2μm以上の面とすることができる。
【0013】
本発明に係る光制御板ユニットは、第1及び第2の光制御板の間に第1及び第2のプリズム板の一方が配置されており、第1及び第2の光制御板の間に配置された当該プリズム板が有するプリズム部の延在方向と、最下段の光制御板が有する凸状部の延在方向とは略平行とすることができる。
【0014】
本発明に係る面光源装置は、本発明に係る光制御板ユニットと、光制御板ユニットに光を供給する複数の点状光源と、を備える。この面光源装置では、複数の点状光源は、互いに離間していると共に、光制御板ユニットの背面側に配置されている。
【0015】
本発明に係る面光源装置は、本発明に係る光制御板ユニットを有しているので、点状光源からの光の均一化と輝度の向上とをより図ることができる。
【0016】
上記点状光源は、以下の第1の配光特性又は第2の配光特性を有する点状光源とすることができる。
第1の配光特性:光の出射角度が70°以上80°以下の範囲に最大出射光強度Imaxを有する配光特性であって、出射角度が0°の場合の出射光強度Iが、
0.12×Imax≦I≦0.20×Imax
を満し、出射光強度が(I+Imax)/2となる出射角度が60°以上70°以下であり、及び、出射光強度が(I+Imax)/4となる出射角度が47.5°以上57.5°以下である配光特性。
第2の配光特性:光の出射角度が65°以上75°以下の範囲に最大出射光強度Imaxを有する配光特性であって、出射角度が0°の場合の出射光強度Iが、
0.22×Imax≦I≦0.30×Imax
を満し、出射光強度が(I+Imax)/2となる出射角度が45°以上55°以下であり、及び、出射光強度が(I+Imax)/4となる出射角度が20°以上30°以下である配光特性。
【0017】
本発明に係る透過型画像表示装置は、本発明に係る面光源装置と、面光源装置から出力される光が照射される透過型画像表示部と、を備える。
【0018】
本発明に係る透過型画像表示装置は、本発明に係る面光源装置を有しているので、点状光源からの光の均一化と輝度の向上とをより図ることができる。そして、均一化された光と輝度が向上された光とで透過型画像表示部を照明するので、より高品質な画像を表示することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光制御板ユニット、面光源装置及び透過型画像表示装置によれば、点状光源からの光の均一化を図ることが可能となると共に、輝度の向上も図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】点状光源の配置の一例を示す図面である。
【図3】点状光源の配置の他の例を示す図面である。
【図4】図1に示した透過型画像表示装置に用いられる点状光源の配光分布の一例を示す図面である。
【図5】図1に示した透過型画像表示装置に用いられる点状光源の配光分布の他の例を示す図面である。
【図6】図1に示した光制御板ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6に示した光制御板ユニットの第1及び第2の光制御板が有する凸状部の断面形状の例を示す図面である。
【図8】(a)図6に示した第1及び第2の光制御板の凸状部の断面形状を示すz(x)を規定する係数の一例を示す図表である。(b)図6に示した第1及び第2の光制御板の凸状部の断面形状を示すz(x)を規定する係数の他の例を示す図表である。(c)図6に示した第1及び第2の光制御板の凸状部の断面形状を示すz(x)を規定する係数の更に他の例を示す図表である。
【図9】第1及び第2の光制御板が有する凸状部の断面形状が満たす条件を示す図面である。
【図10】図6に示した光制御板ユニットの第1及び第2の光制御板が有する凸状部の断面形状の他の例を示す図面である。
【図11】図6に示した光制御板ユニットの第1及び第2の光制御板が有する凸状部の断面形状の更に例を示す図面である。
【図12】図6に示した光制御板ユニットの第3及び第4の光制御板が有する凸状部の断面形状を説明するための図面である。
【図13】光制御板ユニットの他の実施形態を示す斜視図である。
【図14】光制御板ユニットの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【図15】樹脂シートを製造する製造装置の概略構成図である。
【図16】本実験例で用意した光制御板A〜Dの製造条件及び各層における表面の特性を示した図表である。
【図17】従来の透過型画像表示装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、説明中「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示された状態に基づいた便宜的な語である。
【0022】
図1は、本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。図1は、透過型画像表示装置1を分解して示している。
【0023】
透過型画像表示装置1は、透過型画像表示部10と、図1において透過型画像表示部10の背面側に配置された面光源装置20とを備えている。以下の説明では、図1に示すように、面光源装置20と透過型画像表示部10の配列方向をZ方向(板厚方向)と称し、Z方向に直交しており互いに直交する2方向をX方向及びY方向と称す。
【0024】
透過型画像表示部10としては、例えば液晶セル11の両面に直線偏光板12,13が配置された液晶表示パネルが挙げられる。この場合、透過型画像表示装置1は液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。液晶セル11,偏光板12,13は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置1で用いられているものを用いることができる。液晶セル11としてはTFT型液晶セル、STN型液晶セル等の公知の液晶セルが例示される。
【0025】
面光源装置20は、いわゆる直下型の面光源装置である。面光源装置20は、光制御板ユニット21と、図1においてその背面側(図1中、下側)に配置された複数の点状光源22と、を含む。光制御板ユニット21は、複数の光制御板を含む複合光制御板である。このように、光制御板ユニット21は、複数の光制御板を含むが、図1では、模式的に示している。
【0026】
図2は、複数の点状光源の配置関係の一例を示す図面である。図2に示すように、複数の点状光源22は、X方向に等間隔Lx及びY方向に等間隔Lyで配置することができる。図2では、一例として、X方向の間隔LxがY方向の間隔Lyより大きいとしているが、間隔Lyの方が間隔Lxより大きくてもよいし、間隔Lx及び間隔Lyが同じでもよい。間隔Lx及び間隔Lyは、点状光源22の発光部間の距離とすることができ、通常10mm〜150mmである。
【0027】
また、複数の点状光源22は、図3に示した千鳥格子状に配置されていてもよい。図3は図2の場合の変形とみなすことができるので、点状光源22間のX方向及びY方向の間隔は、図2の場合と同様とすることができる。具体的に説明する。
【0028】
図2に示した長方形格子は、X方向に配置された複数の点状光源22からなる点状光源列が、Y方向に複数並列されたものとみなすことができる。この場合、図3の千鳥格子状の配置は、Y方向に配列された複数の点状光源列のうち隣接する点状光源列をX方向に半周期ずらして配置しているものとなる。よって、図3に示した配置においても、Y方向の間隔Lyは、図2に示した場合と同様、すなわち、Y方向に並列された上記点状光源列の間の間隔とすることができる。図3では、一例として、Y方向に並列された上記点状光源列のうち隣接する点状光源列がX方向に半周期ずれているとしたが、上記説明においてX方向及びY方向が反対であってもよい。
【0029】
点状光源22は、いわゆるサイドエミッティング型の光源である。点状光源22の例は、発光ダイオードである。点状光源22は、図4に例示する第1の配光特性又は図5に例示する第2の配光特性を有するものとすることができる。図4及び図5は、面光源装置が有する点状光源の配光分布の一例をそれぞれ示す図面である。図4及び図5の横軸は出射角度θ(°)(図1参照)を示しており、縦軸は、最大の出射光強度で規格化した規格化出射光強度を示している。本実施形態において、θ=0は、図1におけるZ方向に対応する。
【0030】
図4に例示する第1の配光特性は次の条件を満たす。
・出射光強度が最大である最大出射光強度Imaxの出射角度θ(以下、ピーク角度θと称す)が70°以上80°以下の範囲内にある。
・正面方向(出射角度θが0°方向)からピーク角度θまで出射光強度が略単調増加している。
・正面方向の出射光強度をIとしたとき、Iは、
0.12×Imax≦I≦0.20×Imax
を満たす。
・出射光強度が(Imax+I)/2となる出射角度θが、60°以上70°以下の範囲にある。
・出射光強度が(Imax+I)/4となる出射角度θが47.5°以上57.5°以下の範囲にある。
【0031】
図4に例示した配光特性では、縦軸が規格化出射光強度であることから、Imax=1.00000であり、対応する出射角度θは76.8°である。Iは0.140である。この場合、(Imax+I)/2=0.570であり、対応する出射角度θは66.5°である。また、(Imax+I)/4=0.285であり、対応する出射角度θは52.5°である。よって、図4に示した点状光源22の配光特性は、上述した条件を満たしている。
【0032】
また、図5に例示する第2の配光特性は、次の条件を満たす。
・ピーク角度θが65°以上75°以下の範囲内にある。
・正面方向(出射角度θが0°方向)からピーク角度θまで出射光強度が略単調増加している。
・正面方向の出射光強度Iは、
0.22×Imax≦I≦0.30×Imax
を満たす。
・出射光強度が(Imax+I)/2となる出射角度θが、45°以上55°以下の範囲にある。
・出射光強度が(Imax+I)/4となる出射角度θが20°以上30°以下の範囲にある。
【0033】
図5に例示した配光特性では、縦軸が規格化出射光強度であることから、Imax=1.00000であり、対応する出射角度θは約70°である。Iは0.265である。この場合、(Imax+I)/2=0.634であり、対応する出射角度θは約49°である。また、(Imax+I)/4=0.317であり、対応する出射角度θは約25°である。よって、図5に示した点状光源22の配光特性は、上述した条件を満たしている。
【0034】
次に、光制御板ユニット21について説明する。光制御板ユニット21は、4枚の第1の光制御板30、第2の光制御板30、第3の光制御板(第1のプリズム板)30及び第4の光制御板(第2のプリズム板)30を備えている。
【0035】
第1〜第4の光制御板30〜30の平面視形状(Z方向からみた形状)はほぼ同一であり、通常、長方形である。第1〜第4の光制御板30〜30の平面視形状、換言すれば、光制御板ユニット21の平面視形状のサイズは、目的とする透過型画像表示装置1の画面サイズに適合するように選択されるが、通常は250mm×440mm以上、好ましくは1020mm×1800mm以下である。第1〜第4の光制御板30〜30の平面視形状は、長方形に限らず、正方形としてもよいが、以下では、特に断らない限り、長方形として説明する。
【0036】
第1〜第4の光制御板30〜30を有する光制御板ユニット21は、第1〜第4の光制御板30〜30の配置の順番において、3つの実施形態を有する。以下、光制御板ユニット21の第1〜第3の実施形態について説明する。第1〜第3の実施形態における光制御板ユニット21をそれぞれ光制御板ユニット21A、光制御板ユニット21B及び光制御板ユニット21Cと称す。
【0037】
(光制御板ユニット21A)
図6は、光制御板ユニットの一実施形態の構成を示すための斜視図である。光制御板ユニット21Aを示した図6を参照して、光制御板ユニット21A〜21Cに共通する第1〜第4の光制御板30,30,30,30について説明する。図6では、説明のために、第1〜第4の光制御板30〜30を離して配置しているが、後述するように、第1の光制御板30上に第2〜第4の光制御板30〜30が互いに隣接するように設けられてもよい。
【0038】
[第1の光制御板]
第1の光制御板30は、後述する表面粗さの粗面に形成された下面(第1の光制御板の第2の面)31と、第2の光制御板30側に凸である凸状部(第1の光制御板の凸状部)33が複数形成された上面(第1の光制御板の第1の面)32とを有する板状体である。
【0039】
第1の光制御板30は、例えば凸状部33からの光の出射位置の違いにより光を分散させる光拡散板である。また、第1の光制御板30は、凸状部33からの光の出射位置により光の出射方向を偏向しているので、光の偏向を調整する形状が付与された偏向構造板ともいえる。ここでは、「板」と称しているが、厚さに応じてシート状及びフィルム状であってもよい。
【0040】
凸状部33は、Y方向に略平行なY1方向(延在方向)に延びており、Y1方向に略直交するX1方向に並列配置されている。X1方向及びY1方向はそれぞれX方向及びY方向に平行であることが好ましいが、例えば製造誤差等により±10°程度ずれていてもよい。複数の凸状部33の断面形状は、凸状部33間でほぼ同一である。また、凸状部33の延在方向において、断面形状はほぼ均一である。隣接する2つの凸状部33,33の端33aはX1方向において同じ位置にある。第1の光制御板30の厚さdは、下面31と凸状部33の頂部33bとのZ方向の距離であり、通常は0.1mm〜5mmである。
【0041】
[第2の光制御板]
第2の光制御板30は、後述する表面粗さの粗面に形成された下面(第2の光制御板の第2の面)31と、第3の光制御板30側に凸である凸状部(第2の光制御板の凸状部)33が複数形成された上面(第2の光制御板の第1の面)32とを有する板状体である。第2の光制御板30は、第1の光制御板30と同様に光拡散板であり、偏向構造板ともいえる。ここでは、「板」と称しているが、厚さに応じてシート状及びフィルム状であってもよい。
【0042】
凸状部33は、X方向に略平行なX2方向(延在方向)に延びており、X2方向に略直交するY2方向に並列配置されている。X2方向及びY2方向はそれぞれX方向及びY方向に平行であることが好ましいが、第1の光制御板30の場合と同様に、例えば製造誤差等により±10°程度ずれていてもよい。複数の凸状部33の断面形状は、凸状部33間でほぼ同一である。また、凸状部33の延在方向において、断面形状はほぼ均一である。隣接する2つの凸状部33,33の端33a,33aはY2方向において同じ位置にある。第2の光制御板30の厚さdは、下面31と凸状部33の頂部33bとのZ方向の距離であり、通常は0.1mm〜5mmである。
【0043】
[第3の光制御板]
第3の光制御板(第1のプリズム板)30は、略平坦な下面31と、第4の光制御板30側に凸である凸状部(プリズム部)33が複数形成された上面32とを有する板状体である。凸状部33は、断面が三角形状のプリズム部であり、第3の光制御板30はいわゆるプリズム板である。ここでは、「板」と称しているが、厚さに応じてシート状及びフィルム状であってもよい。また、下面31は、略平坦としているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で僅かに凹凸があってもよい。
【0044】
凸状部33は、Y方向に略平行なY3方向(延在方向)に延びており、Y3方向に略直交するX3方向に並列配置されている。X3方向及びY3方向はそれぞれX方向及びY方向に平行であることが好ましいが、第1の光制御板30の場合と同様に、例えば製造誤差等により±10°程度ずれていてもよい。複数の凸状部33の断面形状は、凸状部33間でほぼ同一である。また、凸状部33の延在方向において、断面形状はほぼ均一である。隣接する2つの凸状部33,33の端33a,33aはX3方向において同じ位置にある。第3の光制御板30の厚さdは、下面31と凸状部33の頂部33bとのZ方向の距離であり、通常は0.1mm〜5mmである。
【0045】
[第4の光制御板]
第4の光制御板(第2のプリズム板)30は、略平坦な下面31と、外側に凸である凸状部(プリズム部)33が複数形成された上面32とを有する板状体である。凸状部33は、断面が三角形状のプリズム部である。第4の光制御板30は、第3の光制御板30と同様にいわゆるプリズム板である。ここでは「板」と称しているが、厚さに応じてシート状及びフィルム状であってもよい。また、下面31は、略平坦としているが、第3の光制御板30と同様に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で僅かに凹凸があってもよい。
【0046】
凸状部33は、X方向に略平行なX4方向(延在方向)に延びており、X4方向に略直交するY4方向に並列配置されている。X4方向及びY4方向はそれぞれX方向及びY方向に平行であることが好ましいが、第1の光制御板30の場合と同様に、例えば製造誤差等により±10°程度ずれていてもよい。複数の凸状部33の断面形状は、凸状部33間でほぼ同一である。また、凸状部33の延在方向において、断面形状はほぼ均一である。隣接する2つの凸状部33,33の端33a,33aはY4方向において同じ位置にある。第4の光制御板30の厚さdは、下面31と凸状部33の頂部33bとのZ方向の距離であり、通常は0.1mm〜5mmである。
【0047】
[第1及び第2の光制御板の凸状部]
第1及び第2の光制御板30,30の各々が有する凸状部33,33の形状について説明する。ここでは、凸状部33,33を、特に断らない限り凸状部33(iは1又は2)と称して説明する。図7では、凸状部33の延在方向に直交する方向をx軸としてxz座標系を設定している。凸状部33及び凸状部33に対応するx軸方向は、それぞれX1方向及びY2方向である。また、凸状部33及び凸状部33に対応するz軸方向は何れもZ方向である。
【0048】
このxz座標系のxz面において、凸状部33の両端33a,33aはx軸上に位置し、凸状部33の断面での輪郭形状(断面形状)は、式(3)を満たすz(x)で表される。
【数3】


ただし、式(3)において、z(x)は、
【数4】


を満たす。
【0049】
式(4)中、wは凸状部33のx軸方向の長さである。また、式(4)においてk=1〜8の各々に対するC,C,C,C,C10,C12,C14及びC16の組み合わせは、図8(a)、図8(b)及び図8(c)にそれぞれ示す図表の何れかとすることができる。
【0050】
図7では、図8(a)に示したC,C,C,C,C10,C12,C14及びC16の組み合わせに対応するz(x)を示している。図7に示した凸状部33の断面形状は、式(3)を満たす範囲内でz(x)をZ方向に所定倍(例えば1倍)だけ伸縮した形状を例示している。この場合、凸状部33はz軸に対して対称な断面形状を有する。
【0051】
凸状部33の断面形状は、z(x)をZ方向に所定倍(例えば1倍)だけ伸縮した形状に限定されず、式(3)を満たしていればよい。式(3)においてz(x)は、図9に示すように、ある幅wに対してz(x)を決定した際に、0.95×z(x)で表される輪郭線と、1.05×z(x)で表される輪郭線の間の領域をとおる輪郭線で表される断面形状であればよい。換言すれば、式(3)において、任意の位置xに対するz(x)は、位置xにおける凸状部33の高さに対応する。よって、任意の位置xに対するz(x)が、0.95z(x)以上1.05z(x)を満たしていればよい。
【0052】
前述したように式(4)のk=1〜8の各々に対するC,C,C,C,C10,C12,C14及びC16の組み合わせは、図8(a)に示したものに限定されず、図8(b)及び図8(c)に示したものとすることができる。
【0053】
図10は、図8(b)に示したC〜C16の組み合わせに対するz(x)の一例を示す図面である。図10では、z(x)が満たす条件を示すために、図9と同様に、0.95×z(x)で表される輪郭線と、1.05×z(x)で表される輪郭線も一点鎖線で示している。図8(b)に示したC〜C16の組み合わせに基づく輪郭線も、0.95×z(x)で表される輪郭線と、1.05×z(x)で表される輪郭線の間の領域をとおる輪郭線で表される断面形状であればよい。
【0054】
図11は、図8(c)に示したC〜C16の組み合わせに対するz(x)の一例を示す図面である。図11では、z(x)が満たす条件を示すために、図9と同様に、0.95×z(x)で表される輪郭線と、1.05×z(x)で表される輪郭線も一点鎖線で示している。図8(c)に示したC〜C16の組み合わせに基づく輪郭線も、0.95×z(x)で表される輪郭線と、1.05×z(x)で表される輪郭線の間の領域をとおる輪郭線で表される断面形状であればよい。
【0055】
凸状部33の幅wとしては、凸状部33の形成が容易であることから、通常40μm以上、好ましくは80μm以上であり、凸状部33に起因する模様が肉眼で視認されにくいことから、通常800μm以下、好ましくは450μm以下である。幅wとして具体的には、410μm、400μm、325μm、280μm及び100μmが例示できる。ただし、wの値はこれに限定されない。
【0056】
上記説明では、凸状部33の断面形状が式(3)を満たすz(x)で表されるとした。ただし、凸状部33の断面形状は、−0.475×w≦x≦0.475×wにおいて式(3)を満たすz(x)で表されていればよい。凸状部33の裾付近(端部近傍)では成形誤差が比較的大きくなる傾向にある一方、裾付近の形状が光の拡散性に与える影響は小さいからである。
【0057】
また、凸状部33及び凸状部33の断面形状は、同じであってもよいが、それぞれ独立に、式(3)を満たすz(x)で表される形状であればよい。
【0058】
[第3及び第4の光制御板の凸状部]
第3及び第4の光制御板30,30が有する凸状部33,33の断面形状について説明する。ここでは、凸状部33,33を、特に断らない限り凸状部33(jは3又は4)と称して説明する。図12は、凸状部33の形状を説明するための図面であり、凸状部33の延在方向からみた場合の側面を示す図面である。凸状部33は、延在方向に略均一な形状であるため、図12に示すように、延在方向から見た側面形状は、凸状部33の延在方向に略直交する断面形状に対応する。
【0059】
凸状部33の側面形状(或いは、断面形状)は、頂角αが略直角である略直角三角形であり、頂角を構成する二辺の長さがほぼ等しい略直角二等辺三角形であることが好ましい。頂角αは90°が好ましいが、80°〜100°の範囲であればよい。隣接する2つの凸状部33,33のピッチPは、10μm〜1000μmが例示でき、好ましくは、20μm〜500μm、更に好ましくは、40μm〜250μmである。凸状部33の幅は、凸状部33のピッチPが上記範囲の所定の値になるように設定すればよい。
【0060】
[第1及び第2の光制御板の下面の表面粗さ]
第1及び第2の光制御板30,30の少なくとも一方の下面(第2の面)31,31は、粗面加工が施された粗面である。本実施形態では、第1及び第2の光制御板30,30の下面31,31は、エンボス加工が施された粗面である。下面31,31の表面粗さの例は、ISO4287:1997で規定される最大高さRzで表した場合、5μm以上である。表面粗さをISO4287:1997で規定される算術平均粗さRaで表した場合、下面31,31は、Raが2μm以上の面とすることができる。また、下面31,31の表面粗さを上記最大高さRz及び上記算術平均粗さRaの両方で表した場合、下面31,31は、上記最大高さRzが5μm以上、かつ上記算術平均粗さRaが2μm以上の面とすることができる。
【0061】
また、第1及び第2の光制御板30,30の下面31,31は、上記最大高さRzが5μm以上25μm未満の粗面であることが好ましく、さらに好ましくは、上記最大高さRzが25μm以上200μm未満である。上記最大高さRzが5μm以上25μm未満の粗面の例は、Rzが10μm以上20μm未満の粗面である。
【0062】
また、第1及び第2の光制御板30,30の下面31,31は、上記算術平均粗さRaは2μm以上10μm未満の粗面であることが好ましく、さらに好ましくは、上記算術平均粗さRaが10μm以上100μm未満である。
【0063】
また、上記粗面を得るための粗面加工の例は、エンボス加工に限定されない。例えばブラスト加工等を施すことによっても粗面が形成され得る。また、例えば、マット化剤と呼ばれる微細な粒子を含むスキン層で第1及び第2の光制御板30,30の下面31,31を構成することによって粗面が形成され得る。あるいは、マット化剤及びバインダーを含む塗布液を塗布することによりマット層を構成することによって上記粗面が形成されてもよい。
【0064】
[第1〜第4の光制御板の層構成]
第1〜第4の光制御板30〜30は、単独の透明材料で構成された単層板であってもよいし、互いに異なる透明材料で構成された層が積層された多層構造の多層板であってもよい。第1〜第4の光制御板30〜30が多層板である場合、第1〜第4の光制御板30〜30の片面または両面は、通常10μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μmの厚みのスキン層が形成された構造とし、このスキン層を構成する透明樹脂材料として紫外線吸収剤が添加されたものを用いることが好ましい。かかる構成とすることにより、点状光源22や外部からの光に含まれることのある紫外線による第1〜第4の光制御板30〜30の劣化を防止することができ、特に点状光源22として紫外線の占める割合が比較的大きいものを用いた場合には、紫外線による劣化を防止できることから、下面31〜31にスキン層が形成されていることが好ましく、このとき上面32〜32にはスキン層が形成されていないことが、コストの面でさらに好ましい。スキン層を構成する透明樹脂材料として紫外線吸収剤が添加されたものを用いる場合、その含有量は、透明樹脂材料を基準として通常0.5質量%〜5質量%、好ましくは1質量%〜2.5質量%である。
【0065】
第1〜第4の光制御板30〜30は、片面または両面に帯電防止剤が塗布されていてもよい。帯電防止剤を塗布することにより、静電気によるホコリの付着などを防止して、ホコリの付着による光線透過率の低下を防止することができる。
【0066】
[構成材料]
第1〜第4の光制御板30〜30は透明材料からなる。透明材料の屈折率は、通常1.46〜1.62である。透明材料としては、透明樹脂材料、透明ガラス材料が例示でき、透明樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂(屈折率:1.59)、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、ポリスチレン樹脂(屈折率:1.59)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)(屈折率:1.56〜1.59)、アクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率:1.46〜1.58)などが例示され、コストの面及び吸湿率が低い点で、好ましくはポリスチレン樹脂である。
【0067】
透明材料として透明樹脂材料を用いる場合、この透明樹脂材料に紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、加工安定剤、難燃剤、滑剤などの添加剤を添加することもできる。これらの添加剤はそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン計紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤である。
【0069】
透明樹脂材料は通常、添加剤として光拡散剤を添加することなく用いられるが、本発明の目的を損なわない僅かな量であれば、光拡散剤を添加して用いてもよい。
【0070】
光拡散剤として通常は、第1〜第4の光制御板30〜30を主に構成する上述したような透明材料とは屈折率が異なる粉末が用いられ、これを透明材料中に分散させて用いられる。かかる光拡散剤としては、例えばスチレン樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子などの有機粒子、炭酸カリウム粒子、シリカ粒子、シリコーン樹脂粒子などの無機粒子が用いられ、その粒子径は通常0.8μm〜50μmである。
【0071】
[第1〜第4の光制御板の製造方法]
第1〜第4の光制御板30〜30は、例えば透明材料から構成される板材を削り出す方法により製造することができる。また、透明材料として透明樹脂材料を用いる場合は、例えば射出成形法、押出成形法、フォトポリマー法、プレス成形法などの通常の方法により製造することができる。
【0072】
[第1〜第4の光制御板の配置関係]
第1〜第4の光制御板30〜30は、Z方向に以下の条件を満たして設けられている。
(i)第1〜第4の光制御板30〜30のうち、最下段には、第1又は第2の光制御板30,30が位置し、最上段には、プリズム板としての第3又は第4の光制御板30,30が位置する。
(ii)第1〜第4の光制御板30〜30は板厚方向(Z方向)に重ね合わせて設けられており、隣接する2つの光制御板のうち下側の光制御板の上面(凸状部が形成されている面)と、上側の光制御板の下面とが対向するように配置されている。
(iii)第1の光制御板30の凸状部33の延在方向(Y1方向)と、第2の光制御板30の凸状部33の延在方向(X2方向)とが略直交している。
(iv)第3の光制御板30の凸状部33の延在方向(Y3方向)と、第4の光制御板30の凸状部33の延在方向(X4方向)とが略直交している。
(v)第1及び第2の光制御板30,30の一方の凸状部33,33の延在方向と、第3及び第4の光制御板30,30の一方の凸状部33,33の延在方向とは略平行になっている。
【0073】
上記「略直交」は、2つ方向の間の角度が、80°〜100°の範囲を満たす意味であり、好ましくは、略直交する2つの方向の角度は90°である。また、「平行」についても、2つの方向が一致していることが好ましいが、2つの方向が±10°程度ずれていてもよい。
【0074】
図6に示した光制御板ユニット21Aでは、最下段に第1の光制御板30が位置しており、最上段にプリズム板としての第4の光制御板30が位置している。第1〜第4の光制御板30〜30が板厚方向(Z方向)に順に設けられており、隣接する2つの光制御板30〜30のうち下側の光制御板30〜30の上面31〜31と、上側の光制御板30〜30の下面32〜32とが対向するように配置されている。凸状部33の延在方向と、凸状部33の延在方向とは略直交している。また、凸状部33の延在方向と、凸状部33の延在方向とは略直交している。更に、第1の光制御板30(又は第2の光制御板30)の凸状部33(又は凸状部33)の延在方向と、第3の光制御板30(又は第4の光制御板30)の凸状部33(又は凸状部33)の延在方向とは略平行になっている。よって、第1〜第4の光制御板30〜30の配置は、上記配置条件(i)〜(v)を満たしている。
【0075】
光制御板ユニット21Aにおいて、第1及び第2の光制御板30,30の間の距離d12は、凸状部33の頂部33bと下面31との間のZ方向の距離である。同様に、第2及び第3の光制御板30,30の間の距離d23は、凸状部33の頂部33bと下面31との間のZ方向の距離である。また、第3及び第4の光制御板30,30の間の距離d34は、凸状部33の頂部33bと下面31との間のZ方向の距離である。d12、d23及びd34は、例えば5mm以下である。
【0076】
(光制御板ユニット21B)
図13は、光制御板ユニットの他の実施形態の概略構成を示す斜視図である。光制御板ユニット21Bが有する第1〜第4の光制御板30,30,30,30の構成は、第1の実施形態の第1〜第4の光制御板30〜30の構成と同じである。光制御板ユニット21Bは、第1〜第4の光制御板30〜30の配置の順番において、光制御板ユニット21Aと相違する。この相違点を中心にして説明する。
【0077】
光制御板ユニット21Bでは、第1〜第4の光制御板30〜30のうち、最下段に、第1の光制御板30が位置し、最上段に、プリズム板としての第4の光制御板30が位置する。また、第1〜第4の光制御板30〜30は、光源22側から第1の光制御板30、第3の光制御板30、第2の光制御板30及び第4の光制御板30の順に板厚方向(Z方向)に設けられている。光制御板ユニット21Bにおいても、第1の光制御板30の凸状部33の延在方向と第2の光制御板30の凸状部33の延在方向とは略直交している。また、第3の光制御板30の凸状部33の延在方向と第4の光制御板30の凸状部33の延在方向とは略直交している。更に、第1の光制御板30(又は第2の光制御板30)の凸状部33(又は凸状部33)の延在方向と、第3の光制御板30(又は第4の光制御板30)の凸状部33(又は凸状部33)の延在方向とは略平行になっている。よって、光制御板ユニット21Bが有する第1〜第4の光制御板30〜30の配置は、上記配置条件(i)〜(v)を満たしている。
【0078】
光制御板ユニット21Bにおいて、第1及び第3の光制御板30,30の間の距離d13は、第1の光制御板30の凸状部33の頂部33bと第3の光制御板30の下面31との間のZ方向の距離である。同様に、第3及び第2の光制御板30,30の間の距離d32は、第3の光制御板30の凸状部33の頂部33bと第2の光制御板30の下面31との間のZ方向の距離である。また、第2及び第4の光制御板30,30の間の距離d24は、第2の光制御板30の凸状部33の頂部33bと第4の光制御板30の下面31との間のZ方向の距離である。d13、d32及びd24は、例えば、5mm以下である。
【0079】
(光制御板ユニット21C)
図14は、光制御板ユニットの更に他の実施形態の概略構成を示す斜視図である。光制御板ユニット21Cが有する第1〜第4の光制御板30,30,30,30の構成は、第1の実施形態の第1〜第4の光制御板30〜30の構成と同じである。光制御板ユニット21Cは、第1〜第4の光制御板30〜30の配置の順番において、光制御板ユニット21Aと相違する。この相違点を中心にして説明する。
【0080】
光制御板ユニット21Cでは、第1〜第4の光制御板30〜30のうち、最下段に、第1の光制御板30が位置し、最上段に、プリズム板としての第3の光制御板30が位置する。また、第1〜第4の光制御板30〜30は、光源22側から第1の光制御板30、第2の光制御板30、第4の光制御板30及び第3の光制御板30の順に板厚方向(Z方向)に設けられている。光制御板ユニット21Cにおいても、第1の光制御板30の凸状部33の延在方向と第2の光制御板30の凸状部33の延在方向とは略直交している。また、第3の光制御板30の凸状部33の延在方向と第4の光制御板30の凸状部33の延在方向とは略直交している。更に、第1の光制御板30(又は第2の光制御板30)の凸状部33(又は凸状部33)の延在方向と、第3の光制御板30(又は第4の光制御板30)の凸状部33(又は凸状部33)の延在方向とは略平行になっている。よって、光制御板ユニット21Cが有する第1〜第4の光制御板30〜30の配置は、上記配置条件(i)〜(v)を満たしている。なお、光制御板ユニット21Cの配置は、第1の実施形態の配置において、第3及び第4の光制御板30,30を板厚方向に直交する面内で90°回転させたものに対応する。
【0081】
また、光制御板ユニット21Cにおいて、第2及び第4の光制御板30,30の間の距離d24は、第2の光制御板30の凸状部33の頂部33bと第4の光制御板30の下面31との間のZ方向の距離であり、5mm以下が例示できる。第4及び第3の光制御板30,30の間の距離d43は、第4の光制御板30の凸状部33の頂部33bと第3の光制御板30の下面31との間のZ方向の距離であり、5mm以下が例示できる。第1及び第2の光制御板30,30の間の距離d12は、第1の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
光制御板ユニット21の複数の実施形態の例として、3つの光制御板ユニット21A〜21Cを例示したが、光制御板ユニット21をコンパクトなものとする観点から、隣接する2つの光制御板間の距離は0mmであるとすることができる。すなわち、下側の光制御板の凸状部の頂部に上側の光制御板の下面が接するように第1〜第4の光制御板30〜30が設けられていてもよい。この場合には、最下段の光制御板より上側の光制御板の厚さを、最下段の光制御板の厚さより薄いもの(例えばフィルム状のもの)とすることが好適である。最下段の光制御板をそれより上側の光制御板の支持台として用いることができるからである。
【0083】
この点について、図6に示した光制御板ユニット21Aを用いて具体的に説明する。図6に示したd12,d23及びd34は、0mmとすることができる。この場合、第1の光制御板30の凸状部33上に、第2〜第4の光制御板30〜30が、下段の凸状部33,33,33の頂部33b,33b,33bに上段の下面31,31,31が接するように配置されることになる。このように、光制御板ユニット21Aのうち最も点状光源22側に位置する第1の光制御板30上に、第2〜第4の光制御板30〜30を、隣接する2つの光制御板30〜30において上側及び下側の板が互いに接するように設ける場合には、第2〜4の光制御板30〜30の厚さd〜dを第1の光制御板30の厚さdより薄いものとすることが好適である。例えば、第2〜4の光制御板30〜30をフィルム状といったより薄いものとした場合、第1の光制御板30を第2〜4の光制御板30〜30の支持台として用いることができるからである。
【0084】
[光制御板ユニットの配置]
光制御板ユニット21は、光制御板ユニット21A〜21Cの何れかとすることができ、ここで例示した各実施形態では、第1の光制御板30が最下段に位置する。この場合、光制御板ユニット21は、点状光源22から最下段の光制御板である第1の光制御板30の下面31までの距離Dが、通常3mm〜50mmとなるように、点状光源22上に対して配置される。透過型画像表示装置1又は面光源装置20では、Lx,Ly及びDは、Lx/D及びLy/Dがそれぞれ2以上、さらには2.5以上である値であることが、面光源装置20を薄くすることができる点で、好ましい。
【0085】
また、光制御板ユニット21は、透過型画像表示装置1において、第1の光制御板30が有する凸状部33の延在方向が画面の縦方向になるように配置されてもよいし、横方向になるように配置してもよい。
【0086】
次に、光制御板ユニット21の作用効果について、図1に示したように、光制御板ユニット21を含む面光源装置20が透過型画像表示装置1に適用されている場合を例にして説明する。ここでは、X1方向、X2方向、X3方向及びX4方向はX方向に平行であるとし、Y1方向、Y2方向、Y3方向及びY4方向はY方向に平行であるとする。
【0087】
第1の光制御板30の凸状部33は、式(3)を満たすz(x)で表される断面形状を有し、第3の光制御板30の凸状部33は、断面形状が略直角三角形であるプリズム部である。この構成では、図4及び図5を用いて説明した第1及び第2の配光特性の何れかを満たす点状光源22上に、第1及び第3の光制御板30,30を凸状部33,33の延在方向が略平行になるように配置した場合、第1及び第3の光制御板30,30は、点状光源22から出力された光を、輝度が均一な線状の光に変換して出射できる。同様に、第2の光制御板30の凸状部33は、式(3)を満たすz(x)で表される断面形状を有し、第4の光制御板30の凸状部33は、断面形状が略直角三角形であるプリズム部である。そのため、第1及び第3の光制御板30,30の場合と同様に、第2及び第4の光制御板30,30も点状光源22からの光を輝度が均一な線状の光に変換して出射できる。
【0088】
そして、光制御板ユニット21では、上記のように、点状光源22からの光を輝度がほぼ均一な線状の光に変換可能な第1及び第3の光制御板30,30の組と第2及び第4の光制御板30,30の組とが、Z方向において、凸状部33(又は凸状部33)の延在方向と凸状部33(又は凸状部33)の延在方向とが略直交するように配置されている。そのため、点状光源22からの光は、第1及び第3の光制御板30,30の組及び第2及び第4の光制御板30,30の組により、輝度が均一で略直交方向にそれぞれ線状の光に変換される。また、光制御板ユニット21では、第1及び第2の光制御板30,30の下面(第2の面)31,31は、粗面加工が施された粗面である。そのため、点状光源22からの光の均一化を図ると共に輝度の向上を図ることが可能となる。
【0089】
面光源装置20は、上記光制御板ユニット21を備えているので、複数の点状光源22からの光を均一に分散し、Z方向に直交する面における輝度均斉度がより高い面状の光を出射することができると共に輝度のより高い光を出射することができる。また、透過型画像表示装置1は、上記光制御板ユニット21を備えているので、複数の点状光源22からの光が均一に分散されてZ方向に直交する面における輝度均斉度がより高い面状の光及び輝度がより高い光によって、透過型画像表示部10を照射することが可能である。その結果、より高品質な画像を表示することができる。
【0090】
光制御板ユニット21として、光制御板ユニット21Aを採用した場合には、第1〜第4の光制御板30〜30が、Z方向において凸状部33,33,33,33の延在方向が交互に略直交するように配置されている。そのため、第4の光制御板30から出射される面状の光にモアレ縞が生じにくい。よって、光制御板ユニット21Aと複数の点状光源22を備えた面光源装置20においても、モアレ縞が抑制された面状の光を出射できる。更に、光制御板ユニット21Aと複数の点状光源22を備えた透過型画像表示装置1では、より高品質な画像を表示することが可能である。
【0091】
次に、光制御板ユニット21について、上記作用効果が具体的に得られる点について、実験結果を基に説明する。以下、実験例1〜9の輝度及び輝度均一度の測定結果について、主に図15、16を参照しながら説明する。図15は、樹脂シートを製造する製造装置の概略構成図である。図16は、本実験例で用意した光制御板A〜Dの製造条件及び各層における表面の特性を示した図表である。
【0092】
本実験例では、以下に示すものを最初に準備した。
<光制御板の原料>
光制御板A〜Fの原料として、以下に示す透光性樹脂を用意した。
スチレン樹脂(東洋スチレン製「HRM40」、屈折率1.59)
【0093】
<プリズムシート>
プリズムシート(第1,第2のプリズム板)として、光制御板P(大日本印刷製「PM6」)を用意した。
【0094】
<樹脂シートの製造装置の構成>
本実験例では、図15に示すような樹脂シート製造装置60を用いた。その際、下ロール67として装着される(1)〜(4)の4種類のポリシングロール68A,68B,68C,68Dを用意した。
【0095】
(1)ポリシングロール68A
ポリシングロール68Aは、周面に凹版転写型が設けられた金属製ロール(直径:450mm)である。ポリシングロール68Aの周面には、周方向にポリシングロール68Aを一周する複数の凹状部が、互いに平行に筋状に形成されている。凹状部の周方向に直交する断面の形状は半円弧状である。隣り合う凹状部のピッチPは280μmであり、凹状部の深さDは123μmである。
(2)ポリシングロール68B
ポリシングロール68Bは、周面にマット転写型が設けられた金属製ロール(直径:450mm)である。すなわち、ポリシングロール68Bの周面は、微細な凹凸が多数形成されてなるマット面とされている。微細な凹凸の表面粗さを、ISO4287:1997で規定される算術平均粗さRa、最大高さRzで表すと、Raは23.7μmであり、Rzは119.6μmである。
(3)ポリシングロール68C
ポリシングロール68Cは、周面にマット転写型が設けられた金属製ロール(直径:450mm)である。すなわち、ポリシングロール68Cの周面は、微細な凹凸が多数形成されてなるマット面とされている。微細な凹凸の表面粗さを、ISO4287:1997で規定される算術平均粗さRa、最大高さRzで表すと、Raは6.9μmであり、Rzは46.6μmである。
(4)ポリシングロール68D
ポリシングロール68Dは、周面が鏡面加工された金属製ロール(直径:450mm)である。
【0096】
<光制御板Aの製造>
図15に示すように、樹脂シート製造装置60における上ロール65としてポリシングロール68D、中間ロール66としてポリシングロール68C及び下ロール67としてポリシングロール68Aを装着した。次いで、透光性樹脂であるスチレン樹脂100質量部を、シリンダ内の温度が190〜250℃の主押出機61で溶融混練した後、2層分配型フィードブロック63に供給した。次に、透光性樹脂であるスチレン樹脂100質量部を、シリンダ内の温度が190〜250℃の補助押出機62で溶融混練した後、2層分配型フィードブロック63に供給した。
【0097】
次いで、主押出機61から2層分配型フィードブロック63に供給された樹脂が基材層となり、補助押出機62から2層分配型フィードブロック63に供給された樹脂が副層となるように、2層分配型フィードブロック63内の樹脂を、押出樹脂温度250℃でマルチマニホールドダイ(幅:1500mm)により共押出成形をした。そして、図16に示すように、共押出成形された樹脂シート2を、上ロール65としてのポリシングロール68D、中間ロール66としてのポリシングロール68C及び下ロール67としてのポリシングロール68Aで押圧・冷却した。このようにして、幅1300mm、総厚さ1.5mm(基材層1.45mm、副層0.05mm)から構成される2層積層樹脂シート2を製造した。この後、樹脂シート2をさらに冷却し、適当な大きさで切断して光制御板A(第1の光制御板)を作製した。
【0098】
樹脂シートの作製過程では、ダイ64から共押出しされた樹脂は、下ロール67としてのポリシングロール68Aと中間ロール66としてのポリシングロール68Cとで挟み込まれて押圧される際、樹脂シート2の基材層側表面2aは、ポリシングロール68Aの周面に形成された凹状部が転写され、微細な凸状部が形成され、樹脂シート2の副層側表面2bは、ポリシングロール68Cの周面に形成された微細な凹凸が転写され、微細な凹凸面が形成される。この際、上ロールとしてのポリシングロール68Dの表面温度を変化させることで、転写率を99%に調整した光制御板Aを作製した。
【0099】
<光制御板Bの製造>
光制御板B(第1の光制御板)は、図16に示すように、樹脂シート製造装置60における下ロール67としてのポリシングロール68Aと中間ロール66としてのポリシングロール68Bとを装着して、上記光制御板Aと同様の方法により作製した。
<光制御板Cの製造>
光制御板C(第2の光制御板)は、図16に示すように、樹脂シート製造装置60における下ロール67としてのポリシングロール68Aと中間ロール66としてのポリシングロール68Cとを装着して、上記光制御板Aと同様の方法により作製した。
<光制御板Dの製造>
光制御板D(第2の光制御板)は、図16に示すように、樹脂シート製造装置60における下ロール67としてのポリシングロール68Aと中間ロール66としてのポリシングロール68Bとを装着して、上記光制御板Aと同様の方法により、光制御板Dを作製した。なお、幅1300mm、総厚さ1.2mm(基材層1.15mm、副層0.05mm)から構成される2層積層樹脂シート2を製造した点で、上記光制御板A〜Cとは異なる。
【0100】
<光制御板A〜Dの評価>
作製された上記光制御板A〜Dについて、以下の(1)及び(2)の測定及び算出を実施した。
(1)基材層の転写率
光制御板A〜Dの基材層側表面に形成された凸状部の断面形状を、超深度形状測定顕微鏡(KEYENCE社製「VK−8500」)で観察して、半円弧形状の凸状部の高さHを測定した。そして、ポリシングロール68Aの周面に形成された凹状部の深さDに対する凸状部の高さHの割合を求めることにより、半円弧形状の凸状部の転写率(=H/D×100(%))を算出した。算出結果を、図16の図表に示す。
【0101】
(2)副層の表面粗さ
(i)算術平均粗さRa
光制御板A〜Dの副層側表面の算術平均粗さRaをISO4287:1997に準拠して測定した。具体的には、表面粗さ計(Mitutoyo社製「SJ−201P」)を用いて、光制御板A〜Dの副層側表面の算術平均粗さRaを測定した。なお、表面粗さ計の測定条件は、カットオフ値:0.8×1、測定レンジ:オートに設定した。当該算出結果を、図16の図表に示す。
【0102】
(ii)最大高さRz
光制御板A〜Dの副層側表面の最大高さRzをISO4287:1997に準拠して測定した。具体的には、表面粗さ計(Mitutoyo社製「SJ−201P」)を用いて、光制御板A〜Dの副層側表面の最大高さRzを測定した。なお、表面粗さ計の測定条件は、カットオフ値:0.8×1、測定レンジ:オートに設定した。当該算出結果を、図16の図表に示す。
【0103】
<光制御板E,F>
次いで、光制御板E,Fを作製した。光制御板E,Fは、プレス成形によって作製した。具体的には、2枚のアラミドマットの間に2枚のSUS板を挟み、その間に凹版転写型と原料がスチレン樹脂100質量部のシートとを挟んだものをプレス機に載せた。この凹版転写型は、断面が半円弧形状である複数の凹状部が、互いに平行に筋状に形成されている。隣り合う凹状部のピッチPは330μmであり、凹状部の深さDは145μmである。次に、140℃でスチレン樹脂を溶融させ、上下方向から加圧したのち、プレス機の温度を冷却した。光制御板Eは、厚凹版転写型とSUS板の間に1.5mmの金枠を入れることで、厚み1.5mmの板に成形を行った。光制御板Fは、厚凹版転写型とSUS板の間に0.3mmの金枠を入れることで、厚み0.3mmの板に成形を行った。光制御板E,Fの上記凹版転写型による転写面とは反対側の面には、粗面加工を施さなかった。
【0104】
<光制御板E,Fの評価>
作製された上記光制御板E,Fの転写率について上記と同様の測定及び評価を実施した。測定結果を、下記の表1に示す。また、粗面加工を施さなかった光制御板E及びEの凹版転写面とは反対側の面の表面粗さについて上記と同様の測定を実施した。光制御板Eにおける算術平均粗さRaは0.1μmであり、最大高さRzは1μmであった。また、光制御板Fにおける算術平均粗さRaは0.1μm以下であり、最大高さRzは0.5μm以下であった。
【表1】

【0105】
〔実験例1〕
<輝度均一度及び輝度の評価>
実験例1で使用するバックライト装置として、配光特性が図4に示すようなLED光源を、短辺方向に光源間隔55mmで3個、長辺方向に光源間隔50mmで5個並べたランプボックスを用意した。次に、ランプボックスの前面側を上側に向け、後面側を床面に配置して、以下の条件(i)〜(v)で構成された光制御板ユニットUでランプボックスの開放面を塞いだ。このとき、ランプボックスと光制御板との距離(光源距離)を12.5mmとし、第1の光制御板としての光制御板B側が上記ランプボックスと対向するようにバックライト装置を構成した。
【0106】
(i)第1の光制御板としての上記光制御板B、第2の光制御板としての上記光制御板D、第3の光制御板としての上記光制御板P、及び第4の光制御板としての上記光制御板Pを、上下方向において下からこの順番で重ね合わせた。
(ii)光制御板B及び光制御板Dは、凸状部が形成された面が上面となるように重ね合わせた。
(iii)光制御板Bが有する凸状部の延在方向と、光制御板Dが有する凸状部の延在方向とが互いに直交するように重ね合わせた。
(iv)2枚の光制御板Pは、プリズム部が形成された面が上面となるように重ね合わせた。
(v)2枚の光制御板Pが有するプリズム部のそれぞれの延在方向が互いに直交するように重ね合わせた。
【0107】
しかる後、LED光源を点灯させ、バックライト装置から出射される光の前面における面内の輝度を輝度測定計(株式会社アイ・システム製「Eye Scale−3WS」)を用いて以下の(1)〜(3)に従って測定した。当該輝度測定計は、CCDカメラで画像をとらえた範囲の輝度を測定し、評価・解析する装置である。
【0108】
(1)光制御板ユニットUの前面が全て映りこむように、第4の光制御板としての光制御板Pの上面から輝度測定計におけるCCDカメラまでの距離を0.7mとした。
(2)光制御板ユニットUの前面における中央部を中心とした165mm×250mmの範囲を測定範囲として指定した。
(3)上記測定範囲について、長辺方向に5mm間隔で51箇所、短辺方向に5mm間隔で33箇所、合計1683(51×33)箇所の測定スポットを設定し、当該測定スポットの輝度をそれぞれ測定した。
【0109】
次に、各測定スポットで測定された輝度に基づいて算出される輝度、輝度均一度について評価した。上記輝度、輝度均一度の評価方法については以下のとおりである。
<輝度>
上記に説明した1683箇所の測定スポットの輝度の平均値である。実験例1における輝度は、下記に示す表2のとおりである。
<輝度均一度>
上記に説明した1683箇所の測定スポットにおいて、測定中心から長辺方向に31箇所、短辺方向に11箇所を抽出した。そのうち長辺方向と短辺方向の輝度プロファイルの標準偏差を計算し、標準偏差が最も大きいものを選択した。その輝度プロファイルの中の最大値と最小値の比(最大値/最小値)を輝度均一度として算出した。輝度均一度は、V方向(光制御板ユニットUの短辺方向)とH方向(光制御板ユニットUの長辺方向)の二方向についてそれぞれ測定した。実験例1における輝度均一度は、下記に示す表2に示すとおりである。
【表2】

【0110】
〔実験例2〕
光制御板ユニットUにおいて、第1の光制御板を光制御板Aとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例2における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
〔実験例3〕
光制御板ユニットUにおいて、第2の光制御板を光制御板Cとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例3における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
〔実験例4〕
光制御板ユニットUにおいて、第1の光制御板を光制御板Eとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例4における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
【0111】
〔実験例5〕
光制御板ユニットUにおいて、第1の光制御板を光制御板A、第2の光制御板を光制御板Cとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例5における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
〔実験例6〕
光制御板ユニットUにおいて、第1の光制御板を光制御板E、第2の光制御板を光制御板Cとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例6における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
〔実験例7〕
光制御板ユニットUにおいて、第1の光制御板を光制御板B、第2の光制御板を光制御板Fとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例7における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
【0112】
〔実験例8〕
光制御板ユニットUにおいて、第1の光制御板を光制御板A、第2の光制御板を光制御板Fとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例8における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
〔実験例9〕
光制御板ユニットUにおいて、第1の光制御板を光制御板E、第2の光制御板を光制御板Fとした点以外は、実験例1と同様の方法で輝度及び輝度均一度を評価した。実験例9における輝度及び輝度均一度の評価結果を上記表2に示す。
【0113】
<評価結果>
以下に示す表3は、実験例1〜9における輝度、輝度均一度を比較容易に示した表である。各評価を示す欄における数値について、実験例1を例に説明すると、上段の「6772」の数値は輝度を示している。下段の「V=94 H=94」の数値については上述した輝度均一度を示しており、上記表2の数値と対応している。
【表3】

【0114】
実験例1〜8における輝度及び輝度均一度は、実験例9の輝度及び輝度均一度の測定結果と比べて良好な数値となることが確認できた。これにより、第1の光制御板及び第2の光制御板としての光制御板の下面の少なくとも一方を粗面とすることは、輝度及び輝度均一度の向上を図る効果があることが確認できた。
【0115】
また、例えば、実験例9,8,7における輝度及び輝度均一度の測定結果を比較することにより以下のことが確認できた。すなわち、第1の光制御板として配置される光制御板の下面の表面粗さ(算術平均粗さRaや最大高さRzで表される)を大きくするほど、輝度、輝度均一度の向上が図れることが確認できた。このことは、実験例6,5,3及び実験例4,2,1における輝度及び輝度均一度の測定結果をそれぞれ比較しても確認することができる。
【0116】
また、例えば、実験例9,6,4における輝度及び輝度均一度の測定結果を比較することにより以下のことが確認できた。すなわち、第2の光制御板として配置される光制御板の下面の表面粗さ(算術平均粗さRaや最大高さRzで表される)を大きくするほど、輝度、輝度均一度の向上が図れることが確認できた。このことは、実験例8,5,2及び実験例7,3,1における輝度及び輝度均一度の測定結果をそれぞれ比較しても確認することができる。
【0117】
また、実験例5,3,2,1における輝度及び輝度均一度の測定結果により以下のことが確認できた。すなわち、第1の光制御板としての光制御板及び第2の光制御板としての光制御板の両方の下面を粗面とすることによって、輝度、輝度均一度の向上がより図れることが確認できた。
【0118】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態の第1及び第2の光制御板30,30の下面31,31は、ISO4287:1997で規定される最大高さRzが5μm以上、算術平均粗さRaが2μm以上の粗面となるように粗面加工が施されている例を挙げて説明したが、最大高さRz及び算術平均粗さRaの少なくとも一方が上記条件を満たすように構成してもよい。
【0119】
また、例えば、上記実施形態の光制御板ユニット21では、第1及び第2の光制御板30,30の両方の下面31,31が粗面である例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも一方の光制御板30,30の下面31,31が粗面であれば、上記実験例で示したように、本発明の効果を享受することができる。
【0120】
また、例えば、複数の点状光源22の配置例を図2及び図3に示したが、例えば、正方格子、すなわち、前述したようにX方向及びY方向に隣接する点状光源22間の間隔が同じであってもよい。また、隣接する凸状部33の断面形状における端33aは凸状部33aの配列方向において重なっているとして説明したが、隣接する凸状部33の端33a間に僅かな平坦部(例えば製造誤差により生じる程度のもの)などが生じていてもよい。これは、凸状部33〜33のそれぞれの配置についても同様である。
【0121】
また、光制御板ユニット21は、透過型画像表示部10側(例えば、液晶パネル側)に、拡散フィルム、マイクロレンズフィルム又は反射型偏光フィルム等の光学フィルムを更に有していてもよい。また、透過型画像表示装置1は、光制御板ユニット21と、透過型画像表示部10との間に、上述した拡散フィルム、マイクロレンズフィルム又は反射型偏光フィルム等の光学フィルムを更に有する構成とすることもできる。
【0122】
更に、面光源装置20や透過型画像表示装置1は、点状光源22から出力された光を光制御板ユニット21側に反射する反射板といった反射手段を備えていても良い。反射手段は、図1に示した模式図において、点状光源22に対して光制御板ユニット21と反対側に設ければよく、例えば、点状光源22を保持するための保持部材の光源載置面を反射面とすることができる。
【0123】
また、第1及び第2の光制御板30,30は光制御板として説明したが、それぞれ凸状部33及び凸状部33が賦形された板状の光学部品であればよい。
【0124】
また、図6、図13、図14に例示した光制御板ユニット21が有する複数の光制御板のうち、最も点状光源22側に位置する光制御板は、厚さが1.0mm以上のシート状のものとすることができる。この場合、光制御板の製造に押出成形法を用いることができる。当該光制御板の材料としては、屈折率1.56〜1.62程度のポリスチレン、ポリカーボネート、MS樹脂、AS樹脂が用いることができる。
【0125】
また、最も点状光源22側に位置する光制御板以外の光制御板は、厚さが1.0mm未満のフィルム状のものとすることができる。この場合、凸状部の賦形にフォトポリマー法を用いることができる。当該光制御板の材料としては、屈折率1.46〜1.58のアクリル系紫外線硬化樹脂が用いることができ、コストの面やフィルムの黄変劣化防止の観点で、屈折率1.51程度の低屈折率樹脂が用いられることが好ましい。
【0126】
最も点状光源22側に位置する光制御板は、厚さが1mm以上5mm以下のシート状のものが好ましく、最も点状光源側に位置する光制御板以外の光制御板は、厚さが1mm未満のフィルム状のものが望ましい。
【符号の説明】
【0127】
1…透過型画像表示装置、10…透過型画像表示部、11…液晶セル、12,13…偏光板、20…面光源装置、21,21A,21B,21C…光制御板ユニット、22…点状光源、30,30…第1,第2の光制御板、31,31…第1,第2の光制御板の下面(第1,第2の光制御板の第2の面)、32,32…第1,第2の光制御板の上面(第1,第2の光制御板の第1の面)、33,33…第1,第2の光制御板の凸状部、33a,33a…凸状部の端(第1,第2の光制御板の凸状部の端)、30,30…第3,第4の光制御板(第1,第2のプリズム板)、31,31…第3,第4の光制御板の下面、32,32…第3,第4の光制御板の上面(第1,第2のプリズム板の片面)、33,33…第3,第4の光制御板の凸状部(第1,第2のプリズム板のプリズム部)、60…樹脂シート製造装置、61…主押出機、62…補助押出機、63…2層分配型フィードブロック、64…ダイ、65…上ロール、66…中間ロール、67…下ロール、68A,68B,68C,68D…ポリシングロール、Y1…第1の光制御板の凸状部の延在方向、X1…Y1方向に略直交する方向、X2…第2の光制御板の凸状部の延在方向、Y2…X2方向に略直交する方向、Y3…第3の光制御板(第1のプリズム板)の凸状部(プリズム部)の延在方向、X3…Y3方向に略直交する方向、X4…第4の光制御板(第2のプリズム板)の凸状部(プリズム部)の延在方向、Y4…X4方向に略直交する方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の面及び第2の面を各々が有する第1及び第2の光制御板であって、一方向に延在する複数の凸状部が前記第1の面に形成されており、複数の前記凸状部が当該凸状部の延在方向に略直交する方向に並列配置されている第1及び第2の光制御板と、
一方向に延在する複数のプリズム部が片面に形成されており、複数の前記プリズム部が当該プリズム部の延在方向に略直交する方向に並列配置されている第1及び第2のプリズム板と、
を備え、
前記第1及び第2の光制御板の少なくとも一方の前記第2の面は粗面であり、
前記第1及び第2の光制御板並びに第1及び第2のプリズム板は、前記第1又は第2の光制御板を最下段として板厚方向に重ね合わせられており、
前記第1の光制御板が有する凸状部の延在方向と前記第2の光制御板が有する凸状部の延在方向とは略直交し、
前記第1のプリズム板が有する前記プリズム部の延在方向と前記第2のプリズム板が有する前記プリズム部の延在方向とは略直交し、
前記第1及び第2の光制御板の各々が有する前記凸状部の延在方向に略直交する直交断面において、当該凸状部の両端をとおる軸線をx軸とし、前記x軸上において前記両端の中心をとおり前記x軸に直交する軸線をz軸とし、当該凸状部のx軸方向の長さをwとしたとき、前記第1の光制御板が有する前記凸状部の断面形状及び前記第2の光制御板が有する前記凸状部の断面形状は、それぞれ独立に、−0.475×w≦x≦0.475×wにおいて式(1)を満たすz(x)で表される、
光制御板ユニット。
【数1】


ただし、式(1)において、z(x)は式(2)で示される。
【数2】


(式(2)中、
=0.762469824257553、C=0.298075662262927、C=−0.559629338153661、C=0.896468280253265、C10=−0.657164166213715、C12=−0.615726418495985、C14=1.245151353938560及びC16=−0.520559083769482であるか、
=0.828034790338647、C=0.322164108625275、C=−0.683409388408353、C=1.221645232748140、C10=−1.204381259337210、C12=−0.140913871787724、C14=1.033110858219420、C16=−0.475388345540708であるか、または、
=0.908743053413473、C=0.412136074245729、C=−1.052244441109330、C=1.939746214284020、C10=−2.013300115231620、C12=0.074678489261357、C14=1.376932293623570、C16=−0.680081068815946である。)
【請求項2】
前記粗面は、表面粗さとしてISO4287:1997で規定される最大高さが5μm以上の面である、
請求項1記載の光制御板ユニット。
【請求項3】
前記粗面は、表面粗さとしてISO4287:1997で規定される算術平均粗さが2μm以上の面である、
請求項1又は2記載の光制御板ユニット。
【請求項4】
前記第1及び第2の光制御板の間に前記第1及び第2のプリズム板の一方が配置されており、
前記第1及び第2の光制御板の間に配置された前記第1及び第2のプリズム板が有する前記プリズム部の延在方向と、最下段の光制御板が有する前記凸状部の延在方向とは略平行である、
請求項1〜3の何れか一項に記載の光制御板ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の光制御板ユニットと、
前記光制御板ユニットに光を供給する複数の点状光源と、
を備え、
複数の前記点状光源は、互いに離間していると共に、前記光制御板ユニットの背面側に配置されている、
面光源装置。
【請求項6】
前記点状光源は、以下の第1の配光特性又は第2の配光特性を有する請求項5に記載の面光源装置。
第1の配光特性:
光の出射角度が70°以上80°以下の範囲に最大出射光強度Imaxを有する配光特性であって、
前記出射角度が0°の場合の出射光強度Iが、
0.12×Imax≦I≦0.20×Imaxを満し、
出射光強度が(I+Imax)/2となる前記出射角度が60°以上70°以下であり、及び、
前記出射光強度が(I+Imax)/4となる前記出射角度が47.5°以上57.5°以下である配光特性。
第2の配光特性:
光の出射角度が65°以上75°以下の範囲に最大出射光強度Imaxを有する配光特性であって、
前記出射角度が0°の場合の出射光強度Iが、
0.22×Imax≦I≦0.30×Imaxを満し、
出射光強度が(I+Imax)/2となる前記出射角度が45°以上55°以下であり、及び、
前記出射光強度が(I+Imax)/4となる前記出射角度が20°以上30°以下である配光特性。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出力される光が照射される透過型画像表示部と、
を備える透過型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−220938(P2012−220938A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90251(P2011−90251)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】