説明

光化学センサー要素

本発明は、ガス状または溶解している分析物、詳細には酸素の測定のための光化学センサー要素9に関する。センサー要素9は、ポリマーマトリックス23中に固定化されている蛍光体25を含み、ここにおいて、ポリマーマトリックス23は、非芳香族主鎖を有するポリマーで形成されている。本発明は、測定装置におけるセンサー要素9の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状または溶解している分析物、詳細には酸素の測定のための光化学センサー要素およびそのようなセンサーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス状または溶解した分析物の濃度を決定する必要性は、数多くの用途およびプロセスで生じる。例えば、生物工学的プロセスにおける酸素濃度のモニタリングは、プロセスの制御に欠かすことができない。これは、多くの他の分析物、例えばCO、SO、Hまたは窒素酸化物などにも当てはまる。
【0003】
そのような分析物の公知の測定方法のいくつかは、分析物が測定で消費されるため測定中に分析物の濃度が変化するという欠点を有する。この種の測定方法に代わるものとして、最近光化学的測定法が開発された。後者の方法は、存在する分析物の分量に応じて性質が変化するセンサー要素に基づく。このタイプの光化学センサー要素に用いられるそのような性質の一つは蛍光であり、これは、例えば分析物により励起または消滅−すなわち消光−させることができる。
【0004】
米国特許公報6432363B2号に記載されている光化学センサー要素は、ポリマーマトリックスに固定化されている発光染料を含有する。該ポリマーマトリックスは可塑剤を含まず、主鎖にフェニル基を有する少なくとも1つのポリマーを包含する。
【0005】
水溶液中のイオンを決定するための光学センサー要素が、国際公開95/26501号に開示されている。該センサー要素は、−150℃〜50℃の範囲にガラス転移温度(Tg)を有する疎水性ポリマーでコーティングされている透明な基材を含有する。この場合の蛍光体は、コーティング中に固定化されている。
【0006】
米国特許公報5387525A号には、ポリアニオン蛍光体の蛍光を水酸化テトラブチルアンモニウムなどの第四級アンモニウム塩により活性化する方法と、光化学センサー要素における該方法の使用が記載されている。
【0007】
国際公開2004/027412号には、分析物の影響を受けて変色し、したがって、例えば食品の腐食の指示薬として用いることができるセンサー要素が記載されている。該センサー要素は遷移金属錯体を包含し、該遷移金属錯体は、マトリックス中に固定化されており、蛍光染料または蛍光体であることもできる。
【0008】
Y.Amao et al.(Analytica Chimica Acta 407(2000),41−44)は、蛍光に基づく酸素用センサー要素であって、ポリスチレンフィルム中に固定化されているAl−フタロシアニン蛍光体が用いられているものについて記載している。
【0009】
Y.Amao et al.(Analytica Chimica Acta 421(2000),167−174)は、ポリ(イソブチルメタクリレート−コ−トリフルオロメタクリレート)のフィルム中に固定化されているメタロポルフィリンのルミネセンスの変化を用いることによる酸素含量の測定について記載している。
【0010】
Y.Amao et al.(Analytica Chimica Acta 445(2001),177−182)は、酸素含量の光学的決定のための材料として、ポリマーフィルム中に固定化されている発光イリジウム(III)錯体について記載している。
【0011】
M.Florescu、A.Katerkampによる出版物(Sensors and Actuators B 97(2004),39−44)には、酸素含量の光学的測定のためのポリマー膜の最適化について記載されている。蛍光体として、ルテニウム金属錯体、Ru(dpp)Clが用いられている。
【0012】
これまでに記載してきた光化学センサー要素に見いだされている欠点は、洗浄プロセスおよびプロセスシステムにおける滅菌、例えば、オートクレーブ処理手順、定置洗浄(CIP)処理、定置滅菌(SIP)処理に付されたときの安定性がかなり限定的であり、例えば極性有機溶媒を含有するプロセス媒体に暴露されたときの安定性も不十分である点である。とりわけ生物工学に用いられるセンサー要素の場合、センサー要素が装備されている測定装置の洗浄、オートクレーブ処理およびCIP/SIP処理は重要である。滅菌、具体的にはオートクレーブ処理に伴う高温は、例えば、蛍光体の熱的崩壊および脱色、ならびにキャリヤーマトリックスからの蛍光体の流失に起因して、固定化されている蛍光体の喪失をしばしば引き起こす。特にガラス転移温度が低いポリマーでは、高温によりポリマーマトリックス中のポリマー鎖の移動度が上昇し、したがって、ポリマーマトリックス全体にわたる蛍光体の拡散が増大し、結果的に流失が増大する。さらに、特に米国特許公報6432363B2号に挙げられているポリマーマトリックスは、ポリマー主鎖の芳香族的特徴に起因して固有の色を有し、これにより、光学的透過率または透明性が影響を受け、したがって蛍光測定がより難しくなる。そのような固有の着色は老化プロセスの結果として生じる可能性もある。ここにおいて、老化プロセスは、温度または湿度の影響により引き起こされ、例えばポリマーマトリックスの黄変をもたらす。
【0013】
安定性の概念は、さまざまな観点を包含する。光化学センサー要素が熱的に安定で、蛍光体が、熱的暴露を受けても、プロセスでの使用、CIP手順またはオートクレーブ処理により引き起こされる老化によっても、脱色せず、または流出しないことが好ましい。さらに、ポリマーマトリックスは経時的に光学的および機械的性質を変化させるべきでなく、黄変、脆化または同様の老化作用を示すべきでない。機能を果たす能力が保持されるように、ポリマー、具体的にはポリマーマトリックスは、老化プロセスが起こった後であっても、水、イオンおよび/または溶媒などの妨害物質に耐性を示し、これにより、ポリマーマトリックスおよびその中に埋め込まれている蛍光体への損傷を避けることができることが好ましい。これに加えて、ポリマーマトリックスは、用いられている溶媒に対し膨潤することなく耐えるための安定性を有するべきであり、一定濃度および均一な分布の蛍光体を有するべきであり、一定のStern−Vollmer特性も示すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許公報6432363B2号
【特許文献2】国際公開95/26501号
【特許文献3】米国特許公報5387525A号
【特許文献4】国際公開2004/027412号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Analytica Chimica Acta 407(2000),41−44
【非特許文献2】Analytica Chimica Acta 421(2000),167−174
【非特許文献3】Analytica Chimica Acta 445(2001),177−182
【非特許文献4】Sensors and Actuators B 97(2004),39−44
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、改善された光化学センサー要素であって、高い機械的安定性を有し、洗浄プロセスおよびプロセス溶媒に耐えて非常に安定であり、その結果、実質的に耐老化性を示し、長い有効寿命を有するものを提供することである。該センサー要素はまた、実質的に、ポリマーマトリックスに起因する固有の着色を有するべきでない。さらなる目的は、市販の光化学センサー要素の経済的な代替物であって、好ましくは、重要な生物学的および生物工学的プロセスでの使用に関する要件も満たし、これらの分野で用いられる物質に適合するものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、独立クレームに従った改善された光化学センサー要素により解決される。他の好ましい態様は従属クレームの対象である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に従ったセンサー要素を含む光化学的測定装置を示す。
【図2】図2は、図1の拡大詳細図として光化学センサー要素を示す。
【図3】図3は、光化学センサー要素の他の態様を示す。
【図4】図4は、光化学センサー要素の他の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に従った光化学センサー要素は、ポリマーマトリックス中に固定化されている適した蛍光体を包含する。ポリマーマトリックスを形成するために用いられるポリマーは非芳香族主鎖を含む。ポリマーマトリックスの層厚は、約3〜10μmの範囲であることが好ましい。
【0020】
“主鎖”という用語は、ポリマーの主要な鎖をさす。すなわち、ポリマーの主要な鎖のみが非芳香族である。側鎖または側基は芳香族成分を含むこともできる。
【0021】
“分析物”という用語は、測定する物質、具体的には酸素をさす。
【0022】
主鎖が非芳香族であるため、ポリマーマトリックスの固有の着色を低レベルまで低下させることができ、ポリマーマトリックスの実現しうる最高の光学的透明性を達成することができる。以下のポリマーを用いて、本発明に従った光化学センサー要素のポリマーマトリックスを形成することができる:エチレン−ノルボルネンコポリマーなどの環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)およびポリ(n−メチルメタクリルイミド)(PMMI)。これらのポリマーの混合物を用いることも可能である。
【0023】
これらのポリマーをセンサー要素中のポリマーマトリックスとして用いることは有利である。これは、該ポリマーがとりわけ高い機械的安定性を有し、酸性および塩基性の洗浄プロセスに耐えて非常に安定であるので、結果的にセンサー要素が長い有効寿命を有するためである。
【0024】
蛍光体の選択は、測定する分析物およびポリマーマトリックスに対するその溶解性に依存する。適した蛍光体は、蛍光寿命が長く、蛍光が、測定する分析物の濃度に強い依存を示すものである。とりわけ酸素含量の測定に適した蛍光体の例としては、Pt(II)−メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)−ポルフィン、Pt(II)−5,10,15,20−テトラキス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−ポルフィリン(PtTFPP)、Pt(II)−オクタエチルポルフィリン(PtOEP)、Pt(II)−オクタエチルポルフィリンケトン(PtOEPK)、およびこれらの化合物に類似するPd(II)−錯体であるPdTFPP、PdOEPおよびPdOEPK、ならびにPd(II)−メソ−テトラフェニル−(テトラベンゾ)ポルフィン(PdTPTBP)が挙げられる。用いることができる他の蛍光体としては、Ir(III)((N−メチル−ベンゾイミダゾル−2−イル)−7−(ジエチルアミノ)−クマリン))(acac)、Ir(III)((ベンゾチアゾル−2−イル)−7−(ジエチルアミノ)−クマリン))−(acac)が挙げられる。非常に多くの他の適した蛍光体が市販されている。
【0025】
用いる蛍光体が適切な溶解性を有し、その結果、ポリマーマトリックスを生成するのに用いられる溶媒のほか、ポリマーおよびポリマーマトリックス自体に十分な濃度で溶解することができると、さらに有利である。溶解した蛍光体は、これらの溶媒およびポリマーマトリックス中に実質的に非凝集状態で存在することが好ましく、好ましくは均質に溶解している。
【0026】
したがって、上記疎水性ポルフィリン錯体が、疎水性COCまたはCOPマトリックスにおいて蛍光体として用いるのにとりわけ適している。PMMIマトリックスには、より親水性の蛍光体を用いることも可能である。
【0027】
蛍光体として使用することができる他のものは、さまざまなルテニウム−またはオスミウム錯体、例えば、トリス(フェナントロリン)Ru(II)−クロリド、トリス(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)Ru(II)−TMSまたはトリス(4,4−ジフェニル−2,2−ビピリジン)Ru(II)−クロリドである。これら親水性蛍光体も同様に、本明細書に挙げるポリマーマトリックス中に用いることができる。しかしながら、それらは、親水性を低下させるために、親油性の対イオン、例えばテトラフェニルボラートと一緒に用いるべきである。
【0028】
本発明に従った光化学センサー要素は、洗浄および滅菌プロセス、例えば、オートクレーブ処理(水蒸気雰囲気中、130℃で30分間)またはCIP処理(3%NaOH溶液を用いて90℃で30〜60分間)に対し、卓越した安定性を示す。
【0029】
好ましい態様において、ポリマーは、エチレン−ノルボルネンコポリマーおよびポリ(n−メチルメタクリルイミド)から選択される。これらのポリマーマトリックスは、TopasTM(エチレン−ノルボルネンコポリマー)およびPleximidTM(ポリ(n−メチルメタクリルイミド))の名称で市販されている。
【0030】
以下のパラグラフに記載するように、これらのポリマーは、これらにオートクレーブ処理が可能な光化学センサー要素、詳細には酸素に敏感なセンサー要素のための蛍光体を固定化するポリマーマトリックスとしての適性をもたらす多くの性質を有する。
【0031】
該ポリマーは非常に良好な光学的透明性を有するので、光学的放射線がポリマーマトリックスを通過して蛍光体を励起することが可能になる。光学的透明性(ISO 13468−2による)は、Topasでは約91%(タイプ:ガラス転移温度Tg=134℃を有する5013X25;Tg=138℃を有する6013S−04;Tg=158℃を有する6015S−04;Tg=178℃を有する6017S−04;Tg=134℃を有する5013S−04;Tg=134℃を有するTKX−0001)であり、PMMIでは約90〜91%である。あるいは、Topasの光学的グレードは、ISO 14782に従った曇り価により特徴付けられている。Topasの品質グレード5013X14(Tg=136℃)および6013F−04(Tg=140℃)は1%未満の曇り価を有する。
【0032】
該ポリマーは光および/または放射線の暴露下で良好な安定性を有するので、ポリマーマトリックスの光学的透明性は、蛍光体の励起に適した放射線にセンサー要素を暴露した後であっても影響を受けないままである。適した蛍光体を、例えば、近UV範囲および/またはUV−VIS範囲、好ましくは約320nm〜約700nmの波長の放射線で励起する。
【0033】
該ポリマーはまた、ガンマ線およびガンマ線滅菌のほか、エチレンオキシドでの滅菌に対しても、非常に高い安定性を示す。これらは、センサー要素の滅菌にしばしば用いられる方法である。光化学センサー要素、とりわけそれらに用いられるポリマーは、黄変または他の劣化、例えば、脆化、親水性化、またはポリマーの腐食、鎖の長さの分解、またはポリマーの制御されていない架橋などを示すことなく、これらの処理に耐えなければならない。
【0034】
これに加えて、エチレン−ノルボルネンコポリマーまたはポリ(n−メチルメタクリルイミド)のポリマーマトリックスは、蒸気滅菌手順(HO蒸気雰囲気中で130℃)に対しても安定である。
【0035】
好ましいポリマーマトリックスは、十分に高い酸素透過を有する(23℃、相対湿度50%においてTopas 5013X14(Tg=136℃)で250cm×100μm/(m×日×bar)およびTopas 6013F−04で280cm×100μm/(m×日×bar))(ASTM D3985による)。これにより、応答時間の短い本発明に従った光化学センサー要素を実現することができる。
【0036】
好ましいポリマーマトリックスはさらに、ごく限定的な程度の吸水性、水蒸気透過性を示し、アセトンまたはイソプロパノールなどの極性溶媒中で膨潤する傾向は限定的である。水およびさまざまな溶媒はマトリックスおよびそのStern−Vollmer特性を変化させる可能性があるので、このことは有利である。さらに、吸水性の増大に伴いイオン、詳細には外来イオンのポリマーマトリックス中への拡散も予想しなければならず、これは妨害の原因となるので、断固として避ける必要がある。水または溶媒の吸収はさらに、ポリマーマトリックスの望ましくない膨潤を引き起こし、これにより、最終的にポリマーまたはより具体的にはポリマーマトリックス中の蛍光体濃度が影響を受け、測定誤差が生じる可能性がある。したがって、本ポリマーマトリックスは、一方では分析物、例えば酸素を透過させることができるが、他方では水、HO蒸気、溶媒およびイオンの通過を阻止するという形で膜としても機能するので、物質の侵入による蛍光体の分解を回避することができる。
【0037】
TopasTM(エチレン−ノルボルネンコポリマー)の場合、吸水性および水蒸気透過についてそれぞれ以下の値が公表されている:
吸水性(ISO 62による):
0.01% すべてのタイプのTopas
水蒸気透過(38℃、相対湿度90%):
1.0g×100μm/(m×日) (Topasタイプ5013X14)
1.3g×100μm/(m×日) (Topasタイプ6013F−04)
蛍光体を固定化するために用いられている従来のポリマーマトリックスは、著しく高い吸水性の値を有し、例えば、ポリエーテルイミド(PEI)で0.25%、PSUで0.24%、およびポリエーテルスルホンで0.4%である。
【0038】
さらに、蛍光体は、好ましいポリマーマトリックスに対し良好な溶解性を有する。ポリマーに溶解している蛍光体の濃度は、薄いセンサー要素で良好な蛍光応答および速いすなわち短い応答時間を達成するのに十分な高さである。
【0039】
ポリマーとして選択するのに適する他のものは、Zeonex(登録商標)もしくはZeonor(登録商標)の商品名で市販されている環状オレフィンポリマー(COP)、またはPleximid(登録商標)の商品名で市販されているポリ(n−メチルメタクリルイミド)(PMMI)である。
【0040】
これらのポリマーについては以下の性質が公表されている:
【0041】
【表1】

【0042】
Zeonex(登録商標)およびZeonor(登録商標)のガラス転移温度は、実際のポリマー組成に応じて調整することができる。
【0043】
溶液からのフィルムの形成を可能にするためには、ポリマーが適した溶媒に高い蒸気圧で溶解すると有利である。ポリマーマトリックス中での蛍光体の均一な分布を達成するためには、選択した蛍光体が同様に同じ溶媒に十分な濃度で溶解することが重要である。本発明に従ったポリマーのための考えうる溶媒は、クロロホルムおよびシクロヘキサンである。
【0044】
本発明に従った光化学センサー要素の好ましい態様において、ポリマーマトリックスは、エチレン−ノルボルネンコポリマーを含む。
【0045】
エチレン−ノルボルネンコポリマー(環状オレフィンコポリマー、COC)は、高いガラス転移温度(Tg)を有する。ガラス転移温度がオートクレーブ処理で通常選択される温度の130℃より高いので、ポリマー鎖がオートクレーブ処理サイクル中に可動性になり蛍光体がマトリックスから拡散する可能性がある、という問題が回避される。これにより蛍光体の損失が実質的に避けられ、本発明に従ったセンサー要素の長い有効寿命がもたらされる。コポリマー中のノルボルネンの割合を変動させることにより、ポリマーのガラス転移温度にさらに影響を与えることができ、このようにして、ガラス転移温度を所望の目的に適合させることができる。
【0046】
光化学センサー要素の他の好ましい態様において、ポリマーマトリックスは環状オレフィンポリマー(Zeonex(登録商標)、Zeonor(登録商標);COP)またはポリ(n−メチルメタクリルイミド)(PMMI)を含む。
【0047】
他の好ましい態様において、ポリマーマトリックスは基材上に施用されている。その結果、光化学センサー要素は機械的応力、例えば、バイオリアクターにおける高い圧力レベルまたは圧力変動に対し高い耐性を示す。
【0048】
基材を作成することができる好ましい材料は、ガラス、ポリエステル、非晶質または部分的に結晶質のポリアミド、ポリアクリレート、ポリカーボネート、COC−ポリマー(Topas)、COP−ポリマー(Zeonor、Zeonex)およびポリ(n−メチルメタクリルイミド)である。COC−ポリマーはTopas(Ticona Polymer)の商品名で、COP−ポリマーはZeonorまたはZeonex(Zeon Chemicals)の商品名で、ポリ(n−メチルメタクリルイミド)はPleximid(Roehm GmbH)の商品名で入手可能である。
【0049】
既に上記したキャリヤー材料の他に、これらの材料の組合せ、例えばガラス−ポリマー配合物材料などで構成されるハイブリッド基材を用いることも可能である。
【0050】
環状オレフィンコポリマー(COC)に属するエチレン−ノルボルネンコポリマーは、固有の蛍光を実質的に示さず、老化プロセス後もなお保たれ続ける非常に良好な光学的透明性を有するので、基材の材料として好ましい。
【0051】
他の好ましい態様において、センサー要素は被覆層を有する。この被覆層は、蛍光測定に対する外部光または測定試料の蛍光からの望ましくない影響を回避することができるように、分析物には透過性を示すが外部放射線には不透過性を示さなければならない。被膜層に使用しうる材料は、白色多孔質Teflon(登録商標)コーティング(厚さ5μm)または白色酸素透過性シリコーンコーティングまたは白色多孔質紙である。
【0052】
他の態様において、ポリマーマトリックスは、シリコーンフィルム中にポリマー球またはマトリックスフラグメントの形で埋め込まれる。蛍光体は、ポリマー球またはマトリックスフラグメント中に直接固定される。シリコーン中に埋め込まれた球またはフラグメントは拡散光の散乱によって蛍光を増強するので、この配置は有利である。
【0053】
好ましい態様における分析物はガス状または溶解している酸素であり、後者は例えば、水性の溶液または媒体に溶解しているか、少ない割合の極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、アセトンまたはイソプロパノールなどを含有する媒体に溶解している。
【0054】
他の態様では、分析物はガス状もしくは溶解しているO、ガス状もしくは溶解しているH、SOまたは窒素酸化物である。
【0055】
とりわけガス状または溶解している酸素の決定では、基材が酸素不透過性で、その酸素溶解能力が可能な限り低いと有利である。これにより、光化学センサー要素が適切に機能することが確実になり、該センサー要素を実質的にドリフトなしで短い応答時間で操作することができる。基材は、蛍光体が固定化されているポリマーマトリックスに比べ、著しく低い酸素透過性および酸素溶解性を有することが好ましい。
【0056】
本発明に従ったセンサー要素は、いくつかの実施例を含むコンテクストにおいて以下に記載するように、さまざまな方法で製造することができる。
【0057】
本発明に従ったセンサー要素の製造プロセスにおいて、固定化されている蛍光体を有するポリマーマトリックスの層厚は、蛍光消光による分析物の光学的測定において2つの重要な値に影響を及ぼす。層厚は、一方では発光率または反射率、したがって蛍光応答の強度を決定し、他方では測定装置の応答時間の決定因子である。
【0058】
好ましい態様において、蛍光体を有するポリマーマトリックスは、フィルムとして、基材上に直接形成されるか、フィルム形成後に基材に施用される。フィルムと基材の良好な結合を実現するために、付着剤または接着剤を用いることが好ましい。ポリマーマトリックスは、基材に、ディップコーティング、スピンコーティングまたはナイフコーティングなどのさまざまな方法により施用することができる。
【0059】
固定化されている蛍光体を有するポリマーマトリックスを、光学繊維のコア上に直接施用することも可能である。このコンセプトは、例えばTopas(Tg=180℃)のような脆性ポリマータイプに関し特に興味深い。該ポリマータイプは、基材キャリヤーに施用された後、可能な限り応力のない状態、したがって例えばチッピングによる損傷がない状態を維持すべきである。光学繊維のコア上への施用は例えばTopasで可能である。これを達成するために、固定化されている蛍光体を有するポリマーマトリックスを、コアが例えばポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート−コ−グリシジルメタクリレート)のような高い屈折率を有するポリマーを含むことが好ましいPOF(ポリマー光学繊維)光学繊維のコア上に直接配置する。
【0060】
略図を添付する。
【0061】
図1は、本発明に従ったセンサー要素9を含む光化学的測定装置1の主要な配置を示している。測定装置1は、放射線源5、例えばLED、鏡7、光化学センサー要素9、ビームスプリッターまたはフィルター11、検出器13および電子測定回路15を包含するハウジング3を有する。放射線源5により放出される放射線、励起光または励起放射線は、鏡7およびビームスプリッター11により光化学センサー要素9に誘導される。光化学センサー要素9は、測定する分析物を含有する媒体17に接触している。光化学センサー要素9中の蛍光体の励起後に放出される蛍光は、屈折することなくビームスプリッター11を通過して検出器13に向かって進み、検出器の信号は電子測定回路15により処理されてトランスミッターまたはインターフェース19によりさらに先に送られる。光路21を単なる概略として示す。
【0062】
光化学的測定装置1の拡大詳細図として、図2は光化学センサー要素9をもっとも単純な態様で表している。それは、ポリマーマトリックス23およびこれに固定化されている蛍光体25を含む。
【0063】
図3は、光化学的測定装置1の光化学センサー要素9の態様を例示している。内部に蛍光体25が固定化されているポリマーマトリックス23は、基材27上に配置されている。前記基材27は、膜9に、例えば圧力変動に耐えるのに必要な機械的安定性をもたらす。この図には励起放射線29も示されており、励起放射線は、基材27を通過した後、ポリマーマトリックス23中に固定化されている蛍光体25および蛍光体により放出される蛍光31に向かって進む。蛍光応答の強度は、分析物33、例えば酸素による影響を受ける。
【0064】
図4に、ポリマーマトリックス23を媒体から隔てるための少なくとも1つの追加的被覆層(例示した例では2つの層34、36)を含む、光化学センサー要素9の他の態様を示す。この被覆層34、36は、外側から達する外部放射線が好ましくは被覆層34、36で反射されてポリマーマトリックス23に侵入しないように、分析物には透過性を示し外部放射線には不透過性を示すことが好ましい。
【0065】
センサー要素9はガラスウェハを基材27として含み、基材上には、既に図3で示しているように、内部に蛍光体25が固定化されているポリマーマトリックス23が配置されている。実質的に、ポリマーマトリックス23は光学的に透明である。ポリマーマトリックス23は、この場合例えば白色シリコーン層である第1の被覆層34に隣接している。この第1の被覆層34は実質的に励起放射線29を反射するので、高い蛍光収量および短い応答時間を実現することができる。好ましくは、放出される蛍光または蛍光応答31は、第1の被覆層34とポリマーマトリックス23の間の境界層35でほぼ完全に反射されるか散漫に散乱した後、検出器に誘導される(図1参照)。
【0066】
これに加えて、センサー要素9は、ここで図示するように、例えば黒色シリコーン層として形作られるさらなる被覆層36で被覆されていることができる。さらなる被覆層36は、蛍光放射線がセンサー要素から測定媒体中に抜け出す可能性をなくし、センサー要素9で行われる測定が外側から入ってくる外部放射線により妨げられる可能性をなくすように、分析物には透過性を示し放射線には不透過性を示すことが好ましい。本明細書で用いる“白色シリコーン”という用語は、例えばTiOが添加されているシリコーンを意味し、“黒色シリコーン”は、すす粒子が添加されているシリコーンを意味する。
【実施例】
【0067】
実施例1:Topas(エチレン−ノルボルネンコポリマー)
22gのTopas 6017S−04を275gのクロロホルムに溶解した。つぎに、0.5gのPt(II)メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィン(CAS−No.:109781−47−7)を該溶液に加えた。短時間の加熱および冷却の後、該溶液をフィルム形成に用いる準備が整った。Pt(II)メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンは、高濃度の酸素の測定にとりわけ適している。
【0068】
代替として、類似のPd(II)化合物、すなわちPd(II)−メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンを用いた。これは、低濃度の酸素の測定にとりわけ適している。
【0069】
他の代替として、Topasをシクロヘキサンに溶解し、Pd(II)−メソ−テトラフェニルテトラベンゾポルフィンを加えた。
【0070】
あるいは、溶媒からフィルムを形成するためのあらゆる従来法を用いることができる。第1の方法では、フィルムをスピンコーティングにより得た。
【0071】
5×5cmで厚さ1mmのガラスウェハを十分に洗浄した後、ポリマーマトリックスのより良好な付着を達成するために、グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシランのアルコール溶液で前処理した。
【0072】
つぎに、スピンコーター(Lot Oriel、モデルSCI−20)にウェハを載せた。より均一なフィルムの形成を達成するためには、ウェハ表面を蛍光体−ポリマー溶液で完全に被覆しなければならなかった。その後、ウェハ全体を被覆した溶液を、2000rpm/secの加速度で達した3000rpmの回転速度で振り落とした。該プロセスでは、比較的大量の高価な白金−蛍光体−含有ポリマー溶液が振り落とされ消費される。それでもなお経済的なフィルム形成プロセスを実現するために、好ましくは振り落とされた溶液を回収し、再び溶解し、このようにして再循環させた。
【0073】
この方法で、厚さが約5μm±0.2μmのフィルムを得ることができた。
【0074】
溶媒がフィルムを形成する傾向を妨害するために、チャンバー内部の溶媒飽和雰囲気中でフィルムを形成することも試みた。このアプローチで、3mLの蛍光体−ポリマー溶液を施すことにより、ウェハの中心から溶液をスピンコートすることができた。これにより、フィルム厚のばらつきは若干大きいが、約5.3μmのコーティング厚が得られた。
【0075】
代替として、ディップコーティングまたは浸漬浴プロセスで、ウェハを蛍光体−ポリマー溶液でコーティングした。ウェハを蛍光体−ポリマー溶液中に浸漬した後、吊して、膜層をそのまま乾燥させた。この方法で生じる問題は、溶液がウェハの下側の縁から約2〜3mmの所にたまり、この領域のフィルム厚の増大を引き起こすということであった。ウェハのこれらの部分は、層厚が過度に大きいおよび/または不均一であるため、プロセスの後半で排除される。この方法により、層厚がウェハの底部の縁に向かってわずかに増大していて、若干均一さに劣る、厚さ約6μmのコーティング層が得られた。
【0076】
第3の方法では、蛍光体−ポリマー溶液を噴霧コーティングプロセスによりウェハの全面にわたって噴霧する。ウェハに、少し離れたところから、溶液の粘性流れ限界に達さない程度まで噴霧する。幾分より厚い層およびより高い粘性流れ限界および/またはより良好な安定性を得るために、蛍光体−ポリマー溶液を少し濃度を高くして供給することもでき、これにより溶液の粘性は急速に上昇する。この方法により、厚さが例えば3.1μm±0.1μmのもっとも均一でもっとも薄いフィルムが得られた。
【0077】
第4の方法では、フィルムを、いわゆる厚膜技術を用いたナイフコーティング機により生産した。ナイフコーティング機のスロット幅(コーティングナイフとウェハ基材の距離)を60μmに設定し、フィルムを蛍光体−ポリマー溶液から引き出した。その後、溶媒を放置して蒸発させた。得られたフィルムは少し波打っており、約5.1μm±0.4μmの厚さを有していた。
【0078】
第5の方法では、固定化されている蛍光体を有するポリマー球を生産した。その後、これらをシリコーン中に埋め込み、埋め込まれた球を第4の方法に従ってフィルムに引き伸ばした。ポリマー球は、ポリマー球が溶解しない他の溶媒を加えて蛍光体−ポリマー溶液から沈殿させた後、遠心分離することにより得た。他の溶媒として適しているのは、とりわけ極性溶媒、例えば、水、アセトン、エタノールまたはそれらの混合物などである。
【0079】
あるいは、ポリマー球は、噴霧乾燥プロセスにより生産してもよい。
【0080】
他の代替として、蛍光体を含まない球を生産した後、これを、蛍光体が拡散により球に浸透するように蛍光体で処理することが考えられる。ポリマー材料から球を生産するこれらの方法は原理上公知であり、したがって、詳細に記載しない。
【0081】
ポリマーマトリックスのフィルム厚は、蛍光消光による酸素含量の光学的測定において2つの重要な因子に影響を与えるという点において重要である。フィルム厚は、第一に、発光率または反射率、したがって蛍光応答の強度を決定し、第二に、測定装置の応答時間に支配的な因子である。
【0082】
良好な応答時間を得るためには、蛍光を消光するために酸素が移動しなければならない拡散路ができるだけ短くなるように、フィルムが可能な限り薄いと有利である。ポリマーを通過する酸素の拡散速度は、センサー要素の応答時間に影響を有する第2の因子である。拡散速度はできるだけ速いべきであり、材料に特有である。Topasグレードの場合、酸素拡散速度は約250(Topas 5013X14、Tg=136℃の場合)または280cm×100μm(m×日×bar)である。
【0083】
他方、蛍光応答は分析物の濃度が低くてもある程度の最小強度を有することが必要であり、最低限必要な濃度の蛍光体がポリマーマトリックス中に存在することが求められる。また、フィルム厚が厚くなるほど、蛍光体の例えばオートクレーブ処理における流失は遅くなる。したがって、フィルム厚を薄く保ちつつできるだけ強い蛍光応答を達成するために、ポリマーマトリックスおよびポリマー溶液中の蛍光体の濃度は、一方では高くすべきであるが、ポリマーの特性、とりわけ、Tg、熱的特性およびポリマーを通過する拡散特性に好ましくない影響を与えないように、なお十分低くしておくべきである。2.3%g/gポリマーの蛍光体濃度で良好な結果が達成された。ポリマーマトリックスの表面構造の変化により測定信号を増強させるのに考えうる他の方法は、実施例4〜6のコンテクストでより詳細に説明する。
【0084】
毒性の高いクロロホルムの代わりに、シクロヘキサンを溶媒として用いてもよい。この溶媒に対するTopasポリマーの溶解性はさらに良好であり、1gあたりのポリマーのg数で最大10%の濃度でポリマーを低温の溶媒に溶解することが可能である。しかしながら、この実施例で選択した蛍光体の溶解性は幾分低いので、フィルム形成に先立ち溶液を加熱した後冷却することが不可欠である。溶媒を選択する際は、それぞれの場合でポリマーおよび蛍光体が十分な溶解性を有するように配慮しなければならない。溶媒はさらに、ポリマーマトリックスから再び除去することもできるように、できるだけ低い沸点を有するべきである。ポリマーマトリックスに気泡が形成するのを防ぐために、溶媒は注意深く除去する必要がある。したがって、フィルムを作成した後、これを、室温の空気中で十分に予備乾燥してから減圧乾燥キャビネットで乾燥した。
【0085】
フィルムを形成し、約24時間自然乾燥した後、コーティングしたウェハを120℃の減圧乾燥キャビネットで1時間乾燥した。
【0086】
その後、このようにして生産したフィルムに、測定システムを外部光および測定媒体からの望ましくない蛍光から保護するために、光学的被覆または被覆層として白色多孔質テフロン(登録商標)層(厚さ5μm)または白色シリコーン層を提供した。迅速な応答時間を達成し、追加的な白色シリコーン層と一緒になってフィルム厚が増大するのを避ける一方、なお良好な再発光の値を得るために、敏感なフィルムを白色の多孔質紙または吸い取りシートで被覆することもできる。さらに場合によっては、望ましくない外部光のセンサー要素への侵入をさらに低減するために、さらなる黒色シリコーンまたはテフロン(登録商標)被覆層を上面に置いた。
【0087】
つづいて、Stern−Vollmer特性を決定した後、気相および液体中の酸素の測定を、スポットとも呼ばれるこの種のセンサー要素を用いて実施した。蛍光体を、正弦波励起信号を用いて、緑色LEDおよび波長約505nmの適切な光学フィルターにより励起させた。その後、650nmでの蛍光応答から位相シフトを決定した。
【0088】
Pt(II)メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンを蛍光体として用いた場合、以下の結果が得られた:蛍光体Pt(II)メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィン(CAS−No.:109781−47−7)のUV/VISスペクトルは、第1の吸収極大を約492nmに、さらに2つのより弱い極大を約507nmおよび約540nmに示す。
【0089】
固定化されている蛍光体のスペクトルはほとんど変化しなかった。したがって、蛍光体Pt(II)メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンの固定化の結果、生じうるルミネセンスに起因してマトリックスにより引き起こされる有害作用は、見いだすことができなかった。
【0090】
上記方法に従って生産されたPt(II)メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンを含有する酸素要素の場合、気相および溶液中でのオートクレーブ処理の前後に以下の応答時間が測定された:
【0091】
【表2】

【0092】
**応答時間t98%は、a)媒体を空気から窒素および窒素から空気に変えることにより、そしてb)媒体を酸素飽和水から酸素を含まない水(水+二亜硫酸ナトリウム+微量のコバルト)に変えることにより、決定した。
【0093】
用いた測定機器での蛍光収量の検出限界は約5000カウントであった。カウントがこの値を下回った場合、分析物の濃度は検出限界未満であり、および/またはセンサー要素を交換する必要がある。
【0094】
30サイクルのオートクレーブ処理の後、応答時間はほんのわずかに長くなった。フィルムおよびとりわけシリコーン層が厚いほど、応答時間は長くなった。数サイクルのオートクレーブ処理の後であっても食品および製薬業界での滅菌プロセスに十分な速さの良好な応答時間を有する測定スポットを、生産することができた。また、測定したスポットの蛍光強度はオートクレーブ処理プロセス(リン酸緩衝液中)によりほとんど低下せず、蛍光体はほとんど流出せず、熱処理によりほとんど脱色されなかった。染料は単独では耐熱性であることが知られている。蛍光体の流失および分解に対する強い耐性は、固定化しているポリマーのガラス転移温度が高いことと、それの特に高い温度レベルでの吸水の程度が低いことに起因する。
実施例2:ポリマーウェハを有する光化学センサー要素
本発明に従った光化学センサー要素の他の実施例は、基材としてポリマーウェハを使用することに関する。基材としてのポリマーウェハにより、固定化されている蛍光体を有するポリマーマトリックスの基材上での付着性、とりわけ老化後または何サイクルものオートクレーブ処理後の付着性が改善される。さらに、スピンコーティングプロセス中のウェハの湿潤、したがってフィルムの均一性には、基材と、溶解しているポリマーおよび蛍光体を含むスピンコートされた溶媒との間の親水性の調和が、大きな影響を与える。
【0095】
ポリマーウェハはガラス表面と比較してかなり疎水性であり、この場合クロロホルムまたはシクロヘキサンである溶媒とウェハ基材の各親水性の調和は遙かに良好であり、これが、ウェハのより良好な湿潤、したがってより均質でトポグラフ的に均一なフィルム表面をもたらす。また、スピンコートされたポリマーフィルムの付着性は、シラン化されたガラス表面上よりポリマーウェハ上の方が良好である。これにより、接着剤で個々の層を一緒に結合して層状構造を作る必要が完全になくなる。
【0096】
改善された付着性は、一方では、ポリマーフィルムまたはポリマーマトリックスと下にあるウェハ基材の各親水性の改善された調和に起因し、他方では、溶媒が部分的にこれらのウェハを表面的に攻撃し、ウェハの最上部ポリマー層を部分的に溶解させるという事実に起因する。溶媒が蒸発すると、ウェハの部分的に溶解したポリマー鎖は、なお溶液中にある付着フィルムのポリマー鎖と絡み合う。これにより、著しく向上した付着強度がもたらされ、オートクレーブ処理に耐えるセンサー要素の能力が大きく改善される。以下の手順により、最適な性質のセンサースポットが得られた:
ポリマー溶液:
22gの量のTopas 6015S−04を還流下で178gのシクロヘキサンに溶解した。冷却後、0.46gの量のPd(II)−メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンを溶液に加えた。蛍光体をより良好に溶解するために、溶液を短時間にわたり再沸騰させなければならなかった。
【0097】
つぎに、フィルムの形成を、半結晶質PA(例えば、EMS Chemicals、タイプTR XE 3942、Tg=190℃;最高使用温度160℃、130℃でのオートクレーブ処理が可能;ウェハの厚さ0.8mm)またはTopas自体(タイプ6015S−04;厚さ0.8mm〜1mm;最高使用温度>145℃)などのポリマーウェハ上に、スピンコーティングプロセスにより実施した。
【0098】
これにより以下の観察結果が得られた:
スピンコートされた溶液は、表面の全体にわたりより良好でより均等に広がり、未処理のガラスウェハまたはシラン化したガラスウェハのスピンコーティングで得られたものより均質なフィルムをもたらした。
【0099】
溶媒とウェハ基材の各親水性の調和がより良好なので、ウェハの湿潤は遙かに良好で速く、その結果、表面上に形成するフィルムは大きなトポグラフ的ばらつきを有さない。好ましくは、溶媒飽和雰囲気下で溶液を施用した直後に、Topasウェハからこれを振り落とした。Topasはシクロヘキサンとの接触により表面的にエッチングされ、これにより、スピンコートされたフィルムの付着が改善される。このようにして、明澄透明なスポットを構築することができた。
【0100】
ポリアミドウェハ(PAウェハ)はシクロヘキサンに対し著しくより安定であり、後者によるエッチングはせいぜい表面的にしか起こり得ない。ポリマー材料のうち、とりわけCOC/Topasがより短い波長範囲において良好な光学的透明性を有し、これは、とりわけ蛍光体の短い励起波長(最長400nm)に関し重要である。結果として、光化学センサー要素のキャリヤー材料における蛍光吸収が少ないので、蛍光収量は増大する。
【0101】
自然乾燥および120℃でのオーブン乾燥の後、ウェハをオートクレーブ処理の最初のサイクルに付した。
【0102】
厚さ約60μmの白色シリコーンの光学的被覆層を施用した後、センサースポット上で実施例1と類似の測定を行った。結果として生じる応答時間は、気相で約30秒、凝縮相で約80秒であることが見いだされた。
【0103】
Topasウェハ上のセンサースポットでは約14000カウント(空気中)で蛍光収量は十分高かったが、PAウェハ上のスポットは約9000カウントしかなかった。これは、PAウェハの透明性がより低いためである。
【0104】
つぎに、スポットを老化プロセス、特にCIPの反復サイクルに付した。ここにおいて、洗浄は硝酸および苛性ソーダを用いて実施した(80℃において5%NaOHで70時間または80℃において5%HNOで70時間)。これにより、塩基および酸に対するポリマーCOCの卓越した安定性が示された。PAウェハは苛性ソーダでの処理後は変化を示さなかったが、硝酸中で黄変した。酸処理後に黄色くなったPAウェハは上昇した吸収速度を示し、これはセンサー要素の特性の劣化を引き起こした。対照的に、COCウェハは、CIP手順の後、塩基または酸のいずれで実施したかにかかわらず、透過率の損失および変色を示さなかった。
実施例3:ハイブリッドウェハを有する光化学センサー要素
さらなる実施例では、実施例2のポリマーウェハの代わりにハイブリッドウェハを用いる。実質的に、ハイブリッドウェハは、スピンコーティングにより施用される蛍光体−ポリマー溶液の良好な付着を提供するためのポリマー付着剤を含む酸素不透過性ガラスで構成される。ポリマーフィルムのスピンコート中に付着剤は溶媒と十分相互作用することが可能であるが、付着剤に起因する酸素蓄積はできるだけ少なく保たれるように、付着剤は非常に薄く広がることが好ましかった。付着剤は10〜20μmの層厚を超えるべきでなく、非常に低い酸素溶解性を有すべきであり、それに加えて透明であるべきである。このようにして、表面的にエッチングされた付着剤とスピンコートされたポリマーとのポリマー鎖間の架橋が可能になり、老化後であってもそれらの良好な付着を保持するセンサー要素が得られる。このセンサー要素は、実施例2に記載したセンサー要素と類似の方法で生産することができる。
【0105】
ハイブリッドウェハを使用する利点は、ポリマーウェハとは対照的に、それらが実質的に酸素透過性を示さないほか、ドリフトのないセンサー要素を実現することができる点である。これに加えて、酸素の蓄積が少ないので、センサー要素の応答時間が短縮される。最初に、Topas層またはエポキシ層を付着剤として施用した。
【0106】
付着剤としてのTopasを、ハイブリッドウェハに厚さ約10μmの層としてスピンコーティングにより施用した。このようにして前処理した後、ウェハを実施例1に記載したように処理した。
【0107】
付着剤としてのエポキシは実質的に光学的に透明であり、それに加えてエポキシドは特に低い酸素溶解性を示すので、より厚い層を実現することもできる。付着剤として、例えば低粘性エポキシ製品を用いることができ、これは、EPOTEKによりEPOTEK 301、302、302FLの商品名で販売されており、スピンコーターによりガラスウェハ上で薄層にスピンコートすることができる。
【0108】
エポキシ付着剤層をガラスウェハ上に載せ、続いてこれを実施例1の方法に従ってさらに処理する方法を、以下に記載する。
【0109】
エポキシ層のより良好な湿潤を達成するために、最初にガラスウェハをエポキシプロピルトリメトキシシランで前処理した。この前処理では、一方ではシラン基がガラス表面と反応し、他方ではシランのエポキシ基とエポキシ付着剤の間に共有結合が生じる。前記前処理を行ったウェハ上に、平坦なエポキシフィルムをスピンコートすることができる。
【0110】
つぎに、Epotek 301を、前処理したガラスウェハ上に、約3000rpmの最終速度でスピンコートした。続いて施用される蛍光体−ポリマー層の最適な付着を達成するために、スピンコートしたエポキシを、最初に約50℃で1時間にわたり不完全に、この場合最終硬度の約3分の2まで硬化し、蛍光体−ポリマー層を施用した後に初めて該層と一緒に完全に硬化した。EPOTEK 301の硬化時間は、65℃で約1時間か、23℃で24時間である。
実施例4:光学繊維に施用したセンサーフィルム
さらなる実施例では、固定化されている蛍光体を有するポリマーマトリックスを、クラッディングまたはクラッディングの一部として、POF(ポリマー光学繊維)光学繊維のコアに施用した。通常、光学繊維は、クラッディングおよび外被により包囲されている光伝導性コアからなる。外被は、おもに光学繊維の外側保護物として機能する。
【0111】
内部に蛍光体が固定化されるポリマーは、内部全反射がコアとクラッディングの界面で起こるように、下にあるコアの材料より小さな屈折率を有する必要があることに、留意すべきである。この場合、ポリマーマトリックス中の蛍光体は、光学繊維のエバネッセント場により励起される。コアは、屈折率が約1.6〜1.8の材料を含むべきである。適した光学繊維は、例えば、高い屈折率を有するポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート−コ−グリシジルメタクリレート)(ガラス転移温度162℃、クロロホルムに可溶、Fluka Article No.591408)のコアを有するものである。
【0112】
これは、固定化されている蛍光体を有するポリマーマトリックスまたはポリマークラッディングとして、1.6未満の屈折率を有し、しかも必要な熱的および光学的性質を有するあらゆるポリマーを用いることができることを意味する。
【0113】
これらとしては、以下の屈折率を有するCOC、COPおよびPMMIポリマーが挙げられる(ISO 489):
COC(タイプ6015S−04) n=1.53
PMMI(Pleximid 8817) n=1.53
手順:
外被およびクラッディングを、POF光学繊維から約3mmの長さにわたり除去した。その後、下にあるコア材料のポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート−コ−グリシジルメタクリレート)をエタノールで洗浄した。
【0114】
つぎに、先端を、粘度が非常に低い蛍光体−ポリマー溶液(クロロホルムに溶解した6.25%Topas、2.5%蛍光体g/gポリマー)中でディップコーティングによりコーティングした。ディップコーティング後に残ったガラス繊維末端のポリマー滴をナイフで切断し、新たに暴露された繊維末端を反射材としての銀でコーティングした。その後、繊維末端(銀コーティングおよび固定化されている蛍光体を有する3mmのポリマーコーティングを有する先端)の全体を、酸素透過性の被覆または外被で被覆した。
【0115】
被覆は、同様に、下にあるポリマークラッディングより小さな屈折率を有するべきである。被覆はさらに、コアおよびクラッディングに良好な保護をもたらすために、酸素透過性および弾性を有するべきである。この種の酸素透過性被覆の例は、白色RTVシリコーン(ビニル末端ポリ(ジメチルシロキサン)由来のシリコーン)であり、これを光学的被覆として用いることは、先の実施例1〜3で既に記載した。この場合のシリコーンは、光学繊維中への外部光の望ましくない侵入が妨げられるように、白色であることが好ましい。応答時間の短いセンサー要素を実現するために、最大約100μmの層厚で被覆を施用した。
【0116】
この種の被覆として考えることができる製品としては、Gelest,Inc.により販売されていて、1.41〜1.43の屈折率を有し、二酸化チタンが添加されているシリコーン製品(Gelest OETM 41/42/43)か、Dow Corningからの標準的な低密度RTVシリコーン、例えばRTV 732“白色”が挙げられる。後者のシリコーンは白色シリコーンとして入手可能であり、食品との接触がFDAにより認可されている。他にも適したシリコーン製品が市販されている。
施用されるポリマー溶液:
1gのTopas(タイプ6015S−04)を15gのクロロホルムに溶解した。その後、0.0253gのPt(II)メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンをクロロホルム溶液に加え、完全に溶解した。このために、該溶液を還流下で短時間加熱した。つぎに、該溶液を、前処理したガラス光学繊維の浸漬に用いた。
【0117】
代替として、類似のPd(II)化合物、すなわちPd(II)−メソ−テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィンを用いた。
【0118】
他の代替として、Topasをシクロヘキサンに溶解し、該溶液にPd(II)−メソ−テトラフェニル−テトラベンゾ−ポルフィンを加えた。
結果:
比較的粘性のシリコーン溶液中で浸漬したので、光学繊維のための光学的保護層、具体的には被覆は比較的厚くなり、これが、この方法で作成したセンサー要素の応答時間に影響を与えた。Gelest製品は粘度がより低かったので、より薄い被覆をもたらし、したがって、シリコーン(タイプ732)“白色”での光学繊維のコーティングにより得られたものより速く応答するセンサー要素が得られた。他方、Gelestのコーティングを有する光学繊維は、該化合物がGelestから受領したままの形、すなわち、TiOを含まず、したがって透明な形で施用されているので、外部光に対しより敏感である。さらなる実験では、白色TiO層を光バリヤーとして導入すべきである。材料が透明なので、測定は外部光のない状態で実施しなければならなかった。両方の種類の光学的被覆を用いて、適した蛍光信号を有するセンサー要素を得ることができた。
【0119】
コア材料であるポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート−コ−グリシジルメタクリレート)のクロロホルムに対する溶解性およびその熱安定性に起因して、コア材料と施用されるポリマークラッディングとの良好な付着を達成することができた。センサー要素としてこのように調製した光学繊維はオートクレーブ処理サイクルに耐えることができ、被覆との間の付着がもたらされている場合、最高130℃の高温での施用にも用いることができることを、示すことができた。被覆とクラッディングの付着は、実施例1と同じようにして達成または向上させることができる。
実施例5:構造化された表面を有するウェハ
さらなる実施例では、規則的または不規則な構造化で構造化された表面を有するガラスウェハを基材として用いる。ウェハの構造化は、サンドブラスティング、研削、またはさまざまな公知のエッチング技術により達成することができる。フォトリソグラフィー法でエッチングすることにより、規則的で明確な構造および/または散漫に散乱している形状寸法をもたらすことも可能である。
手順:
公知の方法の一つに従って、深さ約50〜100μmのくぼみを有する構造化されたウェハ表面を生産した。
【0120】
つぎに、蛍光体−ポリマー溶液を、先の実施例と同様にウェハの構造化された表面上にスピンコートするか、あるいは、構造化された表面を該溶液で被覆した。
【0121】
このようにして生産したセンサー要素を乾燥した後、その表面を、約5〜20μmのくぼみが適切に残るように研削した。研削の結果、構造化された表面上に、フリーなガラス領域と、固定化されている蛍光体を含有するポリマーマトリックスで被覆された領域が作り出された。コーティングされた領域と比較して、フリーなガラス領域は向上した耐老化性を有していた。
【0122】
つぎの段階として、厚さが例えば50μmである放射線不透過性被覆層を、ナイフコーティングにより表面の全体にわたり容易に広げることができる。
【0123】
異なる形状のくぼみで励起光が散漫に散乱し、これにより、測定信号、この場合蛍光強度が増大する。
実施例6:シリコーン中に固定化されたポリマー球
この最後の実施例では、固定化されている蛍光体を有するTopasの球をシリコーン中に埋め込み、得られたポリマー混合物をナイフコーティングによりガラスウェハ上に広げる。
手順:
本明細書中で既に記載している蛍光体−ポリマー混合物のポリマー球は、一方で、ポリマー球が溶解しない第2の溶媒、例えば水の添加により、クロロホルムまたはシクロヘキサンに溶解した蛍光体−ポリマー溶液から沈殿させた後、遠心分離することにより得た。その後、この方法により得た球をシリコーンフィルムに埋め込んだ。
【0124】
あるいは、厚さ10μm未満の蛍光体−ポリマーフィルムを、ガラス基材上に、付着させずにスピンコートした。得られたフィルムを基材から溶解または剥離し、小片に粉砕した。その後、ポリマーマトリックスのフラグメントをシリコーンフィルム中に導入した。
結果:
ポリマー球のサイズまたはサイズの分布が、得られるセンサー要素の応答時間に対し影響を有することを示すことができた。球が小さいほど、得られるセンサー要素の応答時間は短いまたは速かった。シリコーン層の厚さは応答時間に対し大きな影響を有さなかった。センサー要素の全層厚が約100μmであっても、十分短い応答時間を実現できることが示された。
【符号の説明】
【0125】
1 光化学的測定装置
3 ハウジング
5 放射線源
7 鏡7
9 光化学センサー要素
11 ビームスプリッターまたはフィルター
13 検出器
15 電子測定回路
17 測定する分析物を含有する媒体
19 トランスミッターまたはインターフェース
21 光路
23 ポリマーマトリックス
25 蛍光体
27 基材
29 励起放射線
31 蛍光体により放出される蛍光
33 分析物
34 被覆層
35 境界層
36 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックス(23)中に固定化されている蛍光体(25)を含む、ガス状または溶解している分析物、詳細には酸素の測定のための光化学センサー要素(9)であって、該ポリマーマトリックス(23)が、非芳香族主鎖を有するポリマーを含み、該ポリマーが、エチレン−ノルボルネンコポリマー、環状オレフィンポリマーおよびポリ(n−メチルメタクリルイミド)からなる群より選択される、前記光化学センサー要素。
【請求項2】
ポリマーが、ポリ(n−メチルメタクリルイミド)およびエチレン−ノルボルネンコポリマーからなる群より選択される、請求項1に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項3】
ポリマーがエチレン−ノルボルネンコポリマーである、請求項2に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項4】
ポリマーマトリックス(23)が基材(27)上に配置されている、請求項1〜3の一項に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項5】
基材(27)が、ガラス、ポリエステル、非晶質または部分的に結晶質のポリアミド、アクリレート、ポリカーボネート、エチレン−ノルボルネンコポリマー(環状オレフィンコポリマー)およびこれらの材料の組合せからなる群より選択される材料を含む、請求項4に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項6】
基材(27)がエチレン−ノルボルネンコポリマー(環状オレフィンコポリマー)を含む、請求項5に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項7】
基材(27)がハイブリッド基材である、請求項5に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項8】
固定化されている蛍光体を有するポリマーマトリックス(25)が光学繊維のコア上に直接配置されている、請求項1〜3の一項に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項9】
固定化されている蛍光体を含有するポリマーマトリックスの球またはフラグメントがシリコーンマトリックス中に配置されている、請求項1〜3の一項に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項10】
分析物がガス状または溶解している酸素である、請求項1〜9の一項に記載の光化学センサー要素(9)。
【請求項11】
ガス状または溶解している分析物、詳細には酸素の決定のための測定装置(1)における請求項1〜10の一項に記載の光化学センサー要素(9)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535331(P2010−535331A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518678(P2010−518678)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060075
【国際公開番号】WO2009/016236
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】