説明

光反射体

【課題】少ない無機充填剤の量にもかかわらず光線反射率が高く、耐熱性、耐光性及び成形性に優れた光反射体、並びにその製造に用いる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂100質量部、酸化アルミニウム、シリカ及びシロキサンからなる表面処理剤で処理された平均粒径0.1〜0.3μmの二酸化チタン60〜90質量部及び延伸助剤1〜10質量部からなることを特徴とする光反射体用樹脂組成物及び当該樹脂組成物から製造される光反射体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光反射体の製造に適した樹脂組成物及び当該樹脂組成物から製造される光反射体に関する。詳しくは、耐熱性及び耐光性に優れ、かつ高い光反射率を有し、しかも反射率のばらつきが少ない多孔性樹脂シートである光反射体の製造に適した樹脂組成物及び当該樹脂組成物から製造される光反射体に関する。本発明に係わる光反射体は、主としてパソコン、携帯電話、薄型テレビ等の液晶表示装置のバックライトユニットを形成する光反射体として使用される。
【背景技術】
【0002】
近年、光反射体は様々な分野で用いられてきており、特に、パソコン、携帯電話、薄型テレビ等の液晶表示装置の主要部品として数多く使用されている。液晶表示装置は、薄型で省電力が達成できるものであること、並びに、液晶表示装置の大面積化及び表示品位の向上のため大容量の光量を液晶部分に供給することが求められている。液晶表示装置の省電力化を可能とし、薄型化を図り、且つバックライトユニットから供給する光量を多くするためには、光反射体の光反射効率が高くなければならず、高輝度が得られるバックライト用の光反射体が必要とされている。
【0003】
そこで、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤を含む多孔性シートからなる光反射体が開示されている。当該多孔性シートは電気絶縁性に優れるとともに、シート表面及びその内部に反射層を多数含有しているため優れた光線反射率を有し、しかも柔軟性に富み、剛性も低いとしている。
【0004】
さらに、特許文献2には、特許文献1の光反射体の耐熱性と成形加工性とを改善した光反射体が開示されている。即ち、前記ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン樹脂を使用することによって耐熱性を向上させ、延伸助剤により成形加工性を改善した光反射体である。
【0005】
【特許文献1】特開平7−230004号公報
【特許文献2】特開平11−174213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の光反射体は、少なくとも54%(実施例によると65%以上)の高濃度で無機充填剤を含むため、成形加工が困難で、延伸倍率を上げると、延伸加工時に延伸切れを起こすことがあった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決することを鑑みてなされたものであり、少ない無機充填剤の量にもかかわらず光線反射率が高く、耐熱性、耐光性及び成形性に優れた光反射体、並びにその製造に用いる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ポリプロピレン樹脂100質量部、酸化アルミニウム、シリカ及びシロキサンからなる表面処理剤で処理された平均粒径0.1〜0.3μmの二酸化チタン60〜90質量部及び延伸助剤1〜10質量部からなることを特徴とする光反射体用樹脂組成物である。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、表面処理剤の処理量が、前記二酸化チタンの6質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の光反射体用樹脂組成物である。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、延伸助剤が、硬化ヒマシ油及び脱水ヒマシ油から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1または2記載の光反射体用樹脂組成物である。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れかに記載の光反射体用樹脂組成物をシート成形し、該シート成形物を少なくとも一軸方向に延伸して得た多孔性樹脂シートからなる光反射体であって、該多孔性樹脂シートの波長550nmにおける最小反射率が95%以上、最大反射率と最小反射率の差が3%以下であり、110℃において1分間加熱したときの熱収縮率が10%以下であり、且つ、厚みが50〜500μmであることを特徴とする光反射体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、無機充填剤の添加量が少なくても十分な光線反射率と耐光性とを有する光反射体及びその製造に用いる樹脂組成物を提供できる。また、本発明の樹脂組成物は、成形加工性に優れ、延伸したときに延伸切れを起こすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態に係る光反射体及びその製造に用いる樹脂組成物について詳細に説明する。
【0014】
本発明の光反射体は、ポリプロピレン樹脂に高屈折率の無機充填剤及び延伸助剤を添加、混練して樹脂組成物となし、得られた樹脂組成物から例えば溶融押出成形等により未延伸シートを成形し、ついで得られた未延伸シートを一軸または二軸延伸することにより製造される。
【0015】
本発明で使用するポリプロピレン樹脂は、プロピレンを公知の方法で単独重合させたものであればとくに限定されるものでない。また、重合触媒としてチーグラー・ナッタ触媒に代表されるマルチサイト触媒を用いても、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒を用いても良い。さらに、ポリマー側鎖の立体規則性も特に限定はなく、アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクティックポリプロピレンのいずれをも使用することが出来る。これらのポリプロピレンは単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。ポリプロピレン樹脂のメルトインデックス(以下MIという)は一般に0.1〜10g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分のものである。MIが10g/10分を越えるものはシートの溶融成型時の形態安定性や延伸時の延伸性が劣り好ましくない。MIが0.1g/10分未満のものでは、延伸性には優れるが流動性が悪いために生産性に劣る。なお、本発明におけるポリプロピレン樹脂のMIは、ASTM
D−1238に規定される方法により、230℃、荷重2.16kgで測定した値である。ポリプロピレン樹脂のビカット軟化点(JIS K−6760に規定される方法で測定した値)は一般に130℃以上であることが好ましい。より好ましくは140℃以上である。ビカット軟化点がこれより低いと本発明の目的である高温での収縮率に劣り好ましくない。なお、本発明におけるポリプロピレン樹脂の融点は、ASTM
D−1525に規定される方法により測定したものである
【0016】
本発明に用いる無機充填剤である二酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型の何れでも使用できるが、その表面が酸化アルミニウム及びシリカで処理され、さらにシロキサン処理されたものが好ましく、他にポリオールなどの処理剤で処理されていても良い。表面処理されていないと耐光性ばかりでなく樹脂への分散性が劣る。前記二酸化チタンの平均粒径は、0.1〜0.3μmである。この範囲から外れると光反射率が低下するので好ましくない。表面処理剤の全処理量は、二酸化チタンに対し6質量%以下である。表面処理剤の処理量が二酸化チタンに対し6質量%を超えると光反射率が低下する。また、二酸化チタンの触媒活性を抑制し、分散性を改善するためには二酸化チタンに対し全部で少なくとも2質量%程度の表面処理剤が必要である。
【0017】
ポリプロピレン樹脂及び無機充填剤の添加比は得られる多孔性シートの光線反射率に影響を及ぼす。無機充填剤の添加量が少ないと得られる多孔性シートの開孔率が低くなり、逆に多いと開孔率が高くなる。開孔率が低い多孔性シートは、樹脂層と空気層との界面における光の反射量が減り、高い光線反射率を有する多孔性シートが得られない。また、無機充填剤の添加量が多いと多孔性シートの開孔率が高くなり光線反射率は増すが、シートの生産性、多孔性シートの機械的強度が低下する。本発明においては、無機充填剤として高屈折率の二酸化チタンを用いるため、その添加量を少なくしても高い光反射率を維持できる。従って、二酸化チタンの添加量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対し60〜90質量部が好適である。
【0018】
本発明に用いる延伸助剤は、樹脂組成物の延伸性を高めるため、多孔性シートの製造時に延伸切れをおこさず、生産性をよくすることが出来る。また、延伸時の樹脂と無機充填剤との間に亀裂を生じやすくする働きも持つ。従って、得られる多孔性シートに高い反射率を与えるとともに、シート位置による反射率のばらつきを3%以下に抑えることができる。その結果、本発明の光反射体は、輝度むらがなく、均一な光反射が得られる。これらの特性を発揮するものとして、脂肪酸とグリセリンとのエステルが挙げられる。脂肪酸としては、オクタデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカエン酸、オクタデカジエン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸等が好ましい。これら脂肪酸とグリセリンとのエステルにはモノエステル、ジエステル及びトリエステルがあるが、これらの単独物であっても、混合物であってもよい。より好ましくはトリエステルであって、中でも、オクタデカジエン酸トリグリセライドを主成分とする脱水ヒマシ油及びヒドロキシオクタデカン酸トリグリセライドを主成分とした硬化ヒマシ油がブリーディンしにくいため、好適に使用される。これらの延伸助剤は単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
【0019】
延伸助剤の添加量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対し1〜10質量部である。添加量が1質量部よりも少ないと前記特性を十分発揮することが出来ず、多孔性樹脂シートの反射率のばらつきが大きくなり、生産性にも劣る。添加量が10質量部を越えると、シート成型時に過剰成分が熱劣化を起こしたり、多孔性シートを得た後に経時的に表面に浮き出てきたりするため、好ましくない。
【0020】
本発明の光反射体に用いられる樹脂組成物には、本発明の目的を妨げない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤等の他の添加剤を添加しても良い。
【0021】
本発明の樹脂組成物の製造法には特に制限はないが、ポリプロピレン系樹脂と無機充填剤及び延伸助剤、必要に応じて他の添加剤とを混合、混練することにより製造できる。例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等を用いて室温またはその近傍の温度において混合した後、ストランドダイが装着された一軸または二軸押出機を用いて、用いるポリプロピレン系樹脂の融点以上の温度、好ましくは融点+20℃以上、ポリプロピレン系樹脂の分解温度未満の温度範囲において混練、溶融押出して、溶融ストランドとし、冷却した後、切断してペレット状に成形する方法が挙げられる。また、ポリプロピレン樹脂に無機充填剤を高濃度に含有させたマスターバッチを製造し、それをポリプロピレン樹脂で希釈する方法も可能である。
【0022】
前記のようにして得られたポリプロピレン樹脂組成物からシートを成形する方法にも特に制限はない。例えば、Tダイが装着された一軸または二軸押出機を用いる押出成形法、円形ダイが装着された押出機を用いるインフレーション成形法、カレンダー成形法等の公知の方法が挙げられる。シートの成形温度は、用いるポリプロピレン系樹脂により異なるが、通常、融点以上の温度、好ましくは、融点+20℃以上、分解温度未満の温度範囲である。
【0023】
得られた未延伸樹脂シートは、ロール法、テンター法等の公知の方法で少なくとも一軸方向に延伸される。延伸は一段で行ってもよいし、多段階に分けて行っても良い。また、二軸方向に延伸しても良い。さらに、延伸後必要に応じて、得られた開孔の形態を安定させるために熱固定処理を行っても良い。
【0024】
延伸中のシートの切断を防止し、且つ均一な延伸を行い、好ましい開孔率を有する多孔性シートを得るためには、延伸温度は、ビカット軟化点(JIS K−6760に規定される方法で測定した値)未満であることが好ましい。また、延伸倍率は、前記の無機充填剤の添加量と同様に、得られる延伸シートの反射率および反射率のばらつきに影響を及ぼす。延伸倍率が低すぎると得られる延伸シートの反射率が低下し、所々に反射率の低い未延伸部分が残存するため、反射率のばらつきが大きくなる。逆に延伸倍率が高すぎると十分に全体が均一に延伸されるが、樹脂と無機充填剤との界面で生じた孔が光の透過するレベルまで大きくなるため、反射率が低下し好ましくない。また、延伸倍率が高い場合、シートの延伸限界に達し、延伸中にシートが切断することがあるので好ましくない。かかる観点から、延伸倍率は、一軸延伸の場合には3〜10倍、二軸延伸の場合には一軸方向に3〜8倍、その方向と直角方向に3〜10倍が好ましい。
【0025】
多孔性樹脂シートの厚みが薄いと光の透過率が高くなり反射率が低下する傾向にある。また、厚いと反射率は向上するが、シートの生産性が低下するため好ましくない。従って、光反射体として用いる本発明の多孔性樹脂シートの厚みは、反射率と生産性を勘案すれば、50〜500μmであることが好ましい。さらに好ましくは100〜300μmである。
【0026】
本発明により得られた多孔性樹脂シートは、液晶表示装置のバックライトユニットを形成する光反射体として用いられる。その場合、前記のようにして得られた多孔性シート1枚で光反射体としてもよいが、複数枚積層しても用いてもよい。強度を補う等の理由により適宜、ポリエチレンテレフタレート等の他の熱安定性に優れる樹脂シートと積層して用いてもよい。多孔性シートと他のシートとの積層方法としては、各種接着剤を用い接着する方法、熱接着する方法等が挙げられる。
【0027】
このようにして得られた多孔性樹脂シートの熱収縮率は、110℃1分間の熱処理で10%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下である。熱収縮率がこれより大きいと、高温での使用状態で経時的に収縮を起こし、反射を促す表面及び内部の孔径が小さくなる結果、反射率が低下するため、好ましくない。また、光反射体としての収縮率を抑えるため、他の耐熱性樹脂シートと積層した際も、高温で多孔性シート側のみが変形することにより、シートが湾曲し輝度ムラを生じたり、反射率の低下を招いたりするので好ましくない。
【0028】
このようにして得られた本発明の光反射体は、シート位置に関わらず、波長550nmにおいて95%以上の光反射率を示し、且つ、MD方向、TD方向に関わらず熱収縮率が低く、空気中、110℃で1分間加熱したときの熱収縮率は10%以下であり、高温にさらされる可能性のある自動車用カーナビゲーションシステムや車載用小型テレビ等の液晶表示装置にも好適に用いられる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、延伸切れ回数、厚み、熱収縮率、光線反射率及び耐光性は下記の試験方法により測定した値である。
【0030】
(1)延伸切れ回数(回/hr)
多孔性樹脂シートを1時間生産し、その間に何回延伸切れを起こしたか測定した。
【0031】
(2)シート厚み(μm)
多孔性シートから試料(MD:101cm、TD:5cm)を3枚採取し、MDに1cm間隔で合計300箇所の測定点について、厚み測定機(PEACOCK社製、UPRIGHT
DIAL GUAGE NO.25)を用いて厚みを測定し、その平均値をシート厚みとした。
【0032】
(3)熱収縮率(%)
多孔性シートから試料(MD:15cm、TD:15cm)を5枚採取し、MD、TD両方向に沿って正確に100mm長の線を記す。110℃に設定した熱風循環オーブンにこれらサンプルをお互いが重ならないように入れ、1分後に取り出す。サンプルに記された線の長さ(単位:mm)を測定し、以下の数式(数1)に従って算出する。5枚分測定し、最も変化の絶対値が大きい値をデータ値とした。
熱収縮率(%)=[(100−熱処理後の読み)/100]×100
【0033】
(4)光線反射率(%)
長さ100m、幅0.6mの多孔性シートから無作為に試料(MD:30cm、TD:20cm)を10枚採取し、各試料のほぼ中央部からMDに10cm間隔、TDに10cm間隔で50×50mmの試験片を合計60枚採取し、JIS−K7105の測定法Bに準拠して、分光光度計(日立製作所社製、形式:U−3400)を用いて550nmの波長で当該試料の光線反射率を測定し、最小反射率と最大反射率を求め、標準反射板として酸化アルミニウムを用いた時の光線反射率を100とした時の相対値で示した。
【0034】
(5)耐光性(黄変防止性)
サンシャインウェザーメーター試験器(スガ試験機社製、形式:S80)(水の間欠噴霧なし)内で、多孔性シートに紫外線を1,000時間照射する。その後、当該シートの表面を肉眼で観察し、視覚判断により当該シート表面の色目が白色であるものを○、黄味がかかっているものを×と表示した。
【0035】
実施例1
MIが3g/10分の結晶性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製 F−300SP)100質量部に、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカルズ社製 IRGANOX 1010)0.1質量部、熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製 IRGAFOS 168)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム(堺化学社製 SC−P)0.5質量部、硬化ヒマシ油(伊藤製油社製 ヒマシ硬化油A)5質量部及び平均粒径0.21μmの二酸化チタン(石原産業社製 PF−691)70質量部を添加し、それをヘンシェルミキサーに投入し混合攪拌した後に同方向回転型二軸押出機に供給し240℃で溶融混練してストランドとして押出し、これを冷却しカット後120℃で2時間乾燥しペレット状の樹脂組成物(A)を得た。
【0036】
前記の樹脂組成物(A)を、Tダイを装着させた押出機に供給し240℃で押出し、キャストドラムに巻き付け、シート状に成形し未延伸シート(B)を得た。
得られた未延伸シート(B)を縦延伸機に導き加熱ロール間で130℃の温度で縦方向(MD)に5倍延伸し、次にテンター内温度160℃で横方向(TD)に10倍延伸した後、巻取り、厚みが200μmの多孔性シートを得た。この評価結果を表1に記載した。
【0037】
実施例2〜4
組成、延伸倍率及び厚みを表1に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして多孔性シートを得た。これらの評価結果を表1に記載した。なお、使用原材料は表3に示した。
【0038】
比較例1〜4
組成、延伸倍率及び厚みを表2に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして多孔性シートを得た。これらの評価結果を表2に記載した。なお、使用原材料は表3に示した。
【0039】
表1から、実施例で使用されている二酸化チタンは、酸化アルミニウム、シリカ及びシロキサンを含む表面処理剤で表面処理されているものであるが、その添加量が少なくても高い光線反射率を示し、反射率のばらつきが少なく、熱収縮率が低く、耐光性に優れて黄変することがなく、延伸切れも起こしていない。
【0040】
一方、表2において、比較例1は無機充填剤として酸化アルミニウムで処理された二酸化チタンを使用しているが、反射率が低く、耐光性が不十分なため黄変し、比較例2においても二酸化チタンが酸化アルミニウム、シリカ及びポリオールで処理はされているが反射率が低く、黄変している。
【0041】
比較例3及び4は、無機充填剤として硫酸バリウムを用いている例であるが、延伸助剤として硬化ヒマシ油が入っていない場合、又は入っていても硫酸バリウムの量が多い場合には延伸切れを起こしやすくなることが分かる。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン樹脂100質量部、酸化アルミニウム、シリカ及びシロキサンからなる表面処理剤で処理された平均粒径0.1〜0.3μmの二酸化チタン60〜90質量部及び延伸助剤1〜10質量部からなることを特徴とする光反射体用樹脂組成物。
【請求項2】
表面処理剤の処理量が、前記二酸化チタンの6質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の光反射体用樹脂組成物。
【請求項3】
延伸助剤が、硬化ヒマシ油及び脱水ヒマシ油から選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1または2記載の光反射体用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の光反射体用樹脂組成物をシート成形し、該シート成形物を少なくとも一軸方向に延伸して得た多孔性樹脂シートからなる光反射体であって、該多孔性樹脂シートの波長550nmにおける最小反射率が95%以上、最大反射率と最小反射率の差が3%以下であり、110℃において1分間加熱したときの熱収縮率が10%以下であり、且つ、厚みが50〜500μmであることを特徴とする光反射体。

【公開番号】特開2008−241901(P2008−241901A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79494(P2007−79494)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】