説明

光学イメージング剤

本発明は、光学イメージング造影剤を含んでなる、腫瘍周囲の腫瘍マージンのインビボ光学イメージング方法に関する。光学イメージング造影剤は、近赤外色素と、15〜45kDaの範囲内の分子量を有する合成ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーとのコンジュゲートを含んでいる。また、光学イメージング造影剤、医薬組成物及びキットも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学イメージング造影剤を含んでなる、腫瘍周囲の腫瘍マージンのインビボ光学イメージング方法に関する。光学イメージング造影剤は、近赤外色素と、15〜45kDaの範囲内の分子量を有する合成ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーとのコンジュゲートを含んでいる。また、光学イメージング造影剤、医薬組成物及びキットも開示される。
【背景技術】
【0002】
化学知識の大きな進歩及び各種の治療モダリティーの開発にもかかわらず、外科手術は今なお、初期段階の固形腫瘍に対して最も頻繁に使用されている唯一の最も有効な治療法である。腫瘍を物理的に除去することは、症状を低減させ、癌の拡散の可能性を低下させ、体内の癌の量を減少させ、他の治療法を一層有効にするために役立つ。60〜70%の癌患者が、単独で(すべての癌の40%が外科手術のみで処置されている)又は他の療法(通常は放射線療法又は化学療法)との組合せで外科手術を受けている。すべての癌患者の90%以上において、外科手術は疾患の経過中に合併症の診断、ステージング、治療及び管理のために使用されている。しかし、外科手術は最も古くかつ最も普通の形態の癌療法であるものの、多くの点でそれは最も標準化されていない介入でもあり、罹患臓器の追跡並びに正常組織と癌組織との識別を助けるための新しいツールが必要である。
【0003】
外科医は従来から、腫瘍の位置を確認するため、視覚及び触覚(視診及び触診)並びに何らかの手術前診断イメージング情報に頼っている。しかし、癌組織は正常組織から識別するのが難しいことが多く、或いは(例えば、潜在腫瘍のように)小さすぎて検出できない。したがって、従来の外科的技法はすべての癌組織が発見又は除去されたことを保証せず、非常に高い分解能及び感度をもって癌組織(特に腫瘍マージン)を特異的に同定できる薬剤に対するニーズが存在している。
【0004】
Wohrle et al[Makromol.Symp.,59,17−33(1992)]は、癌の光力学療法のためにインビボで標的組織中への取込みを向上させる可能な方法として、ポルフィリン光増感剤に対するポリマーコンジュゲーションを研究した。研究したポリマーはラット血清アルブミン、合成ポリエーテル及びポリアルコールであった。Wohrle et alは、ポリマーキャリヤーのコンジュゲーションが腫瘍取込みを向上させ得ると結論づけた。
【0005】
米国特許第5622685号には、ポルフィリン、フタロシアニン又はナフタロシアニンを含むポリエーテル置換抗腫瘍剤がインビボでの腫瘍診断及び治療の両方にとって向上した性質を示すことが開示されている。ポリエーテル置換基は、その末端ヒドロキシル基がそれぞれC1-12アルキル基又はC1-12アシル基でエーテル化又はエステル化されたポリエチレングリコール(PEG)からなっている。米国特許第5622685号は、コンジュゲートの総分子量が好ましくは10000Da(10kDa)以上であることを(縦欄2に)教示している。
【0006】
米国特許第6083485号及びその対応特許は、2.0以下のオクタノール−水分配係数を有するシアニン色素を用いるインビボ近赤外(NIR)光学イメージング方法が開示されている。また、前記色素と、特定の細胞集団に結合し、或いはレセプターと選択的に結合し、或いは組織又は腫瘍中に集積する30kDaまでの分子量の「生物学的検出単位」とのコンジュゲートも開示されている。米国特許第6083485号の色素は、ポリリシン、デキストラン、カルボキシデキストラン、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール又はカスケードポリマー様構造のような一定範囲の「非選択的結合性」巨大分子にコンジュゲートすることもできる。コンジュゲートの分子量は、100Daから100000Da以上まで(0.1kDaから100kDa以上まで)の範囲内にあると教示されている。特定の色素−巨大分子コンジュゲートは開示されていない。
【0007】
米国特許第6350431号(Nycomed Imaging AS)には、500〜500000Daの範囲内の分子量を有する光イメージング造影剤であって、2以上の発色団(即ち、色素分子)が結合した分子量60〜100000Daのポリアルキレンオキシド(PAO)を含む造影剤が開示されている。ポリアルキレンオキシド(PAO)部分は、好ましくは200〜100000Da、さらに好ましくは250〜50000Da、特に好ましくは250〜25000Da、最も好ましくは400〜15000Daの分子量範囲を有すると教示されている。米国特許第6350431号の造影剤は、さらに標的化ベクターを含み得る。米国特許第6350431号の実施例は、下記のPAOポリマーを使用している。
(i)分子量3400DaのPEG−ジアミン:実施例1、2、6、16、18及び25。
(ii)分子量5000DaのPEG−ジアミン:実施例3、4及び20。
(iii)分子量10000DaのPEG−ジアミン:実施例7、15、17及び26。
(iv)分子量3400DaのPEG−ジチオール:実施例12。
(v)分子量10000DaのPEG−ジチオール:実施例13。
(vi)平均分子量約14600のポリ(オキシエチレン−co−オキシプロピレン−co−オキシエチレン)ブロックコポリマー:実施例27。
このように、米国特許第6350431号の実施例はすべて、3.4〜14.6kDaの分子量範囲内にある。PEGポリマーのみに関しては、例示された分子量範囲は3.4〜10kDaである。
【0008】
Yuan et al[Cancer Res.,55,3752−3756(1995)]は、色素標識巨大分子に対するヒト腫瘍細胞の血管透過性を研究し、腫瘍血管は一般に正常細胞より高い漏出性及び低い透過選択性を有すると結論づけた。腫瘍細胞の透過性は、25〜160kDaの巨大分子分子量範囲内で2倍変化すると報告された。
【0009】
Dellian et al[Br.J.Cancer,82(9),1513−1518(2000)]は、ヒト腫瘍細胞の血管透過性に対する分子電荷の効果を研究した。彼等は、正に帯電した分子は同様な分子量の中性化合物又は負に帯電した化合物に比べて固形分腫瘍中により速く溢出すると結論づけた。
【0010】
Licha et al[SPIE Vol 3196 p.98−102(1998)]は、メトキシポリエチレングリコール(MPEG)に基づくポリ(エチレングリコール)(PEG)ポリマーを含むインビボ蛍光イメージング用造影剤を開示している。したがって、コンジュゲートはPEGポリマーの一端にコンジュゲートしたヘプタメチンシアニン色素を有し、他端にメチル基を有している。
【0011】
【化1】

【0012】
【表1】

Lichaはまた、2つのMPEG鎖がただ1つのシアニン色素にコンジュゲートした色素コンジュゲート(NIR96307、分子量約41kDa)も開示した。
【0013】
【化2】

NIR96307に関しては、nは決定されなかったが、コンジュゲートの平均分子量は41kDaであると述べられている。Lichaのポリマーコンジュゲートは、対応するMPEGアミン(即ち、H2NCH2[CH2OCH2nCH2OCH3)から合成された。
【0014】
関連する出版物[Licha et al,SPIE Vol 3196,p.103−110(1998)]には、上記のMPEGコンジュゲートを用いた動物での腫瘍検出が記載されている。特に、興味の対象は、(i)PEGコンジュゲートの許容性、(ii)薬物動態学的挙動及び(iii)悪性組織と正常組織との間のコントラストに対するその分子量の効果にあった。彼等は、分子量を増加させるとインビボでの血中循環時間が長くなることを認めた。彼等は、6kDaを超える分子量を有する色素−MPEGコンジュゲートに関し、遅れた時間に腫瘍環境中への保持量の増加及び腫瘍コントラストの向上が認められると結論づけた。
【0015】
Montet et al[Radiology,242(3),751−758(2007)]は、近赤外プローブであるAngioSense 680及びAngioSense 750を用いた血管新生の蛍光分子断層撮影(FMT)を報告した。これらは、非消光のために最適化されたインドシアニン型発蛍光団を有する高分子量(250kDa)のPEG化グラフトコポリマーとして記載された。この薬剤は、ポリリシン主鎖に結合したMPEGを含んでいる。Montet et alは、この薬剤が(5時間を超える)長い血中半減期を示し、投与後30分までは腫瘍溢出が起こらないが、それ以後は腫瘍取込み(したがってイメージング輝度)が経時的に増加することを報告している。
【0016】
Sadd et al[J.Control.Rel.,130,107−114(2008)]は、化学療法の効力並びにインビトロ及びインビボでのイメージングに関して3種のナノキャリヤー(線状ポリマー、デンドリマー及びリポソーム)の特性を研究した。研究した線状ポリマーは、次式のタイプの標的化PEGポリマーからなっていた。
[LHRH]−[PEGポリマー]−Cy5.5
式中、LHRHは黄体形成ホルモン放出ペプチドの合成類似体であり、Cy5.5は特定のシアニン色素である。使用したPEGポリマーは、約3kDaの分子量を有していた。Sadd et alの図4(111頁)では、上記コンジュゲートの腫瘍取込みが非標的化類似体(PEG−Cy5.5)と比較されている。Sadd et alは、LHRH標的化ポリマーコンジュゲートが非標的化類似体に比べて癌細胞中への蓄積の増強を示すと結論づけた。
【0017】
治療目的の外科手術では、たとえ顕微鏡サイズのものでも腫瘍を全く残さないことが肝要である。一次手術の際に検出できなかった残留腫瘍組織及び潜在腫瘍組織は、再発癌に成長することがある。そのような理由より、外科医はいかなる腫瘍も後に残さないこと及び切除した腫瘍の周囲の「マージン」が陰性であることを保証しなければならない。「切除マージン」としても知られるマージンとは、腫瘍と、それと共に除去される周囲組織の縁端との距離をいう。次いで、切除した腫瘍及び周囲組織は病理学者によってインビトロで検査される。それを特殊なインク中でころがすことで、マージンが顕微鏡下ではっきりと見えるようになる。臨床上は、外科的に切除した腫瘍の周囲のマージンは下記のように記載される。
(i)陽性マージン:インクが存在する組織の縁端まで癌細胞が延在している。
(ii)陰性マージン:インク中に癌細胞が見出されない。
(iii)近接マージン:陽性と陰性との間に位置する任意の状況を「近接」と見なす。
【0018】
癌細胞が切除された組織の縁端にいかに近接しているかを知ることは、患者治療の決定を行う際の助けとなる。マージンが陽性であれば、追加の手術が必要となる。マージンが近接であれば、手術が必要となることもあれば必要でないこともあり、或いはさらなる手術及び放射線療法又は化学療法の追加が必要な場合もある。マージンが陰性であれば、手術は十分である。「陰性マージン」の定義は病院ごとに異なっている。ある場所では、インクと癌細胞との間にたとえ1個でも正常細胞が存在すれば、これは陰性マージンと見なされる。別の場所では、インクと腫瘍との間に癌細胞を含まない2ミリメートル以上の組織が存在する場合に初めて、病理学者は「陰性マージン」というカテゴリーを使用する。通例、この分析は手術が完了した後に実施されるから、患者が手術台から離れる前に「陰性マージン」を同定することは大いに有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
英国特許出願公開第2337523号明細書
【発明の概要】
【0020】
本発明は、光学イメージング造影剤を用いて腫瘍周囲のマージンのインビボ光学イメージングを行う方法を提供する。光学イメージング造影剤は、近赤外色素と、15〜45kDaの範囲内の分子量を有する合成ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーとのコンジュゲートを含んでいる。また、光学イメージング造影剤、医薬組成物及びキットも開示される。
【0021】
MatBIII正所ラット乳癌モデル及びプロトタイプ蛍光画像誘導手術システムを用いて、腫瘍マージンをハイライトすることに関する本発明の薬剤の効力を決定した。定量化はマージン/包囲スキン比(MSR)によって達成された。能動標的化薬剤に比べて、巨大分子の受動標的化薬剤は改善された結果を与えた。
【0022】
本発明は、切開レベルで(最小0.2〜0.3mmまでの)サブミリメートルの疾患病巣を検出し得るイメージング剤を提供する。それにより、外科医は手術中に癌病巣の検出を行うことができる。かかるイメージング剤は、手術の誘導及び/又は残留疾患の同定を可能にする。かかるイメージング剤は、外科医が手術する癌患者の件数及び/又は病理学者の経験に関係なく、外科手術を標準化するために役立つ。かかるイメージング剤は腫瘍手術の能率を向上させ、患者からの正常組織の不要な切除を最小限に抑えながら(上記に定義した)「陰性マージン」を最大化するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、MSR比に対するPEG分子量の効果を示している。
【図2】図2は、ビス−ジアミノ−PEG31Kコンジュゲートに対する色素の効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の態様では、本発明は、1以上の腫瘍を有することが知られている生きた被験体において腫瘍の腫瘍マージンのインビボ光学イメージングを行う方法であって、
(i)分子量15〜45kDaの合成ポリエチレングリコールポリマーと1つ又は2つのOptR基とのコンジュゲートを含む、インビボイメージングのために適した光学イメージング造影剤を用意する段階、並びに
(ii)前記腫瘍及び腫瘍マージンを含む前記被験体の検査対象領域であって、前記造影剤を投与した検査対象領域の光学画像を生成する段階
を含んでなり、各OptRは独立に波長600〜850nmの光を用いる光学イメージング操作で直接又は間接に検出できる生体適合性光学レポーター基である方法を提供する。
【0025】
「光学イメージング」という用語は、緑色乃至近赤外領域(波長500〜1200nm)の光との相互作用に基づいて、疾患の検出、ステージング又は診断、疾患進展の追跡或いは疾患治療の追跡のための画像を形成する任意の方法を意味する。光学イメージングはさらに、いかなる装置も使用しない直接可視化並びに各種スコープ、カテーテル及び光学イメージング装置(例えば、断層撮影表示用のコンピューター支援ハードウェア)のような装置の使用を伴う直接可視化のためのあらゆる方法を包含する。かかるモダリティ及び測定技法には、特に限定されないが、ルミネセンスイメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光学コヒーレンス断層撮影、透過率イメージング、時間分解透過率イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡検査、光音響イメージング、音響光学イメージング、スペクトル分析、反射スペクトル分析、干渉分析、コヒーレンス干渉分析、拡散光学断層撮影及び蛍光媒介拡散光学断層撮影(連続波、時間ドメイン及び周波数ドメインシステム)、並びに光の散乱、吸光、偏光、ルミネセンス、蛍光寿命、量子収量及び消光の測定がある。これらの技法のさらなる詳細は、Tuan Vo−Dinh(editor):“Biomedical Photonics Handbook”(2003),CRC Press LCC、Mycek & Pogue(editors):“Handbook of Biomedical Fluorescence”(2003),Marcel Dekker,Inc.、及びSplinter & Hopper:“An Introduction to Biomedical Optics”(2007),CRC Press LCCに示されている。
【0026】
「光学イメージング造影剤」という用語は、インビボで完全な(即ち、無傷の)哺乳動物体の検査対象領域の光学イメージングを行うのに適した化合物を意味する。好ましくは、哺乳動物は生きているヒト被験体である。イメージングは侵襲的(例えば、手術中検査又は内視鏡検査)であってもよいし、或いは非侵襲的であってもよい。イメージングは、腫瘍マージンの同定によって(例えば、手術処置中に)腫瘍切除を容易にするために使用される。
【0027】
「腫瘍マージン」という用語は、新しい腫瘍血管の内腔と腫瘍の本体を取り巻く腫瘍細胞及び正常細胞との間に位置する腫瘍周辺の間隙空間を意味する。ここでは、新しい腫瘍血管が漏出性を有するため、大きい巨大分子が血液から溢出し、その間隙領域内に捕捉されるか又は一時的に濃縮される。このような現象は、透過性上昇及び保持(EPR)として知られている。このように、癌細胞はその増加した増殖速度を維持するために追加の栄養素を必要とし、これは血管新生によって達成される。血管新生は新しい血管の形成過程である。これらの新しい血管は確立された血管より構造化の程度が低い傾向にあり、これらの血管を内張りする内皮細胞間の接合部が確立された血管の場合ほど緊密かつ剛直でないため、時には「漏出性」血管網と呼ばれる。血管新生による漏出性微細血管網の発生は、すべての固形腫瘍に共通している[Folkman,Semin.Cancer Biol.,,65−71(1992)及びFolkman,Nature Med.,,27−31(1995)]。
【0028】
「生きた被験体」という用語は、生きている哺乳動物被験体、好ましくは生きているヒト被験体を意味する。
【0029】
「合成」という用語は、その通常の意味を有し、即ち天然の供給源から単離されたものではなく人造のものである子とを意味する。かかる化合物は、その製造及び不純物プロファイルが完全に管理できるという利点を有する。
【0030】
「ポリエチレングリコールポリマー」又は「PEG」という用語は、例えば“The Merck Index”,14th Edition,見出し7568に記載されているようなその通常の意味を有し、即ち一般式H(OCH2CH2nOH(式中、nは4以上の整数である。)の液体又は固体ポリマーである。本発明のポリエチレングリコールポリマーは線状のもの又は枝分れしたもの(即ち、デンドリマー)であり得るが、好ましくは線状のものである。ポリエチレングリコールポリマーは好適には多分散性である。「ポリマー末端」という用語は、PEGポリマーのポリエーテル鎖の末端を形成する官能基(上記の一般式では2つのヒドロキシ(−OH)基)を意味する。
【0031】
「コンジュゲート」という用語は、「光学レポーター」(OptR)がポリエチレングリコールポリマーと共有結合している誘導体を意味する。
【0032】
「生体適合性」という用語は、無毒性であり、したがって副作用或いは投与時の苦痛又は不快感なしに哺乳動物体(特に人体)に投与するのに適していることを意味する。
【0033】
「光学レポーター」(即ち、OptR)という用語は、波長600〜850nmの光を用いる光学イメージング操作で直接又は間接に検出できる蛍光色素まま発色団を意味する。光学レポーターはインビボでの哺乳動物体のイメージングに適していなければならないので、それはまた生体適合性でもなければならない。好ましくは、OptRは蛍光性を有しており、好ましくは生体適合性の蛍光色素からなる。
【0034】
「検査対象領域」又はROIという用語は、インビボ医学イメージングの分野におけるその通常の意味を有する。
【0035】
好ましい特徴
ポリエチレングリコールポリマーの分子量は、好ましくは20〜43kDa、さらに好ましくは22〜40kDa、最も好ましくは25〜38kDaであり、27〜35kDaが理想的である。ポリエチレングリコールポリマーは好ましくは線状ポリマーである。
【0036】
ポリエチレングリコールポリマーには、好ましくはOptR基のみがコンジュゲートされている。即ち、好ましくは生物学的標的化分子又は他のポリマーはこのポリマーにコンジュゲートされていない。「生物学的標的化部分」という用語は、投与後、哺乳動物体の特定部位に選択的に取り込まれるか又は特定部位に局在する化合物を意味する。かかる部位は、例えば、特定の疾患状態に関係するものであるか、或いは器官又は代謝過程がいかに機能しているかを表すものであり得る。生物学的標的化部分は、通例、線状ペプチド、環状ペプチド又はこれらの組合せであり得る3〜100量体ペプチド、ペプチド類似体、ペプトイド又はペプチド模倣体、或いは酵素基質、酵素拮抗剤又は酵素阻害剤、或いは合成レセプター結合化合物、或いはオリゴヌクレオチド、オリゴDNAフラグメント又はオリゴRNAフラグメントからなる。
【0037】
第1の態様のコンジュゲートは、好ましくは次の式Iを有する。
1−Xa−[POLYMER]−Xb−Y2
(I)
式中、
[POLYMER]は合成ポリエチレングリコールポリマーであり、
a及びXbは前記ポリエチレングリコールポリマーの末端に結合していて、独立に化学結合又はL基であり、Lは式−(A)m−(式中、各Aは独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロへテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基又はC3-12へテロアリーレン基、アミノ酸或いは糖であり、各Rは独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル及びC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、mは1〜20の値を有する整数である。)のリンカー基であり、
1及びY2は独立にOptR(ここで、OptRは上記に定義した通りである。)であるか、或いは−OH、−O(C1-10アルキル)、−NH2及び−NH(CO)(C1-10アルキル)から選択される官能基であり、
1及びY2の少なくとも一方はOptRであることを条件とする。
【0038】
「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)或いはアミノ酸模倣体を意味し、これらは天然のもの又は純粋に合成由来のものであってよく、光学的に純粋なもの(即ち、単一の鏡像異性体)、したがってキラルなものであるか、或いは鏡像異性体の混合物であってよい。
【0039】
「糖」という用語は、単糖、二糖又は三糖を意味する。好適な糖には、グルコース、ガラクトース、マルトース、マンノース及びラクトースがある。任意には、アミノ酸への容易なカップリングを可能にするように糖を官能化することができる。即ち、例えばアミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコンジュゲートすることができる。(NovaBiochem社から商業的に入手できる)アスパラギンのグルコサミン誘導体はこれの一例である。
【0040】
【化3】

式Iにおいて、Y1及びY2の一方のみがOptRである場合、他方は好ましくは−OH及び−NH2から選択される官能基であり、さらに好ましくは−OHである。
【0041】
式Iにおいては、Y1及びY2の各々がOptRであることが好ましい。その場合、X及びX’は好ましくは、ジアミノ−PEG又はジカルボキシ−PEGポリマーからコンジュゲートが製造されるように−NHCO−又は−CONH−となるように選択される。即ち、かかるPEGポリマーはそれぞれH2N−[POLYMER]−NH2又はHOOC−[POLYMER]−COOHに相当しており、この場合にはOptRの生体適合性色素がアミド結合を介してポリマーの各末端にコンジュゲートされる。
【0042】
1及びY2の各々がOptRである場合、Y1及びY2のOptR基はそれぞれ同一の生体適合性レポーターからなることが好ましい。それは3つの利点を有している。第一に、生体適合性レポーターの2つの発色団が同一である場合、造影剤は(レポーターの分子量はポリマーの分子量よりはるかに小さいので)実質的に同一の分子量に対して増強された蛍光信号を示す。第二に、2種の生体適合性レポーターからの信号間において起こり得る蛍光の不溶の干渉及び/又は消光が回避される。第三に、対称的な二官能性PEGは合成するのが容易である。
【0043】
式Iにおいて、L基のmは好ましくは1〜5、最も好ましくは1〜3の値を有する整数である。
【0044】
OptRは、好ましくは波長610〜800nm、さらに好ましくは波長700〜780nm、最も好ましくは波長730〜770nmの光を用いる光学イメージング操作で直接又は間接に検出できる生体適合性色素からなる。OptRの生体適合性色素は、好ましくは蛍光性を有する。かかる色素の特定の例には、インドシアニングリーン、シアニン色素であるCy5、Cy5.5及びCy7、並びにAlexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700及びAlexa Fluor 750がある。
【0045】
生体適合性色素は、好ましくはシアニン色素又はベンゾピリリウム色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。発蛍光団である好ましいシアニン色素は、次の式IIのものである。
【0046】
【化4】

式中、
各X’は独立に−C(CH32、−S−、−O−及び−C[(CH2aCH3][(CH2bM]−(式中、aは0〜5の値を有する整数であり、bは1〜5の値を有する整数であり、MはG基であるか、或いはSO31及びHから選択される。)から選択され、
各Y’は独立にH、−CH2NH2、−SO31、−CH2COOM1、−NCS、F及びG基からなる群から選択される1〜4の基を表し、Y’基は芳香環の任意の位置に配置されており、
Q’は独立にH、SO31、NH2、COOM1、アンモニウム、エステル基、ベンジル及びG基からなる群から選択され、
1はH又はBc(ここで、Bcは生体適合性陽イオンである。)であり、
zは2又は3の値を有する整数であり、
mは1〜5の整数であり、
X’、Y’及びQ’の少なくとも1つはG基からなり、
GはPEGポリマーへの結合のために適した反応基又は官能基である。
【0047】
「生体適合性陽イオン」(Bc)という用語は、イオン化して負に帯電した基と共に塩を形成する正に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記正に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳動物体(特に人体)への投与に適している。好適な生体適合性陽イオンの例には、アルカリ金属であるナトリウム及びカリウム、アルカリ土類金属であるカルシウム及びマグネシウム、並びにアンモニウムイオンがある。好ましい生体適合性陽イオンはナトリウム及びカリウムであり、最も好ましくはナトリウムである。
【0048】
G基はPEGポリマーの相補的な基と反応して、シアニン色素発蛍光団とポリマーとの間に共有結合を形成する。式II中でのG基の位置は、PEGがQ’、X’又はY’の位置に適宜にコンジュゲートされ得るようなものである。GはPEGの相補的な官能基と反応し得る反応基であってもよいし、或いは別法としてPEGの反応基と反応し得る官能基を含んでいてもよい。反応基及び官能基の例には、活性エステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、酸ハライド、ヒドラジド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン、ホスホラミダイト、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、カルボニル、カルボン酸及びチオホスフェートがある。好ましくは、Gは活性エステルである。
【0049】
「活性化エステル」又は「活性エステル」という用語は、良好な脱離基であり、したがってアミンのような求核性化合物との一層容易な反応を可能にするように設計された関連カルボン酸のエステル誘導体を意味する。好適な活性エステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、スルホスクシンイミジルエステル、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、p−ニトロフェノール、ヒドロキシベンゾトリアゾール及びPyBOP(即ち、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)である。好ましい活性エステルは、N−ヒドロキシスクシンイミド又はペンタフルオロフェノールエステル、特にN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0050】
シアニン色素の好ましい特徴
式IIに基づく好ましいシアニン色素は、次の式IIaで定義されるものである。
【0051】
【化5】

式中、
3及びY4は独立に−O−、−S−、−NR5−又は−CR67−であり、Y3及びY4の少なくとも一方が−CR67−であるように選択され、
1及びR2は独立にH、−SO31又はRaであり、
3〜R5は独立にC1-5アルキル、C1-6カルボキシアルキル又はRaであり、
6はH又はC1-3アルキルであり、
7はRa又はC1-6カルボキシアルキルであり、
aは独立にC1-4スルホアルキルであり、
1及びz式IIで定義した通りであり、
式IIaのシアニン色素は1以上のRa基並びにR1、R2及びRa基に由来する全部で1〜6のスルホン酸置換基を有することを条件とする。
【0052】
「スルホン酸置換基」という用語は、式−SO31(式中、M1は上記に定義した通りである。)の置換基を意味する。式IIaの好ましい色素はz=3を有する。好ましいかかる色素はまた、2〜6のスルホン酸置換基を有する。−SO31置換基は炭素原子に共有結合しており、炭素原子はアリール(即ち、R1又はR2基)又はアルキル(即ち、Ra基)であり得る。式IIa中では、Ra基は好ましくは式−(CH2kSO31である。式中、M1は上記に定義した通りであり、kは1〜4の値を有する整数である。kは好ましくは3又は4である。式IIaのさらに好ましいシアニン色素は、z=3を有するもの、即ちヘプタメチンシアニン色素である。
【0053】
特に好ましいシアニン色素は、次の式IIbのものである。
【0054】
【化6】

式中、
9及びR10は独立にH又はSO31であって、R9及びR10の少なくとも一方はSO31であり、
11及びR12は独立にC1-4アルキル又はC1-6カルボキシアルキルであり、
13、R14、R15及びR16は独立にRb基(式中、RbはC1-4アルキル、C1-6カルボキシアルキル又は−(CH2qSO31であり、qは3又は4の値を有する整数である。)であり、
1は式II及び式IIaに関して定義した通りであり、
シアニン色素はR9、R10及びRb基中に全部で1〜4のSO31置換基を有することを条件とする。
【0055】
式IIbの好ましいシアニン色素は、PEGポリマーへのコンジュゲーションを容易にするため、1以上のC1-6カルボキシアルキル基又はその活性化エステルを含むように選択される。式IIbの特に好ましいかかる色素は次式のCy7である。
【0056】
【化7】

「ベンゾピリリウム色素」という用語は、その通常の意味を有する。
本発明の好適なベンゾピリリウム色素はBzpMで表され、次の式IIIを有する。
【0057】
【化8】

式中、
5は次の式Ya又は式Ybの基であり、
【0058】
【化9】

Xは−CR3435−、−O−、−S−、−Se−、−NR36−又は−CH=CH−(式中、R34〜R36は独立にRg基である。)であり、
21〜R24及びR29〜R33は独立にH、−SO31、Hal、Rg及びC3-12アリールから選択され、
25はH、C1-4アルキル、C1-6カルボキシアルキル、C3-12アリールスルホニル又はClであるか、或いはR25は任意にはR26、R34、R35又はR36の1つと共に五員又は六員の不飽和脂肪族環、不飽和ヘテロ脂肪族環又は芳香環を形成でき、
26及びR36は独立にRg基であり、
27及びR28は独立にC1-4アルキル、C1-4スルホアルキル又はC1-6ヒドロキシアルキルであるか、或いはYaに関しては任意にはR29及び/又はR30の一方又は両方と共に五員又は六員のN含有複素環又はヘテロアリール環を形成でき、或いはYbに関しては任意にはR30及び/又はR30の一方又は両方と共に五員又は六員のN含有複素環又はヘテロアリール環を形成でき、
gはC1-4アルキル、C1-4スルホアルキル、C1-6カルボキシアルキル又はC1-6ヒドロキシアルキルであり、
wは1又は2であり、
Jは生体適合性陰イオンであり、
1は式IIに関して定義した通りであり、
BzpMはR21〜R36基から選択される1以上のスルホン酸置換基を含むことを条件とする。
【0059】
「生体適合性陰イオン」(J)という用語は、イオン化して正に帯電した基(この場合にはインドリニウム基)と共に塩を形成する負に帯電した対イオンを意味する。この場合、前記負に帯電した対イオンも無毒性であり、したがって哺乳動物体(特に人体)への投与に適している。対イオン(J-)は、モル相当量で存在することでBzpM色素上の正電荷をバランスさせる陰イオンを表す。電荷をバランスさせる量が存在する限り、陰イオン(J)は好適には単一又は複数の電荷を有する。陰イオンは好適には無機酸又は有機酸から導かれる。好適な陰イオンの例には、塩化物イオン又は臭化物イオンのようなハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、クエン酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン及びホウ酸イオンがある。好ましい陰イオンは塩化物イオンである。
【0060】
本発明の好適な造影剤は、BzpMが次の式IIIa又は式IIIbを有するものである。
【0061】
【化10】

式中、X、w、J及びR21〜R33は式IIIに関して定義した通りである。
【0062】
25がR26/R34〜R36の1つと共に五員又は六員の不飽和脂肪族環、不飽和ヘテロ脂肪族環又は芳香環を形成する場合、好適なかかる芳香環には、フェニル、フラン、チアゾール、ピリジル、ピロール及びピラゾール環がある。好適な不飽和環は、少なくともR25が結合したC=Cを含んでいる。
【0063】
27及び/又はR28が(Y1が上記に記載したようなYa又はYbであるのに応じて)R29、R30又はR31の少なくとも1つと共に五員又は六員のN含有複素環又はヘテロアリール環を形成する場合、好適なかかる環には、チアゾール、ピリジル、ピロール及びピラゾール環並びにこれらの部分水素化バージョンがある。好ましくは、ピリジル又はジヒドロピリジルである。
【0064】
ベンゾピリリウム色素の好ましい特徴
PEGポリマーは、好ましくは式IIIのBzpMのR25、R26、R34、R35又はR36の位置、さらに好ましくはR26、R34、R35又はR36の位置、最も好ましくはR26、R34又はR35の位置に結合している。結合を容易にするため、関連するR25、R26、R34、R35又はR36置換基は好ましくはC1-6カルボキシアルキル、さらに好ましくはC3-6カルボキシアルキルからなる。
【0065】
ベンゾピリリウム色素(BzpM)は、好ましくは2以上のスルホン酸置換基、さらに好ましくは2〜6のスルホン酸置換基、最も好ましくは2〜4のスルホン酸置換基を有する。好ましくは、スルホン酸置換基の少なくとも1つはC1-4スルホアルキル基である。かかるスルホアルキル基は、好ましくは式IIIのR26、R27、R28、R34、R35又はR36の位置にあり、さらに好ましくはR26、R27、R28、R34又はR35の位置にあり、最も好ましくはR27及びR28の一方又は両方と共にR26の位置にある。式IIIのスルホアルキル基は、好ましくは式−(CH2kSO31(式中、M1はH又はBcであり、kは1〜4の値を有する整数であり、Bcは(上記に定義したような)生体適合性陽イオンである。)を有する。kは好ましくは3又は4である。
【0066】
式IIIにおいて、wは好ましくは2である。R25は好ましくはH又はC1-4カルボキシアルキルであり、最も好ましくはHである。Xは好ましくは−CR3435−又は−NR36−であり、最も好ましくは−CR3435−である。w=2を有する特に好ましいベンゾピリリウム色素はDY−750及びDY−752であり、これらはDyomics GmbHから商業的に入手できる。
【0067】
第1の態様の方法では、造影剤は好ましくは、コンジュゲートを生体適合性キャリヤーと共に含む医薬組成物からなる。かかる医薬組成物は、第3の態様(下記)に記載される通りである。
【0068】
第1の態様の方法は、前記被験体からの腫瘍の切除に際して外科医を支援するため、好ましくは手術中に実施される。第6の態様の好ましい光学イメージング方法は、蛍光反射イメージング(FRI)である。FRIでは、本発明の造影剤を診断すべき被験体に投与し、次いで被験体の組織表面を励起光(通常は連続波(CW)励起)で照明する。光は造影剤のOptRを励起する。励起光によって造影剤から発生する蛍光を、蛍光検出器を用いて検出する。好ましくは、戻る光を濾光することで蛍光成分を(単独に又は部分的に)分離する。蛍光から画像を形成する。通常、最小限の処理が実施され(寿命、量子収量などの光学パラメーターを計算するためのプロセッサーは使用されない)、画像は蛍光強度をマップする。造影剤は、疾患領域に集中して高い蛍光強度を生み出すように設計されている。したがって、疾患領域は蛍光強度画像中に正のコントラストを生み出す。画像は好ましくはCCDカメラ又はチップを用いて取得される結果、リアルタイムイメージングが可能である。
【0069】
励起用の波長は、使用する特定の色素に応じて変化する。励起光を発生するための装置は、レーザー(例えば、イオンレーザー、色素レーザー又は半導体レーザー)、LEDアレイ、ハロゲン光源又はキセノン光源のような通常の励起光源であり得る。任意には、各種の光学フィルターを用いて最適の励起波長を得ることができる。
【0070】
第1の実施形態では、好ましいFRI方法は、
(i)生きた被験体内の検査対象領域を含む組織表面を励起光で照明する段階、
(ii)OptRの励起によって造影剤から発生する蛍光を、蛍光検出器を用いて検出する段階、
(iii)蛍光検出器によって検出された光を任意に濾光して蛍光成分を分離する段階、及び
(iv)段階(ii)又は(iii)の蛍光から前記組織表面の画像を形成する段階
を含んでなる。段階(i)〜(iv)を含む方法において、段階(i)の励起光は好ましくは連続波(CW)の性質を有する。
【0071】
第2の実施形態では、光学イメージングは好ましくはFDPM(周波数ドメイン光子移動)からなる。これは、組織内における色素の検出深度が大きいことが重要である場合、連続波(CW)方法に比べて利点を有する[Sevick−Muraca et al,Curr.Opin.Chem.Biol.,,642−650(2002)]。かかる周波数/時間ドメインイメージングのためには、CzDが、画像化すべき病変の組織深度及び使用する計装のタイプに応じて変調できる蛍光特性を有するならば有利である。好ましいFDPM方法は下記のようなものである。即ち、
(a)前記生きた被験体の検査対象領域をなす、不均質組成を有する光散乱性生体組織を、所定の経時変動強度を有する光源からの光に暴露して造影剤を励起する段階であって、組織が励起光を多重散乱させる段階、
(b)前記暴露に応答した組織からの多重散乱発光を検出する段階、
(c)組織内の様々な位置における蛍光特性のレベルにそれぞれ対応する複数の値をプロセッサーで確定することにより、発光から組織全体の蛍光特性を定量化する段階であって、蛍光特性のレベルが組織の不均質組成に応じて変化する段階、及び
(d)段階(c)の値に従って組織の不均質組成のマッピングを行うことで組織の画像を生成する段階
を含んでいる。
【0072】
段階(c)の蛍光特性は、好ましくは造影剤の取込みに対応し、好ましくはさらに前記造影剤の投与前における組織の吸着係数及び散乱係数に対応する複数の量のマッピングを含んでいる。段階(c)の蛍光特性は、好ましくは蛍光寿命、蛍光量子効率、蛍光収量及び造影剤取込みの1以上に対応する。蛍光特性は、好ましくは発光強度に無関係であり、また造影剤濃度に無関係である。
【0073】
段階(c)の定量化は、好ましくは、(i)値の推定値を設定し、(ii)推定値の関数として計算発光を求め、(iii)計算発光を前記検出段階の発光と比較して誤差を求め、(iv)誤差の関数として蛍光特性の修正推定値を得ることを含んでいる。定量化は、好ましくは、組織の多重光散乱挙動をモデル化する数学的関係から値を求めることを含んでいる。第1のオプションの方法は、好ましくはさらに、前記蛍光特性の変動を検出することでインビボでの組織の代謝特性をモニターすることを含んでいる。
【0074】
第1の態様の造影剤は次のようにして製造できる。PEGポリマーに対するOptRのコンジュゲーションを容易にするため、OptRの色素には好適には反応性官能基(Qa)が結合されている。Qa基は、ポリマーの相補的な官能基と反応することで色素とポリマーとの間に共有結合を形成するように設計されている。好適なQa基は、カルボキシル、活性化エステル、イソチオシアネート、マレイミド、ハロアセトアミド、ヒドラジド、ビニルスルホン、ジクロロトリアジン及びホスホラミダイトから選択できる。好ましくは、Qaはカルボン酸の活性化エステル、イソチオシアネート、マレイミド又はハロアセトアミドである。最も好ましくは、Qaは活性化エステルである。かかる活性化エステルの好ましい態様は下記に記載される通りである。
【0075】
シアニン色素を生物学的分子にコンジュゲートするための一般的方法は、Licha et al[Topics Curr.Chem.,222,1−29(2002);Adv.Drug Deliv.Rev.,57,1087−1108(2005)]によって記載されている。シアニン色素をPEGポリマーにコンジュゲートするための方法は、Licha et al[SPIE Vol 3196 p.98−102(1998)]によって教示されている。
【0076】
コンジュゲートがPEGポリマーの各末端に1つずつ2つのOptR基を含む場合、好ましい出発原料はジアミノ−PEGである。Elbert et al[Elbert & Hubbell;Biomacromol.,,430−441(2001)]によって記載されている通り、かかるジアミノ−PEG材料は低純度のものであってよい。本発明のコンジュゲートに関しては、PEG−ジアミンは好ましくは90%を超える純度を有し、さらに好ましくは95%を超える純度を有し、最も好ましくは99%を超える純度を有する。Elbertによって記載された合成法は、所要の純度を有するPEG−ジアミンを与える。実施例1にはさらなる詳細が示されている。
【0077】
ペプチドへのコンジュゲーションに適するように官能化されたシアニン色素は、GE Healthcare Limited、Atto−Tec社、Dyomics社、Molecular Probes社などから商業的に入手できる。大抵のかかる色素はNHSエステルとして入手できる。リンカー基(L)をポリマーにコンジュゲートする方法は、色素のみをコンジュゲートする方法(上記参照)と類似の化学作用を使用し、当技術分野で公知である。ベンゾピリリウム色素は、Dyomics GmbH,Winzerlaer Str.2A,D−07745,イェナ,ドイツ;(www.dyomics.com)から商業的に入手できる。
【0078】
第2の態様では、本発明は、哺乳動物体のインビボ光学イメージングのために適した造影剤であって、第1の態様で定義したコンジュゲートを含んでなる造影剤を提供する。
【0079】
第3の態様では、本発明は、第1の態様で定義したコンジュゲートを生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物を提供する。医薬組成物中のコンジュゲートの好ましい実施形態は、第1の態様で記載した通りである。
【0080】
「生体適合性キャリヤー」は、組成物が生理学的に認容され得るようにして(即ち、毒性又は過度の不快感なしに哺乳動物体に投与できるようにして)イメージング剤を懸濁又は溶解できる流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤーは、好適には、無菌のパイロジェンフリー注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、血漿陽イオンと生体適合性対イオンとの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。巨大分子ポリオールを使用する場合、それは好適には10kDa以下、好ましくは5kDa未満の分子量を有する。それより高い分子量の化学種は、本発明の造影剤と競合することがあるからである。好ましくは、生体適合性キャリヤーはパイロジェンフリー注射用水又は等張食塩水である。
【0081】
造影剤及び生体適合性キャリヤーはそれぞれ、注射器又はカニューレによる溶液の追加及び抜取りを許しながら、無菌保全性及び/又は放射能安全性の維持、さらに任意には不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)の維持を可能にする密封容器からなる適当なバイアル又は容器に入れた状態で供給される。好ましいかかる容器は、気密クロージャーを(通例はアルミニウムからなる)オーバーシールと共にクリンプ加工した隔壁密封バイアルである。クロージャーは、無菌保全性を維持しながら皮下注射針による1回又は数回の穿刺に適したもの(例えば、クリンプ加工した隔壁シールクロージャー)である。かかる容器は、(例えば、ヘッドスペースガスの変更又は溶液のガス抜きのために)所望される場合にはクロージャーが真空に耐え得ると共に、酸素又は水蒸気のような外部大気ガスの侵入を許すことなしに減圧のような圧力変化にも耐え得るという追加の利点を有している。
【0082】
好ましい複数用量容器は、複数の患者用量を含む(例えば、容積10〜30cm3の)単一のバルクバイアルからなり、したがって臨床的状況に合わせて製剤の実用寿命中に様々な時間間隔で1回分の患者用量を臨床グレードの注射器中に抜き取ることができる。予備充填注射器は1回分のヒト用量又は「単位用量」を含むように設計され、したがって好ましくは臨床用に適した使い捨て注射器又は他の注射器である。本発明の医薬組成物は、好ましくは1人の患者用に適した用量を有し、上述したような適当な注射器又は容器に入れて供給される。
【0083】
かかる医薬組成物は、抗菌防腐剤、pH調整剤、フィラー、安定剤又は重量オスモル濃度調整剤のような追加賦形剤を任意に含むことができる。「抗菌防腐剤」という用語は、潜在的に有害な微生物(例えば、細菌、酵母又はかび)の増殖を阻止する薬剤を意味する。抗菌防腐剤はまた、使用する用量に応じて多少の殺菌性を示すこともある。本発明の抗菌防腐剤の主な役割は、医薬組成物中におけるこのような微生物の増殖を阻止することである。しかし、抗菌防腐剤は、任意には投与に先立って前記組成物を製造するために使用されるキットの1種以上の成分中における潜在的に有害な微生物の増殖を阻止するためにも使用できる。好適な抗菌防腐剤には、パラベン類(即ち、メチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン或いはこれらの混合物)、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールがある。好ましい抗菌防腐剤はパラベン類である。
【0084】
「pH調整剤」という用語は、組成物のpHがヒト又は哺乳動物への投与のために許容し得る範囲(およそpH4.0〜10.5)内にあることを保証するために有用な化合物又は化合物の混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤には、トリシン、リン酸塩又はTRIS[即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]のような薬学的に許容し得る緩衝剤、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はこれらの混合物のような薬学的に許容し得る塩基がある。組成物をキットの形態で使用する場合には、pH調整剤を任意には独立のバイアル又は容器に入れて供給することができ、その結果としてキットのユーザーは多段操作の一部としてpHを調整することができる。
【0085】
「フィラー」という用語は、製造及び凍結乾燥中における材料の取扱いを容易にすることができる薬学的に許容し得る増量剤を意味する。好適なフィラーには、塩化ナトリウムのような無機塩、及びスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロースのような水溶性糖又は糖アルコールがある。
【0086】
かかる医薬組成物は、無菌製造条件下で(即ち、クリーンルーム内で)製造して所望の無菌で非発熱性の生成物を得ることができる。基本構成部分、特に関連する試薬並びにイメージング剤に接触する装置部品(例えば、バイアル)は無菌であることが好ましい。かかる構成部分及び試薬は、無菌濾過或いは(例えば、γ線照射、オートクレーブ処理、乾熱又は(例えば、エチレンオキシドによる)化学処理を用いる)終末滅菌をはじめとする、当技術分野で公知の方法によって滅菌できる。一部の構成部分を予め滅菌しておけば、最小数の操作を実施すれば済むので好ましい。しかし、予防策として、医薬組成物の製造における最終段階として少なくとも無菌濾過段階を含めることが好ましい。
【0087】
かかる医薬組成物は、好ましくは第4の態様に関して下記に記載するようなキットから製造される。
【0088】
第4の態様では、本発明は、第2の態様の医薬組成物を製造するためのキットであって、当該キットは第1の態様の造影剤を無菌固体形態で含んでいて、(第3の態様で記載した)生体適合性キャリヤーの無菌供給物で再構成すれば溶解が起こって所望の医薬組成物を与えるキットを提供する。
【0089】
その場合、造影剤及び上述したような他の任意賦形剤は、凍結乾燥粉末として適当なバイアル又は容器に入れて供給できる。かかる薬剤は、次いで所望の生体適合性キャリヤーを用いて再構成することで、哺乳動物への投与が可能な無菌で非発熱性の形態の医薬組成物を与えるように設計される。
【0090】
造影剤の好ましい無菌固体形態は凍結乾燥固体である。無菌固体形態は、好ましくは医薬組成物に関して(上記に)記載したような医薬品用容器に入れて供給される。キットを凍結乾燥する場合、配合物は糖類(好ましくはマンニトール、マルトース及びトリシン)から選択される凍結保護剤を任意に含むことができる。
【実施例】
【0091】
以下に詳述する非限定的な実施例によって本発明を例証する。実施例1は、本発明のPEG−ビス(色素)コンジュゲートの合成法を示している。実施例2は、本発明の他のPEG−色素コンジュゲートの合成法を示している。実施例3は、使用した生物学的スクリーニングモデルを示している。結果は図1に示されている。臨床状況により密接に関係するという点で、早い時点がやや重要であると見なされた。PEG3.4Kコンジュゲートは、すべての時点で顕著に劣ったMSR値を有している。PEG30Kコンジュゲートは優れていて、すべての時点で良好なMSR値を示した。PEG20K及びPEG43Kコンジュゲートは早い時点では良好なMSR値を示したが、24時間後には劣っていた。
【0092】
実施例4では、色素をCy5(励起:650nm、発光:670nm)からCy7(励起:743nm、発光:767nm)に変えることの効果を調べた。Cy7コンジュゲートに関しては、MSRスコアは増加したか又は同様であった。さらに、Dyomics社から商業的に入手できるCy7類似体色素であるDY752及びDY750を評価したところ、Cy7に比べて非常にに類似したMSRスコアが示された。
【0093】
略語
通常の三文字及び一文字アミノ酸略語を使用する。
Acm: アセトアミドメチル
ACN: アセトニトリル
Boc: tert−ブチルオキシカルボニル
DMF: N,N’−ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
GFC: ゲル濾過クロマトグラフィー
HCl: 塩酸
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
MALDI: マトリックス支援レーザ脱着イオン化
MSR: マージン/包囲スキン比
NHS: N−ヒドロキシスクシンイミド
PBS: リン酸塩緩衝食塩水
TFA: トリフルオロ酢酸。
【0094】
実施例1:ビス−Cy7 PEG−31kコンジュゲート(化合物1)の合成
ジアミノ−PEGはLaysanBio社から購入した。それは、Elbert et al[Elbert & Hubbell;Biomacromolecules,,p 430−441(2001)]の方法を用いて、対応するPEG−ジオール(Sigma/Aldrich社)から合成された。ジアミノ−PEGは、GFCによれば約31kDa、MALDIによれば約35kDaの平均質量を有していた。アミン置換度は約100%であり、プロトンNMRによれば他の不純物は検出されず、特にCH2−OMs又はCH2−OHプロトンは認められなかった。
【0095】
蛍光色素Cy7−NHSはGE Healthcare社から入手した。それは81.3%の活性エステル含有量を有していた。このコンジュゲートは下記のようにして製造された。
【0096】
【化11】

即ち、
(i)ジアミノ−PEG−31kを0.1M NaHCO3緩衝液に溶解する(10mg/ml)。1M NaOHでpHを8.5〜8.8に調整する。
(ii)3当量のCy7−NHS溶液(DMSO中約1mg/100μL、濃度は使用前にUV/VISで測定する)を添加する。室温で一晩撹拌する。
(iii)AKTA精製装置を用いる分取RP−LCに付する。
(iv)真空中において室温で濃縮し、次いで水(×3)を用いて共蒸発乾固するか、又は凍結乾燥する。
(v)PBS中に75μMの濃度で製剤化する。
【0097】
Cy5コンジュゲート並びにベンゾピリリウム色素Dy750及びDy752(Dyomics GmbH,D−07745,イェナ,ドイツ)とのコンジュゲートは、類似の方法で製造した。
【0098】
実施例2:他のPEG色素コンジュゲートの合成
単一の色素分子で官能化されたPEGは、適当なPEG−モノアミンを色素の活性エステル(約1.2〜1.5当量)と共に用いて、実施例1と類似の方法で合成した。
【0099】
PEG43kDaコンジュゲートは、モノアミノ−PEG20Kを二官能性色素(Cy5−ビスNHSエステル)と3.33:1のモル比で反応させることで製造した。即ち、PEG20K(100mg)を無水DMF(3×)と共蒸発させ、無水DMF(5ml)に再溶解した。この溶液にN−メチルモルホリン(4μl)を添加し、次いでCy5−ビスNHSの溶液(146μlのDMSO中0.3当量)を添加した。混合物を暗所で一晩撹拌し、次いでHPLCによって精製した。Amicon 5K MWCOフィルターを用いて純粋画分を濃縮した。
【0100】
実施例3:スクリーニングモデル
すべての細胞株はAmerican Type Culture Collection(ATCC、マナサス、米国ヴァージニア州)から入手し、推奨された通りに培養した。13762 MatBIII(ラット乳腺腺癌、ATCC #CRL−1666)細胞株は、10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補ったDMEM(Gibco #10564−011)中で培養した。細胞を空気:CO2(95%:5%)の混合物中において37℃でインキュベートした。細胞が80%コンフルエンス以上に達した後、細胞を集め、計数し、注射のため10×106個/mL培地に濃縮した。
【0101】
動物及びインビボ腫瘍モデル
それぞれ4〜8週齢の雌Fischer 344ラット又は重症複合免疫不全(SCID)マウスを用いてインビボ試験を実施した。動物は非蛍光食(Harlan Labs社、カタログ#TD.97184)及び水を随意に与えると共に、標準の12時間昼夜照明サイクル下で飼育した。27番の注射針を用いて、1×106個の細胞(100μL)を動物の乳房脂肪パッド中に直接正所的に注射した。7日間にわたりMatBIII腫瘍を増殖(直径約1cm)させた後、動物に試験薬剤を注射してイメージングを行った。
【0102】
イメージング
250の利得で運動のアーティファクトを最小にするため、60msの最短露光時間で動物の画像を取得した。解析ソフトウェアを用いて画像を解析した。マージンを自動的に選択し、マージンの外側の41ピクセルのマージン領域をハイライトした。結果として、マージン及び腫瘍が画像のバックグラウンドから識別された。下記の式を用いてマージン/スキン比(MSR)を算出する。
【0103】
【数1】

図1は、様々な分子量のPEGの効果を示している。各PEGの数値は薬剤の分子量を表している(即ち、PEG30Kは30kDaのMWを有している)。
【0104】
実施例4:色素の効果
さらに長い励起波長及び発光波長を有する様々な色素を、実施例1に記載したようにしてビス−ジアミノ−PEG31K主鎖にコンジュゲートした。MSRの結果を図2に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の腫瘍を有することが知られている生きた被験体において腫瘍の腫瘍マージンのインビボ光学イメージングを行う方法であって、
(i)分子量15〜45kDaの合成ポリエチレングリコールポリマーと1つ又は2つのOptR基とのコンジュゲートを含む、インビボイメージングのためにに適した光学イメージング造影剤を用意する段階、及び
(ii)前記腫瘍を含む前記被験体の検査対象領域であって、前記造影剤を投与した検査対象領域の光学画像を生成する段階
を含んでなり、各OptRは独立に波長600〜850nmの光を用いる光学イメージング操作で直接又は間接に検出できる生体適合性光学レポーター基である、方法。
【請求項2】
ポリマーがOptR基のみにコンジュゲートされている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
コンジュゲートが次の式Iを有する、請求項1又は請求項2記載の方法。
1−Xa−[POLYMER]−Xb−Y2
(I)
(式中、
[POLYMER]は合成ポリエチレングリコールポリマーであり、
a及びXbは前記ポリエチレングリコールポリマーの末端に結合していて、独立に化学結合又はL基であり、Lは式−(A)m−(式中、各Aは独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロへテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、C5-12アリーレン基又はC3-12へテロアリーレン基、アミノ酸或いは糖であり、各Rは独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4アルコキシアルキル及びC1-4ヒドロキシアルキルから選択され、mは1〜20の値を有する整数である。)のリンカー基であり、
1及びY2は独立にOptR(ここで、OptRは請求項1で定義した通りである。)であるか、或いは−OH、−O(C1-10アルキル)、−NH2及び−NH(CO)(C1-10アルキル)から選択される官能基であり、
1及びY2の少なくとも一方はOptRであることを条件とする。)
【請求項4】
1及びY2の各々がOptRである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
1及びY2のOptR基の各々が同一の生体適合性光学レポーターを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
生体適合性光学レポーターがシアニン色素である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
生体適合性光学レポーター基がベンゾピリリウム色素である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ポリエチレングリコールポリマーが22〜40kDaの分子量を有する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ポリエチレングリコールポリマーが線状ポリマーである、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
造影剤が、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のコンジュゲートを生体適合性キャリヤーと共に含む医薬組成物からなる、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法であって、
(i)請求項1記載の生きた被験体内の検査対象領域を含む組織表面を励起光で照明する段階、
(ii)OptRの励起によって造影剤から発生する蛍光を、蛍光検出器を用いて検出する段階、
(iii)蛍光検出器によって検出された光を任意に濾光して蛍光成分を分離する段階、及び
(iv)段階(ii)又は(iii)の蛍光から前記組織表面の画像を形成する段階
を含んでなる方法。
【請求項12】
段階(i)の励起光が連続波(CW)の性質を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法であって、
(a)前記生きた被験体の検査対象領域をなす、不均質組成を有する光散乱性生体組織を、所定の経時変動強度を有する光源からの光に暴露して造影剤を励起する段階であって、組織が励起光を多重散乱させる段階、
(b)前記暴露に応答した組織からの多重散乱発光を検出する段階、
(c)組織内の様々な位置における蛍光特性のレベルにそれぞれ対応する複数の値をプロセッサーで確定することにより、発光から組織全体の蛍光特性を定量化する段階であって、蛍光特性のレベルが組織の不均質組成に応じて変化する段階、及び
(d)段階(c)の値に従って組織の不均質組成のマッピングを行うことで組織の画像を生成する段階
を含んでなる方法。
【請求項14】
前記被験体からの腫瘍の切除に際して外科医を支援するため、光学イメージングが手術中に実施される、請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
哺乳動物体のインビボ光学イメージングのために適した造影剤であって、請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のコンジュゲートを含んでなる造影剤。
【請求項16】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のコンジュゲートを生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬組成物。
【請求項17】
1人の患者用に適した用量を有し、適当な注射器又は容器に入れて提供される、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項16又は請求項17記載の医薬組成物を製造するためのキットであって、当該キットは請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のコンジュゲートを無菌固体形態で含んでいて、生体適合性キャリヤーの無菌供給物で再構成すれば溶解が起こって所望の医薬組成物を与える、キット。
【請求項19】
無菌固体形態が凍結乾燥固体である、請求項18記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−520856(P2012−520856A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500272(P2012−500272)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053619
【国際公開番号】WO2010/106169
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】