説明

光学シート、バックライト装置、ディスプレイ装置、及び、光学シートの製造方法

【課題】光学シートに備える光拡散フィルムと光学フィルムとを一体化しても、これらの剥離を防止することができるようにする。
【解決手段】一方の面が光源部からの光を入射する入射面32bをなすと共に他方の面が光の出射面32aをなし、光源部の光を拡散する光拡散フィルム32と、その出射面32aに配されると共に光拡散フィルム32からの光を透過して出射させる出射面36aを有する透光性基材36と、その出射面36aに一体に設けられて透光性基材36の出射面36aから出射した光を集光する複数の光学素子37とを備え、光拡散フィルム32及び透光性基材36が、同一の樹脂材料によって構成され、光拡散フィルム32と透光性基材36とが、これらの面方向の周縁部を溶着して一体化されている光学シート31を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート、これを備えるバックライト装置、ディスプレイ装置、及び、光学シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビ等のように薄型化を図った従来のディスプレイ装置には、例えば特許文献1のように、液晶パネル等の画像表示部に向けて面状の光を出射するバックライト装置を備えたものがある。この種のバックライト装置は、例えば、光源と、当該光源からの光を拡散する光拡散フィルム、及び、この拡散光を特定方向(例えばディスプレイ画面に対する法線方向)に向けるように集光するレンズシート(光学フィルム)を積層した光学シートとから構成されている。
一般に、光学シートにおいては、光拡散フィルムとレンズシートとを互いに異なる材料で構成している。
【特許文献1】特開2007−76069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1においては、光拡散フィルムとレンズシートとを接着して一体化した光学シートが提案されているが、光拡散フィルムとレンズシートとを異なる材料で構成しているため、これらの反りの特性が異なる。このため、例えば、光学シートやディスプレイ装置の製造時、あるいは、ディスプレイ装置として使用する際に光学シートが光源によって加熱される等して、光拡散フィルム及びレンズシートに熱変形が生じると、光拡散フィルム及びレンズシートが互いに剥離する虞がある。なお、光拡散フィルム及びレンズシートが互いに剥離すると光学シートとしての光学特性が変化する。
【0004】
この発明は、光拡散フィルムと光学フィルムとを一体化しても、これらの剥離を防止することができる光学シート、これを備えるバックライト装置、ディスプレイ装置、及び、光学シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の光学シートは、一方の面が光源部からの光を入射する入射面をなすと共に他方の面が光の出射面をなし、前記光源部の光を拡散する光拡散フィルムと、該光拡散フィルムの出射面に積層されて当該出射面から出射された光を制御する光学フィルムとを備え、前記光学フィルムが、前記光拡散フィルムの出射面側に配されると共に該光拡散フィルムからの光を透過して出射させる出射面を有する透光性基材と、該透光性基材の出射面から突出するように当該透光性基材の出射面に一体に設けられて前記透光性基材の出射面から出射した光を集光する複数の光学素子とを備え、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材が、同一の材料によって構成され、前記光拡散フィルムと前記透光性基材とが、これらの面方向の周縁部の少なくとも一部を溶着して一体化されていることを特徴とする。
【0006】
この発明の光学シートによれば、光拡散フィルム及び透光性基材を一体化しているため、これをディスプレイ装置に組み込む工程を1回で済ませることができ、当該組み込み工程を容易に行うことができる。
また、一体化される光拡散フィルム及び透光性基材を同一の材料で構成することにより、これらの間の剥離強さの向上を図ることができる。そして、例えば、光学シートやこれを備えるディスプレイ装置の製造時や、ディスプレイ装置として使用する際に光学シートが光源部によって加熱される等して、光拡散フィルム及び透光性基材に熱変形が生じても、光拡散フィルム及び透光性基材の反りの特性が同一になることから、光拡散フィルムと光学フィルムとの間に応力が生じない。したがって、光拡散フィルム及び光学フィルムの剥離を防止でき、光学シートの光学特性の変化を防ぐことが可能となる。
【0007】
そして、前記光学シートにおいては、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材を同一の樹脂材料により構成し、前記光拡散フィルムと前記透光性基材とをレーザー光によって溶着することが好ましい。
さらに、前記光学シートにおいては、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材を構成する同一の樹脂材料が、メタクリル酸メチルスチレン共重合体(MS)であることがより好ましい。
【0008】
そして、前記光学シートにおいては、前記光拡散フィルム及び前記光学フィルムの面方向の周縁部に、当該面方向に突出する又は窪む段差部が形成されていてもよい。
光学シートを備えるディスプレイ装置を製造する際には、光学シートをその周縁部において支持する筐体に組み込むが、本発明の光学シートには前記段差部が形成されているため、筐体に対する光学シートの向きを容易に認識することができる。また、筐体に前記段差部に係合する係合部等のように対応する形状を形成しておくことで、光学シートを筐体に対して容易に位置決めすることができる。したがって、光学シートを容易に筐体に組み込むことができる。
【0009】
また、本発明のバックライト装置は、前記光学シートと、前記光拡散フィルムの入射面側に配されて、当該入射面に向けて光を照射する光源部とを備えることを特徴とする。
さらに、本発明のディスプレイ装置は、前記バックライト装置と、前記透光性基材の出射面側に配されて、前記バックライト装置からの光を表示光として画像表示を行う画像表示部とからなることを特徴とする。
これらのバックライトユニットやディスプレイ装置によれば、前述した光学シートと同様の効果を奏する。
【0010】
そして、前記ディスプレイ装置は、前記光学シートをその周縁部において支持する筐体を備え、当該筐体の一部が、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材の溶着部分と前記光学シートの厚さ方向に重なるように、前記透光性基材の出射面側に配されていてもよい。
この発明のディスプレイ装置によれば、筐体の一部によって光学シートの前記溶着部分が覆い隠されるため、この溶着部分が変色等して、光学シートの他の部分との間で光学特性が異なっていても、ディスプレイ装置の視聴者は違和感の無い映像を視認することができる。
【0011】
本発明の光学シートの製造方法は、入射した光を拡散する光拡散フィルム、及び、当該光拡散フィルム材から出射された光を透過させる透光性基材と、前記光が出射する前記透光性基材の出射面から突出するように当該透光性基材の出射面に一体に設けられて前記透光性基材の出射面から出射した光を集光する複数の光学素子とを備える光学フィルムを用意するフィルム準備工程と、前記光拡散フィルム側に前記透光性基材が配されるように、前記光拡散フィルムと前記光学フィルムとを重ね合わせて光学シート用板材を構成する積層工程と、当該光学シート用板材にレーザー光を照射して、当該光学シート用板材から個々の光学シートを型抜きするように当該光学シート用板材を裁断するレーザー裁断工程とを備え、前記フィルム準備工程において、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材を同一の樹脂材料により形成することを特徴とする。
なお、レーザー光により光学シート用板材を裁断する場合には、光拡散フィルム及び透光性基材の裁断部分がレーザー光によって加熱されるため、光学シートの面方向の周縁部となる光学シート用板材の切断面において、光拡散フィルムと透光性基材とが互いに溶着されることになる。
【0012】
また、本発明の光学シートの製造方法は、入射した光を拡散する光拡散フィルム、及び、当該光拡散フィルム材から出射された光を透過させる透光性基材と、前記光が出射する前記透光性基材の出射面から突出するように当該透光性基材の出射面に一体に設けられて前記透光性基材の出射面から出射した光を集光する複数の光学素子とを備える光学フィルムを用意するフィルム準備工程と、前記光拡散フィルム側に前記透光性基材が配されるように、前記光拡散フィルムと前記光学フィルムとを重ね合わせて光学シート用板材を構成する積層工程と、前記光拡散フィルムと前記光学フィルムとを溶着する溶着工程と、当該光学シート用板材から個々の光学シートを型抜きする型抜き工程とを備え、前記フィルム準備工程において、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材を同一の樹脂材料により形成することを特徴とする。
【0013】
これらの発明に係る光学シートの製造方法によれば、前述の光学シートを製造することができる。
また、これらの光学シートの製造方法によれば、光学シートの型抜きが、溶着と同時あるいは溶着の後に行われるため、光拡散フィルム及び光学フィルムを個別に光学シートの形状に型抜きした後に、これらを重ね合わせて位置決めする必要が無くなり、光学シートを容易に製造することができる。
そして、レーザー光により光学シート用板材を裁断する場合には、光学シート用板材から光学シートを型抜きすると同時に光拡散フィルムと透光性基材とを一体化することができるため、工程数を減らして光学シートの製造効率を向上することもできる。
【0014】
なお、前記光学シートの製造方法では、前記レーザー裁断工程あるいは前記型抜き工程において、前記光学シートにその面方向の周縁部から面方向に突出する又は窪む段差部を一体に形成してもよい。レーザー裁断工程において段差部を形成する場合には、段差部を高い精度で形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光学シートを容易にディスプレイ装置に組み込むことができる。また、光拡散フィルム及び透光性基材の剥離を防止でき、光学シートの光学特性の変化を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、ここでは、本発明の実施形態にかかる光学シートについて、それを用いたバックライト装置及びディスプレイ装置と共に説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るディスプレイ装置100は、上方に光を照射するバックライト装置11の上側に、液晶表示素子(画像表示部)13を重ねて設けることで構成される液晶表示装置であり、液晶表示素子13から上側に向けて画像信号によって表示制御された表示光を出射することで、平面状の画像を表示するものである。
以下では、このような配置に基づいて、図1の上方向を単に表示画面側、下方向を単に背面側と称する場合がある。
なお、このディスプレイ装置100は、液晶表示素子13を備える液晶表示装置であるとしているが、少なくとも光学シート31を含んで構成されていれば、投射スクリーン装置、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のように、画像を光により表示する表示装置の種類は問わない。
【0017】
液晶表示素子13は、液晶15を2つの偏光板17,19により挟み込んで構成されている。そして、バックライト装置11は、光源部21と、光源部21からの光Hを液晶表示素子13の液晶15に供給する光学シート31とを備えて構成されている。
光源部21は、複数の光源23及び光反射板25を備えて構成されている。光源23としては、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、LED、EL、半導体レーザー等の発光素子を用いることができる。なお、発光素子がLEDである場合には、例えば赤色、緑色、青色のLEDのアレイによって構成してもよい。この場合には、LEDのアレイからの光を不図子の拡散板等により混ぜ合わせて白色光とし、この白色光を出射すればよい。
また、光反射板25は複数の光源23の背面側に配置されており、これら複数の光源23及び光反射板25によってバックライト装置11の光源部21が構成されている。
【0018】
光学シート31は、光源23から出射された光を透過させて液晶表示素子13に向けて入射させるものであり、図2に示すように、平面視略矩形状に形成されている。
光学シート31の面方向の周縁部には、当該面方向に突出する突起(段差部)34が複数形成されている。これら突起34は、互いに反対側に位置する一対の辺(図においては左右の辺)に3つずつ形成されている。さらに、各辺に沿う突起34の幅寸法や形成位置は一対の辺の間で異なっており、左側の辺に形成された突起34の幅寸法の方が右側の辺に形成された突起34の幅寸法よりも大きい。また、全ての突起34は略矩形状に形成されているが、左側の辺に形成された1つの突起34Aには凹部35が形成されており、他の突起34とは異なる形状を呈している。
このように突起34を形成することで、光学シート31の表裏や上下左右の向きを容易に認識することができる。
【0019】
そして、光学シート31は、図3に示すように、光源23と液晶表示素子13との間に配置される光拡散フィルム32と、光拡散フィルム32と液晶表示素子13との間に配されて光拡散フィルム32上に積層された光学フィルム33とを備えて構成されている。これら光拡散フィルム32及び光学フィルム33は、それぞれ前述した光学シート31の平面視形状を呈している。
光拡散フィルム32は、光源23から表示画面側に出射される光を拡散して、複数の光源23に基づく画面の輝度ムラを低減させるものであり、シート状に形成されている。この光拡散フィルム32の一方の面は、光源23からの光を入射する入射面32bをなしており、他方の面が光の出射面32aをなしている。
【0020】
光拡散フィルム32は、その全光線透過率が40%以上80%以下(JIS K7361−1に準拠した測定において)、かつ、ヘイズ値が98%以上(JIS K7136に準拠した測定において)となるように、光透過性を有する樹脂材料によって構成されていることが望ましい。これは、全光線透過率が40%を下回ると画面上での輝度が大きく低下し、80%を上回ると拡散性能が不十分となるためである。また、ヘイズ値が98%を下回るとやはり拡散性能が不十分となるためである。
【0021】
この光拡散フィルム32に用いる樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができるが、本実施形態においては、メタクリル酸メチルスチレン共重合体(MS)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)など当該分野でよく知られている熱可塑性樹脂を使用している。
なお、光拡散フィルム32は、例えば、光を透過させる透明樹脂材料に光拡散粒子を含ませて構成されてもよい。この場合、透明樹脂材料としては前述した熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂と同様のものが挙げられる。
【0022】
さらに、光拡散粒子としては、無機酸化物又は樹脂からなる透明粒子が使用できる。例えば、無機酸化物からなる透明粒子としてはシリカやアルミナ等からなる粒子が挙げられる。また、樹脂からなる透明粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体;メラミン−ホルマリン縮合物の粒子;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフルオロビニリデン(PVDF)、及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素ポリマー粒子;シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。
なお、透明樹脂材料には、例示した光拡散粒子から1種類のみを選択して分散してもよいが、2種類以上を混ぜ合わせて分散してもよい。
【0023】
光学フィルム33は、光拡散フィルム32において拡散された光を特定方向に向けて液晶表示素子13に入射させる役割を果たすものであり、光拡散フィルム32の出射面32aに配されると共に光透過性を有する板状の透光性基材36と、その出射面36aに一体に設けられた複数の単位レンズ(光学素子)37とを備えて構成されている。なお、透光性基材36の出射面36aは、透光性基材36を透過した光Kが出射する液晶表示素子13側の面を示しており、光Hが入射する光源部21側の面が透光性基材36の入射面36bをなしている。
そして、透光性基材36は、光拡散フィルム32と同一の樹脂材料によって構成されている。ただし、透光性基材36は、光拡散フィルム32と同じ樹脂材料であれば、例えば光拡散粒子を含まない透明樹脂材料のみによって構成されていてもよく、光を拡散する機能を有していなくてもよい。
【0024】
各単位レンズ37は、透光性基材36の出射面36aから出射した光を特定方向に集光するものであり、出射面36aから突出するように凸状の曲面を有するレンズ形状に形成されると共に出射面36aに沿って一方向に延設されている。なお、各単位レンズ37は、図2,3に示すように、突起34を形成した光学シート31の辺に直交する方向(X方向)に延設されているが、例えば突起34が形成された辺と平行する方向(Y方向)に延設されてもよい。そして、複数の単位レンズ37は、出射面36aに沿って各単位レンズ37の延設方向に直交する方向(図2においてはY方向)に一定の間隔で配列されている。すなわち、この実施形態では、それぞれ長尺状に形成された単位レンズ37は、これを複数並べて全体としてレンチキュラーアレイを構成している。
【0025】
以上のように構成される単位レンズ37は、例えば、透光性基材36上にUVや放射線硬化樹脂を用いて成形されるとしてもよいし、例えば、PET、PC、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリルニトリルスチレン共重合体等を用いて、周知の押し出し成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって形成されてもよい。
そして、この光学シート31においては、光拡散フィルム32と透光性基材36とがこれらの面方向(出射面32aや入射面36bに沿う方向)の周縁部を溶着して一体化されており、具体的には、周縁部をなす光拡散フィルム32及び透光性基材36の側面32c,36c全体にわたって溶着されている。なお、図3においては太線によって溶着部分を示している。
【0026】
この光学シート31を備えるディスプレイ装置100は、図1,2に示すように、光学シート31をその面方向の周縁部において支持するように平面視略矩形の環状に形成された筐体41も備えており、筐体41は光学シート31の周縁部を覆っている。具体的に、筐体41は、光拡散フィルム32及び透光性基材36の側面を覆う矩形筒部42と、矩形筒部42の両端からその内側に突出する一対の矩形蓋部43とを備えている。一対の矩形蓋部43は、それぞれ光拡散フィルム32及び透光性基材36の溶着部分と光学シート31の厚さ方向に重なるように、周縁部に位置する透光性基材36の出射面36a上及び光拡散フィルムの入射面32bに配されている。また、筐体41には光学シート31の突起に係合する溝などの係合部(不図示)が形成されており、光学シート31を筐体41に対して容易に位置決めすることができる。
なお、図示例においては、筐体41が、光学シート31のみを支持するように構成されているが、例えば、光源部21や液晶表示素子13も支持するように構成されていてもよい。
【0027】
次に、光学シート31の製造方法について以下に述べる。
光学シート31を製造する際には、図4,5に示すように、同一の樹脂材料によって形成された光拡散フィルム32及び光学フィルム33を用意する(フィルム準備工程)。なお、この状態における光拡散フィルム32及び光学フィルム33は、平面視で光学シート31よりも十分に大きく形成されている。次いで、光拡散フィルム32側に透光性基材36が配されるように、光拡散フィルム32と光学フィルム33とを重ね合わせて光学シート用板材38を構成する(積層工程)。
【0028】
そして、レーザー照射装置50から光学シート用板材38にレーザー光51を照射して、当該光学シート用板材38から個々の光学シート31を型抜きするように光学シート用板材38を裁断する(レーザー裁断工程)。なお、ここで使用するレーザー照射装置50としては、例えばCOレーザーやエキシマレーザーが挙げられる。
このレーザー裁断工程においては、突起34や凹部35(図2参照)も光学シート31に一体に形成されるが、レーザー光51により裁断することで突起34を高い精度で形成することができる。そして、レーザー裁断工程においては、光拡散フィルム32及び透光性基材36の裁断部分がレーザー光51によって加熱されるため、光学シート31の面方向の周縁部となる光学シート用板材38の切断面38cにおいて、光拡散フィルム32と透光性基材36とが互いに溶着されることになる。
【0029】
このレーザー裁断工程においては裁断の際に塵埃が生じ、光拡散フィルム32の入射面32bや単位レンズ37の表面に付着する虞がある。そこで、光学シート31の製造においては、フィルム準備工程の終了後からレーザー裁断工程の直前までの間に、光拡散フィルム32の入射面32b及び透光性基材36の出射面36a上にPETやポリプロピレン(PP)からなる薄膜状の保護フィルム52を貼り付けておく(フィルム貼付工程)。
これら保護フィルム52は、少なくともディスプレイ装置100に光学シート31を組み込むまでの間に光学シート31から剥がせばよい。なお、ディスプレイ装置100に光学シート31を組み込んだ後に保護フィルム52を剥がすことで、ディスプレイ装置100の製造において光拡散フィルムの入射面や単位レンズ37の表面が傷つくことを防止できる。
【0030】
さらに、この光学シート31を用いてディスプレイ装置100を製造する際には、突起34や凹部35の形成位置を参照して筐体41に対する光学シート31の向きを設定し、光学シート31を筐体41に組み込めばよい。この組み込みの際には、光学シート31の突起34を筐体41の係合部に係合させればよい。
そして、ディスプレイ装置100に組み込まれた光学シート31においては、光源23から出射された光Hが光拡散フィルム32に入射されると、光拡散フィルム32において拡散され、この拡散光が透光性基材36を透過する。透光性基材36を透過した光は、単位レンズ37によって透光性基材36の出射面36aに直交する方向若しくはこれに近い方向に向けられる。すなわち、視聴者の主たる視覚方向となるディスプレイ装置100の画面の正面方向に光が向けられ、画面の正面方向の輝度向上が図られる。
なお、光拡散フィルム32と透光性基材36との溶着部分は、筐体41によって覆い隠されるため、視聴者によって視認されることは無い。
【0031】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る光学シート131を示している。この光学シート131において、図1から図5に示す第1実施形態の光学シート31と同様の構成については同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分を重点に述べる。
この光学シート131を構成する光学フィルム133は、第1実施形態と同様の透光性基材36、複数の単位レンズ37に加え、透光性基材36の入射面36bに固定される光反射層(遮光層)61を備えて構成されている。すなわち、光学シート131は、光拡散フィルム32と透光性基材36との間に光反射層61を配するように構成されている。
【0032】
光反射層61は、光拡散フィルム32から透光性基材36に向かう光を反射するように構成されている。この光反射層61には、その厚さ方向に貫通する開口部61aが複数形成されている。各開口部61aは、単位レンズ37の頂部と透光性基材36の厚さ方向に重なる位置に配されており、長尺状に形成された各単位レンズ37に対応づけてその長手方向に延びるスリット状に形成されている。すなわち、複数の開口部61aは複数の単位レンズ37と同様に、間隔をあけてY方向に配列されている。
これにより、光拡散フィルム32と透光性基材36との間には、開口部61aによって画定された空気層62が形成される。このように透光性基材36よりも屈折率の低い空気層62を画成することで、光が空気層62から透光性基材36に入射する際に当該光を効率よく集光することができる。
【0033】
この光反射層61は、例えば白色層によって構成されている。白色層の材料としては、透明樹脂材料中に例えば二酸化チタン、硫酸バリウム及び酸化マグネシウムなどの無機物からなる白色顔料を混入させた複合材料が使用される。そして、透明樹脂材料には、透光性基材36と同一の樹脂材料が使用されている。
そして、光反射層61は、印刷又は蒸着により透光性基材36の入射面36bに直接形成してもよいし、例えば転写により形成してもよい。
【0034】
なお、転写により光反射層61を形成する際には、例えば、透光性基材36の入射面36bに、感光性樹脂フィルムを貼り付け、単位レンズ37及び透光性基材36を介して感光性樹脂フィルムを紫外線で露光する。この露光の際には、単位レンズ37の集光作用によって単位レンズ37の焦点及びその近傍の領域のみにおいて、感光性樹脂フィルムの粘着力が低下する。その後、透光性基材36と感光性樹脂フィルムとの積層体を、剥離紙上に形成した光反射層61に押し当て、次いで、この積層体を剥離紙から剥離させる。このようにして、単位レンズ37の焦点及びその近傍の領域に開口部61aを有した光反射層61が得られる。このようにして形成される光反射層61の各開口部61aは、その中心軸が対応する単位レンズ37の光軸と一致するように形成される。
なお、印刷法を使用する場合でも、例えば前述したように、透光性基材36の製造時にその入射面36bに段差を設けておくことで、簡易的に印刷で光反射層61を形成できる。
【0035】
以上のように構成される光学シート131は、第1実施形態の光学シート31と同様に、光拡散フィルム32と透光性基材36とがこれらの面方向の周縁部を溶着して一体化されている。ただし、この光学シート131においては、その周縁部をなす光拡散フィルム32、光反射層61及び透光性基材36の側面32c,61c,36c全体にわたって溶着されている。なお、図6においては太線によって溶着部分を示している。
【0036】
以上のように構成される光学シート131は、これを図1,2に示す筐体41に組み込むことで、第1実施形態の光学シート31と同様にバックライト装置やディスプレイ装置を構成することができる。
また、この光学シート131を製造する際には、第1実施形態の光学シート31の製造方法とほぼ同様に製造することができる。なお、フィルム準備工程においては、光学フィルム133を製造する際に光反射層61を形成する。そして、レーザー裁断工程においては、光拡散フィルム32、透光性基材36及び光反射層61がレーザー光51によって加熱され、これらが相互に溶着される。
【0037】
次に、この光学シート131の作用について説明する。
光源23から出射された光Hが光拡散フィルム32に入射されると、この入射光は拡散されて光拡散フィルム32の出射面に到達する。この際、光拡散フィルム32から光反射層61の開口部61aに入射する光はそのまま透光性基材36の入射面36bに到達するが、開口部61aに入射されない光は、光反射層61と光拡散フィルム32や光反射板25との間などで反射を繰り返すことになる。そして、透光性基材36を透過した光の大半は、単位レンズ37によって透光性基材36の出射面36aに直交する方向若しくはこれに近い方向に向けられる。すなわち、視聴者の主たる視覚方向となるディスプレイ装置100の画面の正面方向に光が向けられ、これによって、画面の正面方向の輝度向上が図られる。
【0038】
次に、上述した構成の光学シート31,131において、光拡散フィルム32と透光性基材36あるいは光反射層61との剥離強さについて剥離試験を行った結果について以下にまとめる。
剥離試験においては、図7に示すように、相互に同一のあるいは異なる樹脂材料からなる2つの試験片71,72を使用する。各試験片71,72は、長さ15cm、幅2cm、厚さ0.2cmに形成されている。また、2つの試験片71,72は、厚さ方向に積層された状態で、長手方向に延びる一対の側面70Aのみを上記実施形態と同様にレーザー光51で裁断して溶着し、幅方向に延びる2つの試験片71,72の端面70Bは溶着されていない。
そして、この剥離試験においては、新東化学株式会社製の表面性測定器(TYPE:HEIDON−14D)を用い、一方の試験片72をその長手方向に95mm/minの速度で100mm移動させると同時に、他方の試験片71の長手方向の一端を一方の試験片72から引き剥がす方向(図7(b)において示す矢印Z方向)に500gの垂直加重をかけ、剥離した際の剥離強さを測定した。なお、各実施例1〜4及び比較例1〜4においては、この剥離試験を3回ずつ行った。
各実施例1〜4及び比較例1〜4の剥離強さを〔表1〕にまとめる。
【0039】
【表1】

【0040】
(実施例1)
両方の試験片71,72をMSにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さのばらつきは大きいものの、いずれも10gf/cm以上と高い値を示した。
(実施例2)
両方の試験片71,72をASにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さのばらつきは実施例1よりも少なく、いずれも9gf/cm以上と高い値を示した。
【0041】
(実施例3)
両方の試験片71,72をPCにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さのばらつきは他の実施例よりも少なく、いずれも10gf/cm以上と高い値を示した。
(実施例4)
両方の試験片71,72をPETにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さのばらつきは大きいものの、いずれも17gf/cm以上と高い値を示した。
これら実施例1〜4のように剥離強さが大きい場合には、2つの試験片71,72に振動や衝撃等の外力が加えられても、これら2つの試験片71,72が剥離し難くなる。
【0042】
(比較例1)
2つの試験片71,72の一方をPCにより作製すると共に他方をMSにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さのばらつきは少ないものの、その平均は4.0gf/cmと低い値を示した。
(比較例2)
2つの試験片71,72の一方をASにより作製すると共に他方をPCにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さは一定であるものの、2.0gf/cmと低い値を示した。
【0043】
(比較例3)
2つの試験片71,72の一方をPETにより作製すると共に他方をPCにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さは一定であるものの、1.0gf/cmと低い値を示した。
(比較例4)
2つの試験片71,72の一方をASにより作製すると共に他方をMSにより作製し、これら2つの試験片71,72をレーザー光51で裁断・溶着したものについて剥離試験を3回行った。この場合、各試験における剥離強さのばらつきは少ないものの、その平均は4.3gf/cmと低い値を示した。
これら比較例1〜4のように剥離強さが小さい場合には、2つの試験片71,72に振動や衝撃等の外力が加えられた場合にこれら2つの試験片71,72が互いに剥離しやすい。
【0044】
以上説明したように、上記実施形態の光学シート31,131、並びに、これを備えるバックライト装置11及びディスプレイ装置100によれば、光拡散フィルム32と透光性基材36や光反射層61とを一体化しているため、これをディスプレイ装置100に組み込む工程を1回で済ませることができ、当該組み込み工程を容易に行うことができる。
また、一体化される光拡散フィルム32と透光性基材36や光反射層61とを同一の材料で構成することにより、これらの間の剥離強さの向上を図ることができる。そして、例えば、光学シート31,131やこれを備えるディスプレイ装置100の製造時や、ディスプレイ装置100として使用する際に光学シート31,131が光源23によって加熱される等して、光拡散フィルム32及び透光性基材36あるいは光反射層61に熱変形が生じても、光拡散フィルム32及び透光性基材36あるいは光反射層61の反りの特性が同一になることから、光拡散フィルム32と光学フィルム33,133との間に応力が生じない。したがって、光拡散フィルム32及び光学フィルム33,133の剥離を防止でき、光学シート31,131の光学特性の変化を防ぐことが可能となる。
【0045】
また、光学シート31,131に突起34や凹部35を形成しておくことで、光学シート31,131を筐体41に組み込む際に筐体41に対する光学シート31,131の向きを容易に認識することができる。また、筐体41には突起34に係合する係合部が形成されているため、光学シート31,131を筐体41に対して容易に位置決めでできる。したがって、光学シート31,131を容易に筐体41に組み込むことができる。
また、ディスプレイ装置100によれば、筐体41の矩形蓋部43によって光学シート31,131の前記溶着部分が覆い隠されるため、この溶着部分が変色等して、光学シート31,131の他の部分との間で光学特性が異なっていても、ディスプレイ装置100の視聴者は違和感の無い映像を視認することができる。
【0046】
さらに、上記実施形態の光学シート31,131の製造方法によれば、光学シート31,131の型抜きが、溶着と同時あるいは溶着の後に行われるため、光拡散フィルム32及び光学フィルム33,133を個別に光学シート31,131の形状に型抜きした後に、これらを重ね合わせて位置決めする必要が無くなり、光学シート31,131を容易に製造することができる。
そして、レーザー光51により光学シート用板材38を裁断する場合には、光学シート用板材38から光学シート31,131を型抜きすると同時に光拡散フィルム32と透光性基材36あるいは光反射層61とを一体化することができるため、工程数を減らして光学シート31,131の製造効率を向上することもできる。
また、レーザー光51によって光学シート31,131を型抜きすることで、光学シート31,131の突起34を高い精度で形成することが可能となる。
【0047】
また、第2実施形態のように、光拡散フィルム32と透光性基材36との間に光反射層61を設けた場合には、光拡散フィルム32の出射面32aから出射した光を開口部61aにおいて絞ることができる。すなわち、光拡散フィルム32から出射される光のうち単位レンズ37に対する入射角が大きい光成分を開口部61aにおいてカットすることができるため、ディスプレイ装置100の画面の横方向に無駄に出射する光を低減することが可能となる。
さらに、透光性基材36に入射しなかった光は、光反射層61と光拡散フィルム32や光反射板25との間などで反射を繰り返すことで再利用することができるため、光源23からの光の利用効率を高めることができる。
【0048】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えばディスプレイ装置100においては、液晶表示素子13と光学シート31,131との間に、光の屈折・透過・反射・偏光作用によって拡散・集光効果を達成する光学シートが配されていてもよい。なお、この光学シートとしては、例えば光拡散フィルム、プリズムシート、偏光分離反射シート等が挙げられる。このように構成した場合でも、上記実施形態と同様の効果を奏する。
また、上記実施形態において、ディスプレイ装置100は液晶表示素子13を備えた液晶表示装置としているが、少なくとも光学シート31,131を用いたものであれば、投射スクリーン装置、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のように、画像を光により表示する表示装置の種類は問わない。
【0049】
また、光拡散フィルム32及び透光性基材36あるいは光反射層61は、これらの周縁部全体を溶着して一体化されるとしたが、少なくとも筐体41によって覆われる周縁部の一部を溶着して一体化されればよい。具体的には、例えば図8,9に示すように、周縁部に位置する光拡散フィルム32の出射面32aと透光性基材36の入射面36bとを溶着してもよい。この溶着部分81は、図示例のように点状に形成してもよいが、例えばライン状に形成しても構わない。また、点状の溶着部分81は、図示例のように光学シート31の各角部近傍に形成してもよいが、例えば光学シート31の辺の中途部分に形成してもよい。
【0050】
この構成の光学シート31を製造する場合には、上記実施形態と同様のフィルム準備工程及び積層工程を行い、光拡散フィルム32と光学フィルム33とを溶着した(溶着工程)後に、光学シート用板材38から個々の光学シート31を型抜きする(型抜き工程)必要がある。
そして、溶着工程においては、例えば図9に示すように、光拡散フィルム32の出射面32aと透光性基材36の入射面36bとをレーザー光51で溶着することができる。この場合には、レーザー光51の焦点が光拡散フィルム32と透光性基材36との当接面あるいはその近傍に位置するように、レーザー光51を照射すればよい。また、レーザー光51によって加熱される当接面の領域を制限するようにレーザー光51の出力を調整すればよい。さらに、型抜き工程においては、上記実施形態と同様のレーザー裁断工程を実施してもよいが、例えば打抜き加工してもよい。
なお、上述した溶着方法は、光拡散フィルム32と透光性基材36との溶着について述べたが、例えば第2実施形態のように光拡散フィルム32と光反射層61との溶着にも適用することができる。
【0051】
また、上記実施形態において、光学シート31,131に形成される各突起34は、その幅方向に対称な略矩形状に形成されるとしたが、例えば図8に示すように、非対称な形状に形成されてもよい。具体的に、突起34の一方の側面はこれを形成した辺に対して直交しているが、他方の側面は同じ辺に対して傾斜している。また、各突起34には厚さ方向に貫通する孔34aを形成してもよく、孔34aの形状や数、大きさは各突起34によって異なっていてもよい。このように光学シート31に形成される突起34の形状等を工夫しても、光学シート31の向きを容易に認識することができる。
なお、光学シート31に孔34aを形成する場合には、打抜き加工により型抜き工程を行うことが好ましく、突起34を含む光学シート31の型抜きと同時に孔34aを形成することが可能となる。
【0052】
さらに、上記実施形態においては、突起34が互いに反対側に位置する光学シート31の一対の辺に形成されているが、互いに隣り合う辺に形成されていてもよい。例えば図10〜図18のように、光学シート231の全ての辺に突起34が形成されてもよい。
また、光学シート31,131,231の面方向の周縁部には突起34が形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも光学シート31,131,231の向きを認識するための段差部が形成されていればよい。したがって、光学シート31,131,231の面方向の周縁部には、段差部として例えば面方向に窪む窪み部が形成されていてもよい。
【0053】
また、光反射層61を備える光学フィルム133の場合には、光拡散フィルム32及び光反射層61を同一の樹脂材料で構成することに限らず、例えば互いに異なる材料で形成し、これらを小さい剥離強さで溶着してもよい。すなわち、光学シート131の筐体41への組み込みが完了するまでは光拡散フィルム32及び光学フィルム133を一体化するように光拡散フィルム32と光反射層61とを仮止めしておき、前記組み込み後に振動等の外力を加えるなどして光拡散フィルム32と光反射層61とを剥離させてもよい。
【0054】
このように剥離強さを設定した場合には、ディスプレイ装置100を使用する際に光拡散フィルム32と光学フィルム133とが剥離された状態とすることができる、すなわち、光拡散フィルム32と光反射層61との間に隙間を形成することができる。そして、この状態のディスプレイ装置100においては、光拡散フィルム32に加えてこの隙間においても光が拡散されるため、光源23に基づいてディスプレイ画面に生じる輝度ムラを低減することができる。また、この剥離状態においては、光反射層61において反射あるいは吸収される光の量が少なくなり、開口部61aを通過する光量が増加するため、ディスプレイ画面における輝度を向上させることができる。
【0055】
なお、仮止めとする光拡散フィルム32及び光反射層61の剥離強さは、例えば2gf/cm以上、8gf/cm以下とすることが好ましい。この条件を満たす具体的な樹脂材料の組み合わせとしては、例えば前述した比較例1,2,4に記載されたものが挙げられる。7
また、この場合には、光反射層61を金属層によって構成してもよい。金属層としては、例えば、銀及びアルミニウムなどの高反射率であり且つ光吸収の少ない材料からなる蒸着層を使用することができる。
【0056】
また、各単位レンズ37は、平面視略矩形状に形成された光学シート31のいずれかの辺と平行する方向に延設されるとしたが、少なくとも透光性基材36の出射面36aに沿って一方向に延設されていればよく、例えば図10〜12に示すように、光学シート231の辺に対して傾斜する方向に延設されてもよい。
さらに、透光性基材36の出射面36aには単位レンズ37が配されるとしたが、少なくとも透光性基材36の出射面36aから出射した光を特定方向に集光する機能を有する光学素子が配されていればよい。
【0057】
すなわち、透光性基材36の出射面36aには、例えば図14に示すように、その頂部から一方の幅方向端部までの間を曲面となるように、また、他方の幅方向端部までの間を透光性基材36の出射面36aに向かって傾斜する平坦面となるように形成された光学素子237が配されてもよい。また、例えば図15に示すように、凸状の曲面を有すると共にその頂部にV字状の溝337aを形成した光学素子337が配されてもよい。さらに、例えば図18に示すように、プリズム形状の光学素子437が配されてもよい。なお、プリズム形状の光学素子437の場合には、その頂角を90度とすることが好ましい。
【0058】
また、これら光学素子37,237,337,437は、長尺状に形成されてレンチキュラーアレイを構成することに限らず、例えば平面視円形状あるいは多角形状に形成して、透光性基材36の出射面36aの面方向に配列されても構わない。なお、第2実施形態や図16〜18に示すように、光学シート31,231が光反射層61を備える場合には、光反射層61の各開口部61aの平面視形状も、光学素子37,237,337,437の平面視形状に応じた形状に形成すればよい。例えば、光学素子37,237,337,437が平面視円形状に形成されている場合には、開口部61aも平面視円形状に形成すればよい。
【0059】
さらに、第2実施形態においては、光拡散フィルム32と透光性基材36との間に光反射層61が設けられるとしたが、少なくとも光を遮断する遮光層が設けられていればよく、この遮光層に上記実施形態と同様の開口部61aが形成されていればよい。
また、例えば図17に示すように、光反射層61を備える光学シート231においては、透光性基材36にその入射面36bから窪んで光反射層61の開口部61aに連なる開口凹部36dが形成されてもよい。この場合には、光反射層61の開口部61a及び透光性基材36の開口凹部36dによって空気層63が画成されるが、開口凹部36dを形成することで光学シート231の厚みを変えずに光学シート231の厚さ方向に沿う空気層63の長さを延長できるため、空気層63による光の散乱効果の向上を図ることができる。
【0060】
また、例えば図15に示すように、前述の光反射層61を備えない光学シート231においても、透光性基材36にその入射面36bから窪む開口凹部36dを形成することで、第2実施形態の光学シート131と同様に、光拡散フィルム32と透光性基材36との間に空気層64を形成してもよい。
なお、図15に示す光学シート231においては、2つの光学素子337と透光性基材36の厚さ方向に重なる位置に1つの開口凹部36dが形成されているが、第2実施形態や図16,17のように光反射層61を備える光学シート131,231においても同様に、複数の光学素子37と透光性基材36の厚さ方向に重なる位置に1つの開口部61aや開口凹部36dが形成されてもよい。
また、第2実施形態や図15〜17に記載の光反射層61の開口部61aや透光性基材36の開口凹部36dは、光学素子37,337の配列に合わせて規則的に配列されているが、例えば図18に示す光反射層61の開口部61aのように、光学素子437の配列とは無関係に不規則に配されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第1実施形態に係るディスプレイ装置を示す概略断面図である。
【図2】図1のディスプレイ装置に備える光学シートを示す概略平面図である。
【図3】図2の光学シートを示す概略断面図である。
【図4】図2の光学シートの製造方法の一例を示す概略斜視図である。
【図5】図2の光学シートの製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図6】この発明の第2実施形態に係る光学シートを示す概略断面図である。
【図7】本発明の光学シートにおける剥離強さを検証する剥離試験用の試験片を示しており、(a)は概略平面図、(b)は概略側面図である。
【図8】この発明の他の実施形態に係る光学シートの製造方法の一例を示す概略平面図である。
【図9】図8の光学シートにおいて光拡散フィルムと透光性基材との溶着部分を示す拡大断面図である。
【図10】この発明の他の実施形態に係る光学シートを透光性基材の出射面側から見た状態を示す平面図である。
【図11】図10の光学シートを光拡散フィルムの入射面側から見た状態を示す平面図である。
【図12】図10の光学シートをA方向から見た側面図である。
【図13】図10の光学シートをB方向から見た側面図である。
【図14】図10〜13の光学シートにおいて、その積層構造の一例を突起の形成部分から見た状態を示す拡大側面図である。
【図15】図10〜13の光学シートにおいて、その積層構造の一例を突起の形成部分から見た状態を示す拡大側面図である。
【図16】図10〜13の光学シートにおいて、その積層構造の一例を突起の形成部分から見た状態を示す拡大側面図である。
【図17】図10〜13の光学シートにおいて、その積層構造の一例を突起の形成部分から見た状態を示す拡大側面図である。
【図18】図10〜13の光学シートにおいて、その積層構造の一例を突起の形成部分から見た状態を示す拡大側面図である。
【符号の説明】
【0062】
11 バックライト装置
13 液晶表示素子(画像表示部)
21 光源部
23 光源
31,131,231 光学シート
32 光拡散フィルム
32a 出射面
32b 入射面
32c 側面(溶着部分)
33,133 光学フィルム
34,34A 突起(段差部)
36 透光性基材
36a 出射面
36b 入射面
36c 側面(溶着部分)
37 単位レンズ(光学素子)
41 筐体
51 レーザー光
61 光反射層(遮光層)
61a 開口部
81 溶着部分
100 ディスプレイ装置
237,337,437 光学素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が光源部からの光を入射する入射面をなすと共に他方の面が光の出射面をなし、前記光源部の光を拡散する光拡散フィルムと、該光拡散フィルムの出射面に積層されて当該出射面から出射された光を制御する光学フィルムとを備え、
前記光学フィルムが、前記光拡散フィルムの出射面側に配されると共に該光拡散フィルムからの光を透過して出射させる出射面を有する透光性基材と、該透光性基材の出射面から突出するように当該透光性基材の出射面に一体に設けられて前記透光性基材の出射面から出射した光を集光する複数の光学素子とを備え、
前記光拡散フィルム及び前記透光性基材が、同一の材料によって構成され、
前記光拡散フィルムと前記透光性基材とが、これらの面方向の周縁部の少なくとも一部を溶着して一体化されていることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記光拡散フィルム及び前記透光性基材が樹脂材料からなり、
前記光拡散フィルムと前記透光性基材とが、レーザー光によって溶着されていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記光拡散フィルム及び前記透光性基材が、メタクリル酸メチルスチレン共重合体からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記光拡散フィルム及び前記光学フィルムの面方向の周縁部に、当該面方向に突出する又は窪む段差部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光学シートと、
前記光拡散フィルムの入射面側に配されて、当該入射面に向けて光を照射する光源部とを備えることを特徴とするバックライト装置。
【請求項6】
請求項5に記載のバックライト装置と、前記透光性基材の出射面側に配されて、前記バックライト装置からの光を表示光として画像表示を行う画像表示部とからなることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光学シートをその周縁部において支持する筐体を備え、
当該筐体の一部が、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材の溶着部分と前記光学シートの厚さ方向に重なるように、前記透光性基材の出射面側に配されることを特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
入射した光を拡散する光拡散フィルム、及び、当該光拡散フィルム材から出射された光を透過させる透光性基材と、前記光が出射する前記透光性基材の出射面から突出するように当該透光性基材の出射面に一体に設けられて前記透光性基材の出射面から出射した光を集光する複数の光学素子とを備える光学フィルムを用意するフィルム準備工程と、
前記光拡散フィルム側に前記透光性基材が配されるように、前記光拡散フィルムと前記光学フィルムとを重ね合わせて光学シート用板材を構成する積層工程と、
当該光学シート用板材にレーザー光を照射して、当該光学シート用板材から個々の光学シートを型抜きするように当該光学シート用板材を裁断するレーザー裁断工程とを備え、
前記フィルム準備工程において、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材を同一の樹脂材料により形成することを特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項9】
前記レーザー裁断工程において、前記光学シートにその面方向の周縁部から面方向に突出する又は窪む段差部を一体に形成することを特徴とする請求項8に記載の光学シートの製造方法。
【請求項10】
入射した光を拡散する光拡散フィルム、及び、当該光拡散フィルム材から出射された光を透過させる透光性基材と、前記光が出射する前記透光性基材の出射面から突出するように当該透光性基材の出射面に一体に設けられて前記透光性基材の出射面から出射した光を集光する複数の光学素子とを備える光学フィルムを用意するフィルム準備工程と、
前記光拡散フィルム側に前記透光性基材が配されるように、前記光拡散フィルムと前記光学フィルムとを重ね合わせて光学シート用板材を構成する積層工程と、
前記光拡散フィルムと前記光学フィルムとを溶着する溶着工程と、
当該光学シート用板材から個々の光学シートを型抜きする型抜き工程とを備え、
前記フィルム準備工程において、前記光拡散フィルム及び前記透光性基材を同一の樹脂材料により形成することを特徴とする光学シートの製造方法。
【請求項11】
前記型抜き工程において、前記光学シートにその面方向の周縁部から面方向に突出する又は窪む段差部を形成することを特徴とする請求項10に記載の光学シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−181068(P2009−181068A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21810(P2008−21810)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】