説明

光学シート、及びこれを備えた映像表示装置

【課題】光吸収粒子を含む光吸収部と光透過部とを有する光学制御層のコントラスト向上等の光制御機能を向上させた光学シートと、これを備えた映像表示装置を提供する。
【解決手段】光学シート10は、シート面10pに平行な面(層面1p)に沿って配置された光透過部1aと、光透過部間に配置された光吸収部1bと、を有する光制御層1を備え、光吸収部の樹脂バインダ3中の光吸収粒子2の分散状態が、主切断面で観察される複数の光吸収粒子から選ばれる任意の二つの粒子であって、二つの粒子に接する2本の内接線LL,LRが共に、二つの粒子間で他の光吸収粒子と重ならない内接線となる、任意の二つ粒子2a,2bについて、その2本の内接線がシート面の法線Nとなす夫々の傾斜角θL,θRを、任意の二つ粒子の複数の組について、夫々の傾斜角同士も含めて平均化した平均傾斜角θAVEを35°以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示に適用した場合に、映像表示に必要な光を透過させるとともに映像表示に不要な光は吸収する光制御機能により映像光の質を高めて、コントラスト向上や視野角調整(拡大、縮小、偏向)などが図れる光学シートと、これを備えた映像表示装置に関する。特に、光制御機能が向上する光学シートと、これを備えた映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、EL(電界発光)ディスプレイ、電子ペーバー、或いはリアプロジェクションディスプレイなどの各種映像表示装置において、映像表示に必要な光を透過させるとともに映像表示に不要な光は吸収することで、コントラストを向上させたり、視野角を拡大、縮小、偏向など調整したりして、映像光の質を高める光学シートが知られている。
例えば、特許文献1では、コントラストを向上させて映像光の質を高め得る光学シートとして、シート面に平行な面に沿って並列に形成され光を透過可能な複数の光透過部と、前記光透過部間に並列され光を吸収可能な複数の光吸収部と、を有する光学シートを開示している。前記光吸収部の典型的な形状及び配列は、断面が楔形状の柱状体であり、シート面に平行な面に沿って配列した光吸収部をシート面の法線方向から観察するとストライプ状をしている。また、光学シートは、前記光吸収部と前記光透過部とを含む層状の光制御層のみからなる構成でもよいが、通常は、機械的強度や製造の容易さ等の観点から、光透過可能な透明な基材層がさらに積層された構成となる。
【0003】
こうした光吸収部及び光透過部からなる光制御層の形成は、典型的には、先ず先に、基材層上に透明な光透過部を紫外線硬化性樹脂で形成した後、光透過部間に形成された凹部に、光吸収粒子と透明な紫外線硬化性樹脂とを含む光吸収部形成用組成物を充填することで行われる。この充填は、通常、光吸収部形成用組成物を、凹部及び光透過部上の面も含めて全面に塗布した後、凹部以外の光透過部上の余分の光吸収部形成用組成物をドクターブレードによって掻き取る、いわゆるワイピング法によって行われる。
前記光吸収部形成用組成物は、透明な紫外線硬化性樹脂などからなる樹脂バインダ中に、光吸収粒子を分散させたものが使われる。ただ、光吸収粒子としてカーボンブラックをそのまま樹脂バインダ中に分散させると、粒子径が例えば数十〜数百nmと小さいために、光透過部上の余分な光吸収部形成用組成物をワイピング法で掻き取る際に完全に掻き取り切れずに残存した光吸収粒子が、光透過部の部分でも光を吸収して、光透過部の光透過性能を損ない易い。そこで、掻き取り不良を減らすべく、光吸収粒子がドクターブレードに引っかかる様に実質的な粒子径を大きくする為に、カーボンブラックなど粒子径の小さいものは、これよりも粒子径の大きい例えば平均粒子径が3μm以上の樹脂ビーズ(粒子)中に分散保持した着色樹脂ビーズを、光吸収粒子として用いるのが普通である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−34060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、光吸収部は、その内部に樹脂バインダとこの樹脂バインダ中に分散する光吸収粒子としての着色樹脂ビーズとを含むことになるが、パインダ樹脂は透明樹脂である為に、光吸収部内に進入した不要光は着色樹脂ビーズの部分では吸収されるが、樹脂バインダの部分では吸収されないことになり、光吸収部は光制御層中でその体積に応じた光吸収性能を充分に発揮しているとは言い切れない。
また、光制御層によるコントラスト向上機能や、視野角調整機能の更なる高性能化も望まれている。
【0006】
すなわち、本発明の課題は、光吸収粒子を含む光吸収部と光透過部とを有する光制御層の光制御機能を向上させた光学シートと、これを備えた映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、次の様な構成の、光学シートと、これを備えた映像表示装置とした。
(1)必要光は透過可能にシート面に平行な面に沿って配置された複数の光透過部と、この光透過部同士の間に不要光を吸収可能に配置された複数の光吸収部と、を有する光制御層を少なくとも備えた光学シートにおいて、
前記光吸収部は、光吸収粒子と、この光吸収粒子を分散し保持する透明な樹脂バインダとを含み、
前記光吸収粒子の前記光吸収部内に於ける分散状態が、前記光吸収部をシート面の法線に平行で且つ光吸収部の注目部分に於ける延在方向に直交する断面として定義される主切断面で切断して、この主切断面で観察される複数の光吸収粒子から選ばれる任意の二つの粒子であって、この二つの粒子に接する2本の内接線がともに、この二つの粒子と接する接点間において、この二つの粒子以外の他の光吸収粒子と重ならない内接線となる、任意の二つ粒子について、
その2本の内接線がシート面の法線となす夫々の傾斜角を、前記任意の二つ粒子の複数の組について、前記夫々の傾斜角同士も含めて平均化した、平均傾斜角θAVEが35°以下である、光学シート。
(2)前記光吸収粒子の平均粒子径dが、2μm以上であり、かつ、前記光吸収部の主切断面形状における最大幅Wtの0.5倍以下である、前記(1)の光学シート。
(3)前記光吸収粒子が着色樹脂ビーズである、前記(1)または(2)の光学シート。
(4)前記着色樹脂ビーズが架橋アクリル樹脂ビーズである、前記(3)の光学シート。
(5)前記着色樹脂ビーズがカーボンブラックを含有する、前記(3)または(4)の光学シート。
(6)さらに、前記光制御層に光を透過可能な透明な基材層が積層されている、前記(1)〜(5)のいずれかの光学シート。
(7)さらに、機能層が積層されている、前記(1)〜(6)のいずれかの光学シート。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかの光学シートと、映像光生成部とを、少なくとも備えた、映像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明による光学シートによれば、光吸収粒子の光吸収部内部での分散状態がより最適化されている為に、光制御層の光制御機能を向上させることができる。その結果、映像表示に適用した場合に、コントラスト向上機能や視野角調整機能を向上させることができ、映像光の質をより高めることができる。
本発明による映像表示装置によれば、光学シートとして上記光学シートを備えているので、上記した効果が得られる。その結果、映像光の質をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による光学シートの一実施形態例を示す断面図(a)と、光吸収部の内部での光吸収粒子の分散状態に対する接線を説明する部分拡大断面図(b)。
【図2】光吸収部の断面形状例を示す断面図。
【図3】本発明による光学シートの別の実施形態例を示す断面図。
【図4】本発明による映像表示装置の一実施形態例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面は概念図であり、構成要素の縮尺関係、縦横比等は誇張されていることがある。
【0011】
〔A〕光学シート
先ず、図1の断面図は、本発明による光学シートの一実施形態例を示す断面図(a)と、光吸収部内に於ける任意の二つの粒子間に引かれる内接線と、本発明が対象としない接線を説明する部分拡大断面図である。
また、図1(a)に示す光学シート10は、光制御層1と、この光制御層1に隣接して積層された透明な基材層4とからなる。
なお、本発明においては、基材層4は必須ではない。
【0012】
《光制御層1》
前記光制御層1は、必要光は透過可能にシート面10pに平行な面に沿って配置された複数の光透過部1aと、この光透過部1aの間に不要光を吸収可能に配置された複数の光吸収部1bと、を有する。シート面10pに平行な面とは、通常、光制御層1の層面1pを意味し、本実施形態では、この光制御層1の層面1pが光学シート10のシート面10pにもなっている形態である。
光透過部1aの配置の形態は、本実施形態では、一定の配列周期Pで図面左右方向に配列された形態である。同様に、光吸収部1bの配置の形態も、本実施形態では、前記配列周期Pと同じ一定の配列周期Pで図面左右方向に配列した形態となる。
【0013】
さらに、本実施形態の光制御層1は、必要光を透過させるランド部1cも光制御層1の全面に有する。このランド部1cは、光透過部1aと一体的に形成され同一材料からなり、このため、ランド部1cと光透過部1aとの互いの境界は、屈折率及び透過率など光学的物性は同一となっている。このランド部1cは透明であり不要光を吸収不可能な部分でもある。
【0014】
同図は、シート面10pの法線Nを含む面の断面図であり、同図の形態では、光透過部1aの断面形状は台形形状であり、その上底及び下底のうち辺の長さが小さい方の上底を図面上方として配置される。一方、光吸収部1bの断面形状も台形形状であり、光吸収部1bは光透過部1aとは逆に、その上底を図面下方として配置される。また、光透過部1aの上底の法線Nの方向での水準と、光吸収部1bの下底の法線Nの方向での水準とは同一水準であり、光制御層1の層面1pでもあるシート面10pを成し、面一となっている。
【0015】
このように、光透過部1a及び光吸収部1bは、それぞれ断面形状が台形形状の柱状体であり、ともにその柱状体の延在方向が直線状で紙面に垂直方向となっている。したがって、同図の断面図は、光透過部1a及び光吸収部1bに対して主切断面でもある。
【0016】
ここで、本発明において、「主切断面」とは、シート面10pの法線Nに平行な面であるとともに、注目する要素(例えば、光透過部1aや光吸収部1b)をシート面10pの法線Nの方向から観察した場合に延在方向を有する形状であるときに、その注目する要素の注目する部分の延在方向に直交する断面として定義される面のことを意味する。注目する部分とは断面をみる部分である。
また、「主切断面」に於ける断面形状を、「主切断面形状」と言う。
【0017】
[光透過部1aとランド部1c]
前記光透過部1aは、透明材料から構成され、好ましくは、形成が容易な点等から透明樹脂から構成される。この透明樹脂としては、公知の透明樹脂を用いることができる。例えば、透明樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。但し、透明樹脂としては、前記熱可塑性樹脂に比べて、耐溶剤性があり形成時の固化が迅速などの点で、好ましくは、硬化性樹脂、それも、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いるのが良い。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂が挙げられ、例えばアクリレート系では、ウレタンアクリレート系樹脂などが用いられる。
光透過部1aの厚みは、光制御機能に応じて適宜に設定すれば良く、例えば20〜200μm程度である。光透過部1aの配列周期Pは、例えば10〜200μmである。
光透過部1aは、通常、光制御層1を、その層面1p乃至はシート面10pに投影した面積の主要な部分を占める。前記主要とは、投影面積が50%を超過することを意味する。
【0018】
ランド部1cは、必須ではないが、光透過部1aを形成時に付随的に同時に形成され得る部分であり、光制御層1に属する要素である。ランド部1cは透明であり不要光を吸収不可能な部分でもある。
ランド部1cは、典型的には、光透過部1aと一体的に形成され同一材料からなり、このため、ランド部1cと光透過部1aとの互いの境界は、屈折率及び透過率など光学的物性は同一となる。
ランド部1cを構成する材料は、前記した光透過部1aと同一とすることができる。
【0019】
[光吸収部1b]
前記光吸収部1bは、光吸収粒子2と、この光吸収粒子2を分散し保持する透明な樹脂バインダ3とから構成される。
光吸収部1bの主切断面形状に於ける寸法は、例えば、最大幅Wtは5〜50μm、最小幅Wbは2〜50μm、高さHは光透過部1aの厚み以下であり10〜200μm、斜辺と法線Nとが成す斜辺傾斜角αは0〜15°である{図2(a)参照}。
光吸収部1bの主切断面形状に於ける配列周期Pは、光透過部1aと同じで例えば10〜200μmである。
【0020】
前記最大幅Wtとは、主切断面形状が台形形状の形態の場合の図2(a)の断面図で示すとおり、シート面10p乃至は層面1pと平行な方向に於ける最大の幅である。前記最小幅Wbとは、同じくシート面10p乃至は層面1pと平行な方向に於ける最小の幅である。図2(a)を含め、図2(a)〜図2(f)の各図は、シート面10pに平行な面が光制御層1の層面1pであると共に、この層面1pがシート面10pでもある形態の場合で描いてある。
具体例で説明すれば、図2(a)の台形形状の光吸収部1bの場合には、台形の下底の寸法が最大幅Wtであり、上底の寸法が最小幅Wbとなる。
【0021】
(光吸収粒子2)
前記光吸収粒子2には、樹脂ビーズに代表される有機粒子、ガラスビーズに代表される無機粒子などを用いることができるが、好ましくは、製造及び入手の容易性などの点から、有機粒子である樹脂ビーズが用いられる。
着色樹脂ビーズの樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂などが用いられる。これらの樹脂は、いずれも、溶剤不溶性により光吸収部形成用組成物中で粒子形状が維持できる点で、架橋された樹脂である。これらのなかでも、光吸収粒子2が分散保持される樹脂バインダ3の樹脂に、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂、すなわちアクリル樹脂が通常使用される点から、密着性などの点で同類のアクリル樹脂、つまり架橋アクリル樹脂が好ましい。従って、着色樹脂ビーズとしては、架橋アクリル樹脂ビーズが好ましい。
樹脂ビーズを着色して着色樹脂ビーズとするための着色剤としては、樹脂ビーズを光吸収性にすることができるものであれば良く、顔料の他に染料でも良いが、耐候性、光吸収性などに優れる点で、好ましくは顔料、なかでもカーボンブラックが用いらる。このため、樹脂ビーズとしては、好ましくは、カーボンブラックを含有させて黒色に着色した着色樹脂ビーズが用いられる。
【0022】
光吸収粒子2の色は、暗色であり、暗色の代表色は黒色であるが、映像表示色に悪影響しなければ、低明度の有彩色でも良く、また、意識的に映像表示色を変調する目的で、低明度の有彩色としても良い。
【0023】
光吸収粒子2は、背景技術欄で既に説明した様に、光吸収粒子2としてカーボンブラックをそのまま樹脂バインダ3中に分散させると、カーボンブラックの粒子径が例えば10〜500nmと小さいために、光吸収部1bを形成時に、光透過部1a上の余分な光吸収部形成用組成物をワイピング法で掻き取るとき、充分に掻き取り切れずに残った光吸収部形成用組成物中の光吸収粒子2が、光透過部1aの光透過性を低下させることがある。
しかし、カーボンブラックの様な粒子径が500nm以下の小さい着色剤であっても、これを、粒子径2μm以上の樹脂ビーズ中に含有する着色樹脂ビーズとしての形で、光吸収粒子2に用いれば、前記光透過部1aの光透過性の低下を効果的に防ぐことができる。
ただ、粒子径2μm未満の光吸収粒子2を皆無にしても良いが、実用上、光透過部1aの光透過性能に支障を来たさない範囲であれば、含有していても良い。具体的には、光吸収部1bを構成する光吸収粒子2と樹脂バインダ3との全量100質量部に対して、粒子径2μm未満の光吸収粒子2の割合が、7質量部以下の含有量に止めるのが好ましい。
なお、光吸収粒子2の全体としての光吸収部1b中での含有割合は、光吸収粒子2と樹脂バインダ3との全量100質量部に対して、10〜60質量部程度である。この範囲未満では充分な光吸収性能を付与できず、この範囲を超えると、光吸収部形成用組成物の塗布適性が低下する。
【0024】
光吸収粒子2の粒子径は、上記したように、好ましくは、光吸収部1bをワイピング法で形成するときの、光透過部1aの光透過性の低下を軽減する観点から、最小でも2μm以上とするのが良い。
【0025】
光吸収粒子2の粒子径は、平均粒子径dでとらえれば、好ましくは、光吸収部1bの内部での、光吸収性に対する効果的な分散状態の観点から、2μm以上とするのがよい。
【0026】
ここで、本発明において、平均粒子径dとは、粒子同士が凝集していない1次粒子についての体積平均粒子径の意味である。
【0027】
光吸収粒子2の粒度分布(粒子径の分布)が狭い場合は、その粒度分布の下限の粒子径が前記した様に2μm以上とすればよく、粒度分布を無視できる程に持たない、つまり単分散の光吸収粒子2を用いる場合は、平均粒子径dの下限は2μmで良い。一方、粒度分布に或る程度の広がりがある場合は、その粒度分布の下限の粒子径を前記した様に2μm以上とすればよく、従って、こうした場合は、平均粒子径dは、2μmを超えた大きさ、例えば4μm以上となる大きさのものを用いるのが好ましい。
【0028】
さらに、光吸収部1bの内部への光吸収粒子2の効果的な充填、さらには効果的な分散状態の観点から、この平均粒子径dは、光吸収部1bの主切断面形状における最大幅Wtとの関係で、最大幅Wt以下とする必要があるが、好ましくは、次の関係式[1]を満たすのが良い。
d/Wt≦0.5 [1]
すなわち、平均粒子径dは、光吸収部1bの最大幅Wtの0.5倍以下とするのが好ましい。
【0029】
また、図2(a)の様に、光吸収部1bの主切断面形状が台形形状である場合は、前記最大幅Wtよりも小さい幅の部分を有することになり、台形形状の上底が最も小さい最小幅Wbの部分に該当する。このように、最大幅Wtよりも小さい最小幅Wbを有する主切断面形状の場合は、最小幅Wbの部分も含めた光吸収部1bの内部への光吸収粒子2の効果的な充填と効果的な分散状態との観点から、最小幅Wbは、前記した粒子径2μm以上の光吸収粒子2が充填可能な寸法とするのが好ましい。この為には、最小幅Wbは2μm以上とするのが好ましい。
これを、逆に、光吸収粒子2を基準に捉え、また光吸収粒子2の大きさを平均粒子径dでみた場合は、この平均粒子系dと最小幅Wbとの関係は、粒度分布を有する場合を考慮して、平均粒子径dの2倍を最小幅Wb以下とするのが好ましく、従って、次の関係式[2]を満たすのが良い。
2d≦Wb [2]
(但し、Wt>Wb≧2μm)
但し、平均粒子径dは、前記したワイピング法との関係に起因する2μm以上とするのが好ましい。この点で、最小幅Wbは2μmの光吸収粒子2が収まる幅が下限であり、Wb≧2μmとなる。光吸収粒子2が単分散など粒度分布が狭い場合には、平均粒子径d自体が最小幅Wb以下のものとしても良い。つまり、この場合は、d≦Wbである。例えば、最小幅Wb6μmに対して平均粒子径dは4μmとするなどである。
【0030】
こうした光吸収粒子2の粒子径の範囲を、平均粒子径dで示せば、例えば2〜10μm程度である。
光吸収粒子2の平均粒子径dが上記範囲を超過すると、高精細な光吸収部1b、例えば、最大幅Wtが10μm前後以下の場合に、光吸収粒子2を光透過部1a内部に分散保持することが容易ではなくなり、樹脂バインダ3の割合が増すことによる光吸収性能の低下が生じ易くなる。
【0031】
(樹脂バインダ3)
前記樹脂バインダ3としては、樹脂を含む透明なバインダ材料を用いることができ、典型的には、紫外線で硬化させた電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。樹脂バインダ3の樹脂(バインダ樹脂)としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂でも良いが、形成時の固化が迅速などの点で、好ましくは、硬化性樹脂、それも、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂を用いるのが好ましい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系などの樹脂が用いられる。
樹脂バインダ3は、バインダ樹脂以外に、安定剤など各種添加剤を含み得る。
【0032】
樹脂バインダ3は、この樹脂バインダ3の屈折率をnbとし、前記光透過部1aを構成する材料の屈折率をnaとしたときに、屈折率nbと屈折率naの大きさの関係を調整することで、光吸収部1bと光透過部1aとの界面での光の屈折及び全反射を含む反射の量を調整して、光制御機能を調整することができる。
【0033】
(平均傾斜角θAVE
本発明において特徴的なのは、光吸収粒子2の光吸収部1bの内部に於ける分散状態に、或る特定の状態を有することである。この分散状態は、光吸収部1bの主断面に於ける、光吸収粒子2の分散状態として知ることができる。
【0034】
本発明者らは、光制御層1の光制御機能は、光吸収部1bの主切断面形状が関係していることはもちろんだが、この他にも、光制御機能には光吸収部1bそれ自体に光吸収性を付与している光吸収粒子2の、光吸収部1b内部での分散状態も関係していると考えた。特に、光吸収粒子2が500nm以下などとサブミクロンオーダで、光吸収部1bの最大幅Wtに比べて10分の1未満、さらには100分の1未満のオーダ的に大差のあるものではなく、1μm以上のミクロンオーダのものであると、光吸収部1b内部での光吸収粒子2の分散状態の影響が大きいのではと考えた。そこで、鋭意研究した結果、理由は定かではないが、以下の様にして把握した特定の分散状態のときに、効果的に光吸収部1bによる光制御機能を高め得ることを見出した。
【0035】
この光吸収粒子2の特定の分散状態は、光学シート10を切断して現れる光吸収部1bの主断面を観察することによって知ることができる。主断面の観察は顕微鏡によって行うことができ、顕微鏡としては電子顕微鏡を用いることができる。例えば、光学シート10をミクロトームによって薄片試料に切断し、この試料を透過型電子顕微鏡によって観察することで知ることができる。顕微鏡による分散状態の観察、及び分散状態を把握するための、内接線の傾斜角の計測は、観察される断面の画像を撮影した写真から行うと、容易にできる。
【0036】
主切断面に於ける、光吸収粒子2の分散状態の或る特定の状態とは、主切断面で観察される複数の光吸収粒子2から選ばれる任意の二つの粒子2であって、この二つの粒子2に接する2本の内接線がともに、この二つの粒子2と接する接点間において、この二つの粒子2以外の他の光吸収粒子2と重ならない内接線となる、任意の二つ粒子2について、その2本の内接線がシート面10pの法線Nとなす夫々の傾斜角を、前記任意の二つ粒子2の複数の組について、前記夫々の傾斜角同士も含めて平均化した、平均傾斜角θAVEが35°以下となる、分散状態である。
【0037】
なお、本明細書においては、「光吸収粒子2」を、文書を読み易くする観点から、単に「粒子2」と呼ぶこともある。同様に、例えば「光吸収粒子2a」は「粒子2a」と呼ぶこともある。
【0038】
以下、この平均傾斜角θAVEについて、図1(b)の光吸収部1bの部分拡大断面図を参照して説明する。
【0039】
同図では、光吸収部1b内部に、図面上方のシート面10pの側から順に、光吸収粒子2として、光吸収粒子2a,2b,2c,・・・が分散している。ここでは、任意の二つの光吸収粒子2として、光吸収部1b内部のシート面10pに最も近く図面で最上部の光吸収粒子2aと、その次にシート面10pに近い光吸収粒子2bとが選択されている。また、同図では光制御層1の層面1pがシート面10pでもある。
この二つの粒子2a,2bの組に対する接線としては、内接線が2本と外接線が2本の合計4本が存在する。このうち、本発明で対象とする接線は内接線であり、図中、実線で描いてある内接線LLと、内接線LRの2本である。図中、破線で描いてある外接線LoLと外接線LoRの2本は、本発明で対象とする接線ではない。
【0040】
内接線LLや内接線LR等において、下付き添え字LとRの違いは、注目する二つの粒子2a,2bのうち(他の組の二つ粒子2の場合も同様)図面上方に近い、言い換えるとシート面10pに近い方の粒子2aに対して、図面で左側に位置する接線に下付き添え字Lを付して、反対に図面で右側に位置する接線に対して下付き添え字R を付してある。
【0041】
内接線LL,LRと、外接線LoL,LoRとの相違は、2本の内接線LL,LRは二つの粒子2a,2bの間で互いに交差するが、2本の外接線LoL,LoRは二つの粒子2a,2bの間では互いに交差しない。見方を代えると、2本の内接線LL,LRは、ともに、その接線の一方の側で二つの粒子2a,2bの一方と接し、その接線の他方の側で二つの粒子2a,2bの他方と接するのに対して、2本の外接線LoL,LoRは、ともに、その接線の一方の側で二つの粒子2a,2bの両方と接する、点が相違する。
【0042】
前記2本の内接線LL,LRは、それぞれ、シート面10pに立てた法線Nに対する傾斜角θが、内接線LLは傾斜角θL、内接線LRは傾斜角θRとなっている。
なお、本発明において、傾斜角θL、傾斜角θRは、ともに正数となる角度で捉える。言い換えると、傾斜角θL、傾斜角θRは、時計回り、或いは、反時計回りと、計測方向が存在する角度では捉えない。
【0043】
任意の二つの粒子2として、シート面10pに最も近く図面で最上部位の光吸収粒子2aと、シート面10pに3番目に近い光吸収粒子2cとの組は採用しない。その理由は、図に接線を破線で示すとおり、光吸収粒子2aと光吸収粒子2cとに対する2本の内接線LxL,LxRは、光吸収粒子2aと光吸収粒子2cとの間に存在する光吸収粒子2bと重なるからである。このように、二つの粒子2a,2c間の部分において、この二つの粒子2a,2c以外の他の光吸収粒子2(具体的には光吸収粒子2b)と重なる接線は、上記した二つの粒子2a,2bの場合よりも、より離れた位置にある粒子同士の配置関係を分散状態として評価することになるので、傾斜角θを評価する内接線として採用しない。
なお、本発明において、他の光吸収粒子2と重ならないとは、他の光吸収粒子2と接しないことも含む。
二つの粒子2a,2c間の部分という意味は、内接線LxLについては、光吸収粒子2aとの接点CaLと光吸収粒子2cとの接点CcLとの間の事を意味し、内接線LxRについては、光吸収粒子2aとの接点CaRと光吸収粒子2cとの接点CcRとの間の事を意味する。
なお、外接線とは異なり、2本の内接線LL,LRは二つの粒子2a,2bの間で常に互いに交差するという、内接線の性質上、平均傾斜角θAVEはゼロにはならない正数となる。
【0044】
このようにして、任意の二つの粒子2として、内接線LL,LRが他の光吸収粒子2と重ならないという上記所定の条件を満足する、光吸収粒子2aと光吸収粒子2bとの組が選ばれる。
【0045】
そして、同じ様にして、他の任意の二つの粒子2の組を複数選び、その内接線LL,LRの法線Nに対する傾斜角θL,θRを求める。これらの傾斜角θL,θRを傾斜角θLと傾斜角θR同士も含めて、平均化したものを平均傾斜角θAVEとして算出する。すなわち、平均傾斜角θAVEは次の式[3]により算出する。
平均傾斜角θAVE=(傾斜角θLi+傾斜角θRi)/2n [3]
(但しiは1,2,3,・・・,nまでの正の整数である。)
平均化に必要な、任意の二つの粒子2の組の数nは、少なくとも5組、好ましくは10組以上とする。すなわち、nは5以上、好ましくは10以上とする。
【0046】
そして、本発明では、この平均傾斜角θAVEを35°以下とする。すなわち、次の条件式[4]を満たすものとする。
平均傾斜角θAVE≦35° [4]
平均傾斜角θAVEが35°超過では、後述する実施例及び比較例の測定結果のように光吸収性能が低下するので、平均傾斜角θAVEは35°以下とするのが好ましい。
なお、平均傾斜角θAVEの下限は、前述したように、内接線の性質上ゼロにはならいが、平均傾斜角θAVEが、小さくなるほど厚み方向で離れた光吸収粒子2同士の間の間隔が広くなり、これらの光吸収粒子2の間を斜め方向からの光が素通りする度合いが増し単一の光吸収部1bのみでは充分な光吸収性能を発揮しにくくなる。通常、平均傾斜角θAVEが18°未満となると、素通りした光を隣の光吸収部1bで受け止め難くなり複数の光吸収部1b全体として光吸収性能を充分に発揮し難くなる。この為、平均傾斜角θAVEは18°以上としておくのが好ましい。
【0047】
平均傾斜角θAVEを35°以下とする為には、光吸収部1bの主切断面形状、最大幅Wt、及び最小幅Wb、光吸収粒子2の粒子径、並びに、光吸収粒子2と樹脂バインダ3の割合などを、調整することによって行うことができる。光吸収粒子2の粒子径に対して、光吸収部1bの幅が大きめで接近しているとき、光吸収部1bの内部での光吸収粒子2の分散状態を整列化させて、上記平均傾斜角θAVEに対する条件式[4]を満足させ易くなる。前記整列化とは、例えて言えば、光吸収部1bの高さH方向に光吸収粒子2が一列に並ぶことを指す。もちろん、実際には整然と一列に並んでいる訳ではない。
ただし、光吸収粒子2の粒子径に対して、光吸収部1bの幅が接近しすぎると、光吸収部1bの内部に、充分に光吸収粒子2が充填された分散状態を形成し難くなる。この点で、光吸収粒子2の粒子径は、光吸収部1bの最大幅Wtとの前記関係式[1]、或いは有限の最小幅Wbを持つ場合には更に最小幅Wbとの前記関係式[2]を、満足するものとするのが、好ましい。光吸収粒子2と樹脂バインダ3との割合により、光吸収粒子2同士の間隔を調整する。こうすることによって、平均傾斜角θAVEが35°以下の分散状態を、より容易に形成することができる。
【0048】
以上のようにして、平均傾斜角θAVEを35°以下とすることによって、光吸収部1bの内部での光吸収粒子2の分散状態が、より最適化された配置となり、光吸収粒子2による光吸収部1bの光吸収作用が向上し、光制御機能を向上させることができる。
その結果、映像表示に適用した場合に、コントラスト向上機能や、視野角調を拡大、縮小、偏向など調整する視野角調整機能など、光制御機能を向上させることができ、映像光の質をより高めることができる。
【0049】
〔光透過部1a、光吸収部1b、及びランド部1cの形成法〕
光透過部1a、光吸収部1b、及びランド部1cは、従来公知の光制御層1の形成法で形成することができる。
例えば、加熱された成形型を熱可塑性樹脂層に押圧する熱プレス法、熱可塑性樹脂組成物を成形型内に注入して固化させるキャスティング法、射出成形法、電離放射線硬化型樹脂組成物を成形型上(内)に注入して電離放射線で硬化させる2P法(フォトポリマー法)等を利用できる。これらの成形法の中でも、2P法は生産性に優れる点でより好ましい。2P法では、シリンダ状(円筒状)の成形型を使用して、帯状シートなどを供給しながら連続的に成形できる。帯状シートとして基材層4を用いれば、基材層4上に積層された、ランド部1cと、ランド部1c上に該ランド部1cと一体的に積層された光透過部1aと、この光透過部1a側の面に光吸収部1bの形状に対応した凹部とが形成できる。また、成形型の型面と基材4とを密着させて成形すれば、ランド部1cが存在しない形態で、基材4上に光透過部1aと、この光透過部1a側の面に光吸収部1bの形状に対応した凹部とを形成できる。
そして、前記凹部の内部に、光吸収粒子2と樹脂バインダ3を含む光吸収部形成用組成物を、ワイビング法によって充填し固化させれば光吸収部1bを形成できる。
【0050】
《基材層4》
前記基材層4は、光を透過可能な透明な基材から構成される。基材層4は、光制御層1のみでは機械的強度が不足する場合に機械的強度を補い、また、2P法(フォトポリマー法)等において光制御層1を形成するときの基材として作用し形成を容易にする。
基材層4としては、透明性を備えた材料であれば、特に制限はなく公知のものを適宜採用できる。基材層4には、典型的には、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの樹脂フィルムが用いられる。基材層4としては、このように樹脂フィルムが代表的であり、その樹脂としては、例えば、前記ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、或いはアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等である。これら樹脂は、フィルム、シート、板の形態で使用される。なお、「フィルム」、「シート」、「板」は通常は厚みにより大まかに区別されるが、本発明では単に呼称上の違いのみであり、その意味の区別は特にない。基材層4の厚みは、例えば25〜300μmである。
なお、本発明においては、基材層4は必須ではない。
【0051】
《変形形態》
本発明においては、光学シート10は、上記した形態以外に、その他の形態もとり得る。以下、その一部を説明する。
【0052】
[光吸収部1bの主切断面形状]
図2に、光吸収部1bの主切断面形状の各種形状例を示す。先ず、図2(a)は、図1で例示した実施形態形における、四辺が直線からなる台形形状であり、また、楔形状でもある。
光吸収部1bの主切断面形状は、例えば、同じ楔形状であっても、図2(b)で示す様に、元の台形形状の下底を含む下底近傍に、元の下底より大きい底辺の三角形を結合した様な、楔の根本部分を広げて漏斗状にした形状、図2(c)で示す様に、台形形状の上底を無くして上底部分を三角形にして楔先端を尖らせた様な五角形形状、図2(d)で示す様に、台形形状の上底を無くして上底部分を半円形にした様な、楔先端を曲線化した形状、などである。これらのうち、図2(b)及び図2(c)は斜辺が折れ線化した形状でもあり、図2(d)は斜辺が曲線化した形状でもある。
或いは、光吸収部1bの主切断面形状は、図2(e)で示す様に、斜面が法線Nに平行でシート面10pに垂直となる四角形状でも良い。
【0053】
これらの形状のうち、最小幅Wbが存在する形状、すなわち有限の最小幅WbでWb>0となる形状は、図2(a)、図2(b)、及び図2(e)であり、最小幅Wbが存在しない、すなわち最小幅Wb=0となる形状は、図2(c)、及び図2(d)である。最小幅Wb=0となる形状、すなわち最小幅Wbが存在しない形状については、先に説明した、光吸収粒子2の平均粒子径dと最小幅Wbとの大小関係を規定する関係式[2]は考慮しない。
ただし、図2(f)で示す様に、楔形状の先端が鋭角で最小幅Wbがゼロとなる三角形状は、光吸収粒子2が先端まで充填しにくくなるので、同じ先端が尖った形状でも、斜辺が外側に向かって凸となる折れ線の図2(c)の方が、好ましい。
【0054】
図2(c)、及び図2(d)の様に有限の最小幅Wbが存在しない形状では、楔の先端部分には光吸収粒子2の存在割合が小さくなり、特に図2(c)の様に楔先端が尖っている場合は、その傾向が強い。しかし、図2(c)で示す様に、本来の高さH=Hb+dHに対して、dHが1/20程度と小さければ、楔先端のdHの部分は光吸収機能への寄与が小さいとして除外し、Hbの部分を高さHと見做すこともできる。具体例を示せば、高さH80μmに対して、Hb76μm、dH4μmのとき、dH/H=1/20となる。
なお、dHは、図2(c)、及び図2(d)からも判るように、楔の先端に行くにつれて幅が狭まる傾向が強くなる部分に対する楔先端からの高さ(厚さ)である。
そして、高さHbの部分に於ける幅を最小幅Wbと見做して、前記した平均粒子径dと最小幅Wbの関係式[2]を適用しても良い。
【0055】
光吸収部1bの主切断面形状は、図示はしないが、図2(a)の台形形状の場合について言えば、シート面10p側で光制御層1の層面1pと面一となる側の部分が、面一とはならずに、光吸収部1bの内部に窪んだ形状となることがある。窪みは、例えば、0.5〜6μm程度である。こうした窪みは、形成する光吸収部1bの形状に対応した凹部の内部に光吸収部形成用組成物を充填して形成するときの、光吸収部形成用組成物の溶剤乾燥や硬化にともなう体積収縮などによる。
【0056】
以上の様に、光吸収部1bの主切断面形状を調整することで、コントラスト向上機能や視野角調整機能を調整することができる。例えば、光の進行方向を調整して視野角を調整したり、コントラスト低下をもたらす外光の各種角度成分に対する光吸収量を調整したりすることができる。
【0057】
[光透過部1aと光吸収部1bの配置]
上記した形態では、光透過部1aは柱状体で、その柱状体の直線状に延びる延在方向を互いに平行にして、一定の間隔で一定の方向に、シート面10pに平行な光制御層1の層面1pに沿って配列する様な配置をしており、また同時に光吸収部1bも同様に柱状体で、その柱状体の直線状に延びる延在方向を互いに平行にして、一定の間隔で一定の方向に、シート面10pに平行な光制御層1の層面1pに沿って配列する様な配置をしていた。光透過部1a及び光吸収部1bともに、その延在方向に直交する方向が前記配列方向である。言い換えると、法線Nの方向から観察すると、光透過部1aと光吸収部1bは交互にストライプ状の配列をしていた。
しかし、本発明においては、光透過部1aの配置、及び光吸収部1bの配置は、これに限定されない。例えば、法線Nの方向から観察すると、光吸収部1bが縦横に走る正方格子状の配列で、この正方格子の正方形部分が光透過部1aとなる配列である。言い換えると、光吸収部1bの形状は、第1の方向に直線状に延在する柱状体と、この第1の方向と直交する第2の方向に直線状に延在する柱状体とが互いに融合した形状となる。第1の方向と第2の方向とが直交するとき、正方格子となり、斜めに交差すると斜方格子となる。
【0058】
[機能層5]
本発明における光学シートは、上記した形態では、光制御層1と基材層4とを備えていたが、さらに、機能層を積層した構成とすることができる。機能層は、従来公知の、映像表示装置用としての光学シートに於ける各種機能層を適宜採用できる。
【0059】
例えば、図3に例示する光学シート10は、機能層5として粘着剤層5aと離型フイルム5bが、この順で、光制御層1の層面1pに積層されている構成である。粘着剤層5aには透明な粘着剤が用いられ、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が用いられる。離型フィルム5bは粘着剤層5aの表面を使用時まで一時的に保護するフィルムであり、通常、透明な離型性のフィルムが用いられ、表面をシリコーン等で離型処理したポリエステル系フィルム等が用いられる。
【0060】
なお、図3で示す光学シート10の形態では、図面で上側に位置しているシート面10pは、光制御層1が有する二つの層面のうち、図面で上側に位置している方の層面1pとは異なる面となる。光制御層1が有する二つの層面のうち、どちらの層面に符号1pを付すかは本質的には区別はないが、本明細書では、図面で上側に位置している方の層面を層面1pと符号を付して呼ぶことにしている。シート面10pについても同様である。
一方、図1で示した光学シート10の形態では、前記シート面10pは前記層面1pと同一面であった。このように、光制御層1の層面に他の層が積層されている形態では、層面1pとシート面10pとは異なる面となることがある。ただし、シート面10pと層面1pとは互いに平行な面である。
このように、本発明において、光透過部1a及び光吸収部1bの配置において、「シート面に平行な面に沿って配置され」の、前記「平行な面」とは、シート面10p自体、或いは、層面1pなどの、空気と接触する露出面、又は空気以外の物質同士の界面を意味する以外に、これらの面に平行な仮想的な面、例えば、図1(a)で前記光透過部1aとランド部1cとの間に描いた点線の様な仮想的な面であることもある。
【0061】
機能層5は、大別すると光学機能を担う光学機能層と、光学機能以外の機能を担う非光学機能層がある。
光学機能層の例を挙げれば、近赤外線を吸収する近赤外線吸収層、紫外線を吸収する紫外線吸収層、或いは、視覚上の効果が得られる、プラズマディスプレイパネル本体からのネオン光を吸収するネオン光吸収層、表示画像を好みの色調に補正する色補正機能などの、特定波長光の透過を抑制し残りの波長光は透過させる波長フィルタ層、通常最外層に設けられる反射防止層(防眩、反射防止、防眩及び反射防止兼用のいずれか)、光の進行方向を偏向するフレネルレンズ層、或いは、前記した光制御層1などがある。機能層5が光制御層1の場合、光学シート10は、光制御層1を2層以上備えた構成となる。
非光学機能層の例を挙げれば、プラズマディスプレイパネルなど映像生成部からの電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽層、表面を保護する表面保護層やハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、耐衝撃層、2層間の物質移動を防ぐバリア層、2層間を密着させる接着剤層(含む粘着剤層)、或いは前記した基材層4などがある。
【0062】
光学機能層及び非光学機能層の夫々の各層は単層で機能を兼用する事もあり、光学機能層と非光学機能層間で兼用する事もある。また、近赤外線吸収層、紫外線吸収層、ネオン光吸収層、波長フィルタ層等は、基材層4や粘着剤層5a、或いは光制御層1に於ける光透過部1aやランド部1cと兼用させることもできる。
機能層5の位置は、機能層5が基材層4以外の層である場合で言えば、例えば、図3に例示の様に光制御層1の基材層4とは反対側、或いは基材層4の光制御層1とは反対側、或いはこれらの両方、いずれでも良い。また、機能層5の位置は、基材層4と光制御層1との間であっても良い。
【0063】
機能層5を積層することによって、積層した機能層5が有する機能に応じた機能を、付与することができる。
【0064】
〔B〕映像表示装置
本発明による映像表示装置は、上記した光学シートと映像生成部とを、少なくとも備えた装置である。図4の実施形態例で示す映像表示装置20は、光学シート10と、映像生成部6としてのプラズマディスプレイパネルとを備える。このプラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板の面に前記光学シート10が、その粘着剤層5aによって直接貼り合わせられた形態である。このため、前記光学シート10は、同図に示す様に、貼り合わせ用の粘着剤層5aを有し、層構成全体として、観察者V側から順に、基材層4、光制御層1、粘着剤層5aを有する。
【0065】
映像表示装置20を、映像生成部6と光学シート10とを備えた構成とすることで、光学シート10による効果が得られ、映像生成部6で生成される映像光のコントラストを向上させたり、視野角を調整したりして、映像生成部6で生成される映像の質を高めることができる。
【0066】
本発明の映像表示装置20においては、光学シート10が、この光学シート10を他の被着体に積層するための粘着剤層5aを備える形態において、前記被着体は、プラズマディスプレイパネル等の映像生成部6それ自体でなくてもよく、例えば、映像生成部6の観察者V側に、映像生成部6との間に空気層を介して又は介さずに配置するガラス板や樹脂板等の前面板でもよい。この前面板に対して、光学シート10の位置は、観察者V側でもよく、映像生成部6側でもよい。
【0067】
本発明の映像表示装置20においては、光学シート10の光制御層1中の光吸収部1bの主切断面形状が楔形状である場合に、その楔の先端の向きは、同図の様に映像生成部6側とする形態の他、これとは逆向きの観察者V側とする形態もあり得る。楔形状の先端の向きにより、映像生成部6からの映像光の進行方向や不要な外光の吸収量を調整して、映像光の質や、視野角を調整できる。また、外光の吸収具合も調整できる。
【0068】
本発明の映像表示装置20においては、光学シート10を配置する位置は、図4に例示の実施形態のように、映像生成部6に対して観察者V側とする形態の他、映像生成部6が透過型液晶表示パネルの様に、背面から照らす光源部を有する場合は、映像生成部6に対してその背面の光源部側とする形態もあり、この場合は、さらに別の本発明による光学シートを観察者V側に配置する形態もあり得る。光学シート10を映像生成部6の背面側に配置することで、背面から映像生成部6に向かう照明光の進行方向及び広がりを調整して、つまり視野角を調整して、映像の質を高めることができる。
【0069】
本発明においては、映像生成部6としては、上記プラズマディスプレイパネル以外に、例えば、液晶パネル、EL(電界発光)パネルなどの各種ディスプレイパネル、或いは、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)等があり得る。
本発明においては、映像表示装置20は、映像生成部6、光学シート10以外に、映像生成部6の駆動回路、この駆動回路と映像生成部6とを接続する配線、これらを一体化してパネルモジュール化するシャーシ乃至はフレーム、さらに、映像表示装置20の用途に応じて、例えば、テレビジョン受像機の場合はチューナ等の各種入出力部品など、公知の各種部品、これらを収納する筐体(キャビネット)等を備えることができる。これらのその他の構成要素は、特に制限はなく、用途に応じたものとなる。
【0070】
〔C〕用途
本発明による光学シートは、映像表示装置に対して好適に使用される。また、リアプロジェクションスクリーン等にも使用される。
本発明による光学シートを備えた映像表示装置は、テレビジョン受像機、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器、デジタルフォトフレーム、リアプロジェクションディスプレイ等の映像表示装置として好適である。
【実施例】
【0071】
以下、本発明を実施例、及び比較例によって詳述する。
【0072】
《実施例1》
実施例1として、図3の様な粘着剤層付きの光学シート10を次の様にして作製した。
【0073】
(1)円筒形状の成形型の準備
光制御層1を成形するための円筒状の成形型として、光透過部1aに対応した凹凸形状を型面に有する成形型を準備した。型面の凹凸形状は、光透過部1aの部分が凹部となり、また、光吸収部1bに対応した部分が凸部となった形状である。型面の表面は銅めっきされており、この型面をダイヤモンドバイトによって切削後、クロムめっきを施して、成形型とした。この成形型の型面の凹凸は、光吸収部1bで捉えた場合に、主切断面形状が最大幅Wtに該当する下底10μm、最小幅Wbに該当する上底3μm、高さ88μmの台形形状で直線状の柱状体からなる光吸収部1bが、その延在方向を互いに平行にして、この延在方向に直交する方向に45μmの配列周期Pで配列された複数の光吸収部1bを形成可能な凹凸形状に対応している。
【0074】
(2)基材層4の準備
基材層4としては、厚さ100μmの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
【0075】
(3)光透過部1aの形成
前記(1)で準備した成形型と、ニップロール間に、上記(2)で準備した基材層4を挿入し搬送しつつ、紫外線で硬化可能な電離放射線硬化性樹脂組成物を、前記基材層4上に供給し、成形型とニップロール間の押圧力により、基材層4と成形型間に前記樹脂組成物を充填した。その後、基材層4側から紫外線を照射し前記樹脂組成物を硬化させて、次いで、剥離ロールにて成形型から基材層4と共に基材層4上で硬化した樹脂層を離型して、中間シート部材を得た。この中間シート部材において、基材層4上の樹脂層は、基材層4側が厚み20μmのランド部1cを成し、このランド部1c上に配列周期45μmで配列した光透過部1aが形成され、この配列した光透過部1a同士の間の溝状の凹部が、光吸収部1bの形状に対応している。
【0076】
前記電離放射線硬化性樹脂組成物には、ウレタンアクリレート系のプレポリマー、アクリレート系2官能モノマー、アクリレート系反応性希釈モノマー、リン酸エステル系金型離型剤、及び光重合開始剤を含むアクリレート系樹脂組成物を用いた(表1中、成分Aで表示)。
この電離放射線硬化性樹脂組成物は、硬化後において、測定波長589nmに於いて、屈折率1.550を示す。
【0077】
(4)光吸収部1bの形成
上記(3)で作製した中間シート部材の光透過部1a側の面上に、紫外線で硬化可能な光吸収部形成用樹脂組成物を塗布し、ドクターブレードを用いたワイピング法によって、光透過部1a同士の間に存在する溝状の凹部内に充填するとともに、光透過部1a上の余分の光吸収部形成用樹脂組成物を掻き落とした。その後、紫外線を照射して光吸収部形成用樹脂組成物を硬化させて光吸収部1bを形成して、基材層4上に光制御層1が形成された中間光学シート部材を得た。
【0078】
上記光吸収部形成用樹脂組成物には、アクリレート系のプレポリマー、アクリレート系モノマー、光吸収粒子2としての着色樹脂ビーズ(組成物全量に対して18質量%)、及び光重合開始剤を含むアクリレート系樹脂組成物を用いた。前記着色樹脂ビーズ(表1中、成分Xで表示)は、カーボンブラックを25質量%含有する平均粒子径4.0μmの架橋アクリル樹脂ビーズ(ガンツ化成株式会社製)である。
この光吸収部形成用樹脂組成物は、樹脂バインダ3に該当する、着色樹脂ビーズを除いた組成物(表1中、成分Bで表示)の硬化後において、測定波長589nmに於いて、屈折率1.540を示す。
【0079】
(5)粘着剤層5aの形成
厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート製の離型フィルム5bの離型面に、架橋剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むアクリル樹脂系の透明粘着剤を厚み25μmとなる様に塗布して粘着剤層5aを形成した後、この粘着剤層5aの面に上記で作製した中間光学シート部材を、その光制御層1側の面で貼り合わせて、図3の様な、目的とする粘着剤層付きの光学シート10を作製した。粘着剤層5a及び離型フィルム5bが機能層5に該当する。
【0080】
《実施例2》
実施例1に於いて、光吸収部形成用組成物中の光吸収粒子2である着色樹脂ビーズを、カーボンブラックを25質量%含有する平均粒子径4.0μmの架橋アクリル樹脂ビーズ(根上工業株式会社製、(表1中、成分Yで表示))に変更した以外は、実施例1と同様にして光学シート10を作製した。
【0081】
《実施例3》
実施例1に於いて、光吸収部形成用組成物中の光吸収粒子2以外の成分を、光透過部1aの形成に用いた電離放射線硬化性樹脂の成分と同じものを用いた以外は、実施例1と同様にして光学シート10を作製した。
【0082】
《比較例1》
実施例1に於いて、成形型を取り替えて、光制御層1の光透過部1a及び光吸収部1bの形状及び寸法を変更した以外は、実施例1と同様にして光学シートを作製した。この光制御層1は、光吸収部1bで捉えた場合に、その主切断面形状が最大幅Wtに該当する下底10μm、最小幅Wbに該当する上底6μm、高さ85μmの台形形状で直線状の柱状体からなる。配列周期Pは同じ45μmである。
【0083】
《平均傾斜角θAVEの測定評価》
実施例及び比較例の光学シートについて、光吸収部1bの主切断面を観察する為に、ミクロトームで切断して薄片を作製し、この薄片を透過型電子顕微鏡で撮影した写真画像から、内接線LL,Rが法線Nと成す傾斜角θL,θRを測定した。傾斜角は、夫々の光学シートについて、二つの粒子2の組を10組選び測定した。視野角θLと傾斜角θRを含めて、合計20点について平均して平均傾斜角θAVEを算出した。算出は、先ず、視野角θLについて10点の平均値を求め、同様に視野角θRについても10点の平均値を求め、これらの平均値を更に平均化して最終的な平均傾斜角θAVEを算出した。結果は、表1に纏めて示す。
【0084】
【表1】

【0085】
《光制御機能の評価》
光制御機能として、プラズマディスプレイパネルからなる映像生成部6に適用したときの、コントラスト向上性能を評価した。具体的には、プラズマテレビに組み込まれたプラズマディスプレイパネルの前面ガラス基板のガラス面に元々貼合されていた光学シートを剥がし、代わりに上記で得られた光学シートを貼り合わせ、輝度計で白輝度と黒輝度を測定した。実施例及び比較例の各光学シートは、離型フィルム5bを剥離し露出させた粘着剤層5aによって、前面ガラス基板のガラス面に貼り合わせた。
コントラストの測定は、室内蛍光灯下の照度550lxで、テレビ画面中心から画面法線方向に2m離れた正面の位置から輝度計(コニカミノルタセンシング株式会社製、LS−110)で画面の輝度を測定した。白輝度はカラーパターン・ジェネレータ(株式会社ケンウッド・ティー・エム・アイ製、CG−935N)によりホワイトモードで全面白画面を表示させて測定し、黒輝度は同じパターンジェネレータによりクロスハッチモードで黒地に白の縦線及び横線の格子パターンを表示させて、黒部分を測定した。そして、〔白輝度/黒輝度〕として、コントラストを算出した。結果を、表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
表2に示す様に、光吸収粒子2の分散状態が、平均傾斜角θAVEが35°以下となる本発明規定の条件を満足する実施例1〜3は、この条件を満足しない比較例1に対して、コントラストが向上しており、光制御機能が向上し映像光を質を高めることができた。コントラストの向上率は、比較例1のコントラストを基準1.00として、この基準に対して、実施例1と実施例2は1.23と23%向上し(10.3/8.4)、実施例3は1.22と21%(10.2/8.4)向上した。
【符号の説明】
【0088】
1 光制御層
1a 光透過部
1b 光吸収部
1c ランド部
1p (光制御層の)層面
2 光吸収粒子
3 樹脂バインダ
4 基材層
5 機能層
5a 粘着剤層
5b 離型フィルム
6 映像生成部
10 光学シート
10p シート面
20 映像表示装置
L 内接線
R 内接線
LoL 外接線
LoR 外接線
LxL 対象外の内接線
LxR 対象外の内接線
N 法線
V 観察者
Wb 光吸収部の最小幅
Wt 光吸収部の最大幅
α 斜辺傾斜角
θL 内接線の傾斜角
θR 内接線の傾斜角
θAVE 平均傾斜角



【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要光は透過可能にシート面に平行な面に沿って配置された複数の光透過部と、この光透過部同士の間に不要光を吸収可能に配置された複数の光吸収部と、を有する光制御層を少なくとも備えた光学シートにおいて、
前記光吸収部は、光吸収粒子と、この光吸収粒子を分散し保持する透明な樹脂バインダとを含み、
前記光吸収部内に於ける前記光吸収粒子の分散状態が、前記光吸収部をシート面の法線に平行で且つ光吸収部の注目部分に於ける延在方向に直交する断面として定義される主切断面で切断して、この主切断面で観察される複数の光吸収粒子から選ばれる任意の二つの粒子であって、この二つの粒子に接する2本の内接線がともに、この二つの粒子と接する接点間において、この二つの粒子以外の他の光吸収粒子と重ならない内接線となる、任意の二つ粒子について、
その2本の内接線がシート面の法線となす夫々の傾斜角を、前記任意の二つ粒子の複数の組について、前記夫々の傾斜角同士も含めて平均化した、平均傾斜角θAVEが35°以下である、光学シート。
【請求項2】
前記光吸収粒子の平均粒子径dが、2μm以上であり、かつ、前記光吸収部の主切断面形状における最大幅Wtの0.5倍以下である、請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記光吸収粒子が着色樹脂ビーズである、請求項1または2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記着色樹脂ビーズが架橋アクリル樹脂ビーズである、請求項3に記載の光学シート。
【請求項5】
前記着色樹脂ビーズがカーボンブラックを含有する、請求項3または4に記載の光学シート。
【請求項6】
さらに、前記光制御層に光を透過可能な透明な基材層が積層されている、請求項1〜5のいずれかに記載の光学シート。
【請求項7】
さらに、機能層が積層されている、請求項1〜6のいずれかに記載の光学シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光学シートと、映像光生成部とを、少なくとも備えた、映像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−109083(P2013−109083A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252691(P2011−252691)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】