光学シート、及び該光学シートを備える表示装置
【課題】視野角特性を向上させ、ゴーストの発生を抑制することのできる光学シート及び該光学シートを備える表示装置を提供する。
【解決手段】映像光源2より観察者側に配置され、該映像光源からの光を制御して観察者側に出射する複数の層を備える光学シート10、20、30であって、複数の層のうちの少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部12、12、…と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部13、13、…とを有する光学機能シート層11であり、プリズム部が屈折率Npである材料により形成され、光吸収部が屈折率Nbである材料により形成されたときに、Np−Nbで表わされる屈折率差が0.01より小さいことを特徴とする。
【解決手段】映像光源2より観察者側に配置され、該映像光源からの光を制御して観察者側に出射する複数の層を備える光学シート10、20、30であって、複数の層のうちの少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部12、12、…と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部13、13、…とを有する光学機能シート層11であり、プリズム部が屈折率Npである材料により形成され、光吸収部が屈折率Nbである材料により形成されたときに、Np−Nbで表わされる屈折率差が0.01より小さいことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像源より観察者側に配置されて映像光や外光を適切に制御することができる光学シート、及び該光学シートを備える表示装置に関し、詳しくは、視野角特性を向上し、ゴースト発生を抑制することができる光学シート、及び該光学シートを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と記載することがある。)等の平板状の映像源を用いた表示装置では、PDPよりも観察者側に光学シートが配置されている。この光学シートは、観察者に質の高い映像光を提供するために設けられている。そのため該光学シートは、シート面に沿って並列され、PDPからの映像光を透過させるプリズム部と、該プリズム部間に配置され、映像光や外光を適切に遮断又は反射してコントラストを向上させたり、ゴーストを抑制したりする光吸収部とを備えている(特許文献1等)。
【0003】
特許文献1に記載の発明によれば、プリズム部と光吸収部との屈折率差は0.05以下とされている。そして差が小さい例として当該屈折率差が0.01である場合の全反射が起こる臨界角が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−189867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明では、これより小さい屈折率差についての検討はされておらず、その他従来の光学シートにおいても同様にこれより小さい屈折率差の検討はされてこなかった。
【0006】
一方、光学シートの性能、特に視野角特性の向上、及びゴースト発生の抑制に関する要望は昨今においてさらに高くなり、これらを重視した光学シートを提供することが必要である場合も少なくない。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、従来に比べさらに視野角特性を向上させ、ゴーストの発生を抑制することのできる光学シート及び該光学シートを備える表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、映像光源(2)より観察者側に配置され、該映像光源からの光を制御して観察者側に出射する複数の層を備える光学シート(10、20、30)であって、複数の層のうちの少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部(12、12、…)と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部(13、13、…)とを有する光学機能シート層(11)であり、プリズム部が屈折率Npである材料により形成され、光吸収部が屈折率Nbである材料により形成されたときに、Np−Nbで表わされる屈折率差が0.01より小さいことを特徴とする光学シートを提供することにより前記課題を解決する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学シート(10、20、30)における光吸収部(13、13、…)は、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるような光吸収性能を有するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
ここで「透過率」は、測定対象のシートを配置する前後における輝度の比を意味し、最大で100%の値をとる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光学シート(10、20、30)におけるシート厚方向断面において、光学機能シート層(11)のプリズム部(12、12、…)は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、光吸収部(13、13、…)は一方のシート面側に底辺を有する三角形であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光学シート(10、20、30)におけるシート厚方向断面において、光学機能シート層(11)のプリズム部(12、12、…)は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、光吸収部(13、13、…)は一方のシート面側に長い下底、他方のシート面側に短い上底を有する台形であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の光学シート(10、20、30)におけるプリズム部(12、12、…)の上底と下底との間に具備される台形の斜辺がシート面の法線に対して0度より大きく10度以下であることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の光学シート(10、20、30)における斜辺が折れ線状、又は曲線からなることを特徴とする。
【0016】
ここで、斜辺が曲線状である場合における該曲線とシート面の法線との成す角は、次のように求める。上記曲線をシート厚方向に10等分し、得られる各曲線の端点を結び、直線を得る。そして得られた各直線とシート面の法線との成す角がいずれも0度より大きく10度以下である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シート(10、20、30)における光吸収部(13、13、…)に平均粒径が1μm以上の光吸収粒子を含有することを特徴とする。
【0018】
ここで「平均粒径が1μm以上」であることにおける「平均粒径が1μm」とは、重量分布法による粒度測定で、粒径が0.5μm以上で、1.5μmより小さい粒子を対象とし、粒度分布において標準偏差が0.3以上であることを意味する。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学シート(10、20、30)におけるNp及びNbが1.49〜1.56の値であることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学シートにおける光学機能シート層のプリズム部及び光吸収部が所定の断面を有して長手方向に延在して形成されるとともに、光学機能シート層が2層積層され、該2層の光学機能シート層の長手方向が一方と他方とで直交するように積層されることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学シートが備えられることを特徴とする表示装置(1、1’)を提供することにより前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来に比べ視野角特性を向上させ、ゴーストの発生を抑制することができる光学シート及び該光学シートを備える表示装置を提供することが可能となる。
【0023】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0025】
図1は第一実施形態にかかる本発明の光学シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図1では、見易さのため繰り返しとなる符号は一部省略することがある(以降に示す各図において同じ。)。光学シート10は、光学機能シート層11と、基材層としてのPETフィルム層16と、粘着剤層17とを備えている。上記各層は図1で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。以下に各層について説明する。
【0026】
光学機能シート層11は、光学シート10のシートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部12、12、…と、該プリズム部12、12、…の間に配置された光吸収部13、13、…とを備えている。図2に1つの光吸収部13及びこれに隣接するプリズム部12、12に着目した拡大図を示した。図1、図2、及び適宜示した図を参照しつつ光学機能シート層11について説明する。
【0027】
プリズム部12、12、…は一方のシート面側が上底、他方のシート面側が下底となるように配置された略台形断面を有する要素である。また、プリズム部12、12、…は、屈折率がNpである光透過性樹脂で構成されている。これは通常、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有する例えばエポキシアクリレート等により形成されている。Npの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。
【0028】
従って当該プリズム部12、12、…内を映像光が透過することにより観察者に映像光が提供される。
【0029】
光吸収部13、13、…は、プリズム部12、12、…の間に配置される部位である。光吸収部13、13、…はプリズム部12、12、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部12、12、…の下底側となるような略三角形形状である。該光吸収部13、13、…は、屈折率がNbである物質が充填されたバインダー部14と、該バインダー部14に混入された光吸収粒子15、15、…とを備えている。
【0030】
当該光吸収部13、13、…に外光が入射して吸収されることにより、外光が映像光に及ぼす影響を減じることができ、コントラストを向上させることができる。
【0031】
バインダー部14に充填されるバインダー材は、屈折率Nbである材料により構成される。Nbの大きさは特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。そして該バインダー材として用いられるものも特に限定されることはないが、例えば、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有するウレタンアクリレート等を挙げることができる。
【0032】
ここで、本発明の光学シート10におけるNpとNbとの差は、Np−Nbが0.01より小さくなるように構成されている。これにより視野角特性を向上させ、ゴースト発生を抑制することが可能となる。その理由については後で詳しく説明する。
【0033】
光吸収粒子15、15、…は、入手性及び取扱いの観点から平均粒径が1μm以上の粒子が好ましく、これはカーボン等の顔料又は赤、青、黄等の染料にて所定の濃度に着色されている。これには例えば市販の着色樹脂微粒子を使用することもできる。当該光吸収粒子15、15、…の屈折率Nrは特に限定されるものではない。
【0034】
ここで、光吸収部13、13、…の光吸収性能は目的によって適宜調整可能であるが、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるような光吸収性能を有するように構成されていることが好ましい。透過率が40〜70%とするための手段は特に限定されるものではないが、例えば光吸収粒子の含有量や光吸収性能を調整して適用することを挙げることができる。
【0035】
さらに、光吸収部13、13、…の斜辺(シート厚さ方向に延在する2つの辺)のシート面法線に対する角度θは目的に応じて変更可能であり、特に限定されるものではないが、通常の表示装置の場合、適切に外光及び映像光の反射、吸収をする観点から、0度より大きく10度以下であることが好ましく、0度より大きく6度以下であることがさらに好ましい。
【0036】
光学機能シート層11の形状は、図1、図2に示したように、プリズム部12、12、…が略台形断面を有し、これらに挟まれて形成される光吸収部13、13、…は三角形断面を有している。しかし、適切に光を制御することができれば、これら形状は特に限定されることなく適宜適切な形状が採用される。図3に変形例を示した。図3は図2に対応する図で、光学機能シート層11’における1つの光吸収部13’と、その両側に配置されるプリズム部12’、12’に注目して示した図である。図3からわかるように、光吸収部13’の断面における斜辺(プリズム部12’、12’の斜辺)は、1つの斜辺からではなく、2つの斜辺13a’、13a’、13b’、13b’から構成されている。すなわち断面において折れ線状の斜辺を有している。詳しくは、プリズム部12’、12’の上底(短い側の底)側(紙面左側)に配置される斜辺13a’、13a’は光学シートのシート面の法線に対して角度θ1を有している。一方、プリズム部12’、12’の下底(長い側の底)側(紙面右側)に配置される斜辺13b’、13b’は光学シートのシート面の法線に対して角度θ2を有している。
【0037】
この角度θ1、θ2は、θ1>θ2の関係であるとともにいずれも0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。また、2つの斜辺13a’、13b’は、光学機能シート層11’の厚み方向(紙面左右方向)にT1とT2に分ける位置で交差する。T1とT2とは同じ大きさであることが好ましい。
【0038】
当該変形例は、2つの斜辺により構成されている例であるが、さらに多くの斜辺で構成されることにより、断面において折れ線状であっても良い。さらにはこれが曲線状であっても良い。
【0039】
本実施形態では、光吸収部が略三角形である場合を示して説明したが光吸収部の形状はこれに限定されるものではなく台形であってもよい。図4に、光吸収部が台形である例における光学シートの光学機能シート層11’’の光吸収部13’’及びこれに隣接するプリズム部12’’、12’’を示した。ここでは、図4のように光吸収部13’’が台形であり、このときには該台形における長い底辺(下底)をプリズム部12’’の上底側、短い底辺(上底)をプリズム部12’’の下底側に配置することができる。ここで図4にBで示した上底の長さは2〜25μmの範囲であることが好ましい。
【0040】
図1に戻り、光学シート10の他の構成について説明する。PETフィルム層16は、該PETフィルム層16上に上記光学機能シート層11を形成するためのベースとなるフィルム層で、PETを主成分として形成されている。当該PETフィルム層16はPETを主成分として含有していれば良く、他の樹脂が含まれてもよい。ここで主成分とはPETフィルム層全体に対して50質量%以上を意味する。また、各種添加剤を添加してもよい。一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。
【0041】
粘着剤層17は、後述するように例えばプラズマテレビ1に配置される他のシートや部材に光学シート10を接着させるための粘着剤が配置された層である。粘着剤層17に用いられる粘着剤は光を透過させるとともに、適切に光学シート10を他に接着させることができればその材質は特に限定されるものではない。これには例えばアクリル系の共重合体等を挙げることができ、その粘着力は例えば数N/25mm〜20N/25mm程度である。
【0042】
光学シート10は、例えば次のように製造される。PETフィルム層16の一面側に、プリズム部の材料となる液状体を塗布する。次に、プリズム部形状を形成するロール金型とPETフィルムとの間に、上記プリズム部となる材料を挟んだ状態で紫外線を照射することにより硬化させてプリズム部12、12、…を形成する。そして、プリズム部12、12、…の間に、黒色の光吸収粒子が分散されたバインダー部の材料となる透明樹脂の液状体を充填し、スキージする等して余分な材料を取り除くとともに、紫外線を照射することで硬化させる。これにより光吸収部13、13、…が形成される。
【0043】
図5は第二実施形態にかかる本発明の光学シート20の断面で、層構成を模式的に表した図である。光学シート20は、第一実施形態の光学シート10の光学機能シート層11とPETフィルム層16との間にもう1枚の光学機能シート層21が挟まれて配置されたものである。このとき、プリズム部22及び光吸収部(図には表れない。)が光学機能シート層11のプリズム部12、12、…及び光吸収部13、13、…と直交するように配置される。従って、光学機能シート層21のプリズム部22と光吸収部とは紙面奥/手前方向に交互に並列されている。その他の光学シート20に備えられる各層の構成については光学シート10における各構成と共通するのでここでは説明を省略する。
【0044】
図6は、第三実施形態にかかる本発明の光学シート30の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。光学シート30は、光学機能シート層11と、基材層としてのPETフィルム層16と、粘着剤層17とを備えて形成されている。上記各層は図6に示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。
【0045】
光学シート30は、粘着剤層17が光学機能シート層11の一面側で、PETフィルム層16が配置される面とは反対側に備えられることを特徴とする。粘着剤層17がこのように配置されても本発明の光学シートとすることができる。光学シート30に備えられる各層のついては、光学シート10における説明と共通するのでここでは説明を省略する。光学シート30のかかる層構成により、後述するように当該光学シート30をPDP2(図8参照)に直接貼り付けて積層させることが可能となる。
【0046】
以上説明した本発明の光学シート10、20、30に具備される基材層については、必ずしもPETを材料とすることはなく、その他にもポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、又はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂等の「ポリエステル系樹脂」を用いることができる。本実施形態では、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点からPETを主成分とする樹脂が好ましい材料であるとして説明した。
【0047】
さらに本発明の光学シートには、電磁波を遮断する層、赤外線を遮断する層、ネオン線を遮断する層、色調を補正する層、反射を防止する層、帯電を防止する層、及び防眩層等の機能フィルム層が備えられてもよい。
【0048】
次に、以上のような本発明の光学シート10が表示装置であるプラズマテレビ1に取り付けられた時の構成について説明する。図7は光学シート10がPDP2の映像出射側に配置され、当該PDP2及び光学シート10がプラズマテレビ1に備えられたときの該PDP2及び光学シート10の層構成を模式的に示した図である。図7では紙面右が観察者側である。ここでは、光学シート10が適用された場合について説明するが、光学シート20についても同様である。
【0049】
図7に示したように、本発明の光学シート10は、映像源であるPDP2に対してAで示した間隙を有して観察者側に配置される。また粘着剤層17の観察者側には、ガラス板6やAS、AR、AGの機能を有する各種層(3、4、5)が設けられている。ここで、「AS」とは「アンチスタティック」の略で帯電防止機能を意味する。「AR」とは「アンチリフレクション」の略で光の反射率を抑える機能をいい、また「AG」は「アンチグレア」の略でプリズム部表面のぎらつきを防止することができる機能である。
【0050】
ここで、その性質上AG層が最も観察者側に配置されることが好ましく、ARとAGとが両方の性質を有する1枚のフィルムで構成されてもよい。また、他に備えられる層としてAS、AR、AGの各種層を例に挙げたが、その他必要に応じてさらに他の機能を有する層を備えることができる。これには例えば、電磁波を遮断する層、赤外線を遮断する層、ネオン線を遮断する層、調色層等を挙げることができる。
【0051】
図8は、他のプラズマテレビ1’の例で光学シート30が適用された場合である。図8は図7に相当する図で、光学シート30がPDP2の映像出射側に配置され、当該PDP2及び光学シート30がプラズマテレビ1’に備えられたときの該PDP2及び光学シート30の層構成を模式的に示した図である。図8では紙面右が観察者側である。
【0052】
図8からわかるように、プラズマテレビ1’では、光学シート30の粘着剤層17の上記配置により該光学シート30がPDP2の映像出射側に直接積層されている。これはいわゆる直貼り方式と称され、表示装置のさらなる薄型化をすることが可能となる。当該直貼り方式であっても本発明の表示装置とすることができる。
【0053】
次に光路について説明する。一般に、屈折率の異なる物質の界面において該界面に入射した光は屈折することが知られている。そしてスネルの法則にみられるように、その屈折の程度は界面を形成する2つの物質の屈折率の差に起因し、その差、及び入射する光の角度よっては界面で全反射が起こることは良く知られている。そして光学シートではバインダー部14、114と、プリズム部12、112との界面(以下、単に「界面」と記載することがある。)が問題となる。
【0054】
図9は、映像光の光路を説明するための図である。図9(a)は本発明の例、図9(b)は従来の例を説明するための図であり、いずれも1つの光吸収部13、113、及びこれに隣接するプリズム部12、12、112、112を示している。本発明の光学シート10では、上記のようにバインダー部14とプリズム部12との屈折率差を0.01より小さく抑えているので全反射が起こり難い。これにより、図9(a)に示したように界面に対して浅い角度で入射する映像光Le10(界面の法線に対してφ3で入射した映像光)であっても、該映像光Le10は光吸収部13に入り、光Lk10となって光吸収粒子15、15、…に吸収される。ここで、屈折率差(Np−Nb)が負の場合であっても、その差の大きさに関わらず全反射は起こらないので、上記と同様の効果を奏するものとなる。
【0055】
一方、従来の光学シートでは光学シート10よりも屈折率差が大きいので、図9(b)に示したように、界面に対して浅い角度で入射する映像光Le110(界面の法線に対してφ3で入射した映像光)は、全反射して破線で示した光Lf110(映像)として観察者側に出射される。このとき、界面はシート面の法線に対して所定の角度で傾斜しているので、光Lf110は光Le110に比べてシート面の法線に近い角度で出射される。すなわちこのように界面で全反射されて出射される光は、シート面の法線に近い角度に変換されて出射される。すると、もともとシート面の法線に近い光であるプリズム部112を通常に透過する光Le101等と合わさり、正面に近い視野角における映像のみが明るくなる傾向をもたらす。このことは、正面からずれた角度では急激に明るさが低下してしまう現象を生じ、画面内の明るさムラ(不均一)の一因となっていた。
しかし、本発明の光学シート10によれば、上記したように、シート面の法線に近い形態で出射される虞のある光を吸収することができるので、かかる現象を抑制し(視野角特性の改善)、画面内の明るさムラを少なくする(均一性向上)ことが可能となる。
【0056】
一方、ゴースト像については次の通りである。図10は、ゴースト像の原因となり得る光Lg20、Lg120の光路を説明するための図である。図10(a)は本発明の例、図10(b)は従来の例を説明するための図であり、いずれも1つの光吸収部13、113、及びこれに隣接するプリズム部12、12、112、112を示している。当該光Lg120についても上記映像光と同じ条件で全反射が生じる。
ゴースト像は、PDPのある画素から出射した映像光が観察者に到達する前にシート面、シート界面、及びPDP面等で反射して、上記ある画素から離隔した位置のプリズム部から観察者側に出射してしまうことが発生の一因である。すなわち図10において表した光Lg20及びLg120は、紙面上方の離隔した位置に存する画素から出射した映像光が反射を繰り返す等してここに到達したものである。
【0057】
これに対して本発明の光学シート10では、上記のようにバインダー部14とプリズム部12との屈折率差を0.01より小さく抑えているので全反射が起こり難い。従って、図10(a)に示したようにゴースト像の原因となる光Lg20が界面に浅い角度で入射(界面の法線に対してφ3で入射)しても、これが光Lk20として光吸収部13に入り、光吸収粒子15、15、…に吸収される。ここで、屈折率差(Np−Nb)が負の場合であっても、その差の大きさに関わらず全反射は起こらないので、上記と同様の効果を奏するものとなる。
【0058】
一方、従来の光学シートでは図10(b)に示したように、界面に浅い角度で入射するゴースト像となり得る光Lg120(界面の法線に対してφ3で入射した映像光)は、全反射して破線で示した光Lf120として観察者側に出射される。従って、これはゴースト像として観察者に認識されてしまう。
【0059】
このように、本発明の光学シート10によれば、ゴースト像の原因となり得る光の一部をこれが観察者に提供される前に吸収することができるので、ゴースト像の発生を抑制することが可能となる。
【0060】
このようにして本発明の光学シート及び該光学シートを備える表示装置は、従来に比べてさらに視野角特性及びゴースト発生に関する改善をすることができる。
【0061】
以上のような構成を備える光学シートに関して、以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。ただし、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
【実施例】
【0062】
実施例としてプリズム部とバインダー部との屈折率差を変えた各光学シートにおける視野角特性及びゴーストを評価した。以下に条件、及び結果について説明する。
【0063】
<試験試料>
試験試料として、プリズム部とバインダー部の屈折率差を変えた光学シートを製作した。表1に具体的に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
ここで、屈折率差はプリズム部の屈折率Npからバインダー部の屈折率Nbを引いた値である。
【0066】
<視野角特性>
視野角特性は各視野角における相対輝度を測定することによりおこなった。ここで視野角とは、画面の中心からの該画面の法線と、画面の中心へ向けた視線との角度を意味する。視野角の正負は図1における紙面上方を正、紙面下方を負としたものである。相対輝度とは、光学シートを配置しない場合における輝度を100%としたとき、光学シートを配置したときの輝度のこれに対する比率(割合)を意味する。測定は自動変角光度計(村上色彩研究所製、GP−500)により各角度についておこなった。
【0067】
<ゴーストの評価>
ゴースト像の発生の有無は目視により評価した。ゴーストの発生が無い又は少ないものを「○」とし、ゴーストの発生が明らかであるものを「×」とした。
【0068】
表2及び図11に結果を示す。図11では、屈折率差の数字を表し、これに該当するグラフを矢印で指示した。
【0069】
【表2】
【0070】
ここで、表2における視野角特性の判断は次のようにおこなった。上記得られた視野角と相対輝度との関係から、正面視における(すなわち視野角0度を中心として)視野角が±10度の範囲内の最大相対輝度と最少相対輝度との差異が10%以内である場合を「○」、10%より大きい場合を「×」とした。画面の均一性の評価は、画面から該画面の法線方向に所定の距離だけ離隔した位置から画面を観察することにより行うが、その距離は画面の高さ(上下方向大きさ)に対して3倍であることが通常である。この条件によれば、観察位置において、画面の中央正面と画面上下端部との成す角は概ね±10度となる。従って、上記のような判定をすることは適切である。
【0071】
視野角特性については特に図11からわかるように、屈折率差が0.01以上の場合には、視野角が−15〜+15度の範囲で急に相対輝度が大きくなっていることがわかる。これに対して本発明の光学シート(屈折率差0.01未満)では、正面近傍(視野角0度近傍)において相対輝度が最も高くなってはいるものの、ここで突出することはなく急激な変化をともなっていない。これにより、視野角特性は良好であり、画面内の均一性を向上させることが可能となる。
【0072】
以上、現時点において最も実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光学シート、該光学シートを備える表示装置も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第一実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図2】図1に示した光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図3】変形例にかかる本発明の光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図4】光吸収部が台形である例にかかる本発明の光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図5】第二実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図6】第三実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図7】本発明の光学シートがプラズマテレビに取り付けられた場面においてPDP及び光学シートの層構成を模式的に示した図である。
【図8】本発明の光学シートが他の形態のプラズマテレビに取り付けられた場面においてPDP及び光学シートの層構成を模式的に示した図である。
【図9】映像光の光路を説明するための図である。
【図10】ゴースト像の原因となる映像光の光路を説明するための図である。
【図11】実施例の結果のうち、視野角と相対輝度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0074】
1、1’ プラズマテレビ(表示装置)
2 プラズマディスプレイパネル(PDP、映像光源)
10、20、30 光学シート
11、21 光学機能シート層
12、22 プリズム部
13 光吸収部
14 バインダー部
15 光吸収粒子
16 PETフィルム層
17 粘着剤層
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像源より観察者側に配置されて映像光や外光を適切に制御することができる光学シート、及び該光学シートを備える表示装置に関し、詳しくは、視野角特性を向上し、ゴースト発生を抑制することができる光学シート、及び該光学シートを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と記載することがある。)等の平板状の映像源を用いた表示装置では、PDPよりも観察者側に光学シートが配置されている。この光学シートは、観察者に質の高い映像光を提供するために設けられている。そのため該光学シートは、シート面に沿って並列され、PDPからの映像光を透過させるプリズム部と、該プリズム部間に配置され、映像光や外光を適切に遮断又は反射してコントラストを向上させたり、ゴーストを抑制したりする光吸収部とを備えている(特許文献1等)。
【0003】
特許文献1に記載の発明によれば、プリズム部と光吸収部との屈折率差は0.05以下とされている。そして差が小さい例として当該屈折率差が0.01である場合の全反射が起こる臨界角が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−189867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の発明では、これより小さい屈折率差についての検討はされておらず、その他従来の光学シートにおいても同様にこれより小さい屈折率差の検討はされてこなかった。
【0006】
一方、光学シートの性能、特に視野角特性の向上、及びゴースト発生の抑制に関する要望は昨今においてさらに高くなり、これらを重視した光学シートを提供することが必要である場合も少なくない。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、従来に比べさらに視野角特性を向上させ、ゴーストの発生を抑制することのできる光学シート及び該光学シートを備える表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、映像光源(2)より観察者側に配置され、該映像光源からの光を制御して観察者側に出射する複数の層を備える光学シート(10、20、30)であって、複数の層のうちの少なくとも1層が、光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部(12、12、…)と、プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部(13、13、…)とを有する光学機能シート層(11)であり、プリズム部が屈折率Npである材料により形成され、光吸収部が屈折率Nbである材料により形成されたときに、Np−Nbで表わされる屈折率差が0.01より小さいことを特徴とする光学シートを提供することにより前記課題を解決する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光学シート(10、20、30)における光吸収部(13、13、…)は、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるような光吸収性能を有するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
ここで「透過率」は、測定対象のシートを配置する前後における輝度の比を意味し、最大で100%の値をとる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光学シート(10、20、30)におけるシート厚方向断面において、光学機能シート層(11)のプリズム部(12、12、…)は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、光吸収部(13、13、…)は一方のシート面側に底辺を有する三角形であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光学シート(10、20、30)におけるシート厚方向断面において、光学機能シート層(11)のプリズム部(12、12、…)は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、光吸収部(13、13、…)は一方のシート面側に長い下底、他方のシート面側に短い上底を有する台形であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の光学シート(10、20、30)におけるプリズム部(12、12、…)の上底と下底との間に具備される台形の斜辺がシート面の法線に対して0度より大きく10度以下であることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の光学シート(10、20、30)における斜辺が折れ線状、又は曲線からなることを特徴とする。
【0016】
ここで、斜辺が曲線状である場合における該曲線とシート面の法線との成す角は、次のように求める。上記曲線をシート厚方向に10等分し、得られる各曲線の端点を結び、直線を得る。そして得られた各直線とシート面の法線との成す角がいずれも0度より大きく10度以下である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シート(10、20、30)における光吸収部(13、13、…)に平均粒径が1μm以上の光吸収粒子を含有することを特徴とする。
【0018】
ここで「平均粒径が1μm以上」であることにおける「平均粒径が1μm」とは、重量分布法による粒度測定で、粒径が0.5μm以上で、1.5μmより小さい粒子を対象とし、粒度分布において標準偏差が0.3以上であることを意味する。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学シート(10、20、30)におけるNp及びNbが1.49〜1.56の値であることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学シートにおける光学機能シート層のプリズム部及び光吸収部が所定の断面を有して長手方向に延在して形成されるとともに、光学機能シート層が2層積層され、該2層の光学機能シート層の長手方向が一方と他方とで直交するように積層されることを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学シートが備えられることを特徴とする表示装置(1、1’)を提供することにより前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来に比べ視野角特性を向上させ、ゴーストの発生を抑制することができる光学シート及び該光学シートを備える表示装置を提供することが可能となる。
【0023】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0025】
図1は第一実施形態にかかる本発明の光学シート10の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。図1では、見易さのため繰り返しとなる符号は一部省略することがある(以降に示す各図において同じ。)。光学シート10は、光学機能シート層11と、基材層としてのPETフィルム層16と、粘着剤層17とを備えている。上記各層は図1で示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。以下に各層について説明する。
【0026】
光学機能シート層11は、光学シート10のシートの厚さ方向断面において略台形であるプリズム部12、12、…と、該プリズム部12、12、…の間に配置された光吸収部13、13、…とを備えている。図2に1つの光吸収部13及びこれに隣接するプリズム部12、12に着目した拡大図を示した。図1、図2、及び適宜示した図を参照しつつ光学機能シート層11について説明する。
【0027】
プリズム部12、12、…は一方のシート面側が上底、他方のシート面側が下底となるように配置された略台形断面を有する要素である。また、プリズム部12、12、…は、屈折率がNpである光透過性樹脂で構成されている。これは通常、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有する例えばエポキシアクリレート等により形成されている。Npの大きさは特に限定されることはないが、適用材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。
【0028】
従って当該プリズム部12、12、…内を映像光が透過することにより観察者に映像光が提供される。
【0029】
光吸収部13、13、…は、プリズム部12、12、…の間に配置される部位である。光吸収部13、13、…はプリズム部12、12、…の上底側を底辺とし、これに対向する頂点がプリズム部12、12、…の下底側となるような略三角形形状である。該光吸収部13、13、…は、屈折率がNbである物質が充填されたバインダー部14と、該バインダー部14に混入された光吸収粒子15、15、…とを備えている。
【0030】
当該光吸収部13、13、…に外光が入射して吸収されることにより、外光が映像光に及ぼす影響を減じることができ、コントラストを向上させることができる。
【0031】
バインダー部14に充填されるバインダー材は、屈折率Nbである材料により構成される。Nbの大きさは特に限定されることはないが、適用する材料の入手性の観点から1.49〜1.56であることが好ましい。そして該バインダー材として用いられるものも特に限定されることはないが、例えば、電離放射線、紫外線等により硬化する特徴を有するウレタンアクリレート等を挙げることができる。
【0032】
ここで、本発明の光学シート10におけるNpとNbとの差は、Np−Nbが0.01より小さくなるように構成されている。これにより視野角特性を向上させ、ゴースト発生を抑制することが可能となる。その理由については後で詳しく説明する。
【0033】
光吸収粒子15、15、…は、入手性及び取扱いの観点から平均粒径が1μm以上の粒子が好ましく、これはカーボン等の顔料又は赤、青、黄等の染料にて所定の濃度に着色されている。これには例えば市販の着色樹脂微粒子を使用することもできる。当該光吸収粒子15、15、…の屈折率Nrは特に限定されるものではない。
【0034】
ここで、光吸収部13、13、…の光吸収性能は目的によって適宜調整可能であるが、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるような光吸収性能を有するように構成されていることが好ましい。透過率が40〜70%とするための手段は特に限定されるものではないが、例えば光吸収粒子の含有量や光吸収性能を調整して適用することを挙げることができる。
【0035】
さらに、光吸収部13、13、…の斜辺(シート厚さ方向に延在する2つの辺)のシート面法線に対する角度θは目的に応じて変更可能であり、特に限定されるものではないが、通常の表示装置の場合、適切に外光及び映像光の反射、吸収をする観点から、0度より大きく10度以下であることが好ましく、0度より大きく6度以下であることがさらに好ましい。
【0036】
光学機能シート層11の形状は、図1、図2に示したように、プリズム部12、12、…が略台形断面を有し、これらに挟まれて形成される光吸収部13、13、…は三角形断面を有している。しかし、適切に光を制御することができれば、これら形状は特に限定されることなく適宜適切な形状が採用される。図3に変形例を示した。図3は図2に対応する図で、光学機能シート層11’における1つの光吸収部13’と、その両側に配置されるプリズム部12’、12’に注目して示した図である。図3からわかるように、光吸収部13’の断面における斜辺(プリズム部12’、12’の斜辺)は、1つの斜辺からではなく、2つの斜辺13a’、13a’、13b’、13b’から構成されている。すなわち断面において折れ線状の斜辺を有している。詳しくは、プリズム部12’、12’の上底(短い側の底)側(紙面左側)に配置される斜辺13a’、13a’は光学シートのシート面の法線に対して角度θ1を有している。一方、プリズム部12’、12’の下底(長い側の底)側(紙面右側)に配置される斜辺13b’、13b’は光学シートのシート面の法線に対して角度θ2を有している。
【0037】
この角度θ1、θ2は、θ1>θ2の関係であるとともにいずれも0度より大きく10度以下の範囲であることが好ましい。さらに好ましい角度は0度より大きく6度以下である。また、2つの斜辺13a’、13b’は、光学機能シート層11’の厚み方向(紙面左右方向)にT1とT2に分ける位置で交差する。T1とT2とは同じ大きさであることが好ましい。
【0038】
当該変形例は、2つの斜辺により構成されている例であるが、さらに多くの斜辺で構成されることにより、断面において折れ線状であっても良い。さらにはこれが曲線状であっても良い。
【0039】
本実施形態では、光吸収部が略三角形である場合を示して説明したが光吸収部の形状はこれに限定されるものではなく台形であってもよい。図4に、光吸収部が台形である例における光学シートの光学機能シート層11’’の光吸収部13’’及びこれに隣接するプリズム部12’’、12’’を示した。ここでは、図4のように光吸収部13’’が台形であり、このときには該台形における長い底辺(下底)をプリズム部12’’の上底側、短い底辺(上底)をプリズム部12’’の下底側に配置することができる。ここで図4にBで示した上底の長さは2〜25μmの範囲であることが好ましい。
【0040】
図1に戻り、光学シート10の他の構成について説明する。PETフィルム層16は、該PETフィルム層16上に上記光学機能シート層11を形成するためのベースとなるフィルム層で、PETを主成分として形成されている。当該PETフィルム層16はPETを主成分として含有していれば良く、他の樹脂が含まれてもよい。ここで主成分とはPETフィルム層全体に対して50質量%以上を意味する。また、各種添加剤を添加してもよい。一般的な添加剤としては、フェノール系等の酸化防止剤、ラクトン系等の安定剤等を挙げることができる。
【0041】
粘着剤層17は、後述するように例えばプラズマテレビ1に配置される他のシートや部材に光学シート10を接着させるための粘着剤が配置された層である。粘着剤層17に用いられる粘着剤は光を透過させるとともに、適切に光学シート10を他に接着させることができればその材質は特に限定されるものではない。これには例えばアクリル系の共重合体等を挙げることができ、その粘着力は例えば数N/25mm〜20N/25mm程度である。
【0042】
光学シート10は、例えば次のように製造される。PETフィルム層16の一面側に、プリズム部の材料となる液状体を塗布する。次に、プリズム部形状を形成するロール金型とPETフィルムとの間に、上記プリズム部となる材料を挟んだ状態で紫外線を照射することにより硬化させてプリズム部12、12、…を形成する。そして、プリズム部12、12、…の間に、黒色の光吸収粒子が分散されたバインダー部の材料となる透明樹脂の液状体を充填し、スキージする等して余分な材料を取り除くとともに、紫外線を照射することで硬化させる。これにより光吸収部13、13、…が形成される。
【0043】
図5は第二実施形態にかかる本発明の光学シート20の断面で、層構成を模式的に表した図である。光学シート20は、第一実施形態の光学シート10の光学機能シート層11とPETフィルム層16との間にもう1枚の光学機能シート層21が挟まれて配置されたものである。このとき、プリズム部22及び光吸収部(図には表れない。)が光学機能シート層11のプリズム部12、12、…及び光吸収部13、13、…と直交するように配置される。従って、光学機能シート層21のプリズム部22と光吸収部とは紙面奥/手前方向に交互に並列されている。その他の光学シート20に備えられる各層の構成については光学シート10における各構成と共通するのでここでは説明を省略する。
【0044】
図6は、第三実施形態にかかる本発明の光学シート30の断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。光学シート30は、光学機能シート層11と、基材層としてのPETフィルム層16と、粘着剤層17とを備えて形成されている。上記各層は図6に示した断面を維持して紙面奥/手前方向に延在する。
【0045】
光学シート30は、粘着剤層17が光学機能シート層11の一面側で、PETフィルム層16が配置される面とは反対側に備えられることを特徴とする。粘着剤層17がこのように配置されても本発明の光学シートとすることができる。光学シート30に備えられる各層のついては、光学シート10における説明と共通するのでここでは説明を省略する。光学シート30のかかる層構成により、後述するように当該光学シート30をPDP2(図8参照)に直接貼り付けて積層させることが可能となる。
【0046】
以上説明した本発明の光学シート10、20、30に具備される基材層については、必ずしもPETを材料とすることはなく、その他にもポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、又はポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂等の「ポリエステル系樹脂」を用いることができる。本実施形態では、性能に加え、量産性、価格、入手可能性等の観点からPETを主成分とする樹脂が好ましい材料であるとして説明した。
【0047】
さらに本発明の光学シートには、電磁波を遮断する層、赤外線を遮断する層、ネオン線を遮断する層、色調を補正する層、反射を防止する層、帯電を防止する層、及び防眩層等の機能フィルム層が備えられてもよい。
【0048】
次に、以上のような本発明の光学シート10が表示装置であるプラズマテレビ1に取り付けられた時の構成について説明する。図7は光学シート10がPDP2の映像出射側に配置され、当該PDP2及び光学シート10がプラズマテレビ1に備えられたときの該PDP2及び光学シート10の層構成を模式的に示した図である。図7では紙面右が観察者側である。ここでは、光学シート10が適用された場合について説明するが、光学シート20についても同様である。
【0049】
図7に示したように、本発明の光学シート10は、映像源であるPDP2に対してAで示した間隙を有して観察者側に配置される。また粘着剤層17の観察者側には、ガラス板6やAS、AR、AGの機能を有する各種層(3、4、5)が設けられている。ここで、「AS」とは「アンチスタティック」の略で帯電防止機能を意味する。「AR」とは「アンチリフレクション」の略で光の反射率を抑える機能をいい、また「AG」は「アンチグレア」の略でプリズム部表面のぎらつきを防止することができる機能である。
【0050】
ここで、その性質上AG層が最も観察者側に配置されることが好ましく、ARとAGとが両方の性質を有する1枚のフィルムで構成されてもよい。また、他に備えられる層としてAS、AR、AGの各種層を例に挙げたが、その他必要に応じてさらに他の機能を有する層を備えることができる。これには例えば、電磁波を遮断する層、赤外線を遮断する層、ネオン線を遮断する層、調色層等を挙げることができる。
【0051】
図8は、他のプラズマテレビ1’の例で光学シート30が適用された場合である。図8は図7に相当する図で、光学シート30がPDP2の映像出射側に配置され、当該PDP2及び光学シート30がプラズマテレビ1’に備えられたときの該PDP2及び光学シート30の層構成を模式的に示した図である。図8では紙面右が観察者側である。
【0052】
図8からわかるように、プラズマテレビ1’では、光学シート30の粘着剤層17の上記配置により該光学シート30がPDP2の映像出射側に直接積層されている。これはいわゆる直貼り方式と称され、表示装置のさらなる薄型化をすることが可能となる。当該直貼り方式であっても本発明の表示装置とすることができる。
【0053】
次に光路について説明する。一般に、屈折率の異なる物質の界面において該界面に入射した光は屈折することが知られている。そしてスネルの法則にみられるように、その屈折の程度は界面を形成する2つの物質の屈折率の差に起因し、その差、及び入射する光の角度よっては界面で全反射が起こることは良く知られている。そして光学シートではバインダー部14、114と、プリズム部12、112との界面(以下、単に「界面」と記載することがある。)が問題となる。
【0054】
図9は、映像光の光路を説明するための図である。図9(a)は本発明の例、図9(b)は従来の例を説明するための図であり、いずれも1つの光吸収部13、113、及びこれに隣接するプリズム部12、12、112、112を示している。本発明の光学シート10では、上記のようにバインダー部14とプリズム部12との屈折率差を0.01より小さく抑えているので全反射が起こり難い。これにより、図9(a)に示したように界面に対して浅い角度で入射する映像光Le10(界面の法線に対してφ3で入射した映像光)であっても、該映像光Le10は光吸収部13に入り、光Lk10となって光吸収粒子15、15、…に吸収される。ここで、屈折率差(Np−Nb)が負の場合であっても、その差の大きさに関わらず全反射は起こらないので、上記と同様の効果を奏するものとなる。
【0055】
一方、従来の光学シートでは光学シート10よりも屈折率差が大きいので、図9(b)に示したように、界面に対して浅い角度で入射する映像光Le110(界面の法線に対してφ3で入射した映像光)は、全反射して破線で示した光Lf110(映像)として観察者側に出射される。このとき、界面はシート面の法線に対して所定の角度で傾斜しているので、光Lf110は光Le110に比べてシート面の法線に近い角度で出射される。すなわちこのように界面で全反射されて出射される光は、シート面の法線に近い角度に変換されて出射される。すると、もともとシート面の法線に近い光であるプリズム部112を通常に透過する光Le101等と合わさり、正面に近い視野角における映像のみが明るくなる傾向をもたらす。このことは、正面からずれた角度では急激に明るさが低下してしまう現象を生じ、画面内の明るさムラ(不均一)の一因となっていた。
しかし、本発明の光学シート10によれば、上記したように、シート面の法線に近い形態で出射される虞のある光を吸収することができるので、かかる現象を抑制し(視野角特性の改善)、画面内の明るさムラを少なくする(均一性向上)ことが可能となる。
【0056】
一方、ゴースト像については次の通りである。図10は、ゴースト像の原因となり得る光Lg20、Lg120の光路を説明するための図である。図10(a)は本発明の例、図10(b)は従来の例を説明するための図であり、いずれも1つの光吸収部13、113、及びこれに隣接するプリズム部12、12、112、112を示している。当該光Lg120についても上記映像光と同じ条件で全反射が生じる。
ゴースト像は、PDPのある画素から出射した映像光が観察者に到達する前にシート面、シート界面、及びPDP面等で反射して、上記ある画素から離隔した位置のプリズム部から観察者側に出射してしまうことが発生の一因である。すなわち図10において表した光Lg20及びLg120は、紙面上方の離隔した位置に存する画素から出射した映像光が反射を繰り返す等してここに到達したものである。
【0057】
これに対して本発明の光学シート10では、上記のようにバインダー部14とプリズム部12との屈折率差を0.01より小さく抑えているので全反射が起こり難い。従って、図10(a)に示したようにゴースト像の原因となる光Lg20が界面に浅い角度で入射(界面の法線に対してφ3で入射)しても、これが光Lk20として光吸収部13に入り、光吸収粒子15、15、…に吸収される。ここで、屈折率差(Np−Nb)が負の場合であっても、その差の大きさに関わらず全反射は起こらないので、上記と同様の効果を奏するものとなる。
【0058】
一方、従来の光学シートでは図10(b)に示したように、界面に浅い角度で入射するゴースト像となり得る光Lg120(界面の法線に対してφ3で入射した映像光)は、全反射して破線で示した光Lf120として観察者側に出射される。従って、これはゴースト像として観察者に認識されてしまう。
【0059】
このように、本発明の光学シート10によれば、ゴースト像の原因となり得る光の一部をこれが観察者に提供される前に吸収することができるので、ゴースト像の発生を抑制することが可能となる。
【0060】
このようにして本発明の光学シート及び該光学シートを備える表示装置は、従来に比べてさらに視野角特性及びゴースト発生に関する改善をすることができる。
【0061】
以上のような構成を備える光学シートに関して、以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。ただし、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
【実施例】
【0062】
実施例としてプリズム部とバインダー部との屈折率差を変えた各光学シートにおける視野角特性及びゴーストを評価した。以下に条件、及び結果について説明する。
【0063】
<試験試料>
試験試料として、プリズム部とバインダー部の屈折率差を変えた光学シートを製作した。表1に具体的に示した。
【0064】
【表1】
【0065】
ここで、屈折率差はプリズム部の屈折率Npからバインダー部の屈折率Nbを引いた値である。
【0066】
<視野角特性>
視野角特性は各視野角における相対輝度を測定することによりおこなった。ここで視野角とは、画面の中心からの該画面の法線と、画面の中心へ向けた視線との角度を意味する。視野角の正負は図1における紙面上方を正、紙面下方を負としたものである。相対輝度とは、光学シートを配置しない場合における輝度を100%としたとき、光学シートを配置したときの輝度のこれに対する比率(割合)を意味する。測定は自動変角光度計(村上色彩研究所製、GP−500)により各角度についておこなった。
【0067】
<ゴーストの評価>
ゴースト像の発生の有無は目視により評価した。ゴーストの発生が無い又は少ないものを「○」とし、ゴーストの発生が明らかであるものを「×」とした。
【0068】
表2及び図11に結果を示す。図11では、屈折率差の数字を表し、これに該当するグラフを矢印で指示した。
【0069】
【表2】
【0070】
ここで、表2における視野角特性の判断は次のようにおこなった。上記得られた視野角と相対輝度との関係から、正面視における(すなわち視野角0度を中心として)視野角が±10度の範囲内の最大相対輝度と最少相対輝度との差異が10%以内である場合を「○」、10%より大きい場合を「×」とした。画面の均一性の評価は、画面から該画面の法線方向に所定の距離だけ離隔した位置から画面を観察することにより行うが、その距離は画面の高さ(上下方向大きさ)に対して3倍であることが通常である。この条件によれば、観察位置において、画面の中央正面と画面上下端部との成す角は概ね±10度となる。従って、上記のような判定をすることは適切である。
【0071】
視野角特性については特に図11からわかるように、屈折率差が0.01以上の場合には、視野角が−15〜+15度の範囲で急に相対輝度が大きくなっていることがわかる。これに対して本発明の光学シート(屈折率差0.01未満)では、正面近傍(視野角0度近傍)において相対輝度が最も高くなってはいるものの、ここで突出することはなく急激な変化をともなっていない。これにより、視野角特性は良好であり、画面内の均一性を向上させることが可能となる。
【0072】
以上、現時点において最も実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光学シート、該光学シートを備える表示装置も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第一実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図2】図1に示した光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図3】変形例にかかる本発明の光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図4】光吸収部が台形である例にかかる本発明の光学シートの一部を拡大して示した図である。
【図5】第二実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図6】第三実施形態にかかる本発明の光学シートの断面を示し、その層構成を模式的に表した図である。
【図7】本発明の光学シートがプラズマテレビに取り付けられた場面においてPDP及び光学シートの層構成を模式的に示した図である。
【図8】本発明の光学シートが他の形態のプラズマテレビに取り付けられた場面においてPDP及び光学シートの層構成を模式的に示した図である。
【図9】映像光の光路を説明するための図である。
【図10】ゴースト像の原因となる映像光の光路を説明するための図である。
【図11】実施例の結果のうち、視野角と相対輝度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0074】
1、1’ プラズマテレビ(表示装置)
2 プラズマディスプレイパネル(PDP、映像光源)
10、20、30 光学シート
11、21 光学機能シート層
12、22 プリズム部
13 光吸収部
14 バインダー部
15 光吸収粒子
16 PETフィルム層
17 粘着剤層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像光源より観察者側に配置され、該映像光源からの光を制御して前記観察者側に出射する複数の層を備える光学シートであって、
前記複数の層のうちの少なくとも1層が、
光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部と、
前記プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部と、を有する光学機能シート層であり、
前記プリズム部が屈折率Npである材料により形成され、前記光吸収部が屈折率Nbである材料により形成されたときに、Np−Nbで表わされる屈折率差が0.01より小さいことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記光吸収部は、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるような光吸収性能を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
シート厚方向断面において、
前記光学機能シート層の前記プリズム部は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、
前記光吸収部は前記一方のシート面側に底辺を有する三角形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学シート。
【請求項4】
シート厚方向断面において、
前記光学機能シート層の前記プリズム部は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、
前記光吸収部は前記一方のシート面側に長い下底、前記他方のシート面側に短い上底を有する台形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学シート。
【請求項5】
前記プリズム部の前記上底と前記下底との間に具備される前記台形の斜辺がシート面の法線に対して0度より大きく10度以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の光学シート。
【請求項6】
前記斜辺が折れ線状、又は曲線からなることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項7】
前記光吸収部に平均粒径が1μm以上の光吸収粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項8】
前記Np及びNbが1.49〜1.56の値であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項9】
前記光学機能シート層の前記プリズム部及び前記光吸収部が所定の断面を有して長手方向に延在して形成されるとともに、前記光学機能シート層が2層積層され、該2層の光学機能シート層の前記長手方向が一方と他方とで直交するように積層されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学シートが備えられることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
映像光源より観察者側に配置され、該映像光源からの光を制御して前記観察者側に出射する複数の層を備える光学シートであって、
前記複数の層のうちの少なくとも1層が、
光を透過可能にシート面に沿って並列されるプリズム部と、
前記プリズム部間に光を吸収可能に並列される光吸収部と、を有する光学機能シート層であり、
前記プリズム部が屈折率Npである材料により形成され、前記光吸収部が屈折率Nbである材料により形成されたときに、Np−Nbで表わされる屈折率差が0.01より小さいことを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記光吸収部は、該光吸収部を構成する材料のみで形成された6μm厚さのシートの透過率測定において、透過率が40〜70%となるような光吸収性能を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
シート厚方向断面において、
前記光学機能シート層の前記プリズム部は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、
前記光吸収部は前記一方のシート面側に底辺を有する三角形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学シート。
【請求項4】
シート厚方向断面において、
前記光学機能シート層の前記プリズム部は、一方のシート面側に短い上底、他方のシート面側に長い下底を有する台形であり、
前記光吸収部は前記一方のシート面側に長い下底、前記他方のシート面側に短い上底を有する台形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学シート。
【請求項5】
前記プリズム部の前記上底と前記下底との間に具備される前記台形の斜辺がシート面の法線に対して0度より大きく10度以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の光学シート。
【請求項6】
前記斜辺が折れ線状、又は曲線からなることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項7】
前記光吸収部に平均粒径が1μm以上の光吸収粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項8】
前記Np及びNbが1.49〜1.56の値であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項9】
前記光学機能シート層の前記プリズム部及び前記光吸収部が所定の断面を有して長手方向に延在して形成されるとともに、前記光学機能シート層が2層積層され、該2層の光学機能シート層の前記長手方向が一方と他方とで直交するように積層されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学シート。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学シートが備えられることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−98525(P2009−98525A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271691(P2007−271691)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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