光学シート及びこれを用いたバックライトユニット
【課題】光学シート1の各フレネルレンズ面1aの凸形状の曲率を大きくすることにより、各フレネルレンズ面1aを通過した光を各フレネルレンズ面ごとに一旦集光により交差させてから、ある程度広がりを持たせるようにすることができる光学シート及びこれを用いたバックライトユニットを提供する。
【解決手段】フレネルレンズ状に分割された隣接する双方のフレネルレンズ面1aの隣接境界側の端部の傾斜角度が、フレネルレンズの中心よりも離れた側のフレネルレンズ面1aの方ほど内向きの傾斜角度となる構成とする。
【解決手段】フレネルレンズ状に分割された隣接する双方のフレネルレンズ面1aの隣接境界側の端部の傾斜角度が、フレネルレンズの中心よりも離れた側のフレネルレンズ面1aの方ほど内向きの傾斜角度となる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凸型フレネルレンズ状の光学シート、及び、この光学シートを用いた液晶ディスプレイ等のバックライトユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機やパーソナルコンピュータ等に用いられる液晶ディスプレイのバックライトには、液晶パネルの背後に拡散シート等を介して複数本の線光源を配置した直下ライト方式や、液晶パネルの背後に拡散シート等を介して導光板を配置し、この導光板の側方の線光源からの光を液晶パネルの背面に導くエッジライト方式等がある。
【0003】
テレビ受像機に用いられる液晶ディスプレイにおける直下ライト方式の従来のバックライトユニットは、線光源である直管形のCCFL(冷陰極管)を複数本平行に並べた手前側に拡散シート(拡散板)や輝度向上シート等を配置したものであり、この拡散シート等の手前側に液晶パネルが配置される。また、拡散シート等に代えて、又は、これらに加えて、平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートを用いたバックライトユニットも従来からあった(例えば、特許文献1参照。)。平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートを用いると、平凸型シリンドリカルレンズを配置した場合と同様に、直管形のCCFLから放射状に出射される光を集光して平行光線として液晶パネルに導くことができ、しかも、平凸型シリンドリカルレンズよりもレンズ厚を薄くできるので、バックライトユニットの大幅な軽量小型化とコストダウンを図ることができる。
【0004】
上記光学シートを用いた従来のバックライトユニットの構成例を図13に示す。このバックライトユニットは、光学シート1の下方(背後側)に、長手方向を前後方向に向けた直管型のCCFL2を複数本等間隔に左右方向に平行に並べて配置したものであり、これらのCCFL2の下方には、下向きに出射された光を有効利用するための反射板3を配置している。そして、液晶パネル4は、この光学シート1の上方(手前側)に配置される。また、この光学シート1の上方の液晶パネル4との間には、拡散シート等が配置される場合もある。光学シート1は、透明な樹脂シートに、直下の各CCFL2に対応させてそれぞれ平凸型リニアフレネルレンズ状のフレネルレンズを複数形成したものである。
【0005】
ここで、図14に示すように、平凸型リニアフレネルレンズ11は、平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを、左右方向に直交する面Dで複数に分割して下方に押し下げることにより上下方向のレンズ厚を薄くしたレンズである。従って、この平凸型リニアフレネルレンズ11の上面には、元の平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを左右方向に分割したそれぞれの曲面形状を有する複数のフレネルレンズ面11aと、隣接する各フレネルレンズ面11aの端が段差状になった間を繋ぐ側平面であるフレネル分割面11bとが形成されることになる。
【0006】
なお、各フレネルレンズ面11aは、製造上の都合により、図14に示すように上端の高さが揃うように形成されることが多い。また、図14に示す平凸型リニアフレネルレンズ11は、図面を見やすくするために、フレネルレンズ面11aの分割数を8分割としているが、実際にはさらに多数に分割されるので、レンズ厚も十分に薄くなる(次に示す図15も同様)。
【0007】
上記平凸型リニアフレネルレンズ11は、平凸型シリンドリカルレンズ12と同様の集光作用を有するので、下方に配置したCCFL2から上方に向けて左右方向に放射状に広がる光を集光することにより、上向きの平行光として出射することができる。従って、この平凸型リニアフレネルレンズ11の複数面ずつのフレネルレンズ面11aやフレネル分割面11bと同様の形状を1組のフレネルレンズとし、樹脂シートの上面にこのフレネルレンズを各CCFL2に対応させて複数左右に並べて形成した光学シート1をバックライトユニットに用いれば、この光学シート1から出射して液晶パネル4を通過する光が、パネル面に垂直な上向き成分の多い光となるので、液晶ディスプレイの正面輝度を高めることができるようになる。
【0008】
ところが、従来の光学シート1を用いたバックライトユニットは、液晶パネル4のパネル面に垂直な上向き成分の多い光が特に多いので、液晶ディスプレイの正面輝度は高くなっても、この正面(真上)から僅かに左右に位置がずれただけで輝度が極端に低下するという問題があった。しかも、液晶パネル4が広視野角化を図ったものであったとしても、この広い視野角の周辺部分ではバックライトの輝度が低くなるために、広視野角化の性能を十分に発揮させることができないという問題もあった。
【0009】
また、光学シート1におけるフレネルレンズの中心の直下に正確にCCFL2が配置されず、左右方向に位置ずれした場合には、液晶パネル4を通過する光がパネル面に垂直ではなく、少し傾斜した光となるので、最も輝度の高い位置が液晶ディスプレイの真正面から少しずれることになる。このため、液晶ディスプレイの真正面位置での輝度が低下するだけでなく、一部のCCFL2のみが位置ずれしていた場合には、液晶ディスプレイの画面上に輝度ムラが生じるという問題もあった。
【0010】
さらに、従来の光学シート1を用いたバックライトユニットを液晶ディスプレイ以外の他の用途の面光源として用いた場合にも、配光特性が上向き(正面)方向にほとんど限定されるために、用途によっては、高価な拡散シート等を追加して用いる必要が生じるという問題もあった。
【0011】
なお、上記平凸型リニアフレネルレンズ11では、フレネル分割面11bで多数に分割された各フレネルレンズ面11aが円筒面等の凸状の曲面となるが、実際には、図15に示すように、各フレネルレンズ面13aが平面となった平凸型リニアフレネルレンズ13を用いることも多い。この平凸型リニアフレネルレンズ13は、フレネル分割面13bによって分割された各フレネルレンズ面13aが、対応する平凸型リニアフレネルレンズ11の曲面のフレネルレンズ面11aの平均的な傾斜角度、即ち例えばこのフレネルレンズ面11aの傾斜角度の最大値と最小値の算術平均の傾斜角度を備えた平面によって構成されたものである。
【0012】
ただし、以降では、特に断りがある場合を除いては、従来の凸型リニアフレネルレンズの各フレネルレンズ面は、図14に示した平凸型リニアフレネルレンズ11のフレネルレンズ面11aのように、平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを左右方向に分割した凸状の曲面形状を有するものとして説明する。
【特許文献1】特開2005−338611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、凸型フレネルレンズ状の各フレネルレンズ面の凸形状の曲率を大きくすることにより、各フレネルレンズ面を通過した光を各フレネルレンズ面ごとに一旦集光により交差させてから、ある程度広がりを持たせるようにすることができる光学シート及びこれを用いたバックライトユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の光学シートは、少なくとも一方のシート面がフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、このフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるフレネルレンズの中心軸と半径方向とに沿った縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が半径方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)同心円状にそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【0015】
請求項2の光学シートは、少なくとも一方のシート面がリニアフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、このリニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるこの分割面に直交する縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が分割面に直交する方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)フレネルレンズの中心より外側でそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【0016】
請求項3の光学シートは、前記各フレネルレンズ面が0.1mm以上、1.0mm以下のピッチでリニアフレネルレンズ状に分割されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4の光学シートは、前記各フレネルレンズ面が、円筒面によって形成されたことを特徴とする。
【0018】
請求項5の光学シートは、前記光学シートが拡散剤を含有する透光性材料からなることを特徴とする。
【0019】
請求項6のバックライトユニットは、前記光学シートを1以上の光源の手前側に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、光学シートは、構成(A)と構成(B)により凸型フレネルレンズ状となり、全体としては集光作用を有する。しかも、構成(C)により、各フレネルレンズ面は、広い意味での曲率が従来よりも大きくなるので、これらの各フレネルレンズ面ごとに、それぞれ凸レンズの集光作用によって光を一旦集光させ、この集光した光が交差した後に拡散することになる。このため、本発明の光学シートは、全体としては凸型フレネルレンズ状によって集光作用を有するが、各フレネルレンズ面では、それぞれある程度光を拡散させることになるので、凸型フレネルレンズ状によって本来出射すべき方向よりも、各フレネルレンズ面ごとに周囲にある程度広がって光を出射するようになる。従って、例えばこの光学シートを面照明装置等に用いた場合には、配向特性にある程度広がりを持たせることができるので、高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0021】
なお、ここでいう曲線は、1本の直線のみからなる線以外の線をいい、滑らかな曲線だけでなく、傾斜角度の異なる複数の直線が繋がった折れ線や、複数の滑らかな曲線が繋がった線等であってもよい。また、単調増加又は単調減少は広義のものであるため、部分的には同一の傾斜角度が連続してもよく、このためフレネルレンズ面の縦断面の曲線形状は、滑らかな曲線だけでなく、折れ線等であってもよい。さらに、フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、当該フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の最大値と最小値の算術平均値をいう。
【0022】
請求項2の発明によれば、光学シートは、構成(A)と構成(B)により凸型リニアフレネルレンズ状となり、全体としては幅方向に集光作用を有する。しかも、構成(C)により、各フレネルレンズ面は、広い意味での曲率が従来よりも大きくなるので、これらの各フレネルレンズ面においても、それぞれ凸型シリンドリカルレンズの集光作用によって光を一旦集光させ、この集光した光が交差した後に拡散することになる。このため、本発明の光学シートは、全体としては凸型リニアフレネルレンズ状によって幅方向に集光作用を有するが、各フレネルレンズ面では、それぞれ幅方向にある程度光を拡散させることになるので、凸型リニアフレネルレンズ状によって本来出射すべき方向よりも、各フレネルレンズ面ごとに周囲にある程度広がって光を出射するようになる。従って、例えばこの光学シートを面照明装置等に用いた場合には、幅方向の配向特性にある程度広がりを持たせることができるので、高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0023】
なお、曲線の意義と、単調増加や単調減少の意義と、傾斜角度の平均値の意義は、請求項1の場合と同様である。
【0024】
請求項3の発明によれば、各フレネルレンズ面の幅が0.1mm以上であり微小すぎることがないため、製造が困難になったり、光学シートが高価になりすぎるようなことがない。また、各フレネルレンズ面の幅が1.0mm以下であり広すぎることがないため、光学シートのシート厚を十分に薄くすることができ、各フレネルレンズ面による拡散作用のムラも十分に小さくすることができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、各フレネルレンズ面が円筒面となるので、製造が容易となる。なお、このフレネルレンズ面の円筒面の曲率半径は、全てのフレネルレンズ面で共通であってもよいし、2以上にグループ分けした同一グループのフレネルレンズ面でのみ共通であってもよく、全てのフレネルレンズ面で相違していてもよい。
【0026】
請求項5の発明によれば、光学シートが拡散剤を含有するので、このシート内で光を十分に拡散させることができ、高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0027】
請求項6の発明によれば、光学シートが全体として集光作用を有すると共に、各フレネルレンズ面では拡散作用を有するので、正面輝度が周囲で急に低下するようなことがなくなり、バックライトユニットの光源の配置位置がずれた場合にも、正面位置での輝度の低下を緩和したり輝度ムラを抑制することができる。また、このバックライトユニットを液晶ディスプレイに用いた場合には、広視野角化を図った液晶パネルの性能を無駄なく発揮させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図11を参照して説明する。なお、これらの図においても、図13〜図15に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0029】
本実施形態は、図13に示した従来例と同様に、液晶ディスプレイにおける直下ライト方式のバックライトユニットであって、平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シート1を用いたものについて説明する。本実施形態のバックライトユニットは、光学シート1の構成を除けば、図13に示した従来例と同様であり、この光学シート1の下方に、長手方向を前後方向に向けた直管型のCCFL2を複数本等間隔に左右方向に平行に並べて配置している。また、これらのCCFL2の下方には反射板3を配置している。そして、液晶パネル4は、この光学シート1の上方(手前側)に配置される。
【0030】
本実施形態の光学シート1は、透明な樹脂シートからなり、図1に示すように、平面状の下面を有すると共に、平凸型リニアフレネルレンズ状に一定のピッチで左右方向に複数に分割された複数のフレネルレンズ面1aと、隣接する各フレネルレンズ面の端が段差状になった間を繋ぐ側平面であるフレネル分割面1bとからなる上面を有する。なお、このフレネルレンズ面の分割ピッチは、微少すぎて製造が困難になったり、光学シート1が高価になりすぎるようなことがないように0.1mm以上であることが好ましく、光学シート1のシート厚を十分に薄くすることができるように、1.0mm以下であることが好ましい。
【0031】
また、図2に示すように、この光学シート1は、図1に示した複数面ずつのフレネルレンズ面1aとフレネル分割面1bとからなる1組のフレネルレンズを、各CCFL2に対応させて複数組左右に並べて配置している。そして、各CCFL2は、この対応する1組のフレネルレンズの中心Cの真下に配置されることになる。フレネルレンズの中心Cとは、この1組のフレネルレンズ、即ちここでは1枚の平凸型リニアフレネルレンズに対応する部分の光軸位置をいい、実際には上下方向と前後方向に沿った平面となる。そして、1組のフレネルレンズを成す複数面ずつのフレネルレンズ面1aとフレネル分割面1bは、普通はこのフレネルレンズの中心Cに対して対称形となる。
【0032】
なお、フレネルレンズが通常の円板状の凸レンズに対応する平凸型フレネルレンズである場合のフレネルレンズの中心Cは、この平凸型フレネルレンズに対応する部分の光軸位置をいい、上下方向に沿った軸線となる。
【0033】
上記光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、図1に示すように、従来対応していた平凸型シリンドリカルレンズの上曲面Uよりも曲率の大きい円筒面によって構成されている。即ち、本実施形態の光学シート1と同等の焦点距離を有する平凸型シリンドリカルレンズの上曲面Uの円筒面よりも曲率半径の小さい円筒面によってこの本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aが形成される。
【0034】
ここで、平凸型シリンドリカルレンズの上曲面は、円筒面(平凸型レンズの場合は球面)の他に、放物面、楕円面又は双曲面のような円錐曲線の曲面や高次曲線等の曲面が用いられる。ただし、いずれの曲面であっても、平凸型シリンドリカルレンズに対応する平凸型リニアフレネルレンズ11は、図3に縦断面で示すように、フレネル分割面11bを介して隣接する双方のフレネルレンズ面11a,11aの隣接境界側の端に限りなく近づいた曲線の傾斜角度は一致する。即ち、平凸型シリンドリカルレンズの断面の曲線は、円弧や放物線、楕円円弧、双曲線又は高次曲線等の微分可能で滑らかな曲線であるため、この曲線を分割した平凸型リニアフレネルレンズ11の各フレネルレンズ面11aの曲線も、上下方向に平行移動して隣接するフレネルレンズ面11aに繋げると滑らかな曲線となり傾斜角度も一致するからである。
【0035】
また、図3に示した曲面からなる各フレネルレンズ面11aを、この曲面の平均的な傾斜角度を備えた平面(平凸型フレネルレンズの場合は円錐面)とした平凸型リニアフレネルレンズ13の場合には、図4に縦断面で示すように、フレネル分割面13bを介して隣接する双方のフレネルレンズ面13a,13aの直線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心Cから離れたフレネルレンズ面13aほど外向きの傾斜角度となる。外向きの傾斜角度とは、フレネルレンズ面13aにおけるフレネルレンズの中心C側を、平凸型リニアフレネルレンズ13の内側から当該フレネルレンズ面13aのあるレンズ表面に向かう方向O(図4の場合は上方)にさらに回転させたときの傾斜角度をいう。
【0036】
これに対して、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、図5に縦断面で示すように、フレネルレンズの中心Cより外側でフレネル分割面1bを介して隣接する双方のフレネルレンズ面1a,1aの隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度が、フレネルレンズの中心Cから離れたフレネルレンズ面1aの方ほど内向きの傾斜角度になる〔構成(C)〕。内向きの傾斜角度とは、フレネルレンズ面1aにおけるフレネルレンズの中心C側を、当該フレネルレンズ面13aのあるシート面から光学シート1の内側に向かう方向I(図5の場合は下向)にさらに回転させたときの傾斜角度をいう。
【0037】
また、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aも、フレネル分割面1bに直交する縦断面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心Cから離れたフレネルレンズ面1aほど外向きの傾斜角度となる〔構成(B)〕。フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の平均値は、当該フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の最大値と最小値の算術平均値をいい、本実施形態のような円筒面の場合には、フレネルレンズ面1aの曲線における左右方向の両端に限りなく近づいた部分の接線の傾斜角度が最大値と最小値になる。この構成(B)は、上記図3に示した平凸型リニアフレネルレンズ11や図4に示した平凸型リニアフレネルレンズ13にも共通するものであって、この構成により本実施形態の光学シート1のフレネルレンズも左右方向に集光作用を有する。そして、本実施形態の光学シート1のフレネルレンズは、各フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の平均値を、図3に示した平凸型リニアフレネルレンズ11の各フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の平均値に一致させたり、図4に示した平凸型リニアフレネルレンズ13の各フレネルレンズ面1aの直線の傾斜角度に一致させることにより、同等の焦点距離を有する平凸型リニアフレネルレンズ11や平凸型リニアフレネルレンズ13と対応付けることができる。
【0038】
さらに、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、フレネル分割面1bに直交する縦断面の曲線の傾斜角度がフレネル分割面1bに直交する方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である〔構成(A)〕。この構成(A)は、上記図3に示した平凸型リニアフレネルレンズ11の各フレネルレンズ面11aが円筒面、放物面、楕円面又は双曲面等である場合には、この平凸型リニアフレネルレンズ11にも共通するものである。そして、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、上記構成(C)とこの構成(A)から、同等の焦点距離を有する平凸型リニアフレネルレンズ11の対応する各フレネルレンズ面11aよりも曲率の大きい曲面で構成されると言える。なぜなら、本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aの傾斜角度の最大値と最小値の差の方が平凸型リニアフレネルレンズ11のフレネルレンズ面11aの傾斜角度の最大値と最小値の差よりも大きくなるので、曲線の曲率の変化によっては局所的に本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aの方が曲率が小さい部分が生じる可能性がない訳ではないが、全体的には本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aの方が曲率が大きくなるからである。
【0039】
なお、図6や図7に示すように、本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aとフレネル分割面1bとの境界部に、エッジをなくすための面取り部1cが形成されている場合、フレネルレンズ面1aの曲面(曲線)にはこの面取り部1cの曲面(曲線)は含まれない。面取り部1cは、製造上や使用上の都合で形成されるものであり、フレネルレンズ面1aにおいて本来のレンズ機能を果たすための光の屈折には寄与しない部分だからである。図6に示すような平面からなる面取り部1cは、フレネルレンズ面1aとは傾斜角度が格段に相違し、図7に示すような曲面からなる面取り部1cも、フレネルレンズ面1aに比べて曲率が格段に大きくなるので、これらの面取り部1cとフレネルレンズ面1aとは明確に区別することができる。
【0040】
上記構成によれば、図8に示すように、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aの左右方向の中央部付近(上曲面Uと傾斜角度が一致する部分)から出射する光LCは、上記平凸型リニアフレネルレンズ11,13と同様に、垂直な上向きの光となる。しかし、各フレネルレンズ面1aの左右方向の両側から出射する光LSは、このフレネルレンズ面1aが上記平凸型リニアフレネルレンズ11,13のフレネルレンズ面11a,13aよりも曲率の大きい曲面となるので、凸型シリンドリカルレンズの集光作用によって光を一旦集光され、この集光した光が上方で交差した後に拡散することになる。このため、本実施形態の光学シート1は、全体としては凸型リニアフレネルレンズ状によって左右方向に集光作用を有するが、各フレネルレンズ面1aでは、それぞれ左右方向にある程度光を拡散させることになるので、凸型リニアフレネルレンズ状によって本来出射すべき方向よりも、各フレネルレンズ面1aごとに周囲にある程度広がって光を出射するようになる。なお、各フレネルレンズ面1aの分割ピッチを1.0mm以下にしておけば、十分に微少な幅の各フレネルレンズ面1aごとに光を拡散するので、この拡散作用のムラを十分に小さくすることができる。
【0041】
また、本実施形態のバックライトユニットは、光学シート1から出射する光が垂直な上向きよりも左右方向にある程度広がりを有するので、液晶パネル4の正面から左右に移動した場合に輝度が急に低下するというようなことがなくなり、この液晶パネル4が広視野角化を図ったものである場合にも、この広視野角化の性能を無駄なく発揮させることができるようになる。さらに、CCFL2の配置が左右方向にずれた場合にも、液晶パネル4の正面位置での輝度の低下を緩和することができ、一部のCCFL2の配置のみがずれた場合にも、輝度ムラが発生するのを防止することができるようになる。
【0042】
なお、上記実施形態の光学シートでは、各フレネルレンズ面1aから出射した光の拡散の程度が同じになるように、これらの各フレネルレンズ面1aが同じ曲率半径の円筒面からなるようにしたが、各フレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径は必ずしも同じでなくてもよい。例えば、光学シート1のフレネルレンズの中心に近いほどフレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径が小さくなるようにして、この中心に近いフレネルレンズ面1aほど光をより左右方向に広く拡散させるようにすることもできる。
【0043】
ただし、各フレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径を小さくしすぎると、光が全反射を起こしCCFL2からの光の有効利用が図れないので、この曲率半径は、全反射が起こらない程度の範囲とすることが好ましい。特に、光学シート1のフレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面1aほど、このフレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径が小さい場合に全反射を起こすおそれが大きくなるので注意が必要となる。
【0044】
また、上記実施形態の光学シート1では、各フレネルレンズ面1aが円筒面からなる場合を示したが、円筒面以外の放物面(縦断面が放物線の一部)や楕円面(縦断面が楕円の一部)、双曲面(縦断面が双曲線の一部)等の凸面で構成されていてもよく、さらに、多角筒面のように複数の平面を繋いだ凸面(縦断面は折れ線状)によって構成されていてもよい。つまり、このフレネルレンズ面1aは、滑らかな曲面からなる凸面の他に、複数の平面や曲面を繋ぎ合わせたものであってもよい。そして、複数の平面を繋ぎ合わせた凸面であっても、例えばスプライン補完等によって近似した曲面の曲率は従来より大きくなるので、広い意味での曲率は大きくなる。
【0045】
また、上記実施形態の光学シート1では、フレネル分割面1bが左右方向に直交する垂直な平面である場合を示したが、これらのフレネル分割面1bは、上下方向と左右方向に沿った面に直交する面であれば、必ずしも垂直な平面である必要はなく、左右方向に傾斜した平面や、このような平面に近い湾曲面であってもよい。例えば、光学シート1を型を用いて成形する場合には、フレネル分割面1bを傾斜面とした方が型抜きが容易となる。また、図9では、このフレネル分割面1bを傾斜面にすると共に、フレネルレンズの中心から離れたフレネル分割面1bほどこの傾斜を大きくした場合を示す。この場合、CCFL2から左右方向に放射状に広がって出射される光が各フレネル分割面1bに遮られて光の利用効率が低下するのを防止することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、光学シート1が透明な樹脂シートからなる場合を示したが、光を透過する透光性を有するものであればよいので、必ずしも透明である必要はない。光学シート1の厚さも特に限定されるものではなく、原シートのヘーズが67%以上、93%未満程度のものであれば好ましく、一般的には厚さ0.3〜5mm程度のものが好適に使用される。
【0047】
上記のような光学シート1の樹脂シートとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体(例えばポリ−4−メチルペンテン−1等)、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン(例えばノルボルネン構造等)、アクリル樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(MS樹脂)等の透光性の熱可塑性樹脂からなるものが使用できる。特に、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートの中でも、ポリカーボネート、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)、環状ポリオレフィンからなるものは、耐熱性が良好であり、バックライトユニットに用いられた際にCCFL2からの放熱によって変形や皺等を生じ難いので好ましく使用される。しかも、ポリカーボネートからなる樹脂シートは、ポリカーボネート自体が透明性の良好な樹脂であり、吸湿性が少なく、高輝度で、反りが少ないため、極めて好ましく使用される。さらに、この樹脂シートは、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の透光性の熱硬化性樹脂からなるものであってもよい。しかも、この樹脂シートは、2種以上の樹脂材料を混合し、アロイ化し、複合化したものを使用することもできる。
【0048】
また、上記実施形態の光学シート1は、例えば両面がフラットな樹脂シートを型で押さえ付けて成形するプレス製法を用いて作製することができるが、他のプレス製法やキャスティング法又は射出成形法等の成形法、型ロールを通すことによるロール成形法や押し出し成形法等による連続成形法等、任意の製法で作製してもよい。
【0049】
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、成形に必要な安定剤、滑剤、耐衝撃改良剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、蛍光増白剤等が適宜含有されていてもよい。さらに、多層構成をもつ光学シート1においては、これらの添加剤は、例えば基材層と表面層の間で添加剤の種類や配合比率を適宜変更してもよい。図10は、基材層101の上層の表面層102にフレネルレンズ面1aを形成した2層の光学シート1の例を示し、図11は、これらの下層に裏面層103を加えた3層の光学シート1の例を示す。光学シート1の下面は、CCFL2から紫外線が直接照射されるので、この裏面層103を紫外線吸収剤が含有された耐候層とすることで、上層の基材層101や表面層102を紫外線から保護することができる。
【0050】
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、光拡散剤が含有されていてもよい。この光拡散剤としては、樹脂シートの樹脂材料との光屈折率が異なる無機質粒子、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子等が単独で又は適宜組合わせて使用される。無機質粒子としては、ガラス[Aガラス(ソーダ石灰ガラス)、Cガラス(硼珪酸ガラス)、Eガラス(低アルカリガラス)]、シリカ、マイカ、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、モンモリロナイト、カオリンクレー、ベントナイト、ヘクトライト、シリコーン等の粒子が使用される。そして、金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の粒子が使用され、また、有機ポリマー粒子としては、アクリルビーズ、スチレンビーズ、ベンゾグアナミン等の粒子が使用される。このような光拡散剤を含有していれば、光学シート1内で光を十分に拡散させることができるので、バックライトユニットに高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0051】
上記光拡散剤は、その平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜30μmであるものが使用される。粒径が0.1μmより小さい光拡散剤は、凝集しやすいため分散性が悪く、均一に分散できたとしても光の波長の方が大きいので光散乱効率が悪くなる。それゆえ、0.5μm以上の、更には1μm以上の大きさの粒子が好ましいのである。一方、粒径が100μmより大きい光拡散剤は、光散乱が不均一になったり、光線透過率が低下したり、粒子が肉眼で見えたりするようになる。このため、50μm以下の粒子、特に30μm以下の粒子が好ましい。
【0052】
また、上記実施形態では、光学シート1が樹脂シートである場合を示したが、透光性シート(薄板も含む)であればよいので、薄板状のガラス等であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、光学シート1の下面がフラットな場合を示したが、この下面の構成は任意であり、例えば微細な凹凸からなるシボ状に加工することにより光の拡散性を高めたものであってもよい。さらに、上記実施形態では、光学シート1が平凸型リニアフレネルレンズ状である場合を示したが、両面が凸型の両凸型リニアフレネルレンズ状や、裏面が凹型であり全体として凸レンズを構成するメニスカス凸型リニアフレネルレンズ状でもよく、これらの凸型リニアフレネルレンズ状一般に実施可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、この光学シート1が左右方向にのみ集光作用を有する凸型リニアフレネルレンズ状である場合を示したが、前後左右全周方向に均等に集光作用を有する通常の球面等の凸レンズに対応する凸型フレネルレンズ状の光学シートや、その他の集光作用を有する凸型フレネルレンズ状の光学シートにも同様に実施可能である。上記実施形態の場合には、フレネルレンズ面1aを円筒面からなる凸形状にしたが、通常の球面等の凸レンズに対応する光学シートの場合には、フレネルレンズ面が同心円状に分割されるので、例えば環状円筒面からなる凸形状とすればよい。
【0055】
また、上記実施形態では、光学シート1の左右方向に複数組のフレネルレンズを並べて配置した場合を示したが、このフレネルレンズの組数は任意であり、1枚の光学シート1に1組のフレネルレンズだけを形成することもできる。さらに、通常の球面等の凸レンズに対応する凸型フレネルレンズ状のフレネルレンズを形成した光学シートの場合にも、このフレネルレンズの組数は任意であり、複数のフレネルレンズを縦横に配置することもできる。さらに、光学シートの形状も方形や円形状に限らず、多角形や楕円等、任意の形状とすることができる。
【0056】
また、上記実施形態のバックライトユニットでは、光源として直管型のCCFL2を用いる場合を示したが、必ずしも直管型である必要はなく、例えばU字管等を用いることもできる。さらに、必ずしもCCFL2である必要はなく、一般照明用の蛍光管と同様の熱陰極管等を用いたり、LED(発光ダイオード)を並べて用いることもでき、光源の種類は限定されない。しかも、光源は、線光源である必要もなく、例えば通常の凸レンズに対応する光学シート等の場合には、点光源を用いることが多い。さらに、反射板3も必須ではなく、例えば上記実施形態のCCFL2のように上下に光を発するものの場合には、下方に別の光学シート1を配置して、上下双方に光を供給することも可能である。
【0057】
また、上記実施形態のバックライトユニットは、光学シート1の上方に直接液晶パネル4を配置する場合を示したが、この光学シート1の上方及び/又は下方には、拡散シート等を配置することもできる。さらに、上記実施形態のバックライトユニットは、液晶パネル4以外のバックライトとして用いることもできる。
【実施例】
【0058】
上記実施形態の光学シートの実施例として2種類の実施例1と実施例2を作製すると共に、従来例の光学シートの比較例を作製した。そして、これらの光学シートを用いたバックライトユニットにおいて、CCFLの位置を左右方向にずらしたときの正面輝度を測定した結果を表1に示すと共に、この測定結果をグラフにしたものを図12に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
これらの実施例1と実施例2と従来例の光学シートは、ポリカーボネート(屈折率:1.586)を用いた。そして、1本のCCFLに対応する光学シートのフレネルレンズのレンズ幅は30mmとした。また、このCCFLは、これらの光学シートの下方20mmの位置に配置し、これらの光学シートのフレネルレンズの中心の真下に配置した場合を位置ずれが0.0mmであるとし、左右方向に0.5mmのピッチで2.0mmまでずらして配置した場合の正面輝度をそれぞれ測定した。
【0061】
比較例の光学シートのフレネルレンズ面は、曲率半径が20mmの円筒面である。これに対して、実施例1の光学シートのフレネルレンズ面は、全て曲率半径が5mmの円筒面とした。また、実施例2の光学シートのフレネルレンズ面は、曲率半径を5mm〜10mmの円筒面とした。即ち、フレネルレンズの中心付近のフレネルレンズ面は、曲率半径を5mmとし、このフレネルレンズの中心から離れるに従って曲率半径を6mm、7mm、8mm、9mmと段階的に大きくし、最も外側部分のフレネルレンズ面の曲率半径を10mmとした。
【0062】
この表1と図12から明らかなように、比較例では、CCFLの中心からの位置ずれが大きくなるほど正面輝度が大幅に低下するのに対して、実施例1と実施例2では、CCFLの位置ずれが2.0mmになっても、正面輝度の低下は僅かであることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、バックライトユニットに用いられる光学シートにおける1組のフレネルレンズの部分を示す縦断面正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、バックライトユニットに用いられる光学シートにおける3組のフレネルレンズの部分を示す縦断面正面図である。
【図3】従来例を示すものであって、平凸型リニアフレネルレンズにおける曲面のフレネルレンズ面の傾斜角度を説明するための部分拡大縦断面正面図である。
【図4】従来例を示すものであって、平凸型リニアフレネルレンズにおける平面のフレネルレンズ面の傾斜角度を説明するための部分拡大縦断面正面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面の傾斜角度を説明するための部分拡大縦断面正面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面に平面の面取り部が形成された場合の部分拡大縦断面正面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面に曲面の面取り部が形成された場合の部分拡大縦断面正面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面による拡散作用を説明する部分拡大縦断面正面図である。
【図9】本発明の一実施形態を示すものであって、フレネル分割面が傾斜面である光学シートにおける1組のフレネルレンズの部分を示す縦断面正面図である。
【図10】本発明の一実施形態を示すものであって、樹脂シートを2層にした光学シートの縦断面正面図である。
【図11】本発明の一実施形態を示すものであって、樹脂シートを3層にした光学シートの縦断面正面図である。
【図12】本発明の実施例を示すものであって、CCFLを左右方向にずらして配置した場合のバックライトユニットの正面輝度を示すグラフである。
【図13】光学シートを用いたバックライトユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図14】従来例を示すものであって、平凸型リニアフレネルレンズを、対応する平凸型シリンドリカルレンズと共に示す縦断面正面図である。
【図15】従来例を示すものであって、図14に示す平凸型リニアフレネルレンズにおいて、各フレネルレンズ面が平面で構成された場合を示す縦断面正面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 光学シート
1a フレネルレンズ面
1b フレネル分割面
1c 面取り部
101 基材層
102 表面層
103 裏面層
11 平凸型リニアフレネルレンズ
11a フレネルレンズ面
11b フレネル分割面
12 平凸型シリンドリカルレンズ
12a 上曲面
13 平凸型リニアフレネルレンズ
13a フレネルレンズ面
13b フレネル分割面
2 CCFL
3 反射板
4 液晶パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、凸型フレネルレンズ状の光学シート、及び、この光学シートを用いた液晶ディスプレイ等のバックライトユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビ受像機やパーソナルコンピュータ等に用いられる液晶ディスプレイのバックライトには、液晶パネルの背後に拡散シート等を介して複数本の線光源を配置した直下ライト方式や、液晶パネルの背後に拡散シート等を介して導光板を配置し、この導光板の側方の線光源からの光を液晶パネルの背面に導くエッジライト方式等がある。
【0003】
テレビ受像機に用いられる液晶ディスプレイにおける直下ライト方式の従来のバックライトユニットは、線光源である直管形のCCFL(冷陰極管)を複数本平行に並べた手前側に拡散シート(拡散板)や輝度向上シート等を配置したものであり、この拡散シート等の手前側に液晶パネルが配置される。また、拡散シート等に代えて、又は、これらに加えて、平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートを用いたバックライトユニットも従来からあった(例えば、特許文献1参照。)。平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シートを用いると、平凸型シリンドリカルレンズを配置した場合と同様に、直管形のCCFLから放射状に出射される光を集光して平行光線として液晶パネルに導くことができ、しかも、平凸型シリンドリカルレンズよりもレンズ厚を薄くできるので、バックライトユニットの大幅な軽量小型化とコストダウンを図ることができる。
【0004】
上記光学シートを用いた従来のバックライトユニットの構成例を図13に示す。このバックライトユニットは、光学シート1の下方(背後側)に、長手方向を前後方向に向けた直管型のCCFL2を複数本等間隔に左右方向に平行に並べて配置したものであり、これらのCCFL2の下方には、下向きに出射された光を有効利用するための反射板3を配置している。そして、液晶パネル4は、この光学シート1の上方(手前側)に配置される。また、この光学シート1の上方の液晶パネル4との間には、拡散シート等が配置される場合もある。光学シート1は、透明な樹脂シートに、直下の各CCFL2に対応させてそれぞれ平凸型リニアフレネルレンズ状のフレネルレンズを複数形成したものである。
【0005】
ここで、図14に示すように、平凸型リニアフレネルレンズ11は、平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを、左右方向に直交する面Dで複数に分割して下方に押し下げることにより上下方向のレンズ厚を薄くしたレンズである。従って、この平凸型リニアフレネルレンズ11の上面には、元の平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを左右方向に分割したそれぞれの曲面形状を有する複数のフレネルレンズ面11aと、隣接する各フレネルレンズ面11aの端が段差状になった間を繋ぐ側平面であるフレネル分割面11bとが形成されることになる。
【0006】
なお、各フレネルレンズ面11aは、製造上の都合により、図14に示すように上端の高さが揃うように形成されることが多い。また、図14に示す平凸型リニアフレネルレンズ11は、図面を見やすくするために、フレネルレンズ面11aの分割数を8分割としているが、実際にはさらに多数に分割されるので、レンズ厚も十分に薄くなる(次に示す図15も同様)。
【0007】
上記平凸型リニアフレネルレンズ11は、平凸型シリンドリカルレンズ12と同様の集光作用を有するので、下方に配置したCCFL2から上方に向けて左右方向に放射状に広がる光を集光することにより、上向きの平行光として出射することができる。従って、この平凸型リニアフレネルレンズ11の複数面ずつのフレネルレンズ面11aやフレネル分割面11bと同様の形状を1組のフレネルレンズとし、樹脂シートの上面にこのフレネルレンズを各CCFL2に対応させて複数左右に並べて形成した光学シート1をバックライトユニットに用いれば、この光学シート1から出射して液晶パネル4を通過する光が、パネル面に垂直な上向き成分の多い光となるので、液晶ディスプレイの正面輝度を高めることができるようになる。
【0008】
ところが、従来の光学シート1を用いたバックライトユニットは、液晶パネル4のパネル面に垂直な上向き成分の多い光が特に多いので、液晶ディスプレイの正面輝度は高くなっても、この正面(真上)から僅かに左右に位置がずれただけで輝度が極端に低下するという問題があった。しかも、液晶パネル4が広視野角化を図ったものであったとしても、この広い視野角の周辺部分ではバックライトの輝度が低くなるために、広視野角化の性能を十分に発揮させることができないという問題もあった。
【0009】
また、光学シート1におけるフレネルレンズの中心の直下に正確にCCFL2が配置されず、左右方向に位置ずれした場合には、液晶パネル4を通過する光がパネル面に垂直ではなく、少し傾斜した光となるので、最も輝度の高い位置が液晶ディスプレイの真正面から少しずれることになる。このため、液晶ディスプレイの真正面位置での輝度が低下するだけでなく、一部のCCFL2のみが位置ずれしていた場合には、液晶ディスプレイの画面上に輝度ムラが生じるという問題もあった。
【0010】
さらに、従来の光学シート1を用いたバックライトユニットを液晶ディスプレイ以外の他の用途の面光源として用いた場合にも、配光特性が上向き(正面)方向にほとんど限定されるために、用途によっては、高価な拡散シート等を追加して用いる必要が生じるという問題もあった。
【0011】
なお、上記平凸型リニアフレネルレンズ11では、フレネル分割面11bで多数に分割された各フレネルレンズ面11aが円筒面等の凸状の曲面となるが、実際には、図15に示すように、各フレネルレンズ面13aが平面となった平凸型リニアフレネルレンズ13を用いることも多い。この平凸型リニアフレネルレンズ13は、フレネル分割面13bによって分割された各フレネルレンズ面13aが、対応する平凸型リニアフレネルレンズ11の曲面のフレネルレンズ面11aの平均的な傾斜角度、即ち例えばこのフレネルレンズ面11aの傾斜角度の最大値と最小値の算術平均の傾斜角度を備えた平面によって構成されたものである。
【0012】
ただし、以降では、特に断りがある場合を除いては、従来の凸型リニアフレネルレンズの各フレネルレンズ面は、図14に示した平凸型リニアフレネルレンズ11のフレネルレンズ面11aのように、平凸型シリンドリカルレンズ12の凸状の上曲面12aを左右方向に分割した凸状の曲面形状を有するものとして説明する。
【特許文献1】特開2005−338611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、凸型フレネルレンズ状の各フレネルレンズ面の凸形状の曲率を大きくすることにより、各フレネルレンズ面を通過した光を各フレネルレンズ面ごとに一旦集光により交差させてから、ある程度広がりを持たせるようにすることができる光学シート及びこれを用いたバックライトユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の光学シートは、少なくとも一方のシート面がフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、このフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるフレネルレンズの中心軸と半径方向とに沿った縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が半径方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)同心円状にそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【0015】
請求項2の光学シートは、少なくとも一方のシート面がリニアフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、このリニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるこの分割面に直交する縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が分割面に直交する方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)フレネルレンズの中心より外側でそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【0016】
請求項3の光学シートは、前記各フレネルレンズ面が0.1mm以上、1.0mm以下のピッチでリニアフレネルレンズ状に分割されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4の光学シートは、前記各フレネルレンズ面が、円筒面によって形成されたことを特徴とする。
【0018】
請求項5の光学シートは、前記光学シートが拡散剤を含有する透光性材料からなることを特徴とする。
【0019】
請求項6のバックライトユニットは、前記光学シートを1以上の光源の手前側に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、光学シートは、構成(A)と構成(B)により凸型フレネルレンズ状となり、全体としては集光作用を有する。しかも、構成(C)により、各フレネルレンズ面は、広い意味での曲率が従来よりも大きくなるので、これらの各フレネルレンズ面ごとに、それぞれ凸レンズの集光作用によって光を一旦集光させ、この集光した光が交差した後に拡散することになる。このため、本発明の光学シートは、全体としては凸型フレネルレンズ状によって集光作用を有するが、各フレネルレンズ面では、それぞれある程度光を拡散させることになるので、凸型フレネルレンズ状によって本来出射すべき方向よりも、各フレネルレンズ面ごとに周囲にある程度広がって光を出射するようになる。従って、例えばこの光学シートを面照明装置等に用いた場合には、配向特性にある程度広がりを持たせることができるので、高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0021】
なお、ここでいう曲線は、1本の直線のみからなる線以外の線をいい、滑らかな曲線だけでなく、傾斜角度の異なる複数の直線が繋がった折れ線や、複数の滑らかな曲線が繋がった線等であってもよい。また、単調増加又は単調減少は広義のものであるため、部分的には同一の傾斜角度が連続してもよく、このためフレネルレンズ面の縦断面の曲線形状は、滑らかな曲線だけでなく、折れ線等であってもよい。さらに、フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、当該フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の最大値と最小値の算術平均値をいう。
【0022】
請求項2の発明によれば、光学シートは、構成(A)と構成(B)により凸型リニアフレネルレンズ状となり、全体としては幅方向に集光作用を有する。しかも、構成(C)により、各フレネルレンズ面は、広い意味での曲率が従来よりも大きくなるので、これらの各フレネルレンズ面においても、それぞれ凸型シリンドリカルレンズの集光作用によって光を一旦集光させ、この集光した光が交差した後に拡散することになる。このため、本発明の光学シートは、全体としては凸型リニアフレネルレンズ状によって幅方向に集光作用を有するが、各フレネルレンズ面では、それぞれ幅方向にある程度光を拡散させることになるので、凸型リニアフレネルレンズ状によって本来出射すべき方向よりも、各フレネルレンズ面ごとに周囲にある程度広がって光を出射するようになる。従って、例えばこの光学シートを面照明装置等に用いた場合には、幅方向の配向特性にある程度広がりを持たせることができるので、高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0023】
なお、曲線の意義と、単調増加や単調減少の意義と、傾斜角度の平均値の意義は、請求項1の場合と同様である。
【0024】
請求項3の発明によれば、各フレネルレンズ面の幅が0.1mm以上であり微小すぎることがないため、製造が困難になったり、光学シートが高価になりすぎるようなことがない。また、各フレネルレンズ面の幅が1.0mm以下であり広すぎることがないため、光学シートのシート厚を十分に薄くすることができ、各フレネルレンズ面による拡散作用のムラも十分に小さくすることができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、各フレネルレンズ面が円筒面となるので、製造が容易となる。なお、このフレネルレンズ面の円筒面の曲率半径は、全てのフレネルレンズ面で共通であってもよいし、2以上にグループ分けした同一グループのフレネルレンズ面でのみ共通であってもよく、全てのフレネルレンズ面で相違していてもよい。
【0026】
請求項5の発明によれば、光学シートが拡散剤を含有するので、このシート内で光を十分に拡散させることができ、高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0027】
請求項6の発明によれば、光学シートが全体として集光作用を有すると共に、各フレネルレンズ面では拡散作用を有するので、正面輝度が周囲で急に低下するようなことがなくなり、バックライトユニットの光源の配置位置がずれた場合にも、正面位置での輝度の低下を緩和したり輝度ムラを抑制することができる。また、このバックライトユニットを液晶ディスプレイに用いた場合には、広視野角化を図った液晶パネルの性能を無駄なく発揮させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図11を参照して説明する。なお、これらの図においても、図13〜図15に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0029】
本実施形態は、図13に示した従来例と同様に、液晶ディスプレイにおける直下ライト方式のバックライトユニットであって、平凸型リニアフレネルレンズ状の光学シート1を用いたものについて説明する。本実施形態のバックライトユニットは、光学シート1の構成を除けば、図13に示した従来例と同様であり、この光学シート1の下方に、長手方向を前後方向に向けた直管型のCCFL2を複数本等間隔に左右方向に平行に並べて配置している。また、これらのCCFL2の下方には反射板3を配置している。そして、液晶パネル4は、この光学シート1の上方(手前側)に配置される。
【0030】
本実施形態の光学シート1は、透明な樹脂シートからなり、図1に示すように、平面状の下面を有すると共に、平凸型リニアフレネルレンズ状に一定のピッチで左右方向に複数に分割された複数のフレネルレンズ面1aと、隣接する各フレネルレンズ面の端が段差状になった間を繋ぐ側平面であるフレネル分割面1bとからなる上面を有する。なお、このフレネルレンズ面の分割ピッチは、微少すぎて製造が困難になったり、光学シート1が高価になりすぎるようなことがないように0.1mm以上であることが好ましく、光学シート1のシート厚を十分に薄くすることができるように、1.0mm以下であることが好ましい。
【0031】
また、図2に示すように、この光学シート1は、図1に示した複数面ずつのフレネルレンズ面1aとフレネル分割面1bとからなる1組のフレネルレンズを、各CCFL2に対応させて複数組左右に並べて配置している。そして、各CCFL2は、この対応する1組のフレネルレンズの中心Cの真下に配置されることになる。フレネルレンズの中心Cとは、この1組のフレネルレンズ、即ちここでは1枚の平凸型リニアフレネルレンズに対応する部分の光軸位置をいい、実際には上下方向と前後方向に沿った平面となる。そして、1組のフレネルレンズを成す複数面ずつのフレネルレンズ面1aとフレネル分割面1bは、普通はこのフレネルレンズの中心Cに対して対称形となる。
【0032】
なお、フレネルレンズが通常の円板状の凸レンズに対応する平凸型フレネルレンズである場合のフレネルレンズの中心Cは、この平凸型フレネルレンズに対応する部分の光軸位置をいい、上下方向に沿った軸線となる。
【0033】
上記光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、図1に示すように、従来対応していた平凸型シリンドリカルレンズの上曲面Uよりも曲率の大きい円筒面によって構成されている。即ち、本実施形態の光学シート1と同等の焦点距離を有する平凸型シリンドリカルレンズの上曲面Uの円筒面よりも曲率半径の小さい円筒面によってこの本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aが形成される。
【0034】
ここで、平凸型シリンドリカルレンズの上曲面は、円筒面(平凸型レンズの場合は球面)の他に、放物面、楕円面又は双曲面のような円錐曲線の曲面や高次曲線等の曲面が用いられる。ただし、いずれの曲面であっても、平凸型シリンドリカルレンズに対応する平凸型リニアフレネルレンズ11は、図3に縦断面で示すように、フレネル分割面11bを介して隣接する双方のフレネルレンズ面11a,11aの隣接境界側の端に限りなく近づいた曲線の傾斜角度は一致する。即ち、平凸型シリンドリカルレンズの断面の曲線は、円弧や放物線、楕円円弧、双曲線又は高次曲線等の微分可能で滑らかな曲線であるため、この曲線を分割した平凸型リニアフレネルレンズ11の各フレネルレンズ面11aの曲線も、上下方向に平行移動して隣接するフレネルレンズ面11aに繋げると滑らかな曲線となり傾斜角度も一致するからである。
【0035】
また、図3に示した曲面からなる各フレネルレンズ面11aを、この曲面の平均的な傾斜角度を備えた平面(平凸型フレネルレンズの場合は円錐面)とした平凸型リニアフレネルレンズ13の場合には、図4に縦断面で示すように、フレネル分割面13bを介して隣接する双方のフレネルレンズ面13a,13aの直線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心Cから離れたフレネルレンズ面13aほど外向きの傾斜角度となる。外向きの傾斜角度とは、フレネルレンズ面13aにおけるフレネルレンズの中心C側を、平凸型リニアフレネルレンズ13の内側から当該フレネルレンズ面13aのあるレンズ表面に向かう方向O(図4の場合は上方)にさらに回転させたときの傾斜角度をいう。
【0036】
これに対して、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、図5に縦断面で示すように、フレネルレンズの中心Cより外側でフレネル分割面1bを介して隣接する双方のフレネルレンズ面1a,1aの隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度が、フレネルレンズの中心Cから離れたフレネルレンズ面1aの方ほど内向きの傾斜角度になる〔構成(C)〕。内向きの傾斜角度とは、フレネルレンズ面1aにおけるフレネルレンズの中心C側を、当該フレネルレンズ面13aのあるシート面から光学シート1の内側に向かう方向I(図5の場合は下向)にさらに回転させたときの傾斜角度をいう。
【0037】
また、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aも、フレネル分割面1bに直交する縦断面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心Cから離れたフレネルレンズ面1aほど外向きの傾斜角度となる〔構成(B)〕。フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の平均値は、当該フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の最大値と最小値の算術平均値をいい、本実施形態のような円筒面の場合には、フレネルレンズ面1aの曲線における左右方向の両端に限りなく近づいた部分の接線の傾斜角度が最大値と最小値になる。この構成(B)は、上記図3に示した平凸型リニアフレネルレンズ11や図4に示した平凸型リニアフレネルレンズ13にも共通するものであって、この構成により本実施形態の光学シート1のフレネルレンズも左右方向に集光作用を有する。そして、本実施形態の光学シート1のフレネルレンズは、各フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の平均値を、図3に示した平凸型リニアフレネルレンズ11の各フレネルレンズ面1aの曲線の傾斜角度の平均値に一致させたり、図4に示した平凸型リニアフレネルレンズ13の各フレネルレンズ面1aの直線の傾斜角度に一致させることにより、同等の焦点距離を有する平凸型リニアフレネルレンズ11や平凸型リニアフレネルレンズ13と対応付けることができる。
【0038】
さらに、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、フレネル分割面1bに直交する縦断面の曲線の傾斜角度がフレネル分割面1bに直交する方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である〔構成(A)〕。この構成(A)は、上記図3に示した平凸型リニアフレネルレンズ11の各フレネルレンズ面11aが円筒面、放物面、楕円面又は双曲面等である場合には、この平凸型リニアフレネルレンズ11にも共通するものである。そして、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aは、上記構成(C)とこの構成(A)から、同等の焦点距離を有する平凸型リニアフレネルレンズ11の対応する各フレネルレンズ面11aよりも曲率の大きい曲面で構成されると言える。なぜなら、本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aの傾斜角度の最大値と最小値の差の方が平凸型リニアフレネルレンズ11のフレネルレンズ面11aの傾斜角度の最大値と最小値の差よりも大きくなるので、曲線の曲率の変化によっては局所的に本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aの方が曲率が小さい部分が生じる可能性がない訳ではないが、全体的には本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aの方が曲率が大きくなるからである。
【0039】
なお、図6や図7に示すように、本実施形態の光学シート1のフレネルレンズ面1aとフレネル分割面1bとの境界部に、エッジをなくすための面取り部1cが形成されている場合、フレネルレンズ面1aの曲面(曲線)にはこの面取り部1cの曲面(曲線)は含まれない。面取り部1cは、製造上や使用上の都合で形成されるものであり、フレネルレンズ面1aにおいて本来のレンズ機能を果たすための光の屈折には寄与しない部分だからである。図6に示すような平面からなる面取り部1cは、フレネルレンズ面1aとは傾斜角度が格段に相違し、図7に示すような曲面からなる面取り部1cも、フレネルレンズ面1aに比べて曲率が格段に大きくなるので、これらの面取り部1cとフレネルレンズ面1aとは明確に区別することができる。
【0040】
上記構成によれば、図8に示すように、本実施形態の光学シート1の各フレネルレンズ面1aの左右方向の中央部付近(上曲面Uと傾斜角度が一致する部分)から出射する光LCは、上記平凸型リニアフレネルレンズ11,13と同様に、垂直な上向きの光となる。しかし、各フレネルレンズ面1aの左右方向の両側から出射する光LSは、このフレネルレンズ面1aが上記平凸型リニアフレネルレンズ11,13のフレネルレンズ面11a,13aよりも曲率の大きい曲面となるので、凸型シリンドリカルレンズの集光作用によって光を一旦集光され、この集光した光が上方で交差した後に拡散することになる。このため、本実施形態の光学シート1は、全体としては凸型リニアフレネルレンズ状によって左右方向に集光作用を有するが、各フレネルレンズ面1aでは、それぞれ左右方向にある程度光を拡散させることになるので、凸型リニアフレネルレンズ状によって本来出射すべき方向よりも、各フレネルレンズ面1aごとに周囲にある程度広がって光を出射するようになる。なお、各フレネルレンズ面1aの分割ピッチを1.0mm以下にしておけば、十分に微少な幅の各フレネルレンズ面1aごとに光を拡散するので、この拡散作用のムラを十分に小さくすることができる。
【0041】
また、本実施形態のバックライトユニットは、光学シート1から出射する光が垂直な上向きよりも左右方向にある程度広がりを有するので、液晶パネル4の正面から左右に移動した場合に輝度が急に低下するというようなことがなくなり、この液晶パネル4が広視野角化を図ったものである場合にも、この広視野角化の性能を無駄なく発揮させることができるようになる。さらに、CCFL2の配置が左右方向にずれた場合にも、液晶パネル4の正面位置での輝度の低下を緩和することができ、一部のCCFL2の配置のみがずれた場合にも、輝度ムラが発生するのを防止することができるようになる。
【0042】
なお、上記実施形態の光学シートでは、各フレネルレンズ面1aから出射した光の拡散の程度が同じになるように、これらの各フレネルレンズ面1aが同じ曲率半径の円筒面からなるようにしたが、各フレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径は必ずしも同じでなくてもよい。例えば、光学シート1のフレネルレンズの中心に近いほどフレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径が小さくなるようにして、この中心に近いフレネルレンズ面1aほど光をより左右方向に広く拡散させるようにすることもできる。
【0043】
ただし、各フレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径を小さくしすぎると、光が全反射を起こしCCFL2からの光の有効利用が図れないので、この曲率半径は、全反射が起こらない程度の範囲とすることが好ましい。特に、光学シート1のフレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面1aほど、このフレネルレンズ面1aの円筒面の曲率半径が小さい場合に全反射を起こすおそれが大きくなるので注意が必要となる。
【0044】
また、上記実施形態の光学シート1では、各フレネルレンズ面1aが円筒面からなる場合を示したが、円筒面以外の放物面(縦断面が放物線の一部)や楕円面(縦断面が楕円の一部)、双曲面(縦断面が双曲線の一部)等の凸面で構成されていてもよく、さらに、多角筒面のように複数の平面を繋いだ凸面(縦断面は折れ線状)によって構成されていてもよい。つまり、このフレネルレンズ面1aは、滑らかな曲面からなる凸面の他に、複数の平面や曲面を繋ぎ合わせたものであってもよい。そして、複数の平面を繋ぎ合わせた凸面であっても、例えばスプライン補完等によって近似した曲面の曲率は従来より大きくなるので、広い意味での曲率は大きくなる。
【0045】
また、上記実施形態の光学シート1では、フレネル分割面1bが左右方向に直交する垂直な平面である場合を示したが、これらのフレネル分割面1bは、上下方向と左右方向に沿った面に直交する面であれば、必ずしも垂直な平面である必要はなく、左右方向に傾斜した平面や、このような平面に近い湾曲面であってもよい。例えば、光学シート1を型を用いて成形する場合には、フレネル分割面1bを傾斜面とした方が型抜きが容易となる。また、図9では、このフレネル分割面1bを傾斜面にすると共に、フレネルレンズの中心から離れたフレネル分割面1bほどこの傾斜を大きくした場合を示す。この場合、CCFL2から左右方向に放射状に広がって出射される光が各フレネル分割面1bに遮られて光の利用効率が低下するのを防止することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、光学シート1が透明な樹脂シートからなる場合を示したが、光を透過する透光性を有するものであればよいので、必ずしも透明である必要はない。光学シート1の厚さも特に限定されるものではなく、原シートのヘーズが67%以上、93%未満程度のものであれば好ましく、一般的には厚さ0.3〜5mm程度のものが好適に使用される。
【0047】
上記のような光学シート1の樹脂シートとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体(例えばポリ−4−メチルペンテン−1等)、ポリ塩化ビニル、環状ポリオレフィン(例えばノルボルネン構造等)、アクリル樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(MS樹脂)等の透光性の熱可塑性樹脂からなるものが使用できる。特に、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートの中でも、ポリカーボネート、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)、環状ポリオレフィンからなるものは、耐熱性が良好であり、バックライトユニットに用いられた際にCCFL2からの放熱によって変形や皺等を生じ難いので好ましく使用される。しかも、ポリカーボネートからなる樹脂シートは、ポリカーボネート自体が透明性の良好な樹脂であり、吸湿性が少なく、高輝度で、反りが少ないため、極めて好ましく使用される。さらに、この樹脂シートは、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂等の透光性の熱硬化性樹脂からなるものであってもよい。しかも、この樹脂シートは、2種以上の樹脂材料を混合し、アロイ化し、複合化したものを使用することもできる。
【0048】
また、上記実施形態の光学シート1は、例えば両面がフラットな樹脂シートを型で押さえ付けて成形するプレス製法を用いて作製することができるが、他のプレス製法やキャスティング法又は射出成形法等の成形法、型ロールを通すことによるロール成形法や押し出し成形法等による連続成形法等、任意の製法で作製してもよい。
【0049】
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、成形に必要な安定剤、滑剤、耐衝撃改良剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、蛍光増白剤等が適宜含有されていてもよい。さらに、多層構成をもつ光学シート1においては、これらの添加剤は、例えば基材層と表面層の間で添加剤の種類や配合比率を適宜変更してもよい。図10は、基材層101の上層の表面層102にフレネルレンズ面1aを形成した2層の光学シート1の例を示し、図11は、これらの下層に裏面層103を加えた3層の光学シート1の例を示す。光学シート1の下面は、CCFL2から紫外線が直接照射されるので、この裏面層103を紫外線吸収剤が含有された耐候層とすることで、上層の基材層101や表面層102を紫外線から保護することができる。
【0050】
また、上記実施形態の光学シート1の樹脂シートは、光拡散剤が含有されていてもよい。この光拡散剤としては、樹脂シートの樹脂材料との光屈折率が異なる無機質粒子、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子等が単独で又は適宜組合わせて使用される。無機質粒子としては、ガラス[Aガラス(ソーダ石灰ガラス)、Cガラス(硼珪酸ガラス)、Eガラス(低アルカリガラス)]、シリカ、マイカ、合成マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、モンモリロナイト、カオリンクレー、ベントナイト、ヘクトライト、シリコーン等の粒子が使用される。そして、金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の粒子が使用され、また、有機ポリマー粒子としては、アクリルビーズ、スチレンビーズ、ベンゾグアナミン等の粒子が使用される。このような光拡散剤を含有していれば、光学シート1内で光を十分に拡散させることができるので、バックライトユニットに高価な拡散シート等を追加して用いる必要がなくなる。
【0051】
上記光拡散剤は、その平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜30μmであるものが使用される。粒径が0.1μmより小さい光拡散剤は、凝集しやすいため分散性が悪く、均一に分散できたとしても光の波長の方が大きいので光散乱効率が悪くなる。それゆえ、0.5μm以上の、更には1μm以上の大きさの粒子が好ましいのである。一方、粒径が100μmより大きい光拡散剤は、光散乱が不均一になったり、光線透過率が低下したり、粒子が肉眼で見えたりするようになる。このため、50μm以下の粒子、特に30μm以下の粒子が好ましい。
【0052】
また、上記実施形態では、光学シート1が樹脂シートである場合を示したが、透光性シート(薄板も含む)であればよいので、薄板状のガラス等であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、光学シート1の下面がフラットな場合を示したが、この下面の構成は任意であり、例えば微細な凹凸からなるシボ状に加工することにより光の拡散性を高めたものであってもよい。さらに、上記実施形態では、光学シート1が平凸型リニアフレネルレンズ状である場合を示したが、両面が凸型の両凸型リニアフレネルレンズ状や、裏面が凹型であり全体として凸レンズを構成するメニスカス凸型リニアフレネルレンズ状でもよく、これらの凸型リニアフレネルレンズ状一般に実施可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、この光学シート1が左右方向にのみ集光作用を有する凸型リニアフレネルレンズ状である場合を示したが、前後左右全周方向に均等に集光作用を有する通常の球面等の凸レンズに対応する凸型フレネルレンズ状の光学シートや、その他の集光作用を有する凸型フレネルレンズ状の光学シートにも同様に実施可能である。上記実施形態の場合には、フレネルレンズ面1aを円筒面からなる凸形状にしたが、通常の球面等の凸レンズに対応する光学シートの場合には、フレネルレンズ面が同心円状に分割されるので、例えば環状円筒面からなる凸形状とすればよい。
【0055】
また、上記実施形態では、光学シート1の左右方向に複数組のフレネルレンズを並べて配置した場合を示したが、このフレネルレンズの組数は任意であり、1枚の光学シート1に1組のフレネルレンズだけを形成することもできる。さらに、通常の球面等の凸レンズに対応する凸型フレネルレンズ状のフレネルレンズを形成した光学シートの場合にも、このフレネルレンズの組数は任意であり、複数のフレネルレンズを縦横に配置することもできる。さらに、光学シートの形状も方形や円形状に限らず、多角形や楕円等、任意の形状とすることができる。
【0056】
また、上記実施形態のバックライトユニットでは、光源として直管型のCCFL2を用いる場合を示したが、必ずしも直管型である必要はなく、例えばU字管等を用いることもできる。さらに、必ずしもCCFL2である必要はなく、一般照明用の蛍光管と同様の熱陰極管等を用いたり、LED(発光ダイオード)を並べて用いることもでき、光源の種類は限定されない。しかも、光源は、線光源である必要もなく、例えば通常の凸レンズに対応する光学シート等の場合には、点光源を用いることが多い。さらに、反射板3も必須ではなく、例えば上記実施形態のCCFL2のように上下に光を発するものの場合には、下方に別の光学シート1を配置して、上下双方に光を供給することも可能である。
【0057】
また、上記実施形態のバックライトユニットは、光学シート1の上方に直接液晶パネル4を配置する場合を示したが、この光学シート1の上方及び/又は下方には、拡散シート等を配置することもできる。さらに、上記実施形態のバックライトユニットは、液晶パネル4以外のバックライトとして用いることもできる。
【実施例】
【0058】
上記実施形態の光学シートの実施例として2種類の実施例1と実施例2を作製すると共に、従来例の光学シートの比較例を作製した。そして、これらの光学シートを用いたバックライトユニットにおいて、CCFLの位置を左右方向にずらしたときの正面輝度を測定した結果を表1に示すと共に、この測定結果をグラフにしたものを図12に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
これらの実施例1と実施例2と従来例の光学シートは、ポリカーボネート(屈折率:1.586)を用いた。そして、1本のCCFLに対応する光学シートのフレネルレンズのレンズ幅は30mmとした。また、このCCFLは、これらの光学シートの下方20mmの位置に配置し、これらの光学シートのフレネルレンズの中心の真下に配置した場合を位置ずれが0.0mmであるとし、左右方向に0.5mmのピッチで2.0mmまでずらして配置した場合の正面輝度をそれぞれ測定した。
【0061】
比較例の光学シートのフレネルレンズ面は、曲率半径が20mmの円筒面である。これに対して、実施例1の光学シートのフレネルレンズ面は、全て曲率半径が5mmの円筒面とした。また、実施例2の光学シートのフレネルレンズ面は、曲率半径を5mm〜10mmの円筒面とした。即ち、フレネルレンズの中心付近のフレネルレンズ面は、曲率半径を5mmとし、このフレネルレンズの中心から離れるに従って曲率半径を6mm、7mm、8mm、9mmと段階的に大きくし、最も外側部分のフレネルレンズ面の曲率半径を10mmとした。
【0062】
この表1と図12から明らかなように、比較例では、CCFLの中心からの位置ずれが大きくなるほど正面輝度が大幅に低下するのに対して、実施例1と実施例2では、CCFLの位置ずれが2.0mmになっても、正面輝度の低下は僅かであることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、バックライトユニットに用いられる光学シートにおける1組のフレネルレンズの部分を示す縦断面正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、バックライトユニットに用いられる光学シートにおける3組のフレネルレンズの部分を示す縦断面正面図である。
【図3】従来例を示すものであって、平凸型リニアフレネルレンズにおける曲面のフレネルレンズ面の傾斜角度を説明するための部分拡大縦断面正面図である。
【図4】従来例を示すものであって、平凸型リニアフレネルレンズにおける平面のフレネルレンズ面の傾斜角度を説明するための部分拡大縦断面正面図である。
【図5】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面の傾斜角度を説明するための部分拡大縦断面正面図である。
【図6】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面に平面の面取り部が形成された場合の部分拡大縦断面正面図である。
【図7】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面に曲面の面取り部が形成された場合の部分拡大縦断面正面図である。
【図8】本発明の一実施形態を示すものであって、光学シートのフレネルレンズ面による拡散作用を説明する部分拡大縦断面正面図である。
【図9】本発明の一実施形態を示すものであって、フレネル分割面が傾斜面である光学シートにおける1組のフレネルレンズの部分を示す縦断面正面図である。
【図10】本発明の一実施形態を示すものであって、樹脂シートを2層にした光学シートの縦断面正面図である。
【図11】本発明の一実施形態を示すものであって、樹脂シートを3層にした光学シートの縦断面正面図である。
【図12】本発明の実施例を示すものであって、CCFLを左右方向にずらして配置した場合のバックライトユニットの正面輝度を示すグラフである。
【図13】光学シートを用いたバックライトユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図14】従来例を示すものであって、平凸型リニアフレネルレンズを、対応する平凸型シリンドリカルレンズと共に示す縦断面正面図である。
【図15】従来例を示すものであって、図14に示す平凸型リニアフレネルレンズにおいて、各フレネルレンズ面が平面で構成された場合を示す縦断面正面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 光学シート
1a フレネルレンズ面
1b フレネル分割面
1c 面取り部
101 基材層
102 表面層
103 裏面層
11 平凸型リニアフレネルレンズ
11a フレネルレンズ面
11b フレネル分割面
12 平凸型シリンドリカルレンズ
12a 上曲面
13 平凸型リニアフレネルレンズ
13a フレネルレンズ面
13b フレネル分割面
2 CCFL
3 反射板
4 液晶パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方のシート面がフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、
このフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるフレネルレンズの中心軸と半径方向とに沿った縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする光学シート。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が半径方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)同心円状にそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【請求項2】
少なくとも一方のシート面がリニアフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、
このリニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるこの分割面に直交する縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする光学シート。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が分割面に直交する方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)フレネルレンズの中心より外側でそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【請求項3】
前記各フレネルレンズ面が0.1mm以上、1.0mm以下のピッチでリニアフレネルレンズ状に分割されていることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記各フレネルレンズ面が、円筒面によって形成されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光学シート。
【請求項5】
前記光学シートが拡散剤を含有する透光性材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学シート。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学シートを1以上の光源の手前側に配置したことを特徴とする光学シートを用いたバックライトユニット。
【請求項1】
少なくとも一方のシート面がフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、
このフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるフレネルレンズの中心軸と半径方向とに沿った縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする光学シート。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が半径方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)同心円状にそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【請求項2】
少なくとも一方のシート面がリニアフレネルレンズ状に分割された光学シートにおいて、
このリニアフレネルレンズ状に分割された各フレネルレンズ面におけるこの分割面に直交する縦断面の曲線形状が、下記の構成(A)乃至(C)の全てを備えたものであることを特徴とする光学シート。
(A)各フレネルレンズ面の曲線は、傾斜角度が分割面に直交する方向に沿って広義の単調増加又は単調減少する凸形状である。
(B)各フレネルレンズ面の曲線の傾斜角度の平均値は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面ほど、フレネルレンズの中心側をシート内側から当該シート面に向かう方向にさらに回転させた外向きの傾斜角度となる。
(C)フレネルレンズの中心より外側でそれぞれ隣接する双方のフレネルレンズ面の隣接境界側の端部の曲線の傾斜角度は、フレネルレンズの中心から離れたフレネルレンズ面の方が、フレネルレンズの中心側を当該シート面からシート内側に向かう方向にさらに回転させた内向きの傾斜角度となる。
【請求項3】
前記各フレネルレンズ面が0.1mm以上、1.0mm以下のピッチでリニアフレネルレンズ状に分割されていることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記各フレネルレンズ面が、円筒面によって形成されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光学シート。
【請求項5】
前記光学シートが拡散剤を含有する透光性材料からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学シート。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学シートを1以上の光源の手前側に配置したことを特徴とする光学シートを用いたバックライトユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−175597(P2009−175597A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16165(P2008−16165)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
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