説明

光学シート

【課題】外部衝撃によって容易に損傷されることがない光学シートを提供する。
【解決手段】構造化表面10を有する樹脂硬化層である構造層を含み、平面圧子11を用いて、0.2031mN/secの荷重付加速度で最大圧1gfまたは2gfになるまで、構造化表面10に荷重付加し、最大圧で5秒間維持し、その後、荷重付加を解除した場合、下記の数式で表現される弾性回復率が85%以上である。


D1は外部圧力が加わって押し込まれた深さを示し、D2は外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さと外部圧力が除去されて回復された後の光学シートの高さとの差を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイ(LCD)に使用される光学シートに関する。
【背景技術】
【0002】
産業社会が高度の情報化時代に発展するにつれて、多様な情報を表示、伝達するための媒体としての電子ディスプレイ装置の重要性は日増しに増大している。従来広く使用されて来たCRT(Cathode Ray Tube)は、設置空間上の制約が大きくて大型化が大変難しいという限界のため、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放射ディスプレイ(FED)、及び有機ELのような多様なフラットパネルディスプレイ装置に代替されている。このようなフラットパネルディスプレイ装置の中で、特に液晶ディスプレイ装置(LCD)は液晶と半導体技術が複合された技術集約的装置であり、軽くて消費電力が低いという利点から、その構造及び製造技術が研究開発されて来た。さらに、LCDは、現在ノートブックコンピューター、デスクトップコンピューターのモニター、携帯用個人通信装置(PDA及び携帯電話)など、既存に液晶ディスプレイが広く使用された領域に適用されており、大型化技術もますますその限界を飛び越えているので、HD(High Definition)級の大型TVにまで応用されているなど、ディスプレイの代名詞であったCRTを代替することができる新しいディスプレイ装置として脚光を浴びている。
【0003】
このようなLCDは、外部光源の透過率を調節して画像を現す間接発光方式の光源装置であるバックライトユニットがLCDの特性を決定する重要な部品として使用されている。
【0004】
特に、LCDパネルの製造技術が発展するにつれて薄くて輝度の高いLCDディスプレイに対する要求が高くなり、これによってバックライトユニットの輝度を高めようとする多様な試みがあった。モニター、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートブックコンピューターなどの用途に適した液晶ディスプレイは少ないエネルギー源から明るい光線を放射する場合に、その優秀性が高いと評価される。したがって、LCDの場合、前面輝度が非常に重要である。
【0005】
LCDは、その構造上、光拡散層を通過した光が全方向に拡散するので、前面に放射される光はかなり不十分になる。このことから、低消費電力でより高い輝度を発揮しようとする努力が続いている。また、ディスプレイが大面積化するにつれて、より多くの使用者が見られるように、視野角を広げる必要が生じる。
【0006】
このために、バックライトのパワーを高められている。しかし、これに比例して、消費電力が高くなり、熱による電力損失も高くなる。携帯用ディスプレイの場合は、バッテリー容量が大きくなり、バッテリー寿命も短縮される。
【0007】
よって、輝度増加の目的で、光に方向性を与えるために、3次元(3D)構造面を形成した構造を持つシートが、光拡散シート上に積層される。このような構造の一例は、一側面に構造化表面を持ち、他側面に滑らかな平坦面を持つ透明な樹脂硬化層、及び樹脂硬化層の滑らかな平坦面に隣接して形成された基材層とを含む構造物であり得る。前記構造物は、典型的には、三角形断面を有する柱形状の配列を有し、この外にもさまざまな形態が可能である。
【0008】
このような構造化表面は、一般的に、個々の構造物が線形に配列された同じ形態を有するので、構造化表面の頂上部位に損傷を被る恐れが高い。また、このような構造から出射される角度は列において同一であるので、構造物の頂上部位で発生する小さな崩壊または傾斜面で発生する微細なスクラッチなどによっても損傷部位と頂上部位から出射される光経路に違いが生じ、その結果、輝度が低下し不良が発生することになる。
【0009】
したがって、3D構造面を有する光学シートの生産の際、微細な不良によっても、その位置によっては生産されたシートの前面を使うことができなくなる場合が発生しうる。このことは、生産性の低下をもたらし、その結果、原価上昇の負担をもたらす。実際、バックライトモジュールを組立てる企業等においても、このようなシートの取扱いの際に発生するスクラッチによる構造損傷による不良が相当な問題となっている。特に、3D構造面を有する光学シートは外部からの小さなスクラッチによっても構造化表面の頂上部位が容易に破壊または損傷される問題があった。
【0010】
また、積層される多数枚のシート及びフィルムからなるバックライトユニットにおいて、輝度を増加させるために複数枚の3D構造面を有する光学シートが用いられる場合、3D構造の損傷発生は防止されなければならない。このことは非常に重要であると考えられる。
【0011】
したがって、このような構造の損傷を防止するために、従来、保護フィルムをもちいることが提案されている。しかし、LCDパネルがますます薄くなっているため、フィルムを省略するか複合機能を持ったシートを使用する趨勢にあり、さらに保護フィルムを積層する工程の追加による生産原価の増加、時間的効率や物理的効率の低下などの問題がある。
【0012】
取扱いによる構造への損傷の外にも、ノートブックコンピューター、PDAのような携帯用ディスプレイの使用が増加しているところ、それらは、頻繁に、カバンなどに入れて運ばれる。この際、ユーザーが走るか、あるいは車両の急停車などによってディスプレイに衝撃が加わると、保護フィルムがあっても、ディスプレイ内に装着された光学シートの構造物が損傷して、画面に悪影響を及ぼす。
【0013】
したがって、外部衝撃に柔軟に適応できる構造化表面を持つ光学シートが早急に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は構造化表面を持つ光学シートであって、その構造化面の損傷が防止され、その結果光学シートとしての性能を維持することができる光学シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
構造化表面を有する樹脂硬化層である構造層を含み;
平面圧子を用いて、0.2031mN/secの荷重付加速度で最大圧1gfまたは2gfになるまで、前記構造化表面に荷重付加し、最大圧で5秒間維持し、その後、荷重付加を解除した場合、下記の数式3で表現される弾性回復率が85%以上であり、
前記構造層の屈折率は1.5以上であることを特徴とする、光学シート。
数式3

【0016】
前記式で、D1は外部圧力が加わって押し込まれた深さを示し、D2は外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さと外部圧力が除去されて回復された後の光学シートの高さとの差を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光学シートの弾性回復率を試験する模式図である。
【図2】弾性回復率が高い高分子材料に適用される力とD及びDとの関係を示すグラフである。
【図3】弾性回復率が低い高分子材料に適用される力とD及びDとの関係を示すグラフである。
【図4】本発明の光学シートにスクラッチ用プローブを使用してスクラッチを与える状態を示す模式図である。
【図5】従来光学シートにスクラッチ用プローブを使用してスクラッチを与える状態を示す模式図である。
【図6】図6〜9は、図4及び図5に示すようにスクラッチを与えた後、実施例21、比較例1〜3のそれぞれの光学シート表面をSEMで撮った写真である。
【図7】図6〜9は、図4及び図5に示すようにスクラッチを与えた後、実施例21、比較例1〜3のそれぞれの光学シート表面をSEMで撮った写真である。
【図8】図6〜9は、図4及び図5に示すようにスクラッチを与えた後、実施例21、比較例1〜3のそれぞれの光学シート表面をSEMで撮った写真である。
【図9】図6〜9は、図4及び図5に示すようにスクラッチを与えた後、実施例21、比較例1〜3のそれぞれの光学シート表面をSEMで撮った写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
本発明によれば、損傷を防止することができる構造化表面を持つ光学シート、特に構造化表面を有する樹脂硬化層である構造層を含む光学シートが提供される。
【0020】
本発明において、光学シートは、構造化表面に外部から力が加わっても、容易に損傷されないようにするために、変形に抵抗性であるか、圧を受けた後に元の状態に回復できるように、弾性を有する必要がある。
【0021】
これを満たすために、本発明の好適な一態様は、次の測定方法による特性値を満たす光学シートを提供する。
【0022】
これを図1を参照して説明すれば、平面圧子11を用いて光学シートの構造層10に力を加えたとき、(B)のように構造層10の上面が圧を受ける。この際、押し込まれた深さを便宜上Dと称する。また、加圧を解除した後のシート高さと加圧される前のシート高さとの差をDと称する。
【0023】
本発明の好ましい光学シートは、特に平面圧子を用いて2.648mN/secの荷重付加速度で最大圧5gfになるまで荷重付加し、最大圧で5秒間維持し、その後、荷重付加を解除したときの、荷重付加後の高さと荷重付加前の元のシート高さの差(D)が次の数式1を満たすものである。
【0024】
数式1
< D/105
好ましくは、DはD/120未満である。すなわち、本発明の光学シートは、外部衝撃によって損壊しないように高硬度の水準を満たすものである。
【0025】
がD/105より大きいと、他のフィルムと接するか、荷重を受ける場合、構造化表面、特に構造化表面を成す構造物の頂上部位がその形状を維持することができずに破壊される恐れがある。
【0026】
本発明の態様による光学シートの構造化表面は、平面圧子を用いて2.648mN/secの荷重付加速度で最大圧5gfになるまで荷重付加し、最大圧で5秒間維持される。このようなとき、押しこまれた深さ(D)が次の数式2を満たす場合、損傷の発生の際、構造化表面の初期の損壊の発生が抑制される。
【0027】
数式2
< D/15
好ましくは、DはD/16より小さい。
【0028】
本発明による光学シートは、構造層の形状に特に限定があるものではなく、一例として、断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の多面体形状の構造が線形に配列された構造を持つか、断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の柱形状の構造が隣り合って線形に配列された構造を持つか、あるいは断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の柱形状の構造が曲線状に配列された構造を持つことができる。
【0029】
特に、断面が三角形の柱形状の構造が隣り合って線形に配列された構造を持つことができ、より具体的には、底辺長さ50μm、高さ25μmの二等辺三角形断面を有する柱形状の構造が隣り合って線形に配列された構造を持つことが集光効果の面で有利である。
【0030】
前記のような構造化表面を持つ樹脂硬化層の構造層を含む光学シートは、樹脂硬化層に隣接して基材層が形成されたものである。この際、基材層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリエポキシ樹脂でなったフィルムであり、好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリカーボネートフィルムを挙げることができる。その厚さは10〜1,000μm程度のものが機械的強度、熱安定性及びフィルムの柔軟性の面で有利であり、透過光の損失を防止することができるので有利である。特に、前記数式1を満たす光学シートにおいては、基材層の厚さが188±2μmである。
【0031】
前記のような特性を満たすための光学シートを提供することができる一例としては、環境に優しいながら高屈折率を持つ光重合性材料で構造層を形成する方法を挙げることができる。具体的には、価電子数7の元素を含まない構造層を含む光学シートである。構造層が価電子数7の元素、一例としてブロームや塩素などを含む場合、構造化表面の樹脂硬化層が外部圧力によって容易に損壊する問題が起こり得る。このような点で、本発明による光学シートは、価電子数7の元素を含まない樹脂硬化層で構造画面を形成することが有利である。また、ハロゲン元素を含む光硬化型樹脂は、環境ホルモンを生じさせうるので、構造層が価電子数7の元素を含まないことが有利である。
【0032】
一方、集光効率のためには、このような構造層の屈折率が適切な範囲内にあることが有利である。これを考慮して、構造層は屈折率1.5以上のものが光学シートの性能向上に有利である。
【0033】
このような構造層を持つものであれば、表面損傷を防止することだけでなく、環境的に有害性がないし、輝度向上に寄与することができる。
【0034】
本発明による構造層は、とりわけ、アクリレート系光硬化型樹脂硬化層である。特に前記屈折率を満足させるためには、フルオレン誘導体ジアクリレート単量体、ビスフェノール誘導体ジアクリレート単量体またはチオール(thiol)基を有するジアクリレート単量体を光硬化型単量体として含む光重合性組成物から形成されたものが有利である。高屈折の面でより有利であるようにするためには、フルオレン誘導体ジアクリレート単量体を光硬化型単量体として含む光重合性組成物から樹脂硬化層を形成する。
【0035】
前記光重合性樹脂組成物は、前記アクリレート系光硬化型単量体、アクリレート単量体、光開始剤、及び必要によって添加剤から主に構成される。
【0036】
アクリレート単量体の一例としては、多官能基を有することにより、光硬化の際に架橋剤の役目をしてガラス転移温度を上昇させ、これによって硬化後の硬度を増加させる役目をすることができる多官能性アクリレート単量体を含むことができ、その一例としては、イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体であり、このイソシアヌレート環は電子密度の非偏在が均一に配置されている化学構造を有する。これにより、電子密度の勾配による物理的な接着力を確保することにより硬化後に接着力を向上させる役目をすることができるという点で有利である。より具体的な例としては、イソシアヌレート環を持つ多官能性アクリレート単量体はトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレート単量体、特にトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートである。
【0037】
その他の紫外線硬化型単量体としては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレートまたは1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどを含むことができる。これら単量体は、硬化の際、基材層表面の微細隙間に対する内部浸透能力を持っているので、基材層に対する接着力を向上させるのに寄与することができる。
【0038】
一方、溶解後の組成物粘度を低めるための単量体としては、屈折率を阻害しない範囲内で25℃での粘度が2,000cps以下のアクリル系単量体をさらに含むことができる。具体的な例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートまたはフェニルフェノキシエタノールアクリレートなどを挙げることができる。
【0039】
このような光硬化型単量体の光重合を開始する光開始剤の一例としては、ホスフィンオキサイド系、プロパノン系、ケトン系、ホルメート光開始剤などを挙げることができる。
【0040】
その他に、樹脂硬化層組成物は、光学シートを長期間使用するとき、紫外線による黄変現象の防止のために、必要によって紫外線吸収剤をさらに含むことができる。その例としては、オキサリックアニリド系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアジン系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0041】
その他に、紫外線安定剤をさらに含むこともできる。その例としては、ヒンダードアミン系紫外線安定剤が挙げられる。また、添加剤として帯電防止剤をさらに含むこともできる。
【0042】
前記構造層は、紫外線照射量50〜300mJ/mで1次光硬化し、紫外線照射量300〜900mJ/mで2次光硬化することで、形成することができる。この際、紫外線照射量が前記範囲以内のものが価電子数7の元素を含まない構造層の黄変を防止することができるという点で有利である。
【0043】
一方、構造化表面に外部から力が加わっても容易に損傷されないようにするために、本発明の他の好適な態様は、次の測定方法による特性値を満たす光学シートを提供する。
【0044】
本発明の光学シートは、構造層の構造化表面で平面圧子を用いて0.2031mN/secの荷重付加速度で最大圧1gfまたは2gfになるまで荷重付加し、最大圧で5秒間維持してから荷重付加を解除した場合、下記の数式3で表現される弾性回復率が85%以上のものである。より好ましくは、下記の数式3で表現される弾性回復率が90%以上のものである。
【0045】
数式3

【0046】
前記式で、Dは外部圧力が加わって押し込まれた深さを示し、Dは外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さと外部圧力が除去されて回復された時の光学シートの高さとの差を示す。
【0047】
これを図1を参照して説明すれば、平面圧子11を用いて光学シートの構造層10に力を加えれば、(B)のように、構造層10の上面が圧縮される。この際、押し込まれた深さを便宜上Dという。
【0048】
荷重付加した後に平面圧子11を除去すれば、(C)のように、構造層10の上面が損傷なしに最大に元の状態に回復される。この際、加圧を解除した後に回復された光学シートの高さと加圧される前の光学シートの高さ(D)との差値がDである。
【0049】
したがって、外部圧力が加わって押し込まれた深さと、圧縮されてから回復された構造物の高さの差である(D−D)が大きいほど弾性力が優れたものである。本発明の光学シートは、85%以上、好ましくは90%以上の前記数式1で表わされる弾性回復率を満たす。本発明の光学シートは、大きなDおよび大きな(D−D)を有し、これにより弾性力に優れ、外部衝撃に対して大きな圧を受けてから、可能な限り元の状態にする。
【0050】
本発明の光学シートにおいて、前記のように荷重付加してから加圧力を除去したとき、数式3で表現される弾性回復率が85%以上の場合、外部から衝撃が加わっても衝撃に柔軟に対処することができるほどの弾性力を持つので、構造層の損傷を防止することができる。
【0051】
一方、前記光学シートが、前記のように荷重付加してから加圧力を除去したとき、数式3で表現される弾性回復率が85%未満の場合には、他のフィルムと接するか荷重を受ける場合、構造層の上部が押されたまま維持されるため、光学シートとしての本来の機能をすることができない恐れがある。
【0052】
また、本発明の光学シートは、外部圧力が加わって押し込まれた深さを示す前記Dが下記の数式4を満たすことが好ましく、より好ましくは次の数式5を満足し、さらに好ましくは下記の数式6を満足し、さらに好ましくは下記の数式7を満足し、さらに好ましくは下記の数式8を満たす。
【0053】
数式4


【0054】
数式5


【0055】
数式6


【0056】
数式7


【0057】
数式8


【0058】
前記数式4〜8で、Dは外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さを示す。
【0059】
すなわち、本発明の光学シートは、外部圧力が加わって押し込まれた深さが外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さに対して1/25以上になるように柔軟性を持つことが、他のフィルムと接するか荷重を受ける場合、構造層の上部が正常の形状を維持するのにもっと有利である。すなわち、本発明の光学シートは外部衝撃に対して損傷なしに大きく圧縮されるように柔軟性を持つ。
【0060】
結果として、本発明の光学シートは、高荷重を受ければ、立体的な構造を持つ構造層が容易に押し込まれるが、圧縮状態が解除されれば、最大限元の状態に近くに回復されるので、外部の衝撃にも構造層が損傷されない。
【0061】
このように、弾性力を持つ構造層は屈折率が1.5以上であることが好ましい。これは、基材層の屈折率を考慮したとき、集光効率を高めるためであり、最終的には正面方向への輝度を考慮したものである。
【0062】
このような弾性回復率及び屈折率を満たす光学シートを提供するための手段としては多様な方法を挙げることができる。その一つとしては、光学シートの構造層を形成する組成物において、ゴムの性質よりエラストマーの性質を主に示すとともに光学的特性を阻害しない材料を使用する方法を挙げることができる。
【0063】
このために、ウレタンアクリレート、スチレン単量体、ブタジエン単量体、イソプレン単量体、シリコンアクリレートなどを構造層形成用材料として考慮することができるが、前記弾性回復率特性値を満たす場合であれば、構造層形成用材料中に含まれる硬化型単量体またはオリゴマーがこれに限定されるものではない。
【0064】
一方、本発明の光学シートは表面が構造化された樹脂硬化層として複数の立体構造物を持つ構造層を含み、構造層の断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の多面体形状が線形に配列された構造を持つか、断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の柱形状の構造が隣り合って線形に配列された構造を持つか、断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の柱形状が曲線状に配列された構造を持つ。
【0065】
また、平面から見て、少なくとも一つ以上の同心円状に配列された構造を持つとともに、同心円に沿って山部と谷部が形成された構造を持つ場合も含む。
【0066】
構造層の断面が多角形の場合、頂点の角度によって輝度と視野角が著しく変化する。集光による輝度と視野角を考慮して、頂点の角度が80〜100゜であることが有利であり、85〜95゜であることがより有利である。
【0067】
前記光学シートの基材層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミドよりなる群から選ばれるいずれか1種以上の物質で形成され、光拡散粒子をさらに含んで凹凸が形成された構造を形成することもできる。
【0068】
本発明の光学シートを製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば前記構造層用材料に紫外線硬化剤などの添加剤を添加して紫外線硬化型液状組成物を製造した後、これを基材層にコートした後、硬化させることで、光学シートを製造することができる。
【0069】
一方、図2は弾性回復率に優れた高分子材料に適用される力とD及びDとの関係を示すグラフ、図3は弾性回復率が低い高分子材料に適用される力とD及びDとの関係を示すグラフである。弾性回復率が高い材料であればあるほどDの値が0に近くなり、理想的な弾性を持つ材料の場合、D=0になって弾性回復率は100%になる。反対に、弾性が低い材料であればあるほどDの値がDに近くなって(D−D)が0に近接することになる。
【0070】
本発明の光学シートは、図2のグラフに近接するものであり、本発明の高分子材料が図2のグラフの曲線形態に制限されるものではない。
【0071】
図4は本発明の光学シート50にスクラッチ用プローブ15を使用してスクラッチを形成する過程を示す模式図、図5は従来の光学シート30にスクラッチ用プローブ15を使用してスクラッチを形成する過程を示す模式図である。
【0072】
従来の光学シート30は、スクラッチ用プローブ15によって構造層35の上部が変形されるか割れて損傷が多く生じるが、これに対し、本発明の光学シート50はスクラッチを形成しても構造層55の上部にほとんど損傷が生じない。
【0073】
その他に、本発明による光学シートの他の一例としては、構造化表面を持つ樹脂硬化層の構造層;構造層に隣接して形成された光拡散層;及び基材層を含む光学シートであり、このような光学シートは、多数の光学シートを組み合わせなければならない問題を改善することができ、さらに輝度向上、そして構造化表面により輝線を調節することができるなどの効果も得ることができる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の実施例をより詳細に説明するが、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0075】
ウレタンアクリレートオリゴマーの製造
合成例1
オイルバス、温度計、還流冷却器、滴下漏斗が設置された1000mlの4口フラスコにエーテル系のポリオール(PPG、Lupranol 1100、BASF社製)0.195モル、1,6−ヘキサンジオールを0.243モル、反応触媒であるジブチルスズジラウレート0.03gを投入し、約70〜80℃で30分撹拌して混合させた後、ジフェニルメタンジイソシアネート0.730モルを約1時間間隔で2〜3段階に分けて添加し、すべて約5時間ほど反応を進めることで、イソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを製造した。この際、イソシアネート末端を有するプレポリマーのR(N=C=O/OH、イソシアネート基とヒドロキシ基の比率)値は約1.66であり、またウレタンプレポリマーのHS(Hard Segment)/SS(Soft Segment)の比は1/1.32程度である。
【0076】
その後、ビニル基の熱重合を防ぐために、反応器の温度を約50℃に降下させた後、これにヒドロキシエチルアクリレート0.657モルを添加し、イソシアネート基が完全に消耗されるまで4〜6時間撹拌した。FT−IRスペクトルを用いて2270cm−1付近のN=C=Oの特性ピークから残余イソシアネートがないことを確認し、反応を終結することで、ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0077】
合成例2
前記合成例1において、HS(Hard Segment)/SS(Soft Segment)の比が1/1.51程度になるように、ポリオール、鎖延長剤及びジフェニルメタンジイソシアネートの比率を調節して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0078】
合成例3
前記合成例1において、HS(Hard Segment)/SS(Soft Segment)の比が1/2.65程度になるように、ポリオール、鎖延長剤及びジフェニルメタンジイソシアネートの比率を調節して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0079】
合成例4
前記合成例1において、HS(Hard Segment)/SS(Soft Segment)の比が1/3.9程度になるように、ポリオール、鎖延長剤及びジフェニルメタンジイソシアネートの比率を調節して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0080】
合成例5
オイルバス、温度計、還流冷却器、滴下漏斗が設置された1000mlの4口フラスコにエーテル系のポリオール(PPG、Lupranol 1100、BASF社製)0.164モル、1,6−ヘキサンジオールを0.135モル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを0.14モル、反応触媒であるジブチルスズジラウレート0.03gを投入し、約70〜80℃で30分撹拌して混合させた後、ジフェニルメタンジイソシアネート0.730モルを約1時間の間隔で2〜3段階に分けて添加し、すべて約5時間ほど反応を進めることで、イソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを製造した。この際、イソシアネート末端を有するプレポリマーのR(N=C=O/OH、イソシアネート基とヒドロキシ基との比率)値は約1.65であった。
【0081】
その後、ビニル基の熱重合を防ぐために、反応器の温度を約50℃に降下させた後、これにヒドロキシエチルアクリレート0.657モルを添加し、イソシアネート基が完全に消耗されるまで4〜6時間撹拌した。FT−IRスペクトルを用いて、2270cm−1付近のN=C=Oの特性ピークから、残余イソシアネートがないことを確認して反応を終結して、ウレタンアクリレートオリゴマーを得た。
【0082】
合成例6
前記合成例5において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの代わりにビスフェノールA0.14モルを使用して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0083】
合成例7
前記合成例5において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの代わりにビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン0.14モルを使用して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0084】
合成例8
前記合成例5において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの代わりに4,4’−チオジフェノール0.14モルを使用して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0085】
合成例9
前記合成例5において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの代わりに4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル0.14モルを使用して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0086】
合成例10
前記合成例5において、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの代わりに4,4’−ジヒドロキシビフェニル0.14モルを使用して得られたウレタンプレポリマーを使用したことを除き、同様な方法でウレタンアクリレートオリゴマーを製造した。
【0087】
光学シートの製造
実施例1
全体組成物100重量部に対して、前記合成例1で製造して得たウレタンアクリレート70重量部、フェノキシエチルメタクリレート(Sartomer、SR340)10重量部、フェノキシエチルアクリレート(Sartomer、SR339)15重量部、光開始剤2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド1.5重量部、光開始剤メチルベンゾイルホルメート1.5重量部、添加剤ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート2.0重量部を、60℃で1時間混合して樹脂硬化層形成用組成物を製造した。その後、基材層であるポリエチレンテレフタレート(KOLON社製、厚さ188±2μm)の一面に塗布し、35℃のプリズム状ローラーのフレーム上に置き、紫外線照射装置(Fusion社製、600Watt/inch)にtype−D bulbを装着し、基材層の外面に900mJ/cmでUV光を照射して、プリズムの頂角が90゜、ピッチが50μm、高さが27μm(アンカー(anchor)高さを含む)の線形三角プリズムを形成して光学シートを製造した。(D=215μm)
実施例2
前記実施例1において、断面が半円形、ピッチが50μm、高さが27μmのレンズ状レンズを形成したことを除き、同様にして光学シートを製造した。
【0088】
実施例3
前記実施例1において、断面が半円形、ピッチが50μm、高さが27μmの断面半円形の柱形状が線形に配列されたことを除き、同様にして、光学シートを製造した。
【0089】
実施例4
前記実施例1において、断面が五角形、頂角が95゜、ピッチが50μm、高さが27μmの線形プリズムを形成したことを除き、同様にして光学シートを製造した。
【0090】
実施例5
前記実施例1において、断面が半円形、ピッチが50μm、高さが27μmの波形配列のプリズムを形成したことを除き、同様にして光学シートを製造した。
【0091】
実施例6
前記実施例1において、合成例2で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0092】
実施例7
前記実施例1において、合成例3で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0093】
実施例8
前記実施例1において、合成例4で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0094】
実施例9
前記実施例1において、合成例5で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0095】
実施例10
前記実施例9において、断面が半円形、ピッチが50μm、高さが27μmのレンズ状レンズを線形配列に形成して光学シートを製造した。
【0096】
実施例11
前記実施例9において、断面が半円形、ピッチが50μm、高さが27μmの半円形断面を有する柱形状が線形に配列されたことを除き、同様にして、光学シートを製造した。
【0097】
実施例12
前記実施例9において、断面が五角形、頂角が95゜、ピッチが50μm、高さが27μmのプリズムを線形配列に形成して光学シートを製造した。
【0098】
実施例13
前記実施例9において、断面が半円形、ピッチが50μm、高さが27μmのプリズムを非線形配列に形成して光学シートを製造した。
【0099】
実施例14
前記実施例1において、合成例6で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0100】
実施例15
前記実施例1において、合成例7で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0101】
実施例16
前記実施例1において、合成例8で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0102】
実施例17
前記実施例1において、合成例9で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0103】
実施例18
前記実施例1において、合成例10で収得したウレタンアクリレートを使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。
【0104】
実施例19
前記実施例1において、合成例5で収得したウレタンアクリレートを使用し、基材層としてポリエチレンテレフタレート(KOLON社製、厚さ125μm)を使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。(D=152μm)
実施例20
前記実施例1において、合成例5で収得したウレタンアクリレートを使用し、基材層としてポリエチレンテレフタレート(KOLON社製、厚さ250μm)を使用したことを除き、同様な方法で光学シートを製造した。(D=277μm)
比較例1
光学シートとして3M社のBEF3Tプリズムフィルムを使用した。(D=215μm)
比較例2
光学シートとして斗山社のBrtie−200プリズムフィルムを使用した。(D=215μm)
比較例3
光学シートとしてLG社のLES−T2プリズムフィルムを使用した。(D=220μm)
前記それぞれの実施例及び比較例で構造層用組成物で形成された構造層の屈折率を下記のような方法で測定し、光学シートのD、弾性回復率、耐スクラッチ性及び輝度を次のように測定して表1に示した。
【0105】
(1)構造層の屈折率
構造層の屈折率を評価するために、PETフィルム(厚さ188μm)の上面に構造層用組成物をコートした後、その上に表面が滑らかな金属板を重ね、厚さが20μmになるように圧力を加え、アメリカのFusion社の無電極型紫外線照射装置(600W/inch)にType−D bulbを装着し、700mJ/cmのエネルギーをPETフィルムの外面に照射した後、金属板を分離した。PETフィルム上に硬化された組成物の屈折率を屈折計(モデル名:IT、日本ATAGO ABBE)を使用して測定した。測定のための光源は589.3nmのD光電ナトリウムランプを利用した。
【0106】
(2)D及び弾性回復率
実施例及び比較例で製造された光学シートを日本シマズ社の微小圧縮硬度計(DUH−W201S、シマズ社製)を使用して、‘Load−Unload test’項目にしたがってD、D及び弾性回復率を測定した。直径50μmの平面圧子の中央部分に光学シート構造層の山形状の尖った部分が位置するようにした後、次の条件でD、D及び弾性回復率を5回繰り返し測定し、平均値を求めて下記表1に示した。
【0107】
[測定条件1]
a.加わる最大圧:1gf(=9.807mN)
b.単位時間当たりの圧力:0.2031mN/sec
c.最大圧での停止時間:5sec
[測定条件2]
a.加わる最大圧:2gf(=19.614mN)
b.単位時間当たりの圧力:0.2031mN/sec
c.最大圧での停止時間:5sec
(3)耐スクラッチ性
前記実施例及び比較例の光学シートに、IMOTO社のBig Heartテスト装置による基本重量を用いて最小限の圧力を加えたとき、構造層のスクラッチの発生有無を測定したところ、その結果は次の表1のようである。損傷の程度は肉眼で判断し、基準は次のようである。
【0108】
耐スクラッチ性不良←×<△<○<◎→耐スクラッチ性優秀
(4)輝度
17インチ液晶ディスプレーパネル用バックライトユニット(モデル:LM170E01、大韓民国フイソング電子製)に前記実施例及び比較例のそれぞれの光学シート2枚を直交方向に積層して固定し、輝度計(モデル:BM−7、日本TOPCON社製)を使用して任意の13地点の輝度を測定し、その平均値を求めた。
【0109】
【表1】

前記表1から明らかなように、弾性回復率が85%以上の本発明の実施例による光学シートは、構造層の耐スクラッチ性に非常に優れたことが分かり、よって本発明の光学シートは、外部から衝撃の際、構造物の損傷なしに大きく押し込まれてから最大限に元の状態に近く回復されるので、外部衝撃に柔軟に対処することができ、容易に損傷されないということが分かる。
【0110】
実施例21
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン100重量部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート20重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3重量部、フェノキシエチルアクリレート63重量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェノールホスフィンオキサイド6重量部、2(2−ヒドロキシ−5−t−オクトキシベンゾトリアゾール)3.6重量部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート3重量部を混合して樹脂硬化層形成用組成物を製造した。
【0111】
厚さ188±2μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと前記樹脂硬化層形成用組成物を円筒形金型(断面が二等辺三角形、頂角が90゜、底辺が50μm、高さが25μmの三角柱が線形に配列されて型彫りされた金型)に投入し、100mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して1次硬化させた。次いで、500mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して2次硬化させた後、金型から分離して本発明の光学シートを得た。
【0112】
実施例22
エポキシアクリレート(CN120、Sartomer社製)39重量部、エトキシビスフェノールAジアクリレート(SR−349、Sartomer社製)39重量部、1,6−ヘキサジオールジアクリレート(SR−238、Sartomer社製)7.5重量部、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(SR−368、Sartomer社製)11.5重量部、光開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(DAROCURE TPO、CIBA)3重量部を混合して樹脂硬化層組成物を製造した。
【0113】
厚さ188±2μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと前記樹脂硬化層形成用組成物を円筒形金型(断面が二等辺三角形、頂角が90゜、底辺が50μm、高さが25μmの三角柱が線形に配列されて型彫りされた金型)に投入し、150mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して1次硬化させた。次いで、600mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して2次硬化させた後、金型から分離して本発明の光学シートを得た。
【0114】
実施例23
前記実施例21と同一の組成物で樹脂硬化層組成物を製造した。
【0115】
厚さ188±2μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと前記樹脂硬化層形成用組成物を円筒形金型(断面の直径が50μmの半円形柱が線形に配列されて型彫りされた金型)に投入し、100mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して1次硬化させた。次いで、500mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して2次硬化させた後、金型から分離して本発明の光学シートを得た。
【0116】
実施例24
前記実施例22と同一の組成物で樹脂硬化層組成物を製造した。
【0117】
厚さ188±2μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと前記樹脂硬化層形成用組成物を円筒形金型(断面の直径が60μmの半円形柱が線形に配列されて型彫りされた金型)に投入し、150mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して1次硬化させた。次いで、600mJ/m(600W/inch、D bulb、Fusion社製)の紫外線を照射して2次硬化させた後、金型から分離して本発明の光学シートを得た。
【0118】
前記実施例21〜24で得られた光学シートを次の表2に記載された市販の光学シートと比較するために、日本シマズ社の微小圧縮硬度計(Shimadzu DUH−W201S)を使用して‘Load−Unload test’項目にしたがって次のように評価し、その結果を次の表2に示した。
【0119】
直径50μmの円形平面圧子の中央部分に光学シートの構造化表面の一つの構造物上の頂上部分が位置するようにした後、次の条件で圧力を加えたとき、押し込まれた深さを測定した(D)。
【0120】
[測定条件]
a.加わる最大圧:5gf(=49.033mN)
b.最大圧に到逹する時までの荷重付加速度:2.6478mN/sec
c.最大圧での停止時間:5sec
その後、加圧を解除した後、シートの高さを測定し、元の光学シートの高さとの差値(D)を計算した。
【0121】
このような実験は、実施例及び比較例別に3枚の試片を準備した後、各試片に対して3回測定する方法で実施し、その平均値を求めて次の表2に示した。
【0122】
【表2】

前記表2に記載したような加圧及び加圧の解除による表面特性を表す光学シートに対し、図4に示すような方法で構造化面上にスクラッチを加えた後の表面を走査電子顕微鏡(FE−SEM、日本HITACHI社製、モデル:S−4300)を用いて観察して構造化面のスクラッチ発生有無を評価し(基準:耐スクラッチ不良←×<△<○<◎→耐スクラッチ性優秀)、その結果を次の表3に示した。図4は得られた光学シート50にスクラッチ用プローブ15を使用してスクラッチを形成する過程を示す模式図である。
【0123】
これらのうち、実施例21及び比較例1〜3によるSEM写真をそれぞれ図6〜9に示した。
【0124】
一方、光学シートの構造層を元素分析し、価電子数7の元素の検出有無を評価し、その結果を次の表3に示した。
【0125】
元素分析はイオンクロマトグラフィーで実施した。
【0126】
【表3】

前記表3の結果から、前記のように圧縮による損壊がないように、加圧及び加圧解除後の高さ変化が少ない本発明の光学シートは、スクラッチによる表面損傷が小さいことが分かる。これは、特に図6〜図9に示したSEM写真の結果を見ればより容易に確認することができる。
【0127】
また、本発明の光学シートは、価電子数7の元素を含まない構造層を持つので、環境的に有害性がない付加の効果も得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化表面を有する樹脂硬化層である構造層を含み;
平面圧子を用いて、0.2031mN/secの荷重付加速度で最大圧1gfまたは2gfになるまで、前記構造化表面に荷重付加し、最大圧で5秒間維持し、その後、荷重付加を解除した場合、下記の数式3で表現される弾性回復率が85%以上であり、
前記構造層の屈折率は1.5以上であることを特徴とする、光学シート。
数式3


前記式で、D1は外部圧力が加わって押し込まれた深さを示し、D2は外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さと外部圧力が除去されて回復された後の光学シートの高さとの差を示す。
【請求項2】
D1は次の数式4を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
数式4


前記式で、Dは外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さを示す。
【請求項3】
D1は次の数式6を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
数式6



前記式で、Dは外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さを示す。

【請求項4】
D1は次の数式8を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
数式8


前記式で、Dは外部圧力が加わらない状態の光学シートの高さを示す。
【請求項5】
前記構造層は、ウレタンアクリレート、スチレン単量体、ブタジエン単量体、イソプレン単量体及びシリコンアクリレートよりなる群から選ばれるいずれか1種以上の硬化性物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
【請求項6】
前記構造層は、断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の多面体形状の構造が線形に配列された構造を持つか、断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の柱形状の構造が隣り合って線形に配列された構造を持つか、あるいは断面が三角形、多角形、半円形または半楕円形の柱形状の構造が曲線状に配列された構造を持つことを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−47814(P2013−47814A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219241(P2012−219241)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2010−509276(P2010−509276)の分割
【原出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】