説明

光学デバイス

【課題】導光部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができる光学デバイスを得る。
【解決手段】反射型偏光層13と、反射型偏光層13に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13と平行かつ面接触した状態で設けられたλ/4層41と、反射板50と、反射型偏光層13と平行かつ面接触した状態で設けられると共に反射型偏光層13側の面とは反対の面に断面三角形状のプリズム11cが複数設けられたプリズム層11と、を備え、プリズム11cは、λ/4層41から反射型偏光層13に向かう方向に凸となるプリズム頂部11dと、プリズム底面11bと、プリズム斜面11aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モニターや携帯電話などの光学機器において、液晶パネルなどの表示部から出射される光の輝度を向上させることは、明るさやコントラストなどの見栄えに大きく影響すると共に省エネの観点からも利点がある。そのため、近年ではバックライト光源部(導光部)から表示部に入射する光の利用効率を向上させるために種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に示される従来技術は、光源から出射される光のうちP偏光(偏光方向が入射面に平行な偏光)は透過させると共にS偏光(偏光方向が入射面に垂直な偏光)は選択反射させるプリズムアレイと、このプリズムアレイで反射されたS偏光をP偏光に変換してプリズムアレイに入射させる変換手段とを有して構成されている。すなわち下記特許文献1に示される従来技術は、プリズムアレイで反射されたS偏光をP偏光に変換してプリズムアレイに再び入射させることにより、光の利用効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−190006号公報(図3など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示される従来技術では、λ/4波長板とプリズムアレイとの間に空気層が存在するため、空気界面で部分反射によるロスが生じるという課題があった。より具体的には、この従来技術では、プリズムアレイとλ/4波長板との間に空気層が存在するため、プリズムアレイで反射されたS偏光がλ/4波長板へ入射する際に空気界面(λ/4波長板と空気との境界面)において部分反射が生じると共に、反射鏡で反射されてλ/4波長板を通過した光がプリズムアレイへ入射する際にも空気界面(プリズムアレイと空気との境界面)によって部分反射が生じる。そのため、これらの部分反射によって一部の光が迷光となる。このように、上記特許文献1に示される従来技術では、λ/4波長板とプリズムアレイとの間に空気層が存在するため、光の利用効率が下がるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、導光部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができる光学デバイスを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光源から出射された光源光に含まれるP偏光を透過させると共に、前記光源光に含まれるS偏光を反射させる反射型偏光層と、前記反射型偏光層に前記光源光が入射する側にて前記反射型偏光層と平行かつ面接触した状態で設けられ、前記反射型偏光層で反射された光に1/4波長の位相差を与える位相差層と、前記位相差層を透過した光を反射して前記位相差層に再度入射させる反射部と、前記反射型偏光層からP偏光が出射される側にて前記反射型偏光層と平行かつ面接触した状態で設けられると共に、前記反射型偏光層側の面とは反対の面に断面三角形状のプリズムが複数設けられたプリズム層と、を備え、前記位相差層は、前記反射部からの反射光に再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換し、前記プリズム層に設けられた各プリズムは、前記位相差層から前記反射型偏光層に向かう方向に凸となる頂部と、前記反射型偏光層と平行に設けられ前記反射型偏光層を透過したP偏光を取り込む底面と、前記頂部の両側に形成され前記底面からプリズム内に取り込まれたP偏光を前記プリズム層の延設方向と垂直の方向に出射する斜面と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、プリズム層、反射型偏光層、およびλ/4層を一体化するようにしたので、導光部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学デバイスの構成図である。
【図2】図2は、図1に示される出射角とプリズム頂角との相関関係を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2にかかる光学デバイスの構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3にかかる光学デバイスの構成図である。
【図5】図5は、図4に示される出射角とプリズム頂角との相関関係を説明するための図である。
【図6】図6は、液晶表示装置のバックライトユニットに実施の形態2、3にかかる光学デバイスを適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる光学デバイスの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光学デバイス100の構成図である。図1に示される光学デバイス100は、プリズム層11、反射型偏光層13、λ/4層(位相差層)41、および反射板50を有して構成されている。
【0012】
図1に示される光源光21は、図示しない光源から出射された光である。反射型偏光層13の法線に対する光源光21の出射角θ1(以下単に「出射角θ1」と称する)は、例えば43.5°に設定されている。光源光21には、偏光方向が異なる2種類の偏光(P偏光とS偏光)が含まれており、反射型偏光層13は、光源光21に含まれるP偏光を透過させると共に、光源光21に含まれるS偏光を反射させる。
【0013】
λ/4(1/4波長)層41は、反射型偏光層13に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13に平行かつ面接触した状態で設けられ、反射型偏光層13で反射された光に1/4波長の位相差を与えると共に、この位相差の与えられた光が反射板50で折り返されて再びλ/4層41へ入射した際に、再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換する。反射板(反射部)50は、λ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる。その結果、反射型偏光層13で反射された光にλ/2の位相差が与えられるので、反射型偏光層13で反射した光がλ/4層41および反射板50によってP偏光に変換される。
【0014】
なお、図1に示される反射板50は、反射型偏光層13で反射されたS偏光の進路上に設けられ、かつ、反射型偏光層13の法線に直交する線に対して所定の角度(例えば出射角θ1と同じ角度)で設けられている。
【0015】
プリズム層11は、反射型偏光層13からP偏光が出射される側にて反射型偏光層13と平行かつ面接触した状態で設けられ、反射型偏光層13側の面とは反対の面に断面三角形状の複数のプリズム11cが設けられている。プリズム11cは、プリズム層11が延在する方向に沿って配列されている。
【0016】
各プリズム11cは、λ/4層41から反射型偏光層13に向かう方向に凸となるプリズム頂部11dと、反射型偏光層13と平行に設けられ反射型偏光層13を透過したP偏光を取り込むプリズム底面11bと、プリズム頂部11dの両側に形成されプリズム底面11bから取り込まれたP偏光をプリズム層11の延設方向と垂直の方向に出射するプリズム斜面11aとを有する。
【0017】
図1に示される各部材(プリズム層11、反射型偏光層13、およびλ/4層41など)は、例えばPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)相当の材質で構成されており、その屈折率は、例えば約1.49である。また、図1に示される光学デバイス100では、プリズム層11、反射型偏光層13、およびλ/4層41が一体化され、さらにプリズム頂部11dの頂角(プリズム頂角φ)が50°に設定され、出射角θ1が43.5°に設定されている。その結果、反射型偏光層13を透過したP偏光は、プリズム層11の延設方向と垂直の方向に出射される。
【0018】
次に光学デバイス100におけるP偏光およびS偏光の光路を図1に示される記号A〜Eを用いて説明する。(A)光源光21は、出射角θ1=43.5°で入射し、光源光21に含まれるP偏光は、反射型偏光層13を透過する。(B)光源光21に含まれるS偏光は、反射型偏光層13で反射される。(C)反射型偏光層13で反射された光は、λ/4層41に入射した後に反射板50で反射されて再びλ/4層41を透過する。(D)この光は、λ/4層41を2度透過したことによりP偏光に変換され、変換されたP偏光は、反射型偏光層13に入射する。そして、光源光21に含まれるP偏光と、λ/4層41で変換されたP偏光とは、各々反射型偏光層13を透過し、プリズム底面11bからプリズム11c内に入射する。(E)プリズム11c内に入射した各P偏光は、プリズム斜面11aにて同方向(プリズム層11の延設方向と垂直の方向)に揃えられて出射される。
【0019】
上記特許文献1に示される従来技術では、λ/4波長板とプリズムアレイとの間に空気層が存在するため、プリズムアレイで反射された光がλ/4波長板へ入射する際に空気界面によって部分反射が生じると共に、反射鏡で反射されてλ/4波長板から出射された光がプリズムアレイへ入射する際にも空気界面によって部分反射が生じる。そのため、これらの部分反射によって一部の光が迷光となる。
【0020】
実施の形態1にかかる光学デバイス100では、プリズム層11と反射型偏光層13との間に空気層が存在しないだけでなく、反射型偏光層13とλ/4層41との間にも空気層が存在しない。従って、反射型偏光層13で反射された光がλ/4層41へ入射する際に部分反射が生じることがない。また、反射板50で反射されてλ/4層41を透過した光が反射型偏光層13に入射する際にも、部分反射が生じることがない。このように、実施の形態1にかかる光学デバイス100は、光源光21が全てP偏光に変換されることによってP偏光とS偏光の両方を利用することができると共に、部材間(プリズム層11と反射型偏光層13との間、および反射型偏光層13とλ/4層41との間)に、空気層を介在させないようにしたので光の利用効率を向上させることができる。
【0021】
図2は、図1に示される出射角θ1とプリズム頂角φとの相関関係を説明するための図である。上記説明では、一例として出射角θ1を43.5°とした構成例を説明したが、出射角θ1を43.5°以外の値にした場合でも、出射角θ1の値に応じてプリズム頂角φを変更することで、プリズム層11の延設方向と垂直の方向にP偏光を出射させることが可能である。
【0022】
出射角θ1とプリズム頂角φとの相関関係は、出射角θ1が小さくなるほどプリズム頂角φは大きくなり、出射角θ1が大きくなるほどプリズム頂角φは小さくなる。各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が57.8°の場合、プリズム頂角φは30°にすればよい。また、各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が25.3°の場合、プリズム頂角φは90°にすればよい。
【0023】
以上に説明したように、実施の形態1にかかる光学デバイス100は、光源光21に含まれるP偏光を透過させると共に、光源光21に含まれるS偏光を反射させる反射型偏光層13と、反射型偏光層13に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13と平行かつ面接触した状態で設けられ、反射型偏光層13で反射された光に1/4波長の位相差を与える位相差層(λ/4層41)と、位相差層を透過した光を反射して位相差層に再度入射させる反射板50と、反射型偏光層13からP偏光が出射される側にて反射型偏光層13と平行かつ面接触した状態で設けられると共に、反射型偏光層13側の面とは反対の面に断面三角形状のプリズム11cが複数設けられたプリズム層11と、を備え、位相差層は、反射板50からの反射光に再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換し、プリズム層11に設けられた各プリズム11cは、位相差層から反射型偏光層13に向かう方向に凸となるプリズム頂部11dと、反射型偏光層13と平行に設けられ反射型偏光層13を透過したP偏光を取り込むプリズム底面11bと、プリズム頂部11dの両側に形成されプリズム底面11bから取り込まれたP偏光をプリズム層11の延設方向と垂直の方向に出射するプリズム斜面11aとを有するようにしたので、反射型偏光層13で反射された光が位相差層へ入射する際に部分反射が生じることがなく、また反射板50で反射され位相差層を透過した光が反射型偏光層13に入射する際にも部分反射が生じることがない。その結果、実施の形態1にかかる光学デバイス100によれば、上述した従来技術に比べて、光の利用効率を向上させることが可能である。
【0024】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2にかかる光学デバイス200の構成図である。実施の形態1にかかる光学デバイス100と異なる点は、反射板50の代わりに、シート化した反射シート(反射部)52が用いられている点である。以下、実施の形態1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0025】
図3に示される光学デバイス200は、プリズム層11と、反射型偏光層13と、λ/4層41(位相差層)と、反射シート52とを有して構成されている。
【0026】
反射シート52は、λ/4層41に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13と平行に設けられ、λ/4層41側の面に断面三角形状の複数のプリズム52cが設けられている。プリズム52cは、反射シート52が延在する方向に沿って配列されている。また反射シート52は、λ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる。
【0027】
反射シート52に設けられた各プリズム52cは、λ/4層41から反射型偏光層13に向かう方向に凸となるプリズム頂部52dと、光源光21を取り込む光源光入射面52bと、プリズム頂部52dの一方の斜面であって光源光入射面52bから取り込まれた光源光21をλ/4層41に向けて出射する光源光出射面52aと、プリズム頂部52dの他方の斜面であってλ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる反射面52eとを有する。
【0028】
光源光入射面52bは、反射型偏光層13の法線に直交する線と平行に設けられている。この線と反射面52eとの成す角は、この線と光源光出射面52aとの成す角に等しい値である。このように、各プリズム52cは、片側の斜面に反射面52eを有している。なお図3では、説明の便宜上、プリズム頂部52dがλ/4層41と離反した状態で示されているが、実際にはプリズム頂部52dがλ/4層41の表面に接触した状態で設けられているものとする。
【0029】
ここで、実施の形態2にかかる光学デバイス200では、出射角θ1が45°に設定され、プリズム頂角φ1が82°に設定され、プリズム52cの頂角(プリズム頂角φ2)が123.4°に設定されている。そのため、反射型偏光層13を透過したP偏光は、プリズム層11の延設方向と垂直の方向に出射される。
【0030】
次に光学デバイス200におけるP偏光およびS偏光の光路を図3に示される記号A〜Eを用いて説明する。(A)プリズム頂角φ1を82°とし、プリズム頂角φ2を123.4°とし、出射角θ1を45°とした場合、光源光21は、光源光入射面52bからプリズム52c内に入射する。プリズム52c内に取り込まれた光源光21は、光源光出射面52aに対して垂直に近い角度で出射される。光源光出射面52aから出射された光源光21は、λ/4層41を透過し、光源光21に含まれるP偏光は、反射型偏光層13を透過する。(B)光源光21に含まれるS偏光は、反射型偏光層13で反射される。(C)反射型偏光層13で反射された光は、λ/4層41に入射した後に反射面52eで反射されて再びλ/4層41を透過する。(D)この光は、λ/4層41を2度透過したことによりP偏光に変換され、変換されたP偏光は、反射型偏光層13に入射する。そして、光源光21に含まれるP偏光と、λ/4層41で変換されたP偏光とは、各々反射型偏光層13を透過し、プリズム底面11bからプリズム11c内に入射する。(E)プリズム11c内に入射した各P偏光は、プリズム斜面11aにて同方向(プリズム層11の延設方向と垂直の方向)に揃えられて出射される。
【0031】
実施の形態2にかかる光学デバイス200では、シート化された反射シート52がλ/4層41に近接して配置されている。この構成によって、デバイス全体の小型化および薄型化を図ることが可能である。特に、反射型偏光層13からプリズム頂部52dまでにおける厚みを減らすことができるため、実施の形態1にかかる光学デバイス100よりも小型化および薄型化を図ることが可能である。
【0032】
なお、実施の形態2の説明では、一例として出射角θ1を45°とした構成例を説明したが、出射角θ1を45°以外の値にした場合でも、出射角θ1の値に応じて、プリズム頂角φ1とプリズム頂角φ2の値を変更することで、プリズム層11の延設方向と垂直の方向にP偏光を出射させることが可能である。
【0033】
実施の形態2にかかる出射角θ1とプリズム頂角φ1との相関関係は、実施の形態1と同様に、出射角θ1が小さくなるほどプリズム頂角φ1は大きくなり、出射角θ1が大きくなるほどプリズム頂角φ1は小さくなる。
【0034】
出射角θ1とプリズム頂角φ2との相関関係は、出射角θ1が小さくなるほどプリズム頂角φ2は大きくなり、出射角θ1が大きくなるほどプリズム頂角φ2は小さくなる。各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が60°の場合、プリズム頂角φ1は65.4°、プリズム頂角φ2は108.9°にすればよい。また、各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が30°の場合、プリズム頂角φ1は107°、プリズム頂角φ2は140.8°にすればよい。
【0035】
以上に説明したように、実施の形態2にかかる光学デバイス200は、プリズム層11と、反射型偏光層13と、λ/4層41と、反射シート52とを有し、反射シート52は、λ/4層41に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13と平行に設けられ、λ/4層41側の面に断面三角形状の複数のプリズム52cが設けられ、反射シート52に設けられた各プリズム52cは、λ/4層41から反射型偏光層13に向かう方向に凸となるプリズム頂部52dと、光源光21を取り込む光源光入射面52bと、プリズム頂部52dの一方の斜面であって光源光入射面52bから取り込まれた光源光21をλ/4層41に向けて出射する光源光出射面52aと、プリズム頂部52dの他方の斜面であってλ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる反射面52eとを有するようにしたので、上述した従来技術よりも光の利用効率を向上させることができると共に、実施の形態1にかかる光学デバイス100よりも小型化および薄型化を図ることが可能である。
【0036】
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3にかかる光学デバイス300の構成図である。実施の形態2にかかる光学デバイス200と異なる点は、反射シート(反射部)53を反射シート52の代わりに用いている点である。以下、実施の形態1、2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0037】
図4に示される光学デバイス300は、プリズム層11と、反射型偏光層13と、λ/4層41(位相差層)と、反射シート53とを有して構成されている。
【0038】
反射シート53は、λ/4層41に光源光21が入射する側にて反射型偏光層13と平行に設けられ、λ/4層41側の面に断面三角形状の複数の第1のプリズム54cが設けられ、λ/4層41側の面とは反対の面に断面三角形状の複数の第2のプリズム53cが設けられている。また反射シート53は、λ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる。
【0039】
第1のプリズム54cは、λ/4層41から反射型偏光層13に向かう方向に凸となる第1のプリズム頂部54d(第1の頂部)と、第1のプリズム頂部54dの一方の斜面であって第1のプリズム54c内に取り込まれた光源光21をλ/4層41に向けて出射する光源光出射面54aと、第1のプリズム頂部54dの他方の斜面であってλ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる反射面54eとを有する。
【0040】
反射型偏光層13の法線に直交する線と、反射面54eとの成す角は、この線と光源光出射面54aとの成す角に等しい値である。このように、各第1のプリズム54cは、片側の斜面に反射面54eを有している。なお、図4では、説明の便宜上、第1のプリズム頂部54dがλ/4層41と離反した状態で示されているが、実際には第1のプリズム頂部54dがλ/4層41の表面に接触した状態で設けられているものとする。
【0041】
第2のプリズム53cは、反射型偏光層13からλ/4層41に向かう方向に凸となる第2のプリズム頂部53d(第2の頂部)と、この第2のプリズム頂部53dの一方の斜面であって光源光21を取り込む光源光入射面53bと、第2のプリズム頂部53dの他方の斜面であるプリズム斜面53aとを有する。
【0042】
ここで、実施の形態3にかかる光学デバイス300では、プリズム頂角φ2が90°に設定され、反射型偏光層13の法線に直交する線と光源光入射面53bとの成す角θ3(以下単に「角θ3」と称する)が10°に設定され、この線とプリズム斜面53aとの成す角θ4(以下単に「角θ4」と称する)が45°に設定され、第2のプリズム53cの頂角(プリズム頂角φ3)が125°に設定されている。そのため、光学デバイス300では、出射角θ1が例えば68.7°の光源光21を取り込み、P偏光をプリズム層11の延設方向と垂直の方向に出射することが可能である。
【0043】
次に光学デバイス300におけるP偏光およびS偏光の光路を図4に示される記号A〜Eを用いて説明する。(A)例えば、出射角θ1=68.7°の角度で光源光21を反射シート53に入射させたとき、光源光21は、光源光入射面53bから第2のプリズム53c内に入射する。第2のプリズム53c内に取り込まれた光源光21は、第1のプリズム54cを経由して光源光出射面54aに対してほぼ垂直に出射される。光源光出射面54aから出射された光源光21は、λ/4層41を透過し、光源光21に含まれるP偏光は、反射型偏光層13を透過する。(B)光源光21に含まれるS偏光は、反射型偏光層13で反射される。(C)反射型偏光層13で反射された光は、λ/4層41に入射した後に反射面54eで反射されて再びλ/4層41を透過する。(D)この光は、λ/4層41を2度透過したことによりP偏光に変換され、変換されたP偏光は、反射型偏光層13に入射する。そして、光源光21に含まれるP偏光と、λ/4層41で変換されたP偏光とは、各々反射型偏光層13を透過し、プリズム底面11bからプリズム11c内に入射する。(E)プリズム11c内に入射した各P偏光は、プリズム斜面11aにて同方向(プリズム層11の延設方向と垂直の方向)に揃えられて出射される。
【0044】
実施の形態3では、シート化された反射シート53がλ/4層41に近接して配置されているため、実施の形態1に比べてデバイス全体の小型化および薄型化を図ることが可能である。さらに、実施の形態3では、各プリズムの角度(プリズム頂角φ3、角θ3、角θ4など)を光源光21の出射角θ1に応じて変更することができるため、実施の形態2に比べて光の利用効率を高めることが可能である。
【0045】
図5は、図4に示される出射角θ1とプリズム頂角θ3との相関関係を説明するための図である。上記説明では、一例として出射角θ1を68.7°とした構成例を説明したが、出射角θ1を68.7°以外の値にした場合でも、出射角θ1の値に応じて、角θ3を変更させることで、プリズム11c内に入射したP偏光をプリズム層11の延設方向と垂直の方向に出射させることが可能である。
【0046】
出射角θ1と角θ3との相関関係は、出射角θ1が小さくなるほど角θ3は大きくなり、出射角θ1が大きくなるほど角θ3は小さくなる。より具体的には、各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が50°の場合、角θ3は35°になる。また、各部材の屈折率が約1.49であり、かつ、出射角θ1が78.3°の場合、角θ3は5°になる。出射角θ1と角θ3との間には、このような相関関係があるため、光学デバイス300は、出射角θ1の様々な角度にも柔軟に対応することができる。
【0047】
また、実施の形態3では、角θ4が、光源光入射面53bに入射して光源光出射面54aへ向かう光とプリズム斜面53aとが平行になる角度に設定される。このようにすることで、光源光入射面53bに入射した光を、プリズム斜面53aで反射されることなく光源光出射面54aから出射させることができる。
【0048】
以上に説明したように、実施の形態3にかかる光学デバイス300は、反射シート53は、λ/4層41に光源光21が入射する側にて反射型偏光層と平行に設けられ、λ/4層41側の面に断面三角形状の複数の第1のプリズム54cが設けられ、λ/4層41側の面とは反対の面に断面三角形状の複数の第2のプリズム53cが設けられ、第1のプリズム54cは、λ/4層41から反射型偏光層13に向かう方向に凸となる第1のプリズム頂部54dと、第1のプリズム頂部54dの一方の斜面であって第1のプリズム54c内に取り込まれた光源光21をλ/4層41に向けて出射する光源光出射面54aと、第1のプリズム頂部54dの他方の斜面であってλ/4層41を透過した光を反射してλ/4層41に再度入射させる反射面54eとを有し、第2のプリズム53cは、反射型偏光層13からλ/4層41に向かう方向に凸となる第2のプリズム頂部53dと、この第2のプリズム頂部53dの一方の斜面であって光源光21を取り込む光源光入射面53bと、第2のプリズム頂部53dの他方の斜面であるプリズム斜面53aとを有するようにしたので、実施の形態1に比べてデバイス全体の小型化および薄型化を図ることができると共に、実施の形態2に比べて光の利用効率を高めることが可能である。
【0049】
図6は、液晶表示装置のバックライトユニットに実施の形態2、3にかかる光学デバイス200、300を適用した例を示す図である。図6には、バックライトユニットの構成部である、光学デバイス200、300と、端部に設けられた光源から出射された光源光を導光しその光源光を光学デバイス200、300へ出射する導光部20と、光学デバイス200、300の出射面側に配置される液晶パネル30とが示されている。
【0050】
図3、4に示される反射シート52、53は、導光部20と対向する面に設けられ、図3、4に示されるプリズム層11は、液晶パネル30と対向する面に設けられている。このように、液晶表示装置のバックライトユニットに光学デバイス200、300を適用することによって、液晶パネル30と導光部20との間における厚みを減らすことができるため、バックライトユニットの更なる小型化および薄型化を図ることが可能である。
【0051】
なお、実施の形態1〜3では、プリズム層11、反射型偏光層13、およびλ/4層41などの各部材の屈折率を約1.49とした場合の構成例を説明したが、前述した相関関係が成り立つように構成すれば、各部材の屈折率は、他の値であってもよい。
【0052】
また、実施の形態1〜3にかかる光学デバイス100〜300は、例えば偏光顕微鏡にも適用可能である。
【0053】
また、実施の形態1〜3に示した光学デバイス100〜300は、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは無論である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明は、光学デバイスに適用可能であり、特に、バックライト光源部から表示部に入射する光の利用効率を向上させることができる発明として有用である。
【符号の説明】
【0055】
11 プリズム層
11a、53a プリズム斜面
11b プリズム底面
11c、52c プリズム
11d、52d プリズム頂部
13 反射型偏光層
20 導光部
21 光源光
30 液晶パネル
41 λ/4層(位相差層)
50 反射板(反射部)
52、53 反射シート(反射部)
52a、54a 光源光出射面
52b、53b 光源光入射面
52e、54e 反射面
53c 第2のプリズム
53d 第2のプリズム頂部
54c 第1のプリズム
54d 第1のプリズム頂部
100、200、300 光学デバイス
θ1 反射型偏光板の法線に対する光源光の出射角
θ3 反射型偏光層の法線に直交する線と光源光入射面との成す角
θ4 反射型偏光層の法線に直交する線とプリズム斜面との成す角
φ、φ1、φ2、φ3 プリズム頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射された光源光に含まれるP偏光を透過させると共に、前記光源光に含まれるS偏光を反射させる反射型偏光層と、
前記反射型偏光層に前記光源光が入射する側にて前記反射型偏光層と平行かつ面接触した状態で設けられ、前記反射型偏光層で反射された光に1/4波長の位相差を与える位相差層と、
前記位相差層を透過した光を反射して前記位相差層に再度入射させる反射部と、
前記反射型偏光層からP偏光が出射される側にて前記反射型偏光層と平行かつ面接触した状態で設けられると共に、前記反射型偏光層側の面とは反対の面に断面三角形状のプリズムが複数設けられたプリズム層と、
を備え、
前記位相差層は、前記反射部からの反射光に再度1/4波長の位相差を与えてP偏光に変換し、
前記プリズム層に設けられた各プリズムは、前記位相差層から前記反射型偏光層に向かう方向に凸となる頂部と、前記反射型偏光層と平行に設けられ前記反射型偏光層を透過したP偏光を取り込む底面と、前記頂部の両側に形成され前記底面からプリズム内に取り込まれたP偏光を前記プリズム層の延設方向と垂直の方向に出射する斜面と、を有することを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
前記反射部は、前記位相差層に前記光源光が入射する側にて前記反射型偏光層と平行に設けられ、前記位相差層側の面に断面三角形状の複数のプリズムが設けられ、
前記反射部に設けられた各プリズムは、前記光源光を取り込む光源光入射面と、前記位相差層から前記反射型偏光層に向かう方向に凸となる頂部と、この頂部の一方の斜面であって前記光源光入射面から取り込まれた光源光を前記位相差層に向けて出射する光源光出射面と、この頂部の他方の斜面であって前記位相差層を透過した光を反射して前記位相差層に再度入射させる反射面とを有することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記プリズム層に設けられた各プリズムの頂部の角度は、前記反射型偏光層の法線に対する前記光源光の出射角が、大きいほど小さく、かつ、小さいほど大きくなることを特徴とする請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記反射部は、前記位相差層に前記光源光が入射する側にて前記反射型偏光層と平行に設けられ、前記位相差層側の面に断面三角形状の複数の第1のプリズムが設けられ、前記位相差層側の面とは反対の面に断面三角形状の複数の第2のプリズムが設けられ、
前記第1のプリズムは、前記位相差層から前記反射型偏光層に向かう方向に凸となる第1の頂部と、前記第1の頂部の一方の斜面であって前記第1のプリズム内に取り込まれた光源光を前記位相差層に向けて出射する光源光出射面と、前記第1の頂部の他方の斜面であって前記位相差層を透過した光を反射して前記位相差層に再度入射させる反射面とを有し、
前記第2のプリズムは、前記反射型偏光層から前記位相差層に向かう方向に凸となる第2の頂部と、この第2の頂部の一方の斜面であって前記光源光を取り込む光源光入射面と、前記第2の頂部の他方の斜面とを有することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記反射型偏光層の法線と直交する線と前記光源光入射面との成す角は、前記反射型偏光層の法線に対する前記光源光の出射角が、大きいほど小さく、かつ、小さいほど大きくなることを特徴とする請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記反射型偏光層の法線と直交する線と前記他方の斜面との成す角は、前記光源光入射面に入射して前記光源光出射面へ向かう光と前記他方の斜面とが平行になる角度に設定されていることを特徴とする請求項4または5に記載の光学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181955(P2012−181955A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42664(P2011−42664)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(503354044)財団法人21あおもり産業総合支援センター (27)
【Fターム(参考)】