説明

光学フィルムの製造方法

【課題】 工程数が少なく、かつ、異物の混入が低減された、生産性の高いnx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層を含む光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 複屈折層を含む光学フィルムの製造方法であって、収縮性フィルム上に、厚み方向の複屈折率(Δnxz)が0.0007以上の非液晶材料を含む複屈折層形成材料を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させることにより、nx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層を形成する複屈折層形成工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの製造方法、光学フィルム、積層偏光板および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパソコン、液晶テレビ等の種々の画面表示に複屈折性を利用した高コントラストな液晶表示装置(LCD)が使用されている。近年、LCDは、高精細化が進み、用途も多岐にわたっている。それに伴い、LCDには、視野角の拡大等の表示品質の向上が求められている。前記視野角の拡大には、例えば、nx>nz>nyの屈折率分布を有する光学フィルムが用いられる。前記光学フィルムの製造方法として、樹脂フィルムの片面または両面に、アクリル系粘着剤等を介して収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、前記積層体を加熱延伸処理するとともに、前記延伸方向と直交する方向に収縮力を付与する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−157911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記製造方法は、樹脂フィルムの製造工程、収縮性フィルムへの粘着剤の塗工工程、樹脂フィルムと収縮性フィルムとの貼り合せ工程、延伸収縮工程、収縮性フィルムの剥離工程と、多くの工程を必要とし、生産性が低い。また、前記製造方法では、前記貼り合せ工程において、貼り合せ不良や異物混入が生じ、より生産性が低下する。そして、前記製造方法では、前記剥離工程において、糊残りが生じ、より生産性が低下する。さらに、前記製造方法では、粘着特性の不良、例えば、粘着力の不均一性や剥れによって配向性不良が生じ、光学フィルムの品質が低下する。
【0005】
そこで、本発明は、工程数が少なく、かつ、異物の混入が低減された、生産性の高いnx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層を含む光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の光学フィルムの製造方法は、
複屈折層を含む光学フィルムの製造方法であって、
収縮性フィルム上に、下記式で表される厚み方向の複屈折率(Δnxz)が0.0007以上の非液晶性材料を含む複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させることにより、nx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層を形成する複屈折層形成工程とを含むことを特徴とする。

Δnxz=nx’−nz’
nx’:前記非液晶性材料を固化層としたときの層の面内で屈折率が最大となる方向(遅相軸方向)の屈折率
nz’:前記nx’の方向および前記固化層の面内で前記nx’の方向と直交する方向(進相軸方向)の各方向に対し直交する前記固化層の厚み方向の屈折率

nx:前記複屈折層の面内で屈折率が最大となる方向(遅相軸方向)の屈折率
ny:前記複屈折層の面内で前記nxの方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率
nz:前記nxおよび前記nyの各方向に対し直交する前記複屈折層の厚み方向の屈折率

【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法では、収縮性フィルム上に、粘着剤等を介することなく、複屈折層形成材料を直接塗布する。このため、本発明によれば、従来の製造方法における樹脂フィルムと収縮性フィルムとの貼り合せ工程がなくなり、生産性が高まる。さらに、本発明によれば、前記貼り合せ工程がないため、貼り合せ不良や異物の混入が低減され、より生産性が高まる。また、本発明によれば、粘着特性の不良による配向不良も生じないため、高品質の光学フィルムを提供することができる。なお、本発明によれば、複屈折発現性が高いため、複屈折層を薄くすることができ、かつ、収縮性フィルム上に、粘着剤等を介することなく、複屈折層形成材料を直接塗布するため、光学フィルムの薄型化が可能であるという付随的効果を奏する。また、本発明によれば、工程数が少なく、異物の混入も低減することから、配向軸精度の高い光学フィルムが得られるという付随的効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の光学フィルムの構成の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、異物が混入した光学フィルムを示す写真である。
【図3】図3は、輝点が観測された積層偏光板を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
前記複屈折率(Δnxz)の定義において、前記固化層は、例えば、基材上に、前記非液晶性材料を溶剤に溶解した溶液を直接塗布して形成された塗膜を固化することにより延伸および収縮なしで形成した層を意味し、その厚みは何ら制限されない。前記複屈折率(Δnxz)は、0.0007以上であり、好ましくは、0.0007〜0.05の範囲であり、より好ましくは、0.001〜0.04の範囲である。
【0010】
本発明の製造方法において、前記非液晶性材料が、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリビニルアルコール、ポリフマル酸エステル、ポリエーテルサルフォンおよびポリサルフォンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0011】
本発明の製造方法において、前記ポリアリレートが、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【化1】

前記式(I)において、
AおよびBは、それぞれ、置換基を表し、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、AおよびBは同一でも異なっていてもよく、
aおよびbは、対応するAおよびBの置換数を表し、それぞれ、1〜4の整数であり、
Dは、共有結合、CH基、C(CH基、C(CZ基(ここで、Zはハロゲン原子である)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CHCH基、N(CH)基であり、
R1は、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、
R2は、炭素原子数2〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、
R3、R4、R5およびR6は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、R3、R4、R5およびR6は同一でも異なっていてもよいが、R3、R4、R5およびR6の全てが水素原子であることはなく、
p1は、0〜3の整数であり、
p2は、1〜3の整数であり、
nは、2以上の整数である。
【0012】
本発明の製造方法において、前記複屈折層形成工程における前記塗膜の収縮倍率が、0.50〜0.99倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは、0.60〜0.98倍の範囲であり、さらに好ましくは、0.75〜0.95倍の範囲である。
【0013】
本発明の製造方法では、前記複屈折層形成工程において、前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させ、かつ、前記収縮方向と直交する方向に前記収縮性フィルムと前記塗膜との積層体を延伸してもよい。この場合において、前記積層体の延伸倍率は、1.01〜3.0倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.05〜2.0倍の範囲であり、さらに好ましくは、1.10〜1.50倍の範囲である。
【0014】
本発明において、「直交」は、実質的に直交している場合を含み、前記実質的に直交している場合とは、例えば、90°±2°の範囲であり、好ましくは、90°±1°の範囲である。
【0015】
本発明の製造方法において、前記収縮性フィルムが、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアクリル、アセテート樹脂、ポリアリレート、ポリビニルアルコールおよび液晶ポリマーからなる群から選択される少なくとも一種の形成材料から形成された延伸フィルムであることが好ましい。
【0016】
本発明の製造方法では、前記複屈折層形成工程において、加熱により、前記収縮性フィルムを収縮させることが好ましい。
【0017】
本発明の製造方法において、前記複屈折層の厚みを、20μm以下とすることが好ましい。前記厚みは、1μm〜20μmの範囲とすることがより好ましく、3μm〜15μmの範囲とすることがさらに好ましい。
【0018】
本発明の光学フィルムは、複屈折層を含む光学フィルムであって、
前記複屈折層が、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を含み、
前記複屈折層の正面位相差が、100〜500nmの範囲であることを特徴とする。
【0019】
本発明の光学フィルムにおいて、前記複屈折層の正面位相差は、好ましくは、100〜300nmの範囲であり、より好ましくは、130〜290nmの範囲である。前記正面位相差は、前記複屈折層の面内で屈折率が最大となる方向(遅相軸方向)の屈折率をnx、前記複屈折層の面内で前記nxと直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、前記複屈折層の厚みをd(nm)としたとき、(nx−ny)×dにより算出される。
【0020】
本発明の積層偏光板は、偏光板と、光学フィルムとを含む積層偏光板であって、前記光学フィルムが、前記本発明の光学フィルムであり、
前記偏光板の吸収軸と前記光学フィルムの遅相軸とが直交または平行であることを特徴とする。
【0021】
本発明の画像表示装置は、積層偏光板を含む画像表示装置であって、前記積層偏光板が、前記本発明の積層偏光板であることを特徴とする。
【0022】
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
【0023】
本発明の光学フィルムは、収縮性フィルム上に、複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成し、前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させることにより製造される。
【0024】
前記収縮性フィルムの形成材料としては、特に制限されないが、後述の収縮処理に適していることから、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアクリル、アセテート樹脂、ポリアリレート、ポリビニルアルコール、およびこれらの混合物等があげられる。また、液晶ポリマー等も使用できる。前記収縮性フィルムは、1種または2種以上の前記形成材料から形成された一軸または二軸の延伸フィルムであることが好ましい。前記収縮性フィルムは、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、東洋紡績(株)製の「スペースクリーン」、グンゼ(株)製の「ファンシーラップ」、東レ(株)製の「トレファン」、東レ(株)製の「ルミラー」、JSR(株)製の「アートン」、日本ゼオン(株)製の「ゼオノア」、旭化成(株)製の「サンテック」等があげられる。
【0025】
前記収縮性フィルムの厚みは、特に制限されないが、例えば、10〜300μmの範囲であり、好ましくは、20〜200μmの範囲であり、より好ましくは、40〜150μmの範囲である。前記収縮性フィルムの表面には、前記複屈折層との密着性向上等を目的に、表面処理を施してもよい。前記表面処理としては、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的または物理的処理があげられる。また、前記収縮性フィルムの表面には、下塗り剤(例えば、粘着物質)の塗布によるプライマー層が形成されていてもよい。
【0026】
前記複屈折層形成材料は、前記複屈折率(Δnxz)が0.0007以上の非液晶性材料を含む。
【0027】
前記非液晶性材料としては、例えば、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリビニルアルコール、ポリフマル酸エステル、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、およびこれらの混合物等があげられる。
【0028】
前述のとおり、前記ポリアリレートは、前記式(I)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0029】
前記式(I)において、前記無置換アリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、トリフェニルフェニル基等があげられる。また、前記置換アリール基としては、前記無置換アリール基の水素原子のうち1つ以上が、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、フェニル基に置換されたもの等があげられる。また、前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等があげられる。
【0030】
前記式(I)において、R1がメチル基であり、かつ、R2が炭素原子数2〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であることが好ましく、R2がエチル基またはイソブチル基であることが特に好ましい。このような態様であれば、トルエンやキシレン等の低極性溶剤への溶解性に優れるとともに、複屈折の発現性が高く、耐熱性に優れる(ガラス転移温度が高い)。
【0031】
前記式(I)において、R3、R4、R5およびR6の少なくとも一つが炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であることが好ましく、R3、R4、R5およびR6の全てが炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であることがより好ましく、R3、R4、R5およびR6の全てがメチル基であることが特に好ましい。この場合には、R2は、メチル基であってもよい。
【0032】
本発明において、前記ポリアリレートは、環境負荷低減の観点から、化学構造中にハロゲン原子を有さない非ハロゲン化ポリアリレートであることが好ましい。前記ポリアリレートは、前述のとおり、R1〜R6を特定の組み合わせとすることで、化学構造中にハロゲン原子を含まずとも、溶剤に対する高い溶解性を有し得る。
【0033】
前記ポリアリレートは、前記式(I)において、A、B、D、R1〜R6、p1、p2およびnが異なる2種以上のモノマー単位を有するもの、すなわち、共重合体であってもよい。
【0034】
また、溶剤に対する溶解性と複屈折発現性を両立する観点からは、前記式(I)において、Dが共有結合であり、p1=0、p2=1であること、すなわち、前記ポリアリレートが、下記一般式(II)で表される構造を有することが好ましい。さらに、酸成分としてテレフタル酸誘導体を用いた下記一般式(III)で表されるものや、下記一般式(IV)で表されるテレフタル酸誘導体とイソフタル酸誘導体とを用いた共重合体の構造を有するものが好ましい。特に、汎用溶剤に対する溶解性の観点からは、下記一般式(IV)で表される構造を有する共重合体が好ましい。
【化2】

【化3】

【化4】

【0035】
なお、前記式(II)〜(IV)において、B、R1〜R6およびbは、前記式(I)と同様であり、B’、R7、R8、R9〜R12およびb’は、それぞれ、B、R1、R2、R3〜R6およびbと同様であり、n、l、mは、いずれも2以上の整数である。また、前記式(IV)においては、便宜上、前記ポリアリレートをブロック共重合体として表しているが、これに限定されず、ランダム共重合体であってもよい。
【0036】
前記式(IV)で表されるポリアリレートにおいて、酸成分のうちテレフタル酸誘導体由来構造の含有率、すなわち、l/(l+m)は、0.3以上であることが好ましい。l/(l+m)を前記範囲とすれば、複屈折の発現性がより高く、耐熱性により優れる。l/(l+m)は、より好ましくは、0.5以上であり、さらに好ましくは、0.6以上である。
【0037】
前記ポリアリレートにおいて、前記式(I)〜(IV)で表される構造の含有率は、特に制限されないが、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、75モル%以上であり、さらに好ましくは、80モル%以上である。
【0038】
前記ポリアリレートの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(ポリスチレン標準)で測定した値が、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。Mwを前記範囲とすることで、溶剤溶解性等の作業性に優れるとともに、高強度で、高温環境における光学特性の変化が抑制された光学フィルムを得ることができる。Mwは、より好ましくは、5,000〜1,000,000の範囲であり、さらに好ましくは、10,000〜500,000の範囲であり、最も好ましくは、50,000〜350,000の範囲である。
【0039】
前記ポリアリレートのガラス転移温度は、特に制限されないが、耐熱性の観点から、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは、120℃以上であり、さらに好ましくは、150℃以上である。また、成型性、加工性の観点から、前記ガラス転移温度は、300℃以下であることが好ましく、より好ましくは、250℃以下である。
【0040】
前記ポリアリレートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用い得る。一般的には、前記ポリアリレートは、ビスフェノール化合物とジカルボン酸若しくはその誘導体を重縮合させることで製造される。
【0041】
前記重縮合法としては、例えば、脱酢酸による溶融重縮合法、脱フェノールによる溶融重縮合法、ビスフェノール化合物とジカルボン酸クロライドとを有機塩基の存在下、有機溶媒系で反応させる脱塩酸均一重合法、ビスフェノール化合物とジカルボン酸クロライドとをアルカリ水溶液と水非混和性有機溶媒の2相系で反応させる界面重縮合法、ビスフェノール化合物とジカルボン酸とを用い、縮合剤を用いて反応系中で活性中間体を生成させる直接重縮合法等があげられる。これらの中でも、透明性、耐熱性の向上および高分子量化の観点から、界面重縮合法が好ましい。
【0042】
前記界面重縮合法によって前記ポリアリレートを製造する場合には、モノマー(ビスフェノール化合物およびジカルボン酸クロライド)、有機溶媒、アルカリ、触媒等を用いる。
【0043】
前記ビスフェノール化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等があげられる。
【0044】
前記ジカルボン酸クロライドとしては、例えば、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、フタル酸クロライド、4,4’−ジフェニルジカルボン酸クロライド等の無置換芳香族クロライド、およびこれらに前記式(I)におけるAおよびBの例として示した置換基等を有するもの等があげられる。
【0045】
前記有機溶媒としては、特に制限されないが、水との混和性が低く、かつ、前記ポリアリレートを溶解するものが好ましく、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、またはアニソール等が好適に使用される。また、これらの溶剤を2種以上混合して用いてもよい。
【0046】
前記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等があげられる。前記アルカリの使用量は、例えば、前記ビスフェノール化合物の2〜5モル倍(1〜2.5モル当量)である。
【0047】
前記触媒としては、相間移動触媒を用いることが好ましく、例えば、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、テトラフェニルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルホスホニウムクロライド等の第4級ホスホニウム塩、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロへキシル−18−クラウン−6等のポリエチレンオキサイド化合物等を用いることができる。これらの中でも、反応後の除去等の取り扱い易さの点で、テトラアルキルアンモニウムハライド類が好適に用いられる。また、その他、必要に応じて、酸化防止剤、分子量調整剤等を任意で使用できる。
【0048】
前記ポリアリレートの分子量を調整する方法としては、例えば、水酸基とカルボキシル基の官能基比を変えて反応させる方法や、分子量調整剤として、一官能の物質を反応時に添加する方法等があげられる。前記分子量調整剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の一価アルコール類等があげられる。また、重縮合反応後に一価酸クロライドを反応させることで末端フェノールを封止でき、フェノールの酸化による着色を抑制できる。また、重縮合反応中に酸化防止剤を併用してもよい。
【0049】
前記界面重縮合法を用いる場合、重縮合反応後は、水相および有機相の混合状態であり、ポリアリレート、有機溶媒、水以外に、触媒や残存モノマー等の不純物が含まれる。前記ハロゲン系溶剤を用いて前記界面重縮合法を実施した場合、一般的に、水溶性不純物を除去する方法として、水相を分離、除去する分液操作を繰り返して水洗する方法が取られる。また、水洗後、必要に応じて、アセトン、メタノール等の前記ポリアリレートの貧溶媒となる水混和性有機溶媒を用いて再沈殿を行ってもよい。前記再沈殿を行うことで、脱水、脱溶媒ができ、前記ポリアリレートを粉体として取り出すことが可能となり、さらに、ビスフェノール化合物等のような疎水性不純物も低減できる。前記水混和性有機溶媒としては、水との相溶性が低く、かつ、前記ポリアリレートを0.5重量%以上溶解しない溶媒を用いることが好ましい。また、加熱乾燥により容易に除去可能という点において、前記水混和性有機溶媒の沸点は、120℃以下であることが好ましい。このような水混和性有機溶媒の好ましい例としては、前記ポリアリレートの種類により溶解性が異なるため一概には言えないが、例えば、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等があげられる。
【0050】
界面重縮合反応時のモノマー仕込み濃度、および後処理時のポリアリレート濃度は、高いほど、生産性に優れており、好ましい。水相および有機相も含めた反応後の総液量に対するポリアリレート量は、1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは、3重量%以上であり、さらに好ましくは、5重量%以上である。
【0051】
反応温度は、特に制限されないが、好ましくは、−5〜50℃の範囲である。反応温度が前記範囲であれば、反応中の粘度、温度の調整が容易であり、加水分解や酸化着色等の副反応も少なくなる。反応温度は、より好ましくは、5〜35℃の範囲であり、さらに好ましくは、10〜30℃の室温付近である。
【0052】
また、副反応を抑制するために、重縮合反応に伴う発熱を考慮して、予め温度を低く設定しておくことも可能であり、反応を徐々に進めるためにアルカリやジカルボン酸クロライドを徐々に添加することもできる。このようなアルカリやジカルボン酸クロライドの添加は、10分未満等短時間で行ってもよいが、発熱を抑制するために10〜120分かけて添加することが好ましく、15〜90分かけて添加することがより好ましい。また、酸化着色の抑制を目的に、窒素等の不活性ガス雰囲気下で反応を進行させることが好ましい。
【0053】
アルカリやジカルボン酸クロライドを添加した後の反応時間は、モノマーの種類やアルカリの使用量、アルカリの濃度等により異なるため一概には言えないが、例えば、10分〜10時間の範囲であり、好ましくは、30分〜5時間の範囲であり、より好ましくは、1〜4時間の範囲である。
【0054】
このようにして得られたポリアリレートは、界面重縮合反応を終了した後、分液、水洗を行い、そのまま樹脂溶液として用いてもよく、貧溶媒を用いて粉体化して用いてもよい。また、環境負荷の観点から、前記ポリアリレートのハロゲン系溶剤含有量は、1000ppm(0.1重量%)以下であることが好ましく、より好ましくは、300ppm(0.03重量%)以下であり、さらに好ましくは、100ppm(0.01重量%)以下であり、特に好ましくは、50ppm(0,005重量%)以下である。前記ポリアリレートは、溶剤溶解性に優れ、ハロゲン系溶剤以外の溶剤にも可溶であることから、重縮合反応時にハロゲン系溶剤以外の溶剤(例えば、トルエン、シクロヘキサン、アニソール等)を用いることで、前記ポリアリレート中のハロゲン系溶剤含有量を減少させることも可能である。
【0055】
前記複屈折層形成材料は、さらに、前記非液晶性材料を溶解する溶媒を含むことが好ましい。前記溶媒としては、前記非液晶性材料の種類に応じて、適宜決定できるが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等があげられる。前記溶媒は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0056】
特に、環境負荷低減の観点から、前記溶媒として非ハロゲン系のものを用いることが好ましく、芳香族炭化水素類や、ケトン類、エステル類等を好適に用いることができ、中でも、トルエン、キシレン、シクロペンタノンを用いることが好ましく、トルエンを用いることが最も好ましい。また、前記非ハロゲン系溶媒を含む混合溶媒も好適に使用できる。前記混合溶媒を用いる場合には、全体の50重量%以上の割合で前記非ハロゲン系溶媒を含有することが好ましく、より好ましくは、全体の80重量%以上の割合で前記非ハロゲン系溶媒を含有することである。中でも、全体の50重量%以上の割合でトルエンを含有することが好ましく、より好ましくは、全体の80重量%以上の割合でトルエンを含有することである。この場合において、トルエン以外の溶媒としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン、MIBK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を用いることができる。前記非液晶性材料として前記ポリアリレートを用いた場合には、前記ポリアリレートは溶剤溶解性に優れるため、これらの低極性の溶媒にも可溶である。
【0057】
前記複屈折層形成材料の調製方法は、特に限定されず、公知の方法を用い得るが、例えば、前記溶媒の撹拌下に、粉末状、またはペレット状若しくはタブレット状等に成型した前記非液晶性材料を所望の濃度となるまで徐々に加えて溶解させる方法を用いることができる。
【0058】
前記複屈折層形成材料における前記非液晶性材料の濃度は、特に制限されないが、例えば、塗布に適した粘度とするために、1〜30重量%とすることが好ましく、より好ましくは、1〜20重量%である。ここで、「塗布に適した粘度」とは、塗布時にスジ状の塗工ムラ等の欠陥が生じない程度に流動性を有する粘度をいう。前記粘度は、前記収縮性フィルムの種類や塗布速度、塗布厚み等により異なるため一概には言えないが、例えば、400mPa・秒以下であることが好ましい。光学フィルムの厚みが20μm以下の場合には、スジ状の欠陥が生じやすい傾向にあるので、粘度を前記範囲とすることが特に好ましい。粘度は、300mPa・秒以下であることがより好ましい。また、光学フィルムを所望の厚みに調整し易いため、粘度は、1mPa・秒以上であることが好ましい。なお、ここでいう粘度は、25℃での測定値をさす。
【0059】
前記複屈折層形成材料は、必要に応じて、さらに、添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、光学異方性調節剤、可塑剤、赤外線吸収剤、フィラー等があげられる。前記添加剤は、固体であっても、液体であってもよい。すなわち、前記添加剤は、その融点や沸点において特に限定されるものではない。
【0060】
前記収縮性フィルム上に、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成する。前記複屈折層形成材料の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等があげられる。また、前記塗布に際しては、必要に応じて、多層コーティングを採用することもできる。
【0061】
つぎに、前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させる。前記収縮に先立ち、または前記収縮と併行して、前記塗膜を乾燥させることが好ましい。前記乾燥は、例えば、自然乾燥であってもよいし、風を吹き付けての風乾であってもよいし、加熱乾燥であってもよいし、これらを組み合わせた方法であってもよい。乾燥条件は、前記収縮性フィルムの種類、前記非液晶性材料および前記溶媒の種類、前記非液晶性材料の濃度等に応じて適宜決定できるが、乾燥温度が、例えば、25〜300℃の範囲であり、好ましくは、50〜200℃の範囲であり、さらに好ましくは、60〜180℃の範囲である。なお、前記乾燥は、一定温度で行ってもよいし、段階的に温度を上昇または下降させながら行ってもよく、前記収縮に先立って実施するときは、前記収縮性フィルムの収縮が起こらない温度条件で実施することが好ましい。また、乾燥時間も、特に制限されないが、例えば、10秒〜60分の範囲であり、好ましくは、30秒〜30分の範囲である。
【0062】
ついで、加熱処理を施すことによって、前記収縮性フィルムを収縮させる。前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させることにより、nx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層が形成される。前記加熱処理の条件としては、特に制限されず、前記収縮性フィルムの種類等に応じて適宜決定できるが、例えば、加熱温度は、25〜300℃の範囲であり、好ましくは、50〜200℃の範囲であり、より好ましくは、60〜180℃の範囲である。前記塗膜の収縮倍率および前記複屈折層の厚みは、前述のとおりである。
【0063】
前述のとおり、本発明では、前記塗膜を収縮させることで、nx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層が形成される。この際、前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させ、かつ、前記収縮方向と直交する方向に前記収縮フィルムと前記塗膜との積層体を延伸してもよい。前記収縮および延伸は、別個に実施してもよいが、同時に実施することが好ましい。同時に実施することで、前記収縮および延伸により発現した配向性を緩和させることなく維持できる。この場合、前記収縮性フィルムの幅方向(TD方向)に延伸し、前記収縮性フィルムの長手方向(MD方向)に収縮させることが好ましい。前記積層体を延伸する手段としては、ロール延伸機、テンター延伸機、および二軸延伸機等の任意の適切な延伸機が用いられる。前記積層体の延伸倍率は、前述のとおりである。
【0064】
以上のようにして、前記収縮性フィルム上に、nx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層を形成することができる。本発明の光学フィルムは、前記収縮性フィルムを搬送しながら連続生産で製造されてもよいし、バッチ生産で製造されてもよい。本発明の光学フィルムが、バッチ生産で製造される場合は、所定の大きさにカットされた前記収縮性フィルムが使用される。前記複屈折層は、前記収縮性フィルムとの積層体としてそのまま本発明の光学フィルムとして使用してもよいし、前記収縮性フィルムから剥離した複屈折層単層として本発明の光学フィルムとして使用してもよい。また、前記収縮性フィルム上に形成した前記複屈折層を、粘着剤等を介して他の基材と接着する、いわゆる転写法によって本発明の光学フィルムを製造してもよい。なお、前記転写は、前記複屈折層を形成した後に行われるので、前記転写時に異物が混入したとしても、従来の製造方法における複屈折層形成前の樹脂フィルムと収縮性フィルムとの貼り合せ時に異物が混入した場合のように、生産性を低下させることはない。本発明の光学フィルムの厚みは、1〜20μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは、3〜20μmの範囲であり、さらに好ましくは、5〜15μmの範囲である。本発明の光学フィルムにおいて、前記複屈折層の正面位相差は、前述のとおりである。
【0065】
図1に、本発明の光学フィルムの構成の一例の断面図を示す。図示のとおり、この光学フィルム10は、収縮性フィルム11上に、複屈折層12が形成された構成である。
【0066】
本発明の積層偏光板は、本発明の光学フィルムを用いているため、異物混入による輝点が観測されず、配向不良による光漏れも観測されないものである。また、本発明の光学フィルムは、例えば、20μm以下の薄膜とすることが可能である。このため、本発明の積層偏光板は、軽量化が可能である。さらに、本発明の積層偏光板は、反りを生じることがないため、耐久性に優れる。
【0067】
本発明の画像表示装置は、本発明の積層偏光板を用いる以外は、従来の画像表示装置と同様の構成である。例えば、LCDの場合、液晶セルの光学部材、および必要に応じ照明システム(バックライト等)の各構成部品を適宜組み立てて駆動回路に組み込むこと等により製造できる。本発明の画像表示装置は、本発明の積層偏光板を用いているため、表示不良を低減可能である。
【0068】
本発明の画像表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等である。
【実施例】
【0069】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例および比較例により制限されない。なお、下記実施例および比較例における各種特性は、下記の方法により評価または測定を行った。
【0070】
(複屈折層の屈折率)
複屈折層の屈折率は、実施例4を除き、収縮性フィルムから複屈折層を剥離して、王子計測機器(株)製の商品名「KOBRA−WPR」を用いて測定した。なお、収縮性フィルムに位相差のない実施例4では、収縮性フィルムと複屈折層との積層体のまま、複屈折層の屈折率を測定した。
【0071】
(複屈折層の厚み)
複屈折層の厚みは、大塚電子(株)製の薄膜用分光光度計(商品名:MCPD2000)を用いて測定した。
【0072】
(光学フィルムの配向軸精度)
光学フィルムの配向軸精度は、王子計測機器(株)製の商品名「KOBRA21ADH」を用いて測定し、下記の判定基準で評価した。
判定基準
G :前記配向軸精度が、−1.0°〜+1.0°の範囲内に収まった。
NG:前記配向軸精度が、−1.0°〜+1.0°の範囲内に収まらなかった。
【0073】
(光学フィルムの外観)
光学フィルムの外観は、目視により判定した。図2に示すように、明らかに異物の混入が認められた場合、異物の混入による不良があると判定した。
判定基準
G :異物の混入が低減されており、良好であった。
NG:異物の混入による不良があった。
【0074】
(積層偏光板の輝点)
光学フィルムを搭載した積層偏光板の輝点観察を行なった。前記輝点観察は、クロスニコルに配置された一対の偏光子の間に光学フィルムを挿入し、オリンパス社製の微分干渉顕微鏡を用いて行なった。図3に示すように、輝点が認められた場合、輝点による不良があると判断した。
判定基準
G :輝点が観測されず、良好であった。
NG:輝点が観測され、輝点による不良があった。
【0075】
[実施例1]
(非液晶性材料の合成)
撹拌装置を備えた反応容器中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン2.70gおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.06gを、水酸化ナトリウム溶液25mLに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド2.03gを30mLのクロロホルムに溶解させた溶液を撹拌しながら一度に加え、室温で90分間撹拌して、重縮合溶液とした。その後、前記重縮合溶液を静置分離してポリアリレートを含んだクロロホルム溶液を分離した。ついで、前記分離液を、酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリアリレートを析出させた。析出したポリアリレートを濾過し、減圧下で乾燥させることで、白色のポリアリレート3.41g(収率92%)を得た。前記ポリアリレートの前記複屈折率(Δnxz)は、0.023であった。
【0076】
(光学フィルムの製造)
得られたポリアリレート(10g)をトルエン(73g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(PPの二軸延伸フィルム、500×200mm、厚み60μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。つぎに、前記塗膜を、110℃で5分間乾燥させ、前記収縮性フィルムと前記塗膜との積層体を作製した。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、155℃で、前記積層体を0.75倍に収縮させることで前記塗膜を収縮させると同時に、前記収縮方向と直交する方向に前記積層体を1.2倍に延伸することにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは10.0μm、nx=1.654、ny=1.626、nz=1.640であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0077】
[実施例2]
(非液晶性材料の合成)
実施例1の非液晶性材料の合成と同様にして、ポリアリレートを得た。
【0078】
(光学フィルムの製造)
得られたポリアリレート(10g)をトルエン(73g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(PPの二軸延伸フィルム、500×200mm、厚み60μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。つぎに、前記塗膜を、110℃で5分間乾燥させた。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、155℃で、前記塗膜を一方向に0.95倍に収縮させることにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは10.3μm、nx=1.642、ny=1.639、nz=1.640であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0079】
[実施例3]
(非液晶性材料の合成)
実施例1の非液晶性材料の合成と同様にして、ポリアリレートを得た。
【0080】
(光学フィルムの製造)
得られたポリアリレート(10g)をトルエン(73g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(アモルファスPET(APET)の一軸延伸フィルム、500×200mm、厚み143μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。前記APETの一軸延伸フィルムとしては、三菱樹脂(株)製の商品名「ノバクリア」を用いた。つぎに、前記塗膜を、60℃で5分間乾燥させた。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、80℃で、前記塗膜を一方向に0.75倍に収縮させることにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは8.8μm、nx=1.653、ny=1.628、nz=1.639であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0081】
[実施例4]
(非液晶性材料の合成)
実施例1の非液晶性材料の合成と同様にして、ポリアリレートを得た。
【0082】
(光学フィルムの製造)
得られたポリアリレート(10g)をトルエン(73g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(アクリル樹脂の一軸延伸フィルム、500×200mm、厚み93μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。つぎに、前記塗膜を、150℃で5分間乾燥させるとともに、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、一方向に0.8倍に収縮させることにより複屈折層を形成した。前記複屈折層の厚みは12.3μm、nx=1.647、ny=1.633、nz=1.640であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0083】
[実施例5]
(非液晶性材料の準備)
非液晶性材料として、ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール(株)製の商品名「J40」)を準備した。前記ポリビニルアルコールの前記複屈折率(Δnxz)は、0.0007であった。
【0084】
(光学フィルムの製造)
前記ポリビニルアルコール(10g)を水(157g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(アモルファスPET(APET)の一軸延伸フィルム、500×200mm、厚み143μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。前記APETの一軸延伸フィルムとしては、実施例3と同じものを用いた。つぎに、前記塗膜を、80℃で5分間乾燥させるとともに、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、一方向に0.60倍に収縮させることにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは10.0μm、nx=1.529、ny=1.514、nz=1.517であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0085】
[実施例6]
(非液晶性材料の合成)
撹拌装置を備えた反応容器中で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン2.14gおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.06gを、1mol/L水酸化ナトリウム溶液25mLに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド1.02gおよびイソフタル酸クロライド1.02gを30mLのクロロホルムに溶解させた溶液を撹拌しながら一度に加え、室温で90分間撹拌して、重縮合溶液とした。その後、前記重縮合溶液を静置分離してポリアリレートを含んだクロロホルム溶液を分離した。ついで、前記分離液を、酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリアリレートを析出させた。析出したポリアリレートを濾過し、減圧下で乾燥させることで、白色のポリアリレート3.31g(収率90%)を得た。前記ポリアリレートの前記複屈折率(Δnxz)は、0.024であった。
【0086】
(光学フィルムの製造)
得られたポリアリレート(10g)をトルエン(73g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(PPの二軸延伸フィルム、500×200mm、厚み60μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。つぎに、前記塗膜を、110℃で5分間乾燥させ、前記収縮性フィルムと前記塗膜との積層体を作製した。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、155℃で、前記積層体を0.75倍に収縮させることによって前記塗膜を収縮させると同時に、前記収縮方向と直交する方向に前記積層体を1.2倍に延伸することにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは7.30μm、nx=1.676、ny=1.643、nz=1.654であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0087】
[実施例7]
(非液晶性材料の合成)
撹拌装置を備えた反応容器中で、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−ブタン2.70gおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.06gを、1mol/L水酸化ナトリウム溶液25mLに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド2.03gを30mLのクロロホルムに溶解させた溶液を撹拌しながら一度に加え、室温で90分間撹拌して、重縮合溶液とした。その後、前記重縮合溶液を静置分離してポリアリレートを含んだクロロホルム溶液を分離した。ついで、前記分離液を、酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリアリレートを析出させた。析出したポリアリレートを濾過し、減圧下で乾燥させることで、白色のポリアリレート3.51g(収率92%)を得た。前記ポリアリレートの前記複屈折率(Δnxz)は、0.026であった。
【0088】
(光学フィルムの製造)
得られたポリアリレート(10g)をトルエン(73g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(PPの二軸延伸フィルム、500×200mm、厚み60μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。つぎに、前記塗膜を、110℃で5分間乾燥させ、前記収縮性フィルムと前記塗膜との積層体を作製した。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、155℃で、前記積層体を0.75倍に収縮させることによって前記塗膜を収縮させると同時に、前記収縮方向と直交する方向に前記積層体を1.2倍に延伸することにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは7.32μm、nx=1.593、ny=1.566、nz=1.575であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0089】
[実施例8]
(非液晶性材料の合成)
撹拌装置を備えた反応容器中で、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン2.98gおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.06gを、1mol/L水酸化ナトリウム溶液25mLに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド2.03gを30mLのクロロホルムに溶解させた溶液を撹拌しながら一度に加え、室温で90分間撹拌して、重縮合溶液とした。その後、前記重縮合溶液を静置分離してポリアリレートを含んだクロロホルム溶液を分離した。ついで、前記分離液を、酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリアリレートを析出させた。析出したポリアリレートを濾過し、減圧下で乾燥させることで、白色のポリアリレート3.41g(収率91%)を得た。前記ポリアリレートの前記複屈折率(Δnxz)は、0.023であった。
【0090】
(光学フィルムの製造)
得られたポリアリレート(10g)をトルエン(73g)に溶解させ、複屈折層形成材料を調製した。ついで、収縮性フィルム(PPの二軸延伸フィルム、500×200mm、厚み60μm)上に、アプリケーターを用いて、前記複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成した。つぎに、前記塗膜を、110℃で5分間乾燥させ、前記収縮性フィルムと前記塗膜との積層体を作製した。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、155℃で、前記積層体を0.75倍に収縮させることによって前記塗膜を収縮させると同時に、前記収縮方向と直交する方向に前記積層体を1.2倍に延伸することにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは8.12μm、nx=1.607、ny=1.579、nz=1.587であった。このようにして、本実施例の光学フィルムを得た。
【0091】
[比較例1]
ポリカーボネートフィルム(200×100mm、厚み65μm、前記複屈折率(Δnxz)=0.00029)の両面に、同じ大きさの収縮性フィルム(二軸延伸PP、厚み60μm)をアクリル系粘着剤を用いて接着し、積層体を得た。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、150℃で、前記積層体を0.90倍に収縮させることによって前記ポリカーボネートフィルムを収縮させると同時に、前記収縮方向と直交する方向に前記積層体を1.4倍に延伸することにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは60.1μm、nx=1.589、ny=1.581、nz=1.585であった。このようにして、本比較例の光学フィルムを得た。
【0092】
[比較例2]
ノルボルネン樹脂フィルム(200×100mm、厚み130μm、前記複屈折率(Δnxz)=0.00018)の両面に、同じ大きさの収縮性フィルム(二軸延伸PP、厚み60μm)をアクリル系粘着剤を用いて接着し、積層体を得た。その後、バッチ式同時二軸延伸機を用いて、150℃で、前記積層体を0.80倍に収縮させることによって前記塗膜を収縮させると同時に、前記収縮方向と直交する方向に前記積層体を1.5倍に延伸することにより複屈折層を形成した。ついで、前記複屈折層を、前記収縮性フィルムから剥離した。前記複屈折層の厚みは131.4μm、nx=1.521、ny=1.519、nz=1.520であった。このようにして、本比較例の光学フィルムを得た。
【0093】
実施例および比較例の各光学フィルムについて、各種特性を測定若しくは評価した。その結果を、下記表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
前記表1に示すように、実施例においては、複屈折層を20μm以下と薄くでき、配向軸精度、外観および輝点について、良好な結果が得られた。一方、比較例においては、複屈折層の厚みが20μmを大幅に上回り、配向軸精度、外観および輝点も、不良であった。
【0096】
前述のとおり、各実施例で得た光学フィルムを搭載した積層偏光板では、異物混入による輝点は観測されず、また、配向不良による光漏れも観測されなかった。また、前記積層偏光板を画像表示装置に搭載することで、表示不良のない画像表示装置を提供することが可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、少ない工程数で、異物の混入が低減した、nx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層を含む光学フィルムを製造することが可能である。したがって、本発明の光学フィルムは、例えば、LCD等の画像表示装置等に好適に使用でき、その用途は制限されず、広い分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 光学フィルム
11 収縮性フィルム
12 複屈折層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複屈折層を含む光学フィルムの製造方法であって、収縮性フィルム上に、下記式で表される厚み方向の複屈折率(Δnxz)が0.0007以上の非液晶性材料を含む複屈折層形成材料を直接塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記収縮性フィルムの収縮により前記塗膜を収縮させることにより、nx>nz>nyの屈折率分布を有する複屈折層を形成する複屈折層形成工程とを含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。

Δnxz=nx’−nz’
nx’:前記非液晶性材料を固化層としたときの層の面内で屈折率が最大となる方向(遅相軸方向)の屈折率
nz’:前記nx’の方向および前記固化層の面内で前記nx’の方向と直交する方向(進相軸方向)の各方向に対し直交する前記固化層の厚み方向の屈折率

nx:前記複屈折層の面内で屈折率が最大となる方向(遅相軸方向)の屈折率
ny:前記複屈折層の面内で前記nxの方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率
nz:前記nxおよび前記nyの各方向に対し直交する前記複屈折層の厚み方向の屈折率

【請求項2】
前記非液晶性材料が、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリビニルアルコール、ポリフマル酸エステル、ポリエーテルサルフォンおよびポリサルフォンからなる群から選択される少なくとも一種である請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記ポリアリレートが、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含む請求項2記載の光学フィルムの製造方法。
【化1】

前記式(I)において、
AおよびBは、それぞれ、置換基を表し、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、AおよびBは同一でも異なっていてもよく、
aおよびbは、対応するAおよびBの置換数を表し、それぞれ、1〜4の整数であり、
Dは、共有結合、CH基、C(CH基、C(CZ基(ここで、Zはハロゲン原子である)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CHCH基、N(CH)基であり、
R1は、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、
R2は、炭素原子数2〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、
R3、R4、R5およびR6は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、R3、R4、R5およびR6は同一でも異なっていてもよいが、R3、R4、R5およびR6の全てが水素原子であることはなく、
p1は、0〜3の整数であり、
p2は、1〜3の整数であり、
nは、2以上の整数である。
【請求項4】
前記複屈折層形成工程における前記塗膜の収縮倍率が、0.50〜0.99倍の範囲である請求項1から3のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記複屈折層形成工程において、前記収縮性フィルムと前記塗膜との積層体を延伸するとともに、前記延伸方向と直交する方向に前記積層体を収縮させることによって前記塗膜を収縮させる請求項1から4のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記積層体の延伸倍率が、1.01〜3.0倍の範囲である請求項5記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記収縮性フィルムが、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアクリル、アセテート樹脂、ポリアリレート、ポリビニルアルコールおよび液晶ポリマーからなる群から選択される少なくとも一種の形成材料から形成された延伸フィルムである請求項1から6のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記複屈折層形成工程において、加熱により、前記収縮性フィルムを収縮させる請求項1から7のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記複屈折層の厚みを、20μm以下とする請求項1から8のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
複屈折層を含む光学フィルムであって、前記複屈折層が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を含み、前記複屈折層の正面位相差が、100〜500nmの範囲であることを特徴とする光学フィルム。
【化2】

前記式(I)において、
AおよびBは、それぞれ、置換基を表し、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、AおよびBは同一でも異なっていてもよく、
aおよびbは、対応するAおよびBの置換数を表し、それぞれ、1〜4の整数であり、
Dは、共有結合、CH基、C(CH基、C(CZ基(ここで、Zはハロゲン原子である)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(CHCH基、N(CH)基であり、
R1は、炭素原子数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、
R2は、炭素原子数2〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基であり、
R3、R4、R5およびR6は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1〜4の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、R3、R4、R5およびR6は同一でも異なっていてもよいが、R3、R4、R5およびR6の全てが水素原子であることはなく、
p1は、0〜3の整数であり、
p2は、1〜3の整数であり、
nは、2以上の整数である。
【請求項11】
偏光板と、光学フィルムとを含む積層偏光板であって、前記光学フィルムが、請求項10記載の光学フィルムであり、前記偏光板の吸収軸と前記光学フィルムの遅相軸とが直交または平行であることを特徴とする積層偏光板。
【請求項12】
積層偏光板を含む画像表示装置であって、前記積層偏光板が、請求項11記載の積層偏光板であることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−227430(P2011−227430A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139102(P2010−139102)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【特許番号】特許第4757347号(P4757347)
【特許公報発行日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】