説明

光学フィルム

【課題】 干渉縞を低減でき、視認性に優れ、全光線透過率が高く、また、ガラスの表面に貼付された場合、ガラスの飛散防止性に優れている光学フィルムを提供する。
【解決手段】 光透過性基材フィルムの一方の表面に、光透過性ハードコート層が設けられ、該光透過性基材フィルムの他の表面に、光透過性粘着剤層が設けられている光学フィルムであって、光透過性ハードコート層の膜厚(μm)と光透過性基材フィルムの内部ヘイズ(%)を掛け合わせた値が4以上であり、かつ、該光透過性ハードコート層の表面の十点平均粗さ(Rz)が2μm以下であることを特徴とする光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムに関し、詳しくは、特に携帯電話やモバイル機器などの携帯端末機器のディスプレイの表面又は裏面に貼付することができる光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末機器は薄型化、軽量化が求められている。従来、携帯端末機器の情報表示部の表面には、表示された情報を見易くするためや、落としても壊れないようにする観点から、ポリカーボネート樹脂や、ポリメタクリル酸メチル樹脂などのプラスチック板が用いられていたが、薄型化のために強化ガラスの使用が検討されるようになってきた(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、強化ガラスだけで用いると、落とした際にガラスが破損し、ガラスが飛散するという問題点があった。そのため、その強化ガラスの表面に粘着剤層付きフィルムを貼り合わせて使用する検討がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
ここで、携帯端末機器は、パソコンなどのディスプレイの用途とは異なり、使用者が近距離から細かい情報を目視するため非常にミクロな欠陥や、干渉縞といった光学的明暗によって、表示される情報の視認性が大きく低下するという問題がある。
上記強化ガラスの表面に貼付した粘着剤層付きフィルムは、通常50〜100μmの厚さのフィルムが用いられることが多く、これらのフィルムは、薄いほど光の干渉効果により干渉縞が目立ち、視認性の低下を引き起こす欠点があった。また、フィルムには、滑剤としてシリカゲルが練り込まれている場合が殆んどであるが、携帯端末機器では至近距離から目視するため、これらのシリカゲルが点状に見え、視認性を低下させる場合があった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−18265公報
【特許文献2】特開2005−173462公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の状況に鑑みてなされたものであり、干渉縞を低減でき、視認性に優れ、全光線透過率が高く、また、ガラスの表面に貼付された場合、ガラスの飛散防止性に優れている光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、光透過性基材フィルムの一方の表面に、光透過性ハードコート層を設け、該光透過性基材フィルムの他の表面に、光透過性粘着剤層を設けた光学フィルムにおいて、光透過性ハードコート層の膜厚と、光透過性基材フィルムの内部ヘイズに着目した。
【0007】
一般に、光透過性基材フィルムの内部ヘイズは、小さい程光透過性に優れ、光学特性に優れていると思われるが、本発明者らは、光透過性ハードコート層の膜厚(μm)と光透過性基材フィルムの内部ヘイズ(%)を掛け合わせた値が4以上であり、かつ、該光透過性ハードコート層の表面の十点平均粗さ(Rz)を2μm以下にすることにより、上記課題を達成することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、光透過性基材フィルムの一方の表面に、光透過性ハードコート層が設けられ、該光透過性基材フィルムの他の表面に、光透過性粘着剤層が設けられている光学フィルムであって、光透過性ハードコート層の膜厚(μm)と光透過性基材フィルムの内部ヘイズ(%)を掛け合わせた値が4以上であり、かつ、該光透過性ハードコート層の表面の十点平均粗さ(Rz)が2μm以下であることを特徴とする光学フィルムを提供するものである。
また、本発明は、上記光学フィルムにおいて、前記光透過性基材フィルムの内部ヘイズが0.5%以上である光学フィルムを提供するものである。
また、本発明は、上記光学フィルムにおいて、光学フィルムがガラス飛散防止用として用いられる光学フィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学フィルムは、干渉縞を低減でき、視認性に優れ、全光線透過率が高く、また、ガラスの表面に貼付された場合、ガラスの飛散防止性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の光学フィルムにおいては、光透過性ハードコート層の膜厚(μm)と光透過性基材フィルムの内部ヘイズ(%)を掛け合わせた値が4以上である。該掛け合わせた値が4未満であると、干渉縞が多くなり、該掛け合わせた値が小さくなるほどその干渉縞は多くなる。該掛け合わせた値が4以上であると、干渉縞が少なくなり、4.5以上が好ましく、4.8〜10.0が特に好ましい。該掛け合わせた値の上限は特に制限ないが、通常70以下が好ましい。
ここで、光透過性ハードコート層の膜厚は、特に制限ないが、1〜20μmが好ましく、2〜10μmが特に好ましい。光透過性ハードコート層の膜厚が厚いほど、干渉縞が少なくなる。光透過性ハードコート層の膜厚が1μm未満であると、視認性が低いことがあり、また、滑剤隠蔽性が低いことがあり、Rzが小さくならないことがある。光透過性ハードコート層の膜厚が20μmを超えると、加工適正の低下や硬化収縮によりフィルムのカールなどの反りが問題となることがある。
【0011】
光透過性基材フィルムの内部ヘイズは、0.5%以上が好ましく、0.5〜7.0%がより好ましく、0.5〜5.0%が特に好ましい。該内部ヘイズが0.5%以上であると、光透過性基材フィルムの表面での反射光の光量が弱まり、かつ、その下の粘着剤層の反射光の光量も弱めるので、干渉縞が少なくなり、該内部ヘイズが大きい程、干渉縞を少なくすることができる。尚、該内部ヘイズが7%より大きいと、フィルムが白っぽく見え、逆に視認性を低下させることがある。
また、本発明においては、光透過性ハードコート層の表面の十点平均粗さ(Rz)は2μm以下であり、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.5〜0.001μmである。十点平均粗さ(Rz)が2μmより大きいと、視認性が低下したり、滑材隠蔽性が低下する。
【0012】
本発明において、光透過性基材フィルムとしては、種々のプラスチックシート、フィルムが使用できる。光透過性基材フィルムの具体例としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂などの各種合成樹脂のフィルムが挙げられ、特に、光学特性に優れ、高強度であり安価であることから、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂より成るフィルムが好ましい。光透過性基材フィルムは、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。
【0013】
光透過性基材フィルムの厚さは、特に制限ないが、通常6〜125μmが好ましく、12〜100μmが特に好ましい。光透過性基材フィルムの厚さが6μm未満であると、基材としての強度が弱いことがあり、加工適正が低下することがある。一方、光透過性基材フィルムの厚さが125μmを超えると、薄膜化の観点からは好ましくない。
【0014】
光透過性基材フィルムの表面は、易接着処理を施してもよい。易接着処理としては、特に制限ないが、例えば、コロナ放電処理や、光透過性基材フィルムの樹脂と同一成分の低分子量の樹脂ポリマー層を設けること等が挙げられる。例えば、光透過性基材フィルムがポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂)であるときは、低分子量の樹脂ポリマーとしては、低分子量のポリエステル(例えば、エチレンテレフタレートオリゴマー)が挙げられる。
【0015】
本発明においては、光透過性基材フィルムの一方の表面に光透過性ハードコート層を有する。
光透過性ハードコート層は、電離放射線硬化型化合物を含有する硬化性組成物を塗布して電離放射線を照射して硬化させて形成できるし、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂溶液を塗布、乾燥することにより形成できるが、電離放射線硬化型化合物を含有する硬化性組成物を塗布して電離放射線を照射して硬化させて形成することが好ましい。
【0016】
電離放射線硬化型化合物は、電離放射線を照射されることにより硬化されるものであり、紫外線硬化型化合物、電子線硬化型化合物、α線硬化型化合物、β線硬化型化合物、γ線硬化型化合物などが挙げられるが、紫外線硬化型化合物、電子線硬化型化合物が好ましく、紫外線硬化型化合物が特に好ましい。
電離放射線硬化型化合物としては、不飽和モノマー、オリゴマー、樹脂又はそれらを含む組成物などが挙げられる。その具体例としては、多官能アクリレート、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレート等の2官能基以上を有する多官能の電離放射線硬化型のアクリル系化合物が挙げられ、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレートが好ましい。
【0017】
多官能アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリアリル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
ウレタンアクリレートは、例えばポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーの水酸基と(メタ)アクリル酸との反応でエステル化することにより得られる。
ポリエステルアクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、又は多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られる。
電離放射線硬化型化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0019】
電離放射線としては、紫外線、電子線、α線、β線などが挙げられる。紫外線を使用する場合は、硬化性組成物には、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系などの公知の光重合開始剤を用いることができ、また、オリゴマー型光重合開始剤を用いることもできる。
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
電離放射線硬化型化合物と光重合開始剤の配合割合は、通常電離放射線硬化型化合物100質量部に対し光重合開始剤が0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部が特に好ましい。
【0020】
また、硬化性組成物には、シリカ(コロイド状シリカを含む)、シリコーンパウダー、マイカ、ガラスビーズ、アクリル系微粉末、中空粒子等のフィラーを含ませてもよいが、含ませない方が好ましい。
また、硬化性組成物には、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤等の添加成分を含ませることは任意である。
【0021】
また、硬化性組成物には、塗布し易くするために希釈剤を含有させてもよい。希釈剤としては、イソブタノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン等が挙げられる。希釈剤の配合量は、要求される粘度になるように適宜選定すればよい。
【0022】
本発明においては、上記硬化性組成物は、光透過性基材フィルムの表面に塗布され、希釈剤を含む場合は乾燥した後に電離放射線を照射されて、硬化されハードコート層を形成する。
上記硬化性組成物の光透過性基材フィルムへの塗布方法は、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンコート法など従来公知の方法が挙げられる。
【0023】
照射される電離放射線は、種々の電離放射線発生装置から発生する電離放射線が用いられる。例えば、紫外線は、通常は紫外線ランプから輻射される紫外線が用いられる。この紫外線ランプとしては、通常波長300〜400nmの領域にスペクトル分布を有する紫外線を発光する、高圧水銀ランプ、ヒュ−ジョンHランプ、キセノンランプ等の紫外線ランプが用いられ、照射量は通常50〜3000mJ/cmが好ましい。
【0024】
本発明においては、光透過性基材フィルムの他の表面に、光透過性粘着剤層が設けられている。
光透過性粘着剤層を構成するための粘着剤としては、特に制限なく、公知の粘着剤を使用でき、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などが使用できる。これらのうち、アクリル系粘着剤が、ガラス飛散防止効果が優れ、光透過性に優れているので、好ましい。
【0025】
アクリル系粘着剤は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート単量体の中から選ばれる少なくとも1種を主成分とし、必要に応じてこれと(メタ)アクリル酸、マレイン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリルなどの単量体の中から選ばれる少なくとも1種を共重合させることにより得られるアクリル系重合体を含有するものが挙げられる。
アクリル系粘着剤には、アクリル系重合体と共に、架橋剤を含有させたものが好ましい。架橋剤としては、種々の架橋剤が用いられるが、例えば、イソシアネート系架橋剤が好ましい。架橋剤の配合量は、アクリル系重合体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
【0026】
粘着剤層の厚さは、4〜100μmが好ましく、10〜70μmが特に好ましい。粘着剤層の厚さが4μm未満であると、ガラス飛散防止効果が低下することがあり、100μmを超えると、粘着剤層の表面の荒れ(ユズ肌)が発生し易いので、視認性を低下することがある。
光透過性基材フィルムの他の表面に、光透過性粘着剤層が設ける方法としては、上記粘着剤含有組成物を光透過性基材フィルムの他の表面に、塗布し、乾燥する方法が挙げられる。
上記粘着剤含有組成物の光透過性基材フィルムへの塗布方法は、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、カーテンコート法など従来公知の方法が挙げられる。
【0027】
光透過性粘着剤層の表面には、剥離シートが積層されていることが好ましい。
剥離シートは、種々の剥離シートを使用できるが、代表的には剥離性を表面に有する基材シートから構成される。基材シートとしては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などのフィルムや、これらのフィルムに填料などの充填剤を配合したフィルムや合成紙などが挙げられる。また、グラシン紙、クレーコート紙、上質紙などの紙基材が挙げられる。
基材シートの表面に剥離性を持たせるには、その表面に熱硬化性シリコーン樹脂や、紫外線硬化型シリコーン樹脂等の剥離剤を塗布等により付着させる。剥離剤の塗布量は、0.03〜3.0g/mが好ましい。
剥離シートは、剥離剤を有する表面を粘着剤層に接して積層される。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
【0029】
(各種成分の調製)
粘着剤層形成用の塗工液1の調製
重量平均分子量80万のアクリル酸エステル系共重合体(アクリル酸ブチル単位95質量%、アクリル酸単位5質量%、濃度30質量%)100質量部に、イソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製、商品名「BHS8515」、固形分濃度37.5質量%)2質量部を混合し、トルエンで固形分濃度22質量%に希釈して塗工液1を調製した。
【0030】
光透過性ハードコート層形成用の塗工液2の調製
紫外線硬化型アクリル系樹脂(大日本インキ工業社製、商品名「ユニデックRS23−293」、固形分濃度100質量%、光重合開始剤不含)100質量部に、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、商品名「SH28」、固形分濃度100質量%)0.03質量部、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカル社製、商品名「イルガキュア184」、固形分濃度100質量%)4質量部を混合し、エチルセロソルブにて固形分濃度30質量%に希釈して、塗工液2を調製した。
【0031】
光透過性ハードコート層形成用の塗工液3調製
紫外線硬化型アクリル系樹脂(JSR社製、商品名「オプスターZ7530」、固形分濃度73質量%、光重合開始剤含有)100質量部に、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、商品名「SH28」、固形分濃度100質量%)0.04質量部を混合し、エチルセロソルブにて固形分濃度30質量%に希釈して、塗工液3を調製した。
【0032】
光透過性ハードコート層形成用の塗工液4の調製
紫外線硬化型ポリウレタン系樹脂(荒川化学工業社製、商品名「ビームセット575CB」、固形分濃度100質量%、光重合開始剤含有)100質量部に、シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、商品名「SH28」、固形分濃度100質量%)0.03質量部を混合し、エチルセロソルブにて固形分濃度30質量%に希釈して、塗工液4を調製した。
【0033】
(実施例1)
光透過性基材フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、商品名「T600EW07」、両面易接着、厚さ50μm)の一方の表面に塗工液2をバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが7μmになるように塗布し、70℃にて1分間乾燥後、紫外線を照射して(250mJ/cm)、硬化させ、光透過性ハードコート層を形成した。続いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの光透過性ハードコート層が設けられている面の反対面に塗工液1を乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、100℃にて1分間乾燥して、光学フィルム1を得た。
【0034】
(実施例2)
光透過性基材フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(帝人デュポン社製、商品名「PET75 OFW」、両面易接着、厚さ75μm)の一方の表面に塗工液2をバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが7μmになるように塗布し、70℃にて1分間乾燥後、紫外線を照射して(250mJ/cm)、硬化させ、光透過性ハードコート層を形成した。続いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの光透過性ハードコート層が設けられている面の反対面に塗工液1を乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、100℃にて1分間乾燥して、光学フィルム2を得た。
【0035】
(実施例3)
光透過性基材フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、商品名「ダイアホイル」、両面易接着、厚さ75μm)の一方の表面に塗工液2をバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが7μmになるように塗布し、70℃にて1分間乾燥後、紫外線を照射して(250mJ/cm)、硬化させ、光透過性ハードコート層を形成した。続いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの光透過性ハードコート層が設けられている面の反対面に塗工液1を乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、100℃にて1分間乾燥して、光学フィルム3を得た。
【0036】
(比較例1)
光透過性基材フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、商品名「T600EW07」、両面易接着、厚さ50μm)の一方の表面に塗工液3をバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが3μmになるように塗布し、70℃にて1分間乾燥後、紫外線を照射して(250mJ/cm)、硬化させ、光透過性ハードコート層を形成した。続いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの光透過性ハードコート層が設けられている面の反対面に塗工液1を乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、100℃にて1分間乾燥して、光学フィルム4を得た。
【0037】
(比較例2)
光透過性基材フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、商品名「T600EW07」、両面易接着、厚さ50μm)の一方の表面に塗工液4をバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが3μmになるように塗布し、70℃にて1分間乾燥後、紫外線を照射して(250mJ/cm)、硬化させ、光透過性ハードコート層を形成した。続いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの光透過性ハードコート層が設けられている面の反対面に塗工液1を乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、100℃にて1分間乾燥して、光学フィルム5を得た。
【0038】
(比較例3)
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(東洋紡績社製、商品名「コスモシャイン」、両面易接着、厚さ50μm)の一方の表面に塗工液4をバーコーターを用いて、乾燥後の厚さが2μmになるように塗布し、70℃にて1分間乾燥後、紫外線を照射して(250mJ/cm)、硬化させ、光透過性ハードコート層を形成した。続いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの光透過性ハードコート層が設けられている面の反対面に塗工液1を乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、100℃にて1分間乾燥して、光学フィルム6を得た。
【0039】
実施例及び比較例の光学フィルムの性状を、以下の試験方法で測定し、表1に示した。
(1)内部ヘイズ
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、商品名「NDH2000」)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。方法は以下の通りである。
内部ヘイズを測定して値の明確な粘着剤層(ヘイズ値:Ha)を剥離フィルムに積層した形で用意した。その粘着剤層を光透過性基材フィルムの両面に転写し、粘着剤層/光透過性基材フィルム/粘着剤層の構成でヘイズを測定した(ヘイズ値:Hb)。次に、以下の式から内部ヘイズを算出した。
内部ヘイズ=Hb−2×Ha
【0040】
(2)干渉縞
黒アクリルシート(住友化学社製、商品名「スミペックス」)に貼合し、3波長(450nm、540nm、610nm)蛍光灯下、反射にて目視観察した。官能評価による5段階評価(1:悪、2:やや悪、3:ぼやける、4やや良、5:良)として、4以上を合格とした。評価1〜5の詳細は、以下の通りである。
【0041】
評価1:光の干渉による緑や赤などの色がついた干渉模様と、その境界線がはっきり見えるサンプル。
評価2:光の干渉による緑や赤などの色がついた干渉模様が見えるが、その境界線がぼやけて見えるサンプル。
評価3:光の干渉による緑や赤などの色がついた干渉模様も、その境界線もぼやけて見えるサンプル。
評価4:光の干渉による緑や赤などの色の干渉模様がはっきり識別できず、その境界線も殆んど見えないサンプル。
評価5:光の干渉による緑や赤などの色の干渉模様も、その境界線も見えないサンプル。
【0042】
(3)十点平均粗さ(Rz)
コンフォーカル顕微鏡(レーザーテック社製、商品名「HD100D」)を用いて、20倍の対物レンズで測定した。
(4)白点評価
黒アクリルシート(住友化学社製、商品名「スミペックス」)に貼合し、3波長(450nm、540nm、610nm)蛍光灯下、フィルム表面から10cmの距離で透過にて目視観察した。白点が目視可能な場合は×、白点らしき部分が極微少存在する場合は○、目視では白点を確認できないものは◎とした。
【0043】
(5)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準拠し、500g荷重にて、鉛筆引掻塗膜硬さ試験機((株)東洋精機製作所製、商品名「NP−TYPE」)を用いて測定した。
(6)ガラス飛散防止性
JIS R3202に準拠した70mm×70mmで厚さ1mmのフロート板ガラスにサンプルを貼付し、両端に金属板を置き、1mm浮かせ、高さ50cmから鉄球(直径31.75mm、重さ130.4g)を前記ガラスのサンプル貼付面に落下させた。ガラスが割れても飛散しなかったものは○、ガラスが割れて飛散したものは×とした。
【0044】
(7)全光線透過率
日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH2000」を使用し、JIS K7361−11に準拠して測定した。測定値が90%以上を○、90%未満を×とする。
【0045】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の光学フィルムは、種々の光学特性を要求される用途に用いることができるが、特に携帯電話やモバイル機器などの携帯端末機器のディスプレイ表面又は裏面に貼付することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材フィルムの一方の表面に、光透過性ハードコート層が設けられ、該光透過性基材フィルムの他の表面に、光透過性粘着剤層が設けられている光学フィルムであって、光透過性ハードコート層の膜厚(μm)と光透過性基材フィルムの内部ヘイズ(%)を掛け合わせた値が4以上であり、かつ、該光透過性ハードコート層の表面の十点平均粗さ(Rz)が2μm以下であることを特徴とする光学フィルム。
【請求項2】
前記光透過性基材フィルムの内部ヘイズが0.5%以上である請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
光学フィルムがガラス飛散防止用として用いられる請求項1又は2に記載の光学フィルム。

【公開番号】特開2008−216913(P2008−216913A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57696(P2007−57696)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】