説明

光学情報読取装置

【課題】 エリアマーカの明示範囲内にある光学情報コードを確実に読み取ることができる光学情報読取装置を提供する。
【解決手段】 受光センサ23からエリアマーカ投射器25が水平方向へずらされ配置されることで、受光センサ23の撮像範囲Eからエリアマーカ投射器25のエリアマーカMfが水平方向へずれる。位置ズレに対して、受光センサ23を水平方向へ移動させることで、撮像範囲EとエリアマーカMfとを一致させる。これにより、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQが、受光センサ23の撮像範囲Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQを確実に読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学情報コードを読み取るための光学情報読取装置に関し、特に、読み取り範囲を明示するエリアマーカを投射するエリアマーカ投射器を備える光学情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バーコードリーダや2次元コードリーダ等の光学情報読取装置においては、紙や商品等に印刷された情報コード(バーコードや2次元コード)を読み取るため、LEDやレーザによる照明光を読取口から情報コードに照射しその反射光を当該読取口内の受光センサ等で受光することによって当該情報コードによる光学情報を読取可能にしている。ここで、読み取り範囲を明示するエリアマーカを投射して、該エリアマーカ内に読み取り対象の情報コードを位置させることで、読み取りを行えるようにし、情報コードに対する位置合わせを容易にした光学情報読取装置が、例えば、特許文献1、特許文献2等に開示されている。
【特許文献1】特開2002−125096号公報
【特許文献2】特開2002−109462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エリアマーカを投射する光学情報読取装置では、エリアマーカを投射するための投射光学系と、情報コードを読み取るための結像光学系とが別々に構成されていることから、個体撮像素子の撮像距離によって、撮像範囲とエリアマーカ範囲との間でずれが生じる。
【0004】
ここで、図8は撮像範囲とエリアマーカ範囲との間でのずれを示す説明図である。紙面Pに印刷された情報コードQが、投射光学系125から投射されたエリアマーカM2の範囲に収まっていても、投射光学系125から離れて配置された個体撮像素子123及び結像レンズ127による撮像範囲EとエリアマーカMfとがずれ、撮像範囲Eから情報コードQが外れることが有る。このため、エリアマーカMfの範囲内に情報コードが収まっているのに、読み取りができないことが起きて、使用者に不信感を与えている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、エリアマーカの明示範囲内にある光学情報コードを確実に読み取ることができる光学情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1は光学情報コードQを撮像するための個体撮像素子23と、読み取り範囲を明示するエリアマーカMfを投射するエリアマーカ投射器25とを備える光学情報読取装置10であって、
前記個体撮像素子23の撮像画像(撮像範囲)Eと前記エリアマーカMfとのずれ量を検出するずれ量検出手段(S16)と、
前記撮像画像Eと前記エリアマーカMfとが一致するように、前記ずれ量検出手段により検出されたずれ量に合わせて、前記個体撮像素子23と前記エリアマーカ投射器25とを相対移動する移動手段(S18)と、を備えることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の光学情報読取装置10では、個体撮像素子23の撮像画像EとエリアマーカMfとのずれ量を検出し、撮像画像EとエリアマーカMfとが一致するように、検出されたずれ量に合わせて、個体撮像素子23とエリアマーカ投射器25とを相対移動する。即ち、撮像画像EとエリアマーカMfとを一致させることで、エリアマーカMfの明示範囲内にある光学情報コードQが個体撮像素子23の撮像画像Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある光学情報コードQを確実に読み取ることができる。
【0008】
請求項2の光学情報読取装置10では、個体撮像素子23とエリアマーカ投射器25とが水平又は垂直にずらされ配置されることで、個体撮像素子23の撮像画像EとエリアマーカMf投射器からのエリアマーカMfとが水平又は垂直にずれるのに対して、個体撮像素子23をずらされた水平又は垂直へ相対移動させることで、撮像画像EとエリアマーカMfとを一致させる。これにより、エリアマーカMfの明示範囲内にある光学情報コードQが個体撮像素子23の撮像画像Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある光学情報コードQを確実に読み取ることができる。
【0009】
請求項3の光学情報読取装置10では、個体撮像素子23とエリアマーカMf投射器とが水平又は垂直にずらされ配置されることで、個体撮像素子23の撮像画像EとエリアマーカMf投射器からのエリアマーカMfとが水平又は垂直にずれるのに対して、エリアマーカMfがずれた水平又は垂直へ移動するようにエリアマーカ投射器25を調整することで、撮像画像EとエリアマーカMfとを一致させる。これにより、エリアマーカMfの明示範囲内にある光学情報コードQが個体撮像素子23の撮像画像Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある光学情報コードQを確実に読み取ることができる。
【0010】
請求項4では、個体撮像素子23の撮像画像Eとエリアマーカ投射器25からのエリアマーカMfとを、個体撮像素子23とエリアマーカ投射器25との相対位置を調整して一致させることで、個体撮像素子23の有効画素を全て用いる。このため、高解像度の個体撮像素子23を用いなくとも、光学情報コードQを確実に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学情報読取装置を2次元コードリーダに適用した実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る2次元コードリーダ10の構成概要を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、2次元コードリーダのハウジング等の構成概要を示す部分縦断面図であり、図2は、2次元コードリーダの回路部の構成概要を示すブロック図であり、図3(A)は、エリアマーカの説明図である。
【0012】
図1に示すように、バーコードQを読み取る2次元コードリーダ10は、主に、縦長のほぼ矩形箱状なすハウジング11を備える。ハウジング11は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部品で、その一端側に、ハウジング11の裏面方向に前傾するように「首曲がり形状」をなす読取口11aを備えている。この読取口11aは、後述する回路部20の受光センサ23に入射する入射光を導入可能な開口部である。読取口11aの近傍には、入射光を受光するカメラブロック24が設けられている。このハウジング11の他端側には、二次電池49が収容されている。ハウジング11の表面側には液晶表示器46を取付可能な開口部も形成されており、2次元コードリーダ10の使用者が液晶表示器46に表示する表示内容を視覚的に把握可能に構成してある。ハウジング11を握った作業者の人差し指が当接する部位に、後述する照明光Lfやマーカ光Mfの出射を指示するトリガースイッチ14が設けられている。ハウジング本体11の内部には、後述する回路部20が収容されている。なお、図1には、回路部20を構成するプリント配線板15,16が図示されている。
【0013】
図2に示すように、回路部20は、主に、照明光源21、エリアマーカ投射器25、受光センサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されており、前述したプリント配線板15,16に実装あるいはハウジング本体11内に内装されている。
【0014】
光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等とから構成されている。本実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、ハウジング本体11の読取口11aを介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。なお、この読取対象物Rには、情報コードとしての2次元コードQが貼付されている。
【0015】
受光センサ23は、読取対象物Rや2次元コードQに照射されて反射した反射光Lrを結像レンズ27を介して受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子から成る。この受光センサ23の受光面23aは、ハウジング本体11外から読取口11aを介して外観可能に位置している。受光センサ23は、エリアマーカとの位置合わせのためのモータ50及び送りねじ52により位置調整可能に取り付けられている。
【0016】
エリアマーカ投射器25は、照明光Lfの照射可能範囲内の所定位置を示し得るエリアマーカMfを発光するもので、例えば、レーザダイオードとこのレーザダイオードの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズやエリアマーカMfのガイドパターンを形成可能なスリット板、結像レンズ、絞り板等とから構成されている。図3(A) に示すように、第1実施形態では、エリアマーカMfのガイドパターンは、受光センサ23の撮像視野(照射可能範囲内の所定位置)の四隅を示す4つのL字形状の視野ガイドMaと、当該撮像視野のほぼ中央を示す十字形状の中央ガイドMbと、各視野ガイドMa間の中間を示す−字形状の中間ガイドMdと、から構成されている。これにより、読取対象物Rに向けて当該エリアマーカMfが照射されると、当該読取対象物Rの表面には、4つの視野ガイドMaとその中央を示す中央ガイドMbとが映し出されるので、これらの視野ガイドMaで囲まれた範囲内、つまり撮像視野内に読取ターゲットとなる2次元コードQを位置決めできる。
【0017】
結像レンズ27は、外部から読取口11aを介して入射する入射光を集光して受光センサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが2次元コードQに反射して読取口11aに入射する反射光Lrや、エリアマーカ投射器25から照射されたエリアマーカMfが読取対象物Rに反射して読取口11aに入射するマーカ反射光Mrを集光することにより、受光センサ23の受光面23aにコード像やマーカ像を結像可能にしている。
【0018】
次に、図2に戻ってマイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35と中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像されたコード像やマーカ像等の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該2次元コードリーダ10の全体システムに関する制御も行っている。
【0019】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されて蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0020】
制御回路40は、2次元コードリーダ10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48、モータ50等が接続されている。これにより、例えば、モータ50を駆動して受光センサ23の位置調整が可能である。
【0021】
図4(A)は、第1実施形態の2次元コードリーダ10の受光センサ23の位置調整機構を示している。
エリアマーカ投射器25は、受光センサ23から水平方向(図1中の2次元コードリーダ10の奥手方向)に対してずらして配置されている。このため、図3(A)中に示すように受光センサ23の撮像範囲Eとエリアマーカ投射器25からのエリアマーカMfとは水平方向にΔd分ずれ、撮像距離によってこのずれ量Δdは変わってくる。なお、撮像距離によらず、撮像範囲Eの大きさとエリアマーカMfの大きさとは一定の比率を保ち、撮像範囲EがエリアマーカMfよりも僅かに大きくなるように受光センサ23及びエリアマーカ投射器25の光学系は調整されている。
【0022】
このずれ量Δdを無くするため、第1実施形態の受光センサ23の位置調整機構は、受光センサ23を担持する担持板54の下部に設けられたナット部54nのナット孔に、モータ50からの送りねじ52を螺合させて成る。受光センサ23及び担持板54は、カメラブロック24の一部を構成する。そして、図2を参照して上述したように、制御回路40によりモータ50が駆動され、受光センサ23の水平位置が微調整される。
【0023】
2次元コードリーダ10による情報コードの読み取り処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
電源スイッチ41がオンされて所定の自己診断処理等が正常終了し、2次元コードQの読み取りが可能な状態になると、制御回路40が同期信号を基準に所定周期で発光信号をエリアマーカ投射器25に出力する。これにより、発光信号を受けたエリアマーカ投射器25は、レーザダイオードを間欠的に発光させてエリアマーカMfを発する。これを受光センサ23で撮像する(S12)。作業者は読取口11aを読取対象物Rに向けることで、当該読取口11aから出射されたエリアマーカMfが読取対象物Rに照射されることによって視野ガイドMaおよび中央ガイドMbを視認することが可能となる。エリアマーカMfが受光センサ22により撮像されると(S14:Yes)、制御回路40は、エリアマーカMfと撮像画像Eとの水平方向のずれ量を算出する(S16)。ここでは、図3(A)中に示すエリアマーカMfの水平方向の中心線Mc、即ち、中央ガイドMbの中心位置と、撮像範囲Eの中心線Ec、即ち、受光センサ23の画像の水平中心位置とのずれ量を画素単位で求める。引き続き、制御回路40によりモータ50が駆動され、送りねじ52を回動させることで、ずれ量に相当する画素分、受光センサ23を水平に移動する(S18)。その後、撮像範囲E内の情報コードQを撮像し(S20)、情報コードQの情報を読み取る(S22)。第1実施形態では、受光センサ23を移動させるため、後述する第2実施形態と異なりフィードバックの必要がなく、制御が容易である利点がある。
【0024】
第1実施形態では、受光センサ23からエリアマーカ投射器25が水平方向へずらされ配置されることで、受光センサ23の撮像範囲Eからエリアマーカ投射器25のエリアマーカMfが水平方向へずれる。位置ずれに対して、受光センサ23を水平方向へ移動させることで、撮像範囲EとエリアマーカMfとを一致させる。これにより、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQが、受光センサ23の撮像範囲Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQを確実に読み取ることができる。
【0025】
なお、受光センサ23の撮像画像よりもエリアマーカMfの画像を大幅に小さくし、撮像画像中でエリアマーカMfのアドレスを調整することで、撮像画像の中心とエリアマーカMfの中心とを一致させることも可能である。しかしこの場合には、撮像画像(撮像範囲)の一部のみを用いることになる。これに対して、第1実施形態では、受光センサ23の撮像範囲Eとエリアマーカ投射器25からのエリアマーカMfとを受光センサ23の位置を調整して一致させることで、受光センサ23の有効画素を全て用いている。このため、高解像度の受光センサを用いなくとも、情報コードを確実に読み取ることができる。
【0026】
[第1実施形態の改変例]
以下、第1実施形態の改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。第1実施形態の改変例の2次元コードリーダ10は、受光センサ23の位置調整機構の構成を除き第1実施形態と同様であるため、位置調整機構のみ図4(B)を参照して説明する。
第1実施形態の改変例に係るエリアマーカ投射器25は、受光センサ23から垂直方向(図1中の2次元コードリーダ10の上下方向)に対してずらして配置されている。このため、図3(B)中に示すように受光センサ23の撮像範囲Eとエリアマーカ投射器25からのエリアマーカMfとは垂直方向にΔd分ずれ、撮像距離によってこのずれ量Δdは変わってくる。
【0027】
このずれ量Δdを無くするため、第1実施形態の改変例の受光センサ23の位置調整機構は、受光センサ23を担持する担持板54の側部に設けられたナット部54nのナット孔に、モータ50からの送りねじ52を螺合させて成る。そして、上述した第1実施形態と同様に、制御回路40によりモータ50が駆動され、受光センサ23の垂直位置が微調整される。
【0028】
第1実施形態の改変例では、受光センサ23からエリアマーカ投射器25が垂直方向へずらされ配置されることで、受光センサ23の撮像範囲Eからエリアマーカ投射器25のエリアマーカMfが垂直方向へずれる。位置ずれに対して、受光センサ23を垂直方向へ移動させることで、撮像範囲EとエリアマーカMfとを一致させる。これにより、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQが、受光センサ23の撮像範囲Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQを確実に読み取ることができる。
【0029】
[第2実施形態]
図6(A)は、第2実施形態に係る2次元コードリーダ10のエリアマーカ投射器25の位置調整機構を示している。
第2実施形態のエリアマーカ投射器25は、受光センサ23から水平方向(図1中の2次元コードリーダ10の奥手方向)に対してずらして配置されている。このため、図3(A)を参照して上述した第1実施形態と同様に、受光センサ23の撮像範囲Eとエリアマーカ投射器25からのエリアマーカMfとは水平方向にΔd分ずれ、撮像距離によってこのずれ量Δdは変わってくる。
【0030】
このずれ量Δdを無くするため、第2実施形態の位置調整機構は、エリアマーカ投射器25の上部に設けられたナット部25nのナット孔に、モータ50からの送りねじ52を螺合させて成る。そして、制御回路40によりモータ50が駆動され、エリアマーカ投射器25の水平位置が微調整される。
【0031】
第2実施形態の2次元コードリーダ10による情報コードの読み取り処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
エリアマーカ投射器25からエリアマーカMfを投光して、これを受光センサ23で撮像する(S12)。エリアマーカMfが撮像されると(S14:Yes)、エリアマーカMfが受光センサ23の撮像範囲Eの左右何れの方向へずれているかを検出する(S16)。そして、ずれを無くす方向にエリアマーカ投射器25を移動させる(S18)。この後、エリアマーカMfと撮像範囲Eとが一致しているかを判断し(S19)、一致するまでは(S19:No)、S16に戻りエリアマーカ投射器25の水平方向位置調整を続ける。そして、エリアマーカMfと撮像範囲Eとが一致すると(S19:Yes)、撮像範囲E内の情報コードQを撮像し(S20)、情報コードQの情報を読み取る(S22)。第2実施形態では、エリアマーカ投射器25側を移動させるため、受光センサ23に振動を与えることがない。なお、ここでは、フィードバック制御を行い、エリアマーカ投射器25の位置を調整したが、画像から距離を測定し、距離に応じた調整量を求めることで、オープンループに制御を行うことも可能である。また、第2実施形態では、エリアマーカ投射器25を水平方向に移動させたが、エリアマーカ投射器25の水平方向への照射角度を調整することも可能である。
【0032】
第2実施形態では、受光センサ23からエリアマーカ投射器25が水平方向へずらされ配置されることで、受光センサ23の撮像範囲Eからエリアマーカ投射器25のエリアマーカMfが水平方向へずれる。位置ずれに対して、エリアマーカ投射器25を水平方向へ移動させることで、撮像範囲EとエリアマーカMfとを一致させる。これにより、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQが、受光センサ23の撮像範囲Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQを確実に読み取ることができる。
【0033】
[第2実施形態の改変例]
以下、第2実施形態の改変例に係る2次元コードリーダ10について説明する。第2実施形態の改変例の2次元コードリーダ10は、エリアマーカ投射器25の位置調整機構の構成を除き第2実施形態と同様であるため、位置調整機構のみ図6(B)を参照して説明する。
第2実施形態の改変例に係るエリアマーカ投射器25は、受光センサ23から垂直方向(図1中の上下方向)に対してずらして配置されている。このため、図3(B)を参照して上述した第1実施形態の改変例と同様に受光センサ23の撮像範囲Eとエリアマーカ投射器25からのエリアマーカMfとは垂直方向にΔd分ずれ、撮像距離によってこのずれ量Δdは変わってくる。
【0034】
このずれ量Δdを無くするため、第2実施形態の改変例の受光センサ23の位置調整機構は、エリアマーカ投射器25の側部に設けられたナット部25nのナット孔に、モータ50からの送りねじ52を螺合させて成る。そして、上述した第2実施形態と同様に、制御回路40によりモータ50が駆動され、エリアマーカ投射器25の垂直位置が微調整される。
【0035】
第2実施形態の改変例では、受光センサ23の撮像範囲Eとエリアマーカ投射器25のエリアマーカMfとの垂直方向への位置ずれに対して、エリアマーカ投射器25を垂直方向へ移動させることで、撮像範囲EとエリアマーカMfとを一致させる。これにより、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQが、受光センサ23の撮像範囲Eから外れることが無くなるので、エリアマーカMfの明示範囲内にある情報コードQを確実に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係る2次元コードリーダのハウジング等の構成概要を示す部分縦断面図である。
【図2】第1実施形態に係る2次元コードリーダの回路部の構成概要を示すブロック図である。
【図3】図3(A)は、第1実施形態でのエリアマーカと撮像範囲とのずれの説明図であり、図3(B)は、第1実施形態の改変例でのエリアマーカと撮像範囲とのずれの説明図である。
【図4】図4(A)は、第1実施形態の2次元コードリーダの受光センサの位置調整機構を示す説明図であり、図4(B)は、第1実施形態の改変例に係る2次元コードリーダの受光センサの位置調整機構を示す説明図である。
【図5】第1実施形態の2次元コードリーダによる情報コードの読み取り処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は、第2実施形態の2次元コードリーダのエリアマーカ投射器の位置調整機構を示す説明図であり、図6(B)は、第2実施形態の改変例に係るエリアマーカ投射器の位置調整機構を示す説明図である。
【図7】第2実施形態の2次元コードリーダによる情報コードの読み取り処理を示すフローチャートである。
【図8】従来技術でのエリアマーカと撮像範囲とのずれの説明図である。
【符号の説明】
【0037】
10…2次元コードリーダ(光学情報読取装置)
21…照明光源
22…受光素子
23…受光センサ(個体撮像素子)
25…エリアマーカ投射器
40…制御回路
50…モータ
52…送りねじ
54n…ナット部
Mf…エリアマーカ
Q…2次元コード(情報コード)
E…撮像範囲(撮像画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学情報コードを撮像するための個体撮像素子と、読み取り範囲を明示するエリアマーカを投射するエリアマーカ投射器とを備える光学情報読取装置であって、
前記個体撮像素子の撮像画像と前記エリアマーカとのずれ量を検出するずれ量検出手段と、
前記撮像画像と前記エリアマーカとが一致するように、前記ずれ量検出手段により検出されたずれ量に合わせて、前記個体撮像素子と前記エリアマーカ投射器とを相対移動する移動手段と、を備えることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記個体撮像素子と前記エリアマーカ投射器とが、光学情報読取装置の読み取り方向に対して水平又は垂直にずらして配置され、
前記移動手段が、前記エリアマーカ投射器に対してずらされた水平又は垂直へ相対移動するように、前記個体撮像素子を移動させることを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項3】
前記個体撮像素子と前記エリアマーカ投射器とが、光学情報読取装置の読み取り方向に対して水平又は垂直にずらして配置され、
前記移動手段が、前記個体撮像素子の撮像画像に対してずれた水平又は垂直へ前記エリアマーカ投射器のエリアマーカが移動するように、前記エリアマーカ投射器の投射方向を調整することを特徴とする請求項1の光学情報読取装置。
【請求項4】
前記個体撮像素子の有効画素を全て用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1の光学情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−157051(P2007−157051A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354824(P2005−354824)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】