説明

光学情報読取装置

【課題】 読取作業時の作業性を向上しつつ携帯性をも向上し得る光学情報読取装置を提供する。
【解決手段】 バーコードリーダ10では、ヒンジの係止凸部21cが側板部25の第1係止凹部25b1に係合しミラークリップ20の回動を規制しているときには、ミラー29よりバーコード等からの反射光の進行方向が変更されるので、読取口11a,12aから出射される照明光の光路方向とは異なる方向にバーコード等が存在する場合には、ミラークリップ20の回動位置を第1係止凹部25b1による回転角αに設定することで、ミラー29による照明光および反射光の進行方向の変更によってバーコード等からの反射光を受光部19により受光できる。ヒンジ21の係止凸部21cが側板部25の第2係止凹部25b2に係合しミラークリップ20の回動を規制しているときには、上板部26の圧接凸部28がケース12の表面12’との間でベルト等を狭着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取口を有するケースと、このケース内に設けられ前記読取口を通して外部の読取対象物に照明光を照射可能な照明手段と、前記ケース内に設けられ前記読取対象物に照射された前記照明光の反射光を前記読取口を通して受光可能な受光手段と、を備えた光学情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の光学情報読取装置として、例えば、下記特許文献1に開示される「携帯型スキャナ」がある。この特許文献1に開示される技術では、スキャナ本体から射出された光の進行方向を、読取対象物の位置に応じて変更可能な光路変更手段を設ける。これにより、例えば、垂直に配置された読取対象物を読み取る場合には、光の進行方向を光路変更手段で読取対象物の位置に応じて水平方向に変えて読取対象物に照射し、また水平に配置された読取対象物を読み取る場合には、光の進行方向を光路変更手段で読取対象物の位置に応じて垂直方向に変えて読取対象物に照射するので、バーコード等の読取対象物の配置状態にかかわらず、ほとんど手首を動かさずにスキャナ本体を自然な状態で持って読取作業を行い得るとしている(特許文献1;段落番号0004、0005、図1等)。
【特許文献1】特開平8−235294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術によると、スキャナ本体の先端にこのような光路変更手段を設けることにより、光の進行方向を変更することが可能となる反面、先端部に当該光路変更手段が取り付けられている分、スキャナ本体の長手方向または厚さ方向に出っ張り部分(以下「出張部(でっぱりぶ)」という)が形成される。そのため、スキャナ本体を作業者が携帯するときには、このような出張部が作業者の体の動きの妨げになり易く、当該作業者の作業性を低下させる原因になり得るという問題がある。また携帯中のスキャナの出張部は、作業対象となるワークやその周辺に存在する設備等にも接触し易いため、光路変更手段やスキャナ本体の破損の原因にもなり得るという問題もある。
【0004】
このような光路変更手段による出張部の問題は、当該光路変更手段をスキャナ本体に着脱自在に構成し、携帯時にはスキャナ本体から光路変更手段を取り外すことで解決し得る(特許文献1;段落番号0007、図1等)。ところが、このように構成した場合には、スキャナの使用場面に応じ、当該光路変更手段を取り付けたり、取り外したりといった準備作業や撤収作業が別途必要となるので、取り扱いが煩雑になる。また、取り外した光路変更手段を紛失し得る、といった新たな問題も招来し得る。
【0005】
また、上記特許文献1の開示技術では、スキャナ本体から射出された光は、その進行方向が光路変更手段により変更されるが、例えば、電子走査型の光学情報読取装置では、通常、読取対象物に接近させて読取作業を行うことから、このような光路変更手段やスキャナ本体が作業者の読取対象物に対する視線を遮ることが多い。すると、作業者は、目的の読取対象物に光が照射されているか否かを確認することが難しくなるため、例えば、読取対象物としてバーコードが上下方向に複数段に配置されている場合には、目的の読取対象物とは異なる他の段のバーコードを誤って読み取り得るという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、読取作業時の作業性を向上しつつ携帯性をも向上し得る光学情報読取装置を提供することにある。また、本発明の別の目的は、目的外の読取対象物から光学情報を読み取ることを防止し得るとともに携帯性をも向上し得る光学情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の光学情報読取装置では、読取口[11a,12a]を有するケース[11,12]と、このケース[11,12]内に設けられ前記読取口[11a,12a]を通して外部の読取対象物[BC1,BC2,BC3]に照明光[L]を照射可能な照明手段[18]と、前記ケース[11,12]内に設けられ前記読取対象物[BC1等]に照射された前記照明光[L]の反射光[R]を前記読取口[11a,12a]を通して受光可能な受光手段[19]と、を備えた光学情報読取装置であって、前記読取対象物[BC1等]からの前記反射光[R]の光軸[J]に対しほぼ直交する軸[K]を中心に回動可能であり、所定の第1回転角位置[α]および所定の第2回転角位置[β]のそれぞれにおいて回動を規制可能な回動手段[11,21,22,25]と、長板形状または棒形状からなり、一端側[26a]が前記回動手段[11,21,22,25]に支持されるとともに他端側[26b]に光学的な反射体[29]を備え、前記回動手段[11,21,22,25]により前記第1回転角位置[α]で回動を規制されたときには読取対象物[BC1等]からの反射光[R]が前記受光手段[19]に向かう光路上に前記反射体[29]が位置することで前記読取対象物[BC1等]からの前記反射光[R]の進行方向を変更し、前記回動手段[11,21,22,25]により前記第2回転角位置[β]で回動を規制されたときには前記他端側[26b(28)]が前記ケース[12]の表面[12’]との間で被狭着物[BL]を狭着し得る可動部材[26]と、を備えることを技術的特徴とする。なお、[ ]内の数字等は、[発明を実施するための最良の形態]の欄で説明する符号に対応し得るものである(以下同じ)。
【0008】
特許請求の範囲に記載の請求項2の光学情報読取装置では、請求項1記載の光学情報読取装置において、前記可動部材[26]は、前記反射体[29]の表面を覆い得るカバー手段[27]を備えることを技術的特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項3の光学情報読取装置では、読取口[11a,12a]を有するケース[11,12]と、このケース[11,12]内に設けられ前記読取口[11a,12a]を通して外部の読取対象物[BC1,BC2,BC3]に照明光[L]を照射可能な照明手段[18]と、前記ケース[11,12]内に設けられ前記読取対象物[BC1等]に照射された前記照明光[L]の反射光[R]を前記読取口[11a,12a]を通して受光可能な受光手段[19]と、を備えた光学情報読取装置であって、前記読取対象物[BC1等]からの前記反射光[R]の光軸[J]に対しほぼ直交する軸[K]を中心に回動可能であり、所定の第1回転角位置[α]および所定の第2回転角位置[β]のそれぞれにおいて回動を規制可能な回動手段[11,21,22,25]と、長板形状または棒形状からなり、一端側[46a]が前記回動手段[11,21,22,25]に支持され、他端側[46b(28)]が、前記回動手段[11,21,22,25]により前記第1回転角位置[α]で回動を規制されたときには前記受光手段[19]による前記反射光[R]の受光を妨げない範囲で前記照明光[L]の照射位置を指示し、前記回動手段[11,21,22,25]により前記第2回転角位置[β]で回動を規制されたときには前記ケース[12]の表面[12’]との間で被狭着物[BL]を狭着し得る可動部材[46、46’]と、を備えることを技術的特徴とする。
【0010】
特許請求の範囲に記載の請求項4の光学情報読取装置では、請求項3記載の光学情報読取装置において、前記可動部材[46、46’]は可視光に対して透過性を有することを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、回動手段[11,21,22,25]によって、可動部材[26]が第1回転角位置[α]で回動を規制されているときには、反射体[29]により読取対象物[BC1等]からの反射光[R]の進行方向が変更されるので、読取口[11a,12a]から出射される照明光[L]の光路方向に読取対象物[BC1等]が存在せず、他の方向に読取対象物[BC1等]が存在する場合には、可動部材[26]の回動位置を第1回転角位置[α]に設定することで、当該反射体[29]による照明光[L]および反射光[R]の進行方向の変更によって当該読取対象物[BC1等]からの反射光[R]を受光手段[19]により受光することができる。つまり、可動部材[26]は、第1回転角位置[α]では光路変更ミラーとして機能する。このため、例えば、読取対象物[BC1等]が作業者の下方に存在していた場合には、当該光学情報読取装置をその方向に向けることなく、また作業者が姿勢やその立ち位置を変えることなく読取作業をすることが可能となる。したがって、読取作業時の作業性を向上することができる。
【0012】
また、可動部材[26]が第2回転角位置[β]で回動を規制されているときには他端側[26b(28)]がケース[11,12]の表面[12’]との間で被狭着物[BL]を狭着し得る。つまり、第1回転角位置[α]では光路変更ミラーとして機能していた可動部材[26]が、第2回転角位置[β]ではクリップとして機能する。このため、例えば、光学情報読取装置を収納可能なポケットの布地や下げ留め可能なベルト等を被狭着物[BL]として挟んで当該光学情報読取装置を留めることができるので、作業者が当該光学情報読取装置を携帯する場合には、可動部材[26]の回動位置を第2回転角位置[β]に設定することで、可動部材[26]は出張部となることなく、作業者の体の動きの妨げない。したがって、携帯時の携帯性を向上することができる。
【0013】
請求項2の発明では、可動部材[26]は、反射体[29]の表面を覆い得るカバー手段[27]を備える。これにより、可動部材[26]がクリップとして機能している場合に、カバー手段[27]により反射体[29]の表面を覆うことが可能となる。したがって、被狭着物[BL]が反射体[29]の表面を傷つけることを防止できる。
【0014】
請求項3の発明では、回動手段[11,21,22,25]によって、可動部材[46、46’]が第1回転角位置[α]で回動を規制されているときには、受光手段[19]による反射光[R]の受光を妨げない範囲で照明光[L]の照射位置を指示するので、読取対象物[BC1等]が上下方向に複数段に配置されていても、その中から目的の読取対象物[BC1等]に対し照明光[L]を照射することができる。つまり、可動部材[46、46’]は、第1回転角位置[α]では、照射光[L]を照射すべき位置決めガイドとして機能する。このため、上下方向に複数段に配置される読取対象物[BC1等]であっても、目的の読取対象物[BC1等]から光学情報を読みとることができ、また目的外の読取対象物[BC1等]から光学情報を読み取ることを防止できる。
【0015】
また、可動部材[46、46’]が第2回転角位置[β]で回動を規制されているときには他端側[46b(28)]がケース[11,12]の表面[12’]との間で被狭着物[BL]を狭着し得る。つまり、第1回転角位置[α]では光路変更ミラーとして機能していた可動部材[46、46’]が第2回転角位置[β]ではクリップとして機能する。このため、例えば、光学情報読取装置を収納可能なポケットの布地や下げ留め可能なベルト等を被狭着物[BL]として挟んで当該光学情報読取装置を留めることができるので、作業者が当該光学情報読取装置を携帯する場合には、可動部材[46、46’]の回動位置を第2回転角位置[β]に設定することで、可動部材[46、46’]は出張部となることなく、作業者の体の動きの妨げない。したがって、携帯時の携帯性を向上することができる。
【0016】
請求項4の発明では、可動部材[46、46’]は可視光に対して透過性を有する。これにより、可動部材[46、46’]が読取対象物[BC1等]に覆い被さるように位置しても、可動部材[46、46’]を透して読取対象物[BC1等]を目視確認することができる。したがって、より確実に、目的の読取対象物[BC1等]から光学情報を読みとることができ、また目的外の読取対象物[BC1等]から光学情報を読み取ることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の光学情報読取装置をバーコードリーダに適用した実施形態について図を参照して説明する。なお、ここでいう「バーコード」とは、1次元コード(EAN/UPC、インターリーブド2オブ5、コーダバー、コード39/128、スタンダード2オブ5、RSS等)に限られず、2次元コード(QRコード、PDF417、データマトリックス、マキシコード、RSSコンポジット等)等の各種の情報コードを含む概念である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るバーコードリーダ10の構成を図1〜図4に基づいて説明する。図1および図2に示すように、バーコードリーダ10は、主に、上ケース11、下ケース12、バッテリパック13、キーボード14、ディスプレィ16、赤外線ポート17、発光部18、受光部19、図略の制御部、ミラークリップ20、等から構成されている。
【0018】
上ケース11および下ケース12は、プラスチック等の合成樹脂からなるモールド部材で、作業者が片手で把持可能な幅および長さに設定された長箱形状を有するものである。これら上ケース11および下ケース12により区画形成される空間には、発光部18、受光部19や図略の制御部等が収容可能であり、また上ケース11の表面は、この制御部等に制御されるキーボード14やディスプレィ16を取り付け可能に構成されている。さらに、下ケース12の一部には、これら制御部等に電力供給可能なバッテリパック13を着脱可能に構成されている。なお、以下、上ケース11および下ケース12を総称して「ケース」という。また、バッテリパック13が取り付けられている側の下ケース12の端部を「ケース下端」という。
【0019】
ディスプレィ16が設けられる側の上ケース11の端部および下ケース12の端部(以下これらを「ケース上端」という)には、読取口11aおよび読取口12aがそれぞれ形成されている。この読取口11a、12aは、両者を併せて一つの矩形状の開口部を形成可能に構成されており、ケース内の発光部18から出射される照射光Lを外部に導出可能にし、またバーコードに照射されて反射した反射光Rを当該ケース内に導入可能にするものである。なお、このケース上端には、ミラークリップ20を回動自在に支持可能な回動手段(ヒンジ21、側板部25等)が設けられているが、これについては後述する。
【0020】
また、上ケース11および下ケース12の両側面は、これらを把持した作業者の親指または人差し指で操作可能な位置にトリガーキー15を取り付け可能に形成されており、さらに上ケース11のキーボード14が設けられる位置の側面は、赤外線通信ポート17を取り付け可能に形成されている。なお、上ケース11および下ケース12は、特許請求の範囲に記載の「ケース」に相当し得るもので、またバーコードは、特許請求の範囲に記載の「読取対象物」に相当し得るものである。
【0021】
キーボード14は、主電源の投入切断を指示可能な電源キー14a、数字情報を入力可能なテンキー14b、特定機能を指示可能なファンクションキー14c等からなる情報入力装置で、上ケース11のケース下端側の表面に設けられている。このキーボード14を構成する各キーは、ケース内に収容された制御部等に電気的に接続されており、これらのキーから入力された情報を制御部等に伝達可能に構成されている。トリガーキー15は、前述したように、ケースの両側面に取り付け可能に構成されており、このキーも制御部等に電気的に接続されることにより、作業者によるバーコードの読取開始や読取終了等の指示情報を制御部等に伝達可能に構成されている。
【0022】
ディスプレィ16は、例えば、液晶素子からなる情報表示装置で、上ケース11のケース上端側の表面に設けられている。このディスプレィ16も、ケースに収容される制御部等に電気的に接続されており、当該制御部等から出力される各種情報を液晶画面に表示可能に構成されている。なお、各種情報には、例えば、読み取ったバーコードから得られるコード情報や当該バーコードリーダ10の各種設定情報等が含まれる。
【0023】
赤外線通信ポート17は、例えばIrDA(Infrared Data Association)の仕様に準拠したデータ入出力部で、前述したように、ケースの側面に設けられ、制御部等に電気的に接続されている。これにより、例えば、同通信ポートを備えたパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)とシリアル通信を可能にし得る。例えばバーコードリーダ10では、読み取ったバーコードの情報をパソコンに出力したり、バーコードリーダ10を制御するアプリケーションプログラム等をパソコンから入力したりする場合に使用される。
【0024】
発光部18は、バーコードに照明光Lを照射可能な発光装置で、例えば、発光ダイオード(LED)により構成されている。本実施形態では、受光部19を構成するレンズ19aを間に挟んで位置する2個のLEDにより構成されており、これらは制御部等に電気的に接続されることで、例えば、トリガーキー15による読取開始指示等に従って所定期間、所定周期で発光し得る。これにより、当該発光部18から出射された照明光Lは、読取口11a、12aを通して外部に照射可能となる。なお、発光部18は、特許請求の範囲に記載の「照明手段」に相当し得るものである。
【0025】
受光部19は、発光部18により照射された照明光Lの反射光Rを読取口11a、12aを通して受光可能な受光装置で、例えば、レンズ19aとCCD(Charge Coupled Devices;電荷結合素子)19bとから構成されている。即ち、レンズ19aは、読取口11a、12aから入射した反射光RをCCD19bの受光可能幅に合わせて発散し得るように反射光Rの光路上に設けられ、CCD19bは、レンズ19aにより発散された反射光Rを受光可能に設け、制御部等に電気的に接続される。
【0026】
これにより、読取口11a、12aから入った反射光Rは、レンズ19aにより発散されてCCD19bのほぼ全幅に亘って入射するため、CCD19bでは、入射した反射光Rによる光量情報を蓄積電荷による電流情報として制御部等に出力することが可能となる。これを受けた制御部等では、当該電流情報に基づいたバーとスペースによる2値符号化処理やバーコードシンボルのデコード処理等を行うことによって、読み取ったバーコードの情報を半導体メモリ装置に記憶したり、また赤外線通信ポート17を介して外部に出力したりする。なお、受光部19は、特許請求の範囲に記載の「受光手段」に相当し得るものである。
【0027】
なお、図略の制御部等は、CPU(またはMPU)、ROMやRAM等の半導体メモリ装置、入出力インタフェース等を備えたもので、例えば、マイクロコンピュータユニットがこれに相当する。CPUは、システムバスを介して半導体メモリ装置や入出力インタフェース等に電気的に接続されており、入出力インタフェースには、前述したキーボード14、トリガーキー15、ディスプレィ16、赤外線通信ポート17、発光部18、受光部19等の入出力装置と電気的に接続されている。これにより、CPUは、ROMに記憶された所定の制御プログラムやRAMに記憶されたアプリケーションプログラムに従って、入出力インタフェースを介してこれらの入出力装置を制御することが可能となる。
【0028】
ミラークリップ20は、主に、側板部25、上板部26、カバー部27、ミラー29等により構成されている。なお、上板部26、カバー部27およびミラー29は、特許請求の範囲に記載の「可動部材」に相当し得るものである。
【0029】
図2および図3に示すように、側板部25は、上板部26とともに一体成形されるプラスチック等の合成樹脂からなるモールド部材で、ケース上端を両側面から挟み込むように2枚1組の矩形状に形成されている。この側板部25のほぼ中央には、後述する回動手段のヒンジ21が貫通可能な軸穴25aが形成されている。またこの軸穴25aには、当該ヒンジ21の係止凸部21cと係合可能な凹部が、時計の12時方向と5時方向に連通して形成されている(第1係止凹部25b1、第2係止凹部25b2)。
【0030】
図3(A) に示すように、上板部26は、前述した2枚の側板部25とともに一体成形されるモールド部材(プラスチック等の合成樹脂)で、長手方向がケース上端の幅分の長さに、また短手方向が所定長さに、それぞれ設定された長方形に近似した台形状に形成されている。この上板部26と側板部25とは、図3(C) に示すように、上板部26を形成する台形状の短手方向の辺が、側板部25を形成する矩形の一辺の角から同辺の他方の角方向に向かって同辺から所定の角度θaで延びるように形成されている。
【0031】
即ち、面同士が平行して対向するように立設された2枚の側板部25のそれぞれの角部から下方に向かって延びる下りスロープを形成するように、当該2枚の側板部25の間に上板部26を架設する。つまり、対向する側板部25をケース上端に取り付けた場合、当該上板部26が、ケースの読取口11a、12aに対して庇(ひさし)の如く覆い被さるように、2枚の側板部25および上板部26が一体に形成されている。
【0032】
この上板部26の短手方向の、側板部25側の一端側26aとは反対側の他端側26bには、ミラークリップ20がクリップとして機能する際に、上板部26と下ケース12の表面12’との間で挟まれた被狭着物に圧接し得る圧接凸部28が形成されている。即ち、上板部26が、読取口11a、12aに対して庇の如く覆い被さった場合に、読取口11a、12a側の面(以下「上板部26の裏面」という)のうち、他端側26bの長手方向の両端部に圧接凸部28が形成されている。
【0033】
上板部26の他端側26bの裏面には、光学的な反射体として機能し得る短冊形状(長板形状)のミラー29が取り付けられている。このミラー29は、後述するように、発光部18から照射された照明光Lの光路上(光軸J)に当該ミラー29が位置した場合には、バーコードからの反射光Rの進行方向を変更し得るものである。
【0034】
カバー部27は、カバー本体27aとスライド部27bとからなるプラスチック等の合成樹脂性のモールド部材で、上板部26の裏側に設けられたミラー29の表面を覆い得るものである。即ち、図3(A) 〜図3(D) に示すように、カバー部27は、ミラー29よりも一回り大きな短冊形状(長板形状)を有するカバー本体27aと、このカバー本体27aの長手方向両側にコ字形状に形成されるスライド部27bと、からなり、上板部26の長手方向の側端部26cを厚さ方向から挟み込む得るコ字形状のスライド部27bを、短冊形状(長板形状)のカバー本体27aの長手方向両端に有している。なお、このカバー部27は、特許請求の範囲に記載の「カバー手段」に相当し得るものである。
【0035】
このように構成されるカバー部27では、カバー本体27aにより上板部26の裏面を帯状に覆うように、両端のスライド部27bを上板部26の側端部26cに摺動自在に取り付ける。これにより、図3(A) および図3(C) に示すように、カバー部27を上板部26の一端側26aにスライドさせた場合には、カバー本体27aによりミラー29を覆うことなく露出させることができる。これに対し、図3(B) および図3(D) に示すように、カバー部27を上板部26の他端側26bにスライドさせた場合には(同図に示すカバー部27’)、カバー本体27aによりミラー29を覆うため、ミラー29の表面を当該カバー本体27aにより保護することができる。
【0036】
なお、上板部26は、前述したように、長方形に近似した台形状に形成されている。即ち、図3(A) に示すように、上板部26の側端部26cは、他端側26bから一端側26aに向けて傾斜角Δθで側端部26c同士の間隔が広くなるように形成されている。このため、当該広い上板部26の一端側26aの間隔よりも僅かに狭い長さ相当に、カバー部27の長手方向長さを設定することで、カバー部27が上板部26の他端側26bから一端側26aに向けてスライドすると、一端側26a付近でカバー部27のスライド部27bが上板部26の側端部26cに嵌合するため、カバー部27を上板部26に固定することができる。つまり、図3(A) に示す状態で、カバー部27を上板部26に固定できる。
【0037】
このように構成されるミラークリップ20は、上ケース11、ヒンジ21、ばね22および側板部25によりケース上端に回動自在に支持される。なお、これら上ケース11、ヒンジ21、ばね22および側板部25は、特許請求の範囲に記載の「回動手段」に相当し得るものである。
【0038】
即ち、図4(A) に示すように、上ケース11のケース上端両側には、前述した側板部25と同様に、ヒンジ21を貫通可能にする軸穴11bと、ヒンジ21の係止凸部21cと係合可能な凹部である係止凹部11cが、時計の12時方向に軸穴11bに連通して形成されている。なお、この上ケース11の軸穴11bは、図1に示すように、当該軸穴11bを貫通したヒンジ21による回動軸Kが反射光Rの光軸Jとほぼ直交するように、上ケース11に形成されている。
【0039】
ヒンジ21は、円柱形状からなる軸部21aと、この軸部21aの一端側に形成される円盤形状の基端部21bと、軸部21aから径方向外側に突出し前述した係止凹部11cや第1係止凹部25b1、第2係止凹部25b2に係合可能な係止凸部21cと、を一体に形成したモールド部材で、プラスチック等の合成樹脂からなる。
【0040】
ばね22は、圧縮コイルスプリングで、所定のばね長に伸びている状態から押し縮められると、それに反発する付勢力を発生し得る弾性部材である。本実施形態では、ばね22は、ヒンジ21の基端部21bにより加えられる押圧力に抗した付勢力を発生し得るように構成されている。
【0041】
図4(A) に示すように、このように構成されるヒンジ21およびばね22を、上ケース11と下ケース12とにより形成されるばね室Fに収容する。即ち、軸穴11bに連通する上ケース11の内側に、上ケース11の壁部11fと下ケース12の壁部12fとにより、ヒンジ21の基端部21bおよびばね22を収容可能な、ばね室Fを区画形成し、当該ばね室Fにばね22を収容し、さらに軸部21aを軸穴11bに貫通させたヒンジ21の基端部21bをすでに収容されているばね22の付勢力に抗して収容する。なお、図4(B) に示すリブ12gは、ヒンジ21の軸部21aががたつかないように下ケース12側から支持するものである。
【0042】
これにより、図4(B) に示すように、上ケース11の軸穴11bおよび側板部25の軸穴25aから、ヒンジ21の軸部21aが外部に飛び出した状態で、ヒンジ21の基端部21bをばね室Fに収容することが可能となるので、この突出したヒンジ21の軸部21aが、前述した側板部25を回動自在に軸支することが可能となる。但し、図4(A) に示すように、ヒンジ21の軸部21aには、係止凸部21cが径方向に突出しているため、当該係止凸部21cが側板部25の第1係止凹部25b1や第2係止凹部25b2に係合している場合には、側板部25の回動が阻止される。
【0043】
即ち、図4(B) に示すように、ヒンジ21がばね22の付勢力によってケースの外方向に向かって突出している場合には、ヒンジ21の係止凸部21cが側板部25の第1係止凹部25b1や第2係止凹部25b2に係合しているため、この係合によって側板部25の回動が規制される。つまり、ミラークリップ20の回動がロックされている。
【0044】
例えば、ヒンジ21の係止凸部21cが側板部25の第1係止凹部25b1に係合している場合には、図4(A) や図2(A) に示すように、ミラークリップ20の上板部26が、読取口11a、12aの上方を覆い得るところに位置する。なお、図2(A) に示すαは、光軸Jと平行な軸J’に対する当該第1係止凹部25b1の回転角(所定の第1回転角)を示すものである。
【0045】
これに対し、図4(B) に示す矢印方向にヒンジ21をばね22の付勢力に抗して押し込むことにより、図4(C) に示すように、ばね22が縮んでヒンジ21の係止凸部21cがばね室F側に移動すると、第1係止凹部25b1と係止凸部21cとの係合が解かれる。これにより、ミラークリップ20のロックが解除されて回動が可能になる。
【0046】
このため、例えば、図2(A) に示す状態から、ミラークリップ20が反時計回りに回転させると、図2(B) に示すように、上板部26の圧接凸部28が下ケース12の表面12’に当接する位置まで回って、第2係止凹部25b2にヒンジ21の係止凸部21cが係合する。なお、図2(B) に示すβは、光軸Jと平行な軸J’に対する当該第2係止凹部25b2の回転角(所定の第2回転角)を示すものである。
【0047】
このように構成されるミラークリップ20をバーコードリーダ10のケース上端に設けることにより、当該バーコードリーダ10は図5〜図7に示す作動が可能となる。
図5に示すように、ヒンジ21の係止凸部21cをミラークリップ20の第1係止凹部25b1に係合させる場合には、ミラークリップ20のミラー29が読取口11a、12aから出射される照明光Lの光路上に位置する。つまり、ミラークリップ20は、光路変更ミラーとして機能する。
【0048】
このため、発光部18から出射した照明光Lは、ミラー29に対し入射角θ1で入射し、入射角θ1と同じ角度で反射することにより進行方向を変更されて、例えば、バーコードリーダ10の下方に位置するワークW1の上段バーコードBC1に向けて照射される(図5に示す照明光L’)。そして、この上段バーコードBC1に反射された反射光R’は、照明光Lと逆向きの光路でミラー29に入射して進行方向を変更されて受光部19に入射する(図5に示す反射光R)。なお、ミラークリップ20の第1係止凹部25b1の形成位置を変更することにより、入射角θ1を増減させることができる。
【0049】
これに対し、図6に示すように、ヒンジ21の係止凸部21cをミラークリップ20の第2係止凹部25b2に係合させる場合には、ミラークリップ20は、下ケース12側に折り畳まれるため、ミラー29が読取口11a、12aから出射される照明光Lの光路上に位置することはない。
【0050】
このため、発光部18から出射した照明光Lは、ミラー29に進行方向を変更されることなく、読取口11a、12aからそのまま直進するため、例えば、バーコードリーダ10の前方に位置するワークW1’の中段バーコードBC2に向けて照射される(図6に示す照明光L)。そして、この中段バーコードBC2に反射された反射光Rは、そのまま受光部19に入射する(図6に示す反射光R)。
【0051】
また、ヒンジ21の係止凸部21cがミラークリップ20の第2係止凹部25b2に係合し、ミラークリップ20が下ケース12側に折り畳まれている場合には、ミラークリップ20はリップとして機能する。
【0052】
このため、図7に示すように、ミラークリップ20の上板部26と下ケース12の表面12’との間に、ベルトBL等の被狭着物が存在している場合には、上板部26の圧接凸部28と下ケース12との間にベルトBLが挟み込まれることになる。つまり、図7(A) に示すように、バーコードリーダ10をベルトBLにクリップ留めすることが可能となる。なお、この場合には、図7(B) に示すように、カバー部27によりミラー29の表面を覆うことで、当該ミラー29を傷つけることを防止することができる。
【0053】
以上説明したように、本第1実施形態に係るバーコードリーダ10では、そのケース上端に取り付けられるミラークリップ20を、上ケース11、ヒンジ21、ばね22、側板部25、上板部26、カバー部27、ミラー29により構成する。これにより、ヒンジ21の係止凸部21cが、側板部25の第1係止凹部25b1に係合しミラークリップ20の回動を規制しているときには、ミラー29よりバーコード等からの反射光Rの進行方向が変更されるので、読取口11a,12aから出射される照明光Lの光路方向にバーコード等が存在せず、他の方向にバーコード等が存在する場合には、ミラークリップ20の回動位置を第1係止凹部25b1による回転角αに設定することで、ミラー29による照明光Lおよび反射光Rの進行方向の変更によってバーコード等からの反射光Rを受光部19により受光することができる。
【0054】
つまり、ミラークリップ20は、第1係止凹部25b1の位置では、光路変更ミラーとして機能する。このため、例えば、バーコード等が作業者の下方に存在していた場合には、当該バーコードリーダ10をその方向に向けることなく、また作業者が姿勢やその立ち位置を変えることなく読取作業をすることが可能となる。したがって、読取作業時の作業性を向上することができる。
【0055】
また、ヒンジ21の係止凸部21cが、側板部25の第2係止凹部25b2に係合しミラークリップ20の回動を規制しているときには、上板部26の圧接凸部28がケース12の表面12’との間でベルトBL等を狭着することができる。
【0056】
つまり、ミラークリップ20は、第2係止凹部25b2の位置では、クリップとして機能する。このため、例えば、当該バーコードリーダ10を収納可能なポケットの布地や下げ留め可能なベルトBL等を被狭着物として挟んで当該バーコードリーダ10を留めることができるので、作業者が当該バーコードリーダ10を携帯する場合には、ミラークリップ20の回動位置を第2係止凹部25b2の形成位置に設定することで、ミラークリップ20は出っ張ることなく、作業者の体の動きの妨げない。したがって、携帯時の携帯性を向上することができる。
【0057】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態に係るバーコードリーダ30の構成等を図8〜図13に基づいて説明する。本第2実施形態のバーコードリーダ30は、前述したミラークリップ20をガイドクリップ40に置き換えたところが、第1実施形態のバーコードリーダ10と異なる。このため、第1実施形態のバーコードリーダ10と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図8に示すように、第2実施形態のバーコードリーダ30は、ミラークリップ20に代えてガイドクリップ40をケース上端に備えている。このガイドクリップ40の構成は、図10および図11に表されているので、ここではこれらの図を主に参照して説明する。
【0059】
図10に示すように、ガイドクリップ40は、前述のミラークリップ20からカバー部27およびミラー29を削除し、さらに上板部46の短手方向長さを短く形成している点で、ミラークリップ20と異なる。
【0060】
即ち、本実施形態のガイドクリップ40は、その上板部46の他端側46bが、上ケース11、ヒンジ21、ばね22および側板部25により第1係止凹部25b1の位置で回動を規制されたときに、受光部19による反射光Rの受光を妨げない範囲で発光部18による照明光Lの照射位置をするように構成されている。そのため、ガイドクリップ40では、上板部46の長手方向長さを照明光Lの照射可能幅であるLwに設定する一方で、上板部46の短手方向長さは、照明光Lや反射光Rの邪魔にならない程度に短く設定している。
【0061】
また、ガイドクリップ40には、ミラー29がなく、またそれを保護するカバー部27も必要ないため、上板部46は、台形状ではなく矩形状(長板形状)に形成されている。この点も、ミラークリップ20とは異なる。なお、本第2実施形態では、上板部46と側板部25とは、図10(B) に示すように、上板部46を形成する矩形状の短手方向の辺が、側板部25を形成する矩形の一辺の角から同辺の他方の角方向に向かって同辺から所定の角度θbで延びるように形成されている。
【0062】
また、図11に示すように、ガイドクリップ40の改変例として、上板部46を矩形状(長板形状)ではなく、2本の棒形状を備えた上棒部46’に代えたガイドクリップ40’が例示される。即ち、図11(A) に示すように、ガイドクリップ40’は、側板部25から、ケース(上ケース11、下ケース12)の先端前方に向かって延びる2本のポール46cを有し、これらをコ字形状に配置する。
【0063】
そして、図11(C) に示すように、上板部46’のポール46cは、側板部25を形成する矩形の一辺の角から同辺の他方の角方向に向かって同辺から所定の角度θbで延びるように形成されている。なお、一方のポール46cと他方のポール46cとの間には、両者を接続する一端側46aが形成されており、またこれとは反対方向のポール46cの他端側46bには、圧接凸部28が形成されている。
【0064】
このように構成されるガイドクリップ40をバーコードリーダ30のケース上端に設けることにより、当該バーコードリーダ30は図12および図13に示す作動が可能となる。図12に示すように、ヒンジ21の係止凸部21cをガイドクリップ40の第1係止凹部25b1に係合させる場合には、ガイドクリップ40の他端側46bが読取口11a、12aから出射される照明光Lの照射位置Lwを指示する(図8参照)。つまり、ガイドクリップ40は、照射位置ガイドとして機能する。なお、図12に示すDLは、照明光Lの幅を示し、またDRは、反射光の幅を示す。本実施形態では、例えば、照明光幅DLは8mm、反射光幅DRは2mmに設定されている。
【0065】
これにより、例えば、3構成のバーコードBC1、BC2、BC3がワークW2に付されていたとしても、その中段のバーコードBC2の上方にガイドクリップ40の先端(他端側46b)を当てることにより、図8に示すように、バーコードBCに対し照明光Lを照射する範囲(幅Lw、高さLd)を確認することができるため、例えば目的のバーコードBC2から光学情報を読みとることができ、また目的外のバーコードBC1やBC3から光学情報を読み取ることを防止できる。
【0066】
これに対し、図13に示すように、ヒンジ21の係止凸部21cをガイドクリップ40の第2係止凹部25b2に係合させる場合には、ガイドクリップ40は、下ケース12側に折り畳まれる。これにより、ガイドクリップ40はリップとして機能する。
【0067】
このため、ガイドクリップ40の上板部26と下ケース12の表面12’との間に、ベルトBL等の被狭着物が存在している場合には、上板部26の圧接凸部28と下ケース12との間にベルトBLが挟み込まれることになる。つまり、図13(A) や図13(B) に示すように、バーコードリーダ30をベルトBLにクリップ留めすることが可能となる。
【0068】
なお、ガイドクリップ40の上板部46を可視光に対して透過性を有するもの、例えば透明のアクリル板等により上板部46を構成することで、ガイドクリップ40の上板部46がバーコードに覆い被さるように位置しても、透明な上板部46を透してバーコードを目視確認することができる。したがって、より確実に、目的のバーコードから光学情報を読みとることができ、また目的外のバーコードから光学情報を読み取ることを防止することができる。
【0069】
以上説明したように、本第2実施形態に係るバーコードリーダ30では、そのケース上端に取り付けられるガイドクリップ40を、上ケース11、ヒンジ21、ばね22、側板部25、上板部46により構成する。これにより、ヒンジ21の係止凸部21cが、側板部25の第1係止凹部25b1に係合しガイドクリップ40の回動を規制しているときには、上板部46の先端(他端側46b)によって光部19による反射光Rの受光を妨げない範囲で照明光Lの照射位置Lw、Ldを指示するので、バーコードBC1、BC2、BC3というようにバーコードが上下方向に複数段に配置されていても、その中から目的のバーコードBC2に対し照明光Lを照射することができる。
【0070】
つまり、ガイドクリップ40は、第1係止凹部25b1の位置では、照射光Lを照射すべき位置決めガイドとして機能する。上下方向に複数段に配置されるバーコードであっても、目的のバーコードから光学情報を読みとることができ、また目的外のバーコードから光学情報を読み取ることを防止できる。
【0071】
また、ヒンジ21の係止凸部21cが、側板部25の第2係止凹部25b2に係合しガイドクリップ40の回動を規制しているときには、上板部46の圧接凸部28がケース12の表面12’との間でベルトBL等を狭着することができる。
【0072】
つまり、ガイドクリップ40は、第2係止凹部25b2の位置では、クリップとして機能する。このため、例えば、当該バーコードリーダ30を収納可能なポケットの布地や下げ留め可能なベルトBL等を被狭着物として挟んで当該バーコードリーダ10を留めることができるので、作業者が当該バーコードリーダ30を携帯する場合には、ミラークリップ20の回動位置を第2係止凹部25b2の形成位置に設定することで、ガイドクリップ40は出っ張ることなく、作業者の体の動きの妨げない。したがって、携帯時の携帯性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバーコードリーダの構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す矢印II方向から見た側面図で、図2(A) は、ミラークリップが光路変更ミラーとして機能している場合、図2(B) は、ミラークリップがクリップとして機能している場合、をそれぞれ示すものである。
【図3】ミラークリップの構成を示す図で、図3(A) はカバー部を上げてミラーを露出させた状態を示す正面図で、図3(B) はカバー部を下げてミラーを覆った状態を示す正面図で、図3(C) は図3(A) に示す矢印3C方向から見た側面図で、図3(D) は図3(B) に示す矢印3D方向から見た側面図である。
【図4】ミラークリップの回動機構の構成を示す説明図で、図4(A) はヒンジおよびその周囲の構成を側面方向から示したもの(図2(A) の拡大図に相当)、図4(B) は図4(A) に示す4B線断面によるロック時の構成を示すもの、図4(C) は、図4(A) に示す4B線断面によるロック解除時の構成を示すもの、である。
【図5】第1実施形態のバーコードリーダにより下方のバーコードを読み取っている状態を示す説明図である。
【図6】第1実施形態のバーコードリーダにより前方のバーコードを読み取っている状態を示す説明図である。
【図7】第1実施形態のバーコードリーダをベルトに下げ留めしている状態を示す説明図で、図7(A) は当該状態をバーコードリーダの側面方向から見たもので、図7(B) は図7(A) に示す矢印7B方向から見た背面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るバーコードリーダの構成を示す平面図である。
【図9】図8に示す矢印IX方向から見た側面図で、図9(A) は、ガイドクリップが照射位置ガイドとして機能している場合、図9(B) は、ガイドクリップがクリップとして機能している場合、をそれぞれ示すものである。
【図10】ガイドクリップの構成を示す図で、図10(A) は正面図、図10(B) は図10(A) に示す矢印10B方向から見た側面図である。
【図11】ガイドクリップの改変例の構成を示す図で、図11(A) はバーコードリーダのケースに取り付けた状態を示す説明図で、図11(B) は正面図、図11(C) は図11(B) に示す矢印11C方向から見た側面図である。
【図12】第2実施形態のバーコードリーダによりバーコードを読み取っている状態を示す説明図である。
【図13】第2実施形態のバーコードリーダをベルトに下げ留めしている状態を示す説明図で、図13(A) は当該状態をバーコードリーダの側面方向から見たもので、図13(B) は図13(A) に示す矢印13B方向から見た背面図である。
【符号の説明】
【0074】
10、30…バーコードリーダ(光学情報読取装置)
11…上ケース(ケース、回動手段)
11a、12a…読取口
12…下ケース(ケース)
12’…表面(ケースの表面)
18…発光部(照明手段)
19…受光部(受光手段)
20…ミラークリップ(回動手段、可動部材)
21…ヒンジ(回動手段)
21c…係止凸部
22…ばね(回動手段)
25…側板部(回動手段)
25b1…第1係止凹部(第1回転角位置)
25b2…第2係止凹部(第2回転角位置)
26、46…上板部(可動部材)
26a、46a…一端側
26b、46b…他端側
26c…側端部
27…カバー部(カバー手段)
28…圧接凸部(可動部材)
29…ミラー(反射体)
40、40’…ガイドクリップ(回動手段、可動部材)
46’…上棒部(可動部材)
46c…ポール(可動部材)
BC、BC1、BC2、BC3…バーコード(読取対象物)
BL…ベルト(被狭着物)
J…光軸
K…回動軸
L、L’…照明光
R、R’…反射光
W1、W1’、W2…ワーク
α…第1回転角
β…第2回転角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取口を有するケースと、このケース内に設けられ前記読取口を通して外部の読取対象物に照明光を照射可能な照明手段と、前記ケース内に設けられ前記読取対象物に照射された前記照明光の反射光を前記読取口を通して受光可能な受光手段と、を備えた光学情報読取装置であって、
前記読取対象物からの前記反射光の光軸に対しほぼ直交する軸を中心に回動可能であり、所定の第1回転角位置および所定の第2回転角位置のそれぞれにおいて回動を規制可能な回動手段と、
長板形状または棒形状からなり、一端側が前記回動手段に支持されるとともに他端側に光学的な反射体を備え、前記回動手段により前記第1回転角位置で回動を規制されたときには前記読取対象物からの反射光が前記受光手段に向かう光路上に前記反射体が位置することで前記読取対象物からの前記反射光の進行方向を変更し、前記回動手段により前記第2回転角位置で回動を規制されたときには前記他端側が前記ケースの表面との間で被狭着物を狭着し得る可動部材と、
を備えることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項2】
前記可動部材は、前記反射体の表面を覆い得るカバー手段を備えることを特徴とする請求項1記載の光学情報読取装置。
【請求項3】
読取口を有するケースと、このケース内に設けられ前記読取口を通して外部の読取対象物に照明光を照射可能な照明手段と、前記ケース内に設けられ前記読取対象物に照射された前記照明光の反射光を前記読取口を通して受光可能な受光手段と、を備えた光学情報読取装置であって、
前記読取対象物からの前記反射光の光軸に対しほぼ直交する軸を中心に回動可能であり、所定の第1回転角位置および所定の第2回転角位置のそれぞれにおいて回動を規制可能な回動手段と、
長板形状または棒形状からなり、一端側が前記回動手段に支持され、他端側が、前記回動手段により前記第1回転角位置で回動を規制されたときには前記受光手段による前記反射光の受光を妨げない範囲で前記照明光の照射位置を指示し、前記回動手段により前記第2回転角位置で回動を規制されたときには前記ケースの表面との間で被狭着物を狭着し得る可動部材と、
を備えることを特徴とする光学情報読取装置。
【請求項4】
前記可動部材は可視光に対して透過性を有することを特徴とする請求項3記載の光学情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−18088(P2007−18088A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196538(P2005−196538)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】