説明

光学格子及びその製造方法、光学格子を備えたリニアエンコーダ及び光学顕微鏡

【課題】安定した目盛り精度を有する光学格子を提供する。
【解決手段】光学格子の製造方法は、ガラス基板10の少なくとも一方の表面に光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質からなる第1の膜12を形成する第1の膜形成工程(S100)と、芳香族環をフリーラジカルとして脱離可能な波長を用いて第1の膜12上に格子状に露光する露光工程(S102)と、露光された第1の膜12表面を水洗し露光された部分に水酸基16を露出させる水洗工程(S104)と、水洗によって第1の膜12上に格子状に露出した水酸基と結合可能なアミノ基を有する物質を塗布し反応させて第2の膜18を形成する第2の膜形成工程(106)と、第2の膜18に触媒核を付与して触媒核層を形成する触媒核付与工程と、触媒核上に無電解めっきにより光反射層を形成する光反射層形成工程(S110)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電式エンコーダに用いられる光学格子及びその製造方法、光学格子を備えたリニアエンコーダ及び光学顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
光電式エンコーダに用いられるスケールは、振幅格子型スケールと位相格子型スケールに大別される。いずれのスケールにおいても、基板上に形成された格子のパターン精度によってスケールの精度が決まる。
【0003】
従来、例えば電磁誘導式変位検出スケールは、絶縁性のガラスエポキシ基板上に、導電度の高い銅などの導電性金属からなる格子パターンが形成されている。しかし、ガラスエポキシ基板は面精度が悪く、膨張係数が高いことから、格子パターンが剥離しやすく、分解能が10μm以下の高い精度のスケールを製造することは難しかった。
【0004】
そこで、特許文献1には、上記ガラスエポキシ基板に代え、ガラス基板を用い、さらにガラス基板上に無電解めっきにより無電解銅めっき層を形成し、該無電解銅めっき層上に格子パターンの形状に合ったレジストパターンを形成し、このレジストパターンに基づいて前記無電解銅めっき層をエッチングすることによってスケールを製造することが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−21538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したレジストを用いたリソグラフィによる光学格子の製造では、加熱工程(例えば、プリベーク)が必要となる。一方、この加熱工程による熱によりガラス基板の膨張は目盛り精度(スケール精度)に悪影響を与えるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板を加熱することなく、常温または低温にて光学素子を製造し、基板に対する熱の影響を低減させた、安定した目盛り精度を有する光学素子及びその製造方法、リニアエンコーダ及び光学顕微鏡を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学素子及びその製造方法、リニアエンコーダ及び光学顕微鏡は以下の特徴を有する。
【0009】
(1)所定の波長範囲の光の反射を検出する光電式エンコーダに用いられる光学格子であって、基板と、前記基板の少なくとも一方の表面に形成され光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質からなる第1の膜と、前記第1の膜上に格子状に形成されアミノ基がその表面に露出した第2の膜と、前記第2の膜のアミノ基と結合可能な触媒核からなる触媒核層と、前記触媒核層上に形成された光反射層と、を有する光学格子である。
【0010】
加熱工程を介さず、第1の膜、第2の膜、触媒核層及び光反射層が化学結合反応に基づいて、基板上に格子パターンとなる光反射層が形成される。したがって、基板に対する熱の影響を低減させ、得られた光学格子は安定した目盛り精度を有する。
【0011】
(2)上記(1)に記載の光学格子において、前記基板はガラス基板であり、前記第1の膜を構成する光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質が、芳香族有機シランである。
【0012】
芳香族有機シランでガラス表面を処理するとガラス基板表面の水酸基と有機シラン分子が化学反応し、有機シラン分子同士の相互作用により三次元の網目構造を形成し、いわゆる自己組織化膜を形成し、これにより、加熱工程を介さずに第1の膜がガラス基板に強固に膜形成される。
【0013】
(3)上記(1)または(2)に記載の光学格子において、前記触媒核は鉛であり、前記光反射層はニッケルからなる。
【0014】
第2の膜上に露出したアミノ基と触媒核である鉛が化学結合することにより、触媒核層を精度よく格子状の格子パターンに形成することができ、鉛からなる触媒核層を用いて例えば無電解めっきでニッケルからなる光反射層を形成することができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光学格子をスケールとして用いるリニアエンコーダである。
【0016】
光学格子が安定した目盛り精度を有するため、この光学格子をスケールとして用いるリニアエンコーダの精度のより向上する。さらに、ナノオーダーであっても目盛り精度を高く保てるため、分解能が例えばナノオーダーのリニアエンコーダを得ることができる。
【0017】
(5)上記(4)に記載のリニアエンコーダを備えた光学顕微鏡である。
【0018】
精度が高く、また分解能がナノオーダーのリニアエンコーダを備えることにより、ナノオーダーの精度の高い光学顕微鏡を提供することができる。
【0019】
(6)所定の波長範囲の光の反射を検出する光電式エンコーダに用いられる光学格子の製造方法であって、基板の少なくとも一方の表面に光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質からなる第1の膜を形成する第1の膜形成工程と、前記芳香族環を有する物質から芳香族環をフリーラジカルとして脱離可能な波長を用いて前記第1の膜上に格子状に露光する露光工程と、露光された第1の膜表面を水洗する水洗工程と、水洗によって前記第1の膜上に格子状に露出した水酸基と結合可能なアミノ基を有する物質を塗布し反応させて第2の膜を形成する第2の膜形成工程と、第2の膜上に格子状に露出したアミノ基と結合可能な触媒核を付与する触媒核付与工程と、前記触媒核上に無電解めっきにより光反射層を形成する光反射層形成工程と、を有する光学格子の製造方法である。
【0020】
加熱工程を介さず、第1の膜、第2の膜、触媒核層及び光反射層が化学結合反応に基づいて、基板上に格子パターンとなる光反射層を形成することができる。したがって、基板に対する熱の影響を低減させ、安定した目盛り精度を有する光学格子を製造することができる。
【0021】
(7)上記(6)に記載の光学格子の製造方法において、前記基板はガラス基板であり、前記第1の膜形成工程における芳香族環を有する物質は、芳香族有機シランであり、前記露光工程における露光波長は、遠視外線であり、前記第2の膜形成工程におけるアミノ基を有する物質は、珪酸エステルアミンである。
【0022】
芳香族有機シランでガラス表面を処理するとガラス基板表面の水酸基と有機シラン分子が化学反応し、有機シラン分子同士の相互作用により三次元の網目構造を形成し、いわゆる自己組織化膜を形成し、これにより、加熱工程を介さずに第1の膜がガラス基板に強固に膜形成される。さらに、露光波長を遠紫外線とすることにより、露光された部分の芳香族環が遠紫外線を吸収して励起してさらにフリーラジカルとなって脱離し、脱離後の露光された部分にもう一方のラジカルが残留する。ここで水洗することによって、残留ラジカル部に水酸基が付与され、さらにこの水酸基と珪酸エステルアミンとの脱水縮合反応により、第1の膜とは強固な珪酸塩の連鎖による三次元の網目構造を形成し、一方第2の膜表面に格子状にアミノ基が露出することになる。これにより、第2の膜上に露出したアミノ基のみに触媒核が結合し、この触媒核からなる触媒核層のみに無電解めっき層が形成されるため、目盛り精度の高い、また例えばナノオーダーであっても精度の高い光学格子を製造することができる。
【0023】
(8)上記(6)または(7)に記載の光学格子の製造方法において、前記触媒核は鉛であり、前記光反射層はニッケルからなる。
【0024】
第2の膜上に露出したアミノ基と触媒核である鉛が化学結合することにより、触媒核層を精度よく格子状の格子パターンに形成することができ、鉛からなる触媒層を用いて、無電解めっきでニッケルからなる光反射層を形成することができる。したがって、基板に対する熱の影響を低減し、目盛り精度の高い光学格子を製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、例えばナノオーダーであっても格子状の格子パターン精度の高い光学格子を提供することができる。また、光学格子を用いた精度の高いリニアエンコーダ及び光学顕微鏡を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[光学格子及びその製造方法]
本発明の実施の形態における光学格子の製造方法について図1から図6を用いて以下に説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、ガラス基板10の少なくとも一方の表面に、光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質からなる第1の膜12を形成する第1の膜形成工程(ステップS100)と、芳香族環を有する物質から芳香族環をフリーラジカルとして脱離可能な波長を用いて第1の膜12上に格子状に露光する露光工程(ステップS102)と、露光された第1の膜12表面を水洗し、露光された部分に水酸基16を露出させる水洗工程(ステップS104)と、水洗によって第1の膜12上に格子状に露出した水酸基と結合可能なアミノ基を有する物質を塗布し反応させて第2の膜18を形成する第2の膜形成工程(ステップS106)と、第2の膜18上に格子状に露出したアミノ基と結合可能な触媒核を付与して触媒核層20を形成する触媒核付与工程(ステップS108)と、触媒核上に無電解めっきにより光反射層22を形成する光反射層形成工程(ステップS110)とを有し、さらに劣化防止を考慮し、第1の膜12、触媒核層20及び光反射層22の表面に保護層24を形成する保護層形成工程(ステップS112)を設けてもよい。
【0028】
次に、上述した製造方法の各工程及び各工程に使用される材料に関し、図1から図6を用いて、以下に詳細に説明する。
【0029】
まず、本実施の形態における基板は、透明性を考慮し、ガラス基板10を用いている。また、ガラス基板10としては、熱膨張による影響を低減するため低膨張ガラス基板が好適である。
【0030】
第1の膜形成工程(ステップS100)では、光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質を常温(例えば25℃)にて塗布することにより第1の膜12を形成する。光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質としては、例えば芳香族有機シランを用いることができ、芳香族有機シランとして、単環式芳香族有機シランまたは多環式芳香族有機シランからなる群から選択することができる。また、単環式芳香族有機シランとしては、例えばフェニルトリクロロシランを用いることができる。芳香族有機シランとしてフェニルトリクロロシランを用い、フェニルトリクロロシランをガラス基板10に塗布し、常温(例えば25℃)で所定時間放置することにより、ガラス基板表面の水酸基とフェニルトリクロロシランとの化学反応により自己組織化して、図3に示すような[Ph−SiOからなる第1の膜12(以下「第1の自己組成化膜」ともいう)が形成される。
【0031】
次に、露光工程(ステップS102)では、芳香族環をフリーラジカルとして脱離可能な波長を用いて第1の膜12上の格子パターンとなる部分となる個所を露光する。ここで、第1の膜12が単環式芳香族有機シランからなる場合、フェニル基が吸収可能な遠紫外線、例えば193nmまたは248nmの波長を有する光によって露光する。これにより、図3に示すように、フェニル基が励起しフリーラジカルとして脱離して、第1の膜12の脱離した部分にはラジカルが残留する。また、芳香族有機シランとして多環式方向増有機シランを用いる場合、ナフチル基、アントラセニル基などの多環基の最大吸収波長に等しい波長の光で露光することが好ましい。露光幅は、例えばナノオーダーの格子パターンの場合、10nmから30nm、好ましくは20nmである。
【0032】
第1の膜12上の格子パターンとなる部分を露光する方法としては、図1及び図3に示すようなフォトマスク14を用いる方法と、干渉縞を用いた方法とが挙げられる。
【0033】
次に、水洗工程(ステップS104)では、露光された第1の膜12表面を水洗することによって、図1及び図4に示すように、露光工程において第1の膜12に格子パターン状に残留したラジカル部分に水酸基(−OH基)16が付与される。
【0034】
次いで、第2の膜形成工程(ステップS106)では、水洗によって第1の膜12上に格子状に露出した水酸基と結合可能なアミノ基を有する物質を塗布し反応させて第2の膜18が形成される。アミノ基を有する物質としては、水酸基と結合可能な脂肪族1級または2級アミンを用いることができる。ここで、上記アミンにおける脂肪族の炭素数は、2から6が好ましく、反応性を考慮すると1級アミンが好ましく、例えば珪酸エステルアミンを用いることができる。珪酸エステルアミンとしては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン((CHCHO)−Si−CHCHCHNH)を用いることができる。例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシランが、第1の膜12の格子パターン状に露出した水酸基と脱水縮合反応し、図5及び図6に示すように、第1の膜12の格子パターン状にアミノ基を露出した第2の膜18が形成される。
【0035】
さらに、触媒核付与工程(ステップS108)では、図2及び図6に示すように、第2の膜18上に格子状に露出したアミノ基と結合可能な触媒核を触媒液によるウェット処理により付与する。触媒核としては、後工程を考慮して、金属鉛(Pd)が好ましい。
【0036】
次いで、光反射層形成工程(ステップS110)では、触媒核上に無電解めっきにより光反射層22を形成する。この工程の一例として、例えば、触媒核層20が形成された基板を、ニッケル金属イオンを含むめっき液と還元を純水により希釈した溶液に浸漬し、無電解ニッケルめっきを行い、光反射層22を形成する。光反射層22の厚みは、光学格子に用いる波長λに対してλ/4の厚みを有し、例えば光学素子に用いる波長が640nmの場合、触媒核層20の厚みは160nmである。例えば、無電解ニッケルめっきは、めっき浴のpHが5.6から6.2であって、温度88℃から92℃にて約1分間浸漬することによって、所望の厚みのニッケルからなる光反射層が形成される。
【0037】
触媒核からなる触媒核層20のみに無電解めっきにより形成された光反射層22が形成されるため、目盛り精度の高い、また例えばピッチPがナノオーダーであっても精度の高い光学格子を製造することができる。
【0038】
さらに劣化防止を考慮し、保護層形成工程(ステップS112)では、第1の膜12、触媒核層20及び光反射層22の表面に保護層24が形成される。保護層24としては、例えばALD法でアルミナを主成分とする保護層や、フッ素系樹脂からなる保護層などが挙げられる。
【0039】
上述した製造方法により形成された本実施の形態の光学格子200は、図2に示すように、ガラス基板10と、ガラス基板10の少なくとも一方の表面に形成され光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質からなる第1の膜12と、第1の膜12上に格子状に形成されアミノ基がその表面に露出した第2の膜18と、前記第2の膜18のアミノ基と結合可能な触媒核からなる触媒核層20と、触媒核層20上に形成された光反射層22と、を有し、さらに必要に応じて、第1の膜12、触媒核層20及び光反射層22の表面に保護層24が形成されている。なお、上記ガラス基板10、第1の膜12、第2の膜18及び触媒核層20は、上述同様であるため、ここでは更なる説明を省略する。
【0040】
[リニアエンコーダ及び光学顕微鏡]
本実施の形態のリニアエンコーダは、上述した光学格子をスケールとして用いるリニアエンコーダである。また、本実施の形態の光学顕微鏡は、上述した光学格子をスケールとして用いるリニアエンコーダを備えた光学顕微鏡である。
【実施例】
【0041】
実施例1.
線膨張係数0.02×10−6/Kの低膨張のガラス基板10上に、フェニルトリクロロシランを塗布し、25℃で所定時間放置して、乾燥膜厚数nm以下の、図1に示すような第1の膜12を形成した。次いで、干渉縞を用い、20μm幅の格子状の格子パターンを有し、格子パターンのピッチ幅が40μmになるように248nmの波長を有する紫外線を用いて数秒間露光した。次いで、純水にて、露光された第1の膜12の表面を数分間水洗し、次いで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン((CHCHO)−Si−CHCHCHNH)を用いる塗布し、脱水縮合反応により第2の膜18を形成した。さらに触媒液によるウェット処理により金属鉛を第2の膜18のみに積層して触媒核層20を形成し、次いで、pHが5.6から6.2であるめっき浴に、温度90℃にて約1分間浸漬し、厚み160nmのニッケルからなる光反射層22を形成した。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態における光学格子の製造方法の一例を説明する図であって、第1の膜形成工程(ステップS100)から第2の膜形成工程(ステップS106)までの構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態における光学格子の製造方法の一例を説明する図であって、触媒核付与工程(ステップS108)から保護層形成工程(ステップS112)までの構成を説明するである。
【図3】本発明の実施の形態における光学格子の製造方法において露光工程(ステップS102)の一例を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態における光学格子の製造方法において水洗工程(ステップS104)の一例を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態における光学格子の製造方法において第2の膜形成工程(ステップS106)の一例を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態における光学格子の製造方法において触媒核付与工程(ステップS108)の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
10 ガラス基材、12 第1の膜、14 フォトマスク、16 水酸基、18 第2の膜、20 触媒核層、22 光反射層、24 保護層、200 光学格子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長範囲の光の反射を検出する光電式エンコーダに用いられる光学格子であって、
基板と、
前記基板の少なくとも一方の表面に形成され光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質からなる第1の膜と、
前記第1の膜上に格子状に形成されアミノ基がその表面に露出した第2の膜と、
前記第2の膜のアミノ基と結合可能な触媒核からなる触媒核層と、
前記触媒核層上に形成された光反射層と、
を有することを特徴とする光学格子。
【請求項2】
請求項1に記載の光学格子において、
前記基板はガラス基板であり、
前記第1の膜を構成する光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質は、芳香族有機シランであることを特徴とする光学格子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学格子において、
前記触媒核は鉛であり、
前記光反射層はニッケルからなることを特徴とする光学格子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学格子をスケールとして用いるリニアエンコーダ。
【請求項5】
請求項4に記載のリニアエンコーダを備えた光学顕微鏡。
【請求項6】
所定の波長範囲の光の反射を検出する光電式エンコーダに用いられる光学格子の製造方法であって、
基板の少なくとも一方の表面に、光によりフリーラジカルとなって脱離可能な芳香族環を有する物質からなる第1の膜を形成する第1の膜形成工程と、
前記芳香族環を有する物質から芳香族環をフリーラジカルとして脱離可能な波長を用いて前記第1の膜上に格子状に露光する露光工程と、
露光された第1の膜表面を水洗する水洗工程と、
水洗によって前記第1の膜上に格子状に露出した水酸基と結合可能なアミノ基を有する物質を塗布し反応させて第2の膜を形成する第2の膜形成工程と、
第2の膜上に格子状に露出したアミノ基と結合可能な触媒核を付与する触媒核付与工程と、
前記触媒核上に無電解めっきにより光反射層を形成する光反射層形成工程と、
を有することを特徴とする光学格子の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の光学格子の製造方法において、
前記基板はガラス基板であり、
前記第1の膜形成工程における芳香族環を有する物質は、芳香族有機シランであり、
前記露光工程における露光波長は、遠視外線であり、
前記第2の膜形成工程におけるアミノ基を有する物質は、珪酸エステルアミンであることを特徴とする光学格子の製造方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の光学格子の製造方法において、
前記触媒核は鉛であり、
前記光反射層はニッケルからなることを特徴とする光学格子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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