説明

光学活性アジリジン化合物の製造方法

【課題】光学活性でない化合物を原料化合物とし、光学活性アジリジン化合物を1工程で合成する方法の提供。
【解決手段】式(1)の化合物を、ルイス酸、不斉配位子、及びスルホニルハライド化合物の存在下で閉環させる、式(3)の化合物の製造方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬成分、食品成分などの合成中間体として有用な光学活性なアジリジン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性アジリジン化合物は、アミノ酸、βラクタム系抗生剤、アルカロイドなどの合成中間体として有用な化合物である。
光学活性アジリジン化合物の製造方法として、例えば非特許文献1は、下記の方法を開示している。
【化1】

しかし、この方法は、光学活性を有する化合物を出発原料にしなければならないため、汎用原料での製造ができない。また、原料コストが高くなる。さらに、2段階の工程を要する煩雑な方法である。
【0003】
また、非特許文献2は、下記の方法を開示している。
【化2】

しかし、この方法は、4置換炭素を有する光学活性アジリジン化合物の合成への適用が難しいと考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Tetrohedron.,2002,58,5979-5982
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,1994,116,2742-2753
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、光学活性を有しない化合物を原料化合物として用いて、光学活性を有するアジリジン化合物を1工程で合成できる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、下記一般式(1)
【化3】

(式中、Rは、水素原子又は反応に関与しない基を示す。Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくは芳香族複素環基、又はこれらの官能基中の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基を示す。)
で表される化合物を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下で、閉環させることにより、下記一般式(3)
【化4】

(式中、R及びRは、式(1)と同じ。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性アジリジン化合物が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づき、さらに種々検討を重ね完成されたものであり、下記の方法などを提供する。
項1.
下記一般式(1)
【化5】

(式中、Rは、水素原子又は反応に関与しない基を示す。Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくは芳香族複素環基、又はこれらの官能基中の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基を示す。)
で表される化合物を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下で、閉環させることにより、下記一般式(3)
【化6】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性アジリジン化合物を製造する方法。
項2.
が、炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5〜8員の単環式、多環式若しくは縮合環式のヘテロアリール基;又は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基若しくはアリール基で置換されている、炭素数6〜20のアリール基である項1に記載の方法。
項3.
が、水素原子又は炭化水素基である項1又は2に記載の方法。
項4.
一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子が、光学活性ビスオキサゾリン化合物である項1〜3の何れかに記載の方法。
項5.
置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドが、置換されていてもよいフェニル基を有するスルホニルハライドである項1〜4の何れかに記載の方法。
項6.
一般式(2)で表されるルイス酸が、Cu(OTf)、Zn(OTf)、CuBr、CuCl、Cu(OAc)、CuSO、CuI、CuF、Cu(BF、Cu(PF、Cu(SbF、Cu(NTf2、PtCl、CoCl、PdCl、Pd(OAc)、又はPd(OCOCFである項1〜5の何れかに記載の方法。
項7.
さらに、塩基の存在下で、上記閉環反応を行う項1〜6の何れかに記載の方法。
項8.
さらに、メタノール、及びイソプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤の存在下で、上記閉環反応を行う項1〜7の何れかに記載の方法。
項9.
置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドを、1〜24時間かけて添加する項1〜8の何れかに記載の方法。
項10.
下記一般式(8)
【化7】

(式中、Rは、一般式(1)のRと同じであるか、又は−CHOSOで示される基であり、Rは一般式(1)のRと同じ。Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。但し、Rがp位の水素原子がメチル基又はニトロ基で置換されたフェニル基で、Rが水素原子である化合物;及びRがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基又はベンジル基である化合物のS体は除く。*は不斉であることを表す。)で表される光学活性アジリジン化合物。
項11.
下記一般式(5)
【化8】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。)
で表される化合物のラセミ体を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下に反応させ、下記一般式(3)
【化9】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性化合物又はその塩の(R)体又は(S)体を光学選択的に生成する製造方法。
項12.
下記一般式(6)
【化10】

(式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくは芳香族複素環基、又はこれらの官能基中の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基を示す。)
で表される化合物を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下で、反応させることにより、下記一般式(7)
【化11】

(式中、Rは、一般式(6)と同じであり、Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性アジリジン化合物を製造する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明方法は、光学活性を有しない化合物を原料化合物として用いて、一般式(3)の光学活性アジリジン化合物を製造できる。このように、本発明方法は、目的化合物の構造に合わせた光学活性な原料を用いる必要が無いため、汎用の化合物での製造が可能となる。また、このため、安価な方法となる。
また、本発明方法は、不斉非対称化と閉環による環の生成と同時に行うことができるため、1工程からなる方法であり、工業的に非常に有利な方法である。また、このため、光学活性を有する化合物の合成をより小規模な製造設備で行うことができ、さらに、化合物の分離の手間を削減することができ、分離プロセスにより収率が下がるのを回避できる。
また、本発明方法は、高い収率、及び高い光学純度で一般式(3)の光学活性アジリジン化合物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)
原料化合物
本発明方法で使用する原料化合物は、一般式(1)
【0010】
【化12】

(式中、Rは、水素原子又は反応に関与しない基を示す。Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくは芳香族複素環基、又はこれらの官能基中の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基を示す。)
で表される化合物である。
【0011】
のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば、炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基等が挙げられる。上記アルキル基の炭素数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましい。
【0012】
のアルキニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば、炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられる。具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
【0013】
のアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば、炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、イソプロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基等が挙げられる。
【0014】
の脂肪族複素環基は、例えば炭素数2〜15で、窒素原子、酸素原子、硫黄原子からなる群より選ばれる異種原子を少なくとも1個、好ましくは1〜3個有していればよい。また、5〜8員、好ましくは5〜6員の単環の脂肪族複素環基、このような単環からなる多環、又はこのような単環が縮合した縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。原料の入手し易さの点では、単環の脂肪族複素環基が好ましい。脂肪族複素環基の具体例としては、ピロリジル−2−オン基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。
【0015】
のシクロアルキル基の炭素数は、例えば3〜14とすればよく、5〜12が好ましく、6〜12がより好ましい。具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1,2−ジメチルシクロペンチル基、1,3−ジメチルシクロペンチル基、1−エチル−2−メチルシクロペンチル基等が挙げられる。
【0016】
のアリール基としては、例えば炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基、フェナンスリル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0017】
のアラルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも1個の水素原子が上記アリール基で置換された基が挙げられ、具体的には、炭素数7〜18のアラルキル基が挙げられる。具体的にはベンジル基、フェネチル基、1−フェニルプロピル基、3−ナフチルプロピル基、ジフェニルメチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2,2−ジフェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基等が挙げられる。
【0018】
の芳香族複素環基は、例えば炭素数2〜15で、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個の異種原子を有するが、異種原子は1〜3個が好ましい。また、5〜8員、好ましくは5〜6員の単環式ヘテロアリール基、このような単環からなる多環式、又はこのような単環が縮合した縮合環式のヘテロアリール基が挙げられる。
5〜6員の単環式ヘテロアリール基、多環式又は縮合環式のヘテロアリール基としては、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
【0019】
上記アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は芳香族複素環基の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基もRに含まれる。
上記置換基は特に限定されないが、例えばアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基、ニトロ基、メルカプト基又はハロゲン原子等が挙げられる。上記置換基の数は1〜3個が好ましく、1又は2個がより好ましい。
【0020】
置換基としてのアルキル基としては、直鎖状でも、分岐状でもよい、例えば炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。具体的には、上記Rのアルキル基と同じである。
置換基としてのアルキニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられる。具体的には、上記Rのアルキニル基と同じである。
置換基としてのアルケニル基としては、直鎖状でも分岐状でもよい、例えば炭素数2〜15、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられ、具体的には、上記Rのアルケニル基と同じである。
置換基としての脂肪族複素環基としては、例えば炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5又は6員の単環の脂肪族複素環基、多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。具体的には、上記Rの脂肪族複素環基と同じである。
置換基としてのシクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜14、好ましくは炭素数5〜12、より好ましくは炭素数6〜12のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には上記Rのシクロアルキル基と同じである。
【0021】
置換基としてのアリール基としては例えば炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。具体的には、上記Rのアリール基と同じである。
置換基としてのアリールオキシ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフトキシ基、アントリルオキシ基等が挙げられる。
置換基としてのアラルキル基としては、上記アルキル基の少なくとも1個の水素原子が上記アリール基で置換された基が挙げられる。具体的には、上記Rのアラルキル基と同じである。
置換基としての芳香族複素環基としては、例えば炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5〜6員の単環式ヘテロアリール基、多環式又は縮合環式のヘテロアリール基が挙げられる。具体的には、上記Rの芳香族複素環基と同じである。
【0022】
置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、5−メチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基、2−エトキシエトキシ基等が挙げられる。
【0023】
置換基としてのアルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられ、具体的にはメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、イソプロピリデンジオキシ基等が挙げられる。
【0024】
置換基としてのアルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルキルチオ基が挙げられ、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
置換基としてのアラルキルオキシ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が挙げられ、具体的には、ベンジルオキシ基、1−フェニルエトキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルプロポキシ基、2−フェニルプロポキシ基、3−フェニルプロポキシ基、1−フェニルブトキシ基、3−フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1−フェニルペンチルオキシ基、2−フェニルペンチルオキシ基、3−フェニルペンチルオキシ基、4−フェニルペンチルオキシ基、5−フェニルペンチルオキシ基、1−フェニルヘキシルオキシ基、2−フェニルヘキシルオキシ基、3−フェニルヘキシルオキシ基、4−フェニルヘキシルオキシ基、5−フェニルヘキシルオキシ基、6−フェニルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
置換基としてのアリールチオ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールチオ基が挙げられ、具体的にはフェニルチオ基、トリルチオ基、キシリルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
置換基としてのヘテロアリールオキシ基としては、例えば、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、炭素数2〜15のヘテロアリールオキシ基が挙げられ、具体的には、2−ピリジルオキシ基、2−ピラジルオキシ基、2−ピリミジルオキシ基、2−キノリルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
置換基としてのアラルキルチオ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルチオ基が挙げられ、具体的にはベンジルチオ基、2−フェネチルチオ基等が挙げられる。
置換基としてのヘテロアリールチオ基としては、例えば異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、炭素数2〜15のヘテロアリールチオ基が挙げられ、具体的には、例えば2−ピリジルチオ基、4−ピリジルチオ基、2−ベンズイミダゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基等が挙げられる。
【0027】
置換アミノ基としては、例えばアミノ基の1個又は2個の水素原子がアルキル基、アリール基またはアラルキル基等の置換基で置換されたアミノ基が挙げられる。
アルキル基で置換されたアミノ基、即ちアルキル基置換アミノ基としては、例えばN−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基が挙げられる。
アリール基で置換されたアミノ基、即ちアリール基置換アミノ基としては、例えばN−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−ナフチルアミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基が挙げられる。
アラルキル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキル基置換アミノ基としては、例えばN−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基が挙げられる。
【0028】
置換基としてのオキソ基としては、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、置換あるいは二置換カルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基などを挙げることができる。
【0029】
上記置換基は1個又は2個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0030】
上記Rで表される基が置換基により置換されたフェニル基である場合、オルト位、メタ位、パラ位のいずれが置換されていてもよい。また、Rで表される置換されていてもよいフェニル基は、1個の水素原子が置換基で置換されていてもよく、2個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。
【0031】
は、炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5〜8員の単環式、多環式若しくは縮合環式のヘテロアリール基;又は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基若しくはアリール基で置換されている、炭素数6〜20のアリール基(特に、フェニル基)であることが好ましい。
中でも、ハロゲン原子、ニトロ基、又はアルキル基(特に炭素数1のアルキル基)の、例えば1〜3個、特に1個で置換されたフェニル基であることが好ましい。
【0032】
で表される反応に関与しない基は、上記一般式(3)及び後述する一般式(8)で表される化合物又はその塩を製造する反応に関与しない基であればよく、具体的には、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アラルケニル基、アルキニル基、アラルキニル基等の炭化水素基が好ましい。アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基の具体例としては、上記Rで挙げたものと同じものが挙げられる。
としては、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アラルケニル基、アラルキニル基が好ましい。
【0033】
とRとの好ましい組み合わせとして、Rがアルキル基(特に炭素数1のアルキル基)の1〜2個(特に1個)で置換されたフェニル基であり、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、又はアラルキニル基である組み合わせが挙げられる。
【0034】
一般式(1)で表される原料化合物は、公知方法又はそれに準じる方法により容易に合成できる。具体的には、対応するアミノプロパンジオールのアミノ基を塩基存在下、対応するスルホニルクロリドと反応させることにより合成できる。
【0035】
触媒
上記閉環反応では、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸を用いる。
【0036】
上記一般式(2)中、Mで表される金属イオンは特に限定されず、例えばリチウム、ベリリウム、アルミニウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、セシウム、ビスマス、ガリウム、セシウム、アンチモン等の典型金属イオン;鉄、銅、コバルト、ニッケル、水銀、パラジウム、亜鉛、銀、ロジウム、白金、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、インジウム、イッテルビウム、ハフニウム等の遷移金属イオンが挙げられる。中でも遷移金属イオンであることが好ましく、鉄イオン、銅イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、銀イオン、ロジウムイオン、パラジウムイオン、白金イオンであることがより好ましく、銅イオンまたは亜鉛イオンであることがさらに好ましく、銅イオンであることが特に好ましい。
【0037】
上記一般式(2)中、Zで表されるMの対アニオンは特に限定されず、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン化物イオン、酢酸イオン(OAc)、硫酸イオン(−2SO)トリフルオロメチルスルホニルイオン(OTf)、四フッ化ホウ素イオン(BF)、六フッ化リンイオン(PF)、六フッ化アンチモンイオン(SbF)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン(NTf)、トリフルオロ酢酸イオン(OCOCF)等が挙げられる。中でもZがフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、OAc、OTf、BF又はPFであることが好ましく、OTf、塩化物イオン、臭化物イオン、OAcであることが特に好ましい。
【0038】
m及びnは1〜4の整数である。上記m及びnは、上記ルイス酸が電気的に中性となるよう、Mの価数及びZの価数に応じて適切な数値をとる。
【0039】
一般式(2)で表されるルイス酸は、上記M及びZとして挙げたものの組み合わせであればよく、例えばCu(OTf)、Mg(OTf)、Zn(OTf)、CuBr、CuCl、CuF、Cu(OAc)、CuSO、CuI、Cu(BF、Cu(PF、Cu(SbF2、Cu(NTf2、PtCl、CoCl、PdCl、Pd(OAc)2、Pd(OCOCFが挙げられる。
中でもCu(OTf)、Zn(OTf)、CuCl、CuBr、CuF、Cu(OAc)、CuI、Cu(BF、Cu(PF、PtCl、CoCl2、PdCl、Pd(OAc)2、Pd(OCOCFが好ましく、Cu(OTf)、CuCl、CuBr、Cu(OAc)が特に好ましい。
なお上記ルイス酸は市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造してもよい。
【0040】
一般式(2)で表されるルイス酸の使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約0.0001モル以上が好ましく、約0.005モル以上がより好ましく、約0.02モル以上がさらに好ましい。上記範囲であれば、効率良く反応が進行する。また、一般式(2)で表されるルイス酸の使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約1.0モル以下が好ましく、約0.5モル以下がより好ましく、約0.2モル以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、製品中へのルイス酸由来の金属の残留を低減できる。
【0041】
不斉配位子
上記閉環反応に使用される1又は2以上の配位部位を有する不斉配位子としては、光学活性イミノ化合物、光学活性オキサゾリン化合物等が挙げられる。
中でも、光学活性オキサゾリン化合物が好ましく、光学活性ビスオキサゾリン(以下、「BOX」と略称することがある)化合物がより好ましい。光学活性BOXは、オキサゾリン環のそれぞれにフェニル基が結合したもの(以下、「Ph−BOX」と略称することがある)、イソプロピル基が結合したもの(以下、「i−Pr−BOX」と略称することがある)、t−Buが結合したもの(以下、「t−Bu−BOX」と略称することがある)、及びベンジル基が結合したもの(以下、「Bn−BOX」と略称することがある)等が挙げられる。
オキサゾリン環のそれぞれにフェニル基が結合した光学活性ビスオキサゾリンとして、下記式
【0042】
【化13】

の構造を有する(R,R)−Ph−BOX、
下記式
【0043】
【化14】

の構造を有する(S,S)−Ph−Boxが挙げられる。
また、オキサゾリン環のそれぞれにイソプロピル基が結合した光学活性ビスオキサゾリンとして、下記式
【0044】
【化15】

の構造を有する(R,R)−i−Pr−Box、
下記式
【0045】
【化16】

の構造を有する(S,S)−i−Pr−Box等が挙げられる。
中でも、立体選択性が良い点で、(R,R)―Ph−Box及び(S,S)―Ph−Boxが特に好ましい。
【0046】
また、上記不斉配位子が有する配位部位は2以上であることが好ましい。
上記不斉配位子は市販品を用いることができるし、自体公知の方法で製造することもできる。例えば、光学活性ビスオキサゾリン化合物の製造方法は、J.Am.Chem.Soc.,113,728−729(1991)には(S,S)―Ph−Boxの製造方法が記載されている。
【0047】
本発明方法において、上記不斉配位子は、一般式(2)で表されるルイス酸と共にキラル触媒を形成して働くと考えられる。
【0048】
不斉配位子の使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約0.0001モル以上が好ましく、約0.005モル以上がより好ましく、約0.02モル以上がさらに好ましい。上記範囲であれば、収率が良く、高い光学純度が得られる。また、不斉配位子の使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約1モル以下が好ましく、約0.5モル以下がより好ましく、約0.2モル以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、目的化合物の単離精製が容易である。
【0049】
スルホニルハライド
本発明方法では、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドを使用する。
置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基またはその任意の水素原子を一般式(1)のRのアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は芳香族複素環基が有することがある置換基として例示した基で置換したものが挙げられ、中でもパラメチルフェニル基、メタメチルフェニル基、パラエチルフェニル基、メタエチルフェニル基、パラプロピルフェニル基、メタプロピルフェニル基、パライソプロピルフェニル基、メタイソプロピルフェニル基、パラブチルフェニル基、メタブチルフェニル基等の炭素数1〜4のアルキルフェニル基、パラメトキシフェニル基、パラエトキシフェニル基、パライソプロポキシフェニル基、パラn−ブトキシフェニル基等の炭素数1〜4のアルコキシフェニル基、パラフルオロフェニル基、パラクロロフェニル基、パラブロモフェニル基、パライオドフェニル基等のハロフェニル基、パラカルバモイルフェニル基、パラアシルアミノフェニル基、パラアミドフェニル基、パラニトロフェニル基等が好ましく、パラメチルフェニル基、パラクロロフェニル基、パラメトキシフェニル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基が特に好ましい。
上記置換されていてもよいフェニル基は1個の水素原子が置換基で置換されていてもよく、2個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいが、1個の水素原子が置換基で置換されていることが好ましい。上記置換されていてもよいフェニル基の置換部位としては特に限定されず、オルト位、メタ位、パラ位のいずれが置換されていてもよい。
【0050】
置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、又はその任意の水素原子を置換基で置換したものが挙げられる。この場合の置換基としては、一般式(1)のRのアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は芳香族複素環基が有することがある置換基として例示した基が挙げられる。また、置換基の数は特に限定されない。置換されていてもよいアルキル基の置換部位としては特に限定されない。
置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基などの直鎖状又は分岐状のアルキル基などが挙げられる。上記置換されていてもよいアルキル基は、炭素数が1〜4のものが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
【0051】
置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの中では、置換されていてもよいフェニル基を有するスルホニルハライドが好ましい。
【0052】
スルホニルハライドのハロゲン原子は特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
【0053】
スルホニルハライドの使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約0.8モル以上が好ましく、約1モル以上がより好ましく、約1.1モル以上がさらに好ましい。上記範囲であれば、収率が良く、高い光学純度が得られる。また、スルホニルハライドの使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約3モル以下が好ましく、約2モル以下がより好ましく、約1.5モル以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、さらに反応が進行して目的化合物において水酸基がさらにスルホニル化された副生成物の生成を低減できる。
【0054】
上記の触媒(一般式(2)で表されるルイス酸、及び不斉配位子)及び反応剤を組み合わせることにより、光学活性を有しない化合物を原料化合物として用い、光学活性を有する目的化合物を優れた収率及び優れた光学純度で製造することが可能となる。
【0055】
上記触媒は均一系触媒として使用してもよく、適当な担体に担持させる等して不均一系触媒として使用してもよい。
【0056】
溶媒
本発明方法は、通常、溶媒の存在下で行えばよい。溶媒は特に限定されず、有機溶媒、無機溶媒のいずれも用いることができる。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール等のアルコール類;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグリム、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル化合物等が挙げられる。
無機溶媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の酸性水溶液;水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基性水溶液;純水、食塩水等の中性水溶液等が挙げられる。
【0057】
溶媒としては有機溶媒が好ましく、中でも、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジグリム、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、t−アミルアルコール、メチルイソブチルケトンがより好ましい。
溶媒は単独で用いてもよいし、2種又はそれ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
溶媒の使用量は特に限定されないが、原料物質に対して過剰量であればよく、例えば、一般式(1)で示される原料化合物の1重量部に対して、0.1〜100重量部とすることができる。
【0059】
塩基
本発明方法は、塩基の存在下で行うことができ、それにより、反応を促進することができる。また、HClの蓄積によるアジリジン環の開環を防止することができる。
使用できる塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、炭酸バリウム、炭酸リチウムのような炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウムのようなリン酸塩;アンモニア等の無機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基などが挙げられる。中でも、無機塩が好ましく、炭酸塩がより好ましい。
塩基は単独で用いてもよいし、2種又はそれ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
塩基の使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約1モル以上が好ましく、約1.5モル以上がより好ましく、約2モル以上がさらに好ましい。上記範囲であれば、十分に反応を促進できる。また、塩基の使用量は、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約5モル以下が好ましく、約3モル以下がより好ましく、約2.5モル以下がさらに好ましい。上記範囲であれば、反応系の不均一性が増して撹拌効率が悪くなる恐れがない。
【0061】
添加剤
本発明方法は、さらに、メタノール、イソプロパノールのような炭素数1〜4の1価アルコールなどの添加剤の存在下で行うことが好ましく、これにより、反応系の均一性が増し、収率、及び/又は光学純度を向上させることができる。
添加剤は単独で用いてもよいし、2種又はそれ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
添加剤の使用量は、その種類によって異なるが、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約1モル以上が好ましく、約3モル以上が好ましい。また、添加剤の使用量は、その種類によって異なるが、一般式(1)で表される原料化合物の1モルに対して、約20モル以下が好ましく、約8モル以下が好ましい。上記範囲であれば、十分に添加剤の作用が発揮される。
【0063】
【化17】

【0064】
反応
本発明方法では、反応式iで示す2段階反応が一挙に行われる。原料化合物(A)の一方の水酸基の水素原子が、スルホニルハライドに由来する、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基Rを有するスルホニル基で、立体選択的に置換された中間生成物(B)を経由して、さらに閉環することで、光学活性アジリジン化合物(C)が生成すると考えられる。
上記反応では、使用する上記不斉配位子の立体選択性に応じて生成するアジリジン化合物の光学活性が決まる。例えば、上記不斉配位子として(R,R)−Ph−Boxを使用したときは、(R)体のアジリジン化合物が(S)体のアジリジン化合物と比較して優先的に生成する。ここで、(S)体のアジリジン化合物もある程度の量で一旦生成すると考えられる。ところが、後述するアジリジンの光学分割反応に示されるように本発明の反応条件下では、(S)体のアジリジンが分解していくため、(R)体の立体選択性が高くなると考えられる。
【0065】
なお、本明細書中において、「光学活性」とは、不斉炭素においてその立体配置が異なる異性体の等量混合物(例えば、ラセミ体)でないことを意味し、一方の立体異性体が過剰に存在する場合であれば、光学活性と定義される。
【0066】
本発明方法において、各化合物の混合順序は特に限定されないが、一般式(2)で表されるルイス酸と不斉配位子とを別途混合しておき、この混合物と、一般式(1)の化合物、及びスルホニルハライドとを混合することが好ましい。また、溶媒を用いる場合は、一般式(2)で表されるルイス酸と不斉配位子とを混合する際に溶媒を添加することが好ましく、これにより、キラル触媒が形成され易い。また、塩基や添加剤を使用する場合の添加タイミングは、特に限定されないが、通常は、一般式(2)で表されるルイス酸、不斉配位子、一般式(1)の化合物、及びスルホニルハライドの混合時に添加すればよい。
また、スルホニルハライドは全量を一度に添加してもよいが、約1〜24時間、特に約6〜10時間かけて少しづつ添加することが好ましく、これにより目的化合物の収率を向上させることができる。スルホニルハライドは、溶媒に希釈して添加することが好ましい。
【0067】
反応温度は特に限定されず、例えば、約−20〜80℃とすることができ、約5〜40℃が好ましく、約15〜30℃がより好ましい。
反応圧力は特に限定されず、減圧下、大気圧下、又は加圧下のいずれであってもよい。反応圧力は、例えば、約0.1〜20Paとすることができ、約0.7〜1.2Paが好ましい。
このように、本発明方法は、常温常圧下で反応を進行させることができるため、製造設備を簡略化することができ、製造コストを削減できる。
反応時間は特に限定されず、例えば、約5分〜72時間とすることができ、中でも、約10分〜48時間が好ましく、約6〜24時間がさらにより好ましい。
上記反応は上記原料を、好ましくは撹拌下に混合することにより進行させることができる。
【0068】
生成物
上記反応により生成する目的化合物は、下記一般式(3)
【化18】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性アジリジン化合物である。
【0069】
本発明方法の目的化合物は、上記一般式(3)(式中、R及びRは、式(1)と同じ。ただし、Rがp位の水素原子がメチル基又はニトロ基で置換されたフェニル基で、Rが水素原子である化合物;及びRがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基又はベンジル基である化合物のS体を除く。*は不斉であることを表す。)で表される光学活性アジリジン化合物であっても良い。
さらに、上記一般式(3)(式中、R及びRは、式(1)と同じ。但し、Rがp位の水素原子がメチル基又はニトロ基で置換されたフェニル基で、Rが水素原子である化合物;Rがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基又はベンジル基である化合物のS体;及びRがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基である化合物を除く。*は不斉であることを表す。)で表される光学活性アジリジン化合物であっても良い。
【0070】
なお、一般式(1)において、Rに代えて、一般式(1)のRと同じであるか、又はヒドロキシメチル基を有する化合物を原料化合物として用いると、下記一般式(8)
【化19】

(式中、Rは、一般式(1)のRと同じであるか、又は−CHOSOで示される基であり、Rは一般式(1)のRと同じ。Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。但し、Rがp位の水素原子がメチル基又はニトロ基で置換されたフェニル基で、Rが水素原子である化合物;及びRがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基又はベンジル基である化合物のS体は除く。*は不斉であることを表す。)
で表される化合物が得られる。本発明は、一般式(8)で表される化合物を包含する。
さらに、上記一般式(8)(式中、Rは、一般式(1)のRと同じであるか、又はCHOSOで示される基であり、Rは一般式(1)のRと同じ。Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。但し、Rがp位の水素原子がメチル基又はニトロ基で置換されたフェニル基で、Rが水素原子である化合物;Rがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基又はベンジル基である化合物のS体;及びRがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基である化合物を除く。*は不斉であることを表す。)で表される光学活性アジリジン化合物であっても良い。
【0071】
一般式(3)及び一般式(8)において、R及びRは、一般式(1)の化合物について述べた通りであるが、一般式(3)の化合物の好ましいものについて詳述すれば、Rは、炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5〜8員の単環式、多環式若しくは縮合環式のヘテロアリール基;又は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基若しくはアリール基で置換されている、炭素数6〜20のアリール基(特に、フェニル基)であることが好ましい。
中でも、ハロゲン原子、ニトロ基、又はアルキル基(特に炭素数1のアルキル基)の、例えば1〜3個、特に1個で置換されたフェニル基であることが好ましい。
【0072】
で表される反応に関与しない基は、上記一般式(3)及び一般式(8)で表される各化合物又はその塩を製造する反応に関与しない基であればよく、具体的には、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アラルケニル基、アルキニル基、アラルキニル基等の炭化水素基が好ましい。アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基の具体例としては、上記Rで挙げたものと同じものが挙げられる。
としては、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基が好ましい。
【0073】
とRとの好ましい組み合わせとして、Rがアルキル基(特に炭素数1のアルキル基)の1〜2個(特に1個)で置換されたフェニル基であり、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、又はアラルキニル基である組み合わせが挙げられる。
【0074】
一般式(3)及び一般式(8)で表される目的化合物は、それぞれ、塩として得てもよい。上記目的化合物を含む塩としては、上記目的化合物由来のイオンが対イオンとイオン結合していればよく、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩等の無機塩;アンゲリカ酸(angelic acid)、リジン、エタノールアミン、N,N'―ジベンジルエチレンジアミン等との有機塩等の薬学的に許容できる塩等が挙げられる。
【0075】
生成物の分離
上記反応によって生成する一般式(3)及び一般式(8)で表される目的化合物は、それぞれ、単離若しくは精製されてもよいし、単離若しくは精製されることなく合成中間体として次の反応に供してもよい。単離精製のための手段は、公知手段により行われる。そのような手段としては、蒸留、濃縮、抽出、結晶化、クロマトグラフィー、濾過、透析、遠心分離等公知の手段が便宜に採用される。
【0076】
生成物の用途
一般式(3)及び一般式(8)で表される各目的化合物は、食品用化合物、医薬化合物、工業原料化合物、農業用化合物等の種々の化合物の合成原料として用いることができる。具体的には、アミノ酸、βラクタム系抗生剤、アルカロイドなどの合成原料として使用できる。
上記目的化合物は、単独で用いることもできるし、複数の化合物を混合した状態で用いることも可能である。また、上記目的化合物は、固体、液体及び気体のいずれの状態で用いてもよい。
【0077】
副生成物
上記反応により、下記一般式(4)
【化20】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じである。Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。)
で表される化合物のラセミ体が副生成物として生成することがある。
【0078】
一般式(4)中のR及びRの具体例としては、上記一般式(1)と同じものが挙げられる。またRの具体例としては、上述のスルホニルハライドで挙げている、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基と同じものが挙げられる。
【0079】
一般式(4)の化合物の好ましいものについて詳述すれば、Rは、炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5〜8員の単環式、多環式若しくは縮合環式のヘテロアリール基;又は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基若しくはアリール基で置換されている、炭素数6〜20のアリール基(特に、フェニル基)であることが好ましい。
中でも、ハロゲン原子、ニトロ基、又はアルキル基(特に炭素数1のアルキル基)の、例えば1〜3個、特に1個で置換されたフェニル基であることが好ましい。
【0080】
で表される反応に関与しない基は、上記一般式(3)及び一般式(8)で表される化合物又はその塩を製造する反応に関与しない基であればよく、具体的には、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アラルケニル基、アルキニル基、アラルキニル基等の炭化水素基が好ましい。アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基の具体例としては、上記Rで挙げたものと同じものが挙げられる。
としては、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基が好ましい。
【0081】
とRとの好ましい組み合わせとして、Rがアルキル基(特に炭素数1のアルキル基)の1〜2個(特に1個)で置換されたフェニル基であり、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、又はアラルキニル基である組み合わせが挙げられる。
【0082】
一般式(4)中のRで表される置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基またはその任意の水素原子を一般式(1)のRのアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は芳香族複素環基が有することがある置換基として例示した基で置換したものが挙げられ、中でもパラメチルフェニル基、メタメチルフェニル基、パラエチルフェニル基、メタエチルフェニル基、パラプロピルフェニル基、メタプロピルフェニル基、パライソプロピルフェニル基、メタイソプロピルフェニル基、パラブチルフェニル基、メタブチルフェニル基等の炭素数1〜4のアルキルフェニル基;パラメトキシフェニル基、パラエトキシフェニル基、パライソプロポキシフェニル基、パラn−ブトキシフェニル基等の炭素数1〜4のアルコキシフェニル基、パラフルオロフェニル基、パラクロロフェニル基、パラブロモフェニル基、パライオドフェニル基等のハロフェニル基、パラカルバモイルフェニル基、パラアシルアミノフェニル基、パラアミドフェニル基、パラニトロフェニル基等が好ましく、パラメチルフェニル基、パラクロロフェニル基、パラメトキシフェニル基、パラニトロフェニル基、オルトニトロフェニル基が特に好ましい。
上記置換されていてもよいフェニル基は1個の水素原子が置換基で置換されていてもよく、2個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいが、1個の水素原子が置換基で置換されていることが好ましい。上記置換されていてもよいフェニル基の置換部位としては特に限定されず、オルト位、メタ位、パラ位のいずれが置換されていてもよい。
【0083】
一般式(4)中のRで表される置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、又はその任意の水素原子を置換基で置換したものが挙げられる。この場合の置換基としては、一般式(1)のRのアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は芳香族複素環基が有することがある置換基として例示した基が挙げられる。また、置換基の数は特に限定されない。置換されていてもよいアルキル基の置換部位としては特に限定されない。
置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、ステアリル基などの直鎖状又は分岐状のアルキル基などが挙げられる。上記置換されていてもよいアルキル基は、炭素数が1〜4のものが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
【0084】
一般式(4)で表される化合物は、化合物単独で得られてもよいし、塩として得られてもよい。上記目的化合物を含む塩としては、上記目的化合物由来のイオンが対イオンとイオン結合していればよく、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩等の無機塩;アンゲリカ酸(angelic acid)、リジン、エタノールアミン、N,N'―ジベンジルエチレンジアミン等の有機塩の薬学的に許容できる塩等が挙げられる。
【0085】
一般式(4)で表される化合物は、単離若しくは精製されてもよいし、単離若しくは精製されることなく合成中間体として次の反応に供してもよい。単離精製のための手段は、公知手段により行われる。そのような手段としては、蒸留、濃縮、抽出、結晶化、クロマトグラフィー、濾過、透析、遠心分離等公知の手段が便宜に採用される。
【0086】
一般式(4)で表される化合物は、医療用、工業用、農業用等の種々の目的に用いられる。具体的な用途として、有用化合物の合成に用いる合成中間体が挙げられ、その際、スルホニルオキシ基を加水分解して光学活性を有するアジリジン化合物とし、アミノ酸、βラクタム系抗生剤、アルカロイドなどの合成中間体として用いることもでき、スルホニルオキシ基をアジド基、シアノ基、アミノ基等に変換した上で有用化合物の合成に用いる合成中間体とすることもできる。
一般式(4)で表される化合物は、単独で用いることもできるし、複数の化合物を混合した状態で用いることも可能である。また、一般式(4)で表される化合物は、固体、液体及び気体のいずれの状態で用いてもよい。
【0087】
(II)アジリジン化合物の光学分割
本発明は、下記一般式(5)
【化21】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。)
で表される化合物のラセミ体を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下に反応させ、下記一般式(3)
【化22】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じである。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性化合物又はその塩の(R)体又は(S)体を光学選択的に生成する製造方法を包含する。
【0088】
原料化合物
本発明で使用される上記一般式(5)で表される原料化合物は、一般式(3)で表される化合物のラセミ体である。原料化合物はラセミ体(化学構造が鏡像の関係にある一対の光学異性体を等量混合した物質をいう)であるため、光学活性を有さない。
【0089】
触媒
上記光学分割においても、上記一般式(2)で表されるルイス酸を用いる。ルイス酸の好ましいものも、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について前述した通りである。
一般式(2)で表されるルイス酸の使用量は、一般式(5)で示される化合物1モルに対して、約0.001〜1モルであればよく、約0.005モル〜0.5モルが好ましく、約0.01〜0.2モルがより好ましい。
【0090】
上記光学分割において使用される一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子としては、光学活性アジリジン化合物の製造方法について述べたものが挙げられる。不斉配位子の好ましいものも、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について前述した通りである。
上記不斉配位子の使用量は、一般式(5)で示される化合物1モルに対して、約0.001〜1モルであればよく、約0.005モル〜0.5モルが好ましく、約0.01〜0.2モルがより好ましい。
【0091】
スルホニルハライド
上記光学分割において使用される置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドは、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について述べたものが挙げられる。スルホニルハライドの好ましいものも、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について前述した通りである。
上記スルホニルハライドの使用量は、一般式(5)で示される化合物1モルに対して、約0.1〜10モルであればよく、約0.3〜5モルが好ましく、約0.5〜3モルがより好ましい。
【0092】
溶媒
上記光学分割反応は、通常溶媒の存在下で行えばよい。溶媒は特に限定されず、有機溶媒、無機溶媒のいずれも用いることができるが、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について述べたものが挙げられる。スルホニルハライドの好ましいものも、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について前述した通りである。
溶媒の使用量は特に限定されないが、原料物質に対して過剰量であればよく、例えば一般式(5)で示される化合物1重量部に対して、約0.1〜100重量部とすることができる。
【0093】
塩基
上記光学分割反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。反応に使用されうる塩基としては、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について述べたものが挙げられる。塩基の好ましいものも、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)について前述した通りである。
塩基の使用量は、一般式(5)で示される化合物1モルに対して、約0.1〜10モルであればよく、約0.3モル〜8モルが好ましく、約0.5〜5モルがより好ましい。
【0094】
反応
本発明により、一般式(3)で表される化合物のラセミ体(一般式(5)で表される化合物)を原料として、一般式(3)で表される光学活性を有する化合物の(R)体又は(S)体が光学選択的に生成する。
上記反応では、使用される上記不斉配位子の立体選択性に応じて、生成するアジリジン化合物(一般式(3))の光学活性が決まる。例えば、上記不斉配位子として(R,R)−Ph−Boxを使用したときは、(R)体の一般式(3)で表されるアジリジン化合物が生成する。ここで、(S)体の一般式(3)で表されるアジリジン化合物は、(S)体のアジリジンが分解していくため、(R)体の立体選択性が高くなると考えられる。
【0095】
反応条件、反応物の分離、生成物の用途は、上記光学活性なアジリジン又はその塩の製造方法で用いたものと同じものが挙げられる。
【0096】
(III)光学活性アジリジン化合物の製造方法(2)
本発明は、下記一般式(6)
【化23】

(式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくは芳香族複素環基、又はこれらの官能基中の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基を示す。)
で表される化合物を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下で、反応させることにより、下記一般式(7)
【化24】

(式中、Rは、一般式(6)と同じであり、Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性アジリジン化合物を製造する方法を包含する。
【0097】
としては、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)の一般式(1)について説明したものが挙げられる。
また、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドは光学活性アジリジン化合物の製造方法のスルホニルハライドと同じである。
一般式(7)の化合物のRとして、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)のスルホニルハライドの置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基として説明したものが挙げられる。
ルイス酸、不斉配位子、塩基、溶媒などは、光学活性アジリジン化合物の製造方法(1)と同様である。
但し、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの使用量は、一般式(6)で示される化合物1モルに対して、約0.2〜20モルであればよく、約0.6モル〜10モルが好ましく、約1〜6モルがより好ましい。また塩基の使用量は、一般式(6)で示される化合物1モルに対して、約0.2〜20モルであればよく、約0.6モル〜16モルが好ましく、約1〜10モルがより好ましい。
反応
本発明では、原料化合物のひとつの水酸基のスルホニル化に続く閉環反応により、アジリジンが構築され(下記中間生成物)、さらに、この中間生成物の一方の水酸基が、スルホニルハライドに由来する、置換されていても良いアルキル基又はフェニル基を有するスルホニル基で、立体選択的に置換されることで、一般式(7)の光学活性アジリジン化合物が生成すると考えられる。
【化25】

【実施例】
【0098】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各実施例における物性の測定は、以下の条件で行った。
【0099】
(測定条件)
融点は、Yanaco社製の「MICRO MELTING POINT APPARATUS」用いて測定した。測定値はすべて未補正である。
赤外吸収スペクトル(IR) は、島津製作所社製の「FTIR−8400S」を用いて測定した。
核磁気共鳴スペクトル(NMR) は、「VARIAN Gemini−300(300MHz)」または「JEOL JNM−AL400」を用いて測定した。内部標準物質としてTMS(Tetramethylsilane)を用い、測定溶媒としてCDClを用いて室温下で測定した。測定値はすべてδ(ppm)で示した。
旋光度は、日本分光社製の「DIP−1000」を用いて測定した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、送液ポンプとして島津製作所社製の「LC−20AT」を、UV検出器として島津製作所社製の「SPD−20A」、記録装置として「C−R8A CHROMATOPAC」を、光学活性カラムとしてダイセル化学工業社製の「CHIRALPAC」シリーズを用いて測定した。HPLCにおける保持時間の差から、光学純度を決定した。
質量分析(MS)は、日本電子社製の「JMS−700N」を用いて測定した。
カラムクロマトグラフィーは、ナカライテスク社製の「Silica Gel 60,spherical,neutrality」を用いて測定した。
反応に用いた溶媒及び試薬は特記ない限り、市販品を使用した。また、抽出溶媒の乾燥には無水硫酸ナトリウムを用いた。
【0100】
実施例1
室温、常圧にて実験を行った。ジクロロメタン(CH2Cl2) 2ml中で、Cu(OTf)2 0.05 mmolと(R,R)-Ph-BOX 0.05 mmolとを混合し、10分間撹拌した。この溶液に、原料として、下記構造式
【化26】

の化合物 0.5 mmol、K2CO3 0.75 mmol、及び塩化パラトルエンスルホニル(TsCl) 0.6 mmol をこの順に加え、室温で12時間撹拌した。その後、水を加えて反応を終結させ、ジクロロメタン(CH2Cl2)で3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム(Mg2SO4)で乾燥し、ろ過した後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n-ヘキサン: 酢酸エチル = 3 : 1(v/v) )で精製し、(R)-N-(p-toluenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineを得た。収率は55% 、光学純度を測定したところ、88 % eeの(R)−(+)体であった。
【0101】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化27】

White oil; IR (neat) ν= 3483, 2928, 1454, 1302, 1153, 1038 cm−1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.87 (dd, J = 12.6, 6.6 Hz, 1H), 3.71 (dd, J = 12.6, 5.7 Hz, 1H), 2.63 (s, 1H), 2.54 (s, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.29 (br t, J = 7.2 Hz, 1H), 16.5 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 144.1, 137.3, 129.6, 127.2, 65.1, 51.5, 38.6, 21.5, 17.0; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mm φ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 mL/ min, retention time: 14 min (major), 19 min(minor): [α]17.8D + 3.6 (c 1.75, CDCl3, 88% ee); Ms [HR-FAB(+)] m/z calcd for C11H16NO3S [M+H]+: 242.0851, found 242.0869.
上記生成化合物の絶対配置はTBDPS保護した後、旋光度を文献値と比較し決定した。
【0102】
実施例2
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いたほかは、実施例1と同様にしてN-benzenesulfonyl-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineを得た。収率は56% 、光学純度を測定したところ、88% eeの(+)体であった。
【化28】

【0103】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化29】

White oil; IR (neat) ν= 3500, 2936, 1306, 1155, 1039 cm−1 ; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.95 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.55-7.64 (m, 3H), 3.87 (dd, J = 12.6, 6.9 Hz, 1H), 3.75 (dd, J = 12.6, 6.9 Hz, 1H), 2.66 (s, 1H), 2.57(s, 1H), 2.26 (br t, J = 7.2 Hz, 1H), 1.66 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 140.2, 133.2, 129.0, 127.2, 65.1, 51.7, 38.7, 17.1; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 14min (minor), 16 min (major); [α]17D + 6.2 (c 1.0, CDCL3, 88% ee); MS [HR-FAB(+)] m/z calcd for C10H14NO3S [M+H]+: 228.0695, found 228.0709.
【0104】
実施例3
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いたほかは、実施例1と同様にしてN-(p-chlorobenzenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineを得た。収率は24% 、光学純度を測定したところ、98% eeの(+)体であった。
【化30】

【0105】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化31】

White oil; IR (neat) ν= 3505, 2938, 1584, 1395, 1159, 1090 cm−1, 1H-NMR (300 MHz, CDCl3 ) δ7.89 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.88 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 3.71 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 2.65 (s, 1H), 2.56 (s, 1H), 2.27 (s, 1H), 1.66 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 139.9, 138.7, 129.3, 128.8, 65.1, 52.1, 38.9, 17.2; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 12 min (major), 18 min (minor): [α]15.4D + 1.6 (c 1.3, CDCl3, 98% ee ); MS [HR-FAB(+)] m/z calcd for C10H1335ClNO3S [M+H]+: 262.0304, found 262.0292.
【0106】
実施例4
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いたほかは、実施例1と同様にしてN-(p-bromobenzenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineを得た。収率は11% 、光学純度を測定したところ、98% eeの(+)体であった。
【化32】

【0107】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化33】

White oil; IR (neat) ν= 3526, 1389, 1314, 1155, 1009 cm−1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.81 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.68 (d, J = 8.7 Hz 2H), 3.88 (dd, J = 12.6, 6.9 Hz, 1H), 3.71 (dd, J = 12.6, 6.9 Hz, 1H) 2.66 (s, 1H), 2.56 (s, 1H), 2.23 (br t, J = 7.2, 1H) 1.66 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 139.2, 132.3, 128.8, 128.4, 65.1, 52.1, 38.9, 17.1; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 13 min (major), 21 min (minor); [α]26.3 D +5.3 (c 1.5, CDCl3, 98% ee); MS [HR-EI] m/z calcd for C10H1279BrNO3S [M]: 304.9721, found 304.9717.
【0108】
実施例5
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いるほかは、実施例1と同様にしてN-(p-nitrobenzenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineを得た。収率は22% 、光学純度を測定したところ、98 % eeの(+)体であった。
【化34】

【0109】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化35】

White oil; IR (neat) ν = 3566, 2928, 1607, 1530, 1042, 829 cm-1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.39 (d, J = 9 Hz, 2H), 8.14 (d, J = 9.3 Hz, 2H) 3.92 (dd, J = 12.9 Hz, 5.7 Hz, 1H) 3.65 (dd, J = 12.6 Hz, 5.4 Hz, 1H), 2.73 (s, 1H) 2.63 (s, 1H), 2.20 (s, 1H), 1.69 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 150.4, 146.7, 128.6, 124.3, 65.1, 53.0, 39.5; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 24 min (major), 31 min (minor); [α]21.2 D +7.0 (c 0.5, CDCl3, 98% ee) ; MS [HR-EI] m/z calcd for C10H12N2O5S [M]: 272.0467, found 272.0450.
【0110】
実施例6
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いるほかは、実施例1と同様にしてN-(o-toluenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineを得た。収率は24% 、光学純度を測定したところ、97 % eeの(−)体であった。
【化36】

【0111】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化37】

White oil; IR (neat); ν= 3503, 2936, 1717, 1312, 1157 cm-1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.97 (d, J = 7.8Hz, 1H) 7.52-7.47 (m, 1H), 7.36-7.33 (m, 2H), 3.92 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 2.79 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 2.74 (s, 3H), 1.63 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 21 min (minor), 22 min (major); [α]26.0 D -7.5 (c 1.0, CDCl3, 97% ee) ; MS [HR-EI] m/z calcd for C11H16NO3S [M]: 242.0851, found 242.0849.
【0112】
実施例7
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いるほかは、実施例と同様にしてN-(2,4,6-trimethylbenzenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineを得た。収率は48% 、光学純度を測定したところ、91 % eeの(−)体であった。
【化38】

【0113】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化39】

White oil; IR (neat); ν= 3524, 2940, 2342, 1316, 1153, 939 cm-1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.26 (s, 1H), 3.93 (dd, J = 12Hz, 7.8 Hz, 1H), 3.78 (dd, J = 12.6 Hz, 5.7 Hz, 1H), 2.72 (s, 1H), 2.68 (s, 6H), 2.59 (s, 1H), 2.47 (s, 1H), 2.31 (s, 3H) 1.60 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 142.8, 139.3, 134,6, 131.8, 65.2, 51.1, 39.1, 22.9, 20.9, 18.1; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 16 min (major), 17 min (minor); [α]21.0 D -11.4 (c 1.0, CDCl3, 91% ee); MS [HR-EI] m/z calcd for C13H19NO3S [M]: 269.1086, found 269.1097.
【0114】
実施例8
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いるほかは、実施例と同様にしてN-(p-toluenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-ethylaziridineを得た。収率は59% 、光学純度を測定したところ、94% eeの(−)体であった。
【化40】

【0115】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化41】

White oil; IR (neat); ν = 3545, 2972, 1597, 1400, 1088, 1040 cm-1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.83 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.34 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 4.09 (dd, J = 13.2 Hz, 7.8 Hz, 1H), 3.87 (dd, J = 13.2 Hz, 4.8 Hz, 1H), 2.71 (s, 1H), 2.66 (br, 1H), 2.40 (s, 1H), 2.07 (dq, J = 15.0Hz, 7.5 Hz, 1H), 1.79 (dq, J = 15.0 Hz, 7.8 Hz, 1H), 1.01 (t, J = 7.5 Hz, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ144.1, 137.3, 129.5, 127.2, 62.5, 56.3, 37.8, 25.1, 21. 5 9.7; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 13 min (major), 15 min (minor); [α]24.3 D -35.7 (c 1.0, CDCl3, 94% ee); MS [HR-EI] m/z calcd for C13H19NO3S [M]: 255.0929, found 255.0936.
【0116】
実施例9
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いるほかは、実施例と同様にして(R)-N-(p-toluenesulfonyl)-2-hydroxymethylaziridineを得た。収率は88% 、光学純度を測定したところ、99 % eeの(+)体であった。
【化42】

【0117】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化43】

White oil; IR (neat); ν = 3477, 2361, 1597, 1223, 1157 cm-1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.84 (d, 8.7 Hz, 2H), 7.36 (d, 8.4Hz, 2H), 3.91-3.84 (m, 1H), 3.58-3.52 (m, 1H), 2.64 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 2.46 (s, 1H), 2.32 (d, 4.2 Hz, 1H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 144.5, 134.5, 129.8, 127.9, 100.5, 60.8, 40.4, 30.9, 21.6, 17.1;HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 12 min (major), 56 min (minor); [α]22.3 D 28.1 (c 1.0, AcOEt, 99% ee); MS [HR-EI] m/z calcd for C10H13NO3S[M]:227.0616, found 227.0608.
絶対配置は旋光度の文献値との比較により決定した。
【0118】
実施例10
実施例1において、原料化合物として下記構造式の化合物を用いるほかは、実施例と同様にして(R)-N-(p-toluenesulfonyl)-2-benzyl-2-hydroxymethyl-aziridineを得た。収率は88% 、光学純度を測定したところ、94 % eeの(+)体であった。
【化44】

【0119】
上記反応により得られた光学活性アジリジン化合物の構造及び物性データを示す。
【化45】

White oil; IR (neat); 3495, 2985, 2561, 1456, 1304, 1153 cm-1; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.84 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.36-7.21 (m, 7H), 3.98 (dd, J = 13.2 Hz, 3.6 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 11.7 Hz, 4.8 Hz, 1H), 3.47 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 2.95 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 2.76 (br, 1H), 2.71 (s, 1H), 2.51 (s, 1H), 2.45 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ 144.3, 137.1, 136.1, 129.6, 128.5, 127.3, 126.9, 52.4, 55.5, 38.1, 37.8,21.6; HPLC chiralpak AY-H column (4.6 mmφ, 250 mm), n-Hexane : Ethanol = 6 : 1, wavelength: 254 nm, flow rate: 1.0 ml/ min, retention time: 22 min (major), 29 min (minor); [α]21.1 D 28.1 (c 1.0, CH2Cl2, 94% ee); MS [HR-EI] m/z calcd for C17H19NO3S[M]: 317.1085 found 317.1085.
絶対配置は旋光度の文献値との比較により決定した。
【0120】
実施例11
室温、常圧にて実験を行った。ジクロロメタン(CH2Cl2) 2ml中で、Cu(OTf)2 0.05 mmolと(R,R)-Ph-BOX 0.05 mmolとを混合し、10分間撹拌した。この溶液に、原料として、下記構造式
【化46】

の化合物(N-(p-toluenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineのラセミ体) 0.5 mmol、K2CO3 0.75 mmol、及び塩化パラトルエンスルホニル(TsCl) 0.6 mmol をこの順に加え、室温で12時間撹拌した。その後、水を加えて反応を終結させ、ジクロロメタン(CH2Cl2)で3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム(Mg2SO4)で乾燥し、ろ過した後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n-ヘキサン: 酢酸エチル = 3 : 1(v/v) )で精製し、(R)-N-(p-toluenesulfonyl)-2-hydroxymethyl-2-methylaziridineの光学活性体を得た。収率は30% 、光学純度を測定したところ、94 % eeの(R)−(+)体であった。
【0121】
40%の収率で、下記反応式に示す副生成物が生じた。
【化47】

【0122】
スルホニルハライドの種類の検討
実施例1において、スルホニルハライドを種々変化させて、実施例1と同様の条件で光学活性アジリジン化合物を合成した。スルホニルハライド(RSO2Cl)の構造、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表1に示す。表1において、スルホニルハライドは一般式RSO2Cl(式中、Rは、置換基R’を有するフェニル基を示す)で表される化合物である。
【表1】

スルホニルハライドの種類にかかわらず、実用的な収率、及び光学純度が得られた。
【0123】
溶媒の種類の検討
実施例1において、溶媒の種類を種々変化させて、実施例1と同様の条件で光学活性アジリジン化合物を合成した。溶媒、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表2に示す。
【表2】

溶媒の種類にかかわらず、実用的な収率、及び光学純度が得られた。
【0124】
溶媒の使用量の検討
実施例1において、溶媒の使用量を種々変化させて、実施例1と同様の条件で光学活性アジリジン化合物を合成した。塩基の使用量は実施例1と異なる場合がある。溶媒の使用量、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表3に示す。
【表3】

*:実施例1の溶媒量を、それぞれ2ml、1ml、4mlとした点、且つ、塩化パラトルエンスルホニルを一度に添加するのに代えて、1.6mlのジクロロメタンに溶かした塩化パラトルエンスルホニルを8時間かけて添加した点(ジクロロメタンの合計量は、3.6ml、2.6ml、5.6mlとなる。)が、実施例1と異なる。
溶媒量にかかわらず、実用的な収率、及び光学純度が得られた。
また、スルホニルハライドを長時間かけて少しづつ添加することにより、収率が高くなった。
【0125】
N-保護基の種類の検討
実施例1において、原料化合物である一般式(1)の化合物のR2SO2-(N-保護基)中のR2を種々変化させて、実施例1と同様の条件で光学活性アジリジン化合物を合成した。塩基、塩基の使用量、スルホニルハライドは実施例1と異なる場合がある。R2の構造、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表4に示す。表4において、R2は置換基Rを有するフェニル基である。
【表4】

*:塩化パラトルエンスルホニルを一度に添加するのに代えて、1.6mlのジクロロメタンに溶かした塩化パラトルエンスルホニルを8時間かけて添加した点(ジクロロメタンの合計量は、3.6mlとなる。)が、実施例1と異なる。
**:塩基をK2CO3に代えてNa2CO3を使用し、塩基の使用量を0.75mmolに代えて1mmolとした点、スルホニルハライドとして塩化パラトルエンスルホニル(TsCl)に代えて塩化パラニトロベンゼンスルホニル(p-NsCl)を使用し、塩化パラニトロベンゼンスルホニル(p-NsCl)は、1.6mlのジクロロメタンに溶かしたものを、8時間かけて添加した(ジクロロメタンの合計量は3.6mlである。)点が、実施例1と異なる。
N-保護基の種類にかかわらず、実用的な収率、及び光学純度が得られた。
【0126】
塩基の種類の検討
実施例1において、塩基の種類を種々変化させて、実施例1と同様の条件で光学活性アジリジン化合物を合成した。塩基の使用量は実施例1と異なる場合がある。塩基、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表5に示す。
【表5】

塩基の種類にかかわらず、実用的な収率、及び光学純度が得られた。
【0127】
塩基の使用量の検討
実施例1において、塩基K2CO3の使用量を種々変化させて、実施例1と同様の条件で光学活性アジリジン化合物を合成した。塩基の使用量、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表6に示す。
【表6】

上記範囲では、塩基の使用量は収率及び光学純度には殆ど影響しなかった。
【0128】
添加剤・スルホニルハライドの添加時間の検討
実施例1において、原料化合物、K2CO3、及びスルホニルハライドと共に最後に添加剤を2.5mmol加え、又はスルホニルハライドの添加時間を変化させた。また、塩基K2CO3の使用量を0.75mmolに代えて1mmolとした。その他の条件は実施例1と同様にして、光学活性アジリジン化合物を合成した。スルホニルハライド(一般式RSO2Cl(式中、Rは、置換基R’を有するフェニル基を示す))のR中のR’、添加剤、スルホニルハライドの添加時間、収率、及び光学純度を、以下の表7に示す。
【表7】

*:塩化パラトルエンスルホニルを一度に添加するのに代えて、1.6mlのジクロロメタンに溶かした塩化パラトルエンスルホニルを8時間かけて添加した点(ジクロロメタンの合計量は、3.6mlとなる。)が、実施例1と異なる。
メタノール、及びイソプロパノールは、収率又は光学純度を向上させる好適な添加剤であった。また、塩化パラトルエンスルホニルを時間をかけて少しづつ添加することにより収率が向上した。
【0129】
実施例1において、塩基、スルホニルハライドの種類を種々変化させ、塩基の使用量を0.75mmolに代えて1mmolにしたほかは(但し、表中、塩基がK2CO3 で、スルホニルハライドのR中のR’がp-Me の場合の、塩基の使用量は0.75mmolである)、実施例1と同じ条件で、光学活性アジリジン化合物を合成した。塩基の種類、スルホニルハライド(一般式RSO2Cl(式中、Rは、置換基R’を有するフェニル基を示す))のR中のR’、収率、及び光学純度を、以下の表8に示す。
【表8】

*:塩化パラトルエンスルホニルを一度に添加するのに代えて、1.6mlのジクロロメタンに溶かした塩化パラトルエンスルホニルを8時間かけて添加した点(ジクロロメタンの合計量は、3.6mlとなる。)が、実施例1と異なる。
【0130】
ルイス酸の種類の検討
実施例1において、ルイス酸の種類を種々変化させ、塩基の使用量を0.75mmolに代えて1mmolにし、を用いたほかは、実施例1と同じ条件で、光学活性アジリジン化合物を合成した。ルイス酸の種類、収率、及び光学純度を、以下の表9に示す。
【表9】

*:塩基の使用量は0.75mmol
ルイス酸の種類にかかわらず、実用的な収率、及び光学純度が得られた。
【0131】
原料化合物の置換基の種類の検討
実施例1において、原料化合物である一般式(1)の化合物のRを種々変化させ、塩基をK2CO3に代えてNa2CO3を使用し、塩基の使用量を0.75mmolに代えて1mmolにし、スルホニルハライドとして塩化パラトルエンスルホニル(TsCl)に代えて塩化パラニトロベンゼンスルホニル(p-NsCl)を使用した。塩化パラニトロベンゼンスルホニル(p-NsCl)は、1.6mlのジクロロメタンに溶かしたものを、8時間かけて添加した(ジクロロメタンの合計量は3.6mlである。そのほかは、実施例1と同じ条件で、光学活性アジリジン化合物を合成した。Rの構造、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表10に示す。Rがメチル基、水素原子、又はベンジル基である場合、(R)体が得られた。
【表10】

R1の種類にかかわらず、実用的な収率、及び光学純度が得られた。
【0132】
スルホニルハライドの置換基の種類の検討
実施例1において、スルホニルハライドの種類を種々変化させ、塩基の使用量を0.75mmolに代えて1mmolにしたほかは、実施例1と同じ条件で、光学活性アジリジン化合物を合成した。反応を以下に示す。
【化48】

スルホニルハライド(一般式RSO2Cl(式中、Rは、置換基R’を有するフェニル基を示す))のR中のR’、各反応の収率、及び光学純度を、以下の表11に示す。なお、副生成物Bはラセミ体で得られた。
【表11】

*:塩化パラトルエンスルホニルを一度に添加するのに代えて、1.6mlのジクロロメタンに溶かした塩化パラトルエンスルホニルを8時間かけて添加した点(ジクロロメタンの合計量は、3.6mlとなる。)が、実施例1と異なる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明方法は、光学活性を有しない化合物を原料化合物として用いて、一般式(2)の光学活性アジリジン化合物を1段階で合成できる、工業的に有利な方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、Rは、水素原子又は反応に関与しない基を示す。Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくは芳香族複素環基、又はこれらの官能基中の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基を示す。)
で表される化合物を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下で、閉環させることにより、下記一般式(3)
【化2】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性アジリジン化合物を製造する方法。
【請求項2】
が、炭素数6〜20のアリール基;炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5〜8員の単環式、多環式若しくは縮合環式のヘテロアリール基;又は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基若しくはアリール基で置換されている、炭素数6〜20のアリール基である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、水素原子又は炭化水素基である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子が、光学活性ビスオキサゾリン化合物である請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドが、置換されていてもよいフェニル基を有するスルホニルハライドである請求項1〜4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
一般式(2)で表されるルイス酸が、Cu(OTf)、Zn(OTf)、CuBr、CuCl、Cu(OAc)、CuSO、CuI、CuF、Cu(BF、Cu(PF、Cu(SbF、Cu(NTf2、PtCl、CoCl、PdCl、Pd(OAc)、又はPd(OCOCFである請求項1〜5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
さらに、塩基の存在下で、上記閉環反応を行う請求項1〜6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
さらに、メタノール、及びイソプロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤の存在下で、上記閉環反応を行う請求項1〜7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドを、1〜24時間かけて添加する請求項1〜8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
下記一般式(8)
【化3】

(式中、Rは、一般式(1)のRと同じであるか、又は−CHOSOで示される基であり、Rは一般式(1)のRと同じ。Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。但し、Rがp位の水素原子がメチル基又はニトロ基で置換されたフェニル基で、Rが水素原子である化合物;及びRがp位の水素原子がメチル基で置換されたフェニル基で、Rがメチル基又はベンジル基である化合物のS体は除く。*は不斉であることを表す。)で表される光学活性アジリジン化合物。
【請求項11】
下記一般式(5)
【化4】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。)
で表される化合物のラセミ体を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下に反応させ、下記一般式(3)
【化5】

(式中、R及びRは、一般式(1)と同じ。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性化合物又はその塩の(R)体又は(S)体を光学選択的に生成する製造方法。
【請求項12】
下記一般式(6)
【化6】

(式中、Rは、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基、脂肪族複素環基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、若しくは芳香族複素環基、又はこれらの官能基中の少なくとも1個の水素原子が置換基で置換された官能基を示す。)
で表される化合物を、下記一般式(2)
MmZn (2)
(式中、Mは金属イオンであり、ZはMの対アニオンであり、m及びnは1〜4の整数である。)
で表されるルイス酸、一又は二以上の配位部位を有する不斉配位子、及び置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を有するスルホニルハライドの存在下で、反応させることにより、下記一般式(7)
【化7】

(式中、Rは、一般式(6)と同じであり、Rは、置換されていてもよいアルキル基又はフェニル基を示す。*は不斉であることを表す。)
で表される光学活性アジリジン化合物を製造する方法。

【公開番号】特開2013−107844(P2013−107844A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253325(P2011−253325)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度 独立行政法人科学技術振興機構、研究成果最適展開支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【出願人】(000214250)ナガセケムテックス株式会社 (173)
【Fターム(参考)】