説明

光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の製造方法

【課題】医薬および農薬の重要中間体となる光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の工業的な製造方法を提供する。
【解決手段】フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンと光学活性一級アミンを脱水縮合することにより光学活性イミンに変換し、次いで該イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより光学活性二級アミンに変換し、更に該二級アミンと、ホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより光学活性三級アミンに変換し、最後に該三級アミンを加水素分解することにより、目的とする光学活性化合物を効率良く製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬および農薬の重要中間体となる光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体は医薬および農薬の重要中間体となり、光学活性1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチルとその製造方法が特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0003】
また本出願人は本出願に先立ち、該誘導体とその製造方法を公開している(特許文献3)。
【特許文献1】国際公開2001/025219号パンフレット
【特許文献2】国際公開2002/032867号パンフレット
【特許文献3】国際公開2004/022521号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、医薬および農薬の重要中間体となる光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の工業的な製造方法を提供することにある。
【0005】
特許文献1に記載された光学活性1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチルの製造方法は、光学活性なリンゴ酸を用いてラセミ体を光学分割する方法であり、効率的な方法とは言い難いものであった。
【0006】
また本出願人が特許文献3において開示した製造方法は、光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の不斉合成法を採用しており、前述の光学分割に比べて格段に実用的である。しかしながら工業的な観点からは解決すべき課題が多く残されていた。
【0007】
具体的に不斉還元においては、比較的高価なハイドライド還元剤を量論的に使用する必要があり、またジアステレオ選択性の改善、後処理操作の簡略化、ホウ素廃液の回避等が解決すべき課題としてあった。またアルキル化においては、塩基を量論的に使用する必要があり、更にメチル化の好適なアルキル化剤であるハロゲン化メチルを使用する場合には、毒性の観点から装置等のハード面および取り扱い等のソフト面において高い安全性が要求されていた。さらに過反応として極少量副生する四級アンモニウム塩(スキーム1参照;Rは炭素数1から6のアルキル基を表し、Xは脱離基を表す)が、次工程の加水素分解において遷移金属触媒の触媒毒として働く場合や、目的とする光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体との分離が困難な該N−ジアルキル誘導体に変換される場合があり、工業的に安定して高純度品を生産するためにはカラムクロマトグラフィー等の煩雑な精製操作を行うことにより該アンモニウム塩を取り除くことが望まれていた。
【0008】
【化15】

【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式[1]で示される光学活性二級アミンと、一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、一般式[3]で示される光学活性三級アミンに変換し、次いで該三級アミンを加水素分解することにより、目的とする一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体が工業的に効率良く製造できることを見出した(スキーム2参照)。
【0010】
また上記の一般式[1]で示される光学活性二級アミンが、一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンと、一般式[6]で示される光学活性一級アミンを脱水縮合することにより、一般式[7]で示される光学活性イミンに変換し、次いで該イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより、好適に製造できることも見出し、本発明に到達した。
【0011】
また不斉還元することにより得られる光学活性二級アミンを含む反応終了液に直接、ホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを加え、該反応終了液に残存する遷移金属触媒を再利用して、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより光学活性三級アミンが得られることも見出した。これにより該二工程での遷移金属触媒のトータル使用量を格段に低減することができる。
【0012】
さらに加水素分解することにより得られる光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を無機酸または有機酸の塩に誘導して再結晶精製することにより高純度品が得られることも見出した。
【0013】
本発明の不斉還元においては、水素化ホウ素ナトリウム等のハイドライド還元剤を使用せず(ホウ素廃液も回避可能)、またハイドライド還元剤を使用する不斉還元に比べて高いジアステレオ選択性が得られ、更に後処理操作も極めて簡便である。
【0014】
また本発明の還元的アルキル化においては、塩基やハロゲン化メチル等のアルキル化剤を使用せず、また過反応による四級アンモニウム塩の副生も全く認められないため煩雑な精製操作を必要としない。
【0015】
さらに工業的な観点からは、不斉還元と還元的アルキル化のワンポット反応が可能となり高い生産性が達成でき、また最終目的化合物の無機酸または有機酸の塩を再結晶精製することにより医薬および農薬の重要中間体に要求される高純度品を効率良く得ることができる。
【0016】
【化16】

【0017】
すなわち、本発明は[発明1]〜[発明8]を骨子とし、光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法を提供する。
【0018】
[発明1]一般式[1]
【0019】
【化17】

【0020】
で示される光学活性二級アミンと、一般式[2]
【0021】
【化18】

【0022】
で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、一般式[3]
【0023】
【化19】

【0024】
で示される光学活性三級アミンに変換し、次いで該三級アミンを加水素分解することにより、一般式[4]
【0025】
【化20】

【0026】
で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Rはフッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を表し、nは1から5の整数を表し、任意の置換位置をとり、R1は炭素数1から6のアルキル基を表し、R2は水素原子または炭素数1から5のアルキル基を表し、Meはメチル基を表し、Arはフェニル基または1−もしくは2−ナフチル基を表し、*は不斉炭素を表す。]
[発明2]一般式[1]で示される光学活性二級アミンが、一般式[5]
【0027】
【化21】

【0028】
で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンと、一般式[6]
【0029】
【化22】

【0030】
で示される光学活性一級アミンを脱水縮合することにより、一般式[7]
【0031】
【化23】

【0032】
で示される光学活性イミンに変換し、次いで該イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより得られる光学活性二級アミンである、発明1に記載の光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Rはフッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を表し、nは1から5の整数を表し、任意の置換位置をとり、R1は炭素数1から6のアルキル基を表し、Meはメチル基を表し、Arはフェニル基または1−もしくは2−ナフチル基を表し、波線はE体またはZ体を表し、*は不斉炭素を表す。]
[発明3]一般式[7]で示される光学活性イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより、一般式[1]で示される光学活性二級アミンを含む反応終了液を得て、次いで該反応終了液に直接、一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを加え、該反応終了液に残存する遷移金属触媒を再利用して、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、一般式[3]で示される光学活性三級アミンを得ることを特徴とする、発明2に記載の光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
【0033】
[発明4]発明1乃至発明3の何れかに記載の方法で製造した、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を無機酸または有機酸の塩に誘導して再結晶精製することを特徴とする、高純度の光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
【0034】
[発明5]式[8]
【0035】
【化24】

【0036】
で示される光学活性二級アミンと、式[9]
【0037】
【化25】

【0038】
で示されるパラホルムアルデヒドを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、式[10]
【0039】
【化26】

【0040】
で示される光学活性三級アミンに変換し、次いで該三級アミンを加水素分解することにより、式[11]
【0041】
【化27】

【0042】
で示される光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、mは正の整数を表し、*は不斉炭素を表す。]
[発明6]式[8]で示される光学活性二級アミンが、式[12]
【0043】
【化28】

【0044】
で示されるトリフルオロメチル置換フェニルアルキルケトンと、式[13]
【0045】
【化29】

【0046】
で示される光学活性一級アミンを脱水縮合することにより、式[14]
【0047】
【化30】

【0048】
で示される光学活性イミンに変換し、次いで該イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより得られる光学活性二級アミンである、発明5に記載の光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、波線はE体またはZ体を表し、*は不斉炭素を表す。]
[発明7]式[14]で示される光学活性イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより、式[8]で示される光学活性二級アミンを含む反応終了液を得て、次いで該反応終了液に直接、式[9]で示されるパラホルムアルデヒドを加え、該反応終了液に残存する遷移金属触媒を再利用して、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、式[10]で示される光学活性三級アミンを得ることを特徴とする、発明6に記載の光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
【0049】
[発明8]発明5乃至発明7の何れかに記載の方法で製造した、式[11]で示される光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を無機酸または有機酸の塩に誘導して再結晶精製することを特徴とする、高純度の光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明の光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の製造方法について詳細に説明する。
【0051】
本発明の製造方法は、一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンと、一般式[6]で示される光学活性一級アミンを脱水縮合することにより、一般式[7]で示される光学活性イミンに変換する工程を「第一工程」、一般式[7]で示される光学活性イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより、一般式[1]で示される光学活性二級アミンに変換する工程を「第二工程」、一般式[1]で示される光学活性二級アミンと、一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、一般式[3]で示される光学活性三級アミンに変換する工程を「第三工程」、および、一般式[3]で示される光学活性三級アミンを加水素分解することにより、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体に変換する工程を「第四工程」とするとき、「第三工程」と「第四工程」の二工程を必須とし、更に好ましくはこれに「第一工程」と「第二工程」が加わり、合計四工程からなる。
【0052】
初めに、第一工程の脱水縮合について述べる。第一工程は、一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンと、一般式[6]で示される光学活性一級アミンを酸触媒の存在下、反応させることにより達する。
【0053】
本工程で得られる一般式[7]で示される光学活性イミンの不斉炭素の立体化学としては、R体またはS体が存在し、原料である一般式[6]で示される光学活性一級アミンの不斉炭素の立体化学が保持される(R体またはS体の原料からはそれぞれR体またはS体の目的化合物が得られる)。
【0054】
一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンの(R)nとしては、2−フルオロ、3−フルオロ、4−フルオロ、2,3−ジフルオロ、2,4−ジフルオロ、2,5−ジフルオロ、2,6−ジフルオロ、3,4−ジフルオロ、3,5−ジフルオロ、2,3,4−トリフルオロ、3,4,5−トリフルオロ、2,4,5−トリフルオロ、2,3,5−トリフルオロ、2,3,6−トリフルオロ、2,4,6−トリフルオロ、2,3,5,6−テトラフルオロ、2,4,5,6−テトラフルオロ、3,4,5,6−テトラフルオロ、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ、2−トリフルオロメチル、3−トリフルオロメチル、4−トリフルオロメチル、2,3−ビス−トリフルオロメチル、2,4−ビス−トリフルオロメチル、2,5−ビス−トリフルオロメチル、2,6−ビス−トリフルオロメチル、3,4−ビス−トリフルオロメチル、3,5−ビス−トリフルオロメチル、2,3,4−トリス−トリフルオロメチル、3,4,5−トリス−トリフルオロメチル、2,4,5−トリス−トリフルオロメチル、2,3,5−トリス−トリフルオロメチル、2,3,6−トリス−トリフルオロメチル、2,4,6−トリス−トリフルオロメチル、2,3,5,6−テトラキス−トリフルオロメチル、2,4,5,6−テトラキス−トリフルオロメチル、3,4,5,6−テトラキス−トリフルオロメチル、2,3,4,5,6−ペンタキス−トリフルオロメチル、2−トリフルオロメトキシ、3−トリフルオロメトキシ、4−トリフルオロメトキシ、2,3−ビス−トリフルオロメトキシ、2,4−ビス−トリフルオロメトキシ、2,5−ビス−トリフルオロメトキシ、2,6−ビス−トリフルオロメトキシ、3,4−ビス−トリフルオロメトキシ、3,5−ビス−トリフルオロメトキシ、2,3,4−トリス−トリフルオロメトキシ、3,4,5−トリス−トリフルオロメトキシ、2,4,5−トリス−トリフルオロメトキシ、2,3,5−トリス−トリフルオロメトキシ、2,3,6−トリス−トリフルオロメトキシ、2,4,6−トリス−トリフルオロメトキシ、2,3,5,6−テトラキス−トリフルオロメトキシ、2,4,5,6−テトラキス−トリフルオロメトキシ、3,4,5,6−テトラキス−トリフルオロメトキシ、2,3,4,5,6−ペンタキス−トリフルオロメトキシが挙げられる。その中でもnが1の一置換体[(R)]およびnが2の二置換体[(R)]が好ましく、特にRがトリフルオロメチル基でnが2の3,5−二置換体(3,5−ビス−トリフルオロメチル基)がより好ましい。
【0055】
一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンのR1としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、シクロプロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、t−ブチル、シクロブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、t−アミル、シクロペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。その中でも炭素数が4以下のアルキル基が好ましく、特に炭素数が1のメチル基がより好ましい。
【0056】
ここで示した(R)nとR1の組み合わせによっては新規化合物も含まれるが、Tetrahedron Letters No.53,pp.4647−4650,1970等を参考にして同様に製造することができる。
【0057】
一般式[6]で示される光学活性一級アミンのArとしては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが挙げられる。その中でもフェニルおよび2−ナフチルが好ましく、特にフェニルがより好ましい。
【0058】
一般式[6]で示される光学活性一級アミンの不斉炭素の立体化学としては、R体またはS体を採ることができ、最終目的化合物の絶対配置に応じて適宜使い分ければよい。
【0059】
一般式[6]で示される光学活性一級アミンのエナンチオマー過剰率(ee)としては、特に制限はないが、95%ee以上のものを使用すればよく、通常は97%ee以上が好ましく、特に99%ee以上がより好ましい。
【0060】
一般式[6]で示される光学活性一級アミンの使用量としては、特に制限はないが、一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトン1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜5モルが好ましく、特に1〜3モルがより好ましい。
【0061】
酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、塩化亜鉛、四塩化チタン、テトライソプロポキシチタン等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等の有機酸が挙げられる。その中でも硫酸、塩化亜鉛およびp−トルエンスルホン酸が好ましく、特に塩化亜鉛およびp−トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0062】
酸触媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトン1モルに対して触媒量を使用すればよく、通常は0.001〜0.9モルが好ましく、特に0.005〜0.5モルがより好ましい。
【0063】
本工程は、一般式[5]で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンと、一般式[6]で示される光学活性一級アミンの脱水反応であるため、副生する水を除きながら反応を行うことが好ましく、特に水と混和せず、水よりも比重が小さく、水と共沸する反応溶媒を使用して還流条件下にディーン・スターク管で副生する水を除きながら反応を行うことがより好ましい。
【0064】
斯かる反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系が好ましく、特にトルエンがより好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて使用することができる。
【0065】
反応溶媒の使用量としては、特に制限はないが、理論的に副生する水の量を共沸除去できるだけの反応溶媒量を使用することが好ましく、特にディーン・スターク管を用いてその使用量を削減することがより好ましい。また反応溶媒を使用せずにニートの状態で反応を行うこともできる。
【0066】
温度条件としては、特に制限はないが、使用する反応溶媒と水の共沸温度から反応溶媒の沸点付近の範囲で反応を行うことが好ましく、特に使用する反応溶媒の沸点付近がより好ましい。
【0067】
反応時間としては、特に制限はないが、48時間以内の範囲で反応を行うことが好ましく、特に反応基質および反応条件により異なるためガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料がほぼ消失した時点で反応を終了することがより好ましい。
【0068】
後処理としては、反応終了液に対して通常の後処理操作を行うことにより、目的とする一般式[7]で示される光学活性イミンを得ることができる。過剰に使用した一般式[6]で示される光学活性一級アミンは、一般式[7]で示される光学活性イミンを含むトルエン、塩化メチレン、酢酸エチル等の有機層を塩化アンモニウム、酢酸、塩酸等の酸性水溶液で洗浄することにより選択的に取り除くことができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、蒸留、トルエン、酢酸エチル、メタノール等の有機溶媒による洗浄、再結晶等の精製操作を行うことにより高純度品を得ることができる。
【0069】
一般式[7]で示される光学活性イミンの炭素−窒素二重結合の立体化学としては、E体またはZ体が存在し、反応基質および反応条件によりその生成比は異なる。
【0070】
次に、第二工程の不斉還元について述べる。第二工程は、一般式[7]で示される光学活性イミンと水素ガスを遷移金属触媒の存在下、反応させることにより達する。
【0071】
本工程で得られる一般式[1]で示される光学活性二級アミンの、新たに誘起される不斉炭素の立体化学としては、R体またはS体を採ることができ、二つの不斉炭素の立体化学の組み合わせとしては、R−R体、S−R体、R−S体またはS−S体[ハイフンの前に示した絶対配置は、1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキル基側の絶対配置を表し、ハイフンの後に示した絶対配置は、キラル補助基であるα−アリールエチル基側の絶対配置を表す]が存在する。不斉誘起の程度[ジアステレオマー過剰率(de)]は、反応基質、遷移金属触媒および反応条件により異なるが、本発明においてはR−R体またはS−S体がメジャージアステレオマーとして得られるため、これらのジアステレオマーを使用してそれぞれR体またはS体の最終目的化合物を得ることが好適である(R−R体またはR−S体の原料からはR体の最終目的化合物が得られ、S−R体またはS−S体の原料からはS体の最終目的化合物が得られる)。
【0072】
遷移金属触媒としては、白金黒、白金/活性炭、白金/グラファイト、白金/アルミナ、白金/ジルコニア、酸化白金等の白金触媒、還元ニッケル、ラネーニッケル、ラネーニッケルスポンジ、白金付きラネーニッケル等のニッケル触媒、イリジウム黒、イリジウム/炭酸カルシウム、酸化イリジウム等のイリジウム触媒、パラジウム黒、パラジウムスポンジ、パラジウム/活性炭、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭酸カルシウム、パラジウム/炭酸ストロンチウム、パラジウム/硫酸バリウム、水酸化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム触媒等が挙げられる。その中でも白金触媒およびニッケル触媒が好ましく、特に白金/活性炭、白金/グラファイト、白金/アルミナ、酸化白金およびラネーニッケルスポンジがより好ましい。これらの遷移金属触媒は単独または組み合わせて使用することができる。遷移金属を担体に担持させた触媒を使用する場合の担持量としては、特に制限はないが、0.1〜50重量%を使用すればよく、通常は0.5〜30重量%が好ましく、特に1〜20重量%がより好ましい。また遷移金属触媒は含水品を使用することもでき、さらに取り扱いの安全性を高めるために、または金属表面の酸化を防ぐために水または不活性な液体中に保存したものを使用することもできる。
【0073】
遷移金属触媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[7]で示される光学活性イミン1モルに対して触媒量を使用すればよく、通常は0.00001〜0.5モルが好ましく、特に0.0001〜0.3モルがより好ましい。
【0074】
水素ガスの使用量としては、特に制限はないが、一般式[7]で示される光学活性イミン1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は加圧条件下に過剰量を使用して反応を行うことが好ましい。
【0075】
水素ガスの加圧条件としては、特に制限はないが、15MPa以下で反応を行えばよく、通常は大気圧〜10MPaが好ましく、特に0.1〜7MPaがより好ましい。
【0076】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール系等が挙げられる。その中でもトルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールおよびi−プロパノールが好ましく、特に塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールおよびi−プロパノールがより好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて使用することができる。また反応溶媒を使用せずにニートの状態で反応を行うこともできる。
【0077】
反応溶媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[7]で示される光学活性イミン1モルに対して0.01L(リットル)以上を使用すればよく、通常は0.03〜20Lが好ましく、特に0.05〜10Lがより好ましい。
【0078】
温度条件としては、特に制限はないが、−60〜+200℃の範囲で反応を行えばよく、通常は−40〜+175℃が好ましく、特に−20〜+150℃がより好ましい。
【0079】
反応時間としては、特に制限はないが、72時間以内の範囲で反応を行うことが好ましく、特に反応基質、遷移金属触媒および反応条件により異なるためガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料がほぼ消失した時点で反応を終了することがより好ましい。
【0080】
後処理としては、反応終了液に残存する遷移金属触媒を濾別して濾液を濃縮するという極めて簡便な後処理操作を行うことにより、目的とする一般式[1]で示される光学活性二級アミンを高いジアステレオ選択性で得ることができる。濾別回収した遷移金属触媒は本工程の不斉還元または次工程の還元的アルキル化に再利用することもできる。また本発明においては、不斉還元に使用した遷移金属触媒を濾別回収せずに還元的アルキル化とのワンポット反応に直接、再利用することも可能で、この場合には不斉還元の後処理操作を省略することができる。具体的には、不斉還元の反応終了液に、一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを加え、水素ガスと反応させることにより、一般式[3]で示される光学活性三級アミンを得ることができる。
【0081】
次に、第三工程の還元的アルキル化について述べる。第三工程は、一般式[1]で示される光学活性二級アミンと、一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドと水素ガスを遷移金属触媒の存在下、反応させることにより達する。
【0082】
本工程で得られる一般式[3]で示される光学活性三級アミンの、二つの不斉炭素の立体化学の組み合わせとしては、R−R体、S−R体、R−S体またはS−S体が存在し、原料である一般式[1]で示される光学活性二級アミンの、二つの不斉炭素の立体化学の組み合わせが保持される(R−R体、S−R体、R−S体またはS−S体の原料からはそれぞれR−R体、S−R体、R−S体またはS−S体の目的化合物が得られる)。
【0083】
一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドのR2としては、水素原子、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、シクロプロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、t−ブチル、シクロブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、t−アミル、シクロペンチル等が挙げられる。
【0084】
一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドの使用量としては、特に制限はないが、一般式[1]で示される光学活性二級アミン1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜20モルが好ましく、特に1〜10モルがより好ましい。
【0085】
遷移金属触媒としては、白金黒、白金/活性炭、白金/グラファイト、白金/アルミナ、白金/ジルコニア、酸化白金等の白金触媒、還元ニッケル、ラネーニッケル、ラネーニッケルスポンジ、白金付きラネーニッケル等のニッケル触媒、イリジウム黒、イリジウム/炭酸カルシウム、酸化イリジウム等のイリジウム触媒、パラジウム黒、パラジウムスポンジ、パラジウム/活性炭、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭酸カルシウム、パラジウム/炭酸ストロンチウム、パラジウム/硫酸バリウム、水酸化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等のパラジウム触媒等が挙げられる。その中でも白金触媒およびニッケル触媒が好ましく、特に白金/活性炭、白金/グラファイト、白金/アルミナ、酸化白金およびラネーニッケルスポンジがより好ましい。これらの遷移金属触媒は単独または組み合わせて使用することができる。遷移金属を担体に担持させた触媒を使用する場合の担持量としては、特に制限はないが、0.1〜50重量%を使用すればよく、通常は0.5〜30重量%が好ましく、特に1〜20重量%がより好ましい。また遷移金属触媒は含水品を使用することもでき、さらに取り扱いの安全性を高めるために、または金属表面の酸化を防ぐために水または不活性な液体中に保存したものを使用することもできる。
【0086】
本発明においては、不斉還元に使用した遷移金属触媒を濾別回収せずに還元的アルキル化とのワンポット反応に直接、再利用することも可能で、この場合には不斉還元に使用した遷移金属触媒と同一または異なる遷移金属触媒を新たに加えて反応を行うこともできる(実施例に記載した通り、遷移金属触媒を新たに加えることなく反応を行うこともできる)。
【0087】
遷移金属触媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[1]で示される光学活性二級アミン1モルに対して触媒量を使用すればよく、通常は0.00001〜0.5モルが好ましく、特に0.0001〜0.3モルがより好ましい。
【0088】
水素ガスの使用量としては、特に制限はないが、一般式[1]で示される光学活性二級アミン1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は加圧条件下に過剰量を使用して反応を行うことが好ましい。
【0089】
水素ガスの加圧条件としては、特に制限はないが、15MPa以下で反応を行えばよく、通常は大気圧〜10MPaが好ましく、特に0.1〜7MPaがより好ましい。
【0090】
本工程においては、添加剤として無機酸または有機酸を加えることにより反応が円滑に進行する場合がある(好適な反応条件を採用すれば必ずしもこれらの酸を加える必要はない)。
【0091】
添加剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等の有機酸が挙げられる。その中でも塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、プロピオン酸およびp−トルエンスルホン酸が好ましく、特に塩酸、硫酸、酢酸およびp−トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0092】
添加剤の使用量としては、特に制限はないが、一般式[1]で示される光学活性二級アミン1モルに対して0.1モル以上を使用すればよく、通常は0.1〜100モルが好ましく、特に0.1〜50モルがより好ましい。
【0093】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール系等が挙げられる。その中でもトルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールおよびi−プロパノールが好ましく、特に塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールおよびi−プロパノールがより好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて使用することができる。また反応溶媒を使用せずにニートの状態で反応を行うこともできる。
【0094】
反応溶媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[1]で示される光学活性二級アミン1モルに対して0.01L以上を使用すればよく、通常は0.03〜20Lが好ましく、特に0.05〜10Lがより好ましい。
【0095】
温度条件としては、特に制限はないが、−60〜+200℃の範囲で反応を行えばよく、通常は−40〜+175℃が好ましく、特に−20〜+150℃がより好ましい。
【0096】
反応時間としては、特に制限はないが、72時間以内の範囲で反応を行うことが好ましく、特に反応基質、遷移金属触媒および反応条件により異なるためガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料がほぼ消失した時点で反応を終了することがより好ましい。
【0097】
後処理としては、反応終了液に残存する遷移金属触媒を濾別して濾液を濃縮し、残渣をトルエン、塩化メチレン、酢酸エチル等の有機溶媒で希釈して水洗し、回収有機層を濃縮するという簡便な後処理操作を行うことにより、目的とする一般式[3]で示される光学活性三級アミンを高い化学純度で得ることができる。本発明においては、過反応による四級アンモニウム塩の副生が全く認められないため煩雑な精製操作を必要とせず、粗生成物を直接、次工程の加水素分解に供することができる。粗生成物は、必要に応じて活性炭処理、蒸留、再結晶等の精製操作を行うことにより更に高純度品を得ることができる。濾別回収した遷移金属触媒は本工程の還元的アルキル化または前工程の不斉還元に再利用することもできる。
【0098】
最後に、第四工程の加水素分解について述べる。第四工程は、一般式[3]で示される光学活性三級アミンと水素ガスをパラジウム触媒の存在下、反応させることにより達する。
【0099】
ワンポット反応について言及すると、加水素分解も遷移金属触媒(パラジウム触媒)の存在下、水素ガス雰囲気下に反応を行うため、「還元的アルキル化−加水素分解」または「不斉還元−還元的アルキル化−加水素分解」もワンポット反応の組み合わせとして可能である。しかしながら加水素分解をワンポット反応に組み合わせると、還元的アルキル化の反応終了液に残存するホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドが原因となり、最終目的化合物の一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体との分離が困難な該N−ジアルキル誘導体が相当量副生する。従ってワンポット反応の組み合わせとしては「不斉還元と還元的アルキル化」が最も好適である。
【0100】
本工程で得られる一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の不斉炭素の立体化学としては、R体またはS体が存在し、原料である一般式[3]で示される光学活性三級アミンの対応する不斉炭素の立体化学が保持される(R−R体またはR−S体の原料からはR体の目的化合物が得られ、S−R体またはS−S体の原料からはS体の目的化合物が得られる)。
【0101】
パラジウム触媒としては、パラジウム黒、パラジウムスポンジ、パラジウム/活性炭、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭酸カルシウム、パラジウム/炭酸ストロンチウム、パラジウム/硫酸バリウム、水酸化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム等が挙げられる。その中でもパラジウム/活性炭、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭酸カルシウムおよび水酸化パラジウムが好ましく、特にパラジウム/活性炭および水酸化パラジウムがより好ましい。これらのパラジウム触媒は単独または組み合わせて使用することができる。パラジウムを担体に担持させた触媒を使用する場合の担持量としては、特に制限はないが、0.1〜50重量%を使用すればよく、通常は0.5〜30重量%が好ましく、特に1〜20重量%がより好ましい。またパラジウム触媒は含水品を使用することもでき、さらに取り扱いの安全性を高めるために、または金属表面の酸化を防ぐために水または不活性な液体中に保存したものを使用することもできる。
【0102】
パラジウム触媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[3]で示される光学活性三級アミン1モルに対して触媒量を使用すればよく、通常は0.00001〜0.1モルが好ましく、特に0.0001〜0.01モルがより好ましい。
【0103】
水素ガスの使用量としては、特に制限はないが、一般式[3]で示される光学活性三級アミン1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は加圧条件下に過剰量を使用して反応を行うことが好ましい。
【0104】
水素ガスの加圧条件としては、特に制限はないが、2MPa以下で反応を行えばよく、通常は大気圧〜1.5MPaが好ましく、特に0.05〜1MPaがより好ましい。
【0105】
本工程においては、添加剤として無機酸または有機酸を加えることにより反応が円滑に進行する場合がある(好適な反応条件を採用すれば必ずしもこれらの酸を加える必要はない)。
【0106】
添加剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、p−トルエンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等の有機酸が挙げられる。その中でも塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、プロピオン酸およびp−トルエンスルホン酸が好ましく、特に塩酸、硫酸、酢酸およびp−トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0107】
添加剤の使用量としては、特に制限はないが、一般式[3]で示される光学活性三級アミン1モルに対して0.1モル以上を使用すればよく、通常は0.1〜100モルが好ましく、特に0.1〜50モルがより好ましい。
【0108】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール系等が挙げられる。その中でもトルエン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールおよびi−プロパノールが好ましく、特に塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールおよびi−プロパノールがより好ましい。これらの反応溶媒は単独または組み合わせて使用することができる。また反応溶媒を使用せずにニートの状態で反応を行うこともできる。
【0109】
反応溶媒の使用量としては、特に制限はないが、一般式[3]で示される光学活性三級アミン1モルに対して0.01L以上を使用すればよく、通常は0.03〜20Lが好ましく、特に0.05〜10Lがより好ましい。
【0110】
温度条件としては、特に制限はないが、20〜200℃の範囲で反応を行えばよく、通常は30〜175℃が好ましく、特に40〜150℃がより好ましい。
【0111】
反応時間としては、特に制限はないが、48時間以内の範囲で反応を行うことが好ましく、特に反応基質および反応条件により異なるためガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料がほぼ消失した時点で反応を終了することがより好ましい。
【0112】
後処理としては、反応終了液に対して通常の後処理操作を行うことにより、目的とする一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を得ることができる。添加剤として無機酸または有機酸を加えた場合は、反応終了液に残存する遷移金属触媒を濾別して濾液を濃縮し、残渣を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基の水溶液で中和してトルエン、塩化メチレン、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、回収有機層を濃縮することにより、目的とする一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の遊離塩基を効率良く回収することができる。
【0113】
本発明においては、加水素分解で得られた一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を無機酸または有機酸の塩に誘導して再結晶精製することにより高純度品を得ることができる。この様な塩の再結晶精製は、一般式[1]で示される光学活性二級アミンまたは一般式[3]で示される光学活性三級アミンに対しても同様に行うことができる(前者の例は国際公開2004/022521号パンフレットに記載)。しかしながら本発明の特徴の一つである不斉還元と還元的アルキル化のワンポット反応による高い生産性のメリットを最大限に生かすためには、一般式[1]で示される光学活性二級アミンの段階で塩の再結晶精製を行うことは必ずしも好適ではない。また一般式[3]で示される光学活性三級アミンの塩の再結晶精製においても、化学純度とジアステレオマー過剰率を同時に且つ効率良く向上することができる塩が未だ見出せていない。従って一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の製造においては、加水素分解で得られる最終目的化合物の段階で塩の再結晶精製を行うことが最も効果的である。
【0114】
塩への誘導に使用する一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体のエナンチオマー過剰率としては、特に制限はないが、50%ee以上のものを使用すればよい。
【0115】
塩への誘導に使用する無機酸としては、炭酸、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、ホウ酸、過塩素酸等が挙げられる。その中でも塩酸、硫酸および臭化水素酸が好ましく、特に塩酸および臭化水素酸がより好ましい。
【0116】
塩への誘導に使用する有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、オクタン酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等の脂肪族カルボン酸類、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸等のハロアルキルカルボン酸類、アクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、cisまたはtrans−ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸類、安息香酸、o−,m−またはp−トルイル酸、o−,m−またはp−フルオロ安息香酸、o−,m−またはp−クロロ安息香酸、o−,m−またはp−ブロモ安息香酸、o−,m−またはp−ヨード安息香酸、o−,m−またはp−ヒドロキシ安息香酸、o−,m−またはp−アニス酸、o−,m−またはp−アミノ安息香酸、o−,m−またはp−ニトロ安息香酸、o−,m−またはp−シアノ安息香酸、o−,m−またはp−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)、α−,β−またはγ−ピコリン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、1−または2−ナフトエ酸等の芳香族カルボン酸類、メタンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、2−フェニルプロピオン酸、マンデル酸、カンファー酸、シス−2−ベンズアミドシクロヘキサンカルボン酸等の光学活性カルボン酸類、フェニルエタンスルホン酸、10−カンファースルホン酸等の光学活性スルホン酸類、2,2’−(1,1’−ビナフチル)リン酸等の光学活性リン酸類、4−アミノ酪酸、フェニルグリシン、アスパラギン酸等の光学活性アミノ酸類、ピログルタミン酸、N−アセチル−3,5−ジブロモ−チロシン、N−アシル−フェニルアラニン、N−アシル−アスパラギン酸、N−アシルグルタミン酸、N−アシルプロリン等の光学活性N−アシルアミノ酸類(N−アシル基としては、アセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等を表す)、ギ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、シアノ酢酸、クエン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、レブリン酸、オキサロ酢酸、メルカプト酢酸、フェノキシ酢酸、ピクリン酸等の「その他の有機酸」等が挙げられる(光学活性カルボン酸類、光学活性スルホン酸類、光学活性リン酸類、光学活性アミノ酸類および光学活性N−アシルアミノ酸類には、光学異性体が存在するが両方の光学異性体を使用することができる)。その中でもフマル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リンゴ酸、酒石酸およびマンデル酸が好ましく、特にp−トルエンスルホン酸がより好ましい。式[11]で示される光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体のp−トルエンスルホン酸塩の再結晶精製においては、化学純度とエナンチオマー過剰率を同時に且つ効率良く向上することができる。
【0117】
塩への誘導に使用する無機酸または有機酸の使用量としては、特に制限はないが、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体1モルに対して1モル以上を使用すればよく、通常は1〜5モルが好ましく、特に1〜3モルがより好ましい。
【0118】
塩への誘導方法としては、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体と無機酸または有機酸の組み合わせにより適宜決めればよく、通常は再結晶溶媒に、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体と無機酸または有機酸を直接、加えて混合することにより、またはそれぞれの溶液を予め準備して溶液同士を混合することにより誘導することができる。また加水素分解において添加剤として無機酸または有機酸を加えて反応を行う場合には、これらの酸を適切に選定することにより塩への誘導に使用する無機酸または有機酸としても兼ね合わせることができ、工業的な観点から極めて好適である。具体的には、加水素分解の反応終了液に残存するパラジウム触媒を濾別して直接、塩の再結晶精製を行うことができる。
【0119】
塩の再結晶精製に使用する再結晶溶媒としては、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体、無機酸または有機酸、およびこれらから誘導される塩と反応しないものであれば特に制限はないが、精製前のエナンチオマー過剰率、または目標とする精製後のエナンチオマー過剰率および回収率等により適宜決めればよい。
【0120】
斯かる塩の再結晶精製に使用する再結晶溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール系、水等が挙げられる。その中でもn−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、t−ブチルメチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびi−プロパノールが好ましく、特にn−ヘプタン、トルエン、メタノール、エタノールおよびi−プロパノールがより好ましい。これらの再結晶溶媒は単独または組み合わせて使用することができる。
【0121】
塩の再結晶精製に使用する再結晶溶媒の使用量としては、精製前の塩が熱時、完全にまたは部分的に溶解する範囲であれば特に制限はないが、精製前のエナンチオマー過剰率、または目標とする精製後のエナンチオマー過剰率および回収率等により適宜決めればよい。具体的には、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の塩1モルに対して0.01L以上を使用すればよく、通常は0.03〜20Lが好ましく、特に0.05〜10Lがより好ましい。
【0122】
塩の再結晶精製においては、種結晶を加えることにより結晶が円滑に且つ効率良く析出する場合がある(好適な析出条件を採用すれば必ずしも種結晶を加える必要はない)。
【0123】
種結晶の使用量としては、特に制限はないが、精製前の塩1モルに対して0.00001モル以上を使用すればよく、通常は0.0001〜0.1モルが好ましく、特に0.0002〜0.05モルがより好ましい。
【0124】
塩の再結晶精製の温度条件としては、特に制限はないが、使用する再結晶溶媒の沸点および凝固点により適宜決めればよく、通常は室温(25℃)から再結晶溶媒の沸点付近の温度で精製前の塩を溶解させ、−40〜+80℃で結晶を析出させることが好ましい。
【0125】
塩の再結晶精製においては、析出した結晶のエナンチオマー過剰率が向上するため、析出した結晶を濾過等で回収することにより、高いエナンチオマー過剰率の一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の塩を得ることができる。また再結晶精製を繰り返すことにより更に高いエナンチオマー過剰率の塩を得ることができる。得られた塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基の水溶液で中和してトルエン、塩化メチレン、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、回収有機層を濃縮することにより遊離塩基として効率良く回収することができる。回収した遊離塩基は、必要に応じて活性炭処理、蒸留、再結晶等の精製操作を行うことにより更に高純度品を得ることができる。また得られた塩は、それ自体が医薬および農薬の重要中間体として利用することもできる。
【0126】
本発明により製造できる一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体としては、具体的に(R)−1−(2−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(2−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(4−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(4−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(2−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(2−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(4−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(4−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(2−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(2−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(4−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(4−フルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(2−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(2−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(4−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(4−フルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(2−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノメチル、(R)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノメチル、(R)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミンN−モノエチル、(R)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(2−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(4−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル、(S)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメトキシフェニル)プロピルアミンN−モノエチル等が例示できるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【実施例】
【0127】
以下、実施例により本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]光学活性(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル
(脱水縮合)
トルエン300mlに、3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニルメチルケトン76.85g(300.03mmol、1eq)、(R)−1−フェニルエチルアミン39.99g(330.00mmol、1.10eq)と塩化亜鉛1.23g(9.02mmol、0.03eq)を加え、還流条件下に17時間撹拌し、副生する水をディーン・スターク管で除いた。反応の変換率はガスクロマトグラフィーにより決定し99.7%であった。反応終了液を1N水酸化ナトリウム水溶液150ml、0.5N酢酸水溶液180ml、飽和食塩水100mlの順に洗浄した。回収有機層は、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、真空乾燥し、下記式
【0128】
【化31】

【0129】
で示される光学活性イミンの粗生成物121.29g(トルエン含有結晶)を得た。収率は定量的であった。粗生成物のガスクロマトグラフィー純度は98.8%であった。粗生成物の全量121.29gに、メタノール32mlを加え、室温で3時間、引き続いて氷冷下に3時間攪拌洗浄し、濾過し、真空乾燥し、高純度品98.75g(結晶)を得た。トータル収率は91.6%であった。高純度品のガスクロマトグラフィー純度は100%であった。高純度品の1H−NMRを以下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.55(d,6.4Hz,3H),2.33(s,3H),4.87(q,6.4Hz,1H),7.24(Ar−H,1H),7.35(Ar−H,2H),7.45(Ar−H,2H),8.31(Ar−H,1H),8.38(Ar−H,2H).
(不斉還元と還元的アルキル化のワンポット反応)
メタノール14mlに、脱水縮合で製造した光学活性イミンの高純度品の一部14.37g(39.99mmol、1eq)と5%白金/アルミナ78mg(0.02mmol、0.0005eq)を加え、水素ガス圧を2MPaに設定し、25℃で16時間撹拌し、下記式
【0130】
【化32】

【0131】
で示される光学活性二級アミンの反応終了液を得た。反応の変換率とジアステレオマー過剰率はガスクロマトグラフィーにより決定し、それぞれ99.9%、90.1%deであった。
【0132】
反応終了液に、窒素ガス雰囲気下にパラホルムアルデヒド6.00g(199.80mmol、5.00eq)を加え、水素ガス圧を2MPaに設定し、100℃で47時間撹拌した。反応の変換率はガスクロマトグラフィーにより決定し100%であった。反応終了液をフィルター濾過し、濾別した遷移金属触媒をメタノール15mlで洗浄し、濃縮し、真空乾燥し、残渣を酢酸エチル50mlで希釈し、水30mlで洗浄した。回収有機層は、濃縮し、真空乾燥し、下記式
【0133】
【化33】

【0134】
で示される光学活性三級アミンの粗生成物14.85g(油状物)を得た。ワンポット反応のトータル収率は98.9%であった。粗生成物のガスクロマトグラフィー純度とジアステレオマー過剰率はそれぞれ100%、90.9%deであった。粗生成物の1H−NMRを以下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.37(d,6.8Hz,3H),1.38(d,6.8Hz,3H),2.00(s,3H),3.76(q,6.8Hz,1H),4.00(q,6.8Hz,1H),7.20−7.40(Ar−H,5H),7.76(Ar−H,1H),7.82(Ar−H,2H).
(加水素分解)
メタノール14mlに、不斉還元と還元的アルキル化のワンポット反応で製造した光学活性三級アミンの粗生成物の全量14.85g(39.56mmol、1eq)、酢酸12.00g(199.83mmol、5.05eq)と5%パラジウム/活性炭(50重量%含水)85mg(0.02mmol、0.0005eq)を加え、水素ガス圧を0.5MPaに設定し、60℃で16時間撹拌した。反応の変換率はガスクロマトグラフィーにより決定し100%であった。反応終了液を濾過助剤(商品名:セライト)を用いて濾過し、濃縮し、真空乾燥し、残渣を3N水酸化ナトリウム水溶液1000mlで中和(pH>12)し、酢酸エチル300mlとトルエン300mlで抽出し、飽和食塩水100mlで洗浄した。回収有機層は、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、真空乾燥し、下記式
【0135】
【化34】

【0136】
で示される光学活性(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチルの粗生成物7.55g(油状物)を得た。収率は70.4%であった。粗生成物のガスクロマトグラフィー純度とエナンチオマー過剰率はそれぞれ97.7%、90.0%eeであった。粗生成物の1H−NMRを以下に示す。
1H−NMR(基準物質:TMS,溶媒:CDCl3)、δ ppm:1.38(d,6.4Hz,3H),1.45(br,1H),2.30(s,3H),3.81(q,6.4Hz,1H),7.75(Ar−H,1H),7.80(Ar−H,2H).
[実施例2]光学活性(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチル
(塩の再結晶精製)
i−プロパノール29.4mlに、実施例1と同様に製造した光学活性(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチルの粗生成物(ガスクロマトグラフィー純度99.3%、エナンチオマー過剰率89.7%ee)7.36g(27.14mmol、1eq)とp−トルエンスルホン酸・一水和物5.16g(27.13mmol、1.00eq)を加え、還流条件下に溶解し、メタノール7.4mlを加え、室温まで放冷し、3時間撹拌した。析出した結晶を濾過し、真空乾燥し、下記式
【0137】
【化35】

【0138】
で示される光学活性(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチルの塩の再結晶精製品8.76g(結晶)を得た。回収率は72.8%であった。再結晶精製品のガスクロマトグラフィー純度とエナンチオマー過剰率はそれぞれ100%、97.7%eeであった。光学活性体(R体)を基準にした回収率は76.4%であった。
【0139】
得られた塩の再結晶精製品を1N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、トルエンで抽出し、濃縮し、真空乾燥することにより、下記式
【0140】
【化36】

【0141】
で示される光学活性(R)−1−(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)エチルアミンN−モノメチルの高純度品(遊離塩基、油状物)を定量的に回収することができた。また高純度品のガスクロマトグラフィー純度とエナンチオマー過剰率はそれぞれ全く低下していなかった。
【産業上の利用可能性】
【0142】
医薬および農薬の重要中間体となる光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体の工業的な製造方法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[1]
【化1】

で示される光学活性二級アミンと、一般式[2]
【化2】

で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、一般式[3]
【化3】

で示される光学活性三級アミンに変換し、次いで該三級アミンを加水素分解することにより、一般式[4]
【化4】

で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Rはフッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を表し、nは1から5の整数を表し、任意の置換位置をとり、R1は炭素数1から6のアルキル基を表し、R2は水素原子または炭素数1から5のアルキル基を表し、Meはメチル基を表し、Arはフェニル基または1−もしくは2−ナフチル基を表し、*は不斉炭素を表す。]
【請求項2】
一般式[1]で示される光学活性二級アミンが、一般式[5]
【化5】

で示されるフルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニルアルキルケトンと、一般式[6]
【化6】

で示される光学活性一級アミンを脱水縮合することにより、一般式[7]
【化7】

で示される光学活性イミンに変換し、次いで該イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより得られる光学活性二級アミンである、請求項1に記載の光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Rはフッ素原子、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を表し、nは1から5の整数を表し、任意の置換位置をとり、R1は炭素数1から6のアルキル基を表し、Meはメチル基を表し、Arはフェニル基または1−もしくは2−ナフチル基を表し、波線はE体またはZ体を表し、*は不斉炭素を表す。]
【請求項3】
一般式[7]で示される光学活性イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより、一般式[1]で示される光学活性二級アミンを含む反応終了液を得て、次いで該反応終了液に直接、一般式[2]で示されるホルムアルデヒド(等価体を含む)または低級アルデヒドを加え、該反応終了液に残存する遷移金属触媒を再利用して、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、一般式[3]で示される光学活性三級アミンを得ることを特徴とする、請求項2に記載の光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の方法で製造した、一般式[4]で示される光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を無機酸または有機酸の塩に誘導して再結晶精製することを特徴とする、高純度の光学活性1−(フルオロ、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシ置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
【請求項5】
式[8]
【化8】

で示される光学活性二級アミンと、式[9]
【化9】

で示されるパラホルムアルデヒドを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、式[10]
【化10】

で示される光学活性三級アミンに変換し、次いで該三級アミンを加水素分解することにより、式[11]
【化11】

で示される光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、mは正の整数を表し、*は不斉炭素を表す。]
【請求項6】
式[8]で示される光学活性二級アミンが、式[12]
【化12】

で示されるトリフルオロメチル置換フェニルアルキルケトンと、式[13]
【化13】

で示される光学活性一級アミンを脱水縮合することにより、式[14]
【化14】

で示される光学活性イミンに変換し、次いで該イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより得られる光学活性二級アミンである、請求項5に記載の光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
[式中、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、波線はE体またはZ体を表し、*は不斉炭素を表す。]
【請求項7】
式[14]で示される光学活性イミンを遷移金属触媒の存在下、水素ガス雰囲気下に不斉還元することにより、式[8]で示される光学活性二級アミンを含む反応終了液を得て、次いで該反応終了液に直接、式[9]で示されるパラホルムアルデヒドを加え、該反応終了液に残存する遷移金属触媒を再利用して、水素ガス雰囲気下に還元的アルキル化することにより、式[10]で示される光学活性三級アミンを得ることを特徴とする、請求項6に記載の光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7の何れかに記載の方法で製造した、式[11]で示される光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を無機酸または有機酸の塩に誘導して再結晶精製することを特徴とする、高純度の光学活性1−(トリフルオロメチル置換フェニル)アルキルアミンN−モノアルキル誘導体を製造する方法。

【公開番号】特開2008−7489(P2008−7489A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182236(P2006−182236)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】